JP2005141545A - 一体整形モデルデータを利用した画像処理方法及び記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】システム資源の限られる民生機器等においても、一体整形モデルによる表現力豊かなキャラクタ描画を高速描画できる描画方法を提供する。
【解決手段】あらかじめシステム資源の豊富な計算機上で、一体整形モデルデータを高速描画に適した形式に変換する。すなわち、頂点データに対し(ボーンウェイト、ボーン番号)の組が等しいものが連続するように並び替えておくことにより、ボーン変形の処理工程において導出される値の再利用率が向上し、計算量を大幅に減少させることが可能となる。
【選択図】図8
【解決手段】あらかじめシステム資源の豊富な計算機上で、一体整形モデルデータを高速描画に適した形式に変換する。すなわち、頂点データに対し(ボーンウェイト、ボーン番号)の組が等しいものが連続するように並び替えておくことにより、ボーン変形の処理工程において導出される値の再利用率が向上し、計算量を大幅に減少させることが可能となる。
【選択図】図8
Description
本発明は、各種情報端末においてキャラクタなどのオブジェクトを高速に描画する画像処理方法、キャラクタなどのオブジェクトを高速に描画するために適したモデルデータ構造を生成する画像処理方法、及び当該モデルデータ構造または画像処理プログラムを記録した記録媒体に関するものである。
従来、テレビ受像機などの各種家電機器や携帯電話などの各種情報機器に用いられるインタフェースとしては、リモコンやタッチパネルなどを介して画面に表示された操作メニューを選択する方法や、アイコンと呼ばれる絵文字を指定する方法が主流である。
一方、近年の情報処理技術の向上に伴い、各種家電機器の機能は高機能化の一途をたどっている。たとえばテレビの例では、それまでのアナログ放送からデジタル放送に変化することによって、多チャンネル放送の受信が可能となったり、データ放送の受信や、双方向通信によるユーザ参加型放送の受信が可能となったりといったような例がある。
このような高機能を有する機器を操作するとき、前述のリモコンやタッチパネルなどのいわゆる手先操作によるインタフェースでは、画面に表示する操作メニューの数を増加させるか、あるいは一度に表示する操作メニューの数を少なく限定するかわりに機能階層を深くするなどの対応がとられてきた。しかしながら、操作メニューの数が増加した場合、ユーザは提示された数多くのメニュー項目の中から希望する機能を探し出す必要があり、操作が煩雑になるという問題が生じる。また、機能階層を深くすれば同時に提示される選択肢の数は減るものの、目的の機能に到達するまでに深い機能階層をたどらなければならず、やはり操作が煩雑になるという問題が生じる。
そこで、最近ではキャラクタをディスプレイに表示させ、ユーザがディスプレイ上のキャラクタと会話を行う形式で機器の操作を行う対話型操作支援システムが提案されている。このシステムによれば、ユーザの発した音声を機器側が認識し、その認識結果に基づいてユーザの要求を解析することで機器の操作が可能となることから、ユーザは多数の操作メニューの中から所望する選択肢を探す手間や深い機能階層をたどる手間が不要となり、機器操作時の負荷を軽減することが出来る。
たとえば、特許文献1によれば、自然言語に近い命令体系を備え、また、応答時間を要する処理をユーザが命令した場合に、機器の進行状況をユーザにフィードバックすることでユーザの不安を生じさせないようにした対話型操作支援システムである。これによれば、ディスプレイ上に出現したアシスタントとの対話に基づいて、ユーザが不安を感じることなく機器を容易に操作することが可能となる。
その一方で、CPU演算能力やメモリ量などシステム資源の限られる民生機器においては、表現力豊かで生物的なアニメーションを描画することができず、表現力の乏しいキャラクタしか描画できないという問題があった。このため、ユーザのキャラクタに対する親近感が得にくく、円滑なインタフェースとして機能を十分に果たしていないという問題があった。
キャラクタの表現力を向上し、自然な動きを描画するための技術として、例えばリアルタイム性を要求されないCGムービーなどで一体整形モデルを利用した方法が提案されている。この一体整形モデルでは、キャラクタ全身形状データであるオブジェクトと、それに変形の影響を与えるボーン(Bone、骨)とから構成されるモデルを利用して描画する。
