JP3918185B2 - プレニルアルコールの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプレニルアルコールの製造方法に関し、更に詳しくは、アセチルCoA合成酵素遺伝子又は該遺伝子とプレニル二リン酸生合成経路に関与する他の酵素の遺伝子との融合遺伝子を導入または発現強化した宿主細胞を利用するプレニルアルコールの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
イソプレノイド生合成経路は、多様な生物種に普遍的に備わると考えられる。イソプレノイド化合物の基本骨格単位であるイソペンテニル二リン酸(IPP )の生合成経路として、主に真核生物に存在するメバロン酸経路と、主に原核生物に存在する非メバロン酸経路(DXP 経路)の二つの経路が知られている。
【0003】
メバロン酸経路では、アセチルCoA を出発物質として、アセトアセチルCoA 、ヒドロキシメチルグルタリルCoA (HMG-CoA )、メバロン酸、メバロン酸5-リン酸(MVP )、メバロン酸5-二リン酸(MVPP)を経て、活性イソプレン単位である炭素数5 のIPP が生合成される。非メバロン酸経路では、ピルビン酸とグリセルアルデヒド3-リン酸が縮合して生じる1-デオキシ-D- キシルロース5-リン酸を経由して、IPP が生合成される。非メバロン酸経路に関する知見は徐々に蓄積されつつあるが、関与する酵素やそれをコードする遺伝子等の幾つかは未だ不明である。
【0004】
IPP は異性化反応によりジメチルアリル二リン酸(DMAPP )に変換される。アリル性二リン酸基質、例えばDMAPP をプライマー基質としてIPP がトランス型(E 型)に順次重縮合することにより、炭素数10の(E)-ゲラニル二リン酸(GPP )、炭素数15の(all-E)-ファルネシル二リン酸(FPP )、炭素数20の(all-E)-ゲラニルゲラニル二リン酸(GGPP)・・・等の順に合成される。又、全トランス型のプレニル二リン酸に対して(all-E)-FPP をアリル性プライマー基質としてシス型(Z 型)にIPP が順次重縮合することにより、ウンデカプレニル二リン酸,デヒドロドリシル二リン酸等が生合成される。
【0005】
上記IPP ,DMAPP ,GPP ,FPP ,GGPP,ウンデカプレニル二リン酸,デヒドロドリシル二リン酸等が、プレニル二リン酸と総称される。これらのプレニル二リン酸の内、有用性の高い(生物学的に活性な)(all-E)-FPP ,(all-E)-GGPP,(all-E)-デカプレニル二リン酸,(2Z, 6Z, 10Z, 14Z, 18Z, 22Z, 26Z, 30Z, 34E,38E)-ウンデカプレニル二リン酸等の特定の幾何異性を持つ純品は生合成により製造することに適しており、化学合成では幾何異性の制御が難しい。
【0006】
又、これらのプレニル二リン酸は、ホスファターゼの作用により二リン酸が分離されて(あるいは、プレニル二リン酸から1個のリン酸が分離されたプレニル一リン酸を中継して、更に1個のリン酸が分離されて)、相当するプレニルアルコールを生成する。本明細書において、プレニル二リン酸とプレニル一リン酸とを一括して指す時は「プレニルリン酸」と言う。
【0007】
上記のプレニルリン酸やプレニルアルコールの内、特に炭素数15以上のものは利用価値が高い。例えば炭素数15以上のプレニル二リン酸であるFPP ,GGPP等や、これらの脱リン酸化物である炭素数15のファルネソール(FOH ),炭素数20のゲラニルゲラニオール(GGOH)等は、フィトール,ビタミンE ,ビタミンK ,ユビキノン(CoQ )等の合成基質となる。炭素数35のヘプタプレニルアルコール、炭素数50のデカプレニルアルコール等も医薬品中間体として有用であり、合成開始物質として上記FPP ,GGPP,FOH ,GGOH等を利用できる。
【0008】
又、プレニルリン酸とプレニルアルコールとを対比すると、一般的にプレニルリン酸は水溶性が比較的高い一方、部分的に非極性基を有するので抽出・精製が容易でないと言う難点があり、ヘキサンやペンタン等の非極性有機溶媒で容易に抽出・精製できるプレニルアルコールを生産する方が有利である。更に、ファルネシル基やゲラニルゲラニル基を有する化合物の化学合成にはプレニルアルコールが用いられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
以上の点から、生合成経路を利用して、プレニルアルコール、特に生物学的に活性なトランス型の異性体構造を持つプレニルアルコール、とりわけ炭素数15以上のプレニルアルコール(例えば、いずれも全トランス型の、ゲラニルファルネソール,ヘキサプレニルアルコール,ヘプタプレニルアルコール,オクタプレニルアルコール,ノナプレニルアルコール,デカプレニルアルコール,ウンデカプレニルアルコール,FOH ,GGOH等)を効率的に大量生産する方法の提供が望まれる。
【0010】
特公昭63-17437号公報にはシュードモナス株の培養によるポリプレニルアルコールの生産方法が開示され、特開平9-238692号公報にはトウダイグサ科の植物細胞の培養によるGGOH及びGGPPの生産方法が開示されている。しかし、天然の微生物や動植物細胞をそのまま培養するこれらの方法では、プレニルアルコールの効率的な大量生産は困難である。
【0011】
ところで前記したように、酵母等のメバロン酸経路を持つ生物では、FOH 及びGGOHの生合成経路の出発物質はアセチルCoA である。本願発明者はこの点に着目した。そして細胞内のアセチルCoA レベルを上昇させれば、FOH 及びGGOH等のプレニルアルコールの生産量を増大させることが出来るのではないかと考えた。
【0012】
特別な添加物を用いずに、生細胞におけるプレニルアルコールの生合成プロセス、又はその前駆的な位置付けにある代謝プロセスを人為的にコントロールしたプレニルアルコールの効率的な大量生産系の構築は、未だ報告されていないし、又、これらのプロセスのどのステップをどのようにコントロールすればプレニルアルコールの生産量を増大させ得るかも、未だ明らかになっていない。
【0013】
Saccharomyces cerevisiaeには、2つのアセチルCoA 生合成経路が存在する(Jack T. Pronk, et al. (1996)Pyruvate metabolism in Saccharomyces cerevisiae. Yeast. 12, 1607-1633 )。一つ目の経路においては、ミトコンドリア・ピルビン酸輸送体によりミトコンドリアに運ばれたピルビン酸を基質として、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体によりアセチルCoA が生成する。二つ目の経路は「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ(PDH )・バイパス」と呼ばれ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC )、アルデヒドデヒドロゲナーゼ(ALD )及びアセチルCoA 合成酵素(ACS )によりアセチルCoA が合成される。
【0014】
