JP2005146342A - 鉄系焼結合金の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼入れ工程を必要とせずに、高い強度と被削性の優れた焼結合金の製造方法を提供する。
【解決手段】Ni、Cu、Mo、Cr、Mnの中から少なくとも1種以上を合計で1〜10重量%含有し、残部が実質的にFeからなる組成の原料粉未に、黒鉛粉末を0.5〜2.0重量%、酸化ホウ素粉末を0.01〜1重量%、または、酸化ホウ素を20〜50重量%含有する窒化ホウ素粉末を0.02〜5重量%添加し、非酸化性雰囲気中で1130〜1300℃の範囲で焼結し、冷却速度を5℃/分以上、200℃/分以下として、焼結後の金属組織が、面積比で85%以上のマルテンサイト組織とする鉄系焼結合金の製造方法。
【選択図】なし
【解決手段】Ni、Cu、Mo、Cr、Mnの中から少なくとも1種以上を合計で1〜10重量%含有し、残部が実質的にFeからなる組成の原料粉未に、黒鉛粉末を0.5〜2.0重量%、酸化ホウ素粉末を0.01〜1重量%、または、酸化ホウ素を20〜50重量%含有する窒化ホウ素粉末を0.02〜5重量%添加し、非酸化性雰囲気中で1130〜1300℃の範囲で焼結し、冷却速度を5℃/分以上、200℃/分以下として、焼結後の金属組織が、面積比で85%以上のマルテンサイト組織とする鉄系焼結合金の製造方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、粉末冶金法に係り、特に焼入れ工程を必要とせずに、優れた強度と被削性を有する鉄系焼結合金を製造する方法に関するものである。
粉末冶金法によって製造された鉄系焼結合金は、経済性に優れているという特徴から、例えば、自動車部品、工作機器、家電製品等に広く利用されている。しかし、各種製品における近年の低価格化の趨勢に対応するため、焼結部品においても更に低廉化が要求されるようになりつつある。この要求を満たすために、焼入れ工程を不要とした焼結合金が実用に供されている(例えば特許文献1)が、このような材料は、焼結時に硬い焼入れ組織となるために焼結後に加工が必要な場合、必ずしもコスト低減効果が期待できない。
特開昭63−33541号公報
焼入れを行わずに高強度の部品を得る手法としては、焼結後の冷却速度を高めることにより焼入れ組織とすることが必要であるが、焼結時に硬い組織となるため、焼結物の加工性が悪くなり、その改善が望まれていた。
本発明は、このような技術状態を考慮して、焼入れを行わず、被削性の優れる高強度焼結合金の新規な製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、このような技術状態を考慮して、焼入れを行わず、被削性の優れる高強度焼結合金の新規な製造方法を提供することを目的とするものである。
上記のような目的を達成するために、焼入れ性を高め、被削性を改善させるために研究を種々進めた結果、焼入れ性に優れる合金元素として、Ni、Cu、Mo、Cr、Mnの群から選ばれる少なくとも1種以上を合計重量比で1〜10%を含有し、残部が実質的にFeからなる組成の原料粉未に、黒鉛粉末を重量比で0.5〜2.0%、被削性を改善させるために酸化ホウ素粉末を重量比で0.01〜1%または酸化ホウ素20〜50重量%を含有する窒化ホウ素粉末を0.02〜5%添加し、非酸化性雰囲気中で1130〜1300℃の範囲で焼結し、冷却速度を5℃/分以上、200℃/分以下にすることにより、焼結後の気孔部を除く金属組織が面積比で85%以上がマルテンサイト組織となり、基地中に黒鉛が分散した組織とすることを特徴とする。
本発明により、特に焼入れ工程を必要とせずに、優れた強度と被削性を有する鉄系焼結合金を製造することが可能となる。
本発明の原料粉末は、FeにNi、Cu、Mo、Cr、Mnの群から選ばれる少なくとも1種以上を、その合計量として1〜10重量%含み、これにより鉄系焼結合金の焼入れ性を向上し、焼結時の冷却工程で焼入れ組織とすることが可能となる。これらNi、Cu、Mo、Cr、Mnの添加量は、焼結時の冷却速度によっても異なるが、1%未満では組織の85%以上をマルテンサイト組織とすることは出来ず、また10%を越えて添加してもそれ以上の効果は望めないばかりでなく、粉末のコストが上昇するため望ましくない。またこれらの原料粉末は、鉄およびNi、Cu、Mo、Cr、Mnの単味粉末を混合して用いてもよく、また鉄と添加する金属からなる合金粉末を用いるもの、あるいは、それらの粉末を組み合わせたもののいずれを用いても差し支えない。
