JP2005144397A - 柄付与担体及び柄付与用着色剤並びに柄付与方法 - Google Patents

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吉朗 遠藤
Kazuhiko Watanabe
一彦 渡辺
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Abstract

【課題】木目柄など天然の柄模様を極自然風に被加工物の表面に付与することができ、しかもその付与作業が極めて容易で作業者に熟練を全く要しない技術を提供する。
【解決手段】被加工物の表面に模様状の液状着色剤を付与する柄付与担体であって、この担体の表面には液状着色剤を担持する第1の部分17と、前記第1の担持部17よりも低い着色剤担持力を有する第2の部分18とが形成され、第1及び第2の部分により原柄を形成することを特徴とする柄付与担体。被加工物に前記柄付与担体を当接させ被加工物表面に模様状の着色剤を付与する方法であって、被加工物に柄付与担体を当接させ被加工物表面に模様を付与する第1の柄付与工程と、液状着色剤が流動状態にある間に柄付与担体を当接させ前記第1の柄付与工程で付与した柄の一部を含む被加工物表面に模様を付与する第2の柄付与工程とからなる柄付与方法。
【選択図】図5


Description

この発明は、装飾パネル等に天然木目等を模した柄を付与するための器具、柄を形成する着色剤及び柄を付与する方法に関する。
日用の調度品などには、古くから天然の素材の持つ意匠的効果を利用した装飾が行われており、ローズウッド、大理石などの持つ外観を効果的に配する様々な工夫が行われてきた。
一方、三次元的に形成された複雑な形状の物品を容易かつ廉価に製造する方法として、プラスチックを射出成形等の工法で利用することが、一般雑貨、家具或は自動車部品などで行われ、単一色あるいは複合成形による複数の材料を組み合わせるなどして、大量生産に適用されてきた。
しかしながら、樹脂による簡素であっさりした製品外観は、成形品の素肌をそのまま外観とする場合はもちろん、一般的な塗装などによってもプラスチックであることの質感の域から出ないもので、いわゆる高級感を得たいとするニーズには応えることができなかった。そこで、プラスチックであることの質感や安物感を払拭すべく、上記天然材料と樹脂とを組み合わせる技術、例えば、自動車の内装パネルの基材をABSなどの樹脂で成形し、それにアルミの薄板を重ね、さらにその上にスライスした柾目などの木目の表れた天然木を積層したものとする技術も実施されてきた。また、同様に樹脂で内装パネルを形成し、液圧転写法によって、印刷柄を付与する方法で、上記の天然素材に類する外観を得る技術も行われている。
しかし、これらの技術にあっては、天然素材をスライスして積層するとの煩雑な工程を伴い、製品コスト低減が困難であるとの問題がある。天然素材の入手は今後益々難しくなる傾向にあり、森林の保護等の観点とコストの面から今後に大きな課題を有している。また、上記転写法による場合、印刷柄に微細なドットが見られることがあり、また複雑な製品形状により柄の伸びや切れが発生しやすく、質感や製造歩留まりの点で問題があった。
そこで本件発明の発明者は、先に上記天然素材や転写技術によらず、人工的に木目等の柄を製品表面に形成させる技術を開発している(
特開平10−219179号公報)。 この技術は、水性の柄形成液を使用して柄を手書きする方法によるもので、柄形成液は、黄色、赤色の染料に黒色カーボン、澱粉、膠、香料等を配合した茶褐色の水溶性液体である木目専用液であり、その使用方法は、下地処理後黄白色塗装を施した施工対称素材の表面に専用筆で好みの木目模様を描き、専用に調色した着色塗料で好みの色調に着色することを要旨とし、さらに製品として仕上げるについては、上塗り用クリヤー塗料を塗布し、仕上げ用ポリッシュで磨く。これに依って完成度の高い木目模様を表現することを可能とする。このようにして形成された柄は、天然素材によらず完全に人工的に形成されたにもかかわらず、天然木等に匹敵する、あるいは天然木よりも自然とまで言われる、きわめて良好な外観を呈する点で優れている。 特開平10−219179号公報