酵母をグルコース・リッチな液体培地で培養すると、しばしば酢酸が蓄積することが知られているが、これはPDH バイパス経路のPDC 、ALD により生産された酢酸が蓄積したものと考えられる。本願発明者は、酢酸を基質とし、アセチルCoA 合成の反応を触媒する酵素をコードする遺伝子を過剰発現させることにより、酢酸からアセチルCoA への代謝の流れを太くし、メバロン酸経路の出発物質であるアセチルCoA の細胞内レベルを上昇させることが出来るのではないか、と考えた。そしてアセチルCoA 合成酵素遺伝子を酵母等の宿主細胞に導入又は発現強化することにより、実際にプレニルアルコールの生産性が有効に向上することを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0015】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、アセチルCoA 合成酵素遺伝子を導入又は発現強化した酵母を培養し、その培養物からプレニルアルコールを採取する、プレニルアルコールの製造方法である。
【0016】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、アセチルCoA 合成酵素遺伝子と、プレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子とを導入又は発現強化した酵母を培養し、その培養物からプレニルアルコールを採取する、プレニルアルコールの製造方法である。
【0017】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第2発明に係るアセチルCoA 合成酵素遺伝子とプレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子とが、融合遺伝子として導入又は発現強化されている、プレニルアルコールの製造方法である。
【0018】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、前記第2発明又は第3発明に係るプレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子が、アセチルCoA アセチルトランスフェラーゼ遺伝子である、プレニルアルコールの製造方法である。
【0019】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第4発明に係るプレニルアルコールが、ゲラニオール、ファルネソール、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルファルネソール、ヘキサプレニルアルコール、ヘプタプレニルアルコール、オクタプレニルアルコール、ノナプレニルアルコール、デカプレニルアルコール、ウンデカプレニルアルコール又はドデカプレニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上のプレニルアルコールである、プレニルアルコールの製造方法である。
【0020】
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明(請求項6に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第5発明に係るアセチルCoA 合成酵素遺伝子が、S. cerevisiaeのACS1またはACS2である、プレニルアルコールの製造方法である。
【0022】
【発明の作用・効果】
(第1発明の作用・効果)
第1発明によれば、アセチルCoA 合成酵素遺伝子を導入または発現強化した宿主細胞の培養によって、プレニルアルコールの効率的な大量生産が可能である。その理由は、宿主細胞へのアセチルCoA 合成酵素遺伝子の導入または発現強化によって、宿主細胞内でのアセチルCoA レベルが上昇し、結果的に宿主細胞内におけるメバロン酸経路によるプレニルアルコールの生合成が活発に行われるためである、と考えられる。これらのプレニルアルコールは、生物学的に活性な幾何異性体、例えば全トランス型等として得られる。
【0023】
(第2発明の作用・効果)
第2発明のように、アセチルCoA 合成酵素遺伝子とプレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子とを宿主細胞に導入又は発現強化した場合、プレニルアルコールの一層効率的な大量生産を期待できる。
【0024】
(第3発明の作用・効果)
第3発明によれば、アセチルCoA 合成酵素遺伝子とプレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子とが融合遺伝子として導入または発現強化されるため、アセチルCoA 合成酵素とプレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素とが融合タンパク質として発現され、第2発明の効果が更に大きくなることを期待できる。
【0025】
(第4発明の作用・効果)
前記プレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子が第4発明のようにアセチルCoA アセチルトランスフェラーゼ遺伝子である場合、アセチルCoA 合成酵素の反応産物を反応基質とする酵素であると言う理由から、特に好ましい。
【0026】
(第5発明の作用・効果)
第1発明〜第4発明により製造されるプレニルアルコールとしては、第5発明に列挙したものから選ばれる1種または2種以上のプレニルアルコールが、特に採取目的物として好ましい。
【0027】
(第6発明の作用・効果)
アセチルCoA 合成酵素遺伝子として、特に好ましくはS. cerevisiaeの ACS1又は ACS2 を利用することができる。
【0028】
(第7発明の作用・効果)
第1発明〜第6発明のプレニルアルコールの製造方法において利用する宿主細胞としては、酵母、とりわけS. cerevisiaeを好ましく利用できる。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、第1発明〜第7発明の実施の形態について説明する。以下、単に「本願発明」と言うときは、これらの各発明を包括的に指している。
【0030】
プレニルアルコールの製造方法
本願発明に係るプレニルアルコールの製造方法は、プレニルアルコール全般の生産性の向上に有利である。例えば、ゲラニオール、ファルネソール、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルファルネソール、ヘキサプレニルアルコール、ヘプタプレニルアルコール、オクタプレニルアルコール、ノナプレニルアルコール、デカプレニルアルコール、ウンデカプレニルアルコール又はドデカプレニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上のプレニルアルコールの生産性の向上に有利である。
【0031】
上記各種のプレニルアルコールの内でも、産業上の有用性からは、炭素数10以上のプレニルアルコール、とりわけ炭素数15以上のプレニルアルコールを好ましく例示できる。又、本願発明においては、産業上有用な幾何異性を持つ、例えば全トランス型のプレニルアルコールを製造できると言う利点がある。ここに「トランス型」とは、炭素数5 のプレニルアルコールにおけるトランス型と、炭素数10以上のプレニルアルコールにおける全トランス型とを意味する。
【0032】
一般的に組換え体を利用する目的物の生産法において認められることであるが、本発明のプレニルアルコールの製造方法においても、導入遺伝子の選択、導入すべき宿主の選択、発現ベクター等の導入手段とそれに適した DNA又はRNA の構築方法の選択、培地もしくはこれに対する添加物の種類や濃度の選択、組換え体の培養条件あるいは生育条件の選択等のファクターが、プレニルアルコールの生産量に影響する場合がある。
【0033】
培養物からのプレニルアルコールの採取に当たり、プレニルアルコール全般を採取するか、例えば炭素数15以上のプレニルアルコール又はその内の1種又は2種以上のみを採取する場合のように特定の1種又は2種以上のプレニルアルコールを選択的に採取するかは、プレニルアルコール製造方法の実施目的次第で、任意に決定できる。
