前記第1の従来の技術には、1つの半導体基板上に2つの半導体レーザが形成された半導体レーザ素子の各半導体レーザの電気特性を測定する場合、テストコレット4が2つの半導体レーザの個別電極に接触してしまい、個々の半導体レーザの電気特性を容易に測定することができないという問題がある。
前記第2の従来の技術には、1つの半導体基板上に2つの半導体レーザが形成された半導体レーザ素子の各半導体レーザの電気特性を測定する場合、一方の半導体レーザの個別電極にしかプローブ針5を接触させることができず、一方の半導体レーザの電気特性しか測定することができないという問題がある。
前記第3の従来の技術には、1つの半導体基板上に2つの半導体レーザが形成された半導体レーザ素子の各半導体レーザの電気特性を測定する場合、一方の半導体レーザの個別電極にしかプロ−バを接触させることができず、一方の半導体レーザの電気特性しか測定することができないという問題がある。
前記第4の従来の技術には、1つの半導体基板上に2つの半導体レーザが形成された半導体レーザ素子の各半導体レーザの電気特性を測定する場合、テストコレットが2つの半導体レーザの個別電極に接触してしまい、個々の半導体レーザの電気特性を容易に測定することができないという問題がある。
前記第5の従来の技術には、幅寸法が200μm程度であり長さ寸法が300μm程度である半導体レーザ素子6に2本のプローブ針10a,10bを正確に位置合せして立てるのための構成が必要となるという問題がある。またこの従来の技術には、各プローブ針10a,10bが半導体レーザ素子6に対して斜め上方から立てられるので、各プローブ針10a,10bを立てたときに半導体レーザ素子6が移動してしまうという問題がある。またこの従来の技術には、前記半導体レーザ素子6の移動を防ぐために、プローブ針10a,10bを緻密に位置調整および荷重調整するための構成が必要となるという問題がある。またこの従来の技術では、半導体レーザ素子6は、個別電極の一表面の面積が、半導体基板の一表面の面積の半分以下であるので、発光領域近辺、最悪の場合は、発光部上部にプローブ針10a,10bを立てることになり、プローブ針10a,10bによる押圧力によって各半導体レーザに歪みが生じ、各半導体レーザの電気特性が変化してしまう。したがってこの従来の技術には、半導体レーザの本来の電気特性を測定することができないという問題および半導体レーザ素子6の信頼性を低下させてしまうという問題がある。
本発明の目的は、構成が簡単であり、かつ半導体レーザ素子の電気特性を容易に測定することができ、しかも半導体レーザ素子の電気特性を変化させることなく、半導体レーザ素子の電気特性を正確に測定することができる半導体レーザ素子の測定方法および測定装置を提供することである。
本発明は、基板とこの基板の一表面に設けられる2つの素子部分とを含み、各素子部分は、レーザ光を出射するレーザ光出射端部をそれぞれ有し、基板の他表面には、共通電極が形成され、各素子部分の前記共通電極とは反対に臨む一表面には、個別電極がそれぞれ形成される半導体レーザ素子を、保持台によって、前記共通電極と保持台とが接触した状態で、保持し、
保持台と接触子とを相対的に移動させて、前記接触子を、各個別電極に対して垂直に個別に面接触させて、保持台および接触子を介して各素子部分毎に通電して、各素子部分毎に電気特性を測定することを特徴とする半導体レーザ素子の測定方法である。
また本発明は、基板とこの基板の一表面に設けられる2つの素子部分とを含み、各素子部分は、レーザ光を出射するレーザ光出射端部をそれぞれ有し、基板の他表面には、共通電極が形成され、各素子部分の前記共通電極とは反対に臨む一表面には、個別電極がそれぞれ形成される半導体レーザ素子を、前記共通電極に接触した状態で保持する保持台と、
保持台によって保持される半導体レーザ素子の各個別電極に対して垂直に面接触する接触子と、
保持台によって保持される半導体レーザ素子の一方の個別電極に前記接触子が接触できる第1測定位置と、前記半導体レーザ素子の他方の個別電極に前記接触子が接触できる第2測定位置とにわたって、保持台および接触子を相対的に移動する移動手段と、
保持台および接触子を介して半導体レーザ素子に通電し、半導体レーザ素子の電気特性を測定する測定手段とを含むことを特徴とする半導体レーザ素子の測定装置である。
また本発明は、前記移動手段による保持台および接触子の相対的な移動量は、各素子部分毎に設定可能であることを特徴とする。
また本発明は、前記保持台によって保持される半導体レーザ素子の各個別電極の位置および前記半導体レーザ素子の傾きを認識する画像認識手段を含むことを特徴とする。
また本発明は、前記移動手段は、前記画像認識手段によって求められたデータに基づいて、半導体レーザ素子の傾きを補正するθ移動機構および半導体レーザ素子の位置を補正するXY移動機構を有することを特徴とする。
また本発明は、前記画像認識手段が半導体レーザ素子の外形によって半導体レーザ素子の位置および傾きを認識する場合、保持台の映像が外形認識領域に入らないように半導体レーザ素子を保持台からはみ出すまたは保持台を半導体レーザ素子より小さくすることを特徴とする。
また本発明は、前記保持台によって保持される半導体レーザ素子と、接触子との接触状態を観察することができる観察手段を含むことを特徴とする。
また本発明は、前記接触子は、半導体レーザ素子を吸着することができ、半導体レーザ素子を搬送するときに用いられることを特徴とする。
また本発明は、各素子部分毎に測定条件が設定可能であることを特徴とする。
また本発明は、一方の素子部分の電気特性を測定して不良と判定された場合は、他方の素子部分の電気特性の測定を行うか否かを指定できることを特徴とする。
また本発明は、前記移動手段は、保持台を移動させる状態と、保持台を移動させない状態とに切換可能であることを特徴とする。
本発明によれば、保持台によって半導体レーザ素子を保持する。このとき半導体レーザ素子の共通電極と、保持台とが接触している。このような状態で、保持台と接触子とを相対的に移動させて、前記接触子を、各個別電極に対して垂直に個別に面接触させて、保持台および接触子を介して各素子部分毎に通電して、各素子部分毎に電気特性を測定する。このように各素子部分毎に通電して、各素子部分毎に電気特性を測定するので、各素子部分の電気特性を容易に測定することができる。
