JP2005144644A - 自動機械の動作範囲制限方法 - Google Patents

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伸好 緒方
Hirokazu Kariyazaki
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Abstract

【課題】モータによって駆動される複数の軸を有する自動機械の全ての軸のモータと減速機に負荷される静的モーメントを検出して、過負荷状態を回避する自動機械の動作制限方法を提供する。また自動機械の先端に取り付けた付加物の質量・重心位置も考慮して、過負荷状態を回避する。
【解決手段】モータによって駆動される複数の軸を有する自動機械1であって、傾斜設置された自動機械1の動作制限方法において、軌跡補間演算の演算周期ごとに前記自動機械が移動目標点に到達する前に、前記移動目標点において各軸に負荷される静的モーメントを求め、前記静的モーメントが前記各軸のモータあるいは減速機の定格値を超える場合には前記移動目標点への移動を禁止する
【選択図】 図3

Description

本発明は、例えばロボットのような、モータによって駆動される複数の軸を有する自動機械の各軸を駆動するモータと減速機の定格に関連して定められる自動機械の動作範囲の制限方法に関するものである。更に詳しく述べれば、それら自動機械が傾斜設置された場合の設置傾斜角度および、自動機械の先端に取り付けられた付加物による各軸の静的モーメントの変化量を考慮して動作範囲を制限する方法に関するものである。
モータによって駆動される複数の軸を有する自動機械、例えば多関節型ロボットなど(以下、単に「ロボット」と表記して前記自動機械を代表させることにする)は水平に設置されることを前提にして設計されているのが通常である。しかし作業スペースや動作範囲の確保のために、ロボットを傾斜設置する場合がある。
図1は傾斜設置されたロボットの説明図である。図において、1は傾斜面に設置された垂直多関節型のロボットである。2はロボット1の基部であり、傾斜面に固定されている。3は旋回ヘッドであり、基部2に軸支されて第1軸S回りに旋回する。前記第1軸は傾斜面に対して垂直であり水平面に対して傾いている(水平面にロボットを設置した場合は、第1軸Sは垂直軸になるが、傾斜面に設置したので、第1軸Sも傾いている)。4は第1アームであり、旋回ヘッド3に軸支されて第2軸L(紙面に垂直な軸)回りに揺動する。5は第2アームであり、第1アーム4に軸支されて第3軸U(紙面に垂直な軸)回りに揺動する。6は手首であり、第2アーム5に軸支されて第4軸〜第6軸R、B、Tまわりに旋回、曲げおよび回転する。このように傾斜設置すると、水平設置時と比較して各軸にかかるモーメントの大きさが変わる(例えば、旋回ヘッド3を第1軸S回りに旋回させると、第1アーム4等に加わる重力がモーメントとして第1軸Sに負荷される)。そのため水平設置時と同じ動作範囲を動かすと、位置・姿勢によってはモータや減速機に過負荷がかかりトラブルが生じる可能性がある。これを防ぐために、従来は以下に述べる方法で動作制限を行っていた。
一般にロボットは、基部側にかかるモーメントが最も大きくなるため、最も基部側の軸にかかるモーメントが定格内であれば、他の軸は定格超過状態になることはないと考えられる。そこでN軸(N>3)のロボットにおいて、第1軸(最も基部側の軸)から第3軸までを基本3軸とし、第4軸から第N軸(一般に手首軸と総称される)の角度を、第1軸に対するモーメントが最大になるような角度にして、前記基本3軸の角度をそれぞれ変化させて、前記第1軸のモーメントを求め、前記モーメントが前記第1軸を駆動するモータあるいは減速機の定格負荷を超えないような、前記基本3軸の動作範囲を求める。そして、その動作範囲をソフトウェアケージとして制御装置のメモリー内に持っておき、ロボットの軌跡計画時にケージ内外の判定を行い,ケージ外領域へ移動することを禁止している(例えば特許文献1)。
またロボットの先端に付加物(加工用ロボットであれば、加工用工具、搬送用ロボットであれば、搬送用のグリッパと搬送対象物などが、ここで言う付加物に相当する)を取付けて動作させることがある。図2は付加物を取り付けたロボットの説明図である。図において1は第1図に示したものと同じロボットであり、水平面に設置されている。ロボット1の手首6には付加物7が取り付けられている。付加物による手首軸への静的モーメントの大きさは手首軸の姿勢により変化するので、例えばロボット手首を常に下向きに向けて使用するように限定すれば、大きな質量の付加物あるいは重心位置が取付け面から離れた付加物を取付けても手首軸に静的モーメントは負荷されないから、定格超過とはならない。
特開平07−302104号公報
