JP2005146368A - プラズマ発生装置及びガラス加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 トーチからプラズマを発生させる際に最適な加熱領域の形成を図り、良好なガラス加工を行う。
【解決手段】 本発明に係るプラズマ発生装置1は、トーチ本体2と、トーチ本体2にプラズマPの作動ガスを供給するガス供給管3と、トーチ本体2に供給された作動ガスに対して電界を印加する電界印加手段とを備え、トーチ本体2から発生したプラズマPに磁界を印加する磁石4n,4sが設けられている。このプラズマ発生装置1を用いてプラズマPを発生させ、プラズマに磁界を印加してプラズマPの大きさを調節し、所望の大きさの加熱領域を形成して、所望のガラス加工を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光ファイバプリフォームなどのガラス体の製造過程等で熱源として用いることのできるプラズマ発生装置、及びガラス体の熱加工を行うガラス加工方法に関する。
光ファイバプリフォームなどのガラス体の製造過程においては、例えばMCVD(Modified Chemical Vapor Deposition)法による光ファイバプリフォームの製造工程、コラプス法による光ファイバプリフォームの製造工程、ガラスロッド等にダミーロッドを接続する工程、ガラスロッドやガラスパイプの延伸工程など、ガラス体を加熱して加工する工程が多く含まれている。また、熱酸化反応または火炎加水分解反応を伴う外付け法や軸付け法によりガラス微粒子を生成して、ガラス微粒子堆積体を作製し、それを脱水及び焼結させて光ファイバプリフォームを製造する方法も広く用いられている。
近年、このような用途に使用される熱源として、無水加熱源であるプラズマ発生装置が提案されている。例えば、MCVD工程において、プラズマトーチを熱源として用いて、水素や水酸基等の不純物の少ない光ファイバ製品が得られる光ファイバプリフォームの作製方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第2818735号公報
ところで、上記のような種々のガラス加工方法では、最適な加熱領域を形成して良好な熱加工を行うことが要求されている。
例えば、MCVD工程においては、出発パイプの内側にガラス微粒子を堆積(デポレート)させる堆積速度に影響を与える要因は、加熱した出発パイプの温度分布に起因する熱泳動(サーモフォレシス)効果が主要因である。そして、この堆積速度を向上させるためには、ガラス微粒子の生成効率の向上と熱泳動効果の促進とを図るための最適な加熱領域を形成することが重要である。
また、例えば、外付け法では、ガラス微粒子の堆積効率を向上させるためには、所望の温度以上となる加熱領域の大きさを適切に調節することが重要である。
しかしながら、プラズマを発生させるトーチを用いる場合には、その発生するプラズマの流速が比較的遅いため、プラズマに拡がりが生じやすく、また、不安定にもなりやすい。すなわち、プラズマによって形成される加熱領域が大きくなりやすい。そのため、トーチを用いた従来のプラズマ発生装置は、プラズマの大きさを調節して最適な加熱領域を形成することが困難であった。
本発明は、トーチからプラズマを発生させる装置において、最適な加熱領域の形成を図ることが可能なプラズマ発生装置を提供することを目的としている。また、トーチからプラズマを発生させる際に最適な加熱領域の形成を図り、良好なガラス加工を行うことが可能なガラス加工方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成することのできる本発明に係るプラズマ発生装置は、トーチ本体と、トーチ本体にプラズマの作動ガスを供給するガス供給手段と、トーチ本体に供給された作動ガスに対して電界を印加する電界印加手段とを備え、トーチ本体からプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、発生したプラズマに磁界を印加する磁界印加手段が設けられていることを特徴としている。