図1は、前記リアルタイム性を要求しないCGムービーにおける一体整形モデルの動きの例を示す例である。図1に示されたモデルは、上腕部分11と下腕部分12とで構成されるモデルであり、図1(A)は、その既定状態での姿勢である腕を水平に伸ばした状態を示している。この状態から腕を曲げたとすると、図1(B)に示すように、上腕部分11と下腕部分12との関節部分が自然に曲がった形状に変形する。この変形は次のようにして行われる。
図2は、前記腕モデルがボーンにより変形される様子を模式的に表した図である。上腕部分11と下腕部分12とからなる腕モデルは頂点V1〜V14から構成されている。また腕モデルの内部にはその関節に沿うようにして上腕ボーン21と下腕ボーン22とが埋め込まれている。頂点V1〜V14が上腕ボーン21、下腕ボーン22の動きに影響を受けてその位置を変えることにより、滑らかな腕の屈伸が表現される。
図3は、V1〜V14の各頂点が上腕ボーン21、下腕ボーン22の動きに影響を受ける度合いであるウェイト値を示した図である。この図では、上腕部分11に位置するV1やV2は上腕ボーン21から影響を受ける割合が100%に設定されており、下腕ボーン22の動きによる影響は受けないように設定されている。逆に下腕部分12に位置するV6やV7は下腕ボーン22から影響を受ける割合が100%に設定されている。これらのウェイト値はデザイナによって設定される。
図4は前記腕モデルと上腕ボーン21、下腕ボーン22との階層構造を示す図である。図4において最上位階層に相当するM1は腕モデルが該当し、M2は上腕ボーン21が該当し、最下位階層に相当するM3は下腕ボーン22が該当する。これらの各モデルは、その上の階層のモデルに対する相対的な位置情報として、回転量・平行移動量・拡縮量を乗算したマトリクスとして保持している。
以上のデータ構造をもつ一体整形モデルに対し、一般的に用いられている画像処理の手順を図5に従って説明する。まず、腕モデルとボーンからなる全てのモデルの動きを実現するためのマトリクスを計算する(S51)。次に、モデルのうちある1つのボーンマトリクスを読み出し、腕モデルを構成する1つの頂点に乗算する(S52)。次にウェイトリストを参照し、当該ボーンが当該頂点に与える影響を取得し、そのウェイトを乗算したものを頂点リストに格納する(S53)。1つのボーンに対し、腕モデルを構成する全ての頂点に対して上記の手順S52、S53を施し(S54)、さらに全てのボーンに対して上記の手順S52、S53、S54を施す(S55)。最後に上記手順により変形された腕モデルを描画する(S56)。
特開2002−41276号公報
しかしながら、上記で説明した画像処理方法は、CPU演算能力やメモリ量などシステム資源の限られる民生機器においては適用できない。なぜならば、オブジェクトを構成する全頂点の1個1個に対し、(1)ボーン変形マトリクスを乗算し、(2)ボーンが概頂点に与えるウェイト値を検索し、(3)ウェイト値を乗算し、(4)さらに上記処理を全てのボーンに対して行う必要が有り、その演算量が膨大なものになるからである。このため、リアルタイムでの描画処理が困難となり、対話型操作支援システムにおいては、ユーザがキャラクタに命令を出した後、キャラクタが反応を示すまで長時間待たされてしまうことになるからである。
そこで、本発明の目的は、一体整形モデルを利用してリアルタイムで画像処理を行うことができる画像処理方法、その画像処理に利用する一体整形モデルの画像データを生成する画像処理方法、及び当該画像データや画像処理プログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
かかる目的を達成するために、本発明は、複数の頂点から構成されるモデルと、他の1つ以上のモデルに変形の影響を与えるモデルとを、階層的に連結した構造からなる一体整形モデルデータを記録した記録媒体において、前記モデル毎にその既定の位置姿勢を記述したモデルマトリクスデータと、前記頂点を有するモデル毎に独自の頂点IDにより識別可能な頂点データと、ポリゴンを構成するために必要な頂点列を前記頂点IDにより指定するポリゴンリストと、前記頂点毎に、他のモデルから変形の影響を受けるウェイト値をモデル毎に記述したウェイトリストとを有し、前記頂点データはウェイト値が等しいものが連続して並ぶようにソートされていることを特徴とする、一体整形モデルデータを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供する。
