JP2005137970A - 水素貯蔵体及びその製造方法、並びに、水素貯蔵タンク - Google Patents
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Abstract
【課題】 嵩密度が高く、ミクロ細孔やメソ細孔等の細孔容積が確保された水素貯蔵体及びその製造方法、並びに、これを用いた水素貯蔵タンクを提供する。
【解決手段】 屈曲したカーボンナノチューブを含んだコア部14bと、コア部14bを内部に備え、且つ配向されたカーボンナノチューブを含んだシェル部14aと、を備えて構成される水素貯蔵体14、及びその製造方法、並びに、これを用いた水素貯蔵タンクである。
【選択図】 図2
【解決手段】 屈曲したカーボンナノチューブを含んだコア部14bと、コア部14bを内部に備え、且つ配向されたカーボンナノチューブを含んだシェル部14aと、を備えて構成される水素貯蔵体14、及びその製造方法、並びに、これを用いた水素貯蔵タンクである。
【選択図】 図2
Description
本発明は水素貯蔵タンクに用いる水素貯蔵体に関し、詳細には、カーボンナノチューブを用いた水素貯蔵体及びその製造方法、並びに、これを用いた水素貯蔵タンクに関する。
近年、カーボンナノチューブの用途の一つとして水素貯蔵タンク等に用いられる水素貯蔵体が注目されている。水素貯蔵体としては、カーボンナノチューブの他に水素貯蔵合金等が知られているが、水素貯蔵合金はある程度の重量があることから取り扱い性、搭載性等に問題があった。
従来、カーボンナノチューブは紛体状で用いられることが多い。また、カーボンナノチューブを水素貯蔵体として用いる場合、カーボンナノチューブの嵩密度や、ミクロ細孔及びメソ細孔等の細孔容量が重要な要素となる。
しかし、紛体状のカーボンナノチューブは、嵩密度が約0.05g/cm3と極めて低いため、水素貯蔵体として用いても、水素貯蔵容器の容積が大きくなってしまったり、タンクの単位容積当たりの水素貯蔵量が小さいといった問題がある。
また、紛体状ではなく、板状に形成されたカーボンナノチューブが提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、かかるカーボンナノチューブはフィールドエミッション用の電子デバイス等に用いるために検討されたものであり、水素貯蔵に必要なミクロ細孔やメソ細孔が失われてしまっている。
一方、カーボンナノ繊維からなるハニカム状基体の貫通孔内壁に、原料ガスを導入してカーボンナノ繊維を成長させることを特徴とするガス貯蔵材料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)しかし、かかるガス貯蔵材料は、貫通孔に生成するカーボンナノ繊維の嵩密度が低く、単位容積当たりの水素貯蔵量が十分でない。
また、生成状態においてカーボンナノチューブは互いに絡み合っており、その隙間が無駄な空間となっている。これに対し、多孔質体原料を高圧圧縮処理することによって嵩密度を向上させた水素貯蔵体が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。かかる水素貯蔵体は多孔質体原料としてカーボンナノチューブを用いることができ、必要に応じて結着剤を用いて形成される。
しかし、結着剤を用いて圧縮処理を施すと、ミクロ細孔及びメソ細孔が失われてしまう。これに対し、結着剤を用いずにカーボンナノチューブを圧縮すると、屈曲部に弾性力が作用するため、圧縮前の状態に戻ってしまう。
特開2001−288626号公報
特開2003−38953号公報
Science,vol.283,P512