また、本発明のプラズマ発生装置において、磁界印加手段は、印加する磁界の強度を調節する手段を有することが好ましい。なお、磁界の強度を調節するとは、プラズマに対して作用する磁束密度を変化させることを指す。
また、本発明のプラズマ発生装置において、磁界印加手段は、印加する磁界の分布を調節する手段を有することが好ましい。なお、磁界の分布を調節するとは、プラズマに対して作用する磁力線の分布を変化させることを指す。
上記目的を達成することのできる本発明に係るガラス加工方法は、本発明のプラズマ発生装置を用いてプラズマを発生させ、プラズマに磁界を印加してプラズマの大きさを調節し、所望の大きさの加熱領域を形成して、所望のガラス加工を行うことを特徴としている。
また、本発明のガラス加工方法において、出発パイプ内にガラス微粒子を生成するための原料ガスを供給し、トーチ本体から出発パイプに向けて、大きさを調節したプラズマを発生させるとともに、トーチ本体と出発パイプとを出発パイプの長手方向に相対移動させて、出発パイプの内側にガラス微粒子を堆積させることが好ましい。
また、出発パイプの内側にガラス微粒子を堆積させる本発明のガラス加工方法において、相対移動を長手方向に一回行ううちに、磁界の強度、磁界の分布、作動ガスの流量、プラズマの温度、相対移動の速度のうち、少なくとも何れか1つを変化させることが好ましい。
また、本発明のガラス加工方法において、トーチ本体内にガラス微粒子を生成するための原料ガスを供給し、トーチ本体から出発ロッドに向けて、大きさを調節したプラズマを発生させるとともに、プラズマ中にガラス微粒子を生成し、トーチ本体と出発ロッドとを出発ロッドの長手方向に相対移動させて、出発ロッドの周囲にガラス微粒子を堆積させることが好ましい。
本発明によれば、トーチからプラズマを発生させる際に、最適な加熱領域を形成することが可能であり、良好なガラス加工を行うことができる。
以下、本発明に係る、プラズマ発生装置及びガラス加工方法の実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
まず、プラズマ発生装置の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態のプラズマ発生装置1は、プラズマ発生用のトーチ本体2と、このトーチ本体2にプラズマの作動ガスを供給するガス供給管(ガス供給手段)3を備えている。トーチ本体2には、供給された作動ガスに対して、プラズマを発生させるための電界を印加する電界印加手段(図示せず)が設けられている。
本発明において、トーチ本体2からプラズマPを発生させる方法はどのようなものであっても良い。プラズマの発生方法には、アーク放電を利用して熱プラズマを発生させる方法や、高周波電磁場を利用して誘導的に作動ガスを加熱する方法、マイクロ波により作動ガスを加熱する方法、等が挙げられる。なお、作動ガスには、アルゴン、酸素、空気等を用いることができる。
例えば、アーク放電を利用する場合には、トーチ本体2の内部に陰極と陽極となるべき電極を配置し、電圧を印加して直流電流を流す。これにより、電極間にアーク放電を発生させて、供給された作動ガスをイオン化し、トーチ本体2の先端からプラズマアーク(プラズマジェットとも言う)を発生させる。
また、高周波電磁場を利用する場合には、トーチ本体2の周囲を覆うようにして誘導コイルを配置し、その誘導コイルに高周波の交流電流を流して、高周波電磁界を発生させる。この高周波電磁界によって、トーチ本体2の内部の作動ガスを誘導的にイオン化させて熱プラズマを発生させる。
本実施形態のプラズマ発生装置1は、何れかの方法によりトーチ本体2から発生させたプラズマPに対して、磁界を印加するための磁界印加手段を備えている。ここで、プラズマ発生装置1の模式的な上面図を図2に示す。