【0034】
生産されたプレニルアルコールは、通常行われる細胞破砕物からの抽出だけでなく、適当な有機溶媒を用いて培養液からも直接に抽出できる。宿主として酵母を用いる場合を含め、利用する宿主の種類によってはプレニルアルコールの少なくとも一部が宿主細胞内あるいは細胞表面に止まる場合があるが、細胞膜もしくは細胞壁の破壊や、ヘキサンやペンタン等の非極性有機溶媒による抽出等の公知の各種の操作を経て、容易に抽出することができる。
【0035】
遺伝子の導入又は発現強化
本願発明においては、少なくともアセチルCoA 合成酵素遺伝子が宿主細胞に導入又は発現強化される。アセチルCoA 合成酵素遺伝子としては、特にS. cerevisiaeに由来する遺伝子 ACS1 又は ACS2 を好ましく利用することができる。ACS1の塩基配列(及びアミノ酸配列)を配列表の配列番号1に、 ACS2 の塩基配列(及びアミノ酸配列)を配列表の配列番号2に、それぞれ示す。アセチルCoA 合成酵素遺伝子としては、他にも、 Schizosaccharomyces pombe 由来のもの(ACCESSION No.:SPCC417. 14C)、Drosophila melanogaster由来のもの(CG9390及びCG9390_1 )、Caenorhabditis elegans 由来のもの( C36A4. 9 及び K03A1.5)、 Escherichia coli由来のもの( JW0326(prpE), JW4030(acs)及びZ5668(acs))、Bacillus subtilis(acsA)、Pyrococcus furiosus(acaB)、 Aspergillus nidulans(facA)、Neurospora crassa(acu-5) 、Mus musculus(Acas1) 等の既知の遺伝子を利用できるが、これらに限定されるものではない。又、アセチルCoA 合成酵素活性を有するポリペプチドをコードする遺伝子についても限定なく利用することができる。
【0036】
上記において、「遺伝子を導入又は発現強化する」とは、次の意味である。即ち、「遺伝子を導入する」とは、該遺伝子の機能を有するポリヌクレオチドを組換え核酸として宿主細胞に導入する全ての場合を含む。ここにおいて「ポリヌクレオチド」又は「核酸」とは、1本鎖、2本鎖又は3本鎖の DNA及び/又はRNAを言い、又、「遺伝子の導入又は発現強化」には、少なくともベクターによって導入する場合や、PCR フラグメント等で合成した核酸を用いてを用いて相同組換えによって導入する場合が含まれる。より好ましくは、該遺伝子の発現を強化する発現ベクターによって導入される。又、「遺伝子を発現強化する」とは、結果的に該遺伝子の発現が強化される全ての場合を含む。例えば、該遺伝子をその発現を強化する手段を伴って組換え核酸として導入する場合、宿主細胞における該遺伝子のコピー数を増強させる場合、宿主細胞の培養条件を調整(遺伝子発現の誘導物質の添加等)することにより該遺伝子の発現を強化する場合、等が含まれる。
【0037】
本願発明の更に好ましい実施形態において、アセチルCoA 合成酵素遺伝子は、プレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子と共に(即ち、同時又は同時期に)導入又は発現強化される。プレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子としては、限定はされないが、アセチルCoA アセチルトランスフェラーゼ遺伝子、ヒドロキシメチルグルタリルCoA 合成酵素遺伝子、メバロン酸キナーゼ遺伝子、メバロン酸二リン酸デカルボキシラーゼ遺伝子、イソペンテニル二リン酸イソメラーゼ遺伝子、デオキシキシルロースリン酸リダクトイソメラーゼ遺伝子、デオキシキシルロースリン酸合成酵素遺伝子、MEP シチジリルトランスフェラーゼ遺伝子、CDP-MEキナーゼ遺伝子、又はMECDP 合成酵素遺伝子等が例示される。アセチルCoA アセチルトランスフェラーゼ遺伝子が特に好ましい。
【0038】
アセチルCoA 合成酵素遺伝子とプレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子とを導入又は発現強化する形態は任意であり、例えばこれらの遺伝子を同時期にかつ別個に適宜な手段を利用して導入又は発現強化しても良いし、より好ましくは、これらの遺伝子を融合遺伝子として同時に導入又は発現強化しても良い。融合遺伝子とは、2つ以上の遺伝子を1つの読み枠(ORF) として発現できるように融合させ、発現されるポリペプチドが融合タンパク質になるようにしたものである。また融合させる遺伝子相互の結合領域に、それぞれの遺伝子翻訳産物が適切に機能する立体構造がとれるように人工的なヌクレオチド配列(リンカー配列)を自由に挿入することも可能である。例えばGly Gly Gly Ser やGly GlyGly Gly Ser というペプチド配列をコードするリンカー配列などが挙げられる。これらの配列は、大腸菌で抗体を発現させるときのH 鎖とL 鎖をつなぐリンカー配列として利用された(Huston J.S.et al (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85: 5879-5883)。
【0039】
発現ベクター又は導入しようとする遺伝子の発現機能を持つポリヌクレオチド断片は、導入しようとするアセチルCoA 合成酵素遺伝子、プレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子又はこれらの融合遺伝子を、その発現を強化する種々のDNA 断片又はRNA 断片と融合させたものである。好ましくは、発現ベクターは転写プロモーター,転写ターミネーター,組換え体選抜用マーカー遺伝子,エンハンサーを含み得る。植物発現ベクターにおいては、更に好ましくT-DNA 領域を含み得る。一般的な発現ベクターの構築方法として、例えば、PCR 法等で調製した遺伝子断片を、適当な制限酵素とリガーゼを用いる既知の方法で発現ベクターに組み込むことができる。
【0040】
ベクターとしては、例示すれば、S. cerevisiaeを宿主とする場合に良く利用される「 YEp13」,「 YEp24」,「 YCp50」,「 pYES2」,「pRS414」,「pRS415」,「pRS416」,「pRS413」,「pRS404」,「pRS405」,「pRS406」,「pRS403」,「 pAUR101」等、大腸菌(Escherichia coli)を宿主とする場合に良く利用されるプラスミド「pSC101」,「pBR322」,「 pHSG298」,「 pVC18」,「 pVC19」,「 pTrc99A」,「 pMal-c2」,「pGEX2T」,「 pTV118N」,「 pTV119N」等、バシルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)を宿主とする場合に良く利用されるプラスミド「 pUB110 」,「 pC194」等を好ましく使用でき、その他にも「pBI1221 」,「pBI1101 」その他各種のものを限定なく使用できる。
【0041】
発現ベクターは、遺伝子を恒常的又は誘導的に発現させるための転写プロモーターを含有し得る。例えば、S. cerevisiaeを宿主とする場合に良く利用されるアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子(ADH1及びADH2),トリオースリン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(TDH3),ガラクトース異化に関連する遺伝子(GAL1, GAL7,GAL10 ),酸性ホスファターゼ遺伝子(PHO5)又はメタロチオネイン遺伝子(CUP1)の転写プロモーターが挙げられる。大腸菌(E. coli)での発現用として、 trp,lac ,trc ,tac 等の転写プロモーターを用いることができる。
