JP2005144643A - 磁気研磨用研磨材、加工液および磁気研磨用研磨材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気研磨の際に、錆が発生せず、被加工物を傷つけることがなく、かつ、被加工物に対して研磨材が偏らずに均等に作用して、良好な加工面が得られるための磁気研磨用研磨材、加工液、および磁気研磨用研磨材の製造方法を提供する。
【解決手段】研磨材1の構成を、磁性を有する磁性粉2と、この磁性粉の外面を覆って被膜を形成している樹脂4と、磁性粉に埋め込まれすくなくとも一部が磁性粉の外面より突出して樹脂の外側に露出している研磨性を有する複数個の砥粒3とにより構成する。
【選択図】図1
【解決手段】研磨材1の構成を、磁性を有する磁性粉2と、この磁性粉の外面を覆って被膜を形成している樹脂4と、磁性粉に埋め込まれすくなくとも一部が磁性粉の外面より突出して樹脂の外側に露出している研磨性を有する複数個の砥粒3とにより構成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、磁気研磨方法に用いる研磨材と、それを用いた加工液および、磁気研磨用研磨材の製造方法に関する。
磁気研磨方法は、研磨性をもつ砥粒粒子と鉄粉などの磁性をもつ磁性粉体粒子とを含む磁性砥粒を利用して各種精密研磨を行うもので、磁力で磁性粉体をワークの加工面上に引き寄せることにより砥粒をワークの加工面に接触させて加工面を研磨する加工方法である。
すなわち、磁場を発生させる工具と、この工具に離間対向して配置される被加工物との間に砥粒及び磁性粉を備える研磨材を存在させて被加工物を研磨している。加工の際に、工具から発生する磁場に、研磨材を構成している磁性粉はある程度拘束されるため、工具と被加工物とを相対移動させると、磁性粉の周囲に存在する砥粒が被加工物と摺接し、被加工物が研磨されることになる。
このような磁気研磨方法によれば、工具と被加工物とを直接的に接触させる必要がないため、従来では加工困難であった複雑な曲面の研磨や、工具が入らないほどの細穴・細溝の側面等の研磨を行うことが可能である。
研磨の際に用いられる研磨材としては、従来から以下にその一例を示すように種々のものが開示されている。例えば、磁性粉と砥粒とを無電解めっきにより一体化させる研磨材である。この研磨材によれば、無電解めっきにより砥粒が磁性粉に強固に一体化しているため、研磨中に砥粒が磁性粉から容易に分離して研磨効率が低下することを抑制することができる。(例えば特許文献1を参照)
また、磁性粉として細長い短冊状に形成したものを用いたものが示されている。このような短冊状の磁性粉を用いれば、磁性粉を通じて磁力の低下を防止することができるため、工具と被加工物との間隙を大きくすることが可能となり、位置決め精度の緩和等が可能となる。(例えば特許文献2を参照)
また、球状の磁性金属粉体の表面を樹脂(フッ素樹脂)で被覆して研磨メディア粉を形成し、この研磨メディア粉と砥粒粉と加工油材とを混練した磁性スラリー状研磨材が示されている。このような磁性スラリー状研磨材を用いれば、被研磨面の表面形状に応じて追従させて加工することができる。(例えば特許文献3を参照)
また、磁性粉及び砥粒を油脂や界面活性剤等の溶媒に混合した研磨材としたものが開示されている。この研磨材によれば、ごく微細な研磨材粒子を使用して、極めて平滑度の高い研磨面をえることができる。(例えば特許文献4を参照)
その他に、砥粒及び磁性体を焼結後、粉砕してなるもの等が知られている。
特開2002−265933号公報 (段落番号0016〜0021)
特開平4−25369号公報 (第1頁)
特開2003−89054号公報 (段落番号0042)
特開平5−8169号公報 (段落番号0013)