図1及び図2に示すように、トーチ本体2から発生させたプラズマPの周囲には、磁界印加手段である複数の磁石4n,4sが、ほぼ円周状に配置されている。これらの磁石4n,4sは、隣接する磁極が異なるように配置されており、これによりカスプ磁場を形成している。このカスプ磁場により、発生させたプラズマPに磁界を印加することができる。また、円周状で対向する位置の磁極が同極であるように配置すると、なお良い。
磁石4n,4sは、直流電磁石、交流電磁石等の電磁石、または永久磁石を用いることができる。電磁石を用いた場合には、その流す電流の大きさを調節することによって、磁界の強度を調節することができる。
このように、磁石4n,4sにより構成された磁界印加手段により、トーチ本体2から発生したプラズマPを囲むように磁力線が発生する。
プラズマのイオンや電子などの荷電粒子は、磁力線に巻きつきながら螺旋状に運動するという特性を持ち、磁力線を横切ることができない。これにより、高濃度となった電子やイオンは、さらに作動ガス中の中性分子、イオン、電子と衝突し、さらにイオン化密度はますます高くなる。このように、磁場のかかった領域ではイオンや電子が磁力線にトラップされてその密度が高くなり、結果的に磁力線によってプラズマが閉じ込められる。以下、本明細書中では、このプラズマを囲む磁力線を、「籠」と呼ぶ。
この籠を利用することで、プラズマを小さく閉じ込めて高密度のプラズマを形成したり、そのプラズマの形状を整形したりすることが可能となる。
図1及び図2に示した例では、8重極子により籠を形成しており、向かい合わされた同極の磁石間で、トーチ本体2の上下方向に磁力線Mが向かっている。この例では、トーチ本体2の先端付近を磁力線の籠の中央部分に配置して、トーチ本体2から発生したプラズマPのイオンや電子が閉じ込められる。これにより、発生したプラズマPは、拡がらずに作動ガスの流れ方向(図1中の上方向)に向かって集中するように移動する。磁力線Mはトーチ本体2の先端から上方に向かうにしたがって密度が高くなり、プラズマPはその先端に向かって収束する。
なお、ここでは8重極子を好適な例として説明したが、2つ以上の磁石を用いれば籠を形成することが可能であり、プラズマPの閉じ込めを行うことができる。また、磁界印加手段は、全てS極またはN極のどちらか一方のみの磁石から構成しても良い。
以上説明した実施の形態では、カスプ磁場によって籠を形成する形態について説明したが、籠を形成する磁場は、カスプ磁場に限らない。例えば、図3に示すプラズマ発生装置5のように、極の異なる一対の磁石6n,6sから構成された磁界印加手段によりミラー磁場を形成して、その磁力線MによってプラズマPを囲んで籠を形成しても良い。
このように、本発明に係るプラズマ発生装置では、磁力線の籠にプラズマを閉じ込めることにより、トーチ本体から発生したプラズマを、拡げずに安定させて収束させることができる。すなわち、磁界印加手段の配置や磁力の強さを適宜設定することで、プラズマが被加熱物に当たる大きさ、すなわち、被加熱物に対する加熱領域の大きさを調節することができる。
ここで、加熱領域とは、プラズマが被加熱物に当たる領域であるスポットゾーンと、その中で被加熱物が所望の温度以上となるヒートゾーンとに区別することができる。そして、所望の熱加工に合わせて、これらのスポットゾーンとヒートゾーンの大きさを適切に調節すると良い。
加熱領域の大きさは、印加する磁界の強度もしくは分布を調節することで設定することができる。
例えば、カスプ磁場(図2参照)においてプラズマに印加される磁界の強度を調節するには、円周状に配置された磁石間の距離を調整(円周の半径を調整)することで、籠の大きさを変化させて行うことができる。磁石間の距離を大きくすれば、籠が大きくなるとともにプラズマの先端部分を囲む磁力線の密度は低くなるため、加熱領域は大きくなる。これとは逆に、磁石間の距離を小さくすれば、加熱領域は小さくなる。また、磁界印加手段が電磁石で構成されている場合には、その電磁石に流す電流の大きさを調節することによっても、磁力線の密度を変化させて磁界の強度を調節することができる。
