従来から、自動車等の車両においては、車室内の意匠性を高めること等を目的として、ボデーを構成する各種のパネル(ボデーパネル)の車室側の内面が、そのボデーの構成部位に応じて、各種の内装部品にて覆われている。そして、近年では、衝突事故の発生時等において乗員の安全を有効に確保するために、それら各種の内装部品の多くのものに対して、衝撃吸収構造が、付与されている。
例えば、車両の天井部を与えるルーフパネルの車室側の内面を覆って配置される天井内装部品は、その本体におけるルーフパネルとの対向面(裏面)に、衝撃吸収手段が設けられており、それによって、衝突事故の発生時等に、乗員の頭部等が天井内装部品に接触せしめられても、その際に生ずる衝撃が、衝撃吸収手段の変形により吸収されて、乗員の頭部へのダメージが可及的に軽減され得るようになっているのである。
そして、そのような衝撃吸収手段を有する天井内装部品としては、従来から、幾つかの種類のものが提案されている。例えば、下記特許文献1には、合成樹脂材料等の軽量材料を用いて成形された天井内装部品本体(成形天井材)の裏面における車幅方向の両側部に、樹脂発泡体からなる衝撃吸収手段(衝撃吸収材)が、発泡成形により、固着、一体化されてなる天井内装部品が、開示されている。また、かかる文献には、そこに開示の構造を採用することにより、衝撃吸収手段の変形作用に基づく衝撃吸収性能が発揮されるばかりでなく、衝撃吸収手段が、天井内装部品本体の両側部に、その長手方向に延びるように配設されることで、天井内装部品本体の屈曲乃至は撓み変形に対する補強材として機能せしめられて、天井内装部品全体の剛性の向上が図られ得ることが、明らかにされている。
ところが、そのような従来の天井内装部品では、天井内装部品本体の裏面の両側部に、複数の衝撃吸収手段が、それぞれ、天井内装部品本体の長手方向(車両前後方向)に所定距離隔てて配置されているため、かかる本体長手方向に隣り合う衝撃吸収手段同士の間には補強材が何等存在しないこととなり、それによって、それら隣り合う衝撃吸収手段同士の間の部分における剛性が低くなってしまうことが避けられなかった。
なお、そのような剛性の低下を解消するには、衝撃吸収手段を、天井内装部品本体の長手方向の全長に亘って連続して延びる形態と為すことが容易に考えられるが、かかる衝撃吸収手段は、自己接着性により天井内装部品本体と一体化せしめるために、元々、その材質が限定されており、その上、連続形態を呈する形状に制限されるとなると、所望の衝撃吸収性能が確保され得なくなる恐れが生ずることとなる。
また、下記特許文献2には、天井内装部品本体とは別個の独立した構造を有し、且つ天井内装部品本体の長手方向の略全長に亘って連続して延びる形態を呈する、合成樹脂製の衝撃吸収手段(衝撃吸収部材)を、天井内装部品本体の裏面の両側部にそれぞれ接着固定してなる天井内装部品(天井内装材)が、明らかにされている。
このような天井内装部品にあっては、補強材として機能する衝撃吸収手段が、天井内装部品本体の両側部において、その長手方向の略全長に亘って存在せしめられているため、天井内装部品全体の剛性が効果的に高められ得る。しかも、衝撃吸収手段が、天井内装部品本体とは別個の独立した構造をもって構成されているところから、天井内装部品本体の材質に捕らわれることなく、衝撃吸収手段の材質を選択することが出来ると共に、全体形状も比較的に自由に設計することが可能となり、それによって、十分な衝撃吸収性能が得られることとなる。
しかしながら、かくの如き構造を有する天井内装部品では、合成樹脂製の衝撃吸収手段が、天井内装部品本体の略全長に対応した長さを有する大型のものとなっているため、そのような大型の衝撃吸収手段を、例えば金型成形により製造する場合、使用される金型や成形機として大型のものが必要となり、それによって、製造コストが高騰するといった問題が惹起されるのである。
特開2002−337160号公報
特開2002−67847号公報
ここにおいて、本発明は、上述せる如き事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、天井内装部品本体に衝撃吸収手段が設けられてなる天井内装部品において、十分な剛性と所望の衝撃吸収性能とが有利に発揮され得るようにした構造を経済的に有利に提供することにある。