上記技術はしかしながら、木目描き出し技術が僅かの練習で誰にでも容易に出来るとはいえ、やはりある程度の練習訓練期間が必要であって、習熟の度合いによる柄の質感を一定水準以上にするのが必ずしも容易とはいえない。また、柄を描く個々の作業者の技量の違いによる質感のばらつきもあり、作業者の素質、いわゆる「絵心」、「センス」と無関係ではない。これを工場規模で実施する場合、高齢者や在宅内職者などの労働力を活用する場合、あるいは海外に工場建設をする場合などの種々の事業展開を考慮すると、工業的生産には必ずしも十分に適合できるものとはいえなかった。
本発明は、こうした実情の下に、木目柄など天然の柄模様を極自然風に被加工物の表面に付与することができ、しかもその付与作業が極めて容易で作業者に熟練を全く要しない技術を提供することを目的とするものである。
上記従来技術の課題を解決するため、発明者らは鋭意開発を行った結果、手描きによる習熟度合い等のばらつきを解消することのできる、容易で再現性のよい柄付与担体、それにマッチする着色剤、及び柄付与方法に係る技術を開発し本件発明完成に至った。すなわち、本件発明の要点は、
(1)被加工物の表面に模様状の液状着色剤を付与する柄付与担体であって、この担体の表面には液状着色剤を担持する第1の部分と、前記第1の担持部よりも低い着色剤担持力を有する第2の部分とが形成され、第1及び第2の部分により原柄を形成することを特徴とする柄付与担体、
(2)担体は熱可塑性樹脂の繊維体からなり、加熱して第2の部分を形成したことを特徴とする(1)の柄付与担体、
(3)担体は回転ローラーである、(1)または(2)いずれかの柄付与担体、
(4)回転ローラーは複数のローラー部が並列され、少なくとも一のローラー部は回転軸を偏心されることを特徴とする(3)に記載の柄付与担体、
(5)前記(1)乃至(4)いずれかの柄付与担体に適用する液状着色剤であって、この液状着色剤は、少なくとも赤色及び黄色の染料を含む染料混合物と、カーボンとを含み、染料混合物とカーボンとを10:1〜40:1の乾燥比率で混ぜ合わせた水性インクであることを特徴とする柄付与用着色剤、
(6)染料混合物は、さらにパールマイカを含むことを特徴とする(5)に記載の柄付与用着色剤、
(7)前記(1)乃至(4)の柄付与担体を使用して被加工物に柄付与担体を当接させ被加工物表面に模様状の前記(5)又は(6)の着色剤を付与する方法であって、被加工物に柄付与担体を当接させ被加工物表面に模様を付与する第1の柄付与工程と、液状着色剤が流動状態にある間に柄付与担体を当接させ前記第1の柄付与工程で付与した柄の一部を含む個所に被加工物表面に模様を付与する第2の柄付与工程とを含む柄付与方法、にある。
本発明により複雑で微妙な模様、濃淡分布を有する自然素材風の図柄を被加工物表面上に極めて容易に形成することができる。すなわち、その図柄付与作業のための格別の習熟を必要とせず、作業者の熟練度、大量生産における個々の作業者の素養の差異による製品バラツキを押え、質の揃った柄付き製品を大量に生産できるとともに、生産効率を高めることができる。
本発明の柄付与担体においては、着色剤担持力が相対的に高い第1の部分と、同相対的に低い第2の部分とから原柄を構成することが重要である。
第1の部分により、多くの着色剤を保持でき、これにより被加工物に対してより高濃度の柄の転写が可能となる。一方、第2の部分では、着色剤の担持力が相対的に低いので、より少ない着色剤を保持するにとどまり、被加工物に対して低濃度の柄を転写することとなる。その結果、微妙な濃淡を加わった柄を形成でき、自然素材風の模様を発現することができる。また、第1および第2の部分は、すでに着色剤が塗布され、まだ流動性を保持している間に、その塗布面に接触させれば、その面から逆に着色剤を拭い取ることとなるが、その作用も第1の部分と第2の部分とでは相違が現れるので、この場合にも同様に微妙な濃淡模様が付加された図柄が形成される。
こうした作用を発現する本発明の柄付与担体を使用することにより、上記従来技術の実施上の課題を解決し、格別の習熟期間を必要とせず、大勢の作業者のチームを編成した場合でも、高齢者や在宅内職者でも、また外国の労働力によっても、個々の素質や作業場所、言葉及び各国の歴史文化の壁を容易に克服して、柄の質感のばらつきを抑制し、本技術を円滑に事業展開できるものである。