詳述すると、保持台によって半導体レーザ素子を保持した状態で、保持台と接触子とを相対的に移動させることによって、接触子が一方の個別電極のみに面接触した状態と、接触子が他方の個別電極のみに面接触した状態とを実現することができる。接触子が一方の個別電極のみに面接触した状態では、保持台および接触子を介して一方の素子部分に通電して、一方の素子部分の電気特性を測定することができる。接触子が他方の個別電極のみに面接触した状態では、保持台および接触子を介して他方の素子部分に通電して、他方の素子部分の電気特性を測定することができる。
接触子は、個別電極に対して面接触するので、接触子が個別電極および素子部分に対して与える押圧力は分散される。これによって個別電極および素子部分に対して局所的に大きな力が作用して素子部分に歪みなどが生じてしまうという不具合が防がれ、素子部分の電気特性が変化してしまうという不具合が防がれる。したがって素子部分の本来の電気特性を正確に測定することができ、また半導体レーザ素子の信頼性の低下を防止することができる。しかも接触子は、個別電極に対して垂直に面接触するので、接触子が個別電極に面接触するときに、接触子が半導体レーザ素子を保持台に対して変位させてしまうという不具合が生じない。したがって前記第5の従来の技術のような緻密な位置調整および荷重調整のための構成が不要となり、本発明の半導体レーザ素子の測定方法を実現するための装置の構成が簡略化される。
また本発明によれば、半導体レーザ素子は、保持台によって保持される。このとき半導体レーザ素子の共通電極と、保持台とが接触している。このような状態で、半導体レーザ素子の一方の個別電極に接触子が接触できる第1測定位置と、半導体レーザ素子の他方の個別電極に接触子が接触できる第2測定位置とにわたって、保持台および接触子が移動手段によって相対的に移動され、接触子が半導体レーザ素子の各個別電極に対して垂直に個別に面接触される。測定手段は、保持台および接触子を介して各素子部分毎に通電して、各素子部分毎に電気特性を測定することができる。これによって各素子部分の電気特性を容易に測定することができる。
接触子は、個別電極に対して面接触するので、接触子が個別電極および素子部分に対して与える押圧力は分散される。これによって個別電極および素子部分に対して局所的に大きな力が作用して素子部分に歪みなどが生じてしまうという不具合が防がれ、素子部分の電気特性が変化してしまうという不具合が防がれる。したがって素子部分の本来の電気特性を正確に測定することができ、また半導体レーザ素子の信頼性の低下を防止することができる。しかも接触子は、個別電極に対して垂直に面接触するので、接触子が個別電極に面接触するときに、接触子が半導体レーザ素子を保持台に対して変位させてしまうという不具合が生じない。したがって前記第5の従来の技術のような緻密な位置調整および荷重調整のための構成が不要となり、装置の構成が簡略化される。
また本発明によれば、移動手段による保持台および接触子の相対的な移動量を、各素子部分毎に設定することができるので、半導体レーザ素子の大きさ、ならびに接触子の外形および外形寸法に拘わらず、半導体レーザ素子の各個別電極毎に接触子を面接触させ、各素子部分毎に電気特性を測定することができる。
また本発明によれば、保持台によって保持される半導体レーザ素子の各個別電極の位置および前記半導体レーザ素子の傾きを、画像認識手段によって認識することができる。この画像認識手段による認識に基づいて、半導体レーザ素子の配置状態を補正することができる。
また本発明によれば、移動手段は、θ移動機構およびXY移動機構を有し、画像認識手段によって求められたデータに基づいて、半導体レーザ素子の傾きをθ移動機構によって補正し、半導体レーザ素子の位置をXY移動機構によって補正することができる。
また本発明によれば、画像認識手段が半導体レーザ素子の外形によって半導体レーザ素子の位置および傾きを認識する場合、半導体レーザ素子を保持台からはみ出すまたは保持台を半導体レーザ素子より小さくする。これによって保持台の映像が外形認識領域に入ることを防ぐことができ、半導体レーザ素子の外形を高精度で認識し、半導体レーザ素子の位置および傾きを高精度で認識することができる。
また本発明によれば、保持台によって保持される半導体レーザ素子と、接触子との接触状態を観察手段によって観察することができる。これによって操作者は、前記接触状態を、目視によって確認することができる。
また本発明によれば、接触子は、半導体レーザ素子を吸着することができ、半導体レーザ素子を搬送するときに用いられるので、半導体レーザ素子を搬送するための搬送部材と接触子とを別の構成にする場合に比べて、前記搬送部材および接触子の移動距離および移動時間を短縮することができる。また装置の機構も簡略化することができる。
また本発明によれば、各素子部分毎に測定条件を設定することができるので、各素子部分の電気特性が異なる場合であっても、各素子部分の電気特性を所望の測定条件で測定することができる。
また本発明によれば、一方の素子部分の電気特性を測定して不良と判定された場合は、他方の素子部分の測定を行うか否かを指定できる。一方の素子部分が不良である場合は、他方の素子部分が良品であっても、半導体レーザ素子としては不良となる。それ故、一方の素子部分の電気特性を測定して不良と判定された場合は、他方の素子部分の電気特性を測定せずに、半導体レーザ素子を不良品として、測定を終了することによって、測定時間を短縮することができる。
また本発明によれば、移動手段は、保持台を移動させる状態と、保持台を移動させない状態とに切換可能であるので、保持台を移動させる状態で、前述のような2つの素子部分を含む半導体レーザ素子の電気特性を測定するとともに、保持台を移動させない状態で、1つの素子部分を含む半導体レーザ素子の電気特性を測定することができる。したがって、装置の汎用性が格段に向上される。
