JP2005147845A - 新規な電気泳動分析方法、それを行うための電気泳動分析装置およびそれに使われる光透過性基材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 第1の方向への一次元目の泳動分離と、第1の方向の垂直方向に成分を有する方向である第2の方向への二次元目の泳動分離と、第1および第2の方向の垂直方向に成分を有する方向である第3の方向への三次元目の泳動分離を行うことを具備する電気泳動分析方法。
【選択図】図1
Description
(2)前記(1)の泳動により得られた二次元領域に亘る被分析物成分を更なる泳動のために二次元領域に亘って第3の泳動用媒体に移動し、第3の泳動用媒体において前記被分析物成分が位置する二次元領域に対して垂直の方向を有する方向に、前記被分析物成分の三次元目の泳動を行うことを具備する電気泳動分析方法が提供される。
(2)前記(1)の泳動により得られた二次元領域に亘る被分析物成分を、更なる泳動のために二次元領域に亘って第3の泳動用媒体に移動し、第3の泳動用媒体において前記思料成分が位置する二次元領域の面内方向に、二次元領域に亘って前記被分析物成分の三次元目の泳動を行うことを具備する電気泳動分析方法が提供される。
本発明の一側面に従うと、被分析物を分離するための電気泳動分析法であって、第1の方向への一次元目の泳動と、第2の方向への二次元目の泳動と、第3の方向への三次元目の泳動とを行うことを具備する電気泳動分析方法が提供される。
本発明に従う三次元電気泳動法は、上述したように第1、第2および第3の方向への泳動が行われる。このような電気泳動は、例えば、図1に示すような3方向への泳動が可能な媒体1において行われてよい。当該媒体1は、第1、第2および第3の方向の何れの方向にも泳動を行うことが可能な塊状物体の形態である。当該泳動用媒体1は、一次元目の泳動を行うための第1の方向としてのX方向、二次元目の泳動を行うための第2の方向としてのY方向、三次元目の泳動を行うための第3の方向としてのZ方向を有する媒体である。即ち、当該泳動用媒体における電気泳動は、第1の方向への一次元目の泳動と、第1の方向の垂直方向に成分を有する方向である第2の方向への二次元目の泳動と、第1および第2の方向の垂直方向に成分を有する方向である第3の方向への三次元目の泳動を含む。ここにおいて「垂直方向に成分を有する方向」とは、少なくとも、それ以前に行われた泳動の結果得られた情報が失われないような方向であればよく、好ましくは、ほぼ垂直方向であっても、垂直方向であってもよい。
更に本発明に従う三次元電気泳動法は、図2に示すように行うことも可能である。即ち、図2の(a)に示すように、まず一次元目の泳動を行った後に、同図(b)に示すように、第2の泳動用媒体20により二次元目の泳動を行う。固定化pH勾配ゲルであるストリップを用いた一次元泳動を行った後に、二次元目としてSDS-PAGEなどスラブゲルによる二次元の面上にわたる泳動を行うのが望ましい。次に泳動後の泳動用媒体20に対して、被分析物の更なる性質に依存して三次元目の泳動が可能である三次元用の泳動用媒体21を重ね合わせ、電気泳動などによって二次元用の媒体20から三次元用の泳動用媒体21へスポットを移動する(c)。その後、当該二次元用の媒体20を取り除く(d)。続いて、当該三次元用の泳動用媒体21に電圧を印加して、三次元目の泳動を行う(e)。この三次元目の泳動では、当該泳動に際して複数の経過時点におけるスポットの移動状況を観察する。或いは、連続して泳動中のスポットの移動状況を観察すればよい。その結果、夫々のスポットがどのような過程を経て移動したかが分かるので、一次元および二次元で得られたスポットを更に詳しく分析することが可能である(e)。例えば、図2(e)に示すように、スポットA1はA2に移動し、スポットB1は、近くで移動するスポットD1を追い越してスポットB2にまで移動し、スポットC1はスポットC2に移動し、スポットD1はスポットD2まで移動し、スポットE1は、そこに含まれる複数の成分が異なる早さで移動してスポットE2、E3およびE4に移動したことが検出される。このように継時的にスポットの移動を観察することによって、複雑な泳動結果であっても容易に解析することが可能である。特に、3回以上の経過時点で異なる測定を行えば、より確度の高い測定を可能にする。例えば、泳動前のスポットと泳動後のスポットの関連付け、また媒体における複数のスポットの関連付けのために、様々な数学的な解析方法を利用してもよい。本明細書における「継時的」とは、三次元目の泳動を開始する前の時点を含んでもよく、泳動途中の何れの時点であってもよく、泳動開始時点でも泳動終了時点であってもよい。また、請求項17に記載する、複数の泳動経過時点における第三の泳動用媒体の二次元領域に泳動された被分析物成分の分布状態の検出について、複数の泳動経過時点のうちの1回を三次元目の泳動開始時点とする際には、泳動開始時点の前記被分析物成分の分布状態の検出を、第2の泳動用媒体の被分析物の分布状態を測定することによって行ってもよいこととする。また、継時的な観察は、電気泳動を一旦止めて行っても、泳動を行いながら行ってもよい。
