JP2005139507A - 部分強化された金属基複合材用プリフォーム、製造方法および部分強化金属基複合材 - Google Patents

部分強化された金属基複合材用プリフォーム、製造方法および部分強化金属基複合材 Download PDF

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Abstract

【課題】 機械加工性の改善が図れると共に、必要な部位に機能性を付与できる部分強化された金属基複合材用プリフォーム、その製造方法及び部分強化金属基複合材を提供すること。
【解決手段】 第1強化材が無機結合材により相互に結合され形成された3次元骨格構造を有し体積分率Xの第1成形体aと、第2強化材が無機結合材により相互に結合され形成された3次元骨格構造を有しプリフォームの機能性付与領域に配置される体積分率Xより大きい体積分率Yの第2成形体bとからなる部分強化された金属基複合材用プリフォーム10。
【選択図】 図1

Description

本発明は、体積分率の小さい多孔質成形体中、機能性付与部分に体積分率が大きい部分成形体を配置した部分強化された金属基複合材用プリフォーム、製造方法および部分強化金属基複合材に関するものである。
炭化珪素やアルミナ等の無機繊維又は無機粒子を補強材としてマトリックス金属を強化した繊維強化金属材が知られている。この繊維強化金属材は、例えば、炭化珪素やアルミナ等の無機繊維又は無機粒子及び結合材からなる多孔質構造を有する金属基複合材用プリフォームを作製し、その空隙部に金属マトリックスの溶湯を流し込み、加圧により含浸させることにより得られる。
従来、例えば金属基複合材は、自動車用エンジンのシリンダブロックやピストン、精密機械装置の搬送用アームなどの軽量化策として一般に用いられている。しかし、これらの精密部品は鋳造後の機械加工が不可欠であり、セラミックスなどで強化された金属基複合材は難削材として加工コストが嵩んでしまうという問題があった。また、セラミックスなどの強化材のメリットを引き出すためには、複合材中の体積分率を高める必要があるが、セラミックス成分が多くなるほど、加工は工具の消耗が激しくべき乗的にコストが嵩んでしまうという問題があった。そこで、このような金属基複合材においては、必要最小限の部位を強化し、加工する金属基複合材の面積を極力小さくする必要がある。例えば剛性が要求される機能性付与領域と、それ以外の領域とが前者は体積分率が大きい成形体、後者は体積分率が極力小さい成形体若しくはマトリックス(母材)金属のみにできれば、従来の金属加工と変わりない加工性と、実用上問題ない高い剛性などの機能を有する金属基複合材が得られることになり、極めて都合がよい。
3次元骨格構造のプリフォームにおいて、体積分率が不均一な金属基複合材用プリフォームが提案されている。例えば特開平7−18352号公報には、無機質結合剤を含有する水中にウィスカまたは無機質微粒子を分散させた第1スラリーと無機質結合剤を含有する水中に耐熱性無機繊維を分散させた第2スラリーを、2種類のスラリーの供給比率を経時的に変化させながら混合し、水平な濾過面を有する脱水成形用型に供給して脱水成形し、乾燥後焼成して多孔質成形物を得る方法が記載されている。この多孔質成形物から得られる金属基複合材は、例えば一方の面から他方の面に向けて硬度が傾斜的に変化する特性を備える。
特開平7−18352号公報(請求項1)
しかしながら、傾斜機能を備える金属基複合材用プリフォームは、金属基複合材において、例えば剛性が要求される特定領域のみに体積分率の大きい多孔質体を付与するような精密な製造はできない。このため、金属基複合材において、体積分率が小さい多孔質体中、不定形状で存在する機能性付与領域に高体積分率の多孔質成形体が配置された部分強化金属基複合材用プリフォームの開発が望まれていた。
従って、本発明の目的は、機械加工性の改善が図れると共に、必要な部位に機能性を付与できる部分強化された金属基複合材用プリフォーム、その製造方法及び部分強化金属基複合材を提供することにある。