すなわち、(1)の発明にあっては、被加工物の表面に模様状の液状着色剤を付与する柄付与担体表面に液状着色剤を担持する第1の部分と第2の部分を形成し、これら2つの部分の着色剤担持力の高低により、液状着色剤の被柄付与体表面に液状着色剤の好ましい自然な濃淡分布を作業の習熟を要することなく容易に形成でき、作業時間が短縮される。そして、こうした効果を一層高めるように前記第1、第2の部分を組み合わせて図柄を構成することが好ましい。
また、担体を使用するための形態としては、略平面や単純凸面などをなすスタンプ体、タンポなど、あるいは回転体、例えば円柱、角柱、裁頭円錐などの種々の形態がとれ、単一または複数個並列に配するなどすることができる。
(2)の発明にあっては、(1)の効果に加えて、担体は熱可塑性樹脂の繊維体からなり、加熱して着色剤担持力の低い第2の部分を形成したので、第2の部分形成作業が容易に行え、担体の量産性がよい。
(3)の発明にあっては、(1)または(2)いずれかの奏する効果に加えて、担体として回転ローラーとしたので、被柄付与体表面にローラーをころがすだけで、液状着色剤の柄形成のための好ましい分布を習熟を必要とせず、誰でも容易に製造作業に従事でき、とりわけ単純形状の被柄付与体において柄付けに要する時間も大幅に短縮される。
(4)の発明にあっては、(3)の奏する効果に加えて、回転ローラーを複数のローラー部が並列されて構成し、少なくとも一のローラー部は回転軸を偏心したので、被柄付与体表面に対するローラーの押圧力が回転に伴って変化し、液状着色剤の濃淡分布変化の起因となって、分布に偶然性を付加し、より一層の自然な柄の形成を助長することができる。
(5)の発明にあっては、前記(1)乃至(4)いずれかの柄付与担体による柄発現に適する液状着色剤であって、少なくとも赤色及び黄色の染料を含む染料混合物と、カーボンとを含み、染料混合物とカーボンとを10:1〜40:1の乾燥比率で混ぜ合わせた水性インクとしたものである。水性インクにはこの他バインダー成分として膠を含む。その含有率は好ましくは7%程度である。この水性インクを用いて前記(1)乃至(4)の器具による柄が好適に形成される。染料混合物とカーボンとを配合する比率は上記範囲が好ましい。10:1よりも染料混合物の割合が小であるとカーボンが柄に表面に浮く状態になり色目が黒っぽくなるとともに、色分かれがしずらくなり、本発明の柄付与担体を使用した柄付けが困難となり、また40:1よりも染料混合物の割合が大きいと明度が高まり、最終的に形成される柄が曖昧で深みがなくなり、いずれも本発明の目的とする柄形成上好適でない。
さらに(5)の発明に(6)の発明にあるように、染料混合物をさらにパールマイカを含むようにしてもよい。パールマイカが柄に濃部に多く淡部に少なく分布され、メリハリが効いた立体感のある柄とすることができる。
(7)の発明は、前記(1)乃至(4)の柄付与担体を使用して被加工物に柄付与担体を当接させ被加工物表面に模様状の前記(5)または(6)の着色剤を付与する工程で、被加工物に柄付与担体を当接させ被加工物表面に模様を付与する第1の柄付与工程と、液状着色剤が流動状態にある間に柄付与担体を当接させ前記第1の柄付与工程で付与した柄の一部を含む個所に被加工物表面に模様を付与する第2の柄付与工程とを行う柄付与方法で、第1の柄付与工程で形成した柄が流動状態にある間に第2の柄付与工程を施し、先に形成した柄の一部において再度液状着色剤の分布を形成させるので、担体の面積が被加工物表面の面積の一部しかカバーできない場合でも、複数回に分けて柄を付与でき、1の回の柄付与と他の回の柄付与の付与範囲を一部重複させて各回ごとの柄の不連続部分の形成を解消し、全体として一体の柄を形成できる。重複部分が一定条件にならない任意の乱れを生起し、一層天然物に近似の柄を表現できる。
本発明の最良の実施の態様について、具体的な実施例に基づき説明する。
実施例1
図1は、自動車の室内の一例を示す斜視図。センタークラスターC、コンソールフィニッシャパネルA、ハンドルS、パワーウィンドウフィニッシャP、センターアームレストのフィニッシャーFなどを構成する樹脂部分に本願の発明を適用して木目柄を付与してある。
これらの例示した自動車の内装部品の中から、ハンドルSの場合について以下に説明する。
図2はハンドルSを運転者側から見た図で、リム部101の一部に硬質樹脂であるABS樹脂を射出成形した硬質部102、103と、発泡ポリウレタンをRIM成形しスポーク部110と造形上一体に形成した軟質部104、105が本革などの表皮107により被覆されて構成される。
