JP2005144896A - 成形体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐候性、耐薬品性、耐傷性を従来よりもさらに高めたフッ素樹脂被覆繊維強化樹脂成形体およびその製造方法の提供。
【解決手段】繊維強化樹脂層上にフッ素樹脂層を有する成形体。また、繊維強化硬化性樹脂を、十分硬化させた後、該繊維強化樹脂硬化物層をフッ素樹脂で被覆する成形体の製造方法。
【選択図】なし

Description

フッ素樹脂が被覆された繊維強化樹脂硬化物層を有する成形体およびその製造方法に関する。
ガラス繊維やカーボン繊維で強化された成形体は、軽量で高い強度、耐久性、耐食性、電気絶縁性、切断や穴あけ加工性が良いなどの特徴があり、広く各産業分野において利用されている。これらは近年の用途拡大に伴って、更に厳しい要求が求められつつある。
繊維強化樹脂成形体の特性改善に熱可塑性樹脂が用いられる例として、例えば次を挙げることができる。
繊維強化熱硬化性樹脂成形体外形寸法精度を高める手法として、繊維強化熱硬化性樹脂成形体に熱可塑性樹脂を被覆する方法が提案されているが、特に熱可塑性樹脂の具体例は記載されていない(特許文献1)。
繊維強化熱硬化性樹脂成形体にショアーD硬度45以上且つ降伏点応力100kg/cm2以上の熱可塑性樹脂を被覆したものが海苔養殖網支柱に適用できる提案がなされている。該公報における被覆樹脂の例示として、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニルなどが挙げられている(特許文献2)。
熱可塑性樹脂−繊維強化熱硬化性樹脂−熱可塑性樹脂の3層の構成体とすることで、二次加工性を改善することができる。ここで熱可塑性樹脂の例示として、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂)、AS(アクリロニトリル−スチレン樹脂)、AAS(アクリロニトリル−アクリル−スチレン樹脂)、PS(ポリスチレン樹脂)、PC(ポリカーボネイト樹脂)、PPE(変性ポリフェニレンエーテル樹脂:ポリフェニレンとポリスチレンとのグラフト共重合体)、PVC(ポリ塩化ビニル樹脂)およびこれらのアロイが挙げられている(特許文献3)。
耐薬品性向上、耐熱性向上を目的に、分子中に芳香環と−SO−結合および/または−O−結合とを有し、且つ18.6kg/cm2における熱変形温度が110℃以上である耐熱性樹脂およびそのポリマーアロイの被覆が例示されている(特許文献4)。
一方、ふっ素樹脂ハンドブックによれば、フッ素樹脂はC−F結合に由来する特性、例えば耐候性(耐紫外線性)、耐熱性、耐酸化性(不燃性)等の優れた特性を有することが知られている(非特許文献1)。しかし、繊維強化熱硬化性樹脂、特に長繊維強化熱硬化性樹脂にフッ素樹脂を被覆した成形体は工業的に知られていない。
また、繊維強化熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂被覆した境界柵が記載されているが、繊維強化熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を被覆する場合、繊維強化熱硬化性樹脂が未硬化状態で外周に熱可塑性樹脂を被覆し、該膜を硬化した後に繊維強化熱硬化性樹脂を硬化させる方法がとられている(特許文献5)。この技術は繊維強化熱硬化性樹脂が未硬化の状態でスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂と相溶性があり、硬化後においては極めて強固に接着すると記載されている。しかし例示される熱可塑性樹脂では、長期間にわたる屋外使用や化学工場や海岸沿いのような劣悪な環境での使用を考えると、耐候性、耐薬品性、耐傷性が劣っている。
さらに繊維強化樹脂成形体は、屋外で暴露されても、強度低下は少ないが、若干の肌荒れが生じる場合がある。特に外観が重視される用途においては、更に改善が求められる。また耐薬品性に関しても、劣悪な環境下で使用される場合には、更なる改良が求められる。
特開昭59−101333号公報 特開平02−128629号公報 特開平10−178942号公報 特開平11−028769号公報 特開2002−180703号公報 里川考臣編、「ふっ素樹脂ハンドブック」、1990年11月、P4