従来の技術は、ロボットの基部側にかかるモーメントが最も大きくなるため、最も基部側の軸にかかるモーメントが定格内であれば、他の軸は定格超過状態になることはないと仮定している。しかしこの仮定は全ての軸のモータと減速機が同じ型式のものでなければ基本的には成り立たない。一方、現実のロボットの各軸のモータと減速機は、水平設置時にかかる最大モーメントを想定して型式を選定することが通常であり、第2軸、第3軸のモータと減速機の定格は第1軸より小さく設定されているのが普通である。そのた第1軸よりも先に第2軸,第3軸の定格超過が生じ、トラブルが生じる可能性がある。またロボットの先端に付加物を取付ける場合には、付加物の質量・重心位置によっては他の軸の定格超過が問題となる可能性がある。例えば、基本軸より先に手首軸が問題となる場合がある。従来技術では以上説明したような課題が解決できないという問題があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、例えばロボットのようなモータによって駆動される複数の軸を有する自動機械の全ての軸のモータと減速機に負荷される静的モーメントを検出して、過負荷状態を回避する自動機械の動作制限方法を提供することを目的とするものである。また自動機械の先端に取り付けた付加物の質量・重心位置も考慮して、自動機械の全ての軸のモータと減速機に負荷される静的モーメントを検出して、過負荷状態を回避する自動機械の動作制限方法を提供することを目的とするものである。
上記問題を解決するために、本発明は、モータによって駆動される複数の軸を有する自動機械であって、傾斜設置された自動機械の動作制限方法において、軌跡補間演算の演算周期ごとに前記自動機械が移動目標点に到達する前に、前記移動目標点において各軸に負荷される静的モーメントを求め、前記静的モーメントが前記各軸のモータあるいは減速機の定格値を超える場合には前記移動目標点への移動を禁止するものである。また、前記自動機械の先端に取り付けた付加物の質量と重心位置を考慮して、軌跡補間演算の演算周期ごとに前記自動機械が移動目標点に到達する前に、前記移動目標点において各軸に負荷される静的モーメントを求め、前記静的モーメントが前記各軸のモータあるいは減速機の定格値を超える場合には前記移動目標点への移動を禁止するものである。また、前記静的モーメントを、前記自動機械の質量、重心位置および設置角度によって求めるものである。また、前記静的モーメントを、前記自動機械の質量および重心位置と前記付加物の質量および重心位置によって求めるものである。また、前記自動機械がロボットとするものである。
本発明によると、モータにより駆動される複数の軸を有する自動機械のモータと減速機の定格超過を過大な動作制限をかけることなく防ぐことができる効果がある。また、自動機械の先端に付加物を取付けた場合にもモータと減速機の定格超過を過大な動作制限をかけることなく防ぐことができる効果がある。
以下、本発明の具体的実施例を図に基づいて説明する。
図3は本発明の実施例を示すロボットの制御プログラムのフローチャートである。図において、8はロボット制御装置の記憶部であり、記憶部8には、あらかじめ自動機械の質量11、重心位置12、設置角度13と付加物の質量14、重心位置15および各軸のモータ・減速機の定格負荷16、各軸の減速機の減速比17が入力されている。Step1で、位置指令が入力されると、Step2でロボットの動作軌跡が計算され、このとき軌跡補間演算の演算周期ごとに各軸の位置情報をStep3に送る。Step3では前記位置情報と記憶部8から読み出された自動機械の質量11、重心位置12、設置角度13と付加物の質量14、重心位置15および各軸の減速機の減速比17を用いて、ロボットの各軸に負荷される静的モーメントと各軸のモータ・減速機の定格負荷16を比較して、全ての軸について、静的モーメントが定格負荷内であれば、Step4に移って、前記位置情報を動作指令部に送って、ロボットを前記位置情報で示された位置に移動させる。いずれかの軸において、静的モーメントが定格負荷を超えていれば、Step5に移って、アラームを出してロボットを停止させる。
次にStep3における、静的モーメントを求める具体的な方法を説明する。図4は第1軸Sに付加される静的モーメントの計算方法の説明図である。図は図1と同様にロボット1が傾斜面に設置された状態を示すものであり、(a)は平面図であり、(b)は側面図である。図において、m,m,mおよびmはそれぞれ、第1アーム4、第2アーム5、手首6および付加物7の質量であり、gは重力加速度である。またr,r,rおよびrは水平面内における第1軸Sから第1アーム4、第2アーム5、手首6および付加物7の重心までの距離、つまり第1軸Sを基準とする重心位置である。この場合、第1軸Sを駆動する減速機に負荷される静的モーメントMr1は次式で与えられる。
Mr1=mgr+mgr+mgr+mgr (式1)
またこの減速機を回すモータにかかる静的モーメントMm1は減速比をR1とすると次式で求まる。
Mm1=(mgr+mgr+mgr+mgr)/R(式2)
本発明は、例えばロボットのような、モータによって駆動される複数の軸を有する自動機械の各軸を駆動するモータと減速機の定格に関連して定められる自動機械の動作範囲の制限方法として有用である。
傾斜設置されたロボットの説明図である。 付加物を取り付けたロボットの説明図である。 本発明の実施例を示すロボットの制御プログラムのフローチャートである。 本発明の実施例を示す静的モーメントの計算方法の説明図である。
符号の説明
1 ロボット、2 基部、3 旋回ヘッド、4 第1アーム、5 第2アーム、6 手首、
7 付加物、8 記憶部、11 自動機械の質量、12 自動機械の重心位置、13 自動機械の設置角度、14 付加物の質量、15 付加物の重心位置、16 各軸のモータ・減速機の定格負荷、17 各軸の減速機の減速比、S 第1軸、L 第2軸、U 第3軸、R 第4軸、B 第5軸、T 第6軸

