JP2005138360A - 均し装置及び充填装置及びコンクリート構造物の製作方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】型枠3内に繊維補強セメント系混合材料61を充填し、仮天端611付近を均し装置1を使用して均し、型枠3上に嵩上げ枠4を設置し、充填装置2を使用して仮天端611上面に薄層の繊維を含まないセメント系混合材料62を敷き均すように充填し、最終天端612付近を均し装置1を使用して均し、板材511とフィルム層512と吸気シート513と穴あきフィルム層514の4層構造からなる型枠51を最終天端612面に設置してコンクリート構造物を製作するコンクリート構造物の製作方法である。
【選択図】図7
Description
また、繊維補強セメント系混合材料を混練りする際には上記理由から非常に粘性抵抗が高いため、多量のエントラップトエアー、すなわち好ましくない空気を巻き込んでしまい、混練り終了後においてもこれらの空気は残存することとなる。したがって、繊維補強セメント系混合材料を型枠内に打設した後、一次養生(20〜30℃で36〜48時間)を実施している最中に、材料内部に残存していた空気が上昇して型枠下面に残り、脱型後には部材表面にクレーター状に表面気泡が残ってしまう傾向にある。
<1>セメント系混合材料として繊維補強セメント系混合材料を使用してコンクリート構造物を製作する場合、繊維補強セメント系混合材料を型枠内に充填後、その天端付近において通常のコテ均しをおこなおうとすると、セメント系マトリックスがコテに水飴のように粘り付き、平坦な仕上げ面をつくることが極めて困難である。また、繊維補強セメント系混合材料は、高性能減水剤を多量に使用しているので凝結が開始するまでに18〜20時間程度要し、凝結する前にコテ均しをしようとしても不可能である。
<2>セメント系混合材料として繊維補強セメント系混合材料を使用してコンクリート構造物を製作する場合、かかる繊維補強セメント系混合材料には例えば金属繊維が混入しているために構造物表面付近の金属繊維が点錆となってしまう可能性がある。
<3>型枠内にセメント系混合材料(繊維補強セメント系混合材料)を充填する場合、材料内に残存している気泡が型枠表面に上昇し、仕上がり面にクレーター状の気泡跡が残ってしまうという問題がある。
<1>繊維を含まないセメント系混合材料の薄層を繊維補強セメント系混合材料の外側に敷き均して両材料を一体化することにより、繊維補強セメント系混合材料中に含有する金属繊維の点錆を防止することができる。さらに、かかる繊維補強セメント系混合材料によって製作されたコンクリート構造物を厳しい海洋環境下に使用した場合でも、塩化物の塩素イオンをはじめ、水、酸素のコンクリート構造物内への侵入を防止することができるため、構造物内部の金属繊維の錆の発生を防止することができる。また、中性化の問題については、100年程度のオーダーでもセメント系混合材料の薄層よりも構造物内部に進展する可能性は極めて低く、したがって中性化による材料の経年劣化の問題は生じ難い。
<2>断面を例えばV字状やU字状(コンクリート表面と線で接触できるものが好ましい)に成形した均し棒に振動機を取り付けた均し装置を使用することにより、セメント系混合材料の天端付近の均し施工において、かかる均し装置にセメント系混合材料が付着することなく、短時間に表面均しをおこなうことが可能となる。
<3>充填装置のスリット幅を容易に調整可能とすることで、セメント系混合材料を薄く敷き均す際に、容易に所定の厚みを確保した敷き均しが可能となる。
<4>吸気シートとフィルム層を備えた型枠を仕上げ面に設置することにより、気泡跡のない、平坦かつ高緻密な仕上げ面を備えたコンクリート構造物を製作することができる。また、所定径の穴を備えた穴あきフィルム層に接してセメント系混合材料を充填することにより、材料硬化後の型枠の脱型が容易となり、また型枠の転用を可能とすることができ、経済的である。
均し装置1は、型枠3内に充填したセメント系混合材料6の天端付近を均す際に使用する装置である。ここで、均すとは、セメント系混合材料6の天端面をほぼ平坦にすることのほか、天端面を荒く均すいわゆる荒均しをも含んでいる。
均し装置1は、例えば蓋のない箱型に組立てた型枠3において相対する型枠3,3の間を跨ぐように型枠3,3上に設けて型枠3,3上で一方向に移動可能な均し棒11と、均し棒11に取り付けた振動機12とから構成される。ここで、一方向に移動可能とは、型枠3上において任意に決めた一方向に移動できるという意味である。