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、特定強化材を用いて構成される体積分率Xの第1成形体と、特定強化材を用いて構成されプリフォームの機能性付与領域に配置される体積分率Xより大きい体積分率Yの第2成形体とからなる金属基複合材用プリフォームが、軽量であり、必要な部位に機能性を付与できることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、第1強化材が無機結合材により相互に結合され形成された3次元骨格構造を有し体積分率Xの第1成形体と、第2強化材が無機結合材により相互に結合され形成された3次元骨格構造を有しプリフォームの機能性付与領域に配置される体積分率Xより大きい体積分率Yの第2成形体とからなる部分強化された金属基複合材用プリフォームを提供するものである。
また、本発明は、第1強化材が分散された第1スラリーを脱水成形し、乾燥、焼成して体積分率Xの多孔質体を得る工程と、該多孔質体の機能性付与領域に凹部を形成して第1成形体を得る工程と、第2強化材が分散された第2スラリーを該凹部に塗布または鋳込みにより充填し、乾燥、焼成して体積分率Xより大きい体積分率Yの第2成形体を得る工程、を有する部分強化された金属基複合材用プリフォームの製造方法(第1の製造方法)を提供するものである。
また、本発明は、第2強化材が分散された第2スラリーを脱水成形し、乾燥、焼成して体積分率Yの第2成形体を得る工程と、該第2成形体をプリフォーム用型内であって、プリフォームの機能性付与領域に配置する工程と、第1強化材が分散された第1スラリーを該第2成形体が配置されたプリフォーム用型内に充填して脱水成形し、乾燥、焼成して体積分率Yより小さい体積分率Xの第1成形体を形成する工程と、を有する部分強化された金属基複合材用プリフォームの製造方法(第2の製造方法)を提供するものである。
また、本発明は、前記部分強化された金属基複合材用プリフォームに金属の溶湯を流し込み、含浸させて得られる部分強化された金属基複合材を提供するものである。
本発明の部分強化された金属基複合材用プリフォームによれば、例えば体積分率の低い成形体中、機能性付与領域にのみ体積分率の大きい成形体が配置されるため、これに金属溶湯を流し込み加工するだけで部分強化された金属基複合材を得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、簡易な方法で部分的に強化された金属基複合材用プリフォームを得ることができる。また、本発明の金属基複合材によれば、機械加工性の改善が図れると共に、例えば応力集中部位にのみ剛性などの機能性を付与できるため、例えば自動車用エンジンのシリンダブロックやウエハー用搬送アームのような金属基複合材に好適である。
本発明の実施の形態における部分強化された金属基複合材用プリフォームを図1及び図2を参照して説明する。図1はウエハー用搬送アームのプリフォームを上から見た模式図、図2(A)は図1のA−A断面の端面図、(B)は図1のB−B断面の端面図、(C)は図1のC−C断面の端面図、(D)は図1のD−D断面の端面図である。なお、図2は理解を容易にするため図1より少し大きな寸法で表示した。図1のプリフォームは全体が均一な厚さ10mmを有し、ウエハー14を把持する把持部11と、基部13と、把持部11と基部13を連接するアーム部12とからなる。そして、図1のプリフォームは、小さい体積分率の第1成形体aと、第1成形体の体積分率より大きい体積分率の第2成形体b(図中、斜線部)とからなる。第2成形体bは応力集中部位であり、例えば剛性が必要とされる部分である。