本発明の目的は、耐候性、耐薬品性、耐傷性を、従来よりもさらに高めた繊維強化樹脂硬化物成形体及びその製造方法の提供である。
すなわち本発明は、下記(i)〜(v)に記載の成形体およびその製造方法を提供する。
(i)繊維強化樹脂硬化物層上にフッ素樹脂層を有することを特徴とする成形体。
(ii)(i)に記載の繊維強化樹脂が長繊維強化樹脂である(i)に記載の成形体。
(iii)(i)に記載のフッ素樹脂が、ASTM D 256に準拠したノッチ付きアイゾット衝撃試験で破断せず、かつ、ASTM D 638に準拠した引張試験の破断伸度が300%以上である(i)または(ii)に記載の成形体。
(iv)(i)に記載のフッ素樹脂がエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体から選ばれる少なくとも1種のフッ素樹脂である(i)、(ii)または(iii)に記載の成形体。
(v)繊維強化硬化性樹脂層を十分硬化させて繊維強化樹脂硬化物層とした後、該繊維強化樹脂硬化物層をフッ素樹脂で被覆することを特徴とする成形体の製造方法。
ここでフッ素樹脂は、ASTM D 256に準拠するアイゾット衝撃試験ノッチ付きにおいて破断することなく、かつ、ASTM D 638に準拠した引張試験時の破断伸度が300%以上である特性を有するものであることが好ましい。またフッ素樹脂がエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体から選ばれる少なくとも1種以上のフッ素樹脂であることが好ましい。
そして、前記(i)〜(iv)のいずれかに記載の成形体は、例えば(v)に記載した方法により製造することが好ましい。
本発明の成形体は、長期間にわたり屋外使用しても成形体表面の肌荒れが生じ難く、化学工場や海岸沿いのような劣悪な環境での使用に耐える耐薬品性を有する。また、高い耐久性を有し、日常生活で物が当たる程度の傷に対しては、その傷が拡大することはない。
以下に、本発明を詳細に説明する。
繊維強化樹脂成形物は軽量で高い強度、耐水性、耐食性、電気絶縁性等の優れた特性を有する。中でも略一方向に配列された補強繊維束を有する長繊維強化樹脂成形物は、優れた機械的強度や耐水性、耐食性を有し、釘打ちや鋸引きが可能な軽量の構造部材として使用される。
本発明の第1の態様は、繊維強化樹脂硬化物層上にフッ素樹脂層を有する成形体である。
本発明の成形体の形状としては棒状、筒状(パイプ状)、板状、チャンネル状(断面がコの字型)、アングル状(断面がL字型)等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
<繊維強化樹脂>
本発明における繊維強化樹脂は、繊維強化材と樹脂材料を主原料とする。例えば、繊維強化されない樹脂成形物の表面層として、繊維強化樹脂硬化物層上にフッ素樹脂層を有するような表面層を構成する成形体であってもよい。また必要な場合は繊維強化樹脂硬化物層とフッ素樹脂層との間に、第3の層を有してもよい。ただし繊維強化樹脂硬化物上に直接フッ素樹脂層を有するのが好ましい。
<繊維強化材>
本発明で用いる繊維強化材として、例えば、Eガラス繊維及びSガラス繊維等のガラス繊維、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維、ポリ−m−フェニレンテレフタルアミド繊維等の芳香族ポリアミド繊維、ポリエステル繊維又はビニロン繊維、ポリパラフェニレンベンツビスオキサゾ−ル繊維等の有機繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、PAN系炭素繊維及びメソフェーズ系炭素繊維等の炭素繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、Si−Ti−C−O系無機繊維及びアルミナ−シリカ繊維等のセラミック繊維、ボロン繊維等の無機繊維あるいは金属繊維などが挙げられる。これらの繊維は1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの繊維強化材は長繊維強化材であることが好ましく、ロービング又はエンド等の集束体であることがより好ましい。その繊維の集束本数は通常500〜4000本、単位線条の平均径3〜21μmのものが例示できる。