図1は、本発明の実施の一形態である半導体レーザ素子の測定装置21の構成を簡略化して示す正面図である。図2は、半導体レーザ素子22の平面図であり、図3は半導体レーザ素子22の図2の下方から見た正面図である。半導体レーザ素子22は略直方体状である。この半導体レーザ素子22は、たとえば、幅寸法W1が250μmであり、長さ寸法W2が350μmであり、厚み寸法W3が100μmである。詳述すると、半導体レーザ素子22は、半導体から成る基板23と、この基板23の一表面に設けられる2つの素子部分24a,24bとを含む。
基板23は、その厚み方向から見た形状が矩形である。基板23の他表面には、共通電極25が形成される。各素子部分24a,24bは、基板23の幅方向に関して間隔をあけて設けられる。各素子部分24a,24bは、基板23の長さ方向に延びる発光領域26a,26bをそれぞれ有する。各素子部分24a,24bの発光領域26a,26bの両端部は、レーザ光を出射するレーザ光出射端部27a,27bである。各素子部分24a,24bの前記共通電極25とは反対に臨む一表面には、個別電極28a,28bがそれぞれ形成される。各素子部分24a,24bの個別電極28a,28bの間隔W11は、たとえば110μmである。
このような半導体レーザ素子22は、一方の素子部分24aの個別電極28aおよび共通電極25を介して通電されると、一方の素子部分24aのレーザ光出射端部27aからレーザ光を出射し、他方の素子部分24bの個別電極28bおよび共通電極25を介して通電されると、他方の素子部分24bのレーザ光出射端部27bからレーザ光を出射する。
半導体レーザ素子の測定装置21(以下、単に「測定装置21」と記載することがある)は、供給用ステージ31と、測定用ステージ32と、収納用ステージ33と、搬送手段34と、測定手段35と、画像認識手段である第1画像認識手段36と、第2画像認識手段37と、観察手段38とを含む。
前記供給用ステージ31は、供給用載置台41および供給用移動手段42を含む。供給用載置台41は、上方に臨む水平な載置面43を有する。この載置面43には、複数の半導体レーザ素子22を載置することができる。供給用載置台41の載置面43には、測定前の半導体レーザ素子22がたとえば2次元マトリクス状に並べられる。供給用移動手段42は、水平な仮想一平面内で直交するX軸およびY軸の各方向(以下、単に「X方向」、「Y方向」と記載することがある)に、供給用載置台41を移動させることができる。
前記測定用ステージ32は、保持台である測定用保持台46と、移動手段である測定用移動手段47とを含む。測定用保持台46は、略円柱状であり、X軸およびY軸に直交するZ軸に平行な軸線48に沿って延びる。測定用保持台46は、上方に臨む水平な保持面49を有する。この保持面49には、1つの半導体レーザ素子22を載置することができる。測定用保持台46には、この測定用保持台46を、前記Z軸に平行な軸線48に沿って貫通する吸着孔50が形成される。また測定用保持台46には、吸引源が接続される。この吸引源の働きによって、測定用保持台46は、測定用保持台46の保持面49に載置された半導体レーザ素子22を真空吸着して保持することができる。測定用移動手段47は、XY移動機構およびθ移動機構を有し、測定用保持台46をXおよびY方向に移動させるとともに、測定用保持台46をこの測定用保持台46の軸線48まわりの方向であるθ方向に移動させることができる。
前記収納用ステージ33は、収納用載置台51および収納用移動手段52を含む。収納用載置台51は、上方に臨む水平な載置面53を有する。この載置面53には、複数の半導体レーザ素子22を載置することができる。収納用載置台51の載置面53には、測定後の半導体レーザ素子22がたとえば2次元マトリクス状に並べられる。収納用移動手段52は、収納用載置台51をXおよびY方向に移動させることができる。
これらの各ステージ31〜33は、Y方向に同一の位置に設けられる。しかも測定用ステージ32は、供給用ステージ31および収納用ステージ33の間に設けられる。供給用ステージ31および測定用ステージ32の間の間隔と、収納用ステージ33および測定用ステージ32の間の間隔とは、同一である。
前記搬送手段34は、移動体56と、供給用コレット57と、接触子である測定用コレット58と、変位駆動手段59と、供給用昇降駆動手段60と、測定用昇降駆動手段61とを含む。前記移動体56は、前記各ステージ31〜33の上方に、X方向にスライド変位自在に設けられる。この移動体56はX方向に延びる。移動体56の一端部には供給用コレット57が設けられ、移動体56の他端部には測定用コレット58が設けられる。
前記供給用コレット57は、略円柱状であり、Z軸に平行な軸線64に沿って延びる。供給用コレット57は、下方に臨む水平な保持面65を有する。供給用コレット57には、この供給用コレット57を、前記Z軸に平行な軸線64に沿って貫通する吸着孔66が形成される。また供給用コレット57には、吸引源が接続される。この吸引源の働きによって、供給用コレット57は、この供給用コレット57の保持面65に接触する半導体レーザ素子22を真空吸着して保持することができる。
前記測定用コレット58は、略円柱状であり、Z軸に平行な軸線69に沿って延びる。測定用コレット58は、下方に臨む水平な保持面70を有する。測定用コレット58には、この測定用コレット58を、前記Z軸に平行な軸線69に沿って貫通する吸着孔71が形成される。また測定用コレット58には、吸引源が接続される。この吸引源の働きによって、測定用コレット58は、この測定用コレット58の保持面70に接触する半導体レーザ素子22を真空吸着して保持することができる。
前記変位駆動手段59は、移動体56を、したがってこの移動体56に設けられる供給用コレット57および測定用コレット58を、X方向に移動させる。詳述すると、変位駆動手段59は、供給用コレット57の軸線64が、所定位置73に配置される測定用保持台46の軸線48と一致するような受渡位置74と、測定用コレット58の軸線69が、所定位置73に配置される測定用保持台46の軸線48と一致するような受取位置75とにわたって、移動体56を移動させる。前記所定位置73は、供給用コレット57が半導体レーザ素子22を測定用保持台46に受け渡すときの測定用保持台46の位置であり、また測定用コレット58が半導体レーザ素子22を測定用保持台46から受け取るときの測定用保持台46の位置でもある。
