JP2005137287A - ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素及びゲラニルゲラニオールの製造方法 - Google Patents

ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素及びゲラニルゲラニオールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素及びゲラニルゲラニオールの製造方法を提供する。
【解決手段】 ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNAを保持する細胞を培養し、培養物中からゲラニルゲラニオールを回収する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素及びゲラニルゲラニオールの製造方法に関する。
イソプレノイド(又はテルペノイドと呼ばれる)は、各種ステロイド類、スクアレン、ファルネシル化タンパク質のアンカー分子、天然ゴム、レチノールやβ-カロテン(ビタミンA)、フィロキノン・メナキノン(ビタミンK)やユビキノン(補酵素Q)の側鎖、トコフェロール(ビタミンE)、ゲラニルゲラニル化タンパク質のアンカー分子、クロロフィルの側鎖、ジベレリン、アブシジン酸及びブラシノライドなどの植物ホルモン、アーキアのエーテル型脂質成分などを始めとする膨大な種類からなる一群の化合物を含む。また、これらのイソプレノイドには、工業価値の高い化合物が多く含まれる。イソプレノイドは、生体内では、アセチル-CoAからメバロン酸を経るメバロン酸経路、又はピルビン酸よりグリセルアルデヒド三リン酸を経るMEP(2-C-methyl-D-erythritol 4-phosphate)経路によって合成される。
イソプレノイドに含まれるファルネソールやゲラニルゲラニオール等のプレニルアルコールは、香料として用いられる精油中の芳香物質として知られるが、薬理作用物質として有用な上記ビタミン類をはじめとする化合物の合成出発物質としてもまた重要な物質である。
ファルネソールやゲラニルゲラニオールの生合成前駆体化合物は、二リン酸型化合物である(all-E)ファルネシル二リン酸と(all-E)ゲラニルゲラニル二リン酸である。よって炭素数15及び20を有する直鎖型の生合成経路中での最初のプレニルアルコールは、全トランス型である(all-E)ファルネソールと(all-E)ゲラニルゲラニオールとなる。また、上記(all-E)ファルネシル二リン酸と(all-E)ゲラニルゲラニル二リン酸は、細胞におけるイソプレノイド合成の活性型前駆体化合物として知られる。これら2種のプレニル二リン酸を前駆体としてトランス型やシス型のあらゆるイソプレノイド関連物質(イソプレノイド又はテルペノイドと呼ばれる)が生合成される(Ogura K及びKoyama T, 「Enzymatic aspects of isoprenoid chain elongation」 CHEMICAL REVIEWS, 98, 1263-1276 (1998))。これらcis-,trans ((Z)-, (E)-)異性体混合物でない、活性型プレニルアルコールの純品を大量に生産できる系の確立が望まれている。
今日、ゲラニルゲラニオールは、主に化学合成法により合成されている(例えば特開平8-133999号公報を参照)。しかし、化学合成法によると、より炭素鎖の短いファルネソールやネロリドールと比較してゲラニルゲラニオールの合成は、ステップ数が多く、コストがかかる。また、化学合成法で合成されるゲラニルゲラニオールは、一般的には炭素骨格が同じであるが、二重結合が(E)-型(trans型)と(Z)-型(cis型)の混合物として得られる。
一方、(all-E)ゲラニルゲラニオールは生物の代謝経路で合成される形であり、工業的利用価値を有する。(all-E)ゲラニルゲラニオールを純粋な形で得るためには、カラムクロマトグラフィーや精密蒸留などを利用した精製が必要である。しかし、熱的に不安定なアリルアルコールであるゲラニルゲラニオールの精密蒸留は困難である。また、カラムクロマトグラフィーによる精製は、多量の溶媒充填剤を必要とし、順次溶出してくる各画分を分析しながら回収し、さらに溶媒を除去しなければならないなど、操作が煩雑でコストも高く、工業実施には適さない。そこで、(all-E)ゲラニルゲラニオールの合成法が望まれている。
(E)-、(Z)-幾何異性体の生成制御は、酵素を反応触媒として用いる生合成法では完全に行われるので魅力的である。従来、生化学反応を用いたイソプレノイドの生産性を向上させる試みとしては、上述した代謝経路の反応を触媒する酵素の活性を強化したり、変異導入して前記酵素の特異性を改変するといった手法が取られてきた。例えば、プレニル二リン酸合成酵素の特異性改変が挙げられる。プレニル二リン酸合成酵素は、上述したメバロン酸経路又はMEP経路の下流の反応経路においてホモアリル性二リン酸基質とアリル性二リン酸基質からプレニル二リン酸への合成反応を触媒する。プレニル二リン酸合成酵素のアミノ酸配列にはアスパラギン酸リッチドメインIと呼ばれる保存領域が存在する。このアスパラギン酸リッチドメインIのN末端側のアスパラギン酸残基から上流5残基〜8残基に位置するアミノ酸残基の改変により反応産物鎖長が制御されることが知られていた(非特許文献1)。特許文献1及び2においては、プレニル二リン酸合成酵素の一つであるファルネシル二リン酸合成酵素のアミノ酸配列においてアスパラギン酸リッチドメインIのN末端側のアスパラギン酸残基から上流5残基に位置するアミノ酸残基を置換変異させたポリペプチドをコードするDNAを導入した細胞を培養する技術に基づく、ゲラニルゲラニオール生産系が開示されている。
上記生産系においては、生育に必須なステロールの合成能を欠損(スクアレン合成酵素遺伝子を欠損)させた変異細胞を用いることによって、ステロールの中間代謝産物であるプレニル二リン酸(ファルネシル二リン酸)を蓄積させ、プレニルアルコールを得ている。従って、ステロールの合成能欠損細胞を用いた結果、培養時に常にステロール、例えばエルゴステロールやコレステロールを添加する必要があり、コストがかかり実用的でない。生育に必要な一般的な栄養以外にステロール等の特別な化合物を添加することなくゲラニルゲラニオールを生産できるプレニルアルコール生産とステロール要求性を両立させるような系はこれまで確立されていなかった。
特表2002-519397号公報 特表2002-519049号公報 Ohnumaら, J Biol Chem., 271, 30748-30754(1996)
そこで、本発明は、例えば、ファルネシル二リン酸合成酵素遺伝子を部分改変し、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性をも有するポリペプチドをコードする遺伝子に変換し、この遺伝子を保持する細胞を、ステロールを添加しない培地で培養することによるゲラニルゲラニオールの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、配列番号1に記載のアミノ酸配列においてN末端側から第3番目のフェニルアラニンが他のアミノ酸、好ましくはセリン、グリシン又はアラニン、特に好ましくはセリンに置換されているアミノ酸配列を含み、且つゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNAを保持した細胞がゲラニルゲラニオールを生産することを見出し、本発明を完成するに至った。特に、細胞にHMG-CoA還元酵素遺伝子高発現株を用いた時に顕著にゲラニルゲラニオールを生産した。
すなわち、本発明は、以下を包含する。
(1)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてN末端側から第3番目のフェニルアラニンが他のアミノ酸に置換されているアミノ酸配列を含み、且つゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
(2)上記第3番目のフェニルアラニンがセリン、グリシン又はアラニンに置換されていることを特徴とする、(1)記載のDNA。
(3)上記第3番目のフェニルアラニンがセリンに置換されていることを特徴とする、(1)記載のDNA。
(4)配列番号1に記載のアミノ酸配列においてN末端側から第3番目のフェニルアラニンが他のアミノ酸に置換されているアミノ酸配列を含み、且つゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を有するポリペプチド。
(5)上記第3番目のフェニルアラニンがセリン、グリシン又はアラニンに置換されていることを特徴とする(4)記載のポリペプチド。
(6)上記第3番目のフェニルアラニンがセリンに置換されていることを特徴とする(4)記載のポリペプチド。
(7)以下の(a)又は(b)のポリペプチドをコードするDNA。
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、96番目のアミノ酸を除く1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を有するポリペプチド。
(8)上記96番目のアミノ酸がセリン、グリシン又はアラニンであることを特徴とする、(7)記載のDNA。
(9)上記96番目のアミノ酸がセリンであることを特徴とする、(7)記載のDNA。
(10)以下の(a)又は(b)のポリペプチド。
(a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、96番目のアミノ酸を除く1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を有するポリペプチド。
(11)上記96番目のアミノ酸がセリン、グリシン又はアラニンであることを特徴とする、(10)記載のポリペプチド。
(12)上記96番目のアミノ酸がセリンであることを特徴とする、(10)記載のポリペプチド。
(13)(1)〜(3)及び(7)〜(9)のいずれかに記載のDNAを有するDNAコンストラクト。
(14)(13)記載のDNAコンストラクトを保持する細胞。
(15)宿主細胞がステロール非要求性株であることを特徴とする、(14)記載の細胞。
(16)上記ステロールがコレステロール又はエルゴステロールであることを特徴とする、(15)記載の細胞。
(17)宿主細胞がHMG-CoA還元酵素高発現株であることを特徴とする、(14)記載の細胞。
(18)内在するファルネシル二リン酸合成酵素遺伝子が上記DNAコンストラクトによって置換されていることを特徴とする、(14)記載の細胞。
(19)(14)〜(18)のいずれかに記載の細胞を培養し、培養物中からゲラニルゲラニオールを回収する、ゲラニルゲラニオールの製造方法。
(20)上記回収が細胞を破砕せず培養物を直接有機溶媒抽出することを特徴とする、(19)記載のゲラニルゲラニオールの製造方法。
(21)上記有機溶媒がペンタンであることを特徴とする、(20)記載のゲラニルゲラニオールの製造方法。
(22)上記ゲラニルゲラニオールが(all-E)ゲラニルゲラニオールであることを特徴とする、(19)記載のゲラニルゲラニオールの製造方法。
本発明に係るゲラニルゲラニオールの製造方法では、細胞においてゲラニルゲラニオールを生産させることができ、各種の分野で有用なゲラニルゲラニオールを優れた生産性で製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るDNAは、配列番号1に記載のアミノ酸配列(Ala Tyr Phe Leu Val Ala Asp Asp Met Met Asp)においてN末端側から第3番目のフェニルアラニンが他のアミノ酸に置換されているアミノ酸配列を含み、且つゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNAである。配列番号1に記載のアミノ酸配列(Ala Tyr Phe Leu Val Ala Asp Asp Met Met Asp)において、「Asp Asp Met Met Asp」は、アスパラギン酸リッチドメインIと呼ばれ、プレニル二リン酸合成酵素のアミノ酸配列において保存されている(Chen et al., 「Isoprenyl diphosphte synthases」, Protein Science, 3, 600-607(1994))。該ドメインの機能は、基質あるいは反応産物とマグネシウムイオンを介して結合する部位と予想されている。配列番号1に記載のアミノ酸配列は、上記アスパラギン酸リッチドメインIと該ドメインのN末端側のアスパラギン酸残基から上流6残基までを含むアミノ酸配列である。