本発明の三次元電気泳動法は、従来の二次元電気泳動を行うことにより得た分離された成分を含む二次元電気泳動用媒体を利用してもよい。その場合、それ自身公知の二次元電気泳動を行った後に、更なる電気泳動を行えばよい。「更なる電気泳動」または「更なる泳動分離」とは、当該二次元電気泳動によっては分離されなかった成分を分離することが可能であればどのような泳動分離であってもよい。このような更なる電気泳動は、上述の第3の泳動分離に相当する。また、更なる電気泳動は、泳動する方向が限定されるものではなく、所望の方向であってよい。
本発明に従う三次元電気泳動法を、被分析物としてタンパク質を用いる例を用いて更に説明する。
図3を参照されたい。図3には本発明に従う垂直型三次元電気泳動法に使用される泳動用媒体の1例を示した。当該泳動用媒体1は、一次元目の泳動を行うための第1の媒体2と、二次元目の泳動を行うための第2の媒体3と、三次元目の泳動を行うための第3の媒体4を具備する。このような泳動用媒体1を用いたタンパク質を分析するための三次元電気泳動法の1例を以下に説明する。
物質の電気的性質によって分離するための媒体、例えば、等電点電気泳動用媒体、濾紙、セルロースアセテート膜、無担体電気泳動用薄膜および緩衝液など;
[B群]
質量の差によって分離するための媒体、例えば、アガロースゲル、ポリアクリルアミドなど;
[C群]
媒体との親和性の違いによって分離するための媒体、例えば、レクチン添加ゲル、抗原固定化ゲルなど。
垂直型三次元電気泳動法を行った後の塊状媒体、特に第3の媒体におけるスポットの検出は、それ自身公知の深度方向の光の発生や吸収分布を測定できる光学手段を用いて行い得る。そのような光学手段の例は、これらに限定するものではないが、共焦点レーザー走査顕微鏡および共焦点型紫外線吸収顕微鏡などの共焦点型の顕微鏡などである。その場合、これらにより当該媒体を立体的にスキャンしてもよく、予め第2の媒体において得られたスポットの位置を基に、それらスポットが第3の方向に移動していく道筋をスキャンしてもよい。
また、垂直型三次元電気泳動法を行った後の塊状媒体、特に第3の媒体におけるスポットの検出は、当該電気泳動の終点に到達した成分の検出を継時的に行い、リテンションタイムを指標にするような時間分析法を利用してタンパク質を分離したり、解析することが可能である。このような時間分解法についての説明は、以下の項で詳しく述べる。
時間分解法を利用する垂直型三次元電気泳動によるタンパク質の解析は、例えば、図4にその概略が示される時間分解垂直型三次元電気泳動分析装置などによって実施することが可能である。この装置では、一次元目の泳動と二次元目の泳動によって二次元的にタンパク質が泳動分布された二次元泳動用媒体と、これを基に三次元目の泳動を行うための三次元泳動用媒体とを使用する。
図4を参照されたい。本発明の態様に従う1例を用いて時間分解垂直型三次元電気泳動分析装置を説明する。本例である時間分解垂直型三次元電気泳動分析装置40は、電気泳動を行うための泳動部41と表面プラズモン共鳴を利用して泳動終面またはその近傍における組成などの状況の変化を検出するための検出部42を具備する。
例えば、当該時間分解垂直型三次元電気泳動分析装置によるタンパク質被分析物の分析は次のように行えばよい。まず、当該時間分解垂直型三次元電気泳動分析装置にセットする前の二次元泳動用媒体を用いて前泳動の泳動を行う。即ち、分析しようとするタンパク質を含む被分析物を、それ自身公知の手段を利用して一次元の泳動を行い、さらに二次元泳動用媒体3での二次元電気泳動に供する。この前泳動の後、得られた二次元泳動用媒体3を当該時間分解垂直型三次元電気泳動分析装置にセットする。図4に示すように全ての構成をセットした後に第1および第2の電極を所望の電圧で印加して、第2の電極(陽極)に向けてタンパク質成分を移動させる。この電気泳動を行うと同時に、第2の電極の検出部側表面である表面プラズモン共鳴受感部について、表面プラズモン共鳴の検出が行われる。即ち、白色光源からの照射光54は、当該光源50に接続された入射角制御手段49によって入射角度を制御されながら、光透過性基材48に入り、表面プラズモン共鳴受感部に照射にされる。更に、照射光54は、当該表面プラズモン共鳴受感部で反射し反射光55となる。反射光55は光透過性基材48を経て高空間分解能反射スペクトル測定手段51で測定され、反射率スペクトル解析手段52によって解析される。
ここで使用される二次元泳動用媒体および三次元泳動用媒体は、上述の(1)垂直型三次元電気泳動法の項において第1、第2および第3の媒体に使用可能な媒体として列記した種類の媒体より選択して使用してもよい。しかしながら、当該二次元電気泳動用媒体において行われる好ましい一次元目の泳動は等電点電気泳動であり、二次元目の泳動はSDS−PAGEである。また、二次元泳動用媒体の寸法は、通常の従来の二重原電気泳動分析で用いられる数センチ角から数十センチ角の大きさで良いが、厚さが2mm以下が望ましく、より好ましくは厚さは1mm程度である。
一次元目の電気泳動と二次元目の電気泳動は、本発明に従う時間分解垂直型三次元電気泳動分析装置41における電気泳動に対して二次元泳動用媒体3をセットする前に行っておくことが好ましい。その場合、最終的に二次元に被分析物成分が泳動された状態の二次元泳動用媒体3が得られればよく、一次元目および二次元目の電気泳動はそれ自身公知の何れの電気泳動手段により行えばよい。