前記供給用昇降駆動手段60は、供給用コレット57を、その供給用コレット57の軸線64に沿って、上昇および下降する。すなわち供給用昇降駆動手段60は、供給用コレット57を、Z軸の方向(以下、単に「Z方向」と記載することがある)に移動させる。詳述すると、供給用昇降駆動手段60は、供給用コレット57が移動体56から下方に突出した突出位置77と、供給用コレット57が移動体56に退避した退避位置78とにわたって、供給用コレット57を移動させる。前記移動体56が受取位置75に配置され、かつ供給用コレット57が突出位置77に配置されるとき、供給用コレット57は、供給用載置台41の載置面43に載置される半導体レーザ素子22に接触することができる。前記移動体56が受渡位置74に配置され、かつ供給用コレット57が突出位置77に配置されるとき、供給用コレット57は、測定用保持台46の保持面49に載置される半導体レーザ素子22に接触することができる。
前記測定用昇降駆動手段61は、測定用コレット58を、その測定用コレット58の軸線69に沿って、上昇および下降する。すなわち測定用昇降駆動手段61は、測定用コレット58を、Z方向に移動させる。詳述すると、測定用昇降駆動手段61は、測定用コレット58が移動体56から下方に突出した突出位置77と、測定用コレット58が移動体56に退避した退避位置78とにわたって、測定用コレット58を移動させる。前記移動体56が受取位置75に配置され、かつ測定用コレット58が突出位置77に配置されるとき、測定用コレット58は、測定用保持台46の保持面49に載置される半導体レーザ素子22に接触することができる。前記移動体56が受渡位置74に配置され、かつ測定用コレット58が突出位置77に配置されるとき、測定用コレット58は、収納用載置台51の載置面53に載置される半導体レーザ素子22に接触することができる。
前記測定手段35は、レーザ駆動電源81および光検出部82を含む。前記レーザ駆動電源81は、測定用コレット58および測定用保持台46に電気的に接続される。レーザ駆動電源81は、測定用コレット58および測定用保持台46を介して、半導体レーザ素子22に通電することができる。前記光検出部82は、半導体レーザ素子22の発光量を検出する。詳述すると、光検出部82は、受光素子であるフォトダイオード83と、光検出回路84とを含む。フォトダイオード83は、光検出回路84に電気的に接続される。フォトダイオード83は、半導体レーザ素子22が通電されることによって、半導体レーザ素子22のレーザ光出射端部27a,27bから出射されるレーザ光を受光可能な位置に設けられる。フォトダイオード83は、レーザ光の受光量に基づく情報を、光検出回路84に与える。光検出回路84は、フォトダイオード83からの情報に基づいて、半導体レーザ素子22の発光量を検出し、電気特性を測定する。
本実施の形態において、測定装置21が測定する半導体レーザ素子22の電気特性は、電流−光出力特性である。具体的に述べると、測定装置21は、レーザ駆動電源81によって半導体レーザ素子22に印加する電流を徐々に増加しながら、その半導体レーザ素子22による光出力を光検出部82によって測定する。半導体レーザ素子22の良否は、半導体レーザ素子22による光出力が予め定める光出力であるときに半導体レーザ素子22に印加されている電流量が検査基準内であるか否かによって判定される。
図4は、第1画像認識手段36を示す正面図である。図5は、測定用保持台46によって保持される半導体レーザ素子22の配置状態を示す平面図であり、図5(1)は補正前における半導体レーザ素子22の配置状態を示し、図5(2)は補正後における半導体レーザ素子22の配置状態を示す。前記第1画像認識手段36は、第1カメラ86、第1画像処理部87および第1表示部88を含む。
第1カメラ86は、測定用保持台46の保持面49に対向するように配置され、測定用保持台46によって保持される半導体レーザ素子22を撮像することができる。この第1カメラ86による撮像データは、第1画像処理部87に与えられる。第1画像処理部87は、第1カメラ86からの撮像データを第1表示部88に表示させる。また第1画像処理部87は、第1カメラ86からの撮像データに基づいて、半導体レーザ素子22の配置状態を認識し、半導体レーザ素子22の配置状態に関する第1データを生成する。この第1データは、後述の制御手段90に与えられる。制御手段90は、第1データに基づいて、測定用移動手段47を制御する。このようにして半導体レーザ素子22が図5(2)に示されるような予め定める配置状態となるように、測定用移動手段47による測定用保持台46の位置が、制御手段90によって制御される。
前記予め定める配置状態は、半導体レーザ素子22の各発光領域26a,26bがY方向に延び、かつ半導体レーザ素子22がフォトダイオード83に対して所定の相対的な位置となるような、半導体レーザ素子22の配置状態である。本実施の形態においては、測定用保持台46によって保持される半導体レーザ素子22が前記予め定める配置状態となるときの測定用保持台46の位置91を、初期位置91と記載することがある。
図6は、第1データを生成するために認識される半導体レーザ素子22の部分を示す図であり、図6(1)は各個別電極28a,28bが認識される場合を示し、図6(2)は半導体レーザ素子22の外形が認識される場合の一例を示し、図6(3)は半導体レーザ素子22の外形が認識される場合の他の例を示す。半導体レーザ素子22の配置状態を認識するためには、図6(1)に示されるように各個別電極28a,28bを認識してもよく、また図6(2)および図6(3)に示されるように半導体レーザ素子22の外形を認識してもよい。図6(3)では、半導体レーザ素子22が測定用保持台46の保持面49からはみ出すように、半導体レーザ素子22を測定用保持台46の保持面49に載置し、画像認識領域92内に測定用保持台46の映像が入らないようにする。このように画像認識領域92内に測定用保持台46の映像が入らないようにするために、測定用保持台46を半導体レーザ素子22より小さくしてもよい。