ここで「他のアミノ酸」とは、フェニルアラニン以外の、スレオニン、ヒスチジン、バリン、トリプトファン、ロイシン、リジン、イソロイシン、メチオニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン、システイン、プロリン、チロシン、グリシン、セリン、アスパラギン、アラニン、グルタミン酸である。なかでも、「他のアミノ酸」としては、セリン、グリシン又はアラニンであることが好ましく、セリンであることが最も好ましい。なお、以下の記載においても、「他のアミノ酸」は、上述したアミノ酸を意味する。
配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドとしては、例えば、出芽酵母サッカロマイセス・セレビシー(Saccharomyces cerevisiae;以下、「S. cerevisiae」と呼ぶ)のファルネシル二リン酸合成酵素(以下、「SceFPS」と呼ぶ)を挙げることができる。SceFPS以外にも、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するポリペプチドとしては、Kluyveromyces属酵母であるKluyveromyceslactisのファルネシル二リン酸合成酵素(swissprot: locus FPPS_KLULA, accession No.P49349)を挙げることができる。
SceFPSをコードする塩基配列及びSceFPSのアミノ酸配列を、それぞれ配列番号3及び4に記載する。配列番号4のアミノ酸配列において、配列番号1のアミノ酸配列は第94-第104残基に対応している。
SceFPSは、本来ファルネシル二リン酸合成活性を有するが、96番目のフェニルアラニンを他のアミノ酸、好ましくはセリン、グリシン又はアラニン、特に好ましくはセリンに置換することによって、さらにゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性をも有するものとなる。
SceFPSをコードするERG20遺伝子は、その欠損株が致死性であることから、ファルネシル二リン酸合成酵素活性は生育に必須と考えられる。よってSceFPSの96番目のフェニルアラニンを他のアミノ酸、好ましくはセリン、グリシン又はアラニン、特に好ましくはセリンに置換したポリペプチドは生育に必須な程度のファルネシル二リン酸合成酵素活性を保持しながら、培養産物中にゲラニルゲラニオール生産に十分な量のゲラニルゲラニル二リン酸を供給できる活性を有するものと予想される。SceFPS以外にも上述したような、配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質において、配列番号1に記載のアミノ酸配列におけるN末端側から第3番目のフェニルアラニンを他のアミノ酸、好ましくはセリン、グリシン又はアラニン、特に好ましくはセリンに置換することによって、さらにゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性をも有するものとなる。
ここで、「ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性」とは、イソペンテニル二リン酸とアリル性二リン酸との縮合反応を触媒し、(all-E)ゲラニルゲラニル二リン酸を合成することを意味する。ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性の測定方法としては、例えばRI基質によるトレーサー法・薄層クロマトグラフィー法やリン酸測定法が挙げられる(Ohto et al. Plant Mol. Biol., 40, 307-321 (1999); Nishino etal. 米国特許第5773273号(1998))。
SceFPSのアミノ酸配列(配列番号4)における96番目のフェニルアラニンを他のアミノ酸に置換したアミノ酸配列を配列番号2に示す。従って、配列番号2において、第96番目のアミノ酸(Xaa)は、フェニルアラニン以外の他のアミノ酸を表す。他のアミノ酸は、好ましくはセリン、グリシン又はアラニン、特に好ましくはセリンである。すなわち、本発明に係るDNAの1例としては、配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNAを挙げることができる。
また、本発明に係るDNAには、配列番号2で表されるアミノ酸配列において、96番目のアミノ酸を除く1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNAも含まれる。
1又は数個のアミノ酸としては、配列番号2で表されるアミノ酸配列において、第94-第104残基のアミノ酸を除く領域のアミノ酸であることが好ましい。
ここで、数個のアミノ酸とは、2〜20個のアミノ酸、好ましくは2〜10個のアミノ酸、より好ましくは2〜5個のアミノ酸を意味する。
一方、配列番号3に記載のSceFPSをコードする塩基配列は、S. cerevisiaeから定法に従って単離することができる。すなわち、S.cerevisiae由来のゲノムライブラリー或いはcDNAライブラリーを作製し、配列番号3の塩基配列の一部からなるDNA断片をプローブとして、ゲノムライブラリー或いはcDNAライブラリーからハイブリダイズさせることによって、SceFPSをコードするDNAを単離することができる。あるいは、配列番号3の塩基配列の両端の適当な長さの配列をプライマーDNAとしてS.cerevisiaeのコロニーPCR法、ゲノムPCR法、RT-PCR法などのPCR技術によりさらに簡便にSceFPSをコードするDNAを単離することができる。
SceFPSをコードする塩基配列を得た後に、配列番号1に記載のアミノ酸配列においてN末端側から第3番目のフェニルアラニンが他のアミノ酸、好ましくはセリン、グリシン又はアラニン、特に好ましくはセリンに置換されるように、すなわち、例えば、配列番号2で表されるアミノ酸配列となるように、変異を導入することによって本発明に係るDNAを得ることができる。本発明に係るDNAを得るために変異を導入する方法としては、配列番号1に記載のアミノ酸配列においてN末端側から第3番目のフェニルアラニンが他のアミノ酸、好ましくはセリン、グリシン又はアラニン、特に好ましくはセリンに置換されるものであれば特に限定されないが、Kunel法、Eckstein法、部位特異的な変異導入に基づくキット(例えば、Altered Site II in vitro mutagenesis Systems(Promega社製))又はPCRを用いた変異導入を行うキット(例えば、LA PCR in vitro Mutagenesis Kit(タカラバイオ製))が挙げられる。また、配列番号1に記載のアミノ酸配列においてN末端側から第3番目のフェニルアラニンが他のアミノ酸、好ましくはセリン、グリシン又はアラニン、特に好ましくはセリンに置換されているアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする任意の塩基配列を設計し、その配列にしたがったDNAを化学合成することも可能である。あるいは、配列番号1に記載のアミノ酸配列においてN末端側から第3番目のフェニルアラニンが他のアミノ酸、好ましくはセリン、グリシン又はアラニン、特に好ましくはセリンに置換されているアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする任意の塩基配列の一部を化学合成した後に、DNAリガーゼ法などの生化学的・分子生物学的な良く知られた実験手法により十分な長さの本発明に係るDNAを得る事も可能である。
本発明に係るポリペプチドは、本発明に係るDNAによりコードされるゲラニルゲラニオール生産に適した活性を持つゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素である。例えば、本発明に係るDNAで大腸菌(Escherichia coli;以下、「E. coli」と呼ぶ)を形質転換し、E. coli内で合成されたポリペプチドを抽出することで、本発明に係るポリペプチドを得ることができる。
さらに、本発明に係るDNAコンストラクトは、本発明に係るDNAを有するDNAコンストラクトである。ここで、DNAコンストラクトとは、例えば、真核生物の相同組換えを利用した遺伝子導入方法に使用することができるDNA断片(以下、「本発明に係るDNA断片」と呼ぶ)及び組換えベクター(以下、「本発明に係る組換えベクター」と呼ぶ)を意味する。本発明に係るDNA断片としては、例えば、本発明に係るDNAの鋳型を用いたPCRにより増幅された本発明に係るDNAを有するPCR産物及び化学合成により作製された本発明に係るDNAを有するDNAが挙げられる。なお、本発明に係るDNA断片は、宿主中で自律複製可能な機能を持たないDNA断片であっても、自立複製可能な宿主細胞内DNA、例えばゲノムDNA、プラスミドDNAやオルガネラDNAに組込まれるDNA断片であれば良い。また、本発明に係るDNA断片は、本発明に係るDNAに、さらに転写プロモーター及び転写ターミネーターを連結又は挿入することにより得ることもできる。
一方、適当なベクターに本発明に係るDNAを挿入することにより、本発明に係る組換えベクターを得ることができる。本発明に係るDNAを挿入するためのベクターは、宿主中に導入可能なものであれば特に限定されず、また、宿主中で複製不可能なものや複製可能なもののいずれも含まれる。例えば、本発明に係るDNAを挿入するためのベクターとしては、ベクター自体に宿主中での複製能を持たず、ゲノムDNA挿入目的に用いられるDNA、例えば酵母ゲノム挿入用のpRS404やトランスポゾン配列を含むベクターなどが挙げられる。また、本発明に係るDNAを挿入するためのベクターとしては、宿主中で自律複製可能なベクター、例えばプラスミドベクター、シャトルベクター、ウイルスベクター(ファージベクター)などが挙げられる。
プラスミドベクターとしては、E. coli由来のプラスミド(例えばpET30bなどのpET系、pBR322及びpBR325などのpBR系、pUC118、pUC119、pUC18及びpUC19などのpUC系、pBluescript等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13、pYES2などのYEp系、YCp50、pRS414などのYCp系等)などが挙げられる。またファージベクターとしては、λファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP等)が挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、カリフラワーモザイクウイルスなどの植物ウイルス、又はバキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
本発明に係る組換えベクターは、さらに転写プロモーター、リボソーム結合配列、転写ターミネーター及び本発明に係るDNAにより構成されていることが好ましい。また、プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