磁界の強度を強くすることにより、プラズマを閉じ込める作用が強くなり、籠からプラズマが逃げることを防ぎ、加熱領域を小さく絞ってプラズマの密度を高くして、熱効率を向上させることができる。
また、カスプ磁場において円周状に配置された磁石の配置を、例えば長方形状や楕円状の配置とすることで、磁界の分布、すなわち籠の形状を変化させ、プラズマの断面形状を円形から非円形に変形させることができる。これにより、被加熱物の形状や熱加工の目的に合わせて、最適な加熱領域を形成することができる。
また、カスプ磁場において円周状に配置された磁石を、その円周と直交する方向(図1中の上下方向)に移動させることによっても、プラズマに印加する磁界の強度や分布を変化させることができる。
また、磁力線の籠をミラー磁場によって形成する場合(図3参照)には、磁石に流す電流や、磁石間の距離(図3中の上下方向の距離)を変化させることで、磁界の強度や分布を変化させることができる。
このように、プラズマに印加する磁界の強度や分布を調節することができるように、磁界印加手段には、トーチ本体に対する相対位置を調整可能な位置調節手段が設けられていると良い。また、磁界印加手段が電磁石で構成されている場合には、その流す電流を調節できるように構成されていると良い。
次に、上述した本発明に係るプラズマ発生装置を用いて所望のガラス加工を行う実施の形態について説明する。
すなわち、以下に説明するガラス加工方法は、トーチ本体から発生させたプラズマに対して、磁界印加手段により磁界を印加して、プラズマの大きさを調節し、所望の大きさの加熱領域を形成して、良好なガラス加工を行うことを可能としたものである。
本発明に係るガラス加工方法の一例として、出発パイプの内側にガラス微粒子を堆積させる、所謂内付け法(MCVD法)を実施する方法について説明する。
図4に、本実施形態のガラス加工方法を実施する内付け装置の一例を示す。
図4に示す内付け装置1は、両端付近に支持部11が立設された基台12を有している。支持部11は、それぞれ回動可能なチャック13を有しており、これらチャック13は、出発パイプGの端部をそれぞれ把持し、出発パイプGを水平に支持する。
チャック13によって支持される出発パイプGの下方には、出発パイプGを加熱するための熱源であるプラズマ発生装置1が設けられている。このプラズマ発生装置1には、図1から図3を参照して説明した上記のプラズマ発生装置を用いることができる。
なお、この内付け装置10において、例えばカスプ磁場を用いてプラズマPに磁界を印加する場合の好適な磁界印加手段の配置の上面図を図6に示す。図6に示すように、磁界印加手段を構成する各磁石4n,4sは、プラズマPに対して長方形の籠を形成するように配置されている。図中、X方向は出発パイプGの長手方向に沿う方向であり、Y方向は出発パイプGの円周方向に沿う方向である。このように、出発パイプGの長手方向が短く、円周方向が長い籠を形成することで、出発パイプGをその円周方向に均一に加熱しつつ、長手方向には狭い領域で加熱することができる。後述するように、このようなプラズマ形状は、内付け法の効率を向上させることに適している。また、磁石4n,4sの配置をX方向やY方向に伸縮させることで、出発パイプGを良好に加熱するための籠の整形が容易である。そして、距離X,Yを小さくすることで、収束させて熱効率を高めたプラズマPを形成することができる。
プラズマ発生装置1は、支持レール17に装着された移動台18上に支持され、移動台18は、ラック・ピニオン機構により支持レール17の長手方向に沿って移動することができる。支持レール17と、出発パイプGとは、それぞれの長手方向が平行になるように配設されている。
また、支持部11には、一方側(図中左側)に、供給管22が接続され、他方側(図中右側)に排気管23が接続されている。これらの供給管22と排気管23は、出発パイプGの内部の空間と連続した流路を形成している。