本発明の部分強化された金属基複合材用プリフォームにおいて、第1成形体aは、第1強化材が結合材により相互に結合された体積分率Xの3次元骨格構造を有する。第1強化材としては、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、アルミノシリケート繊維などの無機繊維;アルミナ微粒子、ジルコニア微粒子、炭化ケイ素微粒子、窒化ケイ素微粒子などの無機微粒子;及び炭化ケイ素ウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、窒化ケイ素ウィスカ、チタン酸カリウムウィスカなどのウィスカが挙げられる。これらは、1種又は2種以上が組み合わせて使用される。
無機繊維は、平均繊維径が2〜30μmの範囲であることが好ましく、平均繊維長が10〜500μmの範囲であることが成形性などの点で好ましい。また、無機微粒子は、平均粒径が1〜500μmの範囲であることが好ましく、ウィスカは平均繊維径が0.3〜0.8μm程度であることが好ましい。
また、前記無機繊維、無機微粒子及びウィスカを結合する無機結合材としては、熱処理によりこれらを結合し、プリフォームとして必要な強度を得ることができるものであれば特に制限されないが、例えば、フリット等の粉末状結合材、コロイダルシリカ、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上が組み合わせて使用される。
第1成形体aにおいて、これらの第1強化材と無機結合材は、体積分率Xが5〜15%、好ましくは6〜13%の多孔質体となるように組み合わせて使用される。第1成形体aにおいて、体積分率Xが5%未満であると、プリフォームの多孔質構造体自体の強度が不足し、15%を越えると、機能性が付与された第2成形体bの体積分率に近くなるかあるいは同じとなり、加工容易性の確保が図れないと共に、例えば剛性などの機能性を必要としない部分に機能性を付与することになり無駄が生じる。
第1成形体aにおいて体積分率を上記の範囲にするには、強化材として無機繊維のみ又は無機繊維を主体としたものを使用し、無機粒子やウィスカを無配合又はその配合量を極力制限したものとすればよい。なお、この体積分率とは第1成形体中に占める骨格構造の体積割合を百分率で表したものである。
本発明の部分強化された金属基複合材用プリフォームにおいて、第2成形体bは、第2強化材が無機結合材により相互に結合された体積分率Yの3次元骨格構造を有する。第2強化材としては、第1強化材と同様のものが挙げられ、無機結合材としては、第1成形体aで用いる無機結合材と同様のものが挙げられる。
第2成形体bにおいて、これらの第2強化材と無機結合材は、体積分率Xが20〜80%、好ましくは23〜75%の多孔質体となるように組み合わせて使用される。第2成形体bにおいて、体積分率Xが20%未満であると、プリフォームに必要とされる剛性などの機能性を付与することができなくなる。また、80%を超えると、プリフォームの多孔質構造体に金属マトリックスを含浸させることが困難になり好ましくない。なお、この体積分率とは第2成形体中に占める骨格構造の体積割合を百分率で表したものである。
第2成形体bにおいて体積分率を上記の範囲にするには、強化材として無機粒子やウィスカを主体として、無機繊維の配合量を極力制限したものとするか、あるいは無機粒子やウィスカを使用することなく、繊維長10〜100μmのものが全無機繊維中、85%以上含まれ、繊維長の分布のピークが15〜25μmにあり、平均繊維径が1〜20μmの無機繊維を用いればよい。このような特定の無機繊維を使用する第2成形体bは、短い無機繊維によって長い無機繊維の間が隙間なく密に埋められており、無機粒子を使用しなくとも体積分率がより大きなものが得られる。
本発明の部分強化された金属基複合材用プリフォーム10において、該プリフォーム10の機能性付与領域とは、例えば当該プリフォーム10から製造される金属基複合材が使用状態において受ける応力集中部位であって、剛性などが必要とされる部分である。図1のウエハー用搬送アームのプリフォームにおいては、符号bで示される斜線部分である。このような機能性付与領域を特定する方法としては、特に制限されず、例えば有限要素法など公知の解析手法が挙げられる。また、プリフォームの用途や構造上、応力や歪を受ける部分が明らかである場合には、有限要素法などの手法を用いることなく、経験的判断手法で特定できる場合もある。該プリフォーム10の機能性付与領域は、例えば有限要素法など公知の解析手法で決定される領域の一部分であってもよい。