なお、本発明に係るDNAコンストラクトに含むことができる転写プロモーターとしては、例えば恒常発現型プロモーター又は誘導発現型プロモーターが挙げられる。ここで、恒常発現型プロモーターとは、主要代謝経路に関わる遺伝子の転写プロモーターを意味し、どの生育条件でも転写活性を有するプロモーターである。一方、誘導発現型プロモーターとは、特定の生育条件で転写活性があり、その他の生育条件では活性が抑えられるプロモーターを意味する。本発明に係るDNAコンストラクトに含むことができる転写プロモーターは、本発明に係るDNAコンストラクトが導入される宿主細胞中で活性を持つものであればいずれを用いてもよい。例えば、宿主細胞が酵母である場合には、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、TDH3(GAP)プロモーター、ADH1プロモーター、TEF2プロモーター等を用いることができる。また、宿主細胞がE. coliである場合には、trplactrctacなどのプロモーターを用いることができる。
また、本発明に係るDNAコンストラクトに含むことができる転写ターミネーターは、本発明に係るDNAコンストラクトが導入される宿主細胞中で活性を持つものであればいずれの遺伝子に由来する転写ターミネーターを用いてもよい。例えば宿主細胞が酵母である場合には、ADH1ターミネーター、CYC1ターミネーター等を用いることができる。また、宿主細胞がE. coliである場合には、rrnBターミネーターを用いることができる。
さらに、本発明に係るDNAコンストラクトは、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカーなどを含むことができる。なお、選択マーカーとしては、URA3LEU2TRP1HIS3などの栄養非要求性の表現型を指標とするマーカー遺伝子や、Ampr、Tetr、Cmr、KmrAUR1-C等の抗生物質耐性遺伝子が挙げられる。
また、本発明に係るDNAコンストラクトは、宿主細胞がバクテリアである場合には、遺伝子発現のため、効率的翻訳のためのリボソーム結合部位として開始コドン上流にSD配列 (5'-AGGAGG-3'で代表される)を組み込むこともできる。
ベクターに本発明に係るDNAを挿入するには、まず適当な制限酵素で本発明に係るDNAを切断し、次いで適当なベクターDNAの制限酵素部位に挿入してベクターに連結する方法が用いられる。
本発明に係る細胞は、本発明に係るDNAコンストラクトを保持する細胞である。本発明に係るDNAコンストラクトを宿主細胞に導入することにより得ることができる。宿主細胞としては、本発明に係るDNAがコードするポリペプチドを発現できるものであれば特に限定されるものではなく、酵母などの単細胞真核微生物を含む真菌、原核生物(バクテリアとアーキア)、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞などが挙げられる。
真菌としては、変形菌類(Myxomycota)、藻菌類(Phycomycetes)、子嚢菌類(Ascomycota)、担子菌類(Basidiomycota)、不完全菌類(Fungi Imperfecti)が挙げられる。なお、真菌として、工業上利用上重要な酵母が良く知られている。そこで、宿主細胞として、例えば、子嚢菌類の子嚢菌酵母、担子菌類の担子菌酵母又は不完全菌類の不完全菌酵母等を用いることができる。より具体的には、子嚢菌酵母、特に、S.cerevisiae、クルヴェロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、キャンディダ・ユーティリス(Candida utilis)又はピキア・パストリス(Pichia pastoris)等の出芽酵母、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Shizosaccharomyces pombe)等の分裂酵母が挙げられる。酵母の株は、プレニルアルコールを生産することができる限り特に限定されるものではない。S. cerevisiaeの場合、例えばA451、YPH499、YPH500、W303-1A、W303-1B、ATCC28382などが挙げられる。
バクテリアとしては、大腸菌(Escherichia coli)等のエシェリキア属、バシラス・サティラス(Bacillus subtilis)等のバシラス属、又はシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)やアグロバクテリウム・リゾジェネス(Agrobacterium rhizogenes)等のアグロバクテリウム属、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacerium glutamicum)等のコリネバクテリウム属、ラクトバシラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)等のラクトバシラス属、アクチノマイセス属(Actinomyces)やストレプトマイセス属(Storeptomyces)等の放線菌類(Actinomycetes)が挙げられる。
また、アーキアとしては、メタノバクテリウム属(Metanobacterium)などのメタン生産菌、ハロバクテリウム属(Halobacterium)などの好塩菌、スルフォロバス属(Sulfolobus)等の好熱好酸性菌が挙げられる。
本発明に係る細胞を得るためには、上記宿主細胞のいずれも用いることができるが、特に酵母、その中でも出芽酵母、特にS. cerevisiaeが好ましい。さらに、宿主細胞としては、ステロール非要求性株が好ましい。ステロール非要求性株としては、コレステロール又はエルゴステロール非要求性株が挙げられる。例えば、S.cerevisiaeのステロール非要求性株としては、YPH499、YPH500、YPH501、A451、W303-1A、W303-1Bなどの組換え用宿主株が挙げられる。また、ステロール非要求性株としては、自然界から単離される野生型の酵母ステロール非要求性株が挙げられる。さらに、宿主細胞としては、HMG-CoA還元酵素高発現株が好ましい。特に好ましくは、ステロール非要求性かつHMG-CoA還元酵素高発現株である。ここで、HMG-CoA還元酵素高発現株とは、HMG-CoA還元酵素を過剰発現する細胞を意味する。例えば、本発明に係るDNAコンストラクトと同様にHMG-CoA還元酵素をコードするDNAを有するDNAコンストラクトを作製し、細胞に導入することで、HMG-CoA還元酵素高発現株を得ることができる。HMG-CoA還元酵素高発現株としては、例えばHMG1遺伝子高発現株であるpRS504GAP-HMG1/YPH499株が挙げられる。
また、本発明に係る細胞においては、本発明に係るDNAコンストラクトによって、宿主細胞に内在するファルネシル二リン酸合成酵素遺伝子が、組換えによって置換されていてもよい。
酵母を含む真菌への本発明に係るDNAコンストラクトの導入方法は、真菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられる。
また、バクテリアやアーキアなどの原核生物への本発明に係るDNAコンストラクトの導入方法は、原核生物にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
動物細胞を宿主細胞とする場合は、サル細胞COS-7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウスL細胞などが用いられる。動物細胞への本発明に係るDNAコンストラクトの導入方法としては、動物細胞にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9細胞などが用いられる。昆虫細胞への本発明に係るDNAコンストラクトの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。
植物細胞を宿主細胞とする場合は、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)に由来する細胞、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)に由来する細胞又は植物培養細胞などが用いられる。植物細胞への本発明に係るDNAコンストラクトの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法及びPEG法等が挙げられる。
PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等によって、本発明に係るDNAが宿主細胞に導入されたか否かの確認を行うことができる。例えば、本発明に係る細胞からDNAを調製し、本発明に係るDNAに対する特異的プライマーDNAを設計し、合成してPCRを行う。次いで、PCR増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green等により染色することにより本発明に係るDNAが導入されたことを確認する。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーDNAを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等により増幅産物を確認する方法を採用してもよい。
以上に説明した本発明に係るDNAを、以上に説明した宿主細胞に導入することで、該細胞はステロールなどの特別な栄養素を要求することなく、ゲラニルゲラニオール高生産に十分な量のゲラニルゲラニル二リン酸を合成し、結果としてその脱リン酸化物であるゲラニルゲラニオール、特に(all-E)ゲラニルゲラニオールを生産することできる。ここで、(all-E)ゲラニルゲラニオールとは、全トランス型であるゲラニルゲラニオールを意味する。上記で説明したように(all-E)ゲラニルゲラニオールは、生物の代謝経路で合成される幾何異性を有し、産業上の利用価値が高い。
S. cerevisiaeに代表されるメバロン酸経路を有する細胞の場合、ゲラニルゲラニオールを始めとするプレニルアルコールを合成する代謝経路上流部分では、図1に示すように、グルコースやエタノール等の炭素源から合成された及び脂質分解によって生成されたアセチル-CoAからメバロン酸を経てイソペンテニル二リン酸が合成される。そして、さらにイソペンテニル二リン酸は、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼにより可逆的にジメチルアリル二リン酸に異性化される。また、図1に示すように、ゲラニル二リン酸、ファルネシル二リン酸及びゲラニルゲラニル二リン酸は、イソペンテニル二リン酸及びジメチルアリル二リン酸を基質として順次合成される。さらに、図1に示すように、プレニルアルコールであるファルネソール、ネロリドール及びゲラニルゲラニオールは、ファルネシル二リン酸及びゲラニルゲラニル二リン酸から合成される。一方、ファルネシル二リン酸からは、図1に示すように、スクアレン合成酵素によりスクアレンが合成される。スクアレンは、ステロールの前駆体物質となり、最終的にエルゴステロールとなる。
上記代謝経路において、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性のある本発明に係るポリペプチドの作用によってイソペンテニル二リン酸とファルネシル二リン酸との縮合反応が起き、ゲラニルゲラニル二リン酸が合成され、その脱リン酸化物のゲラニルゲラニオールが生産されることとなる。
なお、図1並びに以下の説明において、各化合物を以下のように略記する場合もある。
イソペンテニル二リン酸(isopentenyl diphosphate;IPP)
ジメチルアリル二リン酸(dimethylallyl diphosphate;DMAPP)
ゲラニル二リン酸(geranyl diphosphate;GPP)
ファルネシル二リン酸(farnesyl diphosphate;FPP)
ファルネソール(farnesol;FOH)
ネロリドール(nerolidol;NOH)