当該装置における検出部42は、所謂、表面プラズモン共鳴センサである。「表面プラズモン」とは、金属中の自由電子が集団的に振動して生じた粗密波のうち、金属表面に生じる粗密波を量子化したものである。このような表面プラズモンは光波によって惹起される。その伝搬速度は周囲の誘電率や構造によって左右される。表面プラズモン共鳴センサは、このような性質を利用して、被分析物中の物質を定量分析するための装置である。そのような装置として、例えば、特開平10−78393号、特開平6−167443号および「計測と制御」第36巻、第4号、1997年4月号などに記載された例が挙げられる。これらの文献に記載の技術およびそれ自身公知の何れのの表面プラズモン共鳴センサも本発明において好ましく使用してよい。
図9に示す表面プラズモン共鳴センサ90の第2の例は、光透過性基材91と、前記光透過性基材91上に形成され且つと被分析物83に対して別の面で接触する金属膜92と、一定波長の光ビーム95を照射する単色光源96と、前記光ビーム95を光透過性基材91に通し、当該光透過性基材91と金属膜92との境界に対して種々の入射角が得られるように入射させる光学系94と、前記入射された光ビーム95の反射光99の金属膜上の位置に対応した強度分布に関する情報を回収するための撮像手段98と、当該金属膜92からの反射光99を前記撮像手段98に集光するための光学系97とを具備する。
上述の図9に示す第2の例は、入射角θを変更しながら撮像素子98を用いて反射光99を撮像することにより、全反射解消角の検出を行う例であるが、以下に説明する図10に示す表面プラズモン共鳴センサの第3の例は、入射角θは一定に保持するが、光スペクトルアナライザー108を用いて反射光109をのスペクトルを測定し、撮像された反射光109の波長の違いや全反射解消が生じる波長を検出することにより、当該金属膜102の媒体側表面に存在する成分の検出を行うための例である。
次に第1のセパレータについて説明する。上述したように当該時間分解垂直型三次元電気泳動分析装置41では、二次元泳動用媒体における二次元電気泳動により移動されるべき位置にまで移動されたタンパク質成分を、三次元泳動用媒体に移動し、終点でのタンパク質の出現を継時的にまたは断続的に観察しながら三次元泳動用媒体において三次元目の電気泳動を行う。従って、二次元電気泳動によって移動すべき位置に適切に移動されたタンパク質成分が、三次元泳動用媒体に移動する際に再度混じり合ったり、他に移動することは望ましくない。従って、第1のセパレータ44は、意図しない成分の移動、混合および汚染などを防ぐための部材であり、そのような移動や混合などを防ぐことが可能な手段であれば、どのような手段であっても第1のセパレータ44として使用してもよい。第1のセパレータ44の例は、テフロンメッシュシートなどである。また、テフロンメッシュシートは、例えば、ポアサイズ1mm以下であればよく、好ましくはポアサイズ50μm、ポア間隔70μm、厚さ12μmである。ポアサイズが大きすぎると、微細に分離された成分が混じり合ってしまう。
上述のような時間分解垂直型三次元電気泳動分析装置を用いて、三次元目の電気泳動を行いつづ、表面プラズモン共鳴センサによる測定の手順の例を説明する。表面プラズモン共鳴センサの第2の電極である金属膜と対向電極の間には、図11に示すように高圧過程と低圧過程を繰り返すことにより、電気泳動とイオン緩和を繰り返し、この状態で表面プラズモン共鳴センサによる測定を行う。高圧過程は、望ましくは数Vの電圧を印加する。この過程においてタンパク質は泳動する。また、低圧過程は電圧制御系を停止(即ち、両電極間を非短絡、或いは、開放)してもよく、電圧を0V(ゼロV)で制御してもよく、0Vでの制御と電圧制御系停止(即ち、両電極間を非短絡、或いは、開放)とを組み合わせて行ってもよい。また、高圧過程と低圧過程の繰り返しは、高圧過程で必要な泳動の分析がなされる程度の回数で行えばよく、好ましくは10回以上繰り返して行う。当該高圧印加は、約0.3Vから約30Vで行えばよく、好ましくは約1.0Vから約5Vで行えばよく、より好ましくは2Vである。各過程の長さは約0.5分から約1時間でよく、好ましくは約5分から約30分であり、より好ましい長さは、高圧過程が10分で、低圧過程は約5秒であり、且つ低圧過程の初期に0V制御を5秒間行えばよい。これによって、電圧印加により不必要に金属膜に集合していた電解質成分等を放出してタンパク質のみの影響による測定を短時間で行うことができる。
また、上記の測定を金属膜により制限される面について二次元的分布から解析を行ってもよい。即ち、上記の(ix)表面プラズモン共鳴センサによる測定で示した方法では、基底値に相当する入射角度、即ち、平衡角度、の絶対値は、緩衝液の塩析や媒体に含まれる不要物の析出によって、本来検出しようとする電気泳動により得たタンパク質成分の影響を厳格に反映することは時間の経過と共に困難になる。しかしながら、当該金属膜により制限される面について二次元的に平衡角度の分布を時間と共に観察することにより、媒体内の不純物や緩衝液中の物質による影響を取り除くことが可能になる。図14を参照されたい。図14(A)、(B)および(C)は、0分、60分および80分と継時的に同じ部位を1mm間隔の格子間隔にて観察した結果である。夫々の交点が実際に入射角度を測定した点である。(A)と(B)では平らであった部分が、(C)では楕円で囲んだ部分が上昇していることが分かる。この上昇は入射角度の上昇を反映している。このように二次元的に変化を分析することにより、高精度に検出を行うことが可能である。