長繊維強化材である場合、これらの繊維は成形体の長手方向に対して、平行、垂直、斜め方向等、2方向以上を組み合わせて配列された状態に配置されることが好ましい。理由は成形体の引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率、耐圧強度等を高くできるためである。また樹脂材料に対する繊維含有量は5〜70体積%程度が好ましい。理由は該範囲であると、製造時の作業性と製造された繊維強化樹脂成形体の強度のいずれも優れるためである。
<樹脂材料>
繊維強化樹脂のマトリックスをなす樹脂材料は、熱硬化性樹脂または紫外線等の光硬化性樹脂であることが好ましく、これらの硬化性樹脂を加熱または光を照射することにより硬化させて樹脂硬化物とする。
<硬化性樹脂>
本発明においては、繊維束は硬化性樹脂によって結着されて、一定の形状に形成されることが好ましい。このような硬化性樹脂として、例えば、フェノール樹脂及びフェノールアラルキル樹脂等のフェノール系樹脂、エピビス型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化エピビス型エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート樹脂等を挙げることができる。
また、これらの硬化性樹脂に熱硬化性触媒を添加したものを用いることができる。熱硬化性触媒としては、エポキシ系の硬化性樹脂に対してはジシアンジアミドや酸無水物などを、その他のものに対してはケトン−オキサイド、ジアシルパーオキサイド、アルキルパーエステル、パーカーボネート、ハイドロパーオキサイド、パーオキシケタールなどの過酸化物などを用いることができる。
該硬化性樹脂には、光硬化触媒を添加してもよい。光硬化触媒としては、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。
また、本発明の硬化性樹脂には、粘度調整や物性改善を目的に反応性希釈剤を含ませることができる。反応性希釈剤としては、スチレン、ジビニルベンゼン、(メタ)アクリル酸及びそれらの誘導体、トリアリルイソシアヌレート及びそれらの誘導体等が挙げられる。
<その他>
尚、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂には、必要に応じて、充填材、有機及び無機顔料、熱安定剤、老化防止剤、滑材、目ヤニ防止剤、帯電防止剤、難燃剤等の配合が可能である。
また本発明に用いる繊維強化樹脂に、マトリックスである樹脂材料と繊維強化材以外の他の成分、炭酸カルシウム、クレー、ガラスミルドファイバー等の増量剤を配合してもよい。このような増量剤の配合は、破裂強度を改善し、繊維強化材の含有量を減らすことができる。このような増量剤は、繊維強化樹脂の全量に対して、5〜50質量%配合することが好ましい。理由は硬化前の樹脂を適度な粘度にすることができるので、強化繊維の硬化性樹脂への含浸を容易にできるためである。
また成形時に型との離型性を高めるために、内部離型剤、外部滑剤を入れることもある。
<フッ素樹脂層>
本発明におけるフッ素樹脂は、ASTM D 256に準拠するアイゾット衝撃試験ノッチ付きにおいて破断することなく、かつ、ASTM D 638に準拠した引張試験時の破断伸度が300%以上である特性を有するものが好ましい。理由は、被覆物が柔らかく伸びがあり、鈍角な物体で殴打された場合でも、傷が伝染し難いので、耐傷性に優れるためである。
なかでもエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(以下、ETFEと表記する)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(以下、PFAと表記する)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPと表記する)の単独または併用にて、好ましく使用することができる。また、これらのリサイクル品(一度使用したものの再生品)を使用することもできる。
本発明におけるフッ素樹脂層の厚さは、成形体の形状、大きさ、用途にもよるが、好ましくは0.02〜5mmであり、より好ましくは0.05〜3mmであり、さらに好ましくは、0.1〜2.0mmである。理由は、被覆厚が該範囲であると、十分な耐候性、耐薬品性、耐傷性が得られるからである。
また、フッ素樹脂層の厚さは、繊維強化樹脂層の厚さの0.1〜2倍であるのが好ましく、0.5〜1倍であるのが、より好ましい。
<本発明の成形体>
<形状>