上記の一体整形も出るデータを記録した記録媒体は、各種情報端末において、キャラクタなどのオブジェクトを高速に描画することが可能となる。
さらに、本発明は、上記の発明において、前記頂点データは、変形の影響を与えるモデルとそのモデルにより影響を受けるウェイト値との組合せが等しいものが連続して並ぶようにソートされていることを特徴とする。
さらに、本発明は、上記の発明において、前記頂点データは、前記頂点の位置座標データと法線方向データとを有することを特徴とする。
さらに、本発明は、前記頂点データは、それが属するモデル独自のローカル座標系により記述されていることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するために、本発明は、複数の頂点から構成されるモデルと、他の1つ以上のモデルに変形の影響を与えるモデルとを、階層的に連結した構造からなる一体整形モデルデータを元モデルデータから変換する画像処理方法において、前記モデル毎にその既定の位置姿勢を記述したモデルマトリクスデータを生成する工程と、前記頂点を有するモデル毎に独自の頂点IDにより識別可能な頂点データを生成する工程と、ポリゴンを構成するために必要な頂点列を前記頂点IDにより指定するポリゴンリストを生成する工程と、前記頂点毎に、他のモデルから変形の影響を受けるウェイト値をモデル毎に記述したウェイトリストとを生成する肯定とを有し、前記頂点データはウェイト値が等しいものが連続して並ぶようにソートする工程を有することを特徴とする、モデルデータ変換用の画像処理方法を提供する。
上記の画像処理方法によれば、キャラクタなどのオブジェクトを高速に描画することが可能となる一体整形モデルの変換データを生成することが出来る。
さらに、本発明は、前記頂点データを、変形の影響を与えるモデルとそのモデルにより影響を受けるウェイト値との組合せが等しいものが連続して並ぶようにソートする工程を有すること特徴とする。
また、上記目的を達成するために、本発明は、複数の頂点から構成されるモデルと、他の1つ以上のモデルに変形の影響を与えるモデルとを、階層的に連結した構造からなる一体整形モデルデータを描画する画像描画方法において、前記一体整形モデルデータが、前記モデル毎にその既定の位置姿勢を記述したモデルマトリクスデータと、前記頂点を有するモデル毎に独自の頂点IDにより識別可能な頂点データと、ポリゴンを構成するために必要な頂点列を前記頂点IDにより指定するポリゴンリストと、前記頂点毎に、他のモデルから変形の影響を受けるウェイト値をモデル毎に記述したウェイトリストとを有し、前記頂点データはウェイト値が等しいものが連続して並ぶようにソートされており、前画像描画方法は、前記階層的に連結した構造を順に探索してモデル毎の変換マトリクスを生成する工程と、前記頂点データに対して前記モデルのマトリクスを乗算する工程と、前記ウェイトリストからウェイト値を検索してウェイト乗算した頂点データを加算し頂点毎にその位置座標を変形させる工程と、前記ポリゴンリストに基づいてポリゴンを生成し描画する工程と、を有することを特徴とする、画像描画方法を提供する。
本発明によれば民生機器のように資源の少ない機器においても生物的で滑らかなアニメーションを高速に動作させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図9は、本発明の実施の形態においてキャラクタなどの一体整形モデルを描画するまでに必要な一連の処理の流れを示すフローチャートである。以降、この図をもとに各処理の詳細について説明する。
図9は、本発明の実施の形態においてキャラクタなどの一体整形モデルを描画するまでに必要な一連の処理の流れを示すフローチャートである。以降、この図をもとに各処理の詳細について説明する。
まず始めに、デザイナは3次元モデラを利用して所望するオブジェクトの基本形状を作成する(S91)。具体的にはオブジェクトを構成する頂点データの3次元位置座標を示す座標データを作成する。