【0042】
他にも、恒常的に発現させるための転写プロモーターとしては、例えばカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター( Odell et al. 1985 Nature 313:810 ),イネのアクチンプロモーター( Zhang et al. 1991 Plant Cell 3:1155),トウモロコシのユビキチンプロモーター(Cornejo et al 1993 Plant Mol. Biol. 23:567)その他各種のものを限定なく使用できる。誘導的に発現させるためのプロモーターとしては、糸状菌,細菌,ウイルスの感染や侵入、低温,高温,乾燥,紫外線の照射,特定化合物の散布等の外因によって発現することが知られている転写プロモーター等が挙げられる。
【0043】
アセチルCoA 合成酵素遺伝子、プレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子又はこれらの融合遺伝子を導入又は発現強化するための組換え核酸は、必ずしもベクター機能を持っていなくても、例えばゲノムインテグレーションすることができれば良い。
【0044】
組換え核酸の宿主への導入
本願発明で用いる宿主細胞の種類は、特段に限定されないが、メバロン酸経路を持つ生物細胞であれば、より好ましい。例えば、アーキア(Archaea ),バクテリア(Bacteria),真菌(Eumycetes ),単細胞真核生物,又は動物あるいは植物の生細胞を任意に選択できる。植物組織培養細胞及び動物組織培養細胞を含む多細胞生物の生組織培養細胞も任意に選択できる。
【0045】
上記の植物細胞又は植物組織培養細胞において、「植物」とは藻類,蘚苔類,シダ類,裸子植物及び被子植物を含む。上記の動物細胞又は動物組織培養細胞において、「動物」とは海綿動物,腔腸動物,線形動物,軟体動物,節足動物,棘皮動物及び各種の脊椎動物を含む。動物又は植物の生細胞又は生組織培養細胞としては、動植物の懸濁培養細胞、内臓,葉,根等の動植物器管の組織培養細胞,植物におけるカルス等を例示できる。
【0046】
好ましい宿主としては、S. cerevisiae,ピキア・パストリス(Pichia pastris)等のサッカロミセス属やピキア属その他に属する酵母、E. coli、バシルス・ズブチリス(Bacillus subtilis),バシルス・ブレビス(Bacillus brevis)等のエシェリヒア属又はバシルス属に属する細菌、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae),アスペルギルス・ニガー(Aspergillus nigar)等のアスペルギルス属に属する糸状菌、カイコ(Bombyx mori)の培養細胞、COS 細胞又は CHO細胞等の動物細胞、又は植物細胞等が好ましく例示される。
【0047】
宿主としては、特にサッカロミセス属の酵母を好ましく例示できる。より具体的には、S. cerevisiaeの YPH499 (ATCC76625, MATa, ura3-52, lys2-801, ade2-101, trp1-delta63, his3-delta200, leu2-delta1)、YPH500( ATCC76626,MATalpha, ura3-52, lys2-801, ade2-101, trp1-delta63, his3-delta200, leu2-delta1 )、 A451 株(ATCC200589, MATalpha, can1, leu2, trp1, ura3, aro7)、 W303-1A株又は W303-1B株(ATCC201239, MATalpha, leu2-3, leu2-112, his3-11, ade2-1, ura3-1, trp1-1, can1-100;haploid of W303 (ATCC201239))を、とりわけ好ましく例示できる。
【0048】
本願発明に係るアセチルCoA 合成酵素遺伝子、プレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子又はこれらの融合遺伝子を宿主細胞に導入するに当たり、前記のような種々の態様で宿主に適合した組換え核酸を利用することができる。より具体的には、大腸菌への外来遺伝子の導入法は、ハナハンの方法等の確立された幾つかの方法を利用できる。酵母への外来遺伝子の導入法は、リチウム法等の確立された幾つかの方法を利用できる。ホスファターゼ遺伝子の導入においては、宿主細胞の染色体内に組込むこともできるし、プラスミド等として細胞内に保持することもできる。
【0049】
【実施例】
〔実施例1:発現ベクターの作製〕
1. YEp 型発現ベクターの作製
pRS ベクターへの転写ターミネーターの挿入
CYC1転写ターミネーターであるCYC1t 断片をPCR(Polymerase Chain Reaction)で調製した。配列番号3に示す塩基配列を持つ DNAプライマー(XhoI-Tcyc1FW)、配列番号4に示す塩基配列を持つ DNAプライマー(KpnI-Tcyc1RV)、配列番号5に示す塩基配列を持つ DNAプライマー(ApaI-Tcyc1RV)を、 XhoI-Tcyc1FW と KpnI-Tcyc1RV の組合せと、 XhoI-Tcyc1FW と ApaI-Tcyc1RV の組合せによって用い、鋳型としてYEp ベクターであるpYES2 (Invitrogen)を用いた。反応溶液としては0.1 μg pYES2 、50pmolプライマーDNA 、1X pfu buffer with MgSO(Promega )、10nmol dNTP 、1.5U Pfu DNA polymerase (Promega )、1 μl perfect match polymerase enhancer (Stratagene)を含む50μl 溶液を調製し、次のように PCRを行った。
95℃−2 分
95℃−45秒,60℃−30秒,72℃−1 分;30サイクル
72℃−5 分, 4℃ストック
増幅した2 種のDNA をそれぞれ、制限酵素 Xho IとKpn I 、Xho I と Apa Iを用いて切断し、アガロースゲル電気泳動によって 260bpのDNA 断片を精製した。
これらのDNA 断片を CYC1t-XK 及び CYC1t-XA と呼ぶ。
pRS405(Stratagene)の Xho I-Kpn I切断部位に CYC1t-XK を、pRS404(Stratagene)及び pRS406 (Stratagene)の Xho I-Apa I切断部位に CYC1t-XA を、それぞれ挿入した。これらをそれぞれ、pRS405Tcyc、pRS404Tcyc、pRS406Tcycと呼ぶ。
【0050】
転写プロモーターの調製
S. cerevisiae YPH499 のゲノムDNA を鋳型にして、PCR により TDH3 転写プロモーター(TDH3p )を含むDNA 断片を調製した。プライマーとしては、配列番号6に示す塩基配列を持つプライマー(SacI-Ptdh3FW)、配列番号7に示す塩基配列を持つプライマー(SacII-Ptdh3RV )を用いた。
【0051】
PCR 反応溶液として、0.46μg S. cerevisiaeゲノム DNA、100pmol プライマー、1X ExTaq buffer (Takara)、20nmol dNTP 、0.5U ExTaq DNA polymerase(Takara)、1 μl perfect match polymerase enhancer を含む 100μl 溶液を調製し、次のようにPCR を行った。
