JP2005143442A - ヒトチトクロームp4502b6遺伝的多型解析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来の方法のように煩雑な操作を必要とせず、試料核酸中の遺伝子多型を迅速・明確・簡便に検出でき、再現性の良い結果が得られる、ヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型を検出する方法を提供する。
【解決手段】 同一染色体上に存在するヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型を検出する方法において変異箇所以外に少なくとも1箇所のミスマッチを含むオリゴヌクレオチドを用いることを特徴とするヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型解析方法。
【選択図】 なし
【解決手段】 同一染色体上に存在するヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型を検出する方法において変異箇所以外に少なくとも1箇所のミスマッチを含むオリゴヌクレオチドを用いることを特徴とするヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型解析方法。
【選択図】 なし
Description
本発明は、試料中に存在する薬物代謝酵素遺伝的多型の中で特にヒトチトクロームP4502B6の同一染色体上に存在する遺伝的多型を検出する方法に関する。
本発明において、遺伝的多型とは野生型とは異なる塩基配列を有することをいう。遺伝子の塩基多型は薬物代謝において副作用および治療失敗の発生において個体間変動の原因として重要な役割を果たし、体質として知られる基礎代謝等の個人差の原因としても知られている。その上、これらは多数の疾患の遺伝マーカーとしての働きもする。それゆえ、これら突然変異の解明は臨床的に重要であり、ルーチンの表現型分類が臨床研究における精神医学患者および自発志願者にとって特に推奨される(GramおよびBrsen, European Consensus Conference on Pharmacogenetics. Commission of the European Communities, Luxembourg, 1990, 第87〜96頁; Balantら、 Eur. J. Clin. Pharmacol. 第36巻、第551〜554頁、(1989))。また、原因となる変異型遺伝子の同定に続くそれぞれの遺伝子型の検出用の核酸配列分析法が所望される。
従来の核酸配列分析技術としては、例えば核酸配列決定法(シークエンシング法)がある。核酸配列決定法は核酸配列中に含まれる塩基多型を検出、同定することができるが、鋳型核酸の調製、DNAポリメラーゼ反応、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、核酸配列の解析等を行うため多大な労力と時間が必要である。また近年の自動シークエンサーを用いることで省力化は行うことができるが、高価な装置が必要であるという問題がある。
一方、遺伝子の点突然変異により引き起こされる遺伝病が種々知られており、それらの中には、遺伝子のどの部位がどのように点突然変異することにより遺伝病が引き起こされるかわかっているものも少なくない。
このような予想される点突然変異を検出する方法として、従来より、PCR(polymerase chain reaction)法(例えば、特許文献1、2参照)などの遺伝子増幅法を利用した遺伝子の点突然変異の検出方法が知られている。この方法では、遺伝子増幅法に用いる一対のオリゴヌクレオチドのうちの一方のオリゴヌクレオチドとして、野生型遺伝子の増幅領域の端部領域に完全に相補的な野生型用オリゴヌクレオチドと、変異型遺伝子の増幅領域の端部領域に完全に相補的な変異型用オリゴヌクレオチドとを用いる。変異型のオリゴヌクレオチドは、その3’末端が予想される点突然変異を起こしたヌクレオチドに相補的なヌクレオチドになっている。このような野生型及び変異型用オリゴヌクレオチドをそれぞれ別個に用いて試料遺伝子を遺伝子増幅法に供する。
試料遺伝子が野生型であれば、野生型用オリゴヌクレオチドを用いた場合には核酸の増幅が起きるが、変異型用オリゴヌクレオチドを用いた場合には、オリゴヌクレオチドの3’末端が試料遺伝子の対応ヌクレオチドと相補的ではない(ミスマッチ)ので伸長反応が起きず、核酸の増幅は起きない。一方、試料遺伝子が変異型であれば、逆に、野生型用オリゴヌクレオチドを用いた場合には増幅が起きず、変異型用オリゴヌクレオチドを用いた場合に増幅が起きる。従って、各オリゴヌクレオチドを用いた場合に増幅が起きるか否かを調べることにより、試料遺伝子が野生型か変異型かを判別することができ、それによって試料遺伝子中の点突然変異を同定することができる。この時増幅がおきたか否かを調べる方法として、増幅産物をアガロースゲル電気泳動した後、エチジウムブロマイド等の核酸特異的結合蛍光試薬を用いて染色の後、UV照射して増幅核酸の有無を検出できる。またほかの様式として、ナイロン膜上に増幅核酸を固定し、標識プローブを用いて検出するサザンブロット法、個体担体上に固定した補足プローブで捕捉した後検出プローブを作用させて検出するサンドイッチハイブリダイゼーション法、あるいは制限酵素の特異性を利用することによってPCR等の方法によって増幅されたDNA断片を制限酵素で切断し、その断片長から変異の有無を検出するRFLP法などが開発されてきた。
上記のような方法により増幅核酸を検出し、容易に多型を同定が行えるように思われるが、実際には、これらの方法は極めて限られた部位の変異の検出にしか適用できず、数キロベース離れた箇所に存在する変異が、同一染色体上に連鎖しているか対立遺伝子上に存在するのか調べることは困難であった。これまでの方法としては、変異箇所を含む領域をPCR等の増幅方法を用いて数百万倍に増幅し、それらをプラスミドに組込み、形質転換させた後、クローニング、塩基配列の決定を行う方法があるが、多大な時間、労力が必要であった。