そして、本発明にあっては、かかる課題の解決のために、その第一の態様とするところは、車両の天井部を与えるルーフパネルの車室側の内面を覆って配置される天井内装部品本体と、該天井内装部品本体における該ルーフパネルとの対向面の側部に設けられて、該天井内装部品本体への乗員の接触によって生ずる衝撃を吸収せしめる衝撃吸収手段とを含んで構成された車両用天井内装部品において、前記衝撃吸収手段が、前記天井内装部品本体とは別個の部材で且つ互いに独立した複数の分割体からなると共に、かかる複数の分割体のそれぞれが、前記天井内装部品本体への乗員の接触によって生ずる衝撃を吸収する衝撃吸収部と、所定の剛性を有する板材からなり、且つその板厚方向と該衝撃吸収部に対する衝撃の入力方向とが一致するように、該衝撃吸収部に対して一体形成された板状補強部とを有して構成されて、前記天井内装部品本体におけるルーフパネルとの対向面の側部において、該複数の分割体のそれぞれにおける衝撃吸収部が、該天井内装部品本体の側部の長さ方向に互いに隣り合うように位置せしめられると共に、それら互いに隣り合う衝撃吸収部同士の間で、前記板状補強部同士が相互に重ね合わされて、配置された状態下で、該複数の分割体が該天井内装部品本体に対して一体化されることにより、前記衝撃吸収手段が、該天井内装部品本体の側部に、その長さ方向に連続して延びるように設けられていることを特徴とする車両用天井内装部品にある。
また、本発明に従う車両用天井内装部品の好ましい第二の態様においては、前記複数の分割体にそれぞれ設けられて、該複数の分割体の前記天井内装部品本体側部への配置状態下で互いに重ね合わされる前記板状補強部同士のそれぞれに、該天井内装部品本体側部の長さ方向とそれに直角な方向とにおいて相互に係合して、それらの方向への該互いに重ね合わされる板状補強部同士の相対変位を阻止する係合部が設けられる。
さらに、本発明に従う車両用天井内装部品の有利な第三の態様では、前記複数の分割体にそれぞれ設けられて、該複数の分割体の前記天井内装部品本体側部への配置状態下で互いに重ね合わされる前記板状補強部同士のうちの一方に、他方の板状補強部における該一方の板状補強部との重合せ面とは反対側の面に係止する爪部を先端側部位に備えた係止突起が設けられ、該係止突起の爪部と、該一方の板状補強部における他方の板状補強部に対する重合せ面との間で、該他方の板状補強部が挟持されることにより、それら互いに重ね合わされる板状補強部同士の該重合せ方向への相対変位が阻止されるように構成される。
更にまた、本発明に従う車両用天井内装部品の望ましい第四の態様においては、前記複数の分割体と前記天井内装部品本体との間に所定の接着剤層が形成されて、該複数の分割体が、該天井内装部品本体に対して、該接着剤層による接着により一体化されることとなる。
また、本発明に従う車両用天井内装部品の別の好ましい第五の態様では、前記複数の分割体にそれぞれ設けられて、該複数の分割体の前記天井内装部品本体側部への配置状態下で互いに重ね合わされる前記板状補強部同士のうち、該天井内装部品本体側に位置する板状補強部に、それを板厚方向に貫通する貫通孔が設けられて、該複数の分割体と該天井内装部品本体との間に形成された前記接着剤層が該貫通孔内に侵入せしめられることにより、該天井内装部品本体側に位置する板状補強部に重ね合わされる板状補強部が、該接着剤層により、該天井内装部品本体に対して直接に接着せしめられる。
さらに、本発明に従う車両用天井内装部品の更に別の有利な第六の態様にあっては、前記複数の分割体における前記衝撃吸収部が、該衝撃吸収部への前記衝撃の入力方向に延びるように立設され、且つ該衝撃の入力により変形せしめられることによって該衝撃を吸収する縦壁部を備えた樹脂成形体にて構成される。
更にまた、本発明に従う車両用天井内装部品の他の望ましい第七の態様においては、前記複数の分割体にそれぞれ設けられた前記板状補強部が、前記樹脂成形体からなる前記衝撃吸収部に対して、該衝撃吸収部を与える合成樹脂材料により一体成形される。