95℃−2 分
95℃−45秒,60℃−1 分,72℃−2 分;30サイクル
72℃−4 分, 4℃ストック
増幅したDNA を制限酵素 Sac Iと Sac II で切断し、アガロースゲル電気泳動によって680bp のDNA 断片を精製した。これを TDH3pと呼ぶ。
【0052】
2 μ DNA 複製開始領域の調製
YEp ベクターである pYES2を制限酵素 Ssp Iと Nhe Iで切断した後、 2μDNA複製開始点(2 μ ori)を含む1.5kbpの断片をアガロースゲル電気泳動により精製し、Klenow酵素で平滑末端化した。このDNA 断片を 2μOriSN と呼ぶ。
【0053】
YEp 型発現ベクターの作製
pRS404Tcyc、pRS405Tcyc、pRS406Tcycを BAP(bacterial alkaline phosphatase, Takara)によって処理した Nae I切断部位に 2μOriSN を挿入し、E. coli SURE2(Stratagene)に導入して形質転換した後、プラスミドDNA を調製した。
これらを、制限酵素 Dra IIIとEco RIにより、 Hpa Iにより、又はPst I とPvuIIにより切断した後、アガロースゲル電気泳動し、2 μori の挿入の有無とその向きとをチェックした。作製した pRS404Tcyc 、pRS405Tcyc、pRS406Tcycにおいて pYES2と同じ向きに 2μori が挿入されたプラスミドをそれぞれ、pRS43 4Tcyc 2 μOri 、pRS435Tcyc 2μOri 、pRS436Tcyc 2μOri と呼ぶ。
【0054】
pRS434Tcyc 2μOri 、pRS435Tcyc 2μOri 、pRS436Tcyc 2μOri の 3種のプラスミドのSac I-Sac II切断部位に、転写プロモーターを含む断片TDH3p を挿入し、それぞれpRS434GAP 、pRS435GAP 、pRS436GAP が得られた。ここで作製した各 pRSベクター由来の YEp型発現ベクターを総称して pRS発現ベクターと呼ぶ。
【0055】
2.アセチル CoA 合成酵素遺伝子 ACS1 ACS2 のサブクローニングおよび発現ベクターの作成
S. cerevisiae由来のアセチルCoA 合成酵素遺伝子ACS1およびACS2を、S. cerevisiae YPH499 のゲノムDNA を鋳型としてPCR により増幅した。用いたプライマーは、配列番号8に塩基配列を示すNotACS1-1 、配列番号9に塩基配列を示すXhoACS1-6 、配列番号10に塩基配列を示すNotACS2-1 、及び配列番号11に塩基配列を示すXhoACS2-6 である。
【0056】
PCR 反応液としては1x KOD buffer#1 (Toyobo)、0.2 mM dNTP 、1 mM MgCl、1u KOD DNAボリメラーゼ(Toyobo)、10 pmol primer1 、10 pmol primer2 、60 ng 鋳型DNA を含む20μl 溶液を調製し、次のサイクルでPCR を行った。
ACS1:94°C− 15sec, 50°C− 2sec, 74 °C− 30sec;25サイクル
ACS2:94°C− 15sec, 44°C− 2sec, 74 °C− 30sec;25サイクル
primer1 とprimer2 に、それぞれNotACS1-1 とXhoACS1-6 、NotACS2-1 とXhoACS2-6 を用いて、 ACS1 約2.1kb 断片と ACS2 約2.1kb 断片がそれぞれ増幅された。KOD ポリメラーゼによるPCR 増幅産物は平滑末端であるため、TAクローニングを行うため以下の操作によりPCR 産物の両末端に5'A の突出末端を付加した。
前記PCR 産物をそれぞれアガロースゲル電気泳動により精製し、1x Taq buffer(Takara)、2mM dATP、0.5U rTaq (Takara)を加えて10μl の反応バッファを調製し、70°Cで2 時間反応した後、TOPO TA Cloning Kit (Invitrogen)を用いてサブクローニングした。このようにして ACS1 および ACS2 をサブクローニングしたベクターをそれぞれ TOPO-ACS1、TOPO-ACS2 と呼ぶ。次に、 373A DNAsequencer (Perkin Elmer)を用いてサブクローニングした遺伝子断片の塩基配列決定を行い、 SGD(Saccharomyces Genome Database .http://genome-www.stanford. edu/Saccharomyces )に登録されている塩基配列と比較したところ、 PCRエラーはなかった。
【0057】
TOPO-ACS1 を制限酵素 Not Iと Xho Iで切断し、アガロースゲル電気泳動によりACS1のDNA 断片を精製した。このDNA 断片をpRS435GAP とpRS436GAP のNot I-Xho I 切断部位に挿入したものを、それぞれpRS435ACS1、pRS436ACS1と呼ぶ。
【0058】
TOPO-ACS2 を制限酵素 Not Iと Xho Iで切断し、アガロースゲル電気泳動によりACS2のDNA 断片を精製した。このDNA 断片をpRS435GAP とpRS436GAP のNot I-Xho I 切断部位に挿入したものを、それぞれpRS435ACS2、pRS436ACS2と呼ぶ。
【0059】
3. ACS1 ACS2 と、アセチル CoA アセチルトランスフェラーゼ遺伝子 ERG10 との融合遺伝子の作製
S. cerevisiae由来のアセチルCoA アセチルトランスフェラーゼ遺伝子ERG10と ACS1 又は ACS2 との融合遺伝子をそれぞれ作成し、これらをS. cerevisiaeの細胞内で発現させてプレニルアルコールの生産性向上を確かめることにした。
融合遺伝子はNikawaらの方法(Nikawa, J. and Kawabata, M. (1998) Nucleic Acids Res. 26. 860-861.)を参考にして、 PCR法により作製した。用いたプライマーは、配列番号12に塩基配列を示すSacACS1-F 、配列番号13に塩基配列を示すACS1ERG10-R 、配列番号14に塩基配列を示すSacACS2-F 、配列番号15に塩基配列を示すACS2ERG10-R 、配列番号16に塩基配列を示すERG10-F1、及び配列番号17に塩基配列を示すXhoERG10-R5 である。
【0060】
PCR 反応液としては 1x KOD-Plus buffer (Toyobo)、0.2 mM dNTPmix、0.25 mM MgSO 、0.4u KOD-Plus DNA ボリメラーゼ(Toyobo)、6 pmol primer1、6pmol primer2、0.1 μg 鋳型DNA (YPH499ゲノムDNA )を含む20μl 溶液を調製し、次のサイクルで1st PCR を行った。
94°C− 2分
94°C− 15 秒, 42°C− 30 秒, 68°C− 2分;25サイクル
68°C− 2分, 4 °C ストック
1st PCR は以下のプライマー(primer1 、primer2 )の組み合わせで行った。それらの場合のPCR 産物名と大きさも同時に示した。
【0061】
Figure 0003918185
続いてACS1とERG10 の融合遺伝子(ACER1 と呼ぶ)を以下の方法で作製した。
前記1st PCR 産物をアガロースゲル電気泳動で精製し、Annealing and extension 反応を次のように行った。1x KOD-Plus buffer(Toyobo)、0.2 mM dNTPmix、0.25 mM MgSO 、0.4u KOD-Plus DNA ボリメラーゼ(Toyobo)、PCR 産物#Aおよび#Cを含む10μl 溶液を調製し、以下の条件でPCR 反応を行った。
