JP2005052046A - プレニルアルコールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生産効率に優れたプレニルアルコールの製造方法を提供する。
【解決手段】 HMG-CoA還元酵素、ファルネシル二リン酸合成酵素、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素及びフォスファチジン酸フォスファターゼからなる群から選択される1又は複数の酵素の活性を増強させた細胞を、エタノールを存在させる条件下で培養し、培養物中にプレニルアルコール及び糖を蓄積させ、培養物中からプレニルアルコールを回収する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、細胞を培養し、培養物中にプレニルアルコール及び糖を蓄積させ、得られた培養物からプレニルアルコールを回収するプレニルアルコールの製造方法に関する。
プレニルアルコールは、ピルビン酸よりアセチル-CoAとメバロン酸を経るメバロン酸経路と、ピルビン酸よりグリセルアルデヒド三リン酸を経る非メバロン酸経路とによって合成される。ファルネソールやゲラニルゲラニオール等のプレニルアルコールは、香料として用いられる精油中の芳香物質として知られるが、薬理作用物質として有用な種々のテルペノイドの他、トコフェロール、カロチノイドをはじめとするビタミン類の合成出発物質としてもまた重要な物質である。
従来、プレニルアルコールの生産性を向上させる試みとしては、上述した代謝経路の酵素を強化したり、変異導入して酵素の特異性を改変するといった手法が取られてきた。例えば、特許文献1及び2には、メバロン酸合成経路に関与するチオラーゼ(ERG10)、HMG-CoA合成酵素(HMGS)及びHMG-CoA還元酵素(HMG1)を酵母に発現させたところ、ファルネソールが顕著に生産されることが開示されている。
しかしながら、グルコース等の炭素源からの変換率は著しく低く、殆どの炭素源はプレニルアルコールの生合成以外の代謝経路に使用されている。したがって、培地に含まれる炭素源をプレニルアルコールの生合成に効果的に使用できれば、生産効率に優れたプレニルアルコールの製造方法として大いに期待できるが、現在そのような報告例はない。
また、従来、微生物を含めた細胞を用いたプレニルアルコールの製造方法においては、細胞及びプレニルアルコール抽出後の残査には糖分が少なく、残査の再利用が難しい。この原因としては、培地成分に含まれるグルコース等は資化しやすく、培養中にほとんど完全に微生物に取りこまれ栄養源として利用されてしまうことが考えられる。そのため、量産規模で培養し、プレニルアルコールを生産した場合には、大量の残査及び菌体が残り廃棄に非常に費用がかかるといった問題がある。
このように、プレニルアルコールの生産性を向上させるため、簡易に且つ、十分な生産効率を達成できるプレニルアルコールの製造方法は確立されていない。さらに、培養物中からのプレニルアルコール抽出後の残査を再利用することは、今日まで例はない。
特表2002-519397号公報 特表2002-519049号公報
そこで、本発明は、上述した実状に鑑み、培養物中にプレニルアルコール及び糖を蓄積させ、プレニルアルコールを製造する方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成した本発明は以下を包含する。
(1)HMG-CoA還元酵素、ファルネシル二リン酸合成酵素、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素及びフォスファチジン酸フォスファターゼからなる群から選択される1又は複数の酵素の活性を増強させた細胞を、エタノールを存在させる条件下で培養し、培養物中にプレニルアルコール及び糖を蓄積させ、培養物中からプレニルアルコールを回収するプレニルアルコールの製造方法。
(2)プレニルアルコール回収後に、さらに培養物中から糖を回収することを含む、(1)記載のプレニルアルコールの製造方法。
(3)プレニルアルコール回収後の残査が培地、食品又は飼料に利用可能であることを特徴とする(1)記載のプレニルアルコールの製造方法。
(4)1又は複数の上記酵素遺伝子を過剰発現させた細胞を用いることを特徴とする(1)記載のプレニルアルコールの製造方法。
(5)上記酵素遺伝子を融合タンパク質コード遺伝子として細胞に導入することで2以上の上記酵素遺伝子を過剰発現させることを特徴とする(4)記載のプレニルアルコールの製造方法。
(6)1又は複数の上記酵素遺伝子の転写を増加させることで、上記酵素の活性を増強させることを特徴とする(1)記載のプレニルアルコールの製造方法。