上述のように、従来知られている技術では、嵩密度が低く、水素貯蔵タンクの単位容積当たりの水素充填率を高めることができない。また、嵩密度を高めるためにバインダーを用いて圧縮成形を施すと、バインダーによりミクロ細孔やメソ細孔が失われてしまい、細孔容積を確保することができない。更に、これに対し、バインダーを用いずに圧縮成形を施してもカーボンナノチューブの弾性力によって元の嵩密度の低い状態に戻ってしまう。
本発明は、上述の問題を解決すべく、嵩密度が高く、ミクロ細孔やメソ細孔等の細孔容積が確保された水素貯蔵体及びその製造方法、並びに、これを用いた水素貯蔵タンクを提供することを目的とする。
本発明の水素貯蔵体は、屈曲したカーボンナノチューブを含んだコア部と、前記コア部を内部に備え、且つ配向されたカーボンナノチューブを含んだシェル部と、を備えて構成される。
本発明の水素貯蔵体によれば、屈曲したカーボンナノチューブ(以下、「屈曲カーボンナノチューブ」という場合がある。)を含んだコア部を、配向されたカーボンナノチューブ(以下、「配向カーボンナノチューブ」という場合がある。)を含んだ殻状の強固なシェル部で覆うことにより、コア部の屈曲カーボンナノチューブを屈曲状態で保持することができる。これにより、水素貯蔵体の嵩密度を向上させることができ、例えば、約1g/cm3の高嵩密度を達成することができる。
また、本発明の水素貯蔵体はバインダーを使用しないため、バインダーによってミクロ細孔やメソ細孔が失われることがなく、細孔容量を確保することができる。更に、本発明の水素貯蔵体はシェル部を構成する配向カーボンナノチューブが強固な殻の役割を果たすため、機械的強度が高く、取り扱い性に優れる。
尚、「屈曲したカーボンナノチューブ」とは折れ曲がったカーボンナノチューブを意味する。このため、上記コア部においては屈曲カーボンナノチューブ同士が密に絡み合った状態で保持されている。また、「配向されたカーボンナノチューブ」とは、一定の方向に配向されているカーボンナノチューブを意味する。このため上記シェル部においては、配向カーボンナノチューブのそれぞれが一定の方向に配向された状態で上記シェル部を形成している。
上述の本発明の水素貯蔵体は、本発明の水素貯蔵体の製造方法によって製造することができる。本発明の水素貯蔵体の製造方法は、有機溶媒中でカーボンナノチューブを束状にする束状化工程と、前記束状化工程において束状にされた前記カーボンナノチューブから前記有機溶媒の一部を除去する第1の除去工程と、前記除去工程により有機溶媒の一部が除去された束状の前記カーボンナノチューブを圧縮成形する圧縮成形工程と、前記圧縮成形工程において、圧縮成形された束状の前記カーボンナノチューブから残存した前記有機溶媒を除去する第2の除去工程と、を含んで構成される。
本発明の水素貯蔵体の製造方法によれば、有機溶媒中で束状にされたカーボンナノチューブから一部の有機溶媒を除去する第1の除去工程と、圧縮成形後に束状のカーボンナノチューブから残存有機溶媒を除去する第2の除去工程を経ることにより、圧縮成形時に表面のカーボンナノチューブが残存有機溶媒によってすべることで一方向に配向し、内側に屈曲カーボンナノチューブを含んだコア部と、該コア部を配向カーボンナノチューブで覆うシェル部とを形成することができる。これにより、上記コア部と上記セル部とを備えた本発明の水素貯蔵体を製造することができる。
上記束状化工程においては、例えば、有機溶媒中でカーボンナノチューブを攪拌することで、カーボンナノチューブを束状にすることができる。また、上記第1及び第2の除去手段において、束状化されたカーボンナノチューブから有機溶媒の一部を除去する、及び、圧縮成形されたカーボンナノチューブから残存する有機溶媒を除去する方法としては、加熱等が挙げられる。また、かかる加熱は真空条件下で減圧しながら行うのが好ましい。
また、本発明の水素貯蔵タンクは、屈曲したカーボンナノチューブを含んだコア部及び前記コア部を内部に備え且つ配向されたカーボンナノチューブを含んだシェル部を備えた水素貯蔵体と、内部に前記水素貯蔵体備えるタンクと、を備えて構成される。