図3は、芯金の成形過程における中間の形状を示す図であり、図2と同一の側から見た図である。芯金部120は、例えばマグネシウム合金をダイカスト成形したもので、これを射出成形金型にインサートして硬質部102、103を一体に形成している。硬質部102、103は、各両端部にリブ108と溝109を一体に成形して、表皮107の端末を木目込むようになっている。
上記硬質部102、103に木目柄を付与する方法について説明する。
図4、図5に示すように、握り部11、鍵状のシャフト部12、スラブ成形ウレタンスポンジから円柱状に切り出し中心部にシャフト部12を挿通させるようにしたローラー本体部13、そのローラー本体部13の外周面14に接着層15を介して貼りつけた柄付与担体としての柄付きパッド16などからローラー10が構成される。柄付きパッド16は、例えば2mm厚のレーヨンとアクリルの6:4混紡の不織布から製作され、繊維の太さは3デニール(d)としてある。レーヨン・アクリル混紡の他、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ポリプロピレンなどの樹脂の1種または2種以上を混紡したものが利用でき、厚さ及び繊維の太さも用途により0.5乃至5mm程度、1d乃至8d程度のものから適宜選択することができる。
図5に示すように、柄付きパッド16は、吸水性の大なる第1の部分である凸部17と、吸水性の小なる第2の部分である凹部18とを、図4に概念的に示すように、不整の曲線状の凹凸として形成してある。凹凸の付与方法は、例えば、模様のデッサンを鉛筆等で描き、そのデッサン模様に沿ってアイロン、熱コテなどを押し当てて空隙の大きな状態の不織布を局所的に暖め、圧縮して凹部18として形を付ける。冷えた後には、図5などにあるような所定のパターンが形成されることとなる。アイロンは先端を熱コテと同様に適用するほか、アイロンのプレス面に不整の線を模して変形させた金網を貼り付ける等の装置を使用してもよく、あるいはエッチングなどの方法で金属プレート面に不整の柄を有する型を形成し、この柄面を不織布に押し当てて型を超音波振動させることにより、同様のパターンを形成することもできる。その他、レーザー光線等を照射しながら照射点を不整に動かしてパターンを形成してもよいなど、種々の方法を利用できる。凸部17は厚みが大で吸水性が大きく、凹部18は繊維が溶融して嵩が下がり、吸水性は凸部17よりも有意に小さい。
ハンドルSに木目柄を付与するために使用する着色剤としては、赤、黄の染料にカーボンを混ぜ合わせ茶色の色調が出る水性インクを使用した。
例えば、赤と黄を5:5で混ぜ、これにカーボンを1の割合で混ぜたもの(赤:黄:カーボン=5:5:1)は、茶色になり、ローズウッド調の木目の場合に使用すれば意匠効果が高くなる。色調は各色とカーボンの比率や、染料として青と赤又は黄のいずれかと置換し、あるいは赤、青、黄の3色を混ぜ合わせて使用するなどで適宜調整するのがよい。
また、これらにパールマイカを混合してもよい。パールマイカは微量乃至少量とするのが効果的で、柄の深みが増すとの効果がある。例えば水性インクとパールマイカを乾燥比率で999:1乃至9:1で混合する。999:1よりも小では輝度感がなく意匠上の効果が見られず、9:1を超えると輝度感が強過ぎて模様が不自然となり、却って効果的でないし、インクの粘性が高まり、色分かれが抑制される傾向になって好ましい柄ができにくくなり、好ましくない。
木目柄を付与する工程について、図6に基づき説明する。
ハンドルSの硬質部102、103にアンダーコートをスプレーガンなどの常用の手段で付与する。アンダーコート21は、水性インクの色調である茶色と同系色でより高い明度のものとしてクリーム色を選択し、硬質部102、103の材質であるABSに対する十分な密着強度を有する2液ウレタン系の塗料を使用した。なお、硬質部102、103を成形するABS樹脂ペレットに予め上記の着色しておく、またはマスターバッチ法により成形と同時に着色する等でクリーム色を得れば、必ずしもアンダーコートは必須でない。