また、供給管22には、出発パイプGの内部の空間へガスを導入するためのガス導入手段(図示せず)が接続されている。ガス導入手段は、四塩化ケイ素(SiCl)、酸素(O)、ヘリウム(He)、屈折率調整用添加物が含まれたガス等を、単一のガスもしくは適宜混合したガスとして導入することができるように構成されている。屈折率調整用添加物は、ゲルマニウム、リン、フッ素等が用いられる。
次に、図4に示した内付け装置10を用いて出発パイプGに内付けを行う方法について説明する。
なお、出発パイプGは、純シリカ、もしくは屈折率調整用添加物を添加したシリカで形成されたものを用いることが好ましいが、例えばそれらのパイプの内側にさらに屈折率調整用添加物を含むガラス層が内付けされたものであっても良い。
まず、ガス導入手段により、四塩化ケイ素と酸素を含むガラス原料ガスを出発パイプGの内側に導入する。ここで、ガラス原料ガスとともに、屈折率調整用添加物が含まれたガスを導入しても良い。
このように、出発パイプGの内側に所望のガスを導入しつつ、出発パイプGをその中心軸周りに回転させる。
次に、プラズマ発生装置1を作動させて、出発パイプGに向けてプラズマPを発生させる。
そして、プラズマ発生装置1を出発パイプGの一端側から他端側に向けて(すなわち、長手方向に沿って)トラバースを開始する。このとき、トラバースを開始する位置は、ガラス原料ガスが供給される供給管22が設置された側とする。
図5に示すように、ガラス原料ガスが導入されている状態でプラズマ発生装置1が出発パイプGの長手方向にトラバースされると、加熱領域における出発パイプGの内側では、四塩化ケイ素が酸化反応を起こして、シリカ(SiO)であるガラス微粒子(ススと呼ばれる)G1が生成される。そして、このガラス微粒子G1は、熱泳動効果によって、ガラス原料ガスの流れの下流側における出発パイプGの内側に付着して堆積(スス付けと呼ばれる)していく。そして、ガラス微粒子G1が堆積した部分には多孔質状のガラス微粒子堆積体G2が形成されるとともに、プラズマ発生装置1のトラバースによって加熱されて透明化し、順次ガラス層G3が形成される。
なお、出発パイプGを加熱する温度を低くして、1回のトラバースでガラス微粒子G1の堆積のみを行い、次のトラバースによってガラス微粒子堆積体G2を透明化させても良い。その場合には、例えばガラス微粒子堆積体G2に対して四フッ化ケイ素(SiF)を含有させて透明化を行うことで、フッ素添加濃度の高いガラス層G3を得ることができる。また、希土類イオンを液浸法等でガラス微粒子堆積体G2に含有させることもできる。
ガラス微粒子G1の堆積速度を向上させるためには、ガラス微粒子G1の生成効率の向上と熱泳動効果の促進とを図るための最適な加熱領域を形成することが重要である。内付け法における最適な加熱領域とは、ガラス微粒子G1の生成効率を向上させるためのヒートゾーン(例えば、出発パイプGの表面温度が1500℃以上の領域)を充分に確保しつつ、熱泳動効果の促進のためにその下流側の温度を下げるように、スポットゾーンをできるだけ小さくするものである。
そのため、出発パイプGを加熱してガラス微粒子G1を堆積させる際には、磁界印加手段4によりプラズマPに磁界を印加して、プラズマPのスポットゾーンを小さくする。好ましくは、磁界の印加によってスポットゾーンの面積を10%以上減少させると良い。磁界の印加によってスポットゾーンを小さくした場合には、プラズマPは内側に向かって収束し、密度が高くなる。これにより、プラズマPの熱効率を向上させて、ガラス微粒子G1を生成するための加熱温度となるヒートゾーンを安定して効果的に形成することができる。
これにより、ガラス微粒子G1の堆積速度を向上させてガラス層G3の形成を短時間で行うことができる。
また、一般に、内付け法では、ガラス原料ガスの流れによってガラス微粒子G2が下流側に流れるため、上流側に比べて下流側にガラス微粒子G2が多く堆積しやすく、形成されるガラス層G3も下流側が厚くなりやすい。そのため、プラズマ発生装置1の作動条件を、1回のトラバース中に変化させて、長手方向に均一なガラス微粒子G2の堆積を行うと良い。プラズマ発生装置1の作動条件とは、磁界の強度、磁界の分布、作動ガスの流量、プラズマの温度、トラバース速度、が挙げられる。これらの作動条件のうち、1つ以上を変化させてガラス微粒子G2の堆積量を調節する。