ゲラニルゲラニル二リン酸(geranylgeranyl diphosphate;GGPP)
ゲラニルゲラニオール(geranylgeraniol;GGOH)
本発明に係る細胞を培養する培地としては、上述した細胞の種類に応じて適宜選択すればよい。真菌及び原核生物を含む微生物を宿主細胞として得られた本発明に係る細胞を培養する培地は、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、微生物の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコース、ガラクトース、フラクトース、スクロース、ラフィノース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物が挙げられ、その他ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー、各種アミノ酸等が挙げられる。無機塩類としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。
また、培地にテルペノイド、油脂、界面活性剤等を添加したり、培地中の上記に示す窒素源や炭素源の濃度を高くすることで、ゲラニルゲラニオールの生産効率をさらに高めることもできる。これらの添加剤としては以下のものを例示できる。
テルペノイド:スクアレン、トコフェロール、IPP、DMAPP
油脂:大豆油、魚油、アーモンド油、オリーブ油
界面活性剤:タージトール、トリトンX-305、スパン85、アデカノールLG-109(旭電化製)、アデカノールLG-294(旭電化製)、アデカノールLG-295S (旭電化製)、アデカノールLG-297 (旭電化製)、アデカノールB-3009A (旭電化製)、アデカプロニックL-61 (旭電化製)
テルペノイド濃度は0.01%(w/v)以上、好ましくは1〜3%(w/v)であり、油脂濃度は0.01%(w/v)以上、好ましくは1〜3%(w/v)であり、界面活性剤濃度は0.005〜1%(w/v)、好ましくは0.05〜0.5%(w/v)である。
培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、26℃〜36℃で行う。S. cerevisiaeを宿主細胞とした場合には30℃で2〜7日、E. coliを宿主細胞とした場合には37℃で12〜18時間行うことが好ましい。pHの調整は、無機又は有機酸、アルカリ溶液等を用いて行う。さらに培養は、必要に応じてアンピシリン、クロラムフェニコール又はオーレオバシジンA等の抗生物質を培地に添加して行ってもよい。
本方法においては、本発明に係るDNAコンストラクトを導入した細胞を培養し、得られる培養物からゲラニルゲラニオールを採取することができる。「培養物」とは、培養上清のほか、培養細胞若しくは培養菌体自体又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。
本方法においては、ゲラニルゲラニオールを生産することができる。なお、本発明に係る細胞を大量培養するには、ジャーファーメンター培養装置等を用いることもできる。培養後、ゲラニルゲラニオールが細胞内に生産される場合には、ホモジナイザー処理などを施して細胞を破砕することによりゲラニルゲラニオールを採取する。また、ゲラニルゲラニオールが細胞内に留まるか細胞外に分泌されるかに関わらず、細胞を破砕せずに有機溶媒等で直接抽出してもよい。この場合、有機溶媒としてペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、イソプロパノール、ブタノール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコールなどの脂肪族アルコール、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香属炭化水素、クロロフォルム、四塩化炭素、トリクロロエチレンなどの塩素有機化合物、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテルなどのエーテル化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ペンチル、酢酸アミル、カプロン酸メチル、などのエステル化合物、ジエチルケトンなどのケトン化合物、カプリル酸、カプロン酸、などのカルボン酸、石油エーテル、石油ベンジンなどの上記溶媒の混合物、パーム油、大豆油、ナタネ油などのアシルグリセロール混合物などを用いることができるが、特に脂肪族炭化水素、特にペンタンが好ましい。ゲラニルゲラニオールが細胞外に分泌生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により細胞を除去する。その後、上記有機溶媒による抽出等により前記培養物中からゲラニルゲラニオールを採取し、必要に応じてさらに各種クロマトグラフィー等を用いて単離精製することができる。
一般に、アミノ酸を始めとする生育上極めて重要な一次代謝産物では、当該産物の合成反応に直接関与する遺伝子を強化又は抑制することによって、当該産物の生産性を向上させる試みが行われ成果を出している。しかしながら、ゲラニルゲラニオール等の二次代謝産物においては、その合成経路の強化又は抑制を行っても、原料物質が一次代謝産物等の合成に消費されることが多く、生産性を向上させることが困難である。すなわち、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を増強させたとしても、ゲラニルゲラニオールの生合成が強化される蓋然性は低いといえる。さらに、ゲラニルゲラニオール合成経路と競合するファルネシル二リン酸からステロールへの合成経路を遮断しようとしてファルネシル二リン酸合成酵素遺伝子を完全に一般的によく知られる野生型ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素に置換できたとしても、生育に必須なステロール合成能が無くなり致死性になる可能性が極めて高いといえる。
しかしながら、本発明においては、本発明に係るDNAを細胞に導入することで、一般的な栄養源を用いるだけでもゲラニルゲラニオールを生産させることができることを実証した。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕 発現ベクターの作製
(1-1)E. coli-S. cerevisiaeシャトルベクター
Stratagene社よりプラスミドpRS405を購入した。Invitrogen社 (Carlsbad, CA) からpYES2を購入した。
(1-2) ゲノムDNA
S. cerevisiaeゲノムDNAは、タカラバイオから酵母ゲノムDNA調製用キット「Genとるくん」を購入し、添付のプロトコルに従ってS. cerevisiae YPH499 からゲノムDNAを調製した。
(1-3) pRSベクターへCYC1t断片の挿入
CYC1転写ターミネーターCYC1t断片をPCRで調製した。以下のPCR用オリゴDNA:XhoI-Tcyc1FW とApaI-Tcyc1RVとの組合せをPCR用プライマーDNAとして、鋳型としてpYES2を用いてPCRを行った。
XhoI-Tcyc1FW:5'- TGC ATC TCG AGG GCC GCA TCA TGT AAT TAG -3'(配列番号5)
ApaI-Tcyc1RV:5'- CAT TAG GGC CCG GCC GCA AAT TAA AGC CTT CG -3'(配列番号6)
反応は、0.1μg pYES2, 50 pmol プライマー DNA, MgSO4 含有1x Pfu バッファー(Promega, Madison, WI), 10 nmol dNTP, 1.5 u Pfu DNA ポリメラーゼ (Promega)及び 1μl perfect match ポリメラーゼエンハンサー (Stratagene)を含む50μlの反応液を調製し、95℃ 2分、(95℃ 45秒、60℃ 30秒、72℃ 1分)×30サイクル、72℃ 5分、4℃ストックの反応条件で行った。増幅したDNAをXhoIとApaIで切断し、アガロースゲル電気泳動で260 bpのDNA断片を精製しCYC1t-XAとした。
pRS405ベクターのXhoI-ApaI部位にCYC1t-XAを挿入し、pRS405Tcycとした。
(1-4) 転写プロモーターの調製
S. cerevisiaeゲノムDNAを鋳型にしてPCRにより転写プロモーターを含むDNA断片を調製した。使用したDNAプライマーは以下の通りである。
SacI-Ptdh3FW:5'-CAC GGA GCT CCA GTT CGA GTT TAT CAT TAT CAA-3'(配列番号7)
SacII-Ptdh3RV:5'-CTC TCC GCG GTT TGT TTG TTT ATG TGT GTT TAT TC -3'(配列番号8)
TDH3(GAP)転写プロモーターTDH3p(GAPp)増幅用に上記SacI-Ptdh3FW及びSacII-Ptdh3RVをPCR用DNAプライマーに用い、鋳型には酵母ゲノムDNAを用いた。反応溶液は、0.46 μg 酵母ゲノムDNA, 100 pmol プライマー DNA, 1x ExTaq バッファー(タカラバイオ), 20 nmol dNTP, 0.5 u ExTaq DNAポリメラーゼ(タカラバイオ)及び1 μl perfect match ポリメラーゼエンハンサーを含む100 μl溶液を調製し、95℃ 2分、(95℃ 45秒、60℃ 1分、72℃ 2分)×30サイクル、72℃ 4分、4℃ストックの反応条件で行った。増幅したDNAをSacIとSacIIで切断し、アガロースゲル電気泳動で620 bpのDNA断片を精製し、TDH3pとした。
(1-5) 2μ DNA複製開始領域の調製
YEpベクターであるpYES2をSspIとNheIで切断後、2μ DNA複製開始点(2 μ ori)を含む1.5 kbp断片をアガロースゲル電気泳動により精製し、Klenow酵素で平滑末端化し、このDNA断片を2μOriSNとした。
(1-6)YEp型発現ベクターの作製
pRS405TcycをBAP(bacterial alkaline phosphatase, タカラバイオ)処理したNaeI部位に2μOriSNを挿入し、E. coli SURE2に形質転換した後プラスミドDNAを調製した。これを、DraIII及びEcoRI、HpaI、又は、PstI及びPvuIIにより切断後、アガロースゲル電気泳動し、2μ oriの挿入とその向きをチェックした。作製したpRS405TcycにpYES2と同じ向きで2 μ oriが挿入されたプラスミドをpRS435Tcyc2μOriとした。
pRS435Tcyc2μOriのSacI-SacII部位に、転写プロモーターを含む断片TDH3p(GAPp)を挿入しDNAをクローン化した。その結果、pRS435Tcyc2μOriからpRS435GAPが得られた。
(1-7)多コピーインテグレーション用ベクターの作製
(1-7-1) rDNAをターゲットとした多コピーYIpプラスミドを以下pRS(Ribosomal DNA Sequence)と呼ぶ。また、δ配列をターゲットとした多コピーYIpプラスミドをpDI(Delta Integration)と呼ぶ。pRS及びpDIの後に続く3桁の数字の意味は下記の通りである。
5XX:rDNA をターゲット
6XX:TyレトロトランスポゾンLTR(δ配列)をターゲット
X0X:γインテグレーション、E. coli由来の配列(Ampr, Col E1)がインテグレーションされる
X1X:γインテグレーション、E. coli由来の配列(Ampr, Col E1)はインテグレーションされない
X2X:Ωインテグレーション、E. coli由来の配列(Ampr, Col E1)はインテグレーションされない
XX4:TRPマーカー:HMG1
XX5:LEUマーカー:BTS1及びその融合遺伝子・変異遺伝子
XX6:URAマーカー:DPP1及びその融合遺伝子・変異遺伝子
XX8:G418マーカー:その他の遺伝子。