前記第2画像認識手段37は、第2カメラ93、第2画像処理部94および第2表示部95を含む。第2カメラ93は、供給用載置台41の載置面43に対向するように配置され、供給用載置台41の載置面43に載置される半導体レーザ素子22を撮像することができる。この第2カメラ93による撮像データは、第2画像処理部94に与えられる。第2画像処理部94は、第2カメラ93からの撮像データを第2表示部95に表示させる。また第2画像処理部94は、第2カメラ93からの撮像データに基づいて、半導体レーザ素子22の配置状態を認識し、半導体レーザ素子22の配置状態に関する第2データを生成する。この第2データは、後述の制御手段90に与えられる。制御手段90は、第2データに基づいて、供給用移動手段42を制御する。
図7は、半導体レーザ素子22と測定用コレット58との位置関係を示す図であり、図7(1)は半導体レーザ素子22が測定用コレット58に対して初期位置91に配置されるときの状態を示し、図7(2)は一方の素子部分24aの電気特性を測定するときの状態を示し、図7(3)は他方の素子部分24bの電気特性を測定するときの状態を示す。図8は、一方の素子部分24aの電気特性を測定するときの回路図である。測定前の半導体レーザ素子22が測定用保持台46に載置された後、この測定用保持台46は、図7(1)に示されるように半導体レーザ素子22が予め定める配置状態となる初期位置91に配置される。
一方の素子部分24aの電気特性を測定するとき、測定用保持台46は第1測定位置98に配置される。初期位置91から第1測定位置98までの第1移動量は、予め設定される。第1測定位置98では、図7(2)に示されるように、測定用コレット58が一方の個別電極28aにだけ面接触する。本実施の形態において、測定用コレット58の先端部の保持面70は、その面積Aの約5%〜約30%が、前記一方の個別電極28aに接触される。これによって保持面70から一方の個別電極28aへの押圧力を分散させて、一方の素子部分24aの測定時における歪みの発生を抑制し、電気特性への押圧力による影響が可及的に少なくなるようにしている。一例として述べると、前記測定用コレット58の保持面70は、測定用コレット58の軸線69に垂直な仮想一平面上で円形であり、その直径は半導体レーザ素子22の幅寸法W1の約1.1倍〜約3.0倍に選ばれている。
他方の素子部分24bの電気特性を測定するとき、測定用保持台46は第2測定位置99に配置される。初期位置91から第2測定位置99までの第2移動量は、予め設定される。第2測定位置99では、図7(3)に示されるように、測定用コレット58が他方の個別電極28bにだけ面接触する。本実施の形態において、測定用コレット58の先端部の保持面70は、その面積Aの約5%〜約30%が、前記他方の個別電極28bに接触される。これによって保持面70から他方の個別電極28bへの押圧力を分散させて、他方の素子部分24bの測定時における歪みの発生を抑制し、電気特性への押圧力による影響が可及的に少なくなるようにしている。
図9は、観察手段38と半導体レーザ素子22との位置関係を示す図であり、図10は観察手段38によって観察される接触状態を示す図である。前記観察手段38は、たとえば顕微鏡によって実現される。観察手段38は、X方向に測定用保持台46とほぼ同一の位置に配置されるとともに、測定用保持台46に関して、Y方向の一方に配置される。しかも観察手段38は、測定用保持台46に関して上方に配置され、斜め上方から、半導体レーザ素子22と測定用コレット58との接触状態を観察することができる。これによって操作者は、図10に示されるような接触状態を、目視によって確認することができる。前記観察手段38は、必ずしも顕微鏡によって実現される必要はなく、たとえばCCDカメラなどによって実現されてもよい。
図11は、測定装置21の電気的構成を示すブロック図である。マイクロコンピュータなどによって実現される制御手段90には、操作者によって操作される入力手段101の出力、第1画像認識手段36の出力、および第2画像認識手段37の出力が、それぞれ与えられる。制御手段90は、前述したように、供給用移動手段42、測定用移動手段47および収納用移動手段52をそれぞれ制御する。また制御手段90は、変位駆動手段59を制御し、さらに供給用昇降駆動手段60および測定用昇降駆動手段61をそれぞれ制御する。また制御手段90は、レーザ駆動電源81を制御する。前記第1および第2移動量ならびに各素子部分24a,24bの測定条件は、操作者によって入力手段101が操作されることによって設定される。
図12は、図11に示される制御手段90の動作を説明するためのフローチャートであり、図13は制御手段90の図12に続く動作を説明するためのフローチャートであり、図14は制御手段90の図13に続く動作を説明するためのフローチャートである。図15は、測定装置21の供給動作を説明するための図であり、図16は測定装置21の測定動作を説明するための図であり、図17は測定装置21の収納動作を説明するための図である。これらの図12〜図17を参照して、半導体レーザ素子の測定方法を説明する。
測定装置21の動作が開始される前、移動体56は受渡位置74に配置され、供給用コレット57および測定用コレット58は退避位置78に配置され、測定用保持台46は所定位置73に配置されている。電気特性が測定されるべき複数の半導体レーザ素子22が供給用載置台41の載置面43に載置され、ステップa1で、半導体レーザ素子22の電気特性を測定するための動作が開始されると、ステップa2に移行する。ステップa2では、変位駆動手段59によって、移動体56が受渡位置74から受取位置75へ移動される。次のステップa3では、供給用昇降駆動手段60によって供給用コレット57が退避位置78から突出位置77へ移動される。次のステップa4では、供給用コレット57による半導体レーザ素子22の吸着が開始される。