本発明の目的は、上記のような課題を解決して、明確にかつ再現性よく同一染色体上に存在する薬物代謝酵素遺伝的多型、特にヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型を検出することができる方法を提供することである。ヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型はこれまで*2から*7までの変異遺伝子の存在が知られている。またこれらの変異遺伝子頻度については人種差が存在し、日本人においては2B6*2、*4、*5、*6および野生型である*1が確認されている。2B6にはアミノ酸変異を伴う点突然変異が5種報告されており、エクソン4の部分に対応する172番目のアミノ酸がGlnからHisに置換されると酵素活性が上昇し、エクソン9の部分に対応する487番目のアミノ酸がArgからCysに置換されるとタンパク量が減少し活性が低下することが知られている。
すなわち、これらの変異が同一染色体上に存在する場合と対立染色体上に別々に存在する場合、酵素活性に大きな相違が生じてくる。
すなわち、これらの変異が同一染色体上に存在する場合と対立染色体上に別々に存在する場合、酵素活性に大きな相違が生じてくる。
従来より、採取したサンプルから遺伝子の変異を調べる際には、2本の遺伝子を同時に区別なく測定することが行われていた。従って、複数の遺伝子多型部位を問題にする際には遺伝子多型部位が同一遺伝子上にあるものか、対立遺伝子上に別々に存在するものであるかを測定することはできなかった。
他の遺伝子では、単一の箇所のみでその遺伝子のタイプが決定できたり、複数の遺伝子多型部であっても判別が可能である場合や活性の有無だけで見た場合に正確にタイプを決定する必要がなかったりする場合がが多く、同一染色体上での遺伝子多型を検出することは重要でなかった。しかし、ヒトチトクロームP450 2B6では、複数の箇所が交絡しており、従来の方法では正確に遺伝子のタイプが決定できなかった。
他の遺伝子では、単一の箇所のみでその遺伝子のタイプが決定できたり、複数の遺伝子多型部であっても判別が可能である場合や活性の有無だけで見た場合に正確にタイプを決定する必要がなかったりする場合がが多く、同一染色体上での遺伝子多型を検出することは重要でなかった。しかし、ヒトチトクロームP450 2B6では、複数の箇所が交絡しており、従来の方法では正確に遺伝子のタイプが決定できなかった。
詳細に説明すると、表1に示す通り、*1では、エクソン4,5、9の部分いずれも野生型であり、*7はエクソン4,5、9の部分いずれも変異型であるが、活性が認められる。一方、*5はエクソン4,5は野生型で9は変異型であり、*6はエクソン4,5は変異型で9は天然型であり、両者とも活性が無いものである。従って。従来法方法では、例えばエクソン4,5,9の部位がそれぞれヘテロタイプと観察された場合には、活性を持つ*1と*7のヘテロか。活性のない*5と*6のヘテロかの判定ができず、問題が生じていた。
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究の結果、上記の従来法に対して、特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、変異箇所以外に少なくとも1箇所のミスマッチを含む野生型検出用オリゴヌクレオチド及びまたは1種又は2種の変異型検出用オリゴヌクレオチドを別々に反応させることによって増幅産物を得、さらに得られた増幅産物について制限酵素処理あるいは、さらに野生型検出用オリゴヌクレオチド及びまたは1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチドを用いて点突然変異箇所を検出することで、煩雑な検出操作を必要とせずまた容易に明確な多型同定が可能となる方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
(1) 同一染色体上に存在するヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型を検出する方法において変異箇所以外に少なくとも1箇所のミスマッチを含むオリゴヌクレオチドを用いることを特徴とするヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型解析方法。
(2) ヒトチトクロームP450 2B6遺伝子およびまたはその断片を含む試料を増幅させることによって、同一染色体上に存在するヒトチトクロームP450 2B6遺伝子の多型を検出する(1)記載のヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型解析方法。
(3) 検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位がエクソン領域に存在することを特徴とする(1)または(2)記載の方法。
(4) 検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位がエクソン4,5,9領域に存在することを特徴とする(1)または(2)記載の方法
(5) 検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位が172番目のアミノ酸がGlnからHisへの置換を検出することを特徴とする(1)または(2)記載の方法
(6) 検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位が262番目のアミノ酸がLysからArgへの置換を検出することを特徴とする(1)または(2)記載の方法。
(7) 検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位が487番目のアミノ酸がArgからCysへの置換を検出することを特徴とする(1)または(2)記載の方法。
本発明により、試料核酸中の遺伝子多型を明確にまた簡便に検出できる方法が提供される。本発明の方法では、これまでの方法のように煩雑な操作を必要としないので、迅速で容易に再現性の良い結果が得られた。