γインテグレーションとΩインテグレーションの概要については図2に示した。γインテグレーション(図2A及びB)では、発現カセットの両側にターゲット遺伝子が残るので、ターゲット遺伝子同士の組換えによって導入した遺伝子が抜け落ちる可能性がある。また、同一サイトに複数コピーがタンデムにインテグレーションされることがある。これらの理由で、γインテグレーションでは一世代当たり1%程度の挿入DNAの脱落が起こることがある。一方、Ωインテグレーション(図2C)ではこのような脱落は起こりにくいと考えられる。
バクテリア由来の配列がインテグレーションされると、インテグレーションされた遺伝子が不安定になるとの報告(Lee FW, Da Silva NA. (1997) Appl. Microbiol. Biotechnol.,48,339-345; Awane K, Naito A, Araki H, Oshima Y. (1992) Gene, 2, 121)があるので、E. coli由来の配列がインテグレーションされないプラスミドも作製することにした(図2B及びC)。
例えばpRS504はrDNAサイトをターゲットとし、γインテグレーションで、E. coli由来の配列がインテグレーションされており、TRP1マーカーを使用している、ということを意味している。また、上記で示したように、導入する遺伝子毎に各マーカーを割り振ることとした。
多コピーインテグレーション用ベクター作製に用いたPCR反応は以下の条件で行った。
KOD plus DNA polymerase(TOYOBO)0.02 U/μlと付属の溶液(1x KOD plus buffer、0.2 mM dNTP mix、及び1 mM MgSO4)、プライマー対(それぞれ3 pmol/μl)及び鋳型DNA(プラスミドの場合は1 ng/μl、ゲノムDNAの場合は4 ng/μl)を混合し、20μlのPCR反応液を調製した。PCRは、94 ℃, 2min - (94 ℃, 15 sec - Tm ℃, 30 sec - 68 ℃, X min) x 25サイクル - 4 ℃ストックの条件で行った。アニーリング温度Tm(℃)はプライマーのTmとし、68 ℃での伸長時間X(min)は、増幅するDNA 1kbあたり1minとした。
下記に多コピーインテグレーション用ベクター作製に用いた遺伝子操作手法を示す。
PCR増幅産物のクローニングには、Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kit(Invitrogen)を用いてpCR -Blunt II TOPOベクターにPCR増幅産物を導入した。PCRプライマーのリン酸化には、T4 polynucleotid Kinase(TOYOBO)を用いた。E. coliへのプラスミドDNAの導入はZ-Competent E. coli Transformation Kit(ZYMO RESEARCH)を用いた。E. coliからのプラスミドの抽出にはQIA Prep Spin Miniprepkit(50) (QIAGEN)を用いた。ベクターからのインサートの切り出しは、制限酵素切断後、1%アガロースゲルで電気泳動し、RECOCHIP(タカラバイオ)又はZymoclean Gel DNA Recovery Kit(ZYMO RESEARCH)を用いてゲルから回収することにより行った。制限酵素断片の平滑化にはT4 DNA polymerase(タカラバイオ)又はKOD plus DNA polymeraseを用いた。制限酵素断片の脱リン酸化にはTsAP(Thermosensitive Alkaline Phosphatase; GIBCO BRL)を用いた。ライゲーション反応にはLigaFast Rapid DNA Ligation System(Promega)を用いた。また、酵母のゲノムDNAの抽出にはGenとるくん(タカラバイオ)を用いた。
(1-7-2) pRS504の作製
TRP1マーカーをもつプラスミドpRS434GAP(特開2002-199883号公報)をもとにしてpRS504を作製した。ターゲットとしたrDNA配列は、Nietoらの文献(Nieto A, Prieto JA, Sanz P. (1999) Biotechnol. Prog., 15, 459-66)を参考にした。使用したPCRプライマーを下記に示す:
AatTRP1-50F: 5'- TTTCCGACGTCCACGTGAGTATACGTGATTAAG -3'(配列番号9)
(下線はAatII認識部位を示す)
TRP1d-R: 5'- AGGCAAGTGCACAAACAATACTT -3'(配列番号10)
R4: 5'- ATGAGAGTAGCAAACGTAAGTCTAA -3'(配列番号11)
K-R7: 5'- TGACTGGTACCTTTCCTCTAATCAGGTTCCACC -3'(配列番号12)
(下線はKpnI認識部位を示す)
AatTRP1-50FとTRP1d-RをPCRプライマーとし、pRS434GAPを鋳型DNAとしてTRP1d(0.8 kb)を増幅した。また、R4とK-R7をPCRプライマーとし、YPH499ゲノムDNAを鋳型としてrDNAの一部(1.3 kb:以下R47と呼ぶ)を増幅した。なお、次のライゲーション反応に用いるために、プライマーTRP1d-RとR4は、あらかじめリン酸化したものを用いた。TRP1d断片とR47断片をアガロースゲル電気泳動で精製したものを混合し、ライゲーションを行った。このライゲーション反応液を鋳型とし、AatTRP1-50FとK-R7をPCRプライマーとしてPCRを行い、TRP1dとR47が連結された遺伝子(2.0 kb;以下TR47と呼ぶ)を増幅した。TR47をアガロースゲル電気泳動で精製したのち、pCR-Blunt II TOPOベクターにサブクローニングした(以下TOPO-TR47と呼ぶ)。TOPO-TR47のシークエンシングを行い、サブクローニングしたTR47断片にPCRによる変異が入っていないことを確認した。次に、制限酵素AatIIとKpnIを用いてTOPO-TR47とpRS434GAPを消化し、それぞれTR47断片とTDH3p(GAPp)を含む3.2 kb断片を切り出した。この二つの断片をライゲーションして得られたプラスミドをpRS504とした(図3)。
(1-7-3) pRS514の作製
TRP1マーカーをもつプラスミドpRS434GAP(特開2002-199883号公報)をもとにしてpRS514を作製した。ターゲットとしたrDNA配列はpRS504と同じである。使用したPCRプライマーを以下に示す:
KpnTRP1-50dR:5'- TGACTGGTACCAGGCAAGTGCACAAACAATACTT -3'(配列番号13)
(下線はKpnI認識部位を示す)
S-R4: 5'- TATTGAGCTCATGAGAGTAGCAAACGTAAGTCTAA -3'(配列番号14)
(下線はSacI認識部位を示す)
BB-R5: 5'- CAGGTGCGCGC GGTAACCCAGTTCCTCACTA -3'(配列番号15)
(下線はBssHII及びBstPI認識部位を示す)
AB-R6:5'- GTGAGGACGTC GGTTACCCGGGGCACCTGTCAC -3'(配列番号16)
(下線はAatII及びBstPI認識部位を示す)
A-R7:5'- CACTCGACGTCTTTCCTCTAATCAGGTTCCACC -3'(配列番号17)
(下線はAatII認識部位を示す)
AatTRP1-50FとKpnTRP1-50dRをPCRプライマーとし、pRS434GAPを鋳型DNAとしてTRP1dマーカーDNA(0.8 kb;以下AK-TRP1dと呼ぶ)を増幅した。S-R4とBB-R5をPCRプライマーとし、YPH499ゲノムDNAを鋳型としてrDNAの一部(0.6 kb:以下SBB-R45と呼ぶ)を増幅した。AB-R6とA-R7をPCRプライマーとし、YPH499ゲノムDNAを鋳型としてrDNAの一部(0.7 kb:以下ABA-R67と呼ぶ)を増幅した。次いで、増幅されたAK-TRP1d、SBB-R45及びABA-R67断片を、pCR-Blunt II TOPOベクターにサブクローニングし(それぞれTOPO-AKTRP1d、TOPO-SBBR45、TOPO-ABAR67と呼ぶ)、シークエンスを行ってPCRエラーがないことを確認した。次に、制限酵素AatIIとKpnIを用いてTOPO-AKTRP1dとpRS434GAPを消化し、それぞれAK-TRP1d断片とTDH3p含む3.2 kb断片を切り出した。これら二つの断片をライゲーションして得られたプラスミドをpTRPと呼ぶ。制限酵素SacIとBssHIIを用いてTOPO-SBBR45を消化し、SBB-R45断片を切り出した。SBB-R45断片をpTRPのSacI-BssHIIサイトにライゲーションして得られたプラスミドをpTRP-R45と呼ぶ。制限酵素AatIIを用いてTOPO-ABAR67を消化し、ABA-R67断片を切り出した。ABA-R67断片をpTRP-R45のAatIIサイトにライゲーションし、図3に示される方向にABA-R67断片が挿入されたプラスミドを選抜してpRS514とした。
(1-7-4) pRS524の作製
TRP1マーカーをもつプラスミドpRS434GAPをもとにしてpRS514を作製した。ターゲットとしたrDNA配列はpRS504と同じである。使用したPCRプライマーを以下に示す:
AF-R4: 5'- GCCGCGACGTC GGCCGGCCATGAGAGTAGCAAACGTAAGTCTAA -3'(配列番号18)
(下線はAatII及びFseI認識部位を示す)
A-R5:: 5'- ACAGGGACGTCGGGTAACCCAGTTCCTCACT -3' (配列番号19)
(下線はAatII認識部位を示す)
S-R6:: 5'- CTGGGGAGCTCGGGGCACCTGTCACTTTG -3' (配列番号20)
(下線はSacI認識部位を示す)
BF-R7:: 5'- CCAAA GCGCGC GGCCGGCC TTTCACGGAATGGTACGTTTGAT -3' (配列番号21)
(下線はBssHI及びFseI認識部位を示す)
AF-R4とA-R5をPCRプライマーとし、YPH499ゲノムDNAを鋳型としてrDNAの一部(0.6 kb:以下AFA-R45と呼ぶ)を増幅した。S-R6とBF-R7をPCRプライマーとし、YPH499ゲノムDNAを鋳型としてrDNAの一部(0.7 kb:以下SBF-R67と呼ぶ)を増幅した。次いで、増幅されたAFA-R45及びSBF-R67断片を、pCR-Blunt II TOPOベクターにサブクローニングし(それぞれTOPO-AFAR45、TOPO-SBFR67と呼ぶ)、シークエンスを行ってPCRエラーがないことを確認した。制限酵素SacIとBssHIIを用いてTOPO-SBFR67を消化し、SBF-R67断片を切り出した。SBF-R67断片をpTRPのSacI-BssHIIサイトにライゲーションして得られたプラスミドをpTRP-R67と呼ぶ。制限酵素AatIIを用いてTOPO-AFAR45を消化し、AFA-R45断片を切り出した。AFA-R45断片をpTRP-R67のAatIIサイトにライゲーションし、図3に示される方向にAFA-R45断片が挿入されたプラスミドを選抜してpRS524とした。
(1-7-5) pRS515の作製
pRS514のマーカー遺伝子TRP1dをLEU2dに入れ替えることでpRS515を作製した。LEU2dはErhartらの報告(Erhart E, Hollenberg CP. (1983) J. Bacteriol., 156, 625-635)を参考にして、LEU2のプロモーターの長さが29 bpとなるように設計した。使用したPCRプライマーを以下に示す。
Pma-LEU2d-F: 5'- CACGTG TCGACTACGTCGTAAGGCCGTTT -3'(配列番号22)
(下線はPmaCI認識部位を示す)
Kpn-LEU2d-R: 5'- GGTACC AAGGATATACCATTCTAATGTCTGCCCC -3'(配列番号23)