要するに、本発明に従う車両用天井内装部品の第一の態様によれば、衝撃吸収手段が、天井内装部品本体とは別個の部材で且つ互いに独立した複数の分割体からなり、そして、それら複数の分割体が、それぞれ、天井内装部品本体に入力される衝撃を吸収する衝撃吸収部を有して、構成されているところから、各分割体の衝撃吸収部の材質が、天井内装部品本体の材質とは無関係に、自由に選択され得る。また、各分割体の衝撃吸収部を、異なる分割体同士において別異の形状に為すことも可能となって、衝撃吸収手段における衝撃吸収部の形状に対する制限も、悉く解消されるか若しくは必要最小限に止められ得る。そして、それらにより、衝撃吸収手段において、所望の衝撃吸収性能が、十分に且つ安定的に確保され得ることとなる。
しかも、かかる車両用天井内装部品では、衝撃吸収手段が複数の分割体にて構成されているため、衝撃吸収手段全体が、例えば、天井内装部品本体の長手方向の全長に略対応した長さを有する大型のものとして構成される場合にあっても、各分割体をそれぞれ別個に成形することで、そのような大型の衝撃吸収手段を一体成形することなしに得ることが出来る。それ故に、このような車両用天井内装部品の構造によれば、比較的に大型の衝撃吸収手段が、それを一体成形するのに必要とされる大型な設備や成形機械等を何等要することなく、低コストに製造され得ることとなる。
また、本発明に係る車両用天井内装部品においては、衝撃吸収手段を与える複数の分割体のそれぞれが、上述の如き衝撃吸収部と所定の剛性を有する板状補強部とを有して構成されて、そのような各分割体の衝撃吸収部が、天井内装部品本体の側部の長さ方向に互いに隣り合うように位置せしめられると共に、それら互いに隣り合う衝撃吸収部同士の間で、板状補強部同士が相互に重ね合わされて配置された状態下で、複数の分割体が天井内装部品本体に対して一体化されることにより、衝撃吸収手段が、天井内装部品本体の側部に、その長さ方向に連続して延びるように設けられているところから、衝撃吸収手段の衝撃吸収部と相互に重ね合わされた板状補強部とが、天井内装部品本体の側部において、その長さ方向に、隙間無く交互に連続して存在せしめられることとなる。
それ故、かかる車両用天井内装部品においては、例えば、複数の分割体が上述のようにして互いに組み付けられてなる衝撃吸収手段が、天井内装部品本体の側部に、その略全長に亘って延びるように配設されることにより、天井内装部品本体が、複数の分割体の衝撃吸収部と相互に重ね合わされた板状補強部とにて、容易に屈曲乃至は撓み変形することのないように、略全長に亘って補強され、以て、天井内装部品全体の剛性が、効果的に高められ得ることとなる。
従って、かくの如き本発明に従う車両用天井内装部品にあっては、十分な剛性と所望の衝撃吸収性能とが、共に確実に且つ安定的に発揮され得るのであり、しかも、そのような優れた特性を発揮する構造が、低コストに実現され得るのである。
また、本発明に従う車両用天井内装部品の第二の態様よれば、各分割体の衝撃吸収部を、天井内装部品本体の側部の長さ方向に互いに隣り合うように位置せしめた状態で、互いに重ね合わされる板状補強部同士が、それらに各々設けられた係合部において相互に係合せしめられることにより、隣り合う衝撃吸収部同士の位置決めが確実に行われ得、それによって、複数の分割体、ひいては衝撃吸収手段全体が、天井内装部品本体の側部における所定の位置に対して、正確に配設され得る。そして、その結果として、所望の衝撃吸収性能が、より安定的に確保され得ることとなる。
さらに、本発明に従う車両用天井内装部品の第三の態様によれば、各分割体の衝撃吸収部を天井内装部品本体の側部の長さ方向に互いに隣り合うように位置せしめた状態下において、互いに重ね合わされる板状補強部のうちの一方に設けられた係止突起の爪部と該一方の板状補強部との間で、他方の板状補強部が挟持されることによっても、それら隣り合う衝撃吸収部同士の位置決めが確実に行われ得て、衝撃吸収性能の安定化が図られ得る。
また、かかる車両用天井内装部品では、特に、係止突起の爪部と一方の板状補強部との間で、他方の板状補強部が挟持された状態下で、前述の如く、互いに重ね合わされる板状補強部の係合部同士が係合せしめられることによって、複数の分割体が、天井内装部品本体の側部において、その長さ方向に隣り合って位置せしめられた状態で、相互に連結され得る。そして、それによって、互いに独立した構造の複数の分割体からなる衝撃吸収手段全体の取扱性が有利に高められ得て、かかる衝撃吸収手段の天井内装部品本体への一体化作業における作業性の向上が、効果的に実現され得ることとなる。
更にまた、本発明に従う車両用天井内装部品の第四の態様や第五の態様によれば、衝撃吸収手段の天井内装部品本体への一体化が、確実に且つ容易に実現され得る。