次に、アンダーコート21の表面を研磨する。ABS樹脂は非結晶性樹脂とはいえ、水性インクを弾くことがあり、また、アンダーコートを付与しないケースでは成形金型面の油分、離型剤等の影響もあり得るので、水性インクが弾かれないように、細目の紙やすりや研磨剤入りスポンジ、クレンザー等で研磨する。例えば、紙やすりとしては、1000番、2000番程度のものを選択できるし、作業性や紙やすりの目詰まりを考慮して少し粗めの番手が適用できる場合には、800番、600番などの紙やすりを選ぶのがよい。また、化学的処理により、所望の表面処理効果を得ることができる。すなわち、トルエン、キシレンなどを主に含むシンナーを使用して布ワイプすることもできる。水性インクは純水よりも表面張力が小さく、純水がまだ水玉になる程度の処理でも、実用的には十分となる場合がある。
次に柄付け工程を行う。
硬質部102、103の表面に、水で10〜100倍に希釈した濃色水性インク20を刷毛などで全面に塗りつける。次に、図4に示したローラー10の柄付きパッド16に予め水で10〜100倍に希釈した淡色の水性インクを吸収させ、外周面14を硬質部102,103のアーチ状をなす周方向(図3の矢印R方向)に転がすようにして柄をつける。
外周面14は図7に示すように、数回に分けて、隙間なく淡色水性インクの柄をつけて柄層22を形成させる。淡色水性インクは乾かない状態で場所により複数回外周面14により柄が付与され、また濃色水性インクが付与された箇所に外周面14が再接触して逆に拭き取られることもある。このため、柄付きパッド16上でも当初から付着していた淡色水性インクと後から付いた濃色水性インクとの関係でランダム柄が形成される。これがアンダーコート21に再接触して一層ランダムな条件になっていく。また濃淡ニ色の水性インクはアンダーコート21上で互いに自発的な混ざり合いをする。これがグラデーションとなり自然な柄の形成を助長する。このようにして人工的にランダム性・偶然性・深み・味わいのある柄が形成される。
なお、図6は説明のために柄層22に濃淡を付けて相当の厚みを付けた模式図としてあるが、実際はきわめて薄い層であり、アンダーコート21がほとんど直接見える箇所も極めて多い柄となっており、アンダーコート21を隠蔽する作用はさほど大きくない。
次にカラークリアー23とトップクリアー24を順次前記スプレーガンなどを使用し各層形成毎に熱乾燥させる工程を経て付与する。なお、カラークリアー23は柄層22を形成する水性インクの色調(ひいてはアンダーコート21の塗料の色調)と同系色の透明塗料を使用し、トップクリアー24はカラークリアー23との密着性と耐受傷性、耐薬品性、耐光性を考慮した塗料選択とする。カラークリアー23により木目柄としてのより自然なコントラストができ、トップコートにより木目柄の保護を図るとともに一層の深み感が出せる。なお、塗装工程においていわゆるゴミ・ブツによる不良品が出ることがあるが、トップコートに研磨等の修正を加えて再塗装することにより、カラーコートを削り込まなくて済み、修正箇所における色調の変化が起こらず好ましい。
また、上記の実施例では、濃淡2色の水性インキを使用したが、アンダーコート21に濃色の水性インキのみを吸着した外周面14をころがして柄を付与しても、ランダムかつ自然な木目柄を形成できる。筆などにより一本づつ線を入れていく先行技術文献にあるような作業方法に較べて柄付けに要する時間は大幅に短縮され、例えばハンドル1本にかかる柄付け時間は、筆のみを利用した場合6分以上かかっていたものが、半分以下の3分程度でできることが確認されている。もちろん、これらの時間は相当に習熟した作業者による場合の値であり、初心者においてはこの差は各段に大きいものである。
実施例2
図9に示すように、ローラー本体部13に接着剤をランダムな線状に付与して低吸水部19を形成し、水性インクの移行性を変化させることにより、先の実施例の不織布における凹凸の効果に類似の効果を得ることができる。すなわち、低吸水部19と19との間の高吸水部によりアンダーコートを拭い取り、柄層を22を形成することもできる。
実施例3
淡色水性インクに代えて単なる水を外周面14に含ませて硬質部102、103の表面を転がしてもよい。水により濃色水性インクが希釈され硬質部102、103の地色が透過し、それで木目柄になる(図8)。
また、水さえも付けない乾いた外周面14を硬質部102、103の表面に当てて転がして柄層22を形成してもよい。すなわち、濃色水性インクが凸部17に接した箇所で多く拭き取られ硬質部102、103の地色が表れ、一方凹部18に対応する個所ではほとんど拭き取られないので、くっきりとした柄を好む場合にこの方法を利用するのがよい。