本発明の成形体の形状としては棒状、筒状(パイプ状)、板状、チャンネル状(断面がコの字型)、アングル状(断面がL字型)等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
例えば筒状のパイプとしては、長さが約0.1〜25m、径が5〜500mmφ、厚さが0.5〜20mm程度のものを挙げることができる。
例えば板状の成形体としては、縦の長さが約0.1〜25m、横の長さが約0.01〜1m、厚さが1〜20mm程度のものを挙げることができる。
これらの形状、長さ、径、厚さ、大きさ等としては特に制限はなく、必要に応じて、適宜自在に選択できるものである。
上記した成形体は、例えば浸漬法等の公知の方法を適用して、上記長繊維強化材の束に液状の、上記熱硬化性樹脂または上記光硬化性樹脂を含浸させ、引き抜き成形法、フィラメントワインディング法、テープワインディング法等の公知の方法により成形し、さらにその外周に、クロスヘッドダイスによる溶融押出等の公知の方法で、その上層に上記フッ素樹脂を被覆することで製造することができる。
特に以下に詳細に説明する製造方法により好ましく製造することができる。ただし、本発明の成形体の製造方法は以下に述べる方法に限定されない。
本発明の第2の態様は、繊維強化硬化性樹脂層を十分硬化させて繊維強化樹脂硬化物層とした後、該繊維強化樹脂硬化物層をフッ素樹脂で被覆することを特徴とする成形体の製造方法である。
本発明は第一工程として繊維強化樹脂硬化物層を作る工程、第二工程としてフッ素樹脂を被覆する工程の2つの工程から構成される。
<第一工程>
まず、第一工程の1例を詳細に説明する。
予め、熱硬化性樹脂に、必要に応じて、充填材、硬化剤、着色剤等を加えてミキサー等で十分混合し、樹脂ペーストを用意する。次いで、この樹脂ペーストに上記の繊維強化材からなる繊維束を含浸せしめ、その後、加熱されている金型またはヒーターに導入し、十分に加熱硬化させて一定の形状の繊維強化樹脂硬化物層を得る。
また第一工程で製造される繊維強化樹脂硬化物層の形状は、棒状、筒状(パイプ状)、板状、チャンネル状(断面がコの字型)、アングル状(断面がL字型)等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
次にこの第一工程の例として、筒状のパイプの繊維強化樹脂硬化物層を製造する方法について、図1を用いて説明する。
必要数の複数個の連続繊維巻束1(図1では例として2本のみ示す)から引き出された連続繊維束2は、液状の熱硬化性樹脂が入った含浸槽3を通過することで熱硬化性樹脂が含浸される。熱硬化性樹脂が含浸された連続繊維束2の先端は、ローラ4により駆動され図面を右側に進行する軸状のマンドレル5に固定されている。連続繊維束2は、マンドレル5の進行により引き出され、ガイドプレート6によって、マンドレル5の周囲にその軸方向に配向するように引きそろえられる。マンドレルの軸方向に引きそろえられた連続繊維束2は、ヒータ7で加熱される。これにより、軸方向に配向する連続繊維束を含んだ繊維強化樹脂からなる中空管形状の内層8が成形される。成形された内層8は、ヒータ7の温度調整により少なくとも部分硬化の状態に保たれている。部分硬化の状態とは、層8のマトリックスをなす樹脂材料のべたつきが解消されているが、未だ可塑性を有する状態を指す。
次いで、連続繊維巻束11から引き出された連続繊維束12は、液状の熱硬化性樹脂が入った含浸層13を通過することにより、熱硬化性樹脂が含浸される。熱硬化性樹脂が含浸された連続繊維束12は、マンドレル5の周方向に回転可能なワインディングマシン14を用いて、内層8の外部表面に周方向に巻回される。これにより、内層8の外部表面上に周方向に配向する連続繊維を含んだ繊維強化樹脂からなる中間層18が形成される。中間層18の形成後、樹脂が未硬化のままでもよいが、ヒーターにより樹脂を加熱硬化させて部分硬化の状態であってもよい。
次いで、連続繊維巻束21から引き出された連続繊維束22は、液状の熱硬化性樹脂が入った含浸槽23を通過することにより、熱硬化性樹脂が含浸される。熱硬化性樹脂が含浸された連続繊維22はガイドプレート26により、中間層18の外部表面上に軸方向に配向するように配置される。これにより、中間層18の外部表面上に軸方向に配向する連続繊維束を含んだ繊維強化樹脂からなる外層28が形成される。外層28の形成後、樹脂が未硬化のままでもよいが、ヒーターにより樹脂を加熱硬化させて部分硬化の状態であってもよい。