また、本発明に従う車両用天井内装部品の第六の態様によれば、衝撃吸収手段の各分割体における衝撃吸収部に衝撃が入力せしめられた際に、その衝撃荷重が、樹脂成形体からなる衝撃吸収部の縦壁部に対して、その高さ方向の圧縮荷重として作用されて、かかる縦壁部が、高さ方向において座屈変形せしめられる。それによって、衝撃入力の初期段階では、衝撃吸収部の変位量(変形量)の増加に従って、荷重値が比例的に増大せしめられ、その後の段階において、変位量の増加に拘わらず、荷重値が略一定に推移するといった理想的な荷重−変位特性に近い特性が、衝撃吸収部において発揮され、以て、衝撃エネルギーが十分に且つ有効に吸収せしめられ得る優れた衝撃吸収性能が確保され得る。
さらに、本発明に従う車両用天井内装部品の第七の態様によれば、全ての分割体、換言すれば衝撃吸収手段の全体が合成樹脂材料にて構成され、それによって、衝撃吸収手段、ひいては車両用天井内装部品全体の軽量化が有利に達成され得る。
以下、本発明をより具体的に明らかにするために、本発明に係る車両用天井内装部品の構成について、図面を参照しつつ、詳細に説明することとする。
先ず、図1には、本発明に従う構造を有する車両用天井内装部品の一例として、自動車の天井部を与えるルーフパネルの車室側の内面を覆って配置される天井内装部品が、その斜視形態において概略的に示されている。かかる図1から明らかなように、本実施形態の天井内装部品は、天井内装部品本体10と、その裏面(図1において、上面)の両側部にそれぞれ取り付けられた、衝撃吸収手段としての衝撃吸収構造体12,12とを有して、構成されている。
より具体的には、この天井内装部品の本体10は、従来と同様に、所定の合成樹脂材料からなる心材の表面に、不織布等の表面材が一体的に積層された複層構造を有している。また、かかる本体10にあっては、全体として、自動車の前後方向に対応する方向が長手とされ、且つルーフパネルの全体を覆い得る大きさを有する略矩形状を呈しており、そして、図示されてはいないものの、公知の如く、裏面が、ルーフパネルに対して、所定距離を隔てて対向するように配置された状態で、クリップ等の所定の取付具や接着剤等により、適当な複数箇所において、ルーフパネルに取り付けられるようになっている。
一方、各衝撃吸収構造体12は、複数(ここでは、四つ)の分割体14を有している。これら複数の分割体14は、何れも、同一の基本構造をもって、構成されている。
すなわち、各分割体14は、図2及び図3に示されるように、衝撃吸収部16と二つの板状補強部18,20とを、更に有している(ここでは、衝撃吸収構造体12の両端に位置するものが、それら二つの板状補強部18,20のうちの何れか一方のみを有している)。そして、それら各分割体14が有する衝撃吸収部16は、第一乃至第三縦壁部22,24,26と天板部28とを一体的に備えた筐体状の樹脂成形体にて、構成されている。また、かかる衝撃吸部16における第一乃至第三の三つの縦壁部22,24,26のうち、第一及び第二縦壁部22,24は、全体として、上底が下底よりも所定寸法だけ短い略台形形状を呈し、且つ一つの角部が湾曲状角部とされた薄肉平板からなり、また、第三縦壁部26も、第一及び第二縦壁部22,24とは大きさが異なるものの、上底が下底よりも所定寸法だけ短い略台形形状を有して、構成されている。そして、第一及び第二縦壁部22,24が、天井内装部品本体10の長さ方向、換言すれば、自動車の前後方向において互いに対向し、且つ第三縦壁部26が、第一及び第二縦壁部22,24に隣り合って位置せしめられた状態で、かかる三つの縦壁部22,24,26が、互いに漸次接近するように傾斜しつつ、上方に向かって延びるように立設されている。一方、天板部28も、各縦壁部22,24,26と略同一の肉厚を有する薄肉の湾曲矩形板からなり、四つの辺部において、三つの縦壁部22,24,26の各上低側の辺縁部と、第一及び第二縦壁部22,24における、湾曲状角部を間にして上底と隣り合う側辺の辺縁部とに対してそれぞれ一体化されて、構成されている。