(下線はKpnI認識部位を示す)
Pma-LEU2d-FとKpn-LEU2d-RをPCRプライマーとし、pRS435GAPを鋳型DNAとしてLEU2dマーカーDNA(1.6 kb;以下PK-LEU2dと呼ぶ)を増幅した。増幅されたPK-LEU2d断片を、pCR-Blunt II TOPOベクターにサブクローニングし(以下TOPO-PKLEU2dと呼ぶ)、シークエンスを行ってPCRエラーがないことを確認した。制限酵素PmaCIとKpnIを用いてTOPO-PKLEU2dを消化し、PK-LEU2d断片を切り出す計画であったが、KpnIでLEU2d内部が切断されることが判明したため、KpnIのかわりにpCR-Blunt II TOPOの制限酵素サイトXhoIを用いることにした。制限酵素PmaCIとXhoIを用いてTOPO-PKLEU2dを消化し、アガロースゲル電気泳動でPK-LEU2d断片を切り出した。この断片のKpnIサイトをT4 DNA polymeraseを用いて平滑化した。次に、制限酵素PmaCIとKpnIを用いてpRS514を消化してマーカー遺伝子TRP1dを取り除いた断片をアガロースゲル電気泳動で精製し、KOD plus DNA polymeraseを用いてKpnIサイトを平滑化した。この断片に、PK-LEU2d(Kpn Iサイトを平滑化したもの)をライゲーションし、図4に示した方向にLEU2d断片が挿入されたプラスミドを選抜してpRS515とした。pRS515のKpnIサイト周辺のシークエンスを行ったところ、下記のように42 baseのpCR-Blunt II TOPOベクター由来配列(下線部分)が挿入されていた。
5'- 1601-GGTACCAAGGGCGAATTCTGCAGATATCCATCACACTGGCGGCCGCTC-1648 -3'(配列番号24)
(1-7-6) pRS525の作製
pRS524のマーカー遺伝子TRP1dをLEU2dに入れ替えることでpRS525を作製した。LEU2d断片は上記「pRS515の作製」と同様に、制限酵素PmaCIとXhoIを用いてTOPO-PKLEU2dを消化したのちKpnIサイトをT4 DNA polymeraseを用いて平滑化したものを用いた。次に、制限酵素PmaCIとKpnIを用いてpRS524を消化してマーカー遺伝子TRP1dを取り除いた断片をアガロースゲル電気泳動で精製し、KOD plus DNA polymeraseを用いてKpnIサイトを平滑化した。この断片に、PK-LEU2d(KpnIサイトを平滑化したもの)をライゲーションし、図4に示した方向にLEU2d断片が挿入されたプラスミドを選抜してpRS525とした。pRS525のKpnIサイト周辺のシークエンスを行ったところ、下記のように42 baseのpCR-Blunt II TOPOベクター由来配列(下線部分)が挿入されていた。
5'- 1601- GGTACCAAGGGCGAATTCTGCAGATATCCATCACACTGGCGGCCGCTC -1648 -3'(配列番号24)
(1-7-7) pDI626の作製
URA3マーカーをもつプラスミドpRS436GAP(特開2002-199883号公報)をもとにしてpDI626を作製した。ターゲットとしたδ配列は、YOLWTy1-1(chromosome XV, from coordinates 117,702 to 123,627)のLTR配列部分(338 base;117,702 to 118,039)である。また、後述するように、マーカーはpRS436GAPのAatII-Sse8387 Iサイトを削除することにより、プロモーターが23 baseの長さに削られたURA3dである。使用したPCRプライマーを下記に示す:
T7-F: 5'- GCGTAATACGACTCACTATAGGG -3'(配列番号25)
2μm-R:5'- CCTGATGCGGTATTTTCTCCTTAC -3' (配列番号26)
Aat-TY1F:5'- GACGTCTGTTGGAATAAAAATCCACTATCG -3'(配列番号27)
(下線はAatII認識部位を示す)
Sse-TY2R:5'- CCTGCAGGATTCCGTTTTATATGTTTATATTCATTG -3' (配列番号28)
(下線はSse8387I認識部位を示す)
SacI-TY3F:5'- GAGCTCGAGGAATAATCGTAATATTAGTATGTA -3' (配列番号29)
(下線はSacI認識部位を示す)
Bss-TY4R:5'- GCGCGCTGAGAAATTTGTGGGTAATTAGATAAT -3' (配列番号30)
(下線はBssHII認識部位を示す)
T4 polynucleotid Kinaseを用いてリン酸化したT7-Fと2μm-RをPCRプライマーとし、pRS436GAPを鋳型DNAとしてinverse PCRを行い、4.7 kbのDNA断片を増幅した。得られた断片をセルフライゲーションした後、メチル化されている鋳型DNA(pRS436GAP)を制限酵素DpnIで分解除去した。このようにして、pRS436GAPから2μm oriを取り除いたプラスミド(以下pRS436-2μmと呼ぶ)を作製した。
一方、Aat-TY1FとSse-TY2RをPCRプライマーとし、YPH499ゲノムDNAを鋳型としてδ配列の一部(180 b;以下T12と呼ぶ)を増幅した。SacI-TY3FとBss-TY4RをPCRプライマーとし、YPH499ゲノムDNAを鋳型としてδ配列の一部(158 b;以下T34と呼ぶ)を増幅した。次いで、増幅されたT12及びT34断片を、それぞれpCR-Blunt II TOPOベクターにサブクローニングし(それぞれTOPO-T12、TOPO-T34と呼ぶ)、シークエンスを行ってPCRエラーがないことを確認した。制限酵素AatIIとSse8387Iを用いてTOPO-T12を消化し、T12断片を切り出した。T12断片をpRS436-2μmのAatII-Sse8387Iサイトにライゲーションして得られたプラスミドを以下pDIT12と呼ぶ。次に、制限酵素SacIとBssHIIを用いてTOPO-T34を消化し、T34断片を切り出した。T34断片をpDIT12のSacI-BssHIIサイトにライゲーションして得られたプラスミドをpDI626とした(図5)。
(1-7-8) pDI628の作製
pDI626のURA3dマーカーを、G418耐性マーカー(Tn903由来の遺伝子APT1、1696 bp)と入れ替えることによりpDI628を作製した。pDI626を制限酵素Sse8387IとKpnIで消化し、URA3dを含まない断片(3.6 kb)をアガロースゲル電気泳動で精製した。この断片の両末端をT4 DNA polymerase用いて平滑化し、TsAPをもちいて脱リン酸化したのち、G418耐性マーカーDNAをライゲーションして得られたプラスミドをpDI628とした(図5)。
〔実施例2〕 HMG-CoA還元酵素遺伝子のクローニング
(2-1) HMG-CoA還元酵素遺伝子のクローニング
S. cerevisiae HMG-CoA還元酵素遺伝子HMG1のクローニングを、以下のように行った。
GenBankに登録されているS. cerevisiae由来HMG-CoA還元酵素遺伝子HMG1(A.N.M22002)(M. E. Basson, et al., Mol. Cell. Biol. 8, 3797-3808 (1988))の情報をもとに以下のN末端、C末端にマッチするプライマーを作製した:
N末端側プライマー: 5'- atg ccg ccg cta ttc aag gga ct -3' (配列番号31)
C末端側プライマー: 5'- tta gga ttt aat gca ggt gac gg -3' (配列番号32)
これらのプライマーを用いて酵母のcDNAライブラリー(Clontech)を鋳型としたPCRを行った。
PCRは、Perfect Match ポリメラーゼエンハンサーを使用し、94℃ 45秒の変性、55℃ 1分のアニーリング及び72℃ 2分の伸長を1サイクルとしてこれを30サイクル行った。
PCR終了後、目的の断片(3.2kbp)が確認されたので、HMG1をTAクローニング可能なpT7Blue Tベクターにクローニングし(これをpT7-HMG1とした)、HMG1の塩基配列を決定した。その結果、配列番号33の塩基配列及び配列番号34のアミノ酸配列を確認した。決定された塩基配列は、GenBankに登録される配列に示される塩基配列と一部異なっており、PCRエラー(C203T、T426C、T1026C、A1167G、T1248C、G1557A、A1605G、T1820C、A2451G、A2726G、T2787C、G2940A)を起こしていた。ここで塩基置換変異表記法は、置換前の塩基の1文字表記、置換される塩基の位置(開始コドンATGのAを1番とした時の番号)、置換後の塩基の1文字表記の順で表す。例えば、C203Tは開始コドンから第203番目の塩基CをTに置換した変異を表す。このPCRエラーを含んだ変異型HMG-CoA還元酵素遺伝子をHMG1'とする。
(2-2) HMG-CoA還元酵素遺伝子のPCRエラーの修正
(2-1)で示したPCRエラー12箇所のうち、DNAがコードするアミノ酸が変ってしまう変異が3箇所存在し(C203T、T1820C、A2451G)、その他はナンセンス変異であった。そこで、pT7HMG1からHMG1’遺伝子断片をサブクローニングし、HMG1部分のPCRエラーによるC203T、T1820C、A2451G変異部分を修正した。
HMG-CoA還元酵素遺伝子HMG1のPCRエラー型DNAであるHMG1'を有するpT7HMG1からHMG1'遺伝子断片をサブクローニングし、HMG1部分のPCRエラーによるアミノ酸置換変異部分を、部位特異的変異誘発法により修正し、pALHMG106を作製した。作製方法の詳細は以下の通りであった。
プラスミドpT7HMG1をクローン化HMG1’として用いた。また、部位特異的変異導入用ベクターとしてpALTER-1を購入した(Promega)。
部位特異的変異(site-directed mutagenesis)は、Promega発行の「Protocols and application guide, third edition, 1996 Promega, ISBN 1-882274-57-1」に記載の方法で行った。変異導入用オリゴは、次の3種類を化学合成した:
HMG1(190-216): 5'- CCAAATAAAGACTCCAACACTCTATTT -3'(配列番号35)
HMG1(1807-1833): 5'- GAATTAGAAGCATTATTAAGTAGTGGA -3'(配列番号36)
HMG1(2713-2739): 5'- GGATTTAACGCACATGCAGCTAATTTA -3'(配列番号37)
部位特異的変異導入は、pT7HMG1をSmaI、ApaLI、SalIで切断し、3.2kbpのHMG1’断片をアガロースゲル電気泳動で調製した。これをpALTER-1のSmaI-SalI部位に挿入し、pALHMG1を作製した。pALHMG1をアルカリ変性後、上記変異導入オリゴ、リペアオリゴとしてAmp repair oligo(Promega)、ノックアウトオリゴとしてTet knockout oligo(Promega)をアニーリングさせ、E. coli ES1301(Promega)に導入後、125μg/mlアンピシリンで部位特異的変異が導入されたプラスミドを保持する形質転換体を集積培養し、プラスミドDNAを調製した。次いで、以下の配列を有するプライマーを用いて塩基配列をチェックした:
HMG1(558-532): 5'- GTCTGCTTGGGTTACATTTTCTGAAAA -3'(配列番号38)
HMG1(1573-1599): 5'- CATACCAGTTATACTGCAGACCAATTG -3'(配列番号39)
HMG1(2458-2484): 5'- GAATACTCATTAAAGCAAATGGTAGAA -3'(配列番号40)