本発明の部分強化された金属基複合材用プリフォーム10において、第1成形体aと第2成形体bの境界部分は、通常第1成形体a中に僅かに第2成形体bの構成部材の一部が進入しているか、あるいは第2成形体b中に僅かに第1成形体aの構成部材の一部が進入して、両組成の遷移領域を形成していることが、金属基複合材として使用した場合、境界部分における組成の急激な変化に伴う割れなどの問題を生じることがない点で好ましい。また、第1成形体aまたは第2成形体bに凹部などのアンカー部を形成したものも、両成形体の一体化を高める点で好ましい。
次に、部分強化された金属基複合材用プリフォームの第1の製造方法について説明する。先ず、第1強化材が分散された第1スラリーを脱水成形し、乾燥、焼成して体積分率Xの多孔質体を得る工程を行う。具体的には、例えば第1強化材である特定の無機繊維80〜95重量%、無機結合材3〜15重量%、凝集剤又は有機結合材0.5〜3重量%及び水からなる第1スラリーを吸引脱水成形し、乾燥し、焼成して体積分率Xが5〜15%の多孔質体を得る。上記配合比率は水を除く原料中に占める重量%を言う。第1強化材および無機結合材は前述したものと同様のものが挙げられる。
凝集剤は、無機繊維などを含む焼成前の成形体中に含まれ、成形体を形成する際に混合物に可塑性を付与すると共に成形体の乾燥強度を付与し、また、該成形体の焼成の際に消失して水と共に除去されプリフォーム中に微細径の空隙を生じさせる有機結合材としての機能を有するものである。凝集剤としては、例えばポリアクリルアミド、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸ソーダ等が挙げられる。これらの凝集剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、任意の添加成分として、硫酸アルミニウムなどの定着剤を用いてもよい。
第1の工程においては、先ず、前記第1の無機繊維などの強化材及び無機結合材を水に分散させてスラリーを形成する。スラリー濃度としては、無機繊維の均一分散の点から1〜10%であることが好ましい。スラリーの水を除いた固形分中、無機繊維80〜95重量%、無機結合材3〜15重量%、及び凝集剤0.5〜3重量%とすることが、成形性及び曲げ強度、引張強度などの金属基複合材の要求物性のバランスがよいため好ましい。
次に、スラリーを吸引脱水成形して成形体を得る。成形体の形状としては、例えば、板状、円筒状、リング状、円盤状、不定形状などが挙げられる。次に成形体を乾燥する。本工程においては、成形体から水分が除去されて成形体の無機繊維間に微細径空隙が生じ、該空隙は次の焼成工程で固定される。乾燥条件としては、特に制限されず、有機結合材があれば、有機結合材が硬化し水分が除去できればよく、常温下又は加熱下のいずれでもよい。
次に、乾燥された成形体を焼成する。焼成条件としては、用いる無機結合材により異なるため特に制限されないが、例えば低温焼成可能なガラスフリットを用いる場合には、通常500〜1000℃で0.5〜3時間、好ましくは600〜800℃で1〜2時間行えばよい。本工程においては、無機繊維などが無機結合材で融着される。更に凝集剤や有機結合材があれば、凝集剤や有機結合材は消失し、前記成形工程及び乾燥工程で生じた微細径空隙と共に、気孔を連通させることもできる。焼成後冷却すると体積分率がXの多孔質体が得られる。
次に、上記工程で得られた多孔質体の機能性付与領域に凹部を形成して第1成形体を得る工程を行う。多孔質体の機能性領域は前記の如く、有限要素法などの手法により求められる。機能性付与領域に凹部を形成する方法としては、特に制限されず、公知の切削加工が挙げられる。凹部の形状は、金属基複合材の種類や用途に依存するものであり、例えば図1に示すように不定形状の細い凹溝などが挙げられる。