換言すれば、各分割体14の衝撃吸収部16は、前記天井内装部品本体10に取り付けられた状態下で、天井内装部品本体10とルーフパネル45との対向方向たる上下方向、つまり衝撃の入力方向に延びるように立設せしめられた三つ縦壁部22,24,26と、それらの上端部に一体化せしめられた天板部28とからなる一体品として構成されており、全体として、高さ方向に垂直な方向(衝撃入力方向に対して直角な方向)に広がる断面が矩形状とされ、且つ先端に向かうに従って、該断面の面積が次第に小さくなる、比較的に高さの小さな片側有底の略角筒形状をもって形成されている。また、このような衝撃吸収部16は、例えば、座屈変形し易く、且つ適度な可撓性を有するポリプロピレンやポリエチレン、ポリブテン等のオレフィン系樹脂材料を用いて、形成されている。
このように、本実施形態では、各分割体14の衝撃吸収部16の構成材料として、座屈変形を容易ならしめる材料が用いられ、またそれと共に、前述せる如く、衝撃吸収部16が、先端に向かうに従って、軸直方向に広がる断面の面積が小さくなる角筒形状をもって形成されていることによって、各分割体14(衝撃吸収構造体10)に衝撃が加えられた際に、衝撃吸収部16の各縦壁部22,24,26が高さ方向に重なり合うことが可及的に解消されつつ、衝撃吸収部16が、高さ方向において、容易に且つ十分な有効ストローク(衝撃吸収部16の変形前の高さ:aに対する変形後の高さ:bの割合:b/a)をもって座屈変形せしめられるようになっている。
かくして、衝撃入力の初期段階では、衝撃吸収部の変位量(変形量)の増加に従って、荷重値が比例的に増大せしめられ、その後の段階において、変位量の増加に拘わらず、荷重値が略一定に推移するといった理想的な荷重−変位特性に近い特性が、衝撃吸収部16において発揮され得て、この衝撃吸収部16(衝撃吸収構造体10)に加えられる衝撃のエネルギーが、十分に且つ有効に吸収せしめられ得るようになっていると共に、衝撃吸収部16の高さが、比較的に小さくされていることにより、分割体14、ひいては衝撃吸収構造体10全体のコンパクト化が図られて、天井内装部品とルーフパネル45との間の省スペース化が有利に図られ得るようになっている。
そして、本実施形態においては、特に、そのような衝撃吸収部16と共に各分割体14を構成する板状補強部18,20が、衝撃吸収部16と同一の合成樹脂材料からなり、衝撃吸収部16における第一及び第二縦壁部22,24の外面の下端部に対して、衝撃吸収部16の高さ方向(衝撃の入力方向)に対して直角な方向に広がるようにして、それぞれ一体的に形成されて、構成されている。
また、それら二つの板状補強部18,20のうち、第一縦壁部22に一体形成された第一板状補強部18は、第一縦壁部22と略同一の幅と、その幅よりも所定寸法小さな長さと、第一縦壁部22よりも所定寸法厚い厚さとを有する矩形の平板形状を呈しており、それによって、容易には撓み乃至は屈曲変形されない、適度な剛性が具備せしめられている。更に、第二縦壁部24に一体形成された第二板状補強部20も、その幅が、第二縦壁部24の幅よりも所定寸法小さくされてはいるものの、その幅よりも所定寸法小さな長さと、第二縦壁部24よりも所定寸法厚い厚さとを有する矩形の平板形状とされていることによって、容易には撓み乃至は屈曲変形されない、適度な剛性が具備せしめられている。
そして、そのような二つの板状補強部18,20のうち、第一板状補強部18にあっては、その上面の幅方向両端部に対して、第一縦壁部22よりも十分に低い高さで突出し、且つ長さ方向に連続して延びる、係合部としての係合壁30,30が、それぞれ、一体的に立設されていると共に、かかる上面の中央部には、狭幅の平板形状を呈する二つの係止突起32,32が、それぞれ、板厚方向において撓み変形可能な状態で、一体的に突設されている。
また、それら各係止突起32の先端側部位には、爪部34が、それぞれ設けられている。この爪部34は、係止突起32の先端側部位を下方に向かうに従って、徐々に、板厚方向の一方の側に厚肉化せしめる傾斜面からなる案内面36と、かくして厚肉化された先端側部位とそれ以外の基部側部位とを段付けする段付面38とを有している。そして、このような爪部34をそれぞれ備えた二つの係止突起32,32が、爪部34の案内面36側とは反対側の面同士を、第一板状補強部18の長さ方向(図2中、左右方向)において所定距離を隔てて対向位置せしめた状態で、第一板状補強部18の上面に一体形成されているのである。