塩基配列をチェックした結果、HMG1(190-216)、 HMG1(1807-1833)、 HMG1(2713-2739)に相当する配列は全てこれらオリゴヌクレオチドの配列に修正されていた。このようにHMG1内の配列が修正されたプラスミドをpALHMG106とした。
〔実施例3〕 ファルネシル二リン酸合成酵素遺伝子のクローニング
PCRでSacFPS遺伝子ERG20約0.9 kbp断片(配列番号3)を、酵母のcDNAライブラリー(Clontech)を鋳型にして増幅した。PCRプライマー及び反応液組成は以下の通りであった:
プライマー1 (SCFPS1): 5'- ATG GCT TCA GAA AAA GAA ATT AG -3'(配列番号41)
プライマー2 (SCFPS 2): 5'- CTA TTT GCT TCT CTT GTA AAC TT -3'(配列番号42)
Figure 2005137287
上記反応溶液を用い、94℃ 45秒、55℃ 1分、72℃ 2分を30サイクルのPCRを行った。
得られたPCR断片をアガロースゲル電気泳動で精製後、pT7Blue-T (Novagen, Madison, WI)へT/Aライゲーションによりクローニングした。ERG20はpT7Blue-T内のlacZと同じ方向に挿入されていた(図6)。クローニングした断片の塩基配列決定を行いSGD (Saccharomyces Genome Database, http://genome-www.stanford.edu/Saccharomyces/)に示される配列と比較したところ、1-300塩基と610-1059塩基の部分でのPCRエラーは無かった。
作製したプラスミドDNAをpT7ERG20とした。
〔実施例4〕 ファルネシル二リン酸合成酵素遺伝子への変異導入
(4-1) ERG20のサブクローニング
国際公開第02/053746号パンフレットの記載と同様にしてクローニングしたERG20をpRS435GAPにサブクローニングしたpRS435GAP-ERG20を作製した。pRS435GAP-ERG20から、転写プロモーターTDH3p(GAPp)及びERG20を含むSacI-ApaI断片約2.0kbpを切り出し、pRS405のSacI-ApaI 部位に挿入した。これをpRS405-ERG20とした。
次にS. cerevisiaeゲノムDNAを鋳型にし、下記DNAプライマーを用いてpyrobest DNA polymerase(タカラバイオ)を用いたPCRでSET2及びQCR8部分断片それぞれ526bp、509bpを調製した(図6参照)。
SET2-F(SacI): 5'- TAT CGA GCT CTA TTA GTT TCG ACA TGC G -3'(配列番号43)
SET2-R(BglII): 5'- TCA TAG ATC TAC GCA CTC ACA CTT TGG T -3' (配列番号44)
QCR8-F(BamHI): 5'- GAT TGG ATC CTA GAT AAG GAC CAT GTA T -3' (配列番号45)
QCR8-R(PstI): 5'- ATA TCT GCA GTG AGA CTT AAA TCT TCT AA -3' (配列番号46)
次に、図6に示すインテグレーション用DNA断片を得るために、クローニングベクターpSP72(Promega)へSET2、ERG20-LUE2、QCR8断片を順に挿入していった。PCRで得られたSET2断片526bpをSacIとBglIIで切断し、pSP72のSacI-BglII部位に挿入し、プラスミドpSP72-SET2を得た。次に、QCR8断片509bpをPstIとBamHIでで切断しpSP72-SET2のPstI-BamHI部位に挿入し、プラスミドpSP72-S2Q8を得た。さらにpRS405GAP-ERG20をAatIIで切断後平滑末端処理した後SacIで切断し、ERG20-LEU2断片を含む約5.3kbpをpSP72-S2Q8のSacI-SmaI部位に挿入し、プラスミドpSP72-SQERG20を得た。
(4-2) 変異型ERG20の作製
SacFPSのアスパラギン酸リッチドメインIを含む近傍のアミノ酸配列(第94番目のアミノ酸AlaからC末端側へ1文字表記で記した)、すなわち配列番号1に記載のアミノ酸配列を基にして表2のような変異型SacFPSをコードする変異型ERG20の作製を計画した。
Figure 2005137287
以下、アミノ酸配列の変異の記述は次のように行う;ERG20m1:F96S、ERG20m2:Y95F-F96S、ERG20m3:Y95S-F96S、ERG20m4:Y95A-F96S-102PC103、ERG20m5:Y95S。
PCRによる変異導入用に以下のDNAプライマーを作製した。5'側の「p-」は5'リン酸化プライマーであることを示す。
ERG20(289-308): 5'- p-TTG GTC GCC GAT GAT ATG AT -3'(配列番号52)
ERG20(F96S):5'- p-AGA GTA AGC CTG CAA CAA CTC A -3'(配列番号53)
ERG20(Y95FF96S): 5'- p-AGA GAA AGC CTG CAA CAA CTC AAT G -3'(配列番号54)
ERG20(Y95SF96S): 5'- p-AGA GGA AGC CTG CAA CAA CTC AAT G -3' (配列番号55)
ERG20(Y95AF96S): 5'- p-GGC GAC CAA AGA GGC AGC CTG CAA CAA CTC AAT GC -3' (配列番号56)
ERG20(102PC103): 5'- p-GAT GAT ATG CCA TGT ATG GAC AAG TCC ATT ACC AG -3' (配列番号57)
ERG20(Y95S): 5'- p-GAA AGA AGC CTG CAA CAA CTC AAT G -3' (配列番号58)
ERG20m1作製用にはERG20(F96S)とERG20(289-308)を、ERG20m2作製用にはERG20(Y95FF96S)とERG20(289-308)を、ERG20m3作製用にはERG20(Y95SF96S)とERG20(289-308)を、ERG20m4作製用にはERG20(Y95AF96S)とERG20(102PC103)を、ERG20m5作製用にはERG20(Y95S)とERG20(289-308)をそれぞれPCR用のDNAプライマーペアとして用い、pSP72-SQERG20を鋳型に、pyrobest DNA polymeraseを酵素に用いてPCRを行った。増幅したDNA断片をセルフライゲーションにより環化しE. coli JM109に形質転換し、DNAをクローン化した。得られたクローン化環化プラスミドDNAの塩基配列を部分決定し、計画どおり変異導入されていたDNAクローンを選抜した。計画どおりの配列を有するERG20m1、ERG20m2、ERG20m3、ERG20m4、ERG20m5を含むプラスミドDNAを、それぞれpERG20m1-4、pERG20m2-1、pERG20m3-9、pERG20m4-16、pERG20m5-1とした。また、上記変異型ERG20を含むプラスミドDNA作製中に、計画どおりに変異が導入できず、野生型ERG20と同じ配列を持っていたプラスミドDNAをpERG20とした。
〔実施例5〕 HMG-CoA還元酵素遺伝子過剰発現株の作製
(5-1) HMG1発現用DNAコンストラクトの作製
pALHMG106に挿入されたHMG1に基づいて、特開2002-199883号公報の実施例と同じ方法でpRS434GAP-HMG1を作製した。pRS434GAP-HMG1からHMG1を切り出し、YIp型ベクターpRS504GAPのマルチクローニング部位挿入し、HMG1発現用の多コピーインテグレーション用DNA断片を作製することにした。しかし、pRS434GAP-HMG1はTDHpとHMG1の開始コドンの間に、クローニング用ベクター由来の配列が挿入されているため、転写効率が低下している可能性がある。そこで次のようにしてこの挿入配列を取り除いた。使用したPCRプライマーを以下に示す:
SacHMG1-F:5'- CCGCGGAACAAAATGCCGCCGCTATTCAAGGG -3'(配列番号59)
(下線部はSacII認識部位を示す)
TthHMG647R:5'- GACCCGGTCTTCCTCATGTC -3'(配列番号60)
(下線部はTth111I認識部位を示す)
pRS434GAP-HMGを鋳型とし、上記プライマーを用いてPCRを行い、HMG1の開始コドンからTth111I部位(開始コドンATGのAの下流647b)までを増幅した。SacHMG1-Fにより、HMG1の開始コドン上流にAACAAA配列(S. cerevisiaeで高発現している18遺伝子の開始コドン上流のコンセンサス配列(Hamilton R, Watanabe CK, de Boer HA. (1987) Nucleic Acids Res., 15, 3581-93))とSacII認識部位が付加される。このPCR産物をpCR-Blunt II TOPOベクターにサブクローニングし、シークエンスを行ってPCRエラーがないことを確認した。このPCR産物から再びSacII-Tth111Iで切り出した断片を、pRS434GAP-HMG1のSacII-Tth111I部分と入れ代えることにより、HMG1の開始コドン上流の配列を最適化したプラスミド(以下pRS434GAPa-HMG1と呼ぶ)を作製した。
次いで、pRS434GAPa-HMG1を制限酵素SacIIとXhoIで消化し、HMG1断片約3.2 kbpを切り出して、pRS504、pRS514及びpRS524のSacII-XhoI部位に挿入して得られたプラスミドを、それぞれpRS504HMG1、pRS514HMG1及びpRS524HMG1とした。
(5-2) 組換え酵母の作製
20-50μgのpRS504HMG1、pRS514HMG1及びpRS524HMG1プラスミドDNAを、それぞれ図3に示したEcoO65I-BstPI、PvuII-BstPI、FseI-BssHIIで消化して線状化し、エタノール沈澱後5μlの滅菌水に溶解して形質転換に用いた。Frozen EZ yeast transformation kit(Zymo Research)を使用して酵母、S. cerevisiaeYPH499株(以下、「YPH499」と呼ぶ)の形質転換を行った後、適当な選択培地プレートに接種した。数日後に生育してきた形質転換体のコロニーを、新しい選択培地プレートにストリークすることによりコロニーを純化し、以降の実験に用いた。
(5-3) スクアレン生産量の測定
スクアレン生産量によってHMG1過剰発現株のプレニルアルコール生産潜在能力を見積もることができることが、特開2002-199883号公報や国際公開第02/053746号パンフレットで示されている。本実施例でも、スクアレン生産量を指標に組換え体の選抜を行うことにした。
200μlの選択培地をマイクロタイタープレートに入れ、(5-2)において作製の組換え酵母を接種して30℃で2日間静置培養し、前培養液とした。前培養液20μlを2mlのYPD7+ade培地(1% Yeast extract、2% Polypeptone、2% D-glucose、40 mg/L adenine hemisulfate salt(SIGMA)、pH7)に接種した。30℃、4日間、130rpmで回転振盪培養を行ったのち、40μlの培養液を水で30倍に希釈して600nmの吸光度(OD600)を測定した。
スクアレン生産量の測定は以下のようにして行った。上記培養液を2ml容のエッペンドルフチューブに移し、遠心分離により上澄と沈澱(菌体)とを分けた。上澄には2mlのメタノールと4mlのペンタンを加え15秒間ボルテックスミキサーで攪拌したのち、ペンタン層を分取した。沈澱(菌体)には200μlのTEバッファーと約300μlのガラスビーズ(425-600 microns, Acid-Washed; SIGMA)を加えたのちボルテックスミキサーで30分間激しく撹拌して菌体を破砕した。200μlのメタノールと1mlのペンタンを加えてボルテックスミキサーで3分間撹拌した後、遠心分離してペンタン層を分取した。もう一度1mlのペンタンを加えて同様に抽出し、上澄と沈澱(菌体)を抽出したペンタン層を合わせてガラス試験管に入れ、ドラフト内でペンタンを気化させて溶質成分を濃縮したのち約1mlのペンタンに溶解し、内部標準物質として50μl/ml ウンデカノールを10μl加えGC/MS分析に供した。