次のステップa5では、供給用昇降駆動手段60によって供給用コレット57が突出位置77から退避位置78へ移動される。次のステップa6では、変位駆動手段59によって移動体56が受取位置75から受渡位置74へ移動される。次のステップa7では、供給用昇降駆動手段60によって供給用コレット57が退避位置78から突出位置77へ移動される。次のステップa8では、供給用コレット57による半導体レーザ素子22の吸着が終了される。前記ステップa4〜a8において、供給用コレット57によって保持される半導体レーザ素子22が、図15に示されるように、供給用載置台41から測定用保持台46へ搬送される。次のステップa9では、測定用保持台46による半導体レーザ素子22の吸着が開始される。次のステップa10では、供給用昇降駆動手段60によって供給用コレット57が突出位置77から退避位置78へ移動される。
次のステップa11では、図16(1)に示されるように、変位駆動手段59によって移動体56が受渡位置74から受取位置75へ移動される。このとき測定用保持台46は、この測定用保持台46によって保持される半導体レーザ素子22が予め定める配置状態となる初期位置91へ、測定用移動手段47によって移動される。詳述すると、測定用保持台46によって保持される半導体レーザ素子22の配置状態が第1画像認識手段36によって認識される。制御手段90は、第1画像認識手段36による第1データに基づいて、前記半導体レーザ素子22が予め定める配置状態となるように、測定用保持台46の位置を制御する。この後、前記ステップa3〜a5が実行される。
次のステップa12では、図16(2)に示されるように測定用移動手段47によって測定用保持台46が初期位置91から第1測定位置98へ移動される。次のステップa13では、図16(3)に示されるように、測定用昇降駆動手段61によって測定用コレット58が退避位置78から突出位置77へ移動される。次のステップa14では、レーザ駆動電源81によって測定用保持台46および測定用コレット58を介して一方の素子部分24aが通電され、光検出部82によって一方の素子部分24aの電気特性が測定される。次のステップa15では、図16(4)に示されるように、測定用昇降駆動手段61によって測定用コレット58が突出位置77から退避位置78へ移動される。
次のステップa16では、図16(5)に示されるように、測定用移動手段47によって測定用保持台46が第1測定位置98から第2測定位置99へ移動される。次のステップa17では、図16(6)に示されるように、測定用昇降駆動手段61によって測定用コレット58が退避位置78から突出位置77へ移動される。次のステップa18では、レーザ駆動電源81によって測定用保持台46および測定用コレット58を介して他方の素子部分24bが通電され、光検出部82によって他方の素子部分24bの電気特性が測定される。次のステップa19では、図16(7)に示されるように、測定用昇降駆動手段61によって測定用コレット58が突出位置77から退避位置78へ移動される。次のステップa20では、図16(8)に示されるように、測定用移動手段47によって測定用保持台46が第2測定位置99から所定位置73へ移動される。
次のステップa21では、測定用昇降駆動手段61によって測定コレットが退避位置78から突出位置77へ移動される。次のステップa22では、測定用保持台46による半導体レーザ素子22の吸着が終了される。次のステップa23では、測定用コレット58による半導体レーザ素子22の吸着が開始される。次のステップa24では、測定用昇降駆動手段61によって測定用コレット58が突出位置77から退避位置78へ移動される。次のステップa25では、変位駆動手段59によって移動体56が受取位置75から受渡位置74へ移動される。次にステップa26では、測定用昇降駆動手段61によって測定用コレット58が退避位置78から突出位置77へ移動されるとともに、供給用昇降駆動手段60によって供給用コレット57が退避位置78から突出位置77へ移動される。次のステップa27では、測定用コレット58による半導体レーザ素子22の吸着が終了されるとともに、供給用コレット57による半導体レーザ素子22の吸着が終了される。前記ステップa23〜a27において、測定用コレット58によって保持される半導体レーザ素子22が、図17に示されるように、測定用保持台46から収納用載置台51へ搬送される。
次のステップa28では、測定用保持台46による半導体レーザ素子22の吸着が開始される。次のステップa29では、測定用昇降駆動手段61によって測定用コレット58が突出位置77から退避位置78へ移動されるとともに、供給用昇降駆動手段60によって供給用コレット57が突出位置77から退避位置78へ移動される。この後、供給用載置台41の載置面43に載置された全ての半導体レーザ素子22の電気特性が測定されるまで、ステップa11〜a29が繰り返して実行される。次のステップa30では、半導体レーザ素子22の電気特性を測定するための動作が終了される。
前記ステップa13において、操作者は、観察手段38を用いて半導体レーザ素子22と測定用コレット58との接触状態を目視によって確認し、前記接触状態が不所望な状態であるときは、入力手段101を操作して第1移動量の設定値を変更して、前記接触状態を所望の状態に補正することができる。また前記ステップa17において、操作者は、観察手段38を用いて半導体レーザ素子22と測定用コレット58との接触状態を目視によって確認し、前記接触状態が不所望な状態であるときは、入力手段101を操作して第2移動量の設定値を変更して、前記接触状態を所望の状態に補正することができる。接触状態の確認は、各半導体レーザ素子22毎に行う必要はなく、第1画像認識手段36の計算誤差および測定用コレット58の外形の誤差を補正するための初期設定時に行うだけで十分である。
本実施の形態では、一方の素子部分24aの電気特性を測定して不良と判定された場合は、他方の素子部分24bの測定を行うか否かを、操作者によって入力手段101が操作されることによって指定できる。一方の素子部分24aが不良である場合は、他方の素子部分24bが良品であっても、半導体レーザ素子22としては不良となる。それ故、一方の素子部分24aの電気特性を測定して不良と判定された場合は、他方の素子部分24bの電気特性を測定せずに、半導体レーザ素子22を不良品として、測定を終了することによって、測定時間を短縮することができる。