以下、本発明を詳細に説明する。試料中に含まれる薬物代謝酵素の遺伝子多型部位を含む染色体又はその断片は、目的の遺伝子の情報を担う遺伝的多型部位を含む標的核酸であれば、特に制限されない。本発明において、核酸配列を単に核酸ということがある。変異型核酸とは、野生型核酸のうち少なくとも1つ、好ましくは1つのヌクレオチドが点突然変異して他のヌクレオチドに置換されているものや、野生型核酸の一部に挿入、欠失配列等を含む核酸のことであり、どの部位のヌクレオチドが変異しているかが解明されているものである。このような遺伝的多型により薬物代謝酵素の代謝活性が異なっていることが解明されてきており、本発明の方法は試料中の核酸がこのような予想される変異を有しているか否かを検査し、被験者の有する薬物代謝酵素遺伝子のタイプを検出する方法である。
ヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型を解析する方法において、同一染色体上に存在する遺伝的多型を検出する方法としては、例えば、特定変異箇所が野生型または変異型のみの遺伝子を増幅させ(この場合、他の変異箇所も含まれるような長さに増幅する)、さらにその増幅産物中の他の変異箇所を検出する方法が挙げられる。
具体的には、特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、野生型検出用オリゴヌクレオチド及びまたは1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチドを別々に反応させることによって、他の変異箇所をも含むよう増幅産物を得、さらに得られた増幅産物について制限酵素処理あるいは、さらに野生型検出用オリゴヌクレオチド及びまたは1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチドを用いて点突然変異箇所を検出する方法が好ましい。
具体的には、特定の塩基多型部位を含む核酸配列に、野生型検出用オリゴヌクレオチド及びまたは1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチドを別々に反応させることによって、他の変異箇所をも含むよう増幅産物を得、さらに得られた増幅産物について制限酵素処理あるいは、さらに野生型検出用オリゴヌクレオチド及びまたは1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチドを用いて点突然変異箇所を検出する方法が好ましい。
検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位は172番目のアミノ酸がGlnからHisへの置換に相当するものであることが好ましく、この遺伝子多型部位はエクソン4に位置する。なお、この位置を最初に増幅させる特定変異箇所とすることが好ましい。
検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位は262番目のアミノ酸がLysからArgへの置換に相当するものであることが好ましく、この遺伝子多型部位はエクソン5に位置する。
検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位が487番目のアミノ酸がArgからCysへの置換に相当するものであることが好ましく、この遺伝子多型部位はエクソン9に位置する。
特に本発明においては、上記遺伝子多型部位をすべて検出して判定することが好ましい。
検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位は262番目のアミノ酸がLysからArgへの置換に相当するものであることが好ましく、この遺伝子多型部位はエクソン5に位置する。
検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位が487番目のアミノ酸がArgからCysへの置換に相当するものであることが好ましく、この遺伝子多型部位はエクソン9に位置する。
特に本発明においては、上記遺伝子多型部位をすべて検出して判定することが好ましい。
本発明において、野生型オリゴヌクレオチドと変異型オリゴヌクレオチドを作用させる反応とは一般的に、一本鎖に変性した標的核酸にオリゴヌクレオチド、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)とDNAポリメラーゼを作用させることで、標的核酸を鋳型とするオリゴヌクレオチド伸長反応が起こり核酸配列の相補鎖が合成される反応を含む。
本発明において、野生型用オリゴヌクレオチドとは、通常の表現型を有している遺伝的多型部位を含む染色体又はその断片に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドであって、変異型用オリゴヌクレオチドとは、野生型とは異なる配列を有している遺伝的多型部位を含む染色体又はその断片に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドである。
本発明に用いられる上記オリゴヌクレオチドは、3‘末端から1または2番目のヌクレオチドが野生型あるいは変異型配列のヌクレオチドと相補的に対応するように設計され、さらに3’末端から3〜5番目に人為的なミスマッチ塩基を導入することが好ましい。このように設計した場合野生型用オリゴヌクレオチド/野生型核酸及び変異型用オリゴヌクレオチド/変異型核酸の組合せにおいて、各オリゴヌクレオチドは少なくとも3’ 末端から2番目の配列までは一致する為伸長反応は起こる。一方、野生型用オリゴヌクレオチド/変異型核酸及び変異型用オリゴヌクレオチド/野生型核酸の組合せにおいてはオリゴヌクレオチドの3‘末端より1番目あるいは2番目の塩基がミスマッチとなるため伸長反応が起こらない、さらにもう1塩基の人為的ミスマッチを導入した場合はさらに伸長反応が起こりにくくなる。
本発明におけるオリゴヌクレオチドの長さとしては、13〜35塩基、好ましくは、16〜30塩基であり、上記ミスマッチ部位は、該オリゴヌクレオチド中に少なくとも1つ存在する。また、その位置は、3’末端の3番目から5’末端までのいずれかであれば、特に限定されないが、好ましくは、3’末端の3番目に近い位置、より好ましくは、3’末端から3番目が好ましい。
3番目に人為的ミスマッチを用いた場合、伸長反応を期待しない核酸配列を鋳型とした時には、塩基多型部位と併せて2塩基のミスマッチとなり、伸長反応が強く阻害される。