94°C− 2分
94°C− 15 秒, 49°C− 30 秒, 68°C− 2分;10サイクル
68°C− 2分, 4 °C ストック
次に、primer1 とprimer2 にSacACS1-F とXhoERG10-R5 を用いて2nd PCR を行った。PCR 反応液として1x KOD-Plus buffer(Toyobo)、0.2 mM dNTPmix、0.25 mM MgSO 、0.4u KOD-Plus DNA ポリメラーゼ(Toyobo)、6 pmol primer1、6pmol primer2、1 μl Annealing and extension 反応液を含む20μl の溶液を調製し、次の温度条件で反応を行った。
94°C− 2分
94°C− 15 秒, 54°C− 30 秒, 68°C− 3.4分;25サイクル
68°C− 4分, 4 °C ストック
2nd PCR 反応により増幅されたACER1 (約3.4kb )をアガロースゲル電気泳動で精製し、Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kit (Invitrogen)を用いてサブクローニングしたベクターをTOPO-ACER1と呼ぶ。
【0062】
ACS2とERG10 の融合遺伝子(ACER2 と呼ぶ)の作製は、上記ACER1 の作成方法と同様にして行った。すなわち前記1st PCR 産物#Bと#Cを用いてAnnealing and extension 反応を行い、続いてprimer1 とprimer2 にSacACS2-F とXhoERG10-R5を用いて2nd PCR を行ってACER2 (約3.4kb )を増幅した。アガロースゲル電気泳動で精製したACER2 をZero Blunt TOPO PCR Cloning Kit によりサブクローニングしたベクターをTOPO-ACER2と呼ぶ。
【0063】
TOPO-ACER1と TOPO-ACER2 について、DNA シークエンシングにより設計通りの塩基配列を持っていることを確認した。
【0064】
TOPO-ACER1と TOPO-ACER2 を制限酵素 Sac II と Xho Iで切断し、アガロースゲル電気泳動で約3.4kb のACER1 とACER2 のDNA 断片をそれぞれ精製した。これらのDNA 断片をpRS436GAP の Sac II-Xho I 切断部位に挿入したものを、それぞれ pRS436ACER1、pRS436ACER2 と呼ぶ。
【0065】
4.ヒドロキシメチルグルタリル CoA 還元酵素遺伝子 HMG1 のサブクローニングおよび発現ベクターの作製
PCR 法でS. cerevisiae の HMG1 遺伝子約3.2kbp断片を増幅した。 PCRプライマーは配列番号18に示す塩基配列を持つプライマーと配列番号19に示す塩基配列を持つプライマーである。鋳型にはS. cerevisiae DBY746 由来のcDNAライブラリQuick-Clone cDNA(Clontech)を使用した。PCR 断片をアガロースゲル電気泳動によって精製した後、 pT7Blue-T(Novagen )へ T/Aライゲーションによりクローニングした。作製したプラスミドを pT7HMG1と呼ぶ。
【0066】
pT7HMG1 を鋳型にして373A DNA sequencer(Perkin Elmer)により塩基配列を決定したところ、HMG1内に、c203t, t426c, t1026c, a1167g, t1248c, g1557a,a1605g, t1820c, a2451g, a2726g, t2787c, g2940aの12ヶ所の PCRエラーが検出された。これら PCRエラーの表記法は、例えば「c203t 」と表記した場合、前記SGD に登録されている塩基配列において、開始コドン atgの aを第一塩基としたときの第203番目の塩基「c」がエラーにより塩基「t」となっていることを示す。他の場合も同様の表記法である。これらPCR エラーのうち、c203t, t1820c, a2726g については、コードしているアミノ酸残基にそれぞれS68F, L607S, H909Rの置換変異が導入されていた。これらの置換変異の表記法は、例えば「S68F」と表記した場合、上記 SGDに登録されている塩基配列に基づくアミノ酸配列において、N末端の Met(一文字表記で「M」)を第1アミノ酸残基としたときの第68番目のアミノ酸残基(一文字表記)「S」がエラーにより「F」となっていることを示す。他の場合も同様の表記法である。その他の PCRエラーは、コードしているアミノ酸残基に変化がないサイレントミューテーションであった。
【0067】
上記 PCRエラーによるアミノ酸置換変異を、部位特異的変異(site-directedmutagenesis)により次のようにして修正した。部位特異的変異は、Promega 発行の Protocols and applications guide, third edition, 1996 Promega, ISBN 1-882274-57-1に記載の方法で行った。pT7HMG1 を制限酵素 Sma I ,Apa L1, Sal Iで切断し、3.2kbpの HMG1 断片をアガロースゲル電気泳動によって調製した。これらの断片を pALTER-1 の Sma I-Sal I切断部位に挿入し、pALHMG1 を作製した。pALHMG1 をアルカリ変性させた後、mutagenic oligo としてHMG1(190-216 )、HMG1(1807-1833 )、HMG1(2713-2739 )の 3種、Repair oligoとしてAmp Repair oligo(Promega )、Knock Out oligo としてTet Knock Out oligo(Promega )をアニーリングさせ、E. coli ES1301 (Promega )に導入した。
そして部位特異的変異が導入されたプラスミドを保持する形質転換体を 125μg/mlのアンピシリンを含む培地で集積培養し、プラスミド DNAを調製した。上記のmutagenic oligo HMG1(190-216 )の塩基配列を配列番号20に、同HMG1(1807-1833 )の塩基配列を配列番号21に、同 HMG1 (2713-2739 )の塩基配列を配列番号22に、それぞれ示す。
【0068】
こうして得られたプラスミド DNAの塩基配列を 373A DNA sequencer により決定したところ、 c203t, t1820c, a2726gの 3ヶ所のエラーはSGD に登録されている配列に修正されていた。この HMG1 内の配列が修正されたプラスミドを、pALHMG106 と呼ぶ。
【0069】
pALHMG106 を制限酵素 Sma Iと Sal Iで切断した後、アガロースゲル電気泳動によって 3.2kbp の HMG1 遺伝子断片を精製した。これを pRS434GAPのSma I-Sal I 切断部位へ挿入した。サブクローン化したプラスミドはXho I 、Spe I 、Nae I 、Sph I の各制限酵素マッピングと、挿入された3.2kbpの HMG1 遺伝子断片のボーダー領域の塩基配列の確認とにより、物理地図をチェックした。そして計画通りに作製できたプラスミドを選抜した。選抜したプラスミドを pRS434HMG1と呼ぶ。
【0070】
5. FPP 合成酵素遺伝子 ERG20 及び GGPP 合成酵素遺伝子 BTS1 のクローニング