図6に均し装置1を型枠3,3上で一方向に移動させている状況を示す。
均し棒11は、木製や鋼製材料にて製作することができる。
充填装置2は、型枠3内に充填したセメント系混合材料6の天端面に、薄層のセメント系混合材料6を敷き均す際に使用する装置である。
後述する本発明のコンクリート構造物(例えばコンクリート板材)の製作方法は、型枠3内にセメント系混合材料6として特に繊維補強セメント系混合材料61を充填して製作するものである。繊維補強セメント系混合材料61に含有される繊維として鋼繊維(金属繊維)を使用する場合、製作されたコンクリート構造物の表面付近で鋼繊維が点錆となる問題がある。そこで、かかる問題を解消するために、繊維補強セメント系混合材料61の表面に繊維を含まないセメント系混合材料62の薄層を敷き均して繊維補強セメント系混合材料61と一体化するというコンクリート構造物の製作方法を発明者は考案した。充填装置2は、特に、この繊維を含まないセメント系混合材料62の薄層を鋼繊維を含んだ繊維補強セメント系混合材料61の上面に敷き均す際に使用するのがよい。
ここで、柱状体21は、その延伸方向に垂直な断面形状を正方形や矩形や台形などに製作できるが、少なくともその上部に平坦な面を備えた形状とし、その内部を中空として製作するのがよい。柱状体21の上部にはセメント系混合材料6(繊維を含まないセメント系混合材料62)を蓄えて柱状体21の中空部にセメント系混合材料6を供給するための容器22を取り付けることから、その取り付けを容易とするためである。
柱状体21の上部には容器22の下部(例えば筒体222)と連通可能な開口を備えておく。容器22から供給されたセメント系混合材料6は柱状体21の中空部で柱状体21の延伸方向に流れていき、柱状体21の下端に刻設したスリット211から薄層のセメント系混合材料6が充填可能となる。
なお、容器22は、セメント系混合材料6が下方へ流れていき易いようにすり鉢部221を備えて製作するのが好ましい。なお、図2に示す実施例においてはすり鉢部221とその上方及び下方に設けた筒体223,222からなる容器22を示している。
スリット幅を調整することで、充填装置2の移動速度に応じて、所望の厚みのセメント系混合材料6の層を敷設することが可能となる。
また、繊維を含まないセメント系混合材料62としては、上記するセメント系マトリックス(ただし、鋼繊維は含まない)からなるセメント系混合材料を使用することで、繊維補強セメント系混合材料61と繊維を含まないセメント系混合材料62の薄層を同材質で一体化させることができる。
本発明のコンクリート構造物の製作方法においては、例えば箱型に組立てた型枠3内にセメント系混合材料6(繊維補強セメント系混合材料61と繊維を含まないセメント系混合材料62)を充填後、その型枠3の天端に蓋のように型枠51を設置してコンクリート構造物を製作する。また、上記する箱型に組立てた型枠にも型枠51を使用することもできる。
型枠51は、板材511と、板材511の表面に設けたフィルム層512と、フィルム層512の表面に設けた吸気シート513と、吸気シート513の表面に設けた穴あきフィルム層514の4層構造から構成される。
吸気シートの厚みは、例えば0.5〜1.5mm程度に製作するのが好ましい。吸気性能を確保しながらも、過度の厚みを備えないようにするためである。
穴あきフィルム層514は、例えばポリエステル系樹脂などにより製作することができる。
脱気量が少ない場合はフィルム層512に穴あきを設ける必要はないが、脱気量が多い場合は、例えば5〜10μm程度の穴径を有する複数の穴を備えて製作するのが好ましい。
高強度(超高強度)の繊維補強セメント系混合材料61の配合は、基本的に最密充填理論を適用した配合設計が適用されているために、原材料であるセメント、シリカフューム、ポゾラン系反応粒子、砂などの材料粒径分布を考慮した配合になっている。そのため、強度が発現した水和物は緻密構造で空隙がほとんど存在しないために、従来のセメント系混合材料に比較すると塩化物の塩素イオン、水、酸素の浸入が非常に少ない。しかし、セメント系マトリックスに混入された鋼繊維(金属繊維)が表面に露出している場合、あるいは金属繊維の外側にセメント系マトリックスの被りが0.05〜0.1mm程度の場合には、点錆が生じ外観的に好ましいとはいえない。また、高強度の繊維補強コンクリートは緻密構造であるために、厳しい海洋環境を除くと表面における金属繊維の錆が内部に進展しないことが理論解析及び室内実験から検証されている。しかし、厳しい海洋環境下に高強度の繊維補強コンクリート構造物が建設される場合には、表面にある金属繊維の錆は100年間で1mmのオーダーで内部に進展するものと予測されている。