以上の方法では、電圧を印加しない時間領域、即ち、低圧過程、における平衡に達した角度の変化を用いてタンパク質の分離を行った。しかしながら、電圧印加後のピーク時の到達角度の変化からも同様な分析を行ってもよい。また、その場合も上記の面分析などにより結果を得てもよく、またコントロールと比較してもよい。
更に時間分解法は、例えば、図15に示すような水平型三次元電気泳動分析装置などを用いて行ってもよい。図15に示す当該水平型三次元電気泳動分析装置は、三次元泳動用媒体を用いて、水平方向に電気泳動を行う装置である。
図15を参照されたい。この時間分解水平型三次元電気泳動分析装置150は、電気泳動を行うための泳動部151と、表面プラズモン共鳴によりタンパク質の存在を検出するための検出部152とを具備する。
例えば、当該時間分解水平型三次元電気泳動法装置によるタンパク質被分析物の分析は次のように行えばよい。
ここで使用される三次元泳動用媒体は、前泳動として行った一元目の泳動と二次元目の泳動とは異なるタンパク質の性質に依存した電気泳動の可能な媒体であり、且つそのために必要な組成を有する。従って、当該三次元目の泳動を行うための三次元泳動用媒体21は、所望の組成を有する泳動用媒体であればよく、例えば、所望の組成と寸法のそれ自身公知の媒体を使用してもよい。例えば、一次元目のストリップゲルにはアマシャムバイオサイエンスのイモビラインドライストリップを用いて等電点電気泳動を、二次元目の泳動は一般的なSDS-ポリアクリルアミドゲルを用いたSDS-PAGEを、三次元目の泳動にはConA、PHAなどのレクチンをゲル担体に固定したポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動を行うことができる。タンパク質は一般的に糖を伴う糖タンパク質であり、その糖鎖の性状によって各種レクチンとの親和性が異なる。適当なレクチンを固定化した電気泳動媒体を用いることで一次元目、二次元目とは異なる分離が可能となる。また、三次元目の電気泳動では、レクチンの代わりに疎水基を固定して調製したゲル媒体を用いることで、タンパク質の疎水性・親水性の性質による分離が可能となる。
本態様に従う第1のセパレータ154は、意図しない成分の移動、混合および汚染などを防ぐための部材であり、そのような移動や混合などを防ぐことが可能な手段であれば、どのような手段であっても第1のセパレータ154として使用してもよい。第1のセパレータ154の例は、PVDFやテフロンメッシュシートなどの多孔質シートであってよい。また、テフロンメッシュシートは、ポアサイズポアサイズ2μm〜500μm、厚さ1μm〜1000μmであればよく、好ましくはポアサイズ50μm、ポア間隔70μm、厚さ25μmである。
当該態様の装置における検出系は、時間分解垂直型三次元電気泳動法の項など、上述の何れの検出系を同様に利用することが可能である。
本時間分解水平型三次元電気泳動分析装置において使用され得る金属膜は、表面プラズモン共鳴を本発明の環境下で励起して観測可能な物質によりなる金属膜であればよく、例えば、金および銀などの金属で当該光透過性基材の一面に膜を形成する。当該金属膜の厚さは、一般的に表面プラズモン共鳴センサにおいて使用される厚さでよく、例えば、約550Åの厚みの金薄膜であってよい。
上述の時間分解水平型三次元電気泳動分析装置は、更に図16に示すような構成であってもよい。即ち、時間分解水平型三次元電気泳動分析装置170は、電気泳動用の容器171に緩衝液174に浸されて具備された三次元目の電気泳動用媒体172と、所望の電気泳動を行うための電極173aおよび173bと、前記電極に電圧を印加するための電圧印加手段181と、前記媒体172に接して配置される金属膜182と、それを表面に保持していている光透過性基材175とを具備する。表面プラズモン共鳴センサの測定は、平行光を照射できる白色光源176により比較的広い領域に同時に照射された光177は、表面プラズモン共鳴感受部である金属膜182において反射され、高空間分析能光学系180と光スペクトルアナライザー179と観測点二次元走査手段183とを具備する検出手段178によって、入射角または波長などの光学的信号の変化を検出すればよい。以上の構成以外は、上述した他の時間分解水平型三次元電気泳動分析装置と同様の構成を有してよく、他の当該装置と同様に変更してよい。
また更に時間分解水平型三次元電気泳動分析装置は、図17AおよびBに示すような以下のような構成であってもよい。電気泳動用の容器198と、前記容器に含まれる緩衝液と、これに浸されて配置される三次元目の電気泳動用媒体191と、電極193aおよび193bと、当該電極193aおよび193bに所望の電圧を印加するための電圧印加手段195と、前記媒体191に接して配置される金属膜192と、前記金属膜192に接して配置される光透過性基材197とを具備する(図17A)。また、前記金属膜192は、図17Bに示すように複数の短冊状の金属膜が並列してなり、この短冊状の金属膜は長手方向が泳動方向に直交するように配置される。表面プラズモン共鳴センサによる検出は、光源196からの光を光透過性基材に対して照射し、その反射光を検出して関連する入射角や波長などの光学信号を検出手段197により検出して所望の解析を行うことによって検出を達成すればよい。