なお、ハンドルSのリム部101のアーチ形状に沿って柄を付与するので、回転ローラーを適用したが、本発明はこの形態に限定されない。例えば、平面状の不織布に熱コテにより柄を付与し、スタンプ状の器具の当て面に貼りつけるようにしてもよい。スタンプ状の器具は、木目等の柄を付与すべき品物の大きさや形状により適宜面積や凹面にするか凸面にするかなどを選択すればよい。
実施例4(図10)
円筒状をなすローラー本体41、42にそれらの中心軸から外してシャフト12を通すための軸41a、42aを各設けた。表面にパターンを熱コテで付与した柄付きパッド16を取付け、この2つの芯ずれしたローラー本体を串刺し状にシャフト12に通し、ローラー本体41、42が相互にずれないように固定した。このようにして構成したローラー30に淡色水性インクを吸着させ、図11に示すように、コンソールフィニッシャパネルAに、前記実施例1に準じて柄をつけた。ローラー本体41、42が転がるとき、芯ずれしたローラー本体41、42がコンソールフィニッシャーパネルAの意匠面50に当る押圧力が不均一になり、柄のランダム性など先の実施例にて説明した柄の形成が助長される。なお、ローラー本体は円柱とするほか、多角注、あるいは裁頭円錐などの形状を選択することもできる。
自動車室内の一例を示す斜視図。 ハンドルSを運転者側から見た図。 同ハンドルを芯金の成形過程における中間の形状を示す図。 本発明の柄付与担体の一例を示すローラーを示す図。 図4におけるA−A’断面図。 ハンドルSに付与された柄の層構成を示す図。 本発明の柄付与方法を示す図。 実施例3の柄付与方法を示す図。 実施例2の柄付与方法を示す図。 本発明の柄付与担体の別の実施例で 偏心ローラーを示す図。 図10の柄付与担体を利用して柄を付与したコンソールフィニッシャーパネルを示す図。
符号の説明
10 ローラー状柄付与担体
16 柄付与担体表面パッド
17 液状着色剤を担持する第1の部分
18 同第2の部分
21 アンダーコート層
22 柄層
23 カラークリアー層
24 トップクリアー層

Claims (7)

  1. 被加工物の表面に模様状の液状着色剤を付与する柄付与担体であって、この担体の表面には液状着色剤を担持する第1の部分と、前記第1の担持部よりも低い着色剤担持力を有する第2の部分とが形成され、第1及び第2の部分により原柄を形成することを特徴とする柄付与担体。
  2. 担体は熱可塑性樹脂の繊維体からなり、加熱して第2の部分を形成したことを特徴とする請求項1記載の柄付与担体。
  3. 担体は回転ローラーである、請求項1または2に記載の柄付与担体。
  4. 請求項3記載の柄付与担体であって、回転ローラーは複数のローラー部が並列され、少なくとも一のローラー部は回転軸を偏心されることを特徴とする柄付与担体。
  5. 前記請求項1乃至4いずれか1項記載の柄付与担体に適用する液状着色剤であって、この液状着色剤は、少なくとも赤色及び黄色の染料を含む染料混合物と、カーボンとを含み、染料混合物とカーボンとを10:1〜40:1の乾燥比率で混ぜ合わせた水性インクであることを特徴とする柄付与用着色剤。
  6. 染料混合物は、さらにパールマイカを含むことを特徴とする請求項5に記載の柄付与用着色剤。
  7. 前記請求項1乃至4のいずれか1項記載の柄付与担体を使用して被加工物に柄付与担体を当接させ被加工物表面に模様状の前記請求項5または6のいずれかの着色剤を付与する方法であって、被加工物に柄付与担体を当接させ被加工物表面に模様を付与する第1の柄付与工程と、液状着色剤が流動状態にある間に柄付与担体を当接させ前記第1の柄付与工程で付与した柄の一部を含む被加工物表面に模様を付与する第2の柄付与工程とを具備したことを特徴とする柄付与方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP5626671B1 (ja) * 2014-02-13 2014-11-19 裕治 佐々木 塗装用ローラー及びそれを用いた塗装面の形成方法
JP2021053575A (ja) * 2019-09-30 2021-04-08 ベック株式会社 装飾被膜面の形成方法
JP7474479B2 (ja) 2020-04-24 2024-04-25 株式会社マルテー大塚 塗装ローラの製造方法

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