Claims (5)

  1. モータによって駆動される複数の軸を有する自動機械であって、傾斜設置された自動機械の動作制限方法において、軌跡補間演算の演算周期ごとに前記自動機械が移動目標点に到達する前に、前記移動目標点において各軸に負荷される静的モーメントを求め、前記静的モーメントが前記各軸のモータあるいは減速機の定格値を超える場合には前記移動目標点への移動を禁止することを特徴とする自動機械の動作制限方法。
  2. モータによって駆動される複数の軸を有する自動機械の動作制限方法において、前記自動機械の先端に取り付けた付加物の質量と重心位置を考慮して、軌跡補間演算の演算周期ごとに前記自動機械が移動目標点に到達する前に、前記移動目標点において各軸に負荷される静的モーメントを求め、前記静的モーメントが前記各軸のモータあるいは減速機の定格値を超える場合には前記移動目標点への移動を禁止することを特徴とする自動機械の動作制限方法。
  3. 前記静的モーメントを、前記自動機械の質量、重心位置および設置角度によって求めることを特徴とする請求項1記載の自動機械の動作制限方法。
  4. 前記静的モーメントを、前記自動機械の質量および重心位置と前記付加物の質量および重心位置によって求めることを特徴とする請求項2記載の自動機械の動作制限方法。
  5. 前記自動機械がロボットであることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の自動機械の動作制限方法。
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