次に、第2強化材が分散された第2スラリーを製造する。第2スラリーは前記第1スラリーと同様の方法で調製される。具体的には、例えば第2強化材である無機繊維5〜30重量%と無機粒子50〜85重量%、無機結合材3〜15重量%、凝集剤又は有機結合材0.5〜3重量%及び水からなる第2スラリーを得るものである。第2スラリーは吸引脱水成形し、乾燥し、焼成して得られる多孔質体の体積分率Yが20〜80%となるように無機繊維と無機粒子が選定される。
第2スラリーの製造工程においては、先ず、前記第2の無機繊維などの強化材及び無機結合材を水に分散させてスラリーを形成する。スラリー濃度としては、無機繊維の均一分散の点から1〜10%であることが好ましく、更に塗布施工する場合には、1〜3%?であることが好ましい。第2スラリーは、後工程において塗布施工される場合、泥漿と言われる低流動性のペースト状のものも含まれる。
次に、得られた第2スラリーを、第1成形体の凹部に塗布または鋳込みにより充填し、乾燥、焼成して体積分率Xより大きい体積分率Yの第2成形体を得る。第1成形体の凹部に塗布または鋳込みにより充填する方法としては、特に制限されず、例えばへら部材を用いて凹部へ泥漿を塗布する方法、流し込みによりスラリーを凹部へ充填する方法、泥漿鋳込み方法などが挙げられる。
また、本工程においては、吸引脱水を行うことが、確実に水を除去できると共に製造時間を短縮できる点で好ましい。この際、第2スラリー中の無機繊維などは第1成形体の表面細孔径空隙に極僅か入り込む程度で、抜け出すことはなく、水のみが第1成形体を通って脱水される。また、乾燥、焼成は第1成形体を含めた多孔質体全体を乾燥、焼成すればよい。吸引脱水方法、乾燥方法及び焼成方法は第1スラリーを用いて多孔質体を製造する際の乾燥方法及び焼成方法と同様である。当該第1の方法で製造された金属基複合材用プリフォームは、例えば体積分率5〜15%の第1成形体と、プリフォームの機能性付与領域に配置される体積分率20〜80%の第2成形体からなる部分強化された3次元骨格構造を有する。
次に、部分強化された金属基複合材用プリフォームの第2の製造方法について説明する。第2の製造方法においては、先ず第2強化材が分散された第2スラリーを脱水成形し、乾燥、焼成して体積分率Yの第2成形体を得る工程行う。第2スラリーは第1の製造方法で用いた第2スラリーと同様のスラリーである。第2スラリーから得られる第2成形体の形状としては、例えば板状、円筒状、リング状、円盤状などが挙げられるが、第2成形体はプリフォーム中の機能性付与部位であるため、当該機能性付与部位となるような形状に成形することが、乾燥または焼成後の加工工程を省略できる点で好ましい。また、この工程における脱水成形方法、乾燥方法及び焼成方法としては、第1の製造方法における第1スラリーから成形体を得る場合と同様の方法が挙げられる。乾燥または焼成後、第2成形体の成形形状が機能性付与部位の形状と異なる場合は、切削加工などにより当該部位の形状となるようにする。また、この工程で得られる第2成形体の体積分率Yは20〜80%が好ましく、特に好ましくは23〜75%である。
次に、該第2成形体をプリフォーム用型内であって、プリフォームの機能性付与領域に配置する工程を行う。具体的には第2成形体はフィルター上に置かれたプリフォーム用型内の所定の位置で且つフィルター上に配置する。
次いで、第1強化材が分散された第1スラリーを該第2成形体が配置されたプリフォーム用型内に充填して脱水成形し、乾燥、焼成して体積分率Yより小さい体積分率Xの第1成形体を形成する工程を行う。第1強化材が分散された第1スラリーは、前記第1の製造方法で使用した第1スラリーと同様のものが使用できる。第1スラリーを第2成形体が配置されたプリフォーム用型内に充填して脱水成形すると、第1スラリー中の無機繊維などは第2成形体の表面細孔径空隙に入り込まないか、あるいは極僅か入り込む程度で、抜け出すことはなく、水のみがフィルターまたは第2成形体を通って脱水される。また、この工程における乾燥、焼成は第2成形体を含めた多孔質体全体を乾燥、焼成すればよい。吸引脱水方法、乾燥方法及び焼成方法は第2スラリーを用いて多孔質体を製造する際の乾燥方法及び焼成方法と同様である。第1スラリーから形成される多孔質体は第2成形体の周りをモールディングするように形成される。当該第2の方法で製造された金属基複合材用プリフォームは、例えば体積分率5〜15%の第1成形体と、プリフォームの機能性付与領域に配置される体積分率20〜80%の第2成形体からなる部分強化された3次元骨格構造を有する。