また、時間分解水平型三次元電気泳動分析装置の検出部として、上述する様な表面プラズモン共鳴センサではなく、紫外線を利用した検出手段を用いてもよい。そのような例を図18に示す。時間分解水平型三次元電気泳動分析装置200は、電気泳動用容器201と、この容器201に具備された緩衝液208と、前記緩衝液208に浸された泳動用媒体202と、電極203aおよび203bと、前記電極203aおよび203bに制御された電圧を印加する電圧印加手段205と、前記媒体中に泳動されたタンパク質成分を検出するための紫外線光源204と、光源204から照射され、媒体202を経た光学信号を検出するための紫外線強度分布測定手段206と、測定された光学信号を分析するための透過紫外線分布測定解析手段207とを具備する。
上述した表面プラズモン共鳴センサにおいて用いられる光透過性基材は、図19〜21に示す例のようにセルを具備したプリズムであってもよい。図19Aを参照されたい。プリズム218は、泳動用媒体と接する側に複数のセル210を具備する。セルは、当該プリズムの泳動部側に接する面に、それ自身公知の何れかの手段によって、窪み(cavity)や孔として形成されればよい。全てのセル210の底面には、金属膜211が配置され、表面プラズモン共鳴感受部として機能する。見やすさのために一つセルを取り出して図19Bに示した。当該セルの寸法は特に規定されるものではないが、レーザー光が入射する方向に5〜1.0mm、好ましくは10〜300mmである。また、深さは光の波長より大きい必要がある。また、1つの光透過性基材に具備されるセルの容量および形態は必ずしも等しい必要はないが、空間分解能は、このセルの大きさに制限されることは明かである。更に、セルの深さが異なると反応の大きさが異なるために、均一であることが望ましく、更に当該金属膜面(即ち、セル底面)は歪みのない平面でないと正確な測定ができない。従って、当該金属膜面およびセル底面は、正確な測定が可能なために歪みのない平面であることが望ましい。
以上、本発明に従う三次元電気泳動について幾つかの例を用いて説明したが、更に図22を用いて本発明に従う基本的な三次元電気泳動の流れを説明する。
使用した表面プラズモン共鳴センサは、図8に示すような構成であり、光透過性基材としてのプリズム81と、前記プリズム81と被分析物83に対して夫々別の面で接触する寸法1cm×1.5cm×500Åの金薄膜82と、光ビーム85を発生させるためのハロゲンランプ84と、前記光ビーム85をプリズム81に通し、当該プリズム81と金薄膜82との境界に対して種々の入射角が得られるように入射させる光学系86としての傾斜ステージ付きコリメータと、前記の界面で全反射した光ビーム87の強度を種々の入射角度毎に検出可能な光検出手段88としての光強度分布検出用アレイとを備える。ここで使用するSPR信号測定のための光の入射と反射光の検出方法について光学的配置や光強度検出用アレイ等は光学技術者にとって良く知られたものである。さらに、従来のSPR測定器で用いられたものがあり、これ以上の説明をここで要しない。
(1)一次元目の泳動と二次元目の泳動
一次元目をストリップゲルpH3〜10を用いた等電位泳動によって行なった後に、15cmx15cmx1mmの寸法のSDS-PAGEゲルを、二次元目の泳動を行うための泳動用媒体として用意した。当該ゲルの組成と作成方法は周知である。
三次元目の泳動を行うための泳動用媒体は、一次元及び二次元目と異なる泳動原理によるものであればレクチン固定化ゲルや疎水性担体固定化ゲル等を利用可能である。タンパク質(分子上にアミノ基を持つもの)とポリアクリルアミドゲルの架橋反応用試薬であるN-[2[[3[[4-(2,5-dioxo-1-pyrrolidinyl)oxy]-4-oxobutyl]amino]-3-oxopropyl]dithio]ethyl]-2-propenamide(以下AEMAS)は、Analytical Biochemstry 151, p268-281(1985)を参考に合成した。ConAまたはPHAレクチン(アミノ基含量として約75μmol)と等mol量のAEMASを5mLの無水エタノール中で室温で30分間反応させてアミド化合物を得た。これに40%(w/v)アクリルアミドおよび2.5%(w/v)ビスアクリルアミド水溶液4mLを添加した。この混合物からエバポレーターによりエタノールを除去した後、純水を加えて約7mLに調整した。イオン交換担体を通して得られた溶液7mLに、1Mリン酸緩衝液(pH7.0)O.4mL及び3%(v/v)N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)O.27mLを添加した。さらに、過硫酸アンモニウム(0.2-0.4%(w/v))を添加した後15cm×15cm×1cmの容器に入れて共重合させてレクチン固定化ゲルを作製した。ゲルの分子量分画範囲はアクリルアミドおよびビスアクリルアミドの濃度を変えて調整できる。また、始めにAEMASとアクリルアミドおよびビスアクリルアミドを同時に用いて目的の分子量分画範囲に応じた活性化ゲルを作製し、その後レクチンを結合させる方法もあるが、固定化の効率が低く均一性にも劣る。レクチンはゲル中に共有結合で固定されているが必要に応じてゲルを緩衝液中でゆるく振盪することで非結合レクチンを除去することができる。また、電気泳動分析装置でゲルの先端から十分時間電気泳動することによっても除去することができる。得られたゲルは泳動方向の長さが1cmとなるように使用する。--