こうして作成したオブジェクトに対し、オブジェクトを変形させるボーンをオブジェクト内部あるいは外部に配置する。また、オブジェクトの各頂点がそれぞれのボーンによりどの程度変形の影響を受けるかを設定するためにウェイト値を設定する(S92)。以上の作業によりデザイナは所望するキャラクタの姿勢を実現する一体整形モデルを作成する。
図6(A)は、本発明の実施の形態における3次元モデラを利用して生成される一体整形モデルの例を示す図である。図6(A)の一体整形モデルは、図1に示したような滑らかな腕関節の屈伸を実現するための例である。図6(A)はデザイナが作成した腕モデルの基本形状と、それに設定されたボーンの位置関係を示す。腕モデルは頂点V1〜V14の14個の頂点から構成されており、頂点V1〜V14が上腕ボーン21、下腕ボーン22の動きに影響を受けてその位置を変えることにより、滑らかな腕の屈伸が表現される。腕を伸ばした状態にある基本形状から、ボーンが回転することにより腕を曲げた状態に変形した様子を示すものが図6(B)である。すなわち、基本姿勢で水平状態にあるボーン21が下方に向かう方向へ回転する。このとき、上腕ボーン21の子に相当する下腕ボーン22も下方へ回転するが、図6(B)では、上方へ向かう方向へ回転した状態を示している。
図3は、デザイナが設定したウェイト値の例である。V1〜V14の14個の頂点がそれぞれ、上腕ボーン21、下腕ボーン22の動きにどの程度影響を受けるかを示している。この図では、上腕部分に位置するV1やV2は上腕ボーン21から影響を受ける割合が100%に設定されており、下腕ボーン22の動きによる影響は受けないように設定されている。このため、頂点V1やV2はボーン21の動きと全く同じ動きをする。具体的には、ボーン21が平行移動した場合は頂点V1、V2も同じ量だけ平行移動し、上腕ボーン21が回転した場合は頂点V1、V2も同じ量だけ回転し、上腕ボーン21が拡縮縮した場合は頂点V1、V2の座標も同じだけ拡縮する。逆に下腕部分に位置するV6やV7は下腕ボーン22から影響を受ける割合が100%に設定されている。また、上腕と下腕との関節部分に位置する頂点V4やV11は、上腕ボーン21からの影響と下腕ボーン22からの影響とがそれぞれ50%の割合に設定されている。このため、頂点V4やV11は上腕ボーン21の動きと下腕ボーン22の動きとをそれぞれ50%ずつ混合した動きをする。具体的には、ボーン21とボーン22がともに平行移動した場合、頂点V4、V11は上腕ボーン21の平行移動量の半分と下腕ボーン22の平行移動量の半分とを加算した量だけ移動する。
図4は、図6に示した一体整形モデルの階層構造例である。腕モデルが相当するモデルM1を最上位階層に配置し、M1の子として上腕ボーンが相当するモデルM2を配置し、さらにM2の子として下腕ボーンが相当するモデルM3を配置する。この階層構造において、各モデルは上位階層のモデルの原点に対するそのモデルの座標系の相対位置姿勢として、回転量・平行移動量・拡縮量を乗算したマトリクスを保持している。各モデルはモデル毎の独自の座標系により記述された頂点データを持っており、上位階層のマトリクスを全て乗算したマトリクスと頂点データとを乗算することにより、描画に必要な頂点データを取得することができる。ここで、頂点データとは、頂点の位置を示す位置座標データと、その頂点によって構成される面の法線の向きを示す法線データとからなる。複数のモデルから構成されるキャラクタを動作させるときは、各モデル毎に平行移動・回転・拡縮量を変化させて、それらを乗算することでキャラクタの動きを制御することができる。
次に、デザイナが作成した一体整形モデルを、後述するコンバータプログラムにより高速描画可能な形式に変換する(S93)。
図10はコンバータプログラムの処理の流れを示したものである。コンバータはまず、オブジェクトを構成する頂点データのうち1つの頂点に注目して、この頂点に影響を与えるボーンを全て抽出する(S101)。たとえば図6(A)の頂点V3に注目した場合、上腕ボーン21と下腕ボーン22が抽出される。
次にコンバータは、S101で抽出されたボーンが注目している頂点に与える影響をデザイナが設定したウェイトデータから抽出する。たとえばデザイナが図3に示すようなウェイトデータを設定していたとすると、頂点V3の場合、上腕ボーン21の影響は70%、下腕ボーン22の影響は30%であると抽出される。コンバータは各頂点に対して、こうして抽出されたウェイト値とボーン番号を組として保持しておく。