本発明においては、上記野生型用オリゴヌクレオチドと1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチドを、試料に別々、又は同時に作用させる。
本発明において、オリゴヌクレオチドの伸長方法は、基本的には、従来の方法を用いて行うことができる。通常、一本鎖に変性させた特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及びDNAポリメラーゼと共に、野生型用オリゴヌクレオチドと、1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチドを同時又はそれぞれ別個に用いて作用させることで、標的核酸を鋳型としてオリゴヌクレオチドが伸長する。 該伸長反応は、Molecular Cloning, A Laboratory Manual (Sambrookら、1989)に記載の方法に従って行うことができる。本発明において、特定の塩基多型部位を含む染色体又は断片の増幅方法も、基本的には、従来の方法を用いて行うことができ、通常、一本鎖に変性させた特定の塩基多型部位を含む染色体又はその断片に、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)及びDNAポリメラーゼ及びリバースプライマーと共に、野生型用オリゴヌクレオチドと、1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチド(フォーワードプライマーに相当)を同時又はそれぞれ別個に用いて作用させることで、標的核酸を鋳型としてファワードオリゴヌクレオチドとリバースオリゴヌクレオチドの間で増幅される。
核酸増幅方法としては、PCR、NASBA(Nucleic acid sequence-based amplification method;Nature 第350巻、第91頁(1991))、LCR(国際公開89/12696号公報、特開平2−2934号公報)、SDA(Strand Displacement Amplification:Nucleic acid research 第20巻、第1691頁(1992))、RCA(国際公開90/1069号公報)、TMA(Transcription mediated amplification method;J.Clin.Microbiol. 第31巻、第3270頁(1993))などが挙げられる。
LCR法は、標的核酸に2種類のオリゴヌクレオチド、デオキシヌクレオシド三リン酸(dNTP)とリガーゼを作用させ標的核酸上で2種類のオリゴヌクレオチドを結合させる反応を繰り返すことによって標的核酸を増幅させる方法である。
SDAは、その配列に制限酵素サイトを有する鋳型と相補的に結合するオリゴヌクレオチドを用い、伸長反応と制限酵素処理を繰り返すことによって核酸を増幅させる方法である。RCAは、環状の標的核酸に対し相補的なオリゴヌクレオチドとDNAポリメラーゼを作用させることによって、新たに生成したオリゴヌクレオチドが、鋳型から離されながら、連続的に標的核酸を増幅させる方法である。
なかでもPCR法は、試料核酸、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、一対のオリゴヌクレオチド及び耐熱性DNAポリメラーゼの存在下で、変性、アニーリング、伸長の3工程からなるサイクルを繰り返すことにより、上記一対のオリゴヌクレオチドで挟まれる試料核酸の領域を指数関数的に増幅させる方法である。すなわち、変性工程で試料の核酸を変性し、続くアニーリング工程において各オリゴヌクレオチドと、それぞれに相補的な一本鎖試料核酸上の領域とをハイブリダイズさせ、続く伸長工程で、各オリゴヌクレオチドを起点としてDNAポリメラーゼの働きにより鋳型となる各一本鎖試料核酸に相補的なDNA鎖を伸長させ、二本鎖DNAとする。この1サイクルにより、1本の二本鎖DNAが2本の二本鎖DNAに増幅される。従って、このサイクルをn回繰り返せば、理論上上記一対のオリゴヌクレオチドで挟まれた試料DNAの領域は2n倍に増幅される。増幅されたDNA領域は大量に存在するので、電気泳動等の方法により容易に検出できる。よって、遺伝子増幅法を用いれば、従来では検出不可能であった、極めて微量(1分子でも可)の試料核酸をも検出することが可能であり、最近非常に広く用いられている技術である。
上記のような核酸増幅法を利用した方法では、野生型核酸を増幅できる野生型用オリゴヌクレオチドと、変異型核酸を増幅できる変異型用オリゴヌクレオチドをそれぞれ別個に用いて遺伝子増幅法を行う。野生型用オリゴヌクレオチドを用いて試料核酸を伸長または増幅反応を行った場合、試料核酸が野生型であれば反応が起きるが、変異型では反応が起きない。逆に、変異型用オリゴヌクレオチドを用いて試料核酸を伸長または増幅反応を行った場合、試料核酸が変異型であれば反応が起きるが、野生型であれば反応は起こらない。
従って、一つの試料を二つに分け、一方は野生型用オリゴヌクレオチドを用いて反応を行い、他方は変異型用オリゴヌクレオチドを用いて反応を行い、反応が起ったか否かを調べることにより、試料核酸が野生型であるか変異型であるかを明確に知ることができる。特に、ヒトを始め、高等生物は、1種類の遺伝子について、父親由来の遺伝子と母親由来の遺伝子をそれぞれ1つずつ有しているが、この方法によれば、試料遺伝子が野生型のホモか、変異型のホモか、あるいは、両方のヘテロかの区別ができる。すなわち、ヘテロの場合には、野生型遺伝子と変異型遺伝子が共に存在するから野生型用オリゴヌクレオチドを用いた場合も変異型用オリゴヌクレオチドを用いた場合も反応が起きる。これらの別々の反応により得られた核酸断片をさらに制限酵素処理、あるいはさらに野生型核酸を増幅できる野生型用オリゴヌクレオチドと、変異型核酸を増幅できる変異型用オリゴヌクレオチドをそれぞれ別個に用いて遺伝子増幅法を行うことによって、同一染色体上に存在する別の多型箇所を検出することが可能である。。
また、オリゴヌクレオチドが反応したか否かを検出する方法とは、特定の塩基多型部位を含む染色体又は断片を含む核酸試料に、一定量の野生型用オリゴヌクレオチドと及び1種又は2種の変異型用オリゴヌクレオチド(フォーワードプライマーに相当)を別々に用いて反応を行った後、2本鎖核酸特異的結合物質と反応させることによって前記増幅反応により生じたオリゴヌクレオチド量を検出できる。