作動ガスの流量を変化させると、プラズマPの大きさ(主にスポットゾーン)を調節することができる。
プラズマの温度は、作動ガスに印加する電界の強さを調節することによって変化させることができ、これにより、ヒートゾーンの大きさを調節できる。
トラバース速度を変化させると、1回のトラバースごとのガラス微粒子G1の生成量を調節することができる。トラバース速度が遅いほど、ガラス微粒子G1の生成量が多くなる。
磁界の強度や分布を変化させると、プラズマのスポットゾーン及びヒートゾーンの大きさや、その形状を調節することができる。
このようなトラバースを複数回行い、ガラス層G3が所望の厚さに形成されるまで内付けを繰り返す。
この内付けによって形成されたガラスパイプは、コラプスにより中実化したり、別のガラスロッドをガラスパイプ内に挿入してコラプスしたりすることにより、光ファイバプリフォームとすることができる。
次に、本発明に係るガラス加工方法の一例として、出発材の外側にガラス微粒子を堆積させる、所謂外付け法(OVD法)を実施する方法について説明する。
この外付け法を実施するには、図4に示した装置とほぼ同様の装置を用いることができる。但し、チャック13によって把持する出発材G4は、中実のガラスロッドであるので、ガスを供給するための構成は不要である。なお、この出発材G4は、純シリカで形成されたものを用いることができるほか、ゲルマニウム等の屈折率調整用添加物が含有されていても良い。
ここでも、プラズマ発生装置1には、図1から図3を参照して説明した上記のプラズマ発生装置を用いることができる。
外付け法を行うには、まず、図7に示すように、出発材G4をその中心軸周りに回転させる。そして、プラズマ発生装置1を出発材G4の中心軸に対して直交する方向に向けて作動させて、出発材G4に向けてプラズマPを発生させる。また、プラズマ発生装置1を出発材G4の長手方向に沿って往復するようにトラバースさせる。
その際、トーチ本体2には、プラズマの作動ガスとともに、ガラス原料ガスを供給する。ガラス原料ガス中、四塩化ケイ素の供給量は100〜500ml/分程度、酸素の供給量は200〜5000ml/分程度とすると良い。また、ガラス原料ガスには四塩化ゲルマニウム(GeCl)等が含まれていても良い。これにより、プラズマP中で四塩化ケイ素が酸素と反応してガラス微粒子が生成される。生成されたガラス微粒子は、出発材G4の周囲に堆積され、ガラス微粒子堆積体G5が形成される。また、プラズマPの熱により、ガラス微粒子堆積体G5はその形成とともに透明化も行われる。これにより、光ファイバプリフォームが作製されていく。
また、プラズマPを発生させている際には、磁界印加手段4によりプラズマPに磁界を印加して、磁力線の籠にプラズマPを閉じ込め、プラズマPを収束させる。プラズマPを収束させることにより、プラズマPの温度を一定に保ち、生成するガラス微粒子を高い収率で安定して出発材G4に堆積させることができる。また、ガラス微粒子の堆積速度が安定するため、長手方向に均一な特性を有する光ファイバプリフォームを作製することができる。
なお、磁界を印加しない場合には、そのプラズマPの拡がりとともに、生成されたガラス微粒子も拡散してしまうため、出発材G4に効率良く安定してガラス微粒子を堆積させることが難しく、得られる光ファイバプリフォームの品質が安定しにくい。
また、このような外付け法では、出発材G4の周囲にガラス微粒子を堆積させていくため、ガラス微粒子の堆積面は、次第に出発材G4の外側に移動していき、その面積は広くなる。そのため、ガラス微粒子堆積体G5の成長に合わせて、プラズマPに印加する磁界を調節してプラズマPを大きくしていくと、効率の良い外付けを行うことができる。
また、本発明に係るガラス加工方法の他の例として、ガラスのロッドやパイプの接合、ガラスの整形、ガラスの火炎研磨、等が挙げられる。