S. cerevisiae由来の FPP合成酵素遺伝子 ERG20及びGGPP合成酵素遺伝子BTS1をPCR により増幅した。鋳型にはS. cerevisiae DBY746 由来のcDNAライブラリQuick-Clone cDNA(Clontech)を使用した。用いたPCR プライマーは、配列表の配列番号23に塩基配列を示すSCFPS1、配列番号24に塩基配列を示すSCFPS2、配列番号25に塩基配列を示すSCBTS1、及び配列番号26に塩基配列を示すSCBTS2である。
【0071】
PCR 反応液としては1x ExTaq buffer (Takara)、0.2 mM dNTP 、0.1u ExTaq、10 pmol primer1 、10 pmol primer2 、0.5 ng cDNA を含む50μl 溶液を調製し、次のサイクルでPCR を行った。
94°C− 45 秒, 55°C− 1分, 72°C− 1分;30サイクル
primer1 とprimer2 に、それぞれSCFPS1とSCFPS2、SCBTS1とSCBTS2を用いて、ERG20 遺伝子約1.1kb 断片、BTS1遺伝子約1.0kb 断片がそれぞれ増幅された。増幅したDNA をアガロースゲル電気泳動で精製後、それぞれpT7Blue-T へT/A ライゲーションによりクローニングした。作製したプラスミドDNA を、それぞれpT7ERG20、pT7BTS1 と呼ぶ。
【0072】
6.融合遺伝子 GGF の作製および GGF の発現ベクターの作製
pT7ERG20およびpT7BTS1 を鋳型に用いPCR を行った。使用したPCR プライマーは、配列表の配列番号27に塩基配列を示すSacII-BTS1、配列番号28に塩基配列を示すBTS1-109I 、配列番号29に塩基配列を示す109I-ERG20、及び配列番号30に塩基配列を示すpT7-21である。
【0073】
PCR 反応液としては、1x KOD-Plus buffer(Toyobo)、0.2 mM dNTPmix、0.25 mM MgSO 、1u KOD-Plus DNA ポリメラーゼ(Toyobo)、15 pmol primer1 、15 pmol primer2 、0.01-0.1μg 鋳型DNA を含む50μl 溶液を調製し、次のサイクルで1st PCR を行った。
94°C− 2分
94°C− 15 秒, 55°C− 30 秒, 68°C− 1分;30サイクル
68°C− 2分, 4 °C ストック
1st PCR は以下の鋳型DNA 、プライマー(primer1 、primer2 )の組み合わせで行った。PCR 産物名も同時に示した。
【0074】
Figure 0003918185
PCR 産物#1、#2を制限酵素 Eco O109Iで消化後、#1と#2をライゲーションした。このライゲーション溶液をPCR の鋳型とし、SacII-BTS1と pT7-21 をprimer1とprimer2 に用いて、2nd PCR を1st PCR と同じ条件で行い、2nd PCR 産物 #1-#2を得た。
【0075】
上記PCR 産物 #1-#2を制限酵素 Sac II と Bam HI で切断した後、pRS435GAPのSac II- Bam HI切断部位に挿入し、pRS435GGF とした。
〔実施例2:ACS1およびACS2の発現によるプレニルアルコールの生産〕
1.組換え酵母の作製
実施例1で作製した発現ベクターをFrozen EZ yeast transformation kit(Zymo Research )を用いて酵母へ導入し、組換え酵母を作製した。使用した菌株はS. cereviae YPH499 (ATCC76625, MATa, ura3-52, lys2-801, ade2-101, trp1-delta63, his3-delta200, leu2-delta1)である。遺伝子導入には1 μg のプラスミドDNA を用いた。遺伝子導入を行った菌体をSD選択平板培地〔1.7g/l Yeast Nitrogen Base without amino acid(Difco),20g/l グルコース(Wako),0.77g/l Complete Supplement Mixture(Bio 101)、20g/l Agar(Wako)から、選択マーカー遺伝子に対応するアミノ酸及び/又はヌクレオチドを除いたもの〕に塗沫し、生育したコロニーを更に別のSD選択平板培地にストリークすることにより組換え体を純化し、以後の実験に用いた。
【0076】
2.組換え酵母の培養
組換え酵母は、SD選択培地〔1.7g/l Yeast Nitrogen Base without amino acid(Difco),20g/l glucose ,0.77g/l Complete Supplement Mixture(Bio 101)から、選択マーカー遺伝子に対応するアミノ酸及び/又はヌクレオチドを除いたもの、pH7〕で2 日間、30°Cで前培養した。次いで、25μl の前培養液を2.5mlの YMO7+Ade+NaOAc 培地(0.3 % Yeast extract、0.3 % malt extract 、0.5% peptone、1.0 % glucose 、3 % soybean oil、40mg/l adenine hemisulfate、0.5 % sodium acetate 、0.1 % adecanol-LG109 、pH7.0 )に接種し、30°Cで 4日間、130r.p.m. の回転振盪培養器で培養した。
【0077】
3.培養液からのプレニルアルコールの抽出
上記組換え酵母の培養液から50μl を抜き取り、30倍希釈液にして OD600を測定し、相対的な菌体量を確認した。残りの培養液に2.5ml のメタノールを加えて混合し、更に約 5mlのペンタンを加えてボルテックスミキサーで激しく攪拌した後に静置した。そしてペンタン層を新しいガラス試験管にとり、ドラフト中でペンタンを気化させて溶質成分を濃縮した後、内部標準物質として 1.0ml/lウンデカノールを10μl 加え、GC/MS 用サンプルとした。
【0078】
4. GC/MS 解析
上記のペンタン抽出画分を HP6890/5973 GC/MSシステム(Hewlett-Packard )を用いて分離、同定、定量した。使用したカラムは HP-5MS (0.25mm×30m 、フィルム厚0.25μm )であり、分析条件は以下の通りである。
温度条件:注入口温度 250°C,検出器温度 260°C
MSゾーン温度:MS Quad 150 °C,MSソース 230 °C,マススキャンレンジ35-200 。
注入条件:自動注入モード,サンプル量 2μl ,スプリット比 1/20 ,キャリアガス;ヘリウム 1.0ml/ 分,ソルベントディレイ 2分。
昇温設定: 115°C, 90秒− 250°Cまで昇温(70°C/分)−250 °C, 2 分− 300°Cまで昇温(70°C/分)−300 °C, 7 分。ポストタイム 0。
標準物質:内部標準;0.01μl 1−ウンデカノール。標準物質;(E)-nerolidol(Eisai) ,(all-E)-farnesol(Sigma) ,(all-E)-geranylgeraniol(Eisai),squalene(Tokyo Kasei Kogyo) 。
【0079】
5. ACS1 および ACS2 の発現によるプレニルアルコールの生産
YPH499にPRS434HMG1を導入した株をYH1 と呼ぶ。YH1 にpRS435GGF を導入した株をGYH1と呼ぶ。GYH1にp RS436ACS1 またはpRS436ACS2を導入した株を、それぞれAGYH1 およびAGYH2 と呼ぶ。YH1 、GYH1、AGYH1 およびAGYH2 のプレニルアルコール生産性を前記の方法で測定した結果を表1に示す。
【0080】
【表1】
Figure 0003918185