また本実施の形態では、操作者によって入力手段101が操作されることによって、測定用保持台46を移動させる状態と、測定用保持台46を移動させない状態とに切換えることができる。すなわち本実施の形態では、半導体レーザ素子22の電気特性を測定するにあたって、測定用保持台46を、初期位置91から第1および第2測定位置98,99に移動させる状態と、初期位置91に維持する状態とに切換えることができる。したがって測定用保持台46を移動させる状態で、2つの素子部分24a,24bを含む半導体レーザ素子22の電気特性を測定するとともに、測定用保持台46を移動させない状態で、1つの素子部分を含む半導体レーザ素子の電気特性を測定することができる。このように測定装置21の汎用性が格段に向上される。
以上のように本実施の形態によれば、測定用保持台46によって半導体レーザ素子22を保持する。このとき半導体レーザ素子22の共通電極25と、測定用保持台46とが接触している。このような状態で、測定用保持台46と測定用コレット58とを相対的に移動させて、前記測定用コレット58を、各個別電極28a,28bに対して垂直に個別に面接触させて、測定用保持台46および測定用コレット58を介して各素子部分24a,24b毎に通電して、各素子部分24a,24b毎に電気特性を測定する。このように各素子部分24a,24b毎に通電して、各素子部分24a,24b毎に電気特性を測定するので、各素子部分24a,24bの電気特性を容易に測定することができる。
詳述すると、測定用保持台46によって半導体レーザ素子22を保持した状態で、測定用保持台46と測定用コレット58とを相対的に移動させることによって、測定用コレット58が一方の個別電極28aのみに面接触した状態と、測定用コレット58が他方の個別電極28bのみに面接触した状態とを実現することができる。測定用コレット58が一方の個別電極28aのみに面接触した状態では、測定用保持台46および測定用コレット58を介して一方の素子部分24aに通電して、一方の素子部分24aの電気特性を測定することができる。測定用コレット58が他方の個別電極28bのみに面接触した状態では、測定用保持台46および測定用コレット58を介して他方の素子部分24bに通電して、他方の素子部分24bの電気特性を測定することができる。
測定用コレット58は、個別電極に対して面接触するので、測定用コレット58が個別電極および素子部分に対して与える押圧力は分散される。これによって個別電極および素子部分に対して局所的に大きな力が作用して素子部分に歪みなどが生じてしまうという不具合が防がれ、素子部分の電気特性が変化してしまうという不具合が防がれる。したがって素子部分の本来の電気特性を正確に測定することができ、また半導体レーザ素子22の信頼性の低下を防止することができる。しかも測定用コレット58は、個別電極に対して垂直に面接触するので、測定用コレット58が個別電極に面接触するときに、測定用コレット58が半導体レーザ素子22を測定用保持台46に対して変位させてしまうという不具合が生じない。したがって前記第5の従来の技術のような緻密な位置調整および荷重調整のための構成が不要となり、半導体レーザ素子の測定方法を実現するための測定装置21の構成が簡略化される。
また本実施の形態によれば、半導体レーザ素子22は、測定用保持台46によって保持される。このとき半導体レーザ素子22の共通電極25と、測定用保持台46とが接触している。このような状態で、半導体レーザ素子22の一方の個別電極28aに測定用コレット58が接触できる第1測定位置98と、半導体レーザ素子22の他方の個別電極28bに測定用コレット58が接触できる第2測定位置99とにわたって、測定用保持台46が測定用移動手段47によって移動され、測定用コレット58が半導体レーザ素子22の各個別電極28a,28bに対して垂直に個別に面接触される。測定手段35は、測定用保持台46および測定用コレット58を介して各素子部分24a,24b毎に通電して、各素子部分24a,24b毎に電気特性を測定することができる。これによって各素子部分24a,24bの電気特性を容易に測定することができる。
測定用コレット58は、個別電極に対して面接触するので、測定用コレット58が個別電極および素子部分に対して与える押圧力は分散される。これによって個別電極および素子部分に対して局所的に大きな力が作用して素子部分に歪みなどが生じてしまうという不具合が防がれ、素子部分の電気特性が変化してしまうという不具合が防がれる。したがって素子部分の本来の電気特性を正確に測定することができ、また半導体レーザ素子22の信頼性の低下を防止することができる。しかも測定用コレット58は、個別電極に対して垂直に面接触するので、測定用コレット58が個別電極に面接触するときに、測定用コレット58が半導体レーザ素子22を測定用保持台46に対して変位させてしまうという不具合が生じない。したがって前記第5の従来の技術のような緻密な位置調整および荷重調整のための構成が不要となり、装置の構成が簡略化される。
また本実施の形態によれば、供給用コレット57と測定用コレット58とが同一の移動体56に設けられ、この移動体56がX方向にスライド変位されるので、搬送機構は1軸となり、測定装置21の構成が簡略化される。
また本実施の形態によれば、半導体レーザ素子22の各素子部分24a,24bの電気特性を測定するために、測定用保持台46を移動させるので、供給用コレット57と測定用コレット58とが同一の移動体56に設けられていても、測定動作と供給動作を同時に実行することができ、これらの動作に要する時間を短縮することができる。
また本実施の形態によれば、測定用移動手段47による測定用保持台46および測定用コレット58の相対的な移動量を、各素子部分24a,24b毎に設定することができるので、半導体レーザ素子22の大きさ、ならびに測定用コレット58の外形および外形寸法に拘わらず、半導体レーザ素子22の各個別電極28a,28b毎に測定用コレット58を面接触させ、各素子部分24a,24b毎に電気特性を測定することができる。