(3)三次元目の泳動
図4に示す電気泳動分析装置を用いて三次元目の電気泳動を行った。まず、メッシュ間隔0.5mmで厚さ0.05mmの正方のテフロンメッシュシートを介して、二次元目の泳動用媒体と三次元目の泳動用媒体とを、15cmx15cmからなる面同士を密着させた。このように重ね合わせた後に、13cmx13cmx550Åの金薄膜が光透過性基材(BK7)上に形成されたプリズムと、13cmx13cmの対向電極に挟んで密着させた。前記金薄膜は表面プラズモン共鳴センサの表面プラズモン感受部を提供する。またこのとき、当該金薄膜と三次元目の泳動媒体との間にも、メッシュ間隔0.5mm、厚さ1mmの正方のテフロンメッシュシートを配置した。更に、前記金薄膜と三次元目の泳動媒体の間、および対向電極と二次元目の泳動用媒体との間を、以下の組成を有する緩衝液で満たした。当該緩衝液は、蒸留水に、トリス15g/L、グリシン72g/L、SDS5g/Lを溶解したものであり、pHは8.3である。
(1)一次元目の泳動と二次元目の泳動
一次元目と二次元目の電気泳動を実施例2と同じゲル及び手法を用いて13cm×13cm×1.5mmのSDS-PAGEゲル上に泳動した。サンプルは同様にαフェトプロテイン(AFP)と人血清アルブミン(HSA)を含むものである。
三次元目の泳動を行うための媒体は、上述の一次元用の泳動用媒体および二次元用の泳動媒体とは異なるタンパク質の性質に依存した電気泳動を行うことが可能な媒体である。タンパク質は一般的に糖を伴う糖タンパク質であり、その糖鎖の性状によって各種レクチンとの親和性が異なる。適当なレクチンを固定化した電気泳動媒体を用いることで一次元目、二次元目とは異なる分離が可能となる。PHAレクチン固定化ゲルは実施例2−(2)と同様の方法により15cm×15cm×1mmの寸法で調製した。
図2(c)のように、二次元目の泳動用媒体と三次元目の泳動用媒体を重ね合わせて、更に、二次元目の泳動用媒体と三次元目の泳動溶媒との間には、メッシュ間隔が0.2mmで厚さが0.01mmのテフロンメッシュシートを配置させ、互いに密着させた。このように重ね合わせた後に、媒体の厚さ方向の泳動が可能となるように電極を配置して電圧を印加した。印加電圧は1Vであり、印加時間は30分とした。これによって、二次元目の泳動パターンを維持したままで、泳動された成分を三次元目の泳動用媒体に移動した。図示しないが、三次元目の泳動媒体側の電極(陽極)と三次元目の泳動媒体の間にはバッファー液を1cmの長さに満たして電極に集まるイオン等による三次元目の泳動媒体及びタンパクが変質しないように離した。
上記の(3)で得た泳動成分を具備する三次元目の泳動用媒体について、図15に示した電気泳動分析装置を用いて電気泳動を行った。 電気泳動の後に、上記(3)で行った方法と同様に表面プラズモン測定を行う際に表面プラズモン共鳴センサの感度を高くするために、表面プラズモン共鳴センサの金属膜157と当該媒体を挟み込んだ対向電極153の間に電界を掛けて、当該媒体中のタンパク質を金属膜157近傍に泳動した。次に表面プラズモン共鳴センサによる測定を行った。その後、逆方向に再度泳動を行って当該培地の内部にタンパク質成分を移動させ、更なる三次元目の泳動を電極156aと156bに50Vを30分印加して行った。
上記(4)に記載の方法とは異なる方法による解析も行った。上記の(3)で得た泳動成分を具備する三次元目の泳動用媒体について、以下のように三次元目の電気泳動を行った。この泳動は、図7に示した従来型の電気泳動分析装置を用いて可能であり、30分間に亘り50Vの電圧を印加して行った。
以上のような本発明により、より高い分解能を有する電気泳動分析方法およびその方法を行うための電気泳動分析装置が提供された。また、本発明の電気泳動分析方法は、網羅性が高いので疾患関連タンパク質のスクリーニングや、プロテオミクスやプロテオームの研究に有意に使用することが可能である。
Claims (35)
- 一次元目の第1の泳動分離と、二次元目の第2の泳動分離と、更なる第3の泳動分離を行うことを具備する電気泳動分析方法。
- 二次元電気泳動を行った泳動用媒体について、更なる泳動分離を行うことを具備する電気泳動分析方法。
- (1)被分析物について、第1の方向への第1の泳動用媒体による一次元目の泳動分離と、第1の方向の垂直方向に成分を有する方向である第2の方向への二次元目の泳動分離を行うことによって、第2の泳動用媒体の二次元領域に亘り前記被分析物を泳動分離すること、および
(2)前記(1)の泳動により得られた二次元領域に亘る被分析物成分を更なる泳動のために二次元領域に亘って第3の泳動用媒体に移動し、第3の泳動用媒体において前記被分析物成分が位置する二次元領域に対して垂直の方向を有する方向に、前記被分析物成分の三次元目の泳動を行うことを具備する電気泳動分析方法。 - 前記第1の泳動用媒体の泳動特性と、第2の泳動用媒体および第3の泳動用媒体の泳動特性が互いに異なる請求項3に記載の電気泳動分析方法。
- 第1の泳動用媒体、第2の泳動用媒体および第3の泳動用媒体が、夫々に物質の電気的性質によって分離するための電気泳動用媒体、分子の大きさや形状の差によって分離するための電気泳動用媒体、および媒体との親和性の違いによって分離する電気泳動用媒体からなる群より選択される泳動用媒体である請求項3または4の何れか1項に記載の電気泳動分析方法。