ガラスのロッドやパイプの接合は、光ファイバプリフォームを製造する工程において重要な加工である。例えば、コラプス体、焼結体、延伸体同士の接合やダミー体の接合、パイプ同士の接合(基板パイプとダミーパイプの接合)等が行われる。
ガラスの整形は、引き伸ばし延伸、膨らまし延伸、ガラスパイプの縮径または引きちぎり等が行われる。
そして、これらの加工を行う際に、熱源として上記のプラズマ発生装置を用い、プラズマに磁界を印加して加熱領域の大きさを適宜調節する。これによって、所望の加熱領域を安定して形成して、従来のプラズマ発生装置や酸水素バーナー等の熱源を用いる場合より効率の良いガラス加工を行うことができる。
なお、火炎研磨を行う際には、トーチ本体内に腐食性ガス(例えばSF)を供給することで、研磨の効率を上げることもできる。
本発明に係るプラズマ発生装置の概要を示す模式図である。 図1に示したプラズマ発生装置の上面模式図である。 本発明に係るプラズマ発生装置の他の形態を示す模式図である。 本発明に係るガラス加工方法(内付け法)を行うための内付け装置を示す模式図である。 本発明に係るガラス加工方法(内付け法)を行う際の模式図である。 本発明に係るガラス加工方法(内付け法)を行う際のプラズマ発生装置の上面模式図である。 本発明に係るガラス加工方法(外付け法)を行う際の模式図である。
符号の説明
1,5 プラズマ発生装置
2 トーチ本体
3 ガス供給管(ガス供給手段)
4 磁界印加手段
4n,4s 磁石
10 内付け装置

Claims (7)

  1. トーチ本体と、前記トーチ本体にプラズマの作動ガスを供給するガス供給手段と、前記トーチ本体に供給された前記作動ガスに対して電界を印加する電界印加手段とを備え、前記トーチ本体からプラズマを発生させるプラズマ発生装置であって、
    発生した前記プラズマに磁界を印加する磁界印加手段が設けられていることを特徴とするプラズマ発生装置。
  2. 請求項1に記載のプラズマ発生装置であって、
    前記磁界印加手段は、印加する磁界の強度を調節する手段を有することを特徴とするプラズマ発生装置。
  3. 請求項1または2に記載のプラズマ発生装置であって、
    前記磁界印加手段は、印加する磁界の分布を調節する手段を有することを特徴とするプラズマ発生装置。
  4. 請求項1から3の何れか1項に記載のプラズマ発生装置を用いてプラズマを発生させ、
    前記プラズマに磁界を印加して前記プラズマの大きさを調節し、所望の大きさの加熱領域を形成して、所望のガラス加工を行うことを特徴とするガラス加工方法。
  5. 請求項4に記載のガラス加工方法であって、
    出発パイプ内にガラス微粒子を生成するための原料ガスを供給し、
    前記トーチ本体から前記出発パイプに向けて、大きさを調節した前記プラズマを発生させるとともに、前記トーチ本体と前記出発パイプとを前記出発パイプの長手方向に相対移動させて、
    前記出発パイプの内側に前記ガラス微粒子を堆積させることを特徴とするガラス加工方法。
  6. 請求項5に記載のガラス加工方法であって、
    前記相対移動を前記長手方向に一回行ううちに、
    前記磁界の強度、前記磁界の分布、前記作動ガスの流量、前記プラズマの温度、前記相対移動の速度のうち、少なくとも何れか1つを変化させることを特徴とするガラス加工方法。
  7. 請求項4に記載のガラス加工方法であって、
    前記トーチ本体内にガラス微粒子を生成するための原料ガスを供給し、
    前記トーチ本体から出発ロッドに向けて、大きさを調節した前記プラズマを発生させるとともに、前記プラズマにより前記ガラス微粒子を生成し、前記トーチ本体と前記出発ロッドとを前記出発ロッドの長手方向に相対移動させて、
    前記出発ロッドの周囲に前記ガラス微粒子を堆積させることを特徴とするガラス加工方法。
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