次にコンバータは、S101とS102の処理をオブジェクトを構成する全頂点に対して施して、全頂点に対し、ウェイト値とボーン番号との組を作成する(S103)。このとき、頂点データのうち隣接するいくつかの頂点では、ウェイト値とボーン番号との組が等しくなる場合が生じる。たとえば、頂点V3はウェイト値70%で上腕ボーン21から影響をうけるとともに、ウェイト値30%で下腕ボーン22から影響をうけるが、頂点V3と近い位置に存在する頂点V12に関しても、同じくウェイト値70%で上腕ボーン21から影響をうけるとともに、ウェイト値30%で下腕ボーン22から影響をうける。
次にコンバータは、ウェイト値とボーン番号の組が等しい頂点が連続するように頂点データの順序を並び替える(S104)。デザイナが作成した頂点データはその順序が不定であるが、たとえばウェイト値とボーン番号の組が等しい頂点V3と頂点V12のデータ出現順序が連続するように並び替える。
次にコンバータは、並び替えられた頂点データに対し、ウェイト値とボーン番号の組が等しい頂点がいくつずつ連続しているかを数える。たとえば頂点V3とV12に関しては2個連続する、といった具合である。
次にコンバータは、以上のようにして作成されたデータを出力する(S105)。図8はコンバータの出力するデータ例である。このデータでは、ウェイト値とボーン番号の組が等しい頂点が連続する数を記述し、それらの頂点が何個のボーンから影響を受けるかの数を記述し、ウェイト値とボーン番号の組を記述し、その組により変形される頂点の番号を記述する。図8では、ウェイト値100%、ボーン番号21という組によって変形させられる頂点がV1、V2、V13、V14の4つが存在している場合の例を示している。
このようにしてコンバータにより作成された一体整形モデルデータを、CD−ROMやDVDなど民生機器が読み取り可能な記録媒体に格納する(S94)。
以上のS91〜S94までの工程は、CPU演算能力が高くメモリ量も多い計算機上で処理を行い、コンバートプログラムの動作速度は比較的時間を要してもかまわない。しかし、後述するS95〜S98の処理はシステム資源の少ない民生機器などで処理を行い、かつリアルタイム描画を実現するための高速な動作が要求される。
以降、記録媒体に格納された一体整形モデルデータを用いて、システム資源の少ない民生機器においてオブジェクトの描画を行うための描画処理について説明する。
まず、民生機器に記録媒体が挿入されたタイミングや、民生機器の電源が投入されたタイミング、あるいはオブジェクトの描画要求があったタイミングなど、適切なタイミングにおいて、記録媒体に格納された一体整形モデルデータの全部あるいは一部をメモリ上に格納する(S95)。
次に、キャラクタなどのオブジェクトに対して所望する姿勢あるいは動きを実現するために、一体整形モデルを構成する全てのモデルに対して、その移動量を表すマトリクスを設定する(S96)。このマトリクスは、モデルの移動量・回転量・拡縮量を乗算したマトリクスである。図6(B)において、上腕ボーン21が初期状態から回転する動きをマトリクスM61で表現し、下腕ボーン22がその上位階層である上腕ボーン21に対して回転する動きをマトリクスM62で表現すると、上腕ボーン21の初期状態からみた下腕ボーン22の位置姿勢は、マトリクスM61とマトリクスM62とを乗算して生成されるマトリクス(M61・M62)で表現される。
次に、オブジェクトを構成する全頂点に対しマトリクス演算とウェイト演算を行い、ボーンにより変形された後の頂点データを作成する(S97)。図6(B)の例では、頂点V1〜V14が上腕ボーン21から受ける移動の影響は、マトリクスM61で表現される移動量にウェイト値を乗算した移動量となる。また、下腕ボーン22から頂点V1〜V14が受ける移動の影響は、マトリクスM61とM62とを乗算したマトリクス(M61・M62)で表現される移動量にウェイト値を乗算した移動量となる。このことを数式で記述したものが図7である。図7は基本姿勢状態にある任意の1頂点座標Vorgが、複数のボーンにより影響を受けて、頂点座標Vboneに移動するまでの計算式を記述したものである。図6に示す腕モデルの場合、頂点は14個存在するため、V1〜V14の各頂点に対して図7に示す演算を行う必要がある。図7において、nはボーンの総数である。図6に示す腕モデルの場合、ボーン総数は2であるため、n=2である。またWiは頂点Vorgがi番目のボーンに影響を受けるウェイト値である。これは図3に示すようなデ設定した値を使用する。また、Miはi番目のボーンの移動を表現するマトリクスである。図6の腕モデルの場合、上腕ボーン21に関してはM61が、下腕ボーン22に関しては(M61・M62)が相当する。