一方、第二板状補強部20にあっても、その上面の幅方向両端部に、第二縦壁部24よりも十分に低い高さで突出し、且つ長さ方向に連続して延びる、係合部としての係合壁40,40が、それぞれ、一体的に立設されており、また、かかる上面の中央部には、第一板状補強部20に設けられた二つの係止突起32,32が突入可能な矩形の貫通孔42が、該中央部を板厚方向に貫通して、形成されている。なお、この第二板状補強部20においては、二つの係合壁40,40における互いに対向面とは反対側の外面同士の距離が、第一板状補強部18に設けられた二つの係合壁30,30における互いの対向面同士の距離よりも僅かに小さくなるように、各係合壁40,40の配設位置が設計されていると共に、板厚が、第一板状補強部18に設けられた各係止突起32の段付面38と第一板状補強部18の上面との間の距離よりも僅かに小さくなるように設計されている。
そして、図1乃至図3に示されるように、上述の如き構造とされた複数の分割体14が、天井内装部品本体10の裏面(ルーフパネル45との対向面)における幅方向(自動車の幅方向に相当する)の両側部において、それぞれ、天井内装部品本体10の長さ方向(自動車の前後方向)の略全長に亘って一列に並べられると共に、それら互いに隣り合う分割体14のそれぞれの衝撃吸収部16が、第一縦壁部22と第二縦壁部24とを互いに対向させ、且つそれら互いに対向する第一縦壁部22,24にそれぞれ設けられた第一板状補強部18と第二板状補強部20とを、隣り合う衝撃吸収部16同士の間で、第二板状補強部20が上側となるように、相互に重ね合わせた状態で、配置されている。
そしてまた、そのような配置状態下において、第一板状補強部18に設けられた係合壁30,30のそれぞれの内面(互いの対向面)に対して、第二板状補強部20に形成された係合壁40,40のそれぞれの外面(互いの対向面とは反対側の面)が、各々接触して、係合せしめられることにより、第一板状補強部18と第二板状補強部20とが、それらの幅方向への相対変位が阻止される状態となっている。また、それと共に、第一板状補強部18に一体形成された二つの係止突起32,32が、第二板状補強部20に設けられた貫通孔42内を挿通し、それら各係止突起32の爪部34が、第二板状補強部20における貫通孔42の上側開口周縁部に係止せしめられて、かかる爪部34の段付面38と、第一板状補強部18の第二板状補強部20に対する重合せ面との間で、第二板状補強部20が挟持されることにより、互いに重ね合わされた第一板状補強部18と第二板状補強部20とが、それらの重合せ方向(上下方向)への相対変位が阻止される状態となっている。
なお、ここでは、各係止突起32が撓み変形可能とされていると共に、爪部34が前述せる如き傾斜面からなる案内面36を有しているため、そのような案内面36による案内と、各係止突起32の撓み変形により、各係止突起32が、第二板状補強部20の貫通孔42内にスムーズに挿通せしめられて、上記の如き各係止突起32の第二板状補強部20に対する係止状態が、容易に得られるようになっている。また、各係合壁30,40や各係止突起32の高さが十分に低くされていることによって、衝撃入力時における各縦壁部22,24,26の座屈変形に伴って発揮される衝撃吸収性能が可及的に阻害されないようになっている。
かくして、天井内装部品本体10の両側部において互いに隣り合って配置された複数の分割体14同士が、衝撃吸収部16を、天井内装部品本体10の長さ方向に隣り合うように位置せしめ、且つそれら互いに隣り合う衝撃吸収部16同士の間で、容易には撓み乃至は屈曲変形しない、適度な剛性を有する第一板状補強部18と第二板状補強部20とを重ね合わせた状態で、それら第一及び第二板状補強部18,20を介して相互に連結されており、これによって、複数の分割体14が一体的に組み付けられて、衝撃吸収構造体12が形成されると共に、そのような衝撃吸収構造体12が、天井内装部品本体10の両側部のそれぞれに対して、その長さ方向に、略全長に亘って連続して延びるように配置されている。そして更に、そのような配置状態下で、かかる衝撃吸収構造体12の下面と天井内装部品本体10の裏面(上面)との間に、適当な接着剤からなる接着剤層44が形成されていることによって、それら衝撃吸収構造体12と天井内装部品本体10とが接着され、一体化せしめられており、以て、本実施形態の天井内装部品が、かかる衝撃吸収構造体12と天井内装部品本体10とからなる一体品として、構成されているのである。