本発明において、金属基複合材は上記部分強化された金属基複合材用プリフォームに金属の溶湯を流し込み、加圧含浸させて得られる。該金属としては、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ニッケル、銅及びこれら各金属の合金が挙げられ、このうち、アルミニウム合金が最も多く使用される。このような金属基複合材は、全体の軽量化が図れると共に、必要な部位に剛性などの機能性が付与されたものとなる。また、金属基複合材は自動車用エンジンのシリンダーブロック、ウエハー用搬送アーム、鉄道車両用車輪等の種々の用途がある。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であ
って、本発明を制限するものではない。
(第1成形体の製造)
図1で示されるウエハー用搬送アームのプリフォームを製造する目的で先ず、第1成形体を製造した。すなわち平均繊維径3μm、繊維長10〜500μmのアルミナシリカ短繊維100重量部と、コロイダルシリカ5重量部と、硫酸アルミニウム0.5重量部と、ポリアクリルアミド1.5重量部と、水1000重量部とを配合して第1スラリーを形成した。この第1スラリーを吸引脱水成形して板状の成形体を得た。次いで、これを110℃の温度で乾燥し、更に、1200℃、1時間の条件で焼成を行い、3次元骨格構造の多孔質成形体を得た。得られた多孔質成形体の体積分率(Vf 値)を測定したところ、Vf =7%であった。次いで、当該多孔質成形体を図1に示されるような形状に切削加工すると共に、当該多孔質成形体の機能性付与部位(図1の斜線部で示される部位)に第2成形体を配置すべく切削加工して凹溝を形成した。なお、多孔質成形体の機能性付与部位はウエハー10枚に相当する重量を搬送する際の応力集中箇所を有限要素法により求めた。
(第2スラリーの調製)
平均粒子径200μmの炭化ケイ素微粒子65重量%と平均粒子径40μmの炭化ケイ素微粒子25重量%と平均粒子径5μmの炭化ケイ素微粒子10重量%からなる炭化ケイ素微粒子100重量部と、平均繊維径3μm、繊維長10〜100μmのアルミナ短繊維15重量部と、コロイダルシリカ7重量部と、硫酸アルミニウム0.5重量部と、水100重量部からなる第2スラリーを調製した。この第2スラリーは水の配合量を少なくしたため、いわゆる泥漿と呼ばれるような低流動性のペースト状であった。
(部分強化されたハイブリッドプリフォーム及び金属基複合材の製造)
第1成形体に形成された凹溝に、泥漿状の第2スラリーをへらで塗布するように充填した。次いで、これを110℃の温度で乾燥し、1200℃、1時間の条件で焼成を行い、金属基複合材用ハイブリッドプリフォームを得た。得られた金属基複合材用ハイブリッドプリフォームの第2成形体部分の体積分率(Vf 値)を測定したところ、Vf =52%であった。得られた金属基複合材用ハイブリッドプリフォームにアルミニウムの溶湯を注入し、更に冷却することで部分強化されたウエハー用搬送アーム金属基複合材を得た。
(第2成形体の製造)
比較的簡単な構造のプリフォームを製造する目的で平均粒子径200μmの炭化ケイ素微粒子65重量%と平均粒子径40μmの炭化ケイ素微粒子25重量%と平均粒子径5μmの炭化ケイ素微粒子10重量%からなる炭化ケイ素微粒子100重量部と、平均繊維径3μm、繊維長10〜100μmのアルミナ短繊維15重量部と、コロイダルシリカ7重量部と、硫酸アルミニウム0.5重量部と、メチルセルロース1.5重量部と、水1000重量部からなる第2スラリーを調製した。この第2スラリーを吸引脱水プレス成形して縦300mm、横300mm、厚み10mmの板状の成形体を得た。次いで、これを110℃の温度で乾燥し、更に、1200℃、1時間の条件で焼成を行い、第2成形体を得た。得られた第2成形体の体積分率(Vf 値)を測定したところ、Vf =60%であった。