繊維を含まないセメント系混合材料62の薄層を表層に敷き均してコンクリート構造物を製作する目的は、例えばスプラッシュゾーンなどの厳しい海洋環境下にコンクリート構造物を建設する場合、塩化物の塩素イオンが浸入する構造物の表面に1〜2mm程度敷き均すことにより、100年オーダーの長期間にわたって金属繊維の点錆や内部への錆の進展などの材料の経年劣化を防止するものである。
また、繊維補強セメント系混合材料61と繊維を含まないセメント系混合材料62との材料的な不連続性は全くなく、構造的には一体となっていることも構造実験により確認できている(実験結果は省略)。
11・・・均し棒
12・・・振動機
2・・・・充填装置
21・・・柱状体
211・・スリット
22・・・容器
221・・すり鉢部
3・・・・型枠
4・・・・嵩上げ枠
51・・・型枠
511・・板材
512・・フィルム層
513・・吸気シート
514・・穴あきフィルム層
6・・・・セメント系混合材料
61・・・繊維補強セメント系混合材料
62・・・繊維を含まないセメント系混合材料
Claims (6)
- 型枠内に充填したセメント系混合材料の天端付近を均す際に使用する均し装置であって、
相対する型枠間を跨ぐように該型枠上に設け、該型枠上で一方向に移動可能な均し棒と、
前記均し棒に取り付けた振動機と、からなることを特徴とする、
均し装置。
- 型枠内に充填したセメント系混合材料の天端面に、薄層のセメント系混合材料を敷き均すように充填する際に使用する充填装置であって、
柱状体の側面において該柱状体の延伸方向に伸びるスリットを備えた中空の柱状体と、
セメント系混合材料を投入可能なすり鉢部を備え、前記柱状体の上部に取り付けた容器と、からなることを特徴とする、
充填装置。
- 前記スリット幅を調整可能な構成としたことを特徴とする、
請求項2記載の充填装置。
- 型枠内に繊維補強セメント系混合材料を充填してコンクリート構造物を製作するコンクリート構造物の製作方法において、
型枠内に繊維補強セメント系混合材料を充填し、その充填の際にできる天端となる仮天端付近を均し、
前記型枠上に嵩上げ枠を設置し、
前記仮天端の上面に薄層の繊維を含まないセメント系混合材料を敷き均すように充填し、その充填の際にできる天端となる最終天端付近を均すことを特徴とする、
コンクリート構造物の製作方法。
- 型枠内に繊維補強セメント系混合材料を充填してコンクリート構造物を製作するコンクリート構造物の製作方法において、
型枠内に繊維補強セメント系混合材料を充填し、その充填の際にできる天端となる仮天端付近を請求項1記載の均し装置を使用して均し、
前記型枠上に嵩上げ枠を設置し、
請求項2又は3の充填装置を使用して前記仮天端上面に薄層の繊維を含まないセメント系混合材料を敷き均すように充填し、
その充填の際にできる天端となる最終天端付近を請求項1記載の均し装置を使用して均すことを特徴とする、
コンクリート構造物の製作方法。
- 型枠内に繊維補強セメント系混合材料を充填してコンクリート構造物を製作するコンクリート構造物の製作方法において、
型枠内に繊維補強セメント系混合材料を充填し、その充填の際にできる天端となる仮天端付近を請求項1記載の均し装置を使用して均し、
前記型枠上に嵩上げ枠を設置し、
請求項2又は3の充填装置を使用して前記仮天端上面に薄層の繊維を含まないセメント系混合材料を敷き均すように充填し、
その充填の際にできる天端となる最終天端付近を請求項1記載の均し装置を使用して均し、
板材とフィルム層と吸気シートと穴あきフィルム層の4層構造からなる型枠、又は板材と吸気シートと穴あきフィルム層の3層構造からなる型枠を前記最終天端面に設置して、前記4層構造からなる型枠又は前記3層構造からなる型枠で薄層の前記繊維を含まないセメント系混合材料を押し付けることを特徴とする、
コンクリート構造物の製作方法。
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2003
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