本発明の水素貯蔵タンクによれば、屈曲カーボンナノチューブを構成成分として含むコア部と、配向カーボンナノチューブを構成成分として含むシェル部とからなる本発明の水素貯蔵体をタンク内部に備えることで、単位容積当たりの水素貯蔵量を高めることができる。
また、本発明の水素貯蔵タンクは単位容積当たりの水素貯蔵量が高いことから、タンクのコンパクト化を図ることができ、収容性、搬送性等を向上させることができる。更に、本発明の水素貯蔵タンクは、機械的強度に優れる本発明の水素貯蔵体を用いるため、水素貯蔵タンク自体の機械的耐久性も高い。後述のようにタンク内に備えられる水素貯蔵体は可能な限りタンク内に密に配置するのが好ましい。
更に、本発明の水素貯蔵タンクは、本発明の水素貯蔵体と大きさの異なる水素貯蔵体をタンクの内部に備えることができる。本発明の水素貯蔵タンクは、これら大きさの異なる水素貯蔵体を組み合わせてタンク内に配置することにより、水素貯蔵体を更に密に詰めて配置することができる。これにより、水素貯蔵タンクの単位容積当たりの水素貯蔵量を更に高めることができる。尚、本発明の水素貯蔵体と大きさの異なる水素貯蔵体としては、水素貯蔵体が柱状の場合にはその底面積が異なるものを用いるのが好ましく、その他、高さ、厚み、容積等、水素貯蔵体の形状を考慮して決定することができる。
上述のように、本発明の水素貯蔵タンクは、本発明の水素貯蔵体として柱状のものを用い、更に、柱状の本発明の水素貯蔵体と底面積の異なる柱状の水素貯蔵体を前記タンクの内部に備えて構成することができる。
本発明の水素貯蔵タンクによれば、底面積の異なる柱状の水素貯蔵体をそれぞれ組み合わせてタンク内に配置することで、水素貯蔵体を更に密に詰めてタンク内に配置することができる。これにより、本発明の水素貯蔵タンクの単位容積当たりの水素貯蔵量を更に高めることができる。
更に、本発明の水素貯蔵タンクは、複数の柱状の本発明の水素貯蔵体と、複数の本発明の水素貯蔵体の間に形成される空隙に設置され且つ本発明の水素貯蔵体と底面積の異なる柱状の水素貯蔵体と、を前記タンクの内部に備えて構成することができる。
本発明の水素貯蔵タンクは、複数の柱状の本発明の水素貯蔵体を搭載し、更に、これらの間に形成される空隙に底面積の異なる柱状の水素貯蔵体を配置することで、タンク内部に更に密に水素貯蔵体を搭載することができ、単位容積当たりの水素貯蔵量を更に向上させることができる。
尚、本発明の水素貯蔵体と大きさ(底面積等)の異なる水素貯蔵体としては、本発明の水素貯蔵体を用いるのが好ましいが、水素貯蔵合金や通常のカーボンナノチューブなど公知の水素貯蔵体を用いることも可能である。この場合、単位容積当たりの水素貯蔵量の高い本発明の水素貯蔵体をより多く搭載するために、公知の水素貯蔵体は、タンク内に配置される本発明の水素貯蔵体よりもその容積等が小さいものが好ましい。更に、柱状の本発明の水素貯蔵体と組み合わせて、粉体状のカーボンナノチューブを水素貯蔵体としてタンク内に備え、隙間を充填する構成としてもよい。
本発明によれば、嵩密度が高く、ミクロ細孔やメソ細孔等の細孔容積が確保された水素貯蔵体、及び、その製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、上記水素貯蔵体を用い、単位容積当たりの水素貯蔵量が多い水素貯蔵タンクを提供することができる。
以下、本発明の水素貯蔵体を搭載した水素貯蔵タンクについて図を用いて説明する。本実施形態においては、底面積の異なる本発明の水素貯蔵体が水素貯蔵タンクの内部に搭載されている。
図1を用いて本発明の水素貯蔵タンクの構造について説明する。図1は、本発明の水素貯蔵タンクの構造を示す概略図である。図1において、水素貯蔵タンク10は、タンク12と、複数の水素貯蔵体14と、水素貯蔵体14よりも底面積の小さい複数の水素貯蔵体16と、を含んで構成される。
まず、本発明の水素貯蔵体である水素貯蔵体14及び16について図2を用いて説明する。図2は、本発明の水素貯蔵体の構造を示す概略図である。図2において本発明の水素貯蔵体14は、配向されたカーボンナノチューブを構成成分とするシェル部14aと、屈曲したカーボンナノチューブを構成成分とするコア部14bと、によって構成される。尚、以下において図2を用いて水素貯蔵体14を例に本発明の水素貯蔵体の構造について説明するが、水素貯蔵体16も同様の構造を有している。
シェル部14aを構成するカーボンナノチューブは、その製造過程において一定の方向に配向されており、水素貯蔵体14の外殻の役割を果たしている。また、配向されたカーボンナノチューブで構成されるシェル部は機械強度が高く、耐久性に優れる。このため、シェル部内部に備えられ、屈曲カーボンナノチューブで構成されるコア部14bの膨張を抑えることができる。このように、シェル部14aは、水素貯蔵体14の外殻の役割を果すと共に、コア部14bを構成する屈曲カーボンナノチューブが密に絡み合った状態で保持する役割をも果たしている。
コア部14bを構成するカーボンナノチューブは、屈曲したカーボンナノチューブである。屈曲したカーボンナノチューブには螺旋状のカーボンナノチューブも含まれる。また、コア部14bにおいて屈曲カーボンナノチューブは圧縮成形によってお互いが絡まりながら密な状態で保持されている。このように、コア部14bにおいて屈曲カーボンナノチューブが絡まりながら密な状態で保持されることで、水素貯蔵体14内のカーボンナノチューブの嵩密度が高められている。
水素貯蔵体14及び16は、嵩密度1g/cm3以上であることが好ましく、1.2g/cm3以上であることが更に好ましい。水素貯蔵体14及び16は、水素貯蔵体を構成するカーボンナノチューブの質量等を適宜調整することにより調整することができる。
水素貯蔵体14におけるシェル部14a及びコア部14bの質量比率や体積比率は、シェル部14aがコア部14bの膨張を抑えられる範囲であれば、特に限定されるものではない。また、本発明の水素貯蔵体のサイズは特に限定はなく、用途に応じて適宜決定することができる。水素貯蔵体14の細孔容量としては、例えば、0.5cm3/g以上が好ましく、0.8cm3/g以上が更に好ましい。
次に、水素貯蔵タンク内における水素貯蔵体の配置について図3を用いて説明する。図3は、図1のAA’断面図である。図3に示す通り、タンク12は、断面積の異なる2種の水素貯蔵体14及び16がタンク内に充填されるように配置されている。このようにタンク12内に設置された水素貯蔵体14の間に形成される空隙に、断面積(底面積)が水素貯蔵体14よりも小さい水素貯蔵体16を設置することで、タンク内に無駄な空間を残さず、密に水素貯蔵体を配置することができる。
尚、本実施形態においては、断面積の異なる2種の水素貯蔵体を用いたが、断面積の異なる3種以上の水素貯蔵体を用いてタンク内に更に密に配置してもよい。また、本実施形態においては、断面積の異なる水素貯蔵体として、カーボンナノチューブからなる同種類のものを用いたが、本発明の水素貯蔵体と、本発明以外のカーボンナノチューブからなる水素貯蔵体や水素貯蔵合金と、組み合わせて用いてもよい。また、本発明の水素貯蔵体に組み合わせる水素貯蔵体の形状も特に限定されるものではなく、例えば、ペレット状の本発明の水素貯蔵体を備えた水素貯蔵タンクに、更に粉体のカーボンナノチューブを詰めるような構成としてもよい。
次に、本発明の水素貯蔵体の製造方法について説明する。本発明の水素貯蔵体は、エタノール中でカーボンナノチューブを攪拌し、束状にする束状化工程と、束状にされたカーボンナノチューブを真空条件下で加熱して、束状のカーボンナノチューブからエタノール等の有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール等)の一部を除去する第1の除去工程と、エタノール等の有機溶媒の一部が除去された束状のカーボンナノチューブを圧縮成形する圧縮成形工程と、圧縮成形された束状のカーボンナノチューブから残存したエタノール等の有機溶媒を除去する第2の除去工程と、を含んだ製造方法によって製造することができる。
上記束状化工程においては、カーボンナノチューブを束状にするため、有機溶媒として例えば、エタノールを用い、エタノール中でカーボンナノチューブを攪拌する。この際、エタノールは、液中のカーボンナノチューブに対して1〜200質量%用いるのが好ましく、100質量%程度用いるのが更に好ましい。また、上記攪拌は、カーボンナノチューブが束状になるまで行われる。通常、30分程度の攪拌でカーボンナノチューブを束状にすることができる。
上記束状化工程に用いられるカーボンナノチューブは、単層/複層、長さ、チューブ径について特に限定はなく、その用途に応じて本発明の効果を損なわない範囲で適宜選定することができる。
上記第1の除去工程は、束状にされたカーボンナノチューブに含まれるエタノールの一部を除去する工程である。エタノールを除去する手段としては、加熱を用いる。該加熱は、真空下で減圧状態おこなうのが好ましく、例えば、1×10-2Pa以下で行うのが好ましく、1×10-3Paで行うのが更に好ましい。また、上記加熱温度としては、約100℃程度であり、約120℃以上で行うのが好ましい。また、加熱時間としては、通常、0.5〜10時間程度であり、1〜1.5時間程度が好ましい。
第1の除去工程においては、束状のカーボンナノチューブに含まれるエタノールの一部を除去する。この場合、一部とは、少なくとも1/5以上が好ましく、1/10程度が更に好ましい。
上記圧縮成形工程は、一部のエタノールが除去された束状のカーボンナノチューブを圧縮成形する工程である。上記圧縮工程において、カーボンナノチューブを圧縮することにより、カーボンナノチューブ内の無駄な空間を減らすことができ、カーボンナノチューブの嵩密度を向上させることができる。
上記圧縮成形には、公知の圧縮成形機を用いることができる。また、圧縮成形の際の圧力としては、通常700〜1000kgf/cm2(約6860〜9800N/cm2)程度であり、1000kgf/cm2(約9800N/cm2)以上が好ましく、1100kgf/cm2(約10780N/cm2)以上が更に好ましい。
本発明においては、圧縮成形の際に結着剤を用いなくてもよいため、カーボンナノチューブ中のミクロ細孔やメソ細孔が失われることがない。尚、本発明の水素貯蔵タンクのサイズは、特に限定なく、用途に応じて適宜決定することができる。
上記第2の除去工程は、圧縮成形されたカーボンナノチューブに含まれる残存エタノールを除去する工程である。かかる工程において、残存エタノールは、完全に除去されることが好ましい。また、残存エタノールを除去する手段としては、第1の除去工程と同様に真空下における減圧状態での加熱が挙げられる。係る加熱の条件としては、加熱温度が、約78℃程度であり、約100℃以上が好ましい。また、上記加熱は、1×10-2Pa以下で行うのが好ましく、1×10-3Paで行うのが更に好ましい。また、上記加熱は、カーボンナノチューブ中のエタノールが完全に除去されるまでおこなうのが好ましく、通常、3〜5時間程度である。
図4を用いて本発明の水素貯蔵体の製造方法の流れについて説明する。図4は、本発明の水素貯蔵体の製造方法を示すフローチャートである。まず、エタノール中でカーボンナノチューブを30分程度攪拌し、カーボンナノチューブを束状にする(束状化工程:ステップS100)。
次いで、束状化されたカーボンナノチューブを真空下、100℃・1×10-2Pa以下・1時間の条件で、エタノールの残存量が、1/10程度になるまで乾燥(加熱)する(ステップS101)。
エタノールの一部を除去したカーボンナノチューブを油圧式の圧縮成形機にて、約700〜1000kg/cm2程度で圧縮する(ステップS102)。
次いで、圧縮成形工程において圧縮成形されたカーボンナノチューブを真空下、100℃・1×10-2Pa以下・3時間の条件で乾燥(加熱)し、カーボンナノチューブに含まれていた残存エタノールを除去し、屈曲カーボンナノチューブからなるコア層と配向カーボンナノチューブからなるシェル層とを備えたペレット状の本発明の水素貯蔵体を得ることができる(ステップS103)。
本発明の水素貯蔵体の使用用途は特に限定されるものではなく、燃料電池を搭載した車両に搭載される水素貯蔵タンクや、その他、通常水素貯蔵タンクが用いられる用途に好適に用いることができる。又、本発明の水素貯蔵タンクの用途にも限定はなく、例えば上述の燃料電池を搭載した車両等に搭載することができる。
以下、実施例において本発明について具体的に説明する。但し、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
−水素貯蔵体の作製−
まず、HiPco法で作製した単層カーボンナノチューブ(CNI社製)1gをエタノール1gに加えた。
−水素貯蔵体の作製−
まず、HiPco法で作製した単層カーボンナノチューブ(CNI社製)1gをエタノール1gに加えた。
カーボンナノチューブとエタノールとを十分に攪拌した後、真空加熱炉で1×10-2Pa以下、100℃の条件でエタノール量が1/10程度になるまで1時間加熱した。
次いで、得られた、エタノールを10質量%含有するカーボンナノチューブを0.4g秤量後、φ13mmの成形型に詰め、油圧式圧縮機において1012kgf/cm2(約9917.6N/cm2)で圧縮成形した。
得られた成形体を真空加熱炉において1×10-2Pa以下、100℃の条件で3時間加熱し、実施例1の水素貯蔵体を得た。尚、加熱後、成形体中のエタノールは完全に蒸発していた。
得られた水素貯蔵体を切断し、その断面をSEM観察したところ、内部(コア部)は図5に示すように屈曲されたカーボンナノチューブで形成されており、外部(シェル部)は図6に示すように配列されたカーボンナノチューブで形成されていることを確認することができた。
[実施例2〜3]
実施例1において圧縮成形時の圧力をそれぞれ、646kgf/cm2(約6330.8/cm2)、及び、718kgf/cm2(約7036.4N/cm2)に変更した以外は実施例1と同様にして水素貯蔵体を作製した。
実施例1において圧縮成形時の圧力をそれぞれ、646kgf/cm2(約6330.8/cm2)、及び、718kgf/cm2(約7036.4N/cm2)に変更した以外は実施例1と同様にして水素貯蔵体を作製した。
[比較例1〜2]
HiPco法で作製した単層カーボンナノチューブ(CNI社製)0.4gをφ13mmの成形型に詰め、油圧式圧縮機において718kgf/cm2(約7036.4N/cm2)又は1012kgf/cm2(約9917.6N/cm2)で圧縮成形して、比較例の水素貯蔵体を作製した。
得られた各水素貯蔵体について、重さ及び寸法を測定し、嵩密度を測定した。結果を図7に示す。図7に示すように、約1000kgf/cm2で圧縮成形した実施例1の水素貯蔵体は、嵩密度1g/cm3以上であった。これに対し、比較例の水素貯蔵体は、同程度の圧力で圧縮成形した実施例の水素貯蔵体に対していずれも嵩密度が低かった。
また、実施例1において得られた水素貯蔵体と、圧縮処理を行う前のカーボンナノチューブ(サンプル1)0.4gとの細孔容量を、N2吸着法によってそれぞれ測定した。結果を図8に示す。その結果、図8に示すように実施例1とサンプル1との細孔容量に差はなく、圧縮成形後にもミクロ細孔やメソ細孔が確保されていることが確認できた。
[実施例4]
−水素貯蔵タンクの作製−
まず、HiPco法で作製した単層カーボンナノチューブ(CNI社製)60gをエタノール60gに加えた。
−水素貯蔵タンクの作製−
まず、HiPco法で作製した単層カーボンナノチューブ(CNI社製)60gをエタノール60gに加えた。
カーボンナノチューブとエタノールとを十分に攪拌した後、真空加熱炉で1×10-2Pa以下、100℃の条件でエタノール量が1/10程度になるまで8時間加熱した。
次いで、得られた、エタノールを含有するカーボンナノチューブ66gをφ50mmの成形型に詰め、油圧式圧縮機において1012kgf/cm2(約9917.6N/cm2)で圧縮成形した。
得られた成形体を真空加熱炉において1×10-2Pa以下、100℃の条件で12時間加熱し、直径50、厚さ30mmの円筒状ペレット水素貯蔵体を形成した。
次いで、70Lタンク(内直径300mm、高さ1000mm円筒型)に上記水素貯蔵体を40kg分詰め込んで、水素貯蔵タンクを作製した。
[実施例5]
実施例4において得られた水素貯蔵タンクのタンク内において、水素貯蔵体の隙間に、粉体状のカーボンナノチューブ(CNI社製)9gを詰め込み、実施例5の水素貯蔵タンクを形成した。
実施例4において得られた水素貯蔵タンクのタンク内において、水素貯蔵体の隙間に、粉体状のカーボンナノチューブ(CNI社製)9gを詰め込み、実施例5の水素貯蔵タンクを形成した。
[比較例3]
70Lタンク(内直径300mm、高さ1000mm円筒型)に粉体状のカーボンナノチューブ(CNI社製)3.5gを詰め込んで、比較例3の水素貯蔵タンクを作製した。
70Lタンク(内直径300mm、高さ1000mm円筒型)に粉体状のカーボンナノチューブ(CNI社製)3.5gを詰め込んで、比較例3の水素貯蔵タンクを作製した。
得られた各水素貯蔵タンクに室温、25MPaで水素ガスを充填した。十分時間をおいて平衡に達したのを確認した後、タンク内の圧力が大気圧程度になるまで、水素ガスを放出させた。この際、放出された水素ガスをガス流量計でタンク内の水素貯蔵量を測定した。結果を図9に示す。図9から、実施例の水素貯蔵タンクは、比較例の水素貯蔵タンクに比べて水素貯蔵量が多いことが分かる。
10 水素貯蔵タンク
12 タンク
14,16 水素貯蔵体
14a シェル部
14b コア部
12 タンク
14,16 水素貯蔵体
14a シェル部
14b コア部
Claims (6)
- 屈曲したカーボンナノチューブを含んだコア部と、前記コア部を内部に備え、且つ配向されたカーボンナノチューブを含んだシェル部と、を備えた水素貯蔵体。
- 有機溶媒中でカーボンナノチューブを束状にする束状化工程と、
前記束状化工程において束状にされた前記カーボンナノチューブから前記有機溶媒の一部を除去する第1の除去工程と、
前記第1の除去工程により有機溶媒の一部が除去された束状の前記カーボンナノチューブを圧縮成形する圧縮成形工程と、
前記圧縮成形工程において、圧縮成形された束状の前記カーボンナノチューブから残存した前記有機溶媒を除去する第2の除去工程と、
を含んだ水素貯蔵体の製造方法。 - 屈曲したカーボンナノチューブを含んだコア部及び前記コア部を内部に備え且つ配向されたカーボンナノチューブを含んだシェル部を備えた水素貯蔵体と、内部に前記水素貯蔵体を備えるタンクと、を備えた水素貯蔵タンク。
- 更に、前記水素貯蔵体と大きさの異なる水素貯蔵体を前記タンクの内部に備えた請求項3に記載の水素貯蔵タンク。
- 前記水素貯蔵体が柱状であり、更に、前記水素貯蔵体と底面積の異なる柱状の水素貯蔵体を前記タンクの内部に備えた請求項3に記載の水素貯蔵タンク。
- 複数の柱状の前記水素貯蔵体と、複数の前記水素貯蔵体の間に形成される空隙に設置され且つ前記水素貯蔵体と底面積の異なる柱状の水素貯蔵体と、を前記タンクの内部に備えた請求項3に記載の水素貯蔵タンク。
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