また、磁性粉として細長い短冊状に形成したものを用いたものが示されている。このような短冊状の磁性粉を用いれば、磁性粉を通じて磁力の低下を防止することができるため、工具と被加工物との間隙を大きくすることが可能となり、位置決め精度の緩和等が可能となる。(例えば特許文献2を参照)
また、球状の磁性金属粉体の表面を樹脂(フッ素樹脂)で被覆して研磨メディア粉を形成し、この研磨メディア粉と砥粒粉と加工油材とを混練した磁性スラリー状研磨材が示されている。このような磁性スラリー状研磨材を用いれば、被研磨面の表面形状に応じて追従させて加工することができる。(例えば特許文献3を参照)
また、磁性粉及び砥粒を油脂や界面活性剤等の溶媒に混合した研磨材としたものが開示されている。この研磨材によれば、ごく微細な研磨材粒子を使用して、極めて平滑度の高い研磨面をえることができる。(例えば特許文献4を参照)
その他に、砥粒及び磁性体を焼結後、粉砕してなるもの等が知られている。
しかしながら、上述の各研磨材にはそれぞれ以下に述べるような課題が存在する。
[特許文献1]に開示されている研磨材では、磁性粉と砥粒とを無電解めっきで磁性体の表面にニッケル、リンを主成分とする被膜を形成するため、この被膜部分の酸化による錆の発生を防ぐことが困難である。この場合、磁性粉の表面が酸化すれば、砥粒と磁性粉との密着が弱くなるため研磨効率が低下するという問題が発生する。
また、磁性粉が被加工物を傷つける可能性は低いもののニッケル等の被膜が被加工物を傷つける可能性はあり、良好な加工面が得られない怖れがある。
また、[特許文献2]に開示されている研磨材では、短冊状の磁性粉を用いているが、磁性粉の表面の酸化を防止することはできず、磁性粉の表面の酸化により、砥粒と磁性粉との密着が弱くなるため研磨効率が低下する等の原因により研磨効率が低下するという問題を解消することは出来ない。
また、[特許文献3]に開示されている研磨材では、加工中に被加工物に対して重量の異なる研磨メディア粉(磁性粉)と砥粒粉との2種類の粉体が、磁性スラリー状研磨材の中で偏在せずに均等に分布するとは限らず、加工の際に、常に均質な作用がえられることを保障することは出来ない。特にリブ溝研磨など鉛直方向にほぼ平行な面の研磨を行う際には、砥粒粉と磁性粉とが分離してしまい、思ったように研磨を行うことが困難となる。
また、[特許文献4]に開示されている研磨材では、砥粒と磁性体を分離しているタイプの研磨材であるので、上記特許文献3の場合と同様の課題がある他、磁性体が直接被加工物に当接する可能性があり、それにより被加工物を傷つけて、良好な加工面が得られない怖れがある。
また、砥粒及び磁性体を焼結後粉砕するタイプの研磨材の場合、粉砕状態によって砥粒が存在せず磁性体が剥き出しになっている面が存在し、その面により被加工物を直接傷つける可能性がある。したがって、良好な加工面が得られない怖れがある。
本発明はこれらの事情にもとづいてなされたもので、磁気研磨の際に、錆が発生せず、被加工物を傷つけることがなく、かつ、被加工物に対して研磨材が偏らずに従来よりも均等性が高く作用して、良好な加工面が得られるための磁気研磨用研磨材、加工液、および磁気研磨用研磨材の製造方法を提供することを目的としている。
本発明によれば、磁性を有する磁性粉と、この磁性粉の表面の少なくとも一部を覆って被膜を形成している樹脂と、この樹脂に一部が埋め込まれ他の一部が露出している研磨性を有する複数個の砥粒とを有することを特徴とする磁気研磨用研磨材である。
また、さらに砥粒を磁性粉まで埋め込ませても良い。
また、この樹脂の被膜の厚さは50μm以下程度が好適である。
また、磁性粉の粒径は50μm以下で砥粒の粒径は25μm以下程度でも良い。
また本発明によれば、溶媒中に研磨材を混入させて懸濁して構成した磁気研磨用加工液であって、前記溶媒は酸素イオンまたは水酸化イオンを有する分子を含む溶媒であり、前記研磨材は上記の研磨材であることを特徴とする磁気研磨用加工液である。