- 第1の泳動用媒体、第2の泳動用媒体および第3の泳動用媒体が、夫々に等電点電気泳動用媒体、濾紙、セルロースアセテート膜、無担体電気泳動用薄膜、緩衝液、アガロースゲル、ポリアクリルアミド、レクチン固定化ゲル、および抗原固定化ゲルからなる群より選択される泳動用媒体である請求項3から5の何れか1項に記載の電気泳動分析方法。
- 前記(2)の三次元目の泳動を行った後に共焦点型紫外線吸収顕微鏡を用いて前記第3の泳動用媒体内の前記被分析物成分の分布を検出することを、更に具備する請求項3から6の何れか1項に記載の電気泳動分析方法。
- 前記(2)の泳動において複数の泳動経過時点で、前記第3の泳動用媒体の泳動終面またはその近傍における被分析物成分の存在を検出し、当該複数の経過時点での検出結果の違いから前記被分析物に含まれる各成分の第3の泳動溶媒対中における泳動特性に関する情報を得ることを、更に具備する請求項3から7の何れか1項に記載の電気泳動分析方法。
- 前記第3の泳動用媒体の泳動終面またはその近傍における被分析物成分の存在を、表面プラズモン共鳴の状態の検出によって行う請求項8に記載の電気泳動分析方法。
- 前記泳動終面またはその近傍の被分析物の二次元的分布に関わる情報を反映するために当該泳動終面またはその近傍に対面する金属膜と、前記金属膜の他方の面に接し、光の入射および出射の可能な光透過性基材と、前記光透過性基材を介して前記金属膜に対して光を照射するための光源と、前記光源から照射されて前記金属膜で反射される光の反射率の入射角依存性を測定するための入射角変更手段と、前記照射される光に関する前記金属膜での反射光を検出するための検出手段とを具備する表面プラズモン共鳴センサによって、前記表面プラズモン共鳴の状態の検出が行われる請求項9に記載の電気泳動分析方法。
- 前記泳動終面またはその近傍の被分析物の二次元的分布に関わる情報を反映するために当該泳動終面またはその近傍に対面する金属膜と、前記金属膜の他方の面に接している光透過性基材と、前記光透過性基材を介して前記金属膜に対して光を照射するための光源と、前記金属膜における反射率の波長依存性を検出するための検出手段とを具備する表面プラズモン共鳴センサによって、前記表面プラズモン共鳴の状態の検出が行われる請求項9に記載の電気泳動分析方法。
- 前記金属膜が三次元目の電気泳動用電極を兼ねている請求項9から11の何れか1項に記載の電気泳動分析方法。
- (1)被分析物について、第1の方向への第1の泳動用媒体による一次元目の泳動分離と、第1の方向の垂直方向に成分を有する方向である第2の方向への第2の泳動用媒体による二次元目の泳動分離を行うことによって、第2の泳動用媒体上に被分析物が二次元領域に亘り泳動分離されること、および
(2)前記(1)の泳動により得られた二次元領域に亘る被分析物成分を、更なる泳動のために二次元領域に亘って第3の泳動用媒体に移動し、第3の泳動用媒体において前記思料成分が位置する二次元領域の面内方向に、二次元領域に亘って前記被分析物成分の三次元目の泳動を行うことを具備する電気泳動分析方法。 - 前記第1の泳動用媒体の泳動特性と、第2の泳動用媒体の泳動特性と、第3の泳動用媒体の泳動特性が互いに異なる請求項13に記載の電気泳動分析方法。
- 第1の泳動用媒体、第2の泳動用媒体および第3の泳動用媒体が、夫々に物質の電気的性質によって分離するための電気泳動用媒体、分子の大きさや形状の差によって分離するための電気泳動用媒体、および媒体との親和性の違いによって分離する電気泳動用媒体からなる群より選択される泳動用媒体である請求項13または14の何れか1項に記載の電気泳動分析方法。
- 第1の泳動用媒体、第2の泳動用媒体および第3の泳動用媒体が、夫々に等電点電気泳動用媒体、濾紙、セルロースアセテート膜、無担体電気泳動用薄膜、緩衝液、アガロースゲル、ポリアクリルアミド、レクチン固定化ゲル、および抗原固定化ゲルからなる群より選択される泳動用媒体である請求項13から15の何れか1項に記載の電気泳動分析方法。
- 前記(2)の泳動において複数の泳動経過時点における前記第3の泳動用媒体の二次元領域に泳動された被分析物成分の分布状態を検出し、当該複数の経過時点での被分析物成分の分布状態の違いから前記被分析物に含まれる各成分の第3の泳動用媒体中における泳動特性に関する情報を得ることを、更に具備する請求項13から16の何れか1項に記載の電気泳動分析方法。
- 前記泳動用媒体の二次元領域における泳動された被分析物成分の分布状態の検出が、当該泳動用媒体の表面において行われる請求項17に記載の電気泳動分析方法。
- 前記第3の泳動用媒体の二次元領域における泳動された被分析物成分の分布状態の検出が、第3の泳動用媒体の二次元の紫外線吸収率測定によって行われる請求項13から18の何れか1項に記載の電気泳動分析方法。
- 前記第3の泳動用媒体の二次元領域における泳動された被分析物成分の分布状態の検出が、表面プラズモン共鳴センサによって行われる請求項13から18の何れか1項に記載の電気泳動分析方法。
- 前記表面プラズモン共鳴センサが、前記第3の泳動用媒体の泳動面に対面する金属膜と、前記金属膜の他方の面に接し、光の入射および出射の可能な光透過性基材と、前記光透過性基材を介して前記金属膜に対して光を照射するための光源と、前記光源から照射されて前記金属膜で反射される光の反射率の入射角依存性を測定するための入射角変更手段と、前記照射される光に関する前記金属膜での反射光を検出するための検出手段とを具備する請求項20に記載の電気泳動分析方法。