一般に、図7に示すボーン変形のための演算量は膨大なものになり、システム資源の少ない民生機器等では高速に処理を行うことが出来ないが、本発明によるボーン変形処理では、あらかじめシステム資源の豊富な計算機上でコンバートプログラムを適用し図8に示すようなデータを作成しておくので、民生機器での計算量を大幅に減らすことが出来る。すなわち、ボーン変形処理を施す頂点の順序が、ウェイト値とボーン番号の組が等しいものが連続して並ぶようにソートされているので、図7における(WiMi)の積和演算結果を複数の頂点で再利用することが可能となり、演算対象のマトリクスを頂点毎に差し替える必要がないので、演算量を大幅に削減できると同時にキャッシュ効率も向上する。
図11に、本発明によるボーン変形処理の手順を示す。本手順は図8に示したような、コンバータによって作成されたデータによりボーン変形を行う工程を示したものである。
まず始めに、(ウェイト値、ボーン番号)の組が等しい頂点が連続する数Nsameを取得する(S111)。図8の例では値‘4’が取得される。
次に、ボーンの数を取得する(S112)。図8の例では値‘1’が取得される。データにはここで取得したボーン数だけ(ウェイト値、ボーン番号)の組が連続して記述されているので、そのデータを随時読み込みながら図7における(WiMi)の積和演算を行う(S113)。この積和演算結果は複数個の頂点に対して再利用するので、メモリに保持しておく。
次に、データには頂点連続数Nsameだけ頂点番号が連続して記述されているので、この頂点番号を1つずつ取得しながら、その頂点データに対して積和演算結果との乗算処理を行う(S114)。ここで、乗算対象である頂点データとは、頂点の位置を示す座標データだけでなく、法線の方向を示す法線データに対しても同様の処理を行うことが可能である。
積和演算結果が再利用できる全ての頂点データに対して乗算処理を行ったのち(S115)、図8に示すデータを読み進め、データの末端に到達するまでS111〜S115の処理を繰り返す(S116)。
以上のようにして求められた頂点データと法線データとを用いて光源に対する拡散計算などを行い、実際に描画する色を決定し、ポリゴン描画を行うことでキャラクタをユーザに提示することが可能となる(S98)。これらポリゴン描画を行う方法については公知の技術を利用することができる。
本発明にかかる画像処理方法は、一体整形モデルを用いたキャラクタなどのオブジェクトをシステム資源の少ない民生機器においても高速に描画することが可能となるため、民生機器でニーズの高まっているキャラクタを介した対話型操作支援システム等への応用が有用である。
11 上腕部分
12 下腕部分
21 上腕ボーン
22 下腕ボーン
12 下腕部分
21 上腕ボーン
22 下腕ボーン
Claims (7)
- 複数の頂点から構成されるモデルと、他の1つ以上のモデルに変形の影響を与えるモデルとを、階層的に連結した構造からなる一体整形モデルデータを記録した記録媒体において、
前記モデル毎にその既定の位置姿勢を記述したモデルマトリクスデータと、
前記頂点を有するモデル毎に独自の頂点IDにより識別可能な頂点データと、
ポリゴンを構成するために必要な頂点列を前記頂点IDにより指定するポリゴンリストと、
前記頂点毎に、他のモデルから変形の影響を受けるウェイト値をモデル毎に記述したウェイトリストとを有し、
前記頂点データはウェイト値が等しいものが連続して並ぶようにソートされていることを特徴とする、
一体整形モデルデータを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 請求項1において、