HMG1のみを発現したYH1 ではGGOHの生産は検出されなかった。YH1 でGGPP合成酵素遺伝子BTS1とFPP 合成酵素遺伝子ERG20 の融合遺伝子GGF を発現したGYH1ではGGOHが生産されるようになった(14.9mg/l)。GYH1でACS1、ACS2を発現したAGYH1 、AGYH2 ではGGOHの生産性が向上した。単位菌体当たりのGGOH生産性(GGOH/OD600)は、ACS1を発現した場合はGYH1の1.5 倍に、ACS2を発現した場合
はGYH1の1.3 倍に向上した。
【0081】
〔実施例3:融合遺伝子の発現によるプレニルアルコールの生産〕
実施例2で述べたGYH1に、ACER1 またはACER2 を導入した株をそれぞれAEGYH1、AEGYH2と呼ぶ。YH1 、GYH1、AEGYH1およびAEGYH2をYMO7+Ade( 0.3% Yeast extract、0.3 % malt extract 、0.5 % peptone、1.0 % glucose、3 % soybean oil、40mg/l adenine hemisulfate、0.1 % adecanol-LG109 、pH7.0 )で培養し、実施例2 で述べた方法によりプレニルアルコールの生産性を測定した結果を表2に示す。
【0082】
【表2】
Figure 0003918185
HMG1のみを発現したYH1 ではGGOHの生産は検出されなかった。YH1 でGGPP合成酵素遺伝子BTS1とFPP 合成酵素遺伝子ERG20 の融合遺伝子GGF を発現したGYH1ではGGOHが生産されるようになった(6.7 mg/l)。GYH1で融合遺伝子ACER1 、ACER2を発現したAEGYH1、AEGYH2ではGGOHの生産性が更に向上した。単位菌体当たりのGGOH生産性(GGOH/OD600)は、ACER1 を発現した場合はGYH1の1.5 倍に、ACER2を発現した場合はGYH1の1.3 倍に向上した。
【0083】
〔実施例4:アセチルCoA 合成酵素活性の測定〕
アセチル CoA 合成酵素( ACS )比活性の測定
組換え酵母の粗酵素液は次のようにして調製した。組換え酵母をSD選択培地でOD600 が 2.5〜3.5 程度になるまで(約1日間)培養し、遠心分離(5,000X g、10分)により集菌した。 菌体を洗浄バッファ(100mMリン酸カリウム、2mM MgCl、pH7.5 、4 °C)で洗い、洗浄バッファに1mM DTT を加えた抽出バッファ300μl に菌体を懸濁した。ここにacid washed glass beads(Sigma)を約200 μl 量加え、ボルテックスミキサーにて激しく撹拌(10min, 4°C)して菌体を破砕した。更に300 μl の抽出バッファを加えた菌体破砕液を遠心分離(15,000rpm, 15min, 4 °C)し、透明な上澄を粗酵素液とした。粗酵素液のタンパク質濃度をBio-Rad Protein Assay(Bio-Rad)でBSA を標準タンパク質として測定した。
【0084】
ACS 活性は F- キット 酢酸(Roche) を利用して測定した。溶液I(トリエタノールアミンバッファー(pH8.4), L-リンゴ酸、MgCl 溶液)300μl 、溶液II(ATP, CoA, NAD溶液)60 μl 、溶液III(リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、クエン酸合成酵素溶液)3μl 、粗酵素液200 μl 及び milli Q 337μl を混合してキュベットに入れ、30°Cで3 分間保温し、そこに1Mの酢酸カリウム(pH8.4 )を100 μl 加えて反応を開始した(30°C)。反応開始後1 分間の波長340nm の吸光度変化(△A340)を計測し、NADHの吸光係数(6.3/mM/cm )と粗酵素液のタンパク質濃度(mg protein/ml) とを用いてACS 比活性(mU/ mg protein)を算出した。なお、1 μmol/min のNADHを生成する酵素量を1Uとした。
【0085】
pRS436ACS1およびpRS436ACS2をそれぞれYPH499に導入し、ACS 酵素活性を測定した結果を表3に示す。ACS1およびACS2の発現によりACS 比活性はYPH499に比べてそれぞれ2.0 倍、1.7 倍に上昇した。
【0086】
【表3】
Figure 0003918185
ACS1およびACS2と、アセチルCoA アセチルトランスフェラーゼ遺伝子ERG10 との融合遺伝子であるACER1 およびACER2 を導入した株のACS 活性を測定するために、GYH1、AEGYH1およびAEGYH2のACS 活性を測定した結果を表4 に示す。
【0087】
【表4】
Figure 0003918185
ACER1 およびACER2 の発現によりACS 比活性はGYH1に比べてそれぞれ1.8 倍、1.1 倍に上昇した。以上の結果から、ACS1、ACS2、ACER1 およびACER2 の発現により、実際にACS 酵素活性が上昇していることが確かめられた。
【配列表】
Figure 0003918185
Figure 0003918185
Figure 0003918185
Figure 0003918185
Figure 0003918185
Figure 0003918185
Figure 0003918185
Figure 0003918185
Figure 0003918185
Figure 0003918185
Figure 0003918185
Figure 0003918185
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  1. アセチルCoA 合成酵素遺伝子を導入又は発現強化した酵母を培養し、その培養物からプレニルアルコールを採取することを特徴とするプレニルアルコールの製造方法。
  2. アセチルCoA 合成酵素遺伝子と、プレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子とを導入又は発現強化した酵母を培養し、その培養物からプレニルアルコールを採取することを特徴とするプレニルアルコールの製造方法。
  3. 前記アセチルCoA 合成酵素遺伝子とプレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子とが、融合遺伝子として導入又は発現強化されていることを特徴とする請求項2に記載のプレニルアルコールの製造方法。
  4. 前記プレニル二リン酸生合成経路に関与する酵素の遺伝子が、アセチルCoA アセチルトランスフェラーゼ遺伝子であることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のプレニルアルコールの製造方法。
  5. 前記プレニルアルコールが、ゲラニオール、ファルネソール、ゲラニルゲラニオール、ゲラニルファルネソール、ヘキサプレニルアルコール、ヘプタプレニルアルコール、オクタプレニルアルコール、ノナプレニルアルコール、デカプレニルアルコール、ウンデカプレニルアルコール又はドデカプレニルアルコールから選ばれる1種又は2種以上のプレニルアルコールであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のプレニルアルコールの製造方法。
  6. 前記アセチルCoA 合成酵素遺伝子が、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のACS1又はACS2であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のプレニルアルコールの製造方法。
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