そして、かくの如き構造とされた天井内装部品は、図2に示されるように、自動車のルーフパネル45(二点鎖線で示す)に対して、天井内装部品本体10における衝撃吸収構造体12の配設側の面を対向させて、かかるルーフパネル45との間に、衝撃吸収構造体12を、各分割体14の衝撃吸収部16が天井内装部品本体10とルーフパネル45との対向方向に立設されるように位置せしめた状態で、ルーフパネル45に取り付けられるようになっている。
かくの如く、本実施形態に係る天井内装部品においては、複数の分割体14が一体的に組み付けられてなる衝撃吸収構造体12が、天井内装部品本体10の両側部に対して、その長さ方向に、略全長に亘って連続して延びるように配設されているところから、それら複数の分割体14のそれぞれにおける衝撃吸収部16と、相互に重ね合わされた状態で位置せしめられた、容易には撓み乃至は屈曲変形しない剛性を有する第一及び第二板状補強部18,20とが、天井内装部品本体10の各側部において、その長さ方向に、隙間無く交互に連続して存在せしめられることとなる。
それ故、かかる天井内装部品にあっては、天井内装部品本体10が、複数の分割体14の衝撃吸収部16と、相互に重ね合わされた第一及び第二板状補強部18,20とにて、長さ方向には容易に屈曲乃至は撓み変形することのないように、略全長に亘って補強され、以て、天井内装部品全体の剛性が、効果的に高められ得るのである。
また、本実施形態の天井内装部品においては、衝撃の入力方向に延びるように立設された第一乃至は第三縦壁部22,24,26を有することで、前述せる如き理想に近い荷重−変位特性の実現により、衝撃エネルギーが十分に且つ有効に吸収せしめられ得る衝撃吸収部16を備えた分割体14の複数が一体的に組み付けられて、衝撃吸収構造体12が構成されているため、そのような衝撃吸収構造体12の全体において、それら各分割体14の衝撃吸収部16の衝撃吸収特性に基づく十分な衝撃吸収性能が発揮され得る。
さらに、本実施形態では、衝撃吸収構造体12が、天井内装部品本体10とは別個の独立した複数の分割体14にて構成されているところから、天井内装部品本体10の形成材料とは無関係に、或いはその形状にさほど左右されることなく、衝撃を吸収するのに有効な材料と形状にて、衝撃吸収構造体12、特に各分割体14の衝撃吸収部16を形成することが出来、これによって、衝撃吸収構造体10において、より優れた衝撃吸収性能が確保され得る。
しかも、かかる本実施形態では、衝撃吸収構造体12が、天井内装部品本体10とは別個の独立した複数の分割体14にて構成されているために、衝撃吸収構造体12が、天井内装部品本体10の全長と略同じ長さを有する大型な樹脂構造体であるにも拘わらず、そのような衝撃吸収構造体12を形成するに際して、大型で且つ高価な金型や成形機を何等用いることなく、衝撃吸収構造体12よりも格段に小さな樹脂成形体である分割体14を形成可能な比較的に小型で且つ安価な金型と成形機を使用することが出来、それによって、製造コストの低減が有利に図られ得る。
従って、このような本実施形態の天井内装部品にあっては、経済的に有利な条件で、十分な剛性と所望の衝撃吸収性能とが、共に確実に且つ安定的に発揮され得ることとなるのである。
また、かかる天井内装部品においては、互いに独立した複数の分割体14のうち、互いに連結されるべき分割体14の第一及び第二板状補強部18,20にそれぞれ設けられた係合壁30,40同士が係合し、且つ第一板状補強部18に設けられた係止突起32が第二板状補強部20の貫通孔42内に挿通せしめられるように、第一板状補強部18と第二板状補強部20とを重ね合わせるだけで、複数の分割体14同士が、上下方向と天井内装部品本体10の幅方向の両方向への相対変位が阻止された状態で、一体的に連結されて、衝撃吸収構造体12が構成されるようになっているところから、かかる衝撃吸収構造体12が互いに独立した複数の分割体14からなっているにも拘わらず、衝撃吸収構造体12全体の取扱性が有利に高められ得て、衝撃吸収構造体12の天井内装部品本体10への一体化作業における作業性の向上が、効果的に実現され得るばかりでなく、そのような衝撃吸収構造体12を与える複数の分割体14における衝撃吸収部16が、天井内装部品本体10の所定位置に対して、容易に且つ確実に位置決めされ得、以て、所望の衝撃吸収性能が、より安定的に確保され得る。