また本発明によれば、磁性を有する磁性粉と研磨性を有する砥粒とを混合し、前記砥粒を前記磁性粉に埋め込ませる工程と、前記砥粒が埋め込まれた磁性粉と樹脂とを混練して混練体を形成する樹脂混練工程と、前記混練体を粉砕して分級する粉砕工程とを有することを特徴とする磁気研磨用研磨材の製造方法である。
また本発明によれば、磁性を有する磁性粉と研磨性を有する砥粒と熱硬化性樹脂とを混練して混練体を形成する樹脂混練工程と、前記混練体を所定の形状に圧縮成形して成形体を形成する圧縮成形工程と、前記成形体に熱処理を施す熱処理工程と、熱処理の施された前記成形体を粉砕して分級する粉砕工程とを有することを特徴とする磁気研磨用研磨材の製造方法である。
また本発明によれば、磁性を有する磁性粉と研磨性を有する砥粒と熱可塑性樹脂とを混練して混練体を形成する樹脂混練工程と、前記混練体を所定の形状に押出し成形して押出し体を形成する押出し成形工程と、前記押出し体を粉砕して分級する粉砕工程とを有することを特徴とする磁気研磨用研磨材の製造方法である。
本発明によれば、研磨の際に錆が発生せることを抑制可能であり、その上被加工物の傷つけをも抑制することが可能となり、かつ、被加工物に対して研磨材が均等性良く作用して良好な加工面を得ることのできる磁気研磨用研磨材とそれを用いた加工液が実現できる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
本発明は、磁気研磨の際に使用する研磨材と、それを用いた加工液に関して、(イ)研磨の際に、用いている磁性粉等に錆が発生しない。(ロ)研磨の際に、磁性粉等により被加工物に傷をつけることがない。(ハ)研磨中に、被加工物に対して磁性粉と砥粒とが偏らずに均等に作用できる。という条件を同時に満足することを検討して実現したものである。
図1は、本発明の研磨材の模式説明図である。研磨材1は、磁性粉2と、この磁性粉の表面を覆って被膜を形成している樹脂4と、この樹脂4ならびに磁性粉2に一部が埋め込まれ、他の一部が露出している複数個の砥粒3とから構成されている。
磁性粉2は、例えば、磁性を有するFe系材料の鉄、酸化鉄などの強磁性体の粉末や短繊維を使用し、粒径は50μm程度以下のものを用いている。
砥粒3は、硬質で研磨性を有する粉体、例えば、ダイアモンド、アルミナ、シリカ、酸化セリウム、酸化クロムなどの粉体を使用することができる。砥粒3の粒子の粒径は25μm以下が好ましく、特に5μm以下のものを用いることが好ましい。
バインダとして用いる樹脂4は、熱硬化性樹脂4a(フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル等)あるいは、熱可塑性樹脂4b(ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリエチレン等)であり、磁性粉2の外面に形成された樹脂4の被膜の厚さは1μm以上であり、厚くとも50μm程度である。
これらの構成による研磨材1は、磁性粉2の外面が突出した砥粒3と樹脂4の被膜により覆われているので、磁性粉2の錆の発生を防止することができ、常に安定した研磨材1として用いることができる。また、加工の際に、磁性粉2が被加工物に接触することは少ないので、磁性粉2が被加工物へ傷をつけたりして損傷することを防止することができる。また、砥粒3の一部は磁性粉2に埋め込まれているので、研磨の際に砥粒3が容易に磁性粉2から離脱することを抑制することが可能となる。
なお、上述の研磨材1は、磁性粉2の外面は、樹脂4あるいは砥粒3により覆われており、磁性粉2の剥き出し部分は存在しないことになっているが、後述する製造方法によっては、磁性粉2の外面の一部に剥き出し部分は存在することもある。
また、同様に砥粒3の外面に樹脂4が覆われている場合も発生する。
また、砥粒3が磁性粉2まで到達しない場合もある。