次いで、連続繊維巻束31から引き出された連続繊維束32は、液状の熱硬化性樹脂の入った含浸槽33を通過することにより、熱硬化性樹脂が含浸される。熱硬化性樹脂が含浸された連続繊維束32は、ワインディングマシン34を用いてガイドピン35を介して外層28の外部表面上に螺旋状に巻回される。
次いで、各層および螺旋状の連続繊維束が形成された管状体を、ヒーター40により加熱し、樹脂を加熱硬化させる。これにより、硬化した繊維強化樹脂からなる多層構造の筒状のパイプの繊維強化樹脂硬化物層が連続的に製造される。このようにして得られた筒状のパイプの繊維強化樹脂硬化物層は、切断機41によりマンドレル9ごと所望の長さに切断し、マンドレルを引き抜くことにより、筒状のパイプの繊維強化樹脂硬化物層を得ることができる。
図1に示す製造法では、マンドレルの軸方向、径方向に多層に連続繊維束が配向する例が示されるが、1層だけでもよく、図に示すものより多層に配向されてもよい。
このようにして十分に加熱硬化させた一定の形状の繊維強化樹脂硬化物層を得るが、ここで繊維強化樹脂硬化物層が十分に加熱硬化された状態とは、150℃で1時間加熱した場合の、加熱前に対する加熱後の揮発による質量減少率が5%以下、好ましくは0.5%以下である状態を意味する。
また、ここで、追加で電気炉および/または赤外線ランプ等を使用して、後加熱工程で硬化を行ってもよい。この硬化を補うプロセスはバッチ式及び連続式のいずれの方法でも採用できる。製造する効率の観点から連続式が好ましい。
<第二工程>
次に、第二工程を詳細に説明する。
フッ素樹脂を被覆する方法は特に限定されないが、製造する効率からは押出機およびその先に取り付けられたダイスを用いて被覆するのが好ましい。例えばダイスを用いて被覆する場合は、先端部にダイスが取り付けられた押出機及びダイスを所定温度に昇温した後に、フッ素樹脂ペレットを押出機の原料投入口へ投入する。ダイス先端部からフッ素樹脂が定常的に吐出されることを確認した後に、横方向から第一工程で形成した繊維強化樹脂硬化物層を挿入して被覆し、その後、数分〜数十分空冷して成形体を得る。
フッ素樹脂の被覆は、繊維強化樹脂硬化物層を所望の長さに切断した後に行ってもよく、また、図1におけるヒーター40と切断機41との間に押出機とダイスを設置し連続的にフッ素樹脂を被覆してもよい。
ここで繊維強化樹脂層が未硬化の状態でフッ素樹脂を被覆するとフッ素樹脂層の界面の表面に気泡が発生し、外観上好ましくない成形体となる場合がある。この場合、得られる成形体の耐候性、耐薬品性、耐傷性は劣ることはない。しかし、外観上も好ましくするためには、第一工程において繊維強化樹脂を十分硬化することが好ましい。時間の経過で十分硬化させることができるが、後加熱工程を行うことが好ましい。
<フッ素樹脂被覆繊維強化樹脂成形体の断面図>
成形体の断面の1例を、図2を用いて説明する。ここでは例として、筒状のパイプの場合の成形体の断面を示す。
図2は筒状のパイプの繊維強化樹脂硬化物層10の表面に、フッ素樹脂層11を有する本発明の成形体15である。
以下に実施例を用いて、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
<成形体の製造>
(実施例1)
第一工程として、不飽和ポリエステル樹脂(イソフタル酸系)(商品名 ユピカ3512(日本ユピカ社製))100質量部に、硬化剤9.5質量部、内部離型剤0.5質量部、外部滑剤0.5質量部、着色剤0.5質量部を添加し、リフトミキサーにて10分間混合した。この混合された樹脂ペーストに連続したガラス繊維(商品名 Eガラスロービング(旭ファイバーグラス社製))を含浸させた。この樹脂含浸されたガラス繊維を、外径35mm、内径28mmの筒状パイプを連続的に製造できる140〜150℃に加熱された金型に、1m/分の速度で導入し、加熱硬化させて筒状パイプの繊維強化樹脂層を成形した。この該繊維強化樹脂層のガラス繊維含有率は57体積%(53質量%)であった。
次に第一工程で得られた繊維強化樹脂層を長さ2mに切断した後、後加熱工程として、電気炉にて150℃、1時間の条件で加熱し、十分硬化して繊維強化樹脂硬化物層を得た。