さらに、各分割体14が、衝撃吸収部16に一体成形された第一及び第二板状補強部18,20にて、一体的に連結されるようになっていることによっても、各分割体14、ひいては衝撃吸収構造体12の取扱性の向上が図られ得ている。
以上、本発明の具体的な構成について詳述してきたが、これはあくまでも例示に過ぎないのであって、本発明は、上記の記載によって、何等の制約をも受けるものではない。
例えば、図4及び図5に示されるように、第一板状補強部18の中央部の上面に、二つの係止突起32,32に代えて、係合ピン46を設け、第一板状補強部18と第二板状補強部20との重合せ状態下で、この係合ピン46が、第二板状補強部20の貫通孔42内に挿通乃至は突入せしめられることにより、それら第一及び第二板状補強部18,20、ひいては互いに隣り合う分割体14同士における天井内装部品本体10の幅方向への相対変位が阻止されるように構成することも出来る。即ち、係合ピン46と貫通孔42とにて、係合部をそれぞれ構成しても良いのである。
また、そのような構成を採用する場合には、第一の板状補強部18に設けられた係合壁30,30の先端部位の内面に、前記実施形態における係止突起32の爪部34と同様な形態を有する爪部48を設け、この爪部48を第二板状補強部20の上面に係止せしめることにより、第一及び第二板状補強部18,20、ひいては互いに隣り合う分割体14同士における第一及び第二板状補強部18,20の重合せ幅方向への相対変位が阻止されるように構成することが出来る。つまり、爪部48が設けられた係合壁30を係止突起として構成しても良いのである。
このような構成によっても、複数の分割体14同士を互いに連結して、衝撃吸収構造体12を、それら複数の分割体14の一体的に組付体として形成することが出来る。なお、図4及び図5、更には後述する図6に関しては、前記実施形態と同様な構造とされた部材及び部位について、図1乃至図3と同一に符号を付すことにより、その詳細な説明は省略した。
また、図6に示される如く、第一板状補強部18の下面に、所定高さ突出する、係合部としての板状突出片50を設け、第一板状補強部18と第二板状補強部20との重合せ状態下で、この板状突出片50が、第二板状補強部20の貫通孔42内に挿通乃至は突入せしめられることにより、それら第一及び第二板状補強部18,20、ひいては互いに隣り合う分割体14同士における天井内装部品本体10の幅方向への相対変位が阻止されるように為し、更に、そのような状態下で、衝撃吸収構造体12の下面と天井内装部品本体10の裏面(上面)との間に形成された接着剤層44の一部が貫通孔42内に侵入して、かかる一部の接着剤層44にて、貫通孔42に対応位置する第一板状補強部18の下面や板状突出片50が、天井内装部品本体10に対して直接に接着せしめられるように構成することも出来る。これによって、衝撃吸収構造体12の全体が、天井内装部品本体10に対して、より確実に一体化され得ることとなる。
さらに、そのような衝撃吸収構造体12を与える複数の分割体14における衝撃吸収部16の形状乃至は構造は、前記実施形態に示されるものに、特に限定されるものではなく、従来より公知の形状や構造が、適宜に採用され得るのであり、また、かかる衝撃吸収部16の材質も、例示のものに、何等限定されるものでないことは言うまでもないところである。更にまた、各分割体14の衝撃吸収部16の形状や構造を、互いに異なるものと為すことも出来る。
また、そのような複数の分割体14に設けられる板状補強部18,20の形状や材質も、例示のものに限定されるものではない。
さらに、衝撃吸収構造体12を与える分割体14の個数も、天井内装部品本体10の形状や大きさ等に応じて、適宜に変更され得る。
加えて、前記実施形態では、本発明を、自動車の天井部を与えるルーフパネルの車室側の内面を覆って配置される天井内装部品に適用したものの具体例を示したが、本発明は、その他、自動車以外の車両の天井部を与えるルーフパネルの車室側の内面を覆って配置される天井内装部品の何れに対しても、有利に適用され得ることは、勿論である。
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもないところである。