JP2005137557A - 履物および靴の中敷 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は断熱性を向上させ、保温性を良くするとともに、全体の大きさを小さくすることを可能とした履物および靴の中敷を提供する。
【解決手段】靴14の底部15および甲部16および後面部18および側面部19に、複数の真空断熱材20,22,24を適用する。また、真空断熱材36をフェルト37で覆って靴の中敷とする。真空断熱材は芯材26の周縁部の外被材25がすべて熱溶着され、複数の芯材26を用いて各部の形状に適合させたもので、5mm以下と薄くても高い断熱性能を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は履物および靴の中敷の断熱性および保温性の向上に関するものである。
従来、保温性を高めた靴の断熱材は合成スポンジ等で構成されて断熱性を保っているものがある(例えば、特許文献1参照)。
図12は、従来の超低温冷蔵庫用長靴の断面図である。図12において、靴の本体1は、フェルト2の外側に、繊維製の織布にゴムを合わせた外甲3とより成り、フェルト等の中底4とゴム製の靴底5が接着等によって取り付けられている。外側に引き出すことができる内装体6は、合成スポンジ等による断熱材7と、中敷8とから構成されている。この構成により、十分な保温力が得られ、内装体は引き出して乾燥できるというものである。
また、足を暖める靴の中敷として、遠赤外線の放射体とハニカム材を積層したものがある(例えば、特許文献2参照)。
図13は、従来の靴の中敷の断面図である。図13において、靴の中敷9は靴底形状に形成され、遠赤外線を放射する炭素繊維布10を中心とし、上側に化学繊維から成る保護材11、靴底側にハニカム材を断熱材12として積層し、炭素繊維布10と断熱材12との間に反射シート13を配設した積層構造となっている。これにより、靴内の暖房効果を達成するというものである。
特開平7−100003号公報 登録実用新案第3024325号公報
しかしながら、上記従来の構成では、靴や靴の中敷における断熱材として合成スポンジやハニカム材を用いていたが、合成スポンジの熱伝導率は一般に0.03W/m・K〜0.05W/m・K、ハニカム材の熱伝導率は0.1W/m・K程度であり、スキーやスノーボード等の冬季スポーツや寒冷地における使用においては断熱性能が低く、人体の発する体熱の保温や、外気による寒さを防ぐことが不充分であった。
靴の中敷としては、常に暖房効果まで必要とは限らず、気候によっては暑過ぎることがあった。また、積層により厚みが大きく、窮屈感が免れなかった。
本発明は断熱性をさらに向上させ、体温をできるだけ保温することで寒さをより緩和することを可能とする履物および靴の中敷を提供することを目的とする。また、必要に応じて暖房効果を付加することができる履物および靴の中敷を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明の履物および靴の中敷は断熱材として真空断熱材を適用したものである。
真空断熱材の優れた断熱性能(熱伝導率:0.002W/m・K〜0.006W/m・K)により、履物および靴の中敷は、薄い断熱材で保温効果を格段に向上させる作用を有する。
また、履物の形状に適合するために、真空断熱材は複数の芯材で形成したり、複数を組み合わせたりして適用し、特に芯材の周縁の外被材部分を少なくして形状の自由度を向上し、有効断熱面積を拡大した。
本発明の履物および靴の中敷は断熱性が格段に向上し、体熱の保温や冷気の遮断が効果的に行われ、冬季スポーツや寒冷地における使用においても足部を快適に保つことができる。また、薄い断熱材とすることで、履物としてのデザインの余裕度が向上したり、履物全体を小型化して可搬性を向上したりでき、更に中敷としては厚みによる窮屈感を防ぐことができる。
請求項1に記載の発明は、履物に対して真空断熱材を少なくとも底部あるいは甲部あるいは前面部あるいは後面部あるいは側面部に適用したものである。真空断熱材は優れた断熱性能を有するので、人体の発する体熱の保温や外気の遮断が効果的に行われ、スキーやスノーボード等の冬季スポーツや寒冷地における使用においても足部を快適に保つことができるとともに、履物の外形寸法を小さくして、行動性を良くし、また、運搬時のスペース効率を向上して可搬性を良くすることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、真空断熱材を複数の芯材により構成したもので、芯材間で折り曲げて立体構造の真空断熱材を形成することが可能であり、真空断熱材を履物へ適用することが容易となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、2種類以上の形状の真空断熱材を複数枚適用したものである。靴の部位に応じた適切な形状の真空断熱材を用いることにより、履物の広い範囲にわたって適用することが可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の発明において、真空断熱材の芯材の周囲を取り巻く外被材部分をすべて熱溶着したものである。これにより、外被材の熱溶着部が芯材にほぼ接して形成されることになり、外被材が密着しているだけの部分がなくなり、熱溶着部の端面からのガス侵入を防ぐために所定の熱溶着幅を確保した上で、芯材の周縁に形成される外被材のみの部分が最も少なくなり、断熱材としての有効断熱面積を最大に確保することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の発明において、履物をくるぶしからふくらはぎ付近を覆う長靴としたもので、ふくらはぎより先の足全体を履物で包むことにより、足部において体熱の保温や外気の遮断が効果的に行われる部位が広くなり、寒冷な環境下において、短靴よりも足部を快適に保つことができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の発明において、履物の外殻をプラスチック樹脂で構成したもので、使用時においても履物の変形が少ないので、適用した真空断熱材に繰り返しの折り曲げ等の負荷があまりかからず、長期にわたる断熱性能の維持が可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の発明において、真空断熱材より内側に発熱部材を設けた履物である。真空断熱材は優れた断熱性能を有するので、発熱部材による発熱を外側へ逃さず、内側へ効果的に伝えることが可能となり、極めて寒冷な環境下においても足部を快適に保つことができる。
請求項8に記載の発明は、靴の中敷に対して真空断熱材を適用するもので、真空断熱材
は優れた断熱性能を有するので、靴の中敷の断熱効果を飛躍的に高めることができるとともに、脱着により気候に応じた保温効果を有する靴とすることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、真空断熱材が複数の貫通孔を有するもので、靴の中敷の通気性が向上し、足のむれを防ぐことができる。
請求項10に記載の発明は、請求項8または請求項9に記載の靴の中敷を配設した履物であり、靴の中敷は高い断熱作用を有するので履物の断熱性も飛躍的に高まり、人体の発する体熱の保温や外気の遮断が効果的に行われ、極めて寒冷な環境下においても足部を快適に保つことができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における靴の側面図、図2は本発明の実施の形態1における靴の断面図である。図3から図5は本発明の実施の形態1における靴に適用した真空断熱材の外観図である。
図1と図2において、履物としての代表例である靴14は、足を包む部分の底部15と甲部16と前面部17と後面部18と側面部19に靴底5を接着して構成されている。底部10は、底部10の形状に合わせてほぼ全面を覆う真空断熱材20を配設し、その上層のつま先側に発熱部材21、踵側に中底4を有し、その上に中敷8を配設して積層したものである。甲部16は、外側から外甲3、つま先までを覆うように成形した真空断熱材22、フェルト2を配設して積層したもので、上側に連続した前面部17は、外甲3とフェルト2は甲部16からそのまま連続して、中層の断熱材23は合成スポンジに替えてより柔軟性を有するものとしている。後面部18から側面部19にかけては、全体を覆うように形成した真空断熱材24を中層に配設し、真空断熱材22と真空断熱材24の隙間は合成スポンジの断熱材23を配設して積層した構成としている。
図3から図5において、真空断熱材20,22,24はガスバリア性を有する外被材25の内部にそれぞれ芯材26a,26b,26cを配置させ、内部を減圧して密封したものである。一般に真空断熱材は内部の真空度を1Pa〜100Paとすることで優れた断熱性能を発現することが可能となる。外被材25は複数のフィルムが積層されたラミネートフィルムであり、外側には保護層、中間はガスバリア層としてアルミ箔等を用い、内側は熱溶着層としている。いずれの芯材もシリカ粉末を主成分とする粉末を厚さ1.5mmに圧縮成形したものを用いたが、グラスウールを主成分とする繊維系芯材としてもよい。
真空断熱材20,22,24の作製において、外被材25の熱溶着は減圧空間で柔軟性のあるヒーターを、芯材26を含めて全面に押し付けて行い、芯材26の周囲および複数の芯材と芯材の間の外被材25を残さず熱溶着した。その後、芯材26の周縁に沿って熱溶着部27を4mm残して切断して靴の各部に配設するための形状とした。
このように芯材26の周囲をすべて熱溶着することにより、熱溶着部27の幅を狭くして有効断熱面積を拡大することができる。また、切欠きや切込み等も形成でき、任意の形状に作製できる。
なお、芯材26の周囲の外被材25をすべて熱溶着するには、外被材25のしわの発生等を抑制する必要があり、そのためには芯材26の厚みは5mm以下が望ましい。
こうして、真空断熱材20,22,24はそれぞれ靴の部位に応じた適切な形状とすることで、真空断熱材を適用することができる。また、真空断熱材20,22,24を複数の芯材26から構成することにより、曲げたり丸めたりすることが容易となって立体構造の真空断熱材を形成することが可能となり、靴への適用が容易となる。
また、発熱部材21は着脱できるようにしておけば、交換や気候によっては取り外しておくことができて好ましく、面状発熱ヒーターや公知の使い捨てカイロ等を用いることができる。
以上のような構成により、本実施の形態1における靴14は、真空断熱材20,22,24の優れた断熱作用により、人体の発する体熱の保温や外気の遮断が効果的に行われ、寒冷な環境下において足部を快適に保つことができる。
また、発熱部材21を真空断熱材20より内側に設けることで、真空断熱材20の優れた断熱性能により、発熱部材21による発熱を外側へ逃さず、内側へ効果的に伝えることが可能となる。更に、発熱部材21のエネルギー消費量を低減することにより、発熱時間を延長することができる。
(実施の形態2)
図6は本発明の実施の形態2における靴の側面図、図7は本発明の実施の形態2における靴の断面図である。靴28は長靴で、一般に大型冷蔵庫における作業靴や寒冷地における防寒靴として使用されるものである。
図6において、靴28はくるぶし付近より下部については実施の形態1に示した靴14と同様で、これに加え、ふくらはぎを覆う胴部29を加えた構成であり、底部30と甲部31と前面部32と後面部33と側面部34と靴底5とで構成されている。図7において、靴28は胴部29に真空断熱材31が配設され、底部30に真空断熱材20が、甲部31に真空断熱材22が、後面部33から側面部34にわたって真空断熱材24が配設されている。
以上のような構成により、靴28はふくらはぎを覆う胴部29まで真空断熱材31を適用して保温性を大きく向上しており、寒冷な環境下において、短靴よりも足部を快適に保つことができるのはもちろんのこと、薄い肉厚で靴全体の小型化を図ることができる。
また、図には示していないが、底部5にビンディングへの固定部を形成したり、外殻全体をプラスチック樹脂で形成してバックルで足部を締め込めるように構成したりすれば、スノーボードやスキー用のブーツとして使用できるものである。
本実施の形態2において、特に靴28の外殻をプラスチック樹脂等の硬質な材料とすれば使用時においても靴28の変形が少なく、真空断熱材20,22,24,31に対して繰り返しの折り曲げ等の負荷があまりかからず、長期にわたる断熱性能の維持が可能となる。更に、靴全体の大きさを小型化することにより、スキー等の遠方への移動において荷物としての可搬性を向上することができる。
(実施の形態3)
図8は本発明の実施の形態3における靴の中敷の外観図、図9は本発明の実施の形態3における靴の中敷の断面図、図10は本発明の実施の形態3における靴の中敷に適用した真空断熱材の平面図、図11は本発明の実施の形態3における靴の中敷を配設した靴の断面図である。
図8および図9において、靴の中敷35は真空断熱材36の両面にフェルト37を積層して構成されている。図10において、真空断熱材36は図3に示す真空断熱材20と同様にガスバリア性の外被材と芯材とからなるが、真空断熱材36には複数の貫通孔38が設けられている。芯材はガラス繊維を抄造したシートを厚さ1mmに積層したもので、靴の中敷35の厚さはおよそ2mmである。貫通孔38は、真空断熱材36の断熱性能と衛生性を両立できる最小限の個数であることが望ましい。なお、真空断熱材36は複数個の芯材から構成されても良い。
以上のような構成により、靴の中敷35は、真空断熱材36の優れた断熱性能により薄くても高い断熱性能を有し、通常の靴の底部に配設しても窮屈感を抑制したものとすることができる。また、真空断熱材36に設けられた複数の貫通孔38により、通気性を確保して足のむれを防いだ衛生的な靴の中敷を提供することができる。
図11において、靴39は通常の短靴であり、靴の中敷36が靴39の底面に配設されている。これにより、通常の靴でも底部を防寒することができ、寒冷な環境下において、足部を快適に保つことができる。
以上のように、本発明にかかる履物および靴の中敷は、優れた断熱性能を有する真空断熱材の適用により体熱の保温や冷気の遮断が効果的に行われるとともに、真空断熱材は薄く形成しても断熱効果が高いので、本発明の実施の形態に示した靴に限らず、スリッパなど通常断熱性を有しない履物にも適用することもでき、これにより防寒性を確保し、快適性を向上することができる。
本発明の実施の形態1における靴の側面図 本発明の実施の形態1における靴の断面図 本発明の実施の形態1における靴に適用した真空断熱材の外観図 本発明の実施の形態1における靴に適用した真空断熱材の外観図 本発明の実施の形態1における靴に適用した真空断熱材の外観図 本発明の実施の形態2における靴の側面図 本発明の実施の形態2における靴の断面図 本発明の実施の形態3における靴の中敷の外観図 本発明の実施の形態3における靴の中敷の断面図 本発明の実施の形態3における靴の中敷に適用した真空断熱材の平面図 本発明の実施の形態3における靴の中敷を配設した靴の断面図 従来の超低温冷蔵庫用長靴の断面図 従来の靴の中敷の断面図
符号の説明
3 外殻
14,28,39 靴
15 底部
16 甲部
17 前面部
18 後面部
19 側面部
20,22,24,31,36 真空断熱材
21 発熱材
25 外被材
26,26a,26b,26c 芯材
29 胴部
35 靴の中敷
38 貫通孔

Claims (10)

  1. 芯材を外被材で覆い、内部を減圧して密封した真空断熱材を、少なくとも底部あるいは甲部あるいは前面部あるいは後面部あるいは側面部に適用したことを特徴とする履物。
  2. 真空断熱材は複数の芯材により構成したことを特徴とする請求項1に記載の履物。
  3. 2種類以上の形状の真空断熱材を複数枚適用したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の履物。
  4. 真空断熱材の芯材の周囲を取り巻く外被材をすべて熱溶着したことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の履物。
  5. くるぶしからふくらはぎ付近を覆う胴部を有する長靴としたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の履物。
  6. 外殻および靴底をプラスチック樹脂で構成したことを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の履物。
  7. 真空断熱材より内側に発熱部材を設けたことを特徴とする請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の履物。
  8. 真空断熱材を構成材料として適用したことを特徴とする靴の中敷。
  9. 真空断熱材は複数の貫通孔を有することを特徴とする請求項8に記載の靴の中敷。
  10. 請求項8または請求項9に記載の靴の中敷を配設したことを特徴とする履物。
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