上記検出方法としては、標識したオリゴヌクレオチドを用いることも可能である。
例えば、該検出は、該各オリゴヌクレオチドを、予め酵素、ビオチン、蛍光物質、ハプテン、抗原、抗体、放射性物質および発光団などによって標識しておき、伸長又は増幅反応後に、反応したオリゴヌクレオチドの標識を検出することによって、遺伝的多型の検出を行うことができる。酵素としては、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼなどが挙げられる。蛍光物質としては、FITC,6−FAM,HEX,TET,TAMRA,テキサスレッド、Cy3、Cy5などが挙げられる。
ハプテンとしては、ビオチン、ジゴキシゲニンなどが挙げられる。
放射性物質としては、32P、35Sなどが挙げられる。
発光団としては、ルテニウムなどが挙げられる。
該標識は、オリゴヌクレオチドの伸長反応に影響を与えることがなければオリゴヌクレオチドのどの位置に結合させてもよい。好ましくは、5’ 部位である。
野生型用オリゴヌクレオチドと変異型用オリゴヌクレオチドに異なる標識を用いた場合には、1つの反応槽で検出ができる。
例えば、該検出は、該各オリゴヌクレオチドを、予め酵素、ビオチン、蛍光物質、ハプテン、抗原、抗体、放射性物質および発光団などによって標識しておき、伸長又は増幅反応後に、反応したオリゴヌクレオチドの標識を検出することによって、遺伝的多型の検出を行うことができる。酵素としては、アルカリフォスファターゼ、ペルオキシダーゼなどが挙げられる。蛍光物質としては、FITC,6−FAM,HEX,TET,TAMRA,テキサスレッド、Cy3、Cy5などが挙げられる。
ハプテンとしては、ビオチン、ジゴキシゲニンなどが挙げられる。
放射性物質としては、32P、35Sなどが挙げられる。
発光団としては、ルテニウムなどが挙げられる。
該標識は、オリゴヌクレオチドの伸長反応に影響を与えることがなければオリゴヌクレオチドのどの位置に結合させてもよい。好ましくは、5’ 部位である。
野生型用オリゴヌクレオチドと変異型用オリゴヌクレオチドに異なる標識を用いた場合には、1つの反応槽で検出ができる。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1 CYP2B6遺伝子の特異的増幅
(1)CYP2B6遺伝子を特異的に検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号1〜2に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ1〜2と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、Proligo KK、アマシャムファルマシア バイオテク(株)等)に依頼した。
オリゴ2がアンチセンス鎖であり、オリゴ1と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なお、オリゴ1および2は必要により標識して使用される。
なお、この反応ではエクソン4〜9の部分すべてが野生型、変異型に関係なく増幅される
実施例1 CYP2B6遺伝子の特異的増幅
(1)CYP2B6遺伝子を特異的に検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号1〜2に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ1〜2と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、Proligo KK、アマシャムファルマシア バイオテク(株)等)に依頼した。
オリゴ2がアンチセンス鎖であり、オリゴ1と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なお、オリゴ1および2は必要により標識して使用される。
なお、この反応ではエクソン4〜9の部分すべてが野生型、変異型に関係なく増幅される
(2)PCR法によるCYP2B6遺伝的多型の解析
(a) PCR法による増幅反応
ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりCYP2B6遺伝子を増幅した。
(a) PCR法による増幅反応
ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりCYP2B6遺伝子を増幅した。
試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
LA TaqDNAポリメラーゼ反応液
オリゴ1 5 pmol
オリゴ2 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl2 2.0 μl
LA Taq DNAポリメラーゼ 1.25 U
抽出DNA溶液 100 ng (Total 25μl)
オリゴ1:5’-ggtctgcccatctataaac-3’
オリゴ2:5’-ggatgagaatttattctggacctc-3’
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
LA TaqDNAポリメラーゼ反応液
オリゴ1 5 pmol
オリゴ2 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl2 2.0 μl
LA Taq DNAポリメラーゼ 1.25 U
抽出DNA溶液 100 ng (Total 25μl)
オリゴ1:5’-ggtctgcccatctataaac-3’
オリゴ2:5’-ggatgagaatttattctggacctc-3’
増幅条件
94℃・1分
94℃・20秒、64℃・11分(30サイクル)
72℃・10分。
94℃・1分
94℃・20秒、64℃・11分(30サイクル)
72℃・10分。
(b) 塩基特異的オリゴヌクレオチドを用いた2B6遺伝的多型検出