本発明の黒鉛粉末は、その一部は基地に固溶して強度を向上し、また残りは酸化ホウ素による拡散抑制作用により基地中に残留して被削性改善に寄与する。しかし、その量が0.5重量%未満の場合、基地に固溶する炭素量が少ないために焼入れ組織が得られず、また残留黒鉛量も少なく被削性向上効果も得られない。一方黒鉛が2.0重量%を越える場合、基地に固溶する炭素量が多くなるため基地中にセメンタイトが分散し、強度および被削性が低下する。
本発明において、酸化ホウ素粉末は焼結中に溶融して黒鉛粉末を覆い、黒鉛が基地中に拡散することを抑制して、焼結後の組織中に黒鉛を分散させる作用を有し、被削性の向上に有効である。酸化ホウ素粉末の添加量が0.01重量%未満の場合、黒鉛を残留させる効果は少なく、被削性の向上には有効でない。また、その添加量が1.0重量%を越えても、黒鉛残留効果の更なる効果は期待できないばかりでなく、酸化ホウ素が基地中に多く残存するために材料強度を低下させる。
また、酸化ホウ素として、酸化ホウ素を20〜50重量%含有する窒化ホウ素の形で添加することも可能である。この場合、窒化ホウ素の固体潤滑作用と残留黒鉛の作用により効果的に働く。酸化ホウ素の含有量が20重量%未満のものは原料粉末の価格が高く、経済的に好ましくない。また50重量%を越えるものは窒化ホウ素の量が少なくなり、窒化ホウ素の被削性改善におよぼす効果が顕著でない。窒化ホウ素の形で添加する場合、その酸化ホウ素の含有量から計算して0.02〜5重量%の添加が好ましい。
また、酸化ホウ素として、酸化ホウ素を20〜50重量%含有する窒化ホウ素の形で添加することも可能である。この場合、窒化ホウ素の固体潤滑作用と残留黒鉛の作用により効果的に働く。酸化ホウ素の含有量が20重量%未満のものは原料粉末の価格が高く、経済的に好ましくない。また50重量%を越えるものは窒化ホウ素の量が少なくなり、窒化ホウ素の被削性改善におよぼす効果が顕著でない。窒化ホウ素の形で添加する場合、その酸化ホウ素の含有量から計算して0.02〜5重量%の添加が好ましい。
本発明において、圧粉体は非酸化性雰囲気中で1130〜1300℃の範囲で焼結する。1130℃未満ではNi、Cu、Mo、Cr、MnのFe中への拡散が不十分となる。また1300℃を越えると、酸化ホウ素の膜が破壊され、黒鉛が拡散し、遊離黒鉛がなくなり被削性が低下する。
本発明において、焼結後の焼結炉内における冷却速度は材料組織を決定する主要な因子であり、合金添加量と密接な関係があるが、5℃/分未満の冷却速度では本発明の請求範囲の合金組成において焼入れ組織が形成されず、材料の強度が向上しない。また、200℃/分を越える場合、冷却速度を安定して確保するには特殊な冷却装置が必要となり、必ずしもコスト低減の効果が得られない。
本発明においては、焼結後に100℃以下まで冷却した後、150℃以上、300℃以下の温度に加熱し保持すること、または焼結炉内で冷却中に150℃以上、300℃以下の温度で保持することが好ましい。
焼結材を150℃以上、300℃以下の温度に保持することにより、マルテンサイト組織は焼戻しマルテンサイトとなって強靭化し、強度がさらに改善される。また、組織としてはより安定化することにより、経時変化、特に寸法変動を抑制する効果を付与することもできる。150℃以上、300℃以下の温度に保持する方法としては、焼結後に室温まで冷却してから戻し炉で再加熱を行う方法があるが、室温まで冷却せずに100℃程度の温度から焼戻し炉へ移送し再加熱することにより、エネルギーの省力化を図ることもできる。さらに焼結ヒートパターンにより、焼結炉を100℃以下に冷却することなく、直接150℃以上、300℃以下の温度に保持することによって、恒温変態が促進され、残留オーステナイトはベイナイトに変態し、マルテンサイトは焼戻されて高い靭性が得られる。なお、上記の温度範囲内に保持する時間(hr)は、製品の最大肉厚(mm)×0.05〜0.10程度が好適である。
焼結材を150℃以上、300℃以下の温度に保持することにより、マルテンサイト組織は焼戻しマルテンサイトとなって強靭化し、強度がさらに改善される。また、組織としてはより安定化することにより、経時変化、特に寸法変動を抑制する効果を付与することもできる。150℃以上、300℃以下の温度に保持する方法としては、焼結後に室温まで冷却してから戻し炉で再加熱を行う方法があるが、室温まで冷却せずに100℃程度の温度から焼戻し炉へ移送し再加熱することにより、エネルギーの省力化を図ることもできる。さらに焼結ヒートパターンにより、焼結炉を100℃以下に冷却することなく、直接150℃以上、300℃以下の温度に保持することによって、恒温変態が促進され、残留オーステナイトはベイナイトに変態し、マルテンサイトは焼戻されて高い靭性が得られる。なお、上記の温度範囲内に保持する時間(hr)は、製品の最大肉厚(mm)×0.05〜0.10程度が好適である。