このような場合は、加工性能は幾分低下する。
例えば、磁性粉2の外面の一部が樹脂4で覆われずに露出する場合は、露出部分が被加工物を傷つける可能性や砥粒3の離脱が容易になる可能性はあるものの、研磨材として使用することは可能である。
また、砥粒3が樹脂4で覆われている場合は、そのような砥粒3は研磨に作用しないものの、他の砥粒3が研磨に作用すれば、研磨材として使用することは可能である。
また、砥粒3が磁性粉2まで到達しない場合は、砥粒3の離脱が容易になるものの研磨材として使用することは可能である。
また、磁気研磨用加工液(不図示)としては、溶媒中に研磨材1を混入させて懸濁させて懸濁液を構成する。すなわち、上述の研磨材1に水酸化イオン又は酸素イオンを有する分子を含む溶媒として、例えば、水酸化ナトリウム水溶液や過酸化水素水を用いることが可能である。この場合、被加工物に対して機械的研磨作用の他に、化学的研磨作用を用いることが可能となる。酸性の溶媒かアルカリ性の溶媒かは、被加工物に応じて適宜選択可能である。
この磁気研磨用加工液は、溶媒に対して1種類の研磨材1のみを用いているので、永久磁石で構成された加工工具に対する関係を、図2に側面図、図3に平面図を示すと、加工中に被加工物5に対して、加工工具6に磁気的に吸引された研磨材1は、図2に示した加工工具6のZ方向には略均等に、また、図3に示したように、加工工具6のXY方向には磁力線mの強度分布に応じて、ほぼ一定の分布で吸引されている。加工工具6は、図4に示したように、矢印A方向に回転して被加工物5を加工するので、被加工物5に対しては、研磨材1は常に一定の関係で加工を施している。それにより、常に、加工工具6に吸引された研磨材1は被加工物5に対して均質な加工をおこなうことができる。
なお、上述の場合は、加工工具6として、棒状の永久磁石による工具を用いたが、代わりに、棒状の電磁石からなる加工工具(不図示)を用いることもできる。その場合は、例えば、軟鋼製の回転軸(加工工具)とコイルと直流電源とで構成し、直流電源でコイルに直流電流を流すことによっては回転軸に磁界が作用し、回転軸が電磁石になる。それを用いて同様に磁気研磨加工を行うことができる。
次に、上述の研磨材1の製造方法についての一例を2つの実施例として説明する。なお、以下の実施例で製造プロセスで用いる、混練装置、圧縮(押出し)成型機および熱処理装置、分級手段等は、一般に用いられている装置や手段を用いているので、その個々の説明は省略する。なお、名称と符号については、図1乃至図4で用いたものを援用している。
図5は、バインダの樹脂4に熱硬化性樹脂4a(フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル等)を用いた場合である。
まず、磁性粉2として、Fe系材料の鉄、酸化鉄などの強磁性体の粉末で、粒径が50μm程度以下のもの、砥粒3として、ダイアモンド、アルミナ、シリカ、酸化セリウム、酸化クロムなどの粉体で、粒径は数μm程度のものを準備し、熱硬化性樹脂4a(フェノール樹脂,エポキシ樹脂、ポリエステル等)と混練した樹脂混練工程を行う。この場合、磁性粉2と砥粒3との分布量の比は、磁性粉2が1個に対して砥粒3が10個程度である。(S1)
次に、磁性粉2と砥粒3と熱硬化性樹脂4aが混練された混練体を圧縮成型機(不図示)により、予め定められている任意の形状に成形する圧縮成形工程を行う。図6に模式図で示したように、この圧縮成形体7の状態では、熱硬化性樹脂4aの中に、磁性粉2の表面や表面以外の部分に砥粒3が分散されている。(S2)
次に、圧縮成形機から圧縮成形体7を取り出して、熱処理炉(不図示)により熱処理を施し、常温での圧縮成形体7を形成する熱処理工程を行う。(S3)