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号3〜5に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ3〜5と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、Proligo KK、アマシャムファルマシア バイオテク(株)等)に依頼した。
オリゴ5がアンチセンス鎖であり、オリゴ3または4と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なお、オリゴ3から5は必要により標識して使用される。(a)の増幅反応液を5倍に希釈し下記試薬を添加して、下記条件によりCYP2B6遺伝子を増幅した。オリゴ3によってexon4野生型は増幅され、オリゴ4によってexon4変異型が増幅される。
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号3〜5に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ3〜5と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、Proligo KK、アマシャムファルマシア バイオテク(株)等)に依頼した。
オリゴ5がアンチセンス鎖であり、オリゴ3または4と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なお、オリゴ3から5は必要により標識して使用される。(a)の増幅反応液を5倍に希釈し下記試薬を添加して、下記条件によりCYP2B6遺伝子を増幅した。オリゴ3によってexon4野生型は増幅され、オリゴ4によってexon4変異型が増幅される。
試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
LA TaqDNAポリメラーゼ反応液
オリゴ3または4 2.5 pmol
オリゴ5 2.5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl2 1.5 μl
LA Taq DNAポリメラーゼ 1.25 U
抽出DNA溶液 100 ng (Total 25μl)
オリゴ3:5’-accccaccttcctcttcaag-3’
オリゴ4:5’-accccaccttcctcttcaat-3’
オリゴ5:5’-taattttcgataatctcactcctgc-3’
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
LA TaqDNAポリメラーゼ反応液
オリゴ3または4 2.5 pmol
オリゴ5 2.5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgCl2 1.5 μl
LA Taq DNAポリメラーゼ 1.25 U
抽出DNA溶液 100 ng (Total 25μl)
オリゴ3:5’-accccaccttcctcttcaag-3’
オリゴ4:5’-accccaccttcctcttcaat-3’
オリゴ5:5’-taattttcgataatctcactcctgc-3’
増幅条件
94℃・1分
94℃・20秒、70℃・7分(20サイクル)
72℃・10分。
94℃・1分
94℃・20秒、70℃・7分(20サイクル)
72℃・10分。
得られたPCR増幅産物を制限酵素処理を行い、電気泳動によりジェノタイピングを行った。結果を図1に示す。
10×NEB buffer 2.0μl
Alw I 5 unit
PCR増幅産物 10μl (Total 20μl)
10×NEB buffer 2.0μl
Alw I 5 unit
PCR増幅産物 10μl (Total 20μl)
図1はAlw I による制限酵素処理 (2% Agarose gel で 30 分泳動した時)の結果を表し、Lane MはStable 1 Kbp DNA Ladder、Lane 1は *1/*1のサンプル、Lane 2は*1/*5のサンプル、Lane 3は*5/*6のサンプル、Lane M’はφx174/Hinc II digestである。
*1/*7 であれば、516 位に g を有する DNA 鎖上に存在する 1459 位は c なので、Lane 1 と同様の結果が得られ、また、*5/*6 であれば、516 位に g を有する DNA 鎖上に存在する 1459 位は t なので、Lane 3 と同様の結果が得られる。
なお、図2は、図1のものより15分長く電気泳動した結果である。
電気泳動の結果、1286bpのDNA断片が検出されれば*5、1067bpのDNA断片であれば*1と判定される。
*1/*7 であれば、516 位に g を有する DNA 鎖上に存在する 1459 位は c なので、Lane 1 と同様の結果が得られ、また、*5/*6 であれば、516 位に g を有する DNA 鎖上に存在する 1459 位は t なので、Lane 3 と同様の結果が得られる。
なお、図2は、図1のものより15分長く電気泳動した結果である。
電気泳動の結果、1286bpのDNA断片が検出されれば*5、1067bpのDNA断片であれば*1と判定される。
実施例2 CYP2B6遺伝子の配列特異的検出
(1)CYP2B6遺伝子を特異的に検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号6〜8に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ6〜8と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、Proligo KK、アマシャムファルマシア バイオテク(株)等)に依頼した。
オリゴ8がセンス鎖であり、オリゴ6、7と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なお、オリゴ6〜8は必要により標識して使用される。
(1)CYP2B6遺伝子を特異的に検出するオリゴヌクレオチドの合成