- 前記表面プラズモン共鳴センサが、前記第3の泳動用媒体の泳動面に対面する金属膜と、前記金属膜の他方の面に接している光透過性基材と、前記光透過性基材を介して前記金属膜に対して光を照射するための光源と、前記金属膜における反射率の波長依存性を検出するための検出手段とを具備する請求項20に記載の電気泳動分析方法。
- 泳動部と表面プラズモン共鳴センサを具備する垂直型三次元電気泳動分析装置であって、
前記泳動部は第1の電極と第2の電極を有し、前記二つの電極の間に、被分析物が二次元領域に亘って泳動展開された第2の泳動用媒体を配置するための第1の空間と、該第1の空間と前記第2の電極との間に前記二次元領域に面して第3の泳動用媒体を配置するための第2の空間を有し、さらに前記第1の電極と前記第2の電極の間に電圧を印加して、前記二次元領域に亘る前記被分析物成分が前記第2の泳動用媒体中から前記第2の電極に向って前記第3の泳動用媒体中を泳動するための電圧制御手段を具備し、
前記表面プラズモン共鳴センサは金属膜を備えた光透過性基材を有し、且つ前記金属膜は前記第2の電極と同一か、あるいは前記第2の電極とは独立に第3の泳動用媒体と前記第2の電極の間に位置し、前記光透過性基材を介して前記金属膜に対して光を照射するための光源、および該光源から照射された光に関する前記金属膜における反射光を検出するための検出手段を具備することを特徴とする垂直三次元電気泳動分析装置。 - 前記第2の泳動用媒体を配置するための空間に第2の泳動用媒体を、前記第3の泳動用媒体を配置するための空間に第3の泳動媒体を、更に具備する請求項23に記載の垂直型三次元電気泳動分析装置。
- 更に、前記表面プラズモン共鳴センサの感受部をなす金属膜と第3の泳動用媒体との間に位置する第1のセパレータを具備する請求項23または24の何れか1項に記載の垂直型三次元電気泳動分析装置。
- 更に、第2の泳動用媒体と第3の泳動用媒体との間に位置する第2のセパレータを具備する請求項23、24および25の何れか1項に記載の垂直型三次元電気泳動分析装置。
- 泳動部と表面プラズモン共鳴センサを具備する水平型三次元電気泳動分析装置であって、
前記泳動部は第1の電極と第2の電極を有し、前記二つの電極の間に、被分析物が二次元領域に展開された第3の泳動用媒体を配置するための空間を有するとともに、さらに前記第1の電極と前記第2の電極の間に電圧を印加して、第3の泳動用媒体中の被分析物の成分が二次元に展開されている前記二次元領域の面内方向に沿い且つ前記第2の電極に向って、前記二次元領域に亘る前記被分析物の成分が前記第3の泳動用媒体中を泳動するための電圧制御手段を具備し、
前記表面プラズモン共鳴センサは金属膜を備えた光透過性基材を有し、且つ前記金属膜は前記第3の泳動用媒体の前記二次元領域に亘って対向し、前記光透過性基材を介して前記金属膜に対して光を照射するための光源、および前記光源から照射された光に関する前記金属膜における反射光を検出するための検出手段を具備することを特徴とする水平型三次元電気泳動分析装置。 - (1)前記第3の泳動用媒体とは泳動特性の異なる第2の泳動用媒体において、被分析物に関する二次元電気泳動を行うことと、
(2)前記(1)によって泳動された前記被分析物に由来する成分を前記第2の泳動用媒体から前記第3の泳動用媒体に移動することと、
(3)前記第3の泳動用媒体を、前記第3の泳動用媒体を配置するための空間に配置することと、
(4)所望の時期に所望の回数で、前記第3の泳動用媒体に対面した導電極に向かう電気泳動を行った後で前記反射光の検出を行うことを含んで、当該第3の泳動用媒体における泳動を行うことと、
を具備する請求項27に記載の水平型三次元電気泳動分析装置の使用方法。 - 更に、前記第3の泳動用媒体と表面プラズモン共鳴センサの感受部をなす金属膜との間に位置する第1のセパレータを具備する請求項27または28の何れか1項に記載の水平型三次元電気泳動分析装置。
- 前記金属膜は並列する複数の短冊状に形成されており、当該短冊状金属膜の長手方向は、前記泳動用媒体における泳動方向に直交する方向であることを特徴とする請求項27、28および29の何れか1項に記載の水平型三次元電気泳動分析装置。
- 前記短冊状金属膜の泳動方向の幅が1mm以下である請求項30に記載の水平型三次元電気泳動分析装置。
- 請求項9、10、11、12、21および22の何れか1項に記載の方法に使用される表面プラズモン共鳴センサのための光透過性基材であって、前記泳動部側に向かう面に複数のセルを具備する光透過性基材。
- 更に、前記セルの底部に当該表面プラズモン共鳴センサの感受部をなす金属膜を具備する請求項32に記載の光透過性基材。
- 更に、前記泳動部における電気泳動を与えるための電極を前記セルの底部に具備し、且つ表面プラズモン共鳴センサの感受部をなす金属膜を前記セル間の凸部に当該泳動部側に向かう光透過性基材の面に具備する請求項32に記載の光透過性基材。
- 前記表面プラズモン共鳴センサの感受部をなす金属膜の泳動方向の幅が1mm以下である請求項33または34の何れか1項に記載の水平型三次元電気泳動分析装置。
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