また本実施の形態によれば、測定用保持台46によって保持される半導体レーザ素子22の各個別電極28a,28bの位置および前記半導体レーザ素子22の傾きを、第1画像認識手段36によって認識することができる。この第1画像認識手段36による認識に基づいて、半導体レーザ素子22の配置状態を補正することができる。
また本実施の形態によれば、測定用移動手段47は、θ移動機構およびXY移動機構を有し、第1画像認識手段36によって求められたデータに基づいて、半導体レーザ素子22の傾きをθ移動機構によって補正し、半導体レーザ素子22の位置をXY移動機構によって補正することができる。
また本実施の形態によれば、第1画像認識手段36は、半導体レーザ素子22の平面視したときの外形によって半導体レーザ素子22の位置および傾きを認識する。この場合、第1画像認識手段36の第1カメラ86の撮像範囲から測定用保持台46の映像を排除して、画像認識処理のデータ量をなるべく少なくするため、半導体レーザ素子22の一部を測定用保持台46からはみ出させるか、または測定用保持台46が半導体レーザ素子22から平面視において隠れるように、測定用保持台46を、半導体レーザ素子22の外周よりも内側に小さくする。これによって測定用保持台46の映像が半導体レーザ素子22の外形の認識領域に入ることを防ぐことができ、半導体レーザ素子22の平面視したときの外形、すなわち外周形状を高精度で認識し、半導体レーザ素子22の位置および傾きを高精度で認識することができる。
また本実施の形態によれば、測定用コレット58は、半導体レーザ素子22を吸着することができ、半導体レーザ素子22を搬送するときに用いられるので、半導体レーザ素子22を搬送するための搬送部材と測定用コレット58とを別の構成にする場合に比べて、前記搬送部材および測定用コレット58の移動距離および移動時間を短縮することができる。また装置の機構も簡略化することができる。
また本実施の形態によれば、各素子部分24a,24b毎に測定条件を設定することができるので、各素子部分24a,24bの電気特性が異なる場合であっても、各素子部分24a,24bの電気特性を所望の測定条件で測定することができる。
図18は、本発明の実施の他の形態である半導体レーザ素子の測定装置に備えられる搬送手段105の構成を示す正面図である。本実施の形態の半導体レーザ素子の測定装置は、前述の実施の形態の半導体レーザ素子の測定装置21に類似するので、同一の部分の説明は省略する。
搬送手段105は、第1および第2移動体106,107と、第1コレット108と、接触子である第2コレット109と、第1および第2変位駆動手段110,111と、第1および第2昇降駆動手段112,113とを含む。前記第1および第2移動体106,107は、前記各ステージ31〜33の上方に、X方向にスライド変位自在に設けられる。第1移動体106には第1コレット108が設けられ、第2移動体107には第2コレット109が設けられる。
第1コレット108は、前述の実施の形態における供給用コレット57と同一の構成であり、第2コレット109は、前述の実施の形態における測定用コレット58と同一の構成である。第1変位駆動手段110は、第1移動体106を、したがってこの第1移動体106に設けられる第1コレット108を、X方向に移動させる。第2変位駆動手段111は、第2移動体107を、したがってこの第2移動体107に設けられる第2コレット109を、X方向に移動させる。第1昇降駆動手段112は、第1コレット108を、その第1コレット108の軸線114に沿って、上昇および下降する。すなわち第1昇降駆動手段112は、第1コレット108を、Z方向に移動させる。第2昇降駆動手段113は、第2コレット109を、その第2コレット109の軸線115に沿って、上昇および下降する。すなわち第2昇降駆動手段113は、第2コレット109を、Z方向に移動させる。
本実施の形態では、供給用載置台41から測定用保持台46へ半導体レーザ素子22を搬送するための機構と、測定用保持台46から収納用載置台51へ半導体レーザ素子22を搬送するための機構が個別に設けられるので、搬送機構が2軸となり測定装置の構成は複雑化するが、前述の実施の形態と同様の効果を達成することができる。
図19は、本発明の実施のさらに他の形態である半導体レーザ素子の測定装置に備えられる搬送手段117の構成を示す正面図である。本実施の形態の半導体レーザ素子の測定装置は、前述の実施の各形態の半導体レーザ素子の測定装置21に類似するので、同一の部分の説明は省略する。
搬送手段117は、第3移動体118と、接触子である第3コレット119と、第3変位駆動手段120と、第3昇降駆動手段121とを含む。前記第3移動体118は、前記各ステージ31〜33の上方に、X方向にスライド変位自在に設けられる。第3移動体118には、第3コレット119が設けられる。
第3コレット119は、前述の実施の形態における測定用コレット58と同一の構成である。第3変位駆動手段59は、第3移動体118を、したがってこの第3移動体118に設けられる第3コレット119を、X方向に移動させる。第3昇降駆動手段121は、第3コレット119を、その第3コレット119の軸線122に沿って、上昇および下降する。すなわち第3昇降駆動手段121は、第3コレット119を、Z方向に移動させる。
本実施の形態では、供給用載置台41から測定用保持台46への半導体レーザ素子22の搬送および測定用保持台46から収納用載置台51への半導体レーザ素子22の搬送を、1つの機構で行う。したがって前述の実施の各形態に比べて、測定のサイクル時間が長くなるが、搬送機構が1軸となり測定装置の構成は簡略化される。
前述の実施の各形態では、半導体レーザ素子22の各素子部分24a,24bの電気特性を測定するために、測定用保持台46を移動させるが、測定用コレット58を移動させてもよく、また測定用コレット58および測定用保持台46の両者を移動させてもよい。