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号6〜8に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ6〜8と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、Proligo KK、アマシャムファルマシア バイオテク(株)等)に依頼した。
オリゴ8がセンス鎖であり、オリゴ6、7と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なお、オリゴ6〜8は必要により標識して使用される。
(2)PCR法によるCYP2B6遺伝的多型の解析
(a) PCR法による増幅反応
ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりCYP2B6遺伝子を増幅した。
オリゴ6でexon9野生型は増幅され、オリゴ7でexon9変異型は増幅される
(a) PCR法による増幅反応
ヒト白血球からフェノール・クロロフォルム法により抽出したDNA溶液をサンプルとして使用して、下記試薬を添加して、下記条件によりCYP2B6遺伝子を増幅した。
オリゴ6でexon9野生型は増幅され、オリゴ7でexon9変異型は増幅される
試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
KOD-plus DNAポリメラーゼ反応液
オリゴ6または7 5 pmol
オリゴ8 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgSO4 2.0 μl
KOD-plus DNAポリメラーゼ 0.5 U
抽出DNA溶液 100 ng (Total 25μl)
オリゴ6:cagcggggcaggaagagg
オリゴ7:cagcggggcaggaaggag
オリゴ8:cctctcggtctgcccatctataaac
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
KOD-plus DNAポリメラーゼ反応液
オリゴ6または7 5 pmol
オリゴ8 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgSO4 2.0 μl
KOD-plus DNAポリメラーゼ 0.5 U
抽出DNA溶液 100 ng (Total 25μl)
オリゴ6:cagcggggcaggaagagg
オリゴ7:cagcggggcaggaaggag
オリゴ8:cctctcggtctgcccatctataaac
増幅条件
94℃・2分
98℃・10秒、72℃・10分(5サイクル)
98℃・10秒、70℃・10分(5サイクル)
98℃・10秒、68℃・10分(5サイクル)
98℃・10秒、67℃・10分(20サイクル)
68℃・10分。
94℃・2分
98℃・10秒、72℃・10分(5サイクル)
98℃・10秒、70℃・10分(5サイクル)
98℃・10秒、68℃・10分(5サイクル)
98℃・10秒、67℃・10分(20サイクル)
68℃・10分。
(b) 塩基特異的オリゴヌクレオチドを用いた2B6遺伝的多型検出
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号9〜12に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ9〜12と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、Proligo KK、アマシャムファルマシア バイオテク(株)等)に依頼した。
オリゴ11,12がアンチセンス鎖であり、オリゴ9または10と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なお、オリゴ9から12は必要により標識して使用される。(a)の増幅反応液を10倍に希釈し下記試薬を添加して、下記条件によりCYP2B6遺伝子を増幅した。オリゴ9によってexon4野生型が増幅されオリゴ10によってexon4変異型が増幅される。またオリゴ11によってexon5野生型が増幅され、オリゴ12によってexon5変異型が増幅される。
パーキンエルマー社製DNAシンセサイザー392型を用いて、ホスホアミダイト法にて、配列番号9〜12に示される塩基配列を有するオリゴヌクレオチド(以下、オリゴ9〜12と示す)を合成した。合成はマニュアルに従い、各種オリゴヌクレオチドの脱保護はアンモニア水で55℃、一夜実施した。オリゴヌクレオチドの精製はパーキンエルマー社OPCカラムにて実施した。もしくはDNA合成受託会社((株)日本バイオサービス、(株)サワディー、Proligo KK、アマシャムファルマシア バイオテク(株)等)に依頼した。
オリゴ11,12がアンチセンス鎖であり、オリゴ9または10と組み合わせて増幅反応のオリゴヌクレオチドとして使用される。なお、オリゴ9から12は必要により標識して使用される。(a)の増幅反応液を10倍に希釈し下記試薬を添加して、下記条件によりCYP2B6遺伝子を増幅した。オリゴ9によってexon4野生型が増幅されオリゴ10によってexon4変異型が増幅される。またオリゴ11によってexon5野生型が増幅され、オリゴ12によってexon5変異型が増幅される。
試薬
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
KOD-plus DNAポリメラーゼ反応液
オリゴ9または10 5 pmol
オリゴ11または12 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgSO4 1.5 μl
KOD-plus DNAポリメラーゼ 1.25 U
抽出DNA溶液 100 ng (Total 25μl)
オリゴ9:cccaccttcctcttcctgt
オリゴ10:cccaccttcctcttccgtt
オリゴ11:ggtaggtgtcgatgaggtcact
オリゴ12: gtaggtgtcgatgaggtcgtt
以下の試薬を含む25μl溶液を調製した。
KOD-plus DNAポリメラーゼ反応液
オリゴ9または10 5 pmol
オリゴ11または12 5 pmol
×10緩衝液 2.5 μl