次に第二工程として、押出し機及び被覆用ダイスにより、フッ素樹脂を被覆した。押出し機は直径50mmの単軸押出し機で、樹脂溶融シリンダー温度を300℃、被覆用ダイスの温度を300℃とした。そして、ETFE樹脂(商品名 フルオンC88AX(旭硝子(株)社製))に酸化チタン1質量%配合した組成物のペレットを押出機ホッパーの原料投入口より供給し、吐出量150g/分にて被覆用ダイスに供給した。その後、該繊維強化樹脂硬化物層を、60cm/分のスピードで被覆用ダイスに挿入し、繊維強化樹脂硬化物層の外表面に該ETFE樹脂を被覆した。その後自然冷却にて冷却し、厚さ1.8mm〜2.2mmのETFE樹脂を被覆したパイプの成形体を得た。
(実施例2)
上記、実施例1と同様の第一工程処理を行った後、後加熱工程を行わず、上記、実施例1と同様の第二工程を行った。この結果、被覆直後に繊維強化樹脂層とETFE樹脂被覆層の界面に気泡が発生し、外観上、目視で凹凸が見られるパイプの成形体が得られた。
(比較例1)
上記、実施例1と同様の第一工程、切断、及び後加熱処理を行い、長さ2mの繊維強化樹脂硬化物層を得た。
次に、第二工程として、押出し機及び被覆用ダイスにより、ABS樹脂を被覆した。押出し機は直径50mmの単軸押出し機で、樹脂溶融シリンダー温度を230℃、被覆用ダイスの温度を230℃とした。そして、ABS樹脂ペレット(商品名 クララスチックSR(日本エイアンドエル社製))を押出機ホッパーの原料投入口より供給し、吐出量150g/分にて被覆用ダイスに供給した。その後、第一工程にて得られた繊維強化樹脂硬化物層を、60cm/分のスピードで被覆用ダイスに挿入し、繊維強化樹脂硬化物層の外表面に該ABS樹脂を被覆した。その後自然冷却にて冷却し、厚さ2.0mm〜2.2mmのABS樹脂を被覆したパイプの成形体を得た。
<耐傷性の評価>
実施例1、実施例2、比較例1の各々の成形体を、約30cmの長さに切断して平滑なコンクリート床に置き、2.3kgの鉄ブロック(7cm×7cm×6cm)を高さ1mから落下させて傷の程度を観察した。
その結果、実施例1、実施例2の成形体は破損することなく、傷の深さは0.2mm程度であったが、比較例1の成形体は、成形体そのものは破損しなかったが、ABS樹脂に繊維強化樹脂硬化物層に達する深さ約2mmの傷が付いた。
本発明の成形体は耐候性、耐薬品性、耐傷性が高い。該成形体は、紫外線および/または太陽光に暴露される環境下でも長期間に渡って表面の劣化が認められず、良好な外観を維持する各種成形体として用いられる。具体的な用途例として、階段手摺、雨樋、その他屋外の建築物およびそれに付随する工作物の材料、各種フェンス、交通関係の標識を支える支柱、ガードレール及びその支柱、街路灯の支柱、商店街のアーケイドの支柱等が挙げられる。また農業関係では畑及びビニルハウス関連の配水管、果物や野菜栽培用支柱、動物侵入防止策等が挙げられる。水産関係では、のり養殖網用支柱やいかだ等である。海に関係するものとして、原子力発電所及び火力発電所の冷却水排出口の魚、蟹類の侵入防止柵等が挙げられる。
図1は筒状パイプの場合の本発明の成形体を製造する方法を示す模式図である。 図2は筒状のパイプの場合の本発明の成形体の断面図である。
符号の説明
1,11,21,31・・・連続繊維巻束
2,12,22,32・・・連続繊維束
3,13,23,33・・・含浸槽
4・・・ローラ
5・・・マンドレル
6,26・・・ガイドプレート
7,40・・・ヒータ
8・・・内層
14,34・・・ワインディングマシン
18・・・中間層
28・・・外層
35・・・ガイドピン
41・・・切断機
50・・・繊維強化樹脂硬化物層
51・・・フッ素樹脂層
55・・・成形体

Claims (5)

  1. 繊維強化樹脂硬化物層上にフッ素樹脂層を有することを特徴とする成形体。
  2. 前記繊維強化樹脂が長繊維強化樹脂である請求項1に記載の成形体。
  3. 前記フッ素樹脂が、ASTM D 256に準拠したノッチ付きアイゾット衝撃試験で破断せず、かつ、ASTM D 638に準拠した引張試験の破断伸度が300%以上である請求項1または2に記載の成形体。
  4. 前記フッ素樹脂がエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体から選ばれる少なくとも1種のフッ素樹脂である請求項1、2または3に記載の成形体。
  5. 繊維強化硬化性樹脂層を十分硬化させて繊維強化樹脂硬化物層とした後、該繊維強化樹脂硬化物層をフッ素樹脂で被覆することを特徴とする成形体の製造方法。
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