前記頂点データは、変形の影響を与えるモデルとそのモデルにより影響を受けるウェイト値との組合せが等しいものが連続して並ぶようにソートされていることを特徴とする、
一体整形モデルデータを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 請求項1または2において、
前記頂点データは、前記頂点の位置座標データと法線方向データとを有することを特徴とする、
一体整形モデルデータを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 請求項3において、
前記頂点データは、それが属するモデル独自のローカル座標系により記述されていることを特徴とする、
一体整形モデルデータを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。 - 複数の頂点から構成されるモデルと、他の1つ以上のモデルに変形の影響を与えるモデルとを、階層的に連結した構造からなる一体整形モデルデータを元モデルデータから変換する画像処理方法において、
前記モデル毎にその既定の位置姿勢を記述したモデルマトリクスデータを生成する工程と、
前記頂点を有するモデル毎に独自の頂点IDにより識別可能な頂点データを生成する工程と、
ポリゴンを構成するために必要な頂点列を前記頂点IDにより指定するポリゴンリストを生成する工程と、
前記頂点毎に、他のモデルから変形の影響を受けるウェイト値をモデル毎に記述したウェイトリストとを生成する肯定とを有し、
前記頂点データはウェイト値が等しいものが連続して並ぶようにソートする工程を有することを特徴とする、
モデルデータ変換用の画像処理方法。 - 請求項5において、
前記頂点データを、変形の影響を与えるモデルとそのモデルにより影響を受けるウェイト値との組合せが等しいものが連続して並ぶようにソートする工程を有すること特徴とする、
モデルデータ変換用の画像処理方法。 - 複数の頂点から構成されるモデルと、他の1つ以上のモデルに変形の影響を与えるモデルとを、階層的に連結した構造からなる一体整形モデルデータを描画する画像描画方法において、前記一体整形モデルデータが、
前記モデル毎にその既定の位置姿勢を記述したモデルマトリクスデータと、
前記頂点を有するモデル毎に独自の頂点IDにより識別可能な頂点データと、
ポリゴンを構成するために必要な頂点列を前記頂点IDにより指定するポリゴンリストと、
前記頂点毎に、他のモデルから変形の影響を受けるウェイト値をモデル毎に記述したウェイトリストとを有し、
前記頂点データはウェイト値が等しいものが連続して並ぶようにソートされており、
前画像描画方法は、
前記階層的に連結した構造を順に探索してモデル毎の変換マトリクスを生成する工程と、
前記頂点データに対して前記モデルのマトリクスを乗算する工程と、
前記ウェイトリストからウェイト値を検索してウェイト乗算した頂点データを加算し頂点毎にその位置座標を変形させる工程と、
前記ポリゴンリストに基づいてポリゴンを生成し描画する工程と、
を有することを特徴とする、画像描画方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009140025A (ja) * | 2007-12-03 | 2009-06-25 | Sammy Corp | オブジェクト設計支援プログラムおよび装置 |
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WO2014119524A1 (ja) * | 2013-02-01 | 2014-08-07 | 株式会社セルシス | 三次元オブジェクトの多視点描画装置、方法、及びプログラム |
JP2014149748A (ja) * | 2013-02-01 | 2014-08-21 | Celsys:Kk | 三次元オブジェクトの多視点描画装置、方法、及びプログラム |
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-
2003
- 2003-11-07 JP JP2003378261A patent/JP2005141545A/ja active Pending
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