本発明においては、上記原料粉末に成形潤滑剤を配合することが好ましい。また、成形潤滑剤を金型表面に塗布した後、圧縮成形することも可能である。成形潤滑剤を配合する場合、配合量は重量比で0.1〜1.5%が好ましい。
<実施例1>
重量比で4%Ni、0.5%Mo、残部Feからなる合金粉末にNi単味粉末を2%、Cu単味粉末を1%、黒鉛粉末を1.0%添加し、成形潤滑剤としてステアリン酸亜鉛粉を0.8%配合し、さらに酸化ホウ素粉末を表1に示す量配合し30分間混合した。混合粉末を700MPaで成形し10×60mmで厚さ5mmの成形体を得た。1200℃で60分間、分解アンモニアガス中で焼結し、各々の試験片を表1に示す速度で冷却した。得られた焼結体の曲げ強さを測定した。また、被削性の指標として超硬製のφ5mmのドリル先端に10kgfの負荷を与えドリルが貫通する時間を測定した。その結果を表1に示す。
重量比で4%Ni、0.5%Mo、残部Feからなる合金粉末にNi単味粉末を2%、Cu単味粉末を1%、黒鉛粉末を1.0%添加し、成形潤滑剤としてステアリン酸亜鉛粉を0.8%配合し、さらに酸化ホウ素粉末を表1に示す量配合し30分間混合した。混合粉末を700MPaで成形し10×60mmで厚さ5mmの成形体を得た。1200℃で60分間、分解アンモニアガス中で焼結し、各々の試験片を表1に示す速度で冷却した。得られた焼結体の曲げ強さを測定した。また、被削性の指標として超硬製のφ5mmのドリル先端に10kgfの負荷を与えドリルが貫通する時間を測定した。その結果を表1に示す。
試料No.1は酸化ホウ素を添加しないもので、被削性を表す貫通時間が長く被削性が不良である。試料No.3は冷却速度が小さく、曲げ強さが低い。試料No.5は冷却速度が大きく、開発材と同等の優れた特性であるが、210℃/分の冷却速度を確保することは工程上非常に困難でばらつきも大きい。試料No.7は酸化ホウ素の添加量が多く、曲げ強さが不十分である。
本発明の焼結材である試料No.2、No.4、No.6は、それぞれ曲げ強さは高く、被削性を表す貫通時間も短いことを確認した。
本発明の焼結材である試料No.2、No.4、No.6は、それぞれ曲げ強さは高く、被削性を表す貫通時間も短いことを確認した。
焼入れ工程を不要とした鉄系焼結合金の製造方法を提供するもので、強度および被削性に優れ、焼結後に加工が必要な用途、例えば自動車部品、工作機器、家電等の製品に広く利用される。
Claims (3)
- Ni、Cu、Mo、Cr、Mnの群から選ばれる少なくとも1種以上を合計重量比で1〜10%含み、残部が実質的にFeからなる組成の原料粉未に、黒鉛粉末を重量比で0.5〜2.0%、酸化ホウ素粉末を重量比で0.01〜1.0%添加した粉末を、金型内で圧縮成形し、得られた圧粉体を非酸化性雰囲気中で1130〜1300℃の範囲で焼結し、焼結炉中の冷却速度を5℃/分以上、200℃/分以下の速度で冷却し、焼結後の気孔部を除く金属組織が面積比で85%以上をマルテンサイト組織とすることを特徴とする鉄系焼結合金の製造方法。
- Ni、Cu、Mo、Cr、Mnの群から選ばれる少なくとも1種以上を合計重量比で1〜10%含み、残部が実質的にFeからなる組成の原料粉未に、黒鉛粉末を重量比で0.5〜2.0%、酸化ホウ素20〜50重量%を含有する窒化ホウ素粉末を0.02〜5%添加した粉末を、金型内で圧縮成形し、得られた圧粉体を非酸化性雰囲気中で1130〜1300℃の範囲で焼結し、焼結炉中の冷却速度を5℃/分以上、200℃/分以下の速度で冷却し、焼結後の気孔部を除く金属組織が面積比で85%以上をマルテンサイト組織とすることを特徴とする鉄系焼結合金の製造方法。
- 請求項1または2において、焼結後に100℃以下まで冷却した後、150℃以上、300℃以下の温度に加熱し保持する工程、または焼結炉内で冷却中に150℃以上、300℃以下の温度で保持する工程を付加することを特徴とする鉄系焼結合金の製造方法。
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JP2003384822A JP2005146342A (ja) | 2003-11-14 | 2003-11-14 | 鉄系焼結合金の製造方法 |
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