2mM dNTP 2.5 μl
25 mM MgSO4 1.5 μl
KOD-plus DNAポリメラーゼ 1.25 U
抽出DNA溶液 100 ng (Total 25μl)
オリゴ9:cccaccttcctcttcctgt
オリゴ10:cccaccttcctcttccgtt
オリゴ11:ggtaggtgtcgatgaggtcact
オリゴ12: gtaggtgtcgatgaggtcgtt
増幅条件
94℃・2分
98℃・10秒、72℃・2.5分(5サイクル)
98℃・10秒、70℃・2.5分(5サイクル)
98℃・10秒、68℃・2.5分(5サイクル)
98℃・10秒、67℃・2.5分(20サイクル)
68℃・10分
94℃・2分
98℃・10秒、72℃・2.5分(5サイクル)
98℃・10秒、70℃・2.5分(5サイクル)
98℃・10秒、68℃・2.5分(5サイクル)
98℃・10秒、67℃・2.5分(20サイクル)
68℃・10分
(c)蛍光検出によるジェノタイピング
(a)の反応で得られた反応溶液3μlに精製水で10000倍に希釈されたSYBR GreenI(Molecular Probe 社)に添加し、励起波長485nm、検出波長538nmにおける蛍光強度を測定した。その結果、exon4野生型−exon5野生型、exon4野生型−exon5変異型、exon4変異型−exon5変異型の3タイプを区別することが可能であった。このことによって、(a)で得られた結果と組み合わせることによってジェノタイピングが可能であった。
(a)の反応で得られた反応溶液3μlに精製水で10000倍に希釈されたSYBR GreenI(Molecular Probe 社)に添加し、励起波長485nm、検出波長538nmにおける蛍光強度を測定した。その結果、exon4野生型−exon5野生型、exon4野生型−exon5変異型、exon4変異型−exon5変異型の3タイプを区別することが可能であった。このことによって、(a)で得られた結果と組み合わせることによってジェノタイピングが可能であった。
オリゴ6で増幅が認められた試料
オリゴ7で増幅が認められた試料
上記のように、オリゴヌクレオチドを用いて、塩基多型特異的増幅反応を行い、増幅反応物質を核酸特異的結合物質を用いて測定することで、容易にかつ迅速に遺伝子型を明確に判定することができた。
上述したように、本発明により、試料核酸中の遺伝子多型を明確にまた簡便に検出できる方法が提供される。本発明の方法では、これまでの方法のように煩雑な操作を必要としないので、迅速で容易に再現性の良い結果が得られ、産業界に寄与すること大である。
Claims (7)
- 同一染色体上に存在するヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型を検出する方法において変異箇所以外に少なくとも1箇所のミスマッチを含むオリゴヌクレオチドを用いることを特徴とするヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型解析方法。
- ヒトチトクロームP450 2B6遺伝子およびまたはその断片を含む試料を増幅させることによって、同一染色体上に存在するヒトチトクロームP450 2B6遺伝子の多型を検出する請求項1記載のヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型解析方法。
- 検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位がエクソン領域に存在することを特徴とする請求項1または2記載の方法。
- 検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位がエクソン4,5,9領域に存在することを特徴とする請求項1または2記載の方法
- 検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位が172番目のアミノ酸がGlnからHisへの置換を検出することを特徴とする請求項1または2記載の方法
- 検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位が262番目のアミノ酸がLysからArgへの置換を検出することを特徴とする請求項1または2記載の方法。
- 検出されるヒトチトクロームP450 2B6遺伝的多型部位が487番目のアミノ酸がArgからCysへの置換を検出することを特徴とする請求項1または2記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003388851A JP2005143442A (ja) | 2003-11-19 | 2003-11-19 | ヒトチトクロームp4502b6遺伝的多型解析方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003388851A JP2005143442A (ja) | 2003-11-19 | 2003-11-19 | ヒトチトクロームp4502b6遺伝的多型解析方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005143442A true JP2005143442A (ja) | 2005-06-09 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003388851A Withdrawn JP2005143442A (ja) | 2003-11-19 | 2003-11-19 | ヒトチトクロームp4502b6遺伝的多型解析方法 |
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Country | Link |
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-
2003
- 2003-11-19 JP JP2003388851A patent/JP2005143442A/ja not_active Withdrawn
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