本発明でのGC/MS分析は、全て以下の条件で行った。分析装置は、ヒューレットパッカード社製HP6890/5973 GC/MSシステムを用いた。
インレット温度:250℃
ディテクター温度:260℃
MSゾーン温度
MS Quad:150℃
MS Source:230℃
スキャンパラメーター
Low Mass:35
High Mass:200
Threshold:40
インジェクションパラメーター
モード:自動インジェクション
サンプル量:2μl
洗浄回数:メタノールで3回、ヘキサンで2回
スプリット比:1:20
カラム:ヒューレットパッカード社製HP-5MS(O.25mm×30M、フィルム厚O.25μm)
キャリアーガス:1ヘリウム1.0ml/min
ソルベントディレイ:2min
オ一ブン昇温条件:l15℃、1.5分保持→70/分で250℃まで昇温、2分保持→70/分で300℃まで昇温、7分保持
ポストタイム:O
内部標準:1-ウンデカノール/エタノール溶液(1μl/ml)を各バイアルに10μ1添加
注入口ライナー:スプリット/スプリットレス ライナー
解析:TICを取り込んだ後、69マスをセレクションし1ウンデカノール(RT=3.39min)、ファルネソール(RT=4.23min)、ゲラニルゲラニオ一ル(RT=5.78min)のピーク面積を積分した。内部標準のウンデカノールに対するピーク面積比より定量。
pRS504HMG1、pRS514HMG1及びpRS524HMG1をYPH499にそれぞれ導入した株を、YPD7+ade培地で4日間培養し、破砕抽出を行ってスクアレンの生産量を測定した結果を図7に示す。図7の上部のグラフは、スクアレン生産量(mg/L)を示し、下部のグラフは、対応する吸光度(OD600)を示す。なお、横軸の数字は、サンプル番号(#)を示す。比較として、YEp型プラスミドでHMG1を導入した特許願2000-403067記載のYH1(pRS434HMG1/YPH499)のスクアレン生産量は最大で135 mg/lであった。これに比べて本実施例で作製した多コピー型YIpプラスミドでHMG1を導入した場合、最大で267 mg/l(pRS504HMG1/YPH499#13)のスクアレンが生産された。この結果から、本実施例で作製したプラスミドを用いてHMG1を導入することにより、YEp型プラスミドを用いた場合よりスクアレンの生産性が2倍に向上した株が得られた。
γインテグレーション型のpRS504HMG1、pRS514HMG1に比べて、Ωインテグレーション型のpRS524HMG1を形質転換した場合、形質転換効率が低く、得られる形質転換体の数が少ない傾向があった。こればΩインテグレーションでは一ケ所のインテグレーションにつき2回の組換えが必要である(図2参照)ためであると考えられる。スクアレンの生産性は、γ型の方がΩ型に比べて高い傾向が認められた。
(5-4)HGM1過剰発現組換え株の選抜
(5-3)の結果から、pRS504HMG1/YPH499#13をプレニルアルコール生産潜在能力の高いHMG1過剰発現株(以下、「pRS504HMG1/YPH499」と呼ぶ)として選抜した。
〔実施例6〕 変異型SceFPS導入組換え体の作製
S. cerevisiaeゲノム中の野生型ERG20遺伝子の転写プロモーターからポリペプチドコード領域までをそっくり、「TDH3p(GAPp)-ERG20m」で表される実施例4で作製したDNA断片で置換した組換え体を以下の方法で作製した。pERG20、pERG20m1-4、pERG20m2-1、pERG20m3-9、pERG20m4-16、pERG20m5-1の各プラスミドDNAをFrozen EZ yeast transformation kit(Zymo Research)を使用してYPH499とpRS504HMG1/YPH499#13の2種の宿主株に導入した後、適当な選択培地プレートに接種し、数日後に生育してきた組換え体のコロニーを、新しい選択培地プレートにストリークすることによりコロニーを純化した。以下、例えばpERG20m1-4を導入したYPH499をERG20m1/YPH499-1と表す。なお「-1」は実験上の作業番号である。
作製した組換え体からゲノムDNAを調製し、PCRによって置換断片の確認を行った。ほとんどが図6に示すように、SET2QCR8の2箇所で組換わり計画どおりに置換変異していたが、一部はSET2部分の代わりにERG20コード領域の5'端付近で組換わっており、結果としてERG20遺伝子中の転写プロモーターERG20pが残った組換え体も得られた。この組換え体は転写プロモーターTDH3pが変異型ERG20を転写せずに、野生型転写プロモーターERG20pが変異型ERG20を転写することになる。そこで、例えばERG20m1-4をYPH499に導入し、野生型転写プロモーターERG20pが変異型ERG20を転写する組換え体をERG20p-ERG20m1/YPH499-1と表す。なお、「-1」は実験上の作業番号である。
〔実施例7〕 変異型SceFPS導入組換え体のプレニルアルコール生産
組換え体の培養を上記(5-3)と同様に行った後に、菌体破砕処理はせずに直接培養懸濁液を直接有機溶媒したサンプルをGC/MSで分析し、プレニルアルコール生産量を定量した。結果を下記の表3に示す。生産量の単位は全てmg/L、株名の「-」以降の番号は作業番号。
Figure 2005137287
表3に示される結果から判るように、ERG20m1がコードする変異型SceFPSを細胞内で発現させれば、GGOH生産能力のある細胞を得ることができることが示された。また、HMG-CoA還元酵素高発現株pRS504HMG1/YPH499であるとさらにGGOH生産能力が高まることが示された。ERG20m1の転写プロモーターはERG20pでも構わないが、TDH3pの方がより好ましい。さらに、本発明に係る細胞であるGGOH生産細胞の培養には、ステロールなど特殊な培地添加成分は全く必要が無い。
ERG20m1以外の変異型SceFPSを用いた置換変異株にはGGOH生産能力がないことも明らかとなった。つまり、既にOhnuma etal., J Biol Chem., 271, 30748-30754(1996)で報告されているように、ファルネシル二リン酸合成酵素活性から単にゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性に変換するようにアスパラギン酸リッチドメインI上流のアミノ酸配列を改変しただけでは、GGOH生産能力のある細胞作製に適した変異型ファルネシル二リン酸合成酵素遺伝子は作製できない事がわかる。ステロールなどの特殊な培地添加をせずに、一般的な培地で細胞を培養するだけで高濃度のGGOH生産させる細胞を作製するためにはERG20m1がコードするポリペプチドのように生育に必須なファルネシル二リン酸合成酵素活性とGGOH生産に必要なGGPP合成酵素活性がうまくバランス取れている事が必須と考えられる。
細胞におけるプレニルアルコール生合成経路を模式的に示す図である。 γインテグレーションとΩインテグレーションのインテグレーションパターンの概要を示す模式図である。 pRS434GAP、pRS504、pRS514及びpRS524のプラスミドマップを示す模式図である。 pRS435GAP、pRS515及びpRS525のプラスミドマップを示す模式図である。 pRS436GAP、pDI626及びpDI628のプラスミドマップを示す模式図である。 ゲノムDNAとインテグレーション用DNA断片との組換えを示す模式図である。 HMG1をインテグレーションしたYPH499のスクアレン生産量を示す特性図である。
配列番号5〜23、25〜32、38〜46及び52〜60は、プライマーである。
配列番号2において、第96番目のアミノ酸(Xaa)は、フェニルアラニン以外の他のアミノ酸を表す。
配列番号24は、pRS515又はpRS525のKpnIサイト周辺の配列である。
配列番号35〜37は、変異導入用オリゴである。

Claims (22)

  1. 配列番号1に記載のアミノ酸配列においてN末端側から第3番目のフェニルアラニンが他のアミノ酸に置換されているアミノ酸配列を含み、且つゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA。
  2. 上記第3番目のフェニルアラニンがセリン、グリシン又はアラニンに置換されていることを特徴とする、請求項1記載のDNA。
  3. 上記第3番目のフェニルアラニンがセリンに置換されていることを特徴とする、請求項1記載のDNA。
  4. 配列番号1に記載のアミノ酸配列においてN末端側から第3番目のフェニルアラニンが他のアミノ酸に置換されているアミノ酸配列を含み、且つゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を有するポリペプチド。
  5. 上記第3番目のフェニルアラニンがセリン、グリシン又はアラニンに置換されていることを特徴とする請求項4記載のポリペプチド。
  6. 上記第3番目のフェニルアラニンがセリンに置換されていることを特徴とする請求項4記載のポリペプチド。
  7. 以下の(a)又は(b)のポリペプチドをコードするDNA。
    (a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、96番目のアミノ酸を除く1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を有するポリペプチド。
  8. 上記96番目のアミノ酸がセリン、グリシン又はアラニンであることを特徴とする、請求項7記載のDNA。
  9. 上記96番目のアミノ酸がセリンであることを特徴とする、請求項7記載のDNA。
  10. 以下の(a)又は(b)のポリペプチド。
    (a)配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
    (b)配列番号2で表されるアミノ酸配列において、96番目のアミノ酸を除く1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素活性を有するポリペプチド。
  11. 上記96番目のアミノ酸がセリン、グリシン又はアラニンであることを特徴とする、請求項10記載のポリペプチド。
  12. 上記96番目のアミノ酸がセリンであることを特徴とする、請求項10記載のポリペプチド。
  13. 請求項1〜3及び7〜9のいずれか1項記載のDNAを有するDNAコンストラクト。
  14. 請求項13記載のDNAコンストラクトを保持する細胞。
  15. 宿主細胞がステロール非要求性株であることを特徴とする、請求項14記載の細胞。
  16. 上記ステロールがコレステロール又はエルゴステロールであることを特徴とする、請求項15記載の細胞。
  17. 宿主細胞がHMG-CoA還元酵素高発現株であることを特徴とする、請求項14記載の細胞。
  18. 内在するファルネシル二リン酸合成酵素遺伝子が上記DNAコンストラクトによって置換されていることを特徴とする、請求項14記載の細胞。
  19. 請求項14〜18のいずれか1項記載の細胞を培養し、培養物中からゲラニルゲラニオールを回収する、ゲラニルゲラニオールの製造方法。
  20. 上記回収が細胞を破砕せず培養物を直接有機溶媒抽出することを特徴とする、請求項19記載のゲラニルゲラニオールの製造方法。
  21. 上記有機溶媒がペンタンであることを特徴とする、請求項20記載のゲラニルゲラニオールの製造方法。
  22. 上記ゲラニルゲラニオールが(all-E)ゲラニルゲラニオールであることを特徴とする、請求項19記載のゲラニルゲラニオールの製造方法。
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