次に、圧縮成形体7を粉砕機(不図示)で細かく粉砕する粉砕工程を行う。その粉砕により、図1に示したような磁性粉2から砥粒3が露出して突出した状態で、磁性粉2の外面を被覆した樹脂4によるバインダにより一体化されて研磨材1が製造される。さらに、製造された研磨材1を分級して所定の粒径の研磨材1を得る。(S4)
次に、磁性粉2と砥粒3と熱硬化性樹脂4aが混練された混練体を圧縮成型機(不図示)により、予め定められている任意の形状に成形する圧縮成形工程を行う。図6に模式図で示したように、この圧縮成形体7の状態では、熱硬化性樹脂4aの中に、磁性粉2の表面や表面以外の部分に砥粒3が分散されている。(S2)
次に、圧縮成形機から圧縮成形体7を取り出して、熱処理炉(不図示)により熱処理を施し、常温での圧縮成形体7を形成する熱処理工程を行う。(S3)
次に、圧縮成形体7を粉砕機(不図示)で細かく粉砕する粉砕工程を行う。その粉砕により、図1に示したような磁性粉2から砥粒3が露出して突出した状態で、磁性粉2の外面を被覆した樹脂4によるバインダにより一体化されて研磨材1が製造される。さらに、製造された研磨材1を分級して所定の粒径の研磨材1を得る。(S4)
図7は、バインダの樹脂4に熱可塑性樹脂4b(ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリエチレン等)を用いた場合である。
まず、磁性粉2として、Fe系材料の鉄、酸化鉄などの強磁性体の粉末で、粒径が50μm程度以下のもの、砥粒3として、ダイアモンド、アルミナ、シリカ、酸化セリウム、酸化クロムなどの粉体で、粒径は数μm程度のものを準備し、熱可塑性樹脂4b(ポリプロピレン,ポリスチレン,ポリエチレン等)と混練した樹脂4に混練工程を行う。この場合、磁性粉2と砥粒3との分布量の比は、磁性粉2が1個に対して砥粒3が10個程度である。(S11)
次に、磁性粉2と砥粒3と熱硬化性樹脂4aが混練された混練体(不図示)を押出し成型機(不図示)により押出して、磁性粉2と砥粒3と熱可塑性樹脂4bが混練された押出し体を形成する押出し工程を行う。この押出し体の状態では、磁性粉2の表面や表面以外の部分に砥粒3が分散されている。(S12)
次に、押出し成型機(不図示)から押出し体を取り出して、粉砕機で細かく粉砕する粉砕工程を行う。その粉砕により、図1に示したような磁性粉2から砥粒3が露出して突出した状態で、磁性粉2の外面を被覆した樹脂4によるバインダにより一体化されて研磨材1が製造される。さらに、製造された研磨材1を分級して所定の粒径の研磨材1を得る。(S13)
なお、この実施例では樹脂4として熱可塑性樹脂4bを用いたが、熱可塑性樹脂4bの代わりにウレタン系等のゴム系樹脂を用いることもできる。
次に、磁性粉2と砥粒3と熱硬化性樹脂4aが混練された混練体(不図示)を押出し成型機(不図示)により押出して、磁性粉2と砥粒3と熱可塑性樹脂4bが混練された押出し体を形成する押出し工程を行う。この押出し体の状態では、磁性粉2の表面や表面以外の部分に砥粒3が分散されている。(S12)
次に、押出し成型機(不図示)から押出し体を取り出して、粉砕機で細かく粉砕する粉砕工程を行う。その粉砕により、図1に示したような磁性粉2から砥粒3が露出して突出した状態で、磁性粉2の外面を被覆した樹脂4によるバインダにより一体化されて研磨材1が製造される。さらに、製造された研磨材1を分級して所定の粒径の研磨材1を得る。(S13)
なお、この実施例では樹脂4として熱可塑性樹脂4bを用いたが、熱可塑性樹脂4bの代わりにウレタン系等のゴム系樹脂を用いることもできる。
上述の各実施例で製造された研磨材1で、磁性粉2を覆っている樹脂4(熱硬化性樹脂4aまたは熱可塑性樹脂4b)の被膜の膜厚は、数μm〜数10μm程度が好ましいが、何れも、樹脂4を成形した後に粉砕する方法をとっているので、厳密な厚み制御は難しき、多少のばらつきは不可避であるが、実用上は特に問題は無い。