(第1成形体とのハイブリッド化及び金属基複合材の製造方法)
平均繊維径3μm、繊維長10〜500μmのアルミナシリカ短繊維100重量部と、コロイダルシリカ5重量部と、硫酸アルミニウム0.5重量部と、ポリアクリルアミド1.5重量部と、水1000重量部とを配合して第1スラリーを形成した。次に第2成形体を型内のフィルター上のほぼ中央に配置し、得られた第1スラリーを型に注ぎ、吸引脱水成形して、第2成形体の周りを第1成形体がモールディングする金属基複合材用ハイブリッドプリフォームの成形体を得た。次いで、これを110℃の温度で乾燥し、更に、1200℃、1時間の条件で焼成を行い、縦400mm、横400mm、厚み20mmの金属基複合材用ハイブリッドプリフォームを得た。得られた金属基複合材用ハイブリッドプリフォームにアルミニウムの溶湯を注入し、更に冷却することで金属基複合材を得た。
ウエハー用搬送アームのプリフォームを上から見た模式図である。 (A)は図1のA−A断面の端面図、(B)は図1のB−B断面の端面図、(C)は図1のC−C断面の端面図、(D)は図1のD−D断面の端面図である。
符号の説明
10 ウエハー用搬送アームのプリフォーム
11 把持部
12 アーム部
13 基部
14 ウエハー
a 第1成形体(体積分率が小さい領域)
b 第2成形体(機能性付与部位であって体積分率が大きい領域)

Claims (8)

  1. 第1強化材が無機結合材により相互に結合され形成された3次元骨格構造を有し体積分率Xの第1成形体と、第2強化材が無機結合材により相互に結合され形成された3次元骨格構造を有しプリフォームの機能性付与領域に配置される体積分率Xより大きい体積分率Yの第2成形体とからなることを特徴とする部分強化された金属基複合材用プリフォーム。
  2. 前記体積分率Xが、5〜15%であることを特徴とする請求項1記載の部分強化された金属基複合材用プリフォーム。
  3. 前記体積分率Yが、20〜80%であることを特徴とする請求項1または2記載の部分強化された金属基複合材用プリフォーム。
  4. 第1強化材が分散された第1スラリーを脱水成形し、乾燥、焼成して体積分率Xの多孔質体を得る工程と、該多孔質体の機能性付与領域に凹部を形成して第1成形体を得る工程と、第2強化材が分散された第2スラリーを該凹部に塗布または鋳込みにより充填し、乾燥、焼成して体積分率Xより大きい体積分率Yの第2成形体を得る工程、を有することを特徴とする部分強化された金属基複合材用プリフォームの製造方法。
  5. 第2強化材が分散された第2スラリーを脱水成形し、乾燥、焼成して体積分率Yの第2成形体を得る工程と、該第2成形体をプリフォーム用型内であって、プリフォームの機能性付与領域に配置する工程と、第1強化材が分散された第1スラリーを該第2成形体が配置されたプリフォーム用型内に充填して脱水成形し、乾燥、焼成して体積分率Yより小さい体積分率Xの第1成形体を形成する工程と、を有することを特徴とする部分強化された金属基複合材用プリフォームの製造方法。
  6. 前記体積分率Xが、5〜15%であることを特徴とする請求項4または5記載の部分強化された金属基複合材用プリフォームの製造方法。
  7. 前記体積分率Yが、20〜80%であることを特徴とする請求項4または5記載の部分強化された金属基複合材用プリフォームの製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項記載の部分強化された金属基複合材用プリフォームに金属の溶湯を流し込み、含浸させて得られることを特徴とする部分強化された金属基複合材。
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