また、各成形された樹脂(熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂)を粉砕機にかけ粉砕した後に、更に細かく粉砕するためには、乳鉢と乳棒を用いて加工することもできる。
上記実施例1、2においては、砥粒3と磁性粉2が一体化しないものも多く見受けられた。その理由は、砥粒3が樹脂4内に広く分散してしまい、必ずしも砥粒3の近傍に存在しないためであると考えられる。そこで本実施例では、砥粒3と磁性粉2との一体性を向上させた研磨材の製造方法を提供する。なお、各符号については各実施例で用いた図面の符号をそのまま援用している。
具体的には、まず樹脂4を伴わない状態で、砥粒3と磁性粉2とを混合する。具体的には、乳鉢等を用いて磁性粉2と砥粒3を接触させる方向に作用する力を加える。この工程により、一部の磁性粉2に砥粒3が埋め込まれることとなる。
その後、樹脂4と、砥粒3が埋め込まれた磁性粉2(砥粒3が混合されていない磁性粉2も存在する)とを混練して混練体を形成する。その後は、上記実施例1や2と同様に、熱等を加えたり成形等を行った後に、粉砕して分級する。
分級後さらに、磁力を用いて磁性粉2を含まない粒子(砥粒3のみの粒子や、樹脂4のみの粒子)を分別してもよい(この点に関して実施例1や2にも適用することが可能である)。
このような研磨材の製造方法によれば、砥粒3を磁性粉2に好適に埋め込まれた研磨材を製造することが可能となる。
なお、上記他の実施例と同様に本実施例も種々変形可能である。
1…研磨材、2…磁性粉、3…砥粒、4…樹脂、4a…熱硬化性樹脂、4b…熱可塑性樹脂、5…被加工物、6…加工工具、7…圧縮成形体
Claims (9)
- 磁性を有する磁性粉と、この磁性粉の表面の少なくとも一部を覆って被膜を形成している樹脂と、この樹脂に一部が埋め込まれ他の一部が露出している研磨性を有する複数個の砥粒とを有することを特徴とする磁気研磨用研磨材。
- 前記砥粒は、一部が前記磁性粉に埋め込まれていることを特徴とする請求項1記載の磁気研磨用研磨材。
- 前記樹脂は、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の磁気研磨用研磨材。
- 前記磁性粉の外面を覆って樹脂の被膜の厚さは1μm〜50μmであることを特徴とする請求項1記載の磁気研磨用研磨材。
- 前記磁性粉の粒径は50μm以下で、前記砥粒の粒径は25μm以下あることを特徴とする請求項1記載の磁気研磨用研磨材。
- 溶媒中に研磨材を混入させて懸濁して構成した磁気研磨用加工液であって、前記溶媒は水酸化イオン又は酸素イオンを含む溶媒であり、前記研磨材は請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の研磨材であることを特徴とする磁気研磨用加工液。
- 磁性を有する磁性粉と研磨性を有する砥粒とを混合し、前記砥粒を前記磁性粉に埋め込ませる工程と、
前記砥粒が埋め込まれた磁性粉と樹脂とを混練して混練体を形成する樹脂混練工程と、
前記混練体を粉砕して分級する粉砕工程と
を有することを特徴とする磁気研磨用研磨材の製造方法。 - 磁性を有する磁性粉と研磨性を有する砥粒と熱硬化性樹脂とを混練して混練体を形成する樹脂混練工程と、
前記混練体を所定の形状に圧縮成形して成形体を形成する圧縮成形工程と、
前記成形体に熱処理を施す熱処理工程と、
熱処理の施された前記成形体を粉砕して分級する粉砕工程と
を有することを特徴とする磁気研磨用研磨材の製造方法。 - 磁性を有する磁性粉と研磨性を有する砥粒と熱可塑性樹脂とを混練して混練体を形成する樹脂混練工程と、
前記混練体を所定の形状に押出し成形して押出し体を形成する押出し成形工程と、
前記押出し体を粉砕して分級する粉砕工程と
を有することを特徴とする磁気研磨用研磨材の製造方法。
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