(7)1又は複数の上記酵素遺伝子の翻訳効率を増加させることで、上記酵素の活性を増強させることを特徴とする(1)記載のプレニルアルコールの製造方法。
(8)上記エタノールを培養開始から5〜100時間後に培地に添加することを特徴する(1)記載のプレニルアルコールの製造方法。
(9)上記エタノールは、0.01〜10%の濃度で存在することを特徴とする(1)記載のプレニルアルコールの製造方法。
本発明に係るプレニルアルコールの製造方法では、細胞におけるプレニルアルコール及び糖の生産性を向上させることができ、培養物中にプレニルアルコール及び糖を蓄積できることから、各種の分野で有用なプレニルアルコール及び糖を優れた生産性で製造できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るプレニルアルコールの製造方法は、HMG-CoA還元酵素、ファルネシル二リン酸合成酵素、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素及びフォスファチジン酸フォスファターゼからなる群から選択される1又は複数の酵素の活性を増強させた細胞を、エタノールを存在させる条件下で培養し、当該細胞のプレニルアルコール及び糖の生産能を亢進させ、培養物中にプレニルアルコール及び糖を蓄積させ、プレニルアルコールを回収するものである。本発明において、プレニルアルコールとは、ファルネソール、ゲラニルゲラニオール、ネロリドール、リナロール、ゲラニオール及びゲラニルリナロール等を意味する。また、糖とは、グルコース、トレハロース、マルトース、マンニトール及びイノシトール等を意味する。本発明によれば、これらプレニルアルコールのうち少なくとも1種及びこれら糖のうち少なくとも1種の生産性を向上することができる。
本発明においては、プレニルアルコールを生合成する代謝経路と糖新生する経路とを併せ持つ細胞を対象としている。プレニルアルコールを合成する代謝経路では、図1に示すように、グルコース、エタノール、脂質等から合成されたアセチル-CoAとアセトアセチル-CoAからメバロン酸を経てイソペンテニル二リン酸が合成される。イソペンテニル二リン酸は、さらにイソペンテニルピロリン酸イソメラーゼによりジメチルアリル二リン酸に異性化される。また、図1に示すように、1分子のジメチルアリル二リン酸と2分子のイソペンテニル二リン酸とが縮合反応してゲラニル二リン酸が合成され、更に1分子のイソペンテニル二リン酸が反応してファルネシル二リン酸が合成され、さらにこれに1分子のイソペンテニル二リン酸が反応してゲラニルゲラニル二リン酸が順次合成される。プレニルアルコールであるファルネソールとネロリドールはファルネシル二リン酸から合成され、また、ゲラニルゲラニオールはゲラニルゲラニル二リン酸から合成される。一方、ファルネシル二リン酸は、図1に示すように、スクアレン合成酵素によりスクアレンに変換される。スクアレンは、ステロイドの前駆体物質であり、酵母、カビ類の場合は最終的にエルゴステロールに変換される。
このプレニルアルコール合成経路において、HMG-CoA還元酵素は、ヒドロキシメチルグルタリルCoA(以下、「HMG-CoA」)をメバロン酸に変換する。ファルネシル二リン酸合成酵素は、ゲラニル二リン酸をイソペンテニル二リン酸と縮合させてファルネシル二リン酸に変換する。ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素は、ファルネシル二リン酸をイソペンテニル二リン酸と縮合させてゲラニルゲラニル二リン酸に変換する。また、フォスファチジン酸フォスファターゼは、本来はジアシルグリセロール二リン酸の脱リン酸化酵素である(David A. et. al., J.B.C., 273, 6, 3278-3284 (1998))が、ファルネシル二リン酸、ゲラニルゲラニル二リン酸をそれぞれファルネソール、ゲラニルゲラニオールに変換することが知られている(Alexander F., J.B.C., 274, 21, 14831-14837 (1999))。
一方、図1に示すように、糖を生合成する経路は、アセチルCoAがグリオキシル酸サイクルによりオキザロ酢酸に変換され、さらにフォスフォエノールピルビン酸キナーゼによりフォスフォエノールピルビン酸に変換される。フォスフォエノールピルビン酸は、解糖系の生合成経路を逆にたどり、グルコース等の糖が合成される。アセチルCoAは、糖、脂質、エタノールなどから供給されるが、エタノール発酵を行う酵母では培養後期に蓄積されたエタノールの分解により供給される。
なお、図1並びに以下の説明において、各化合物を以下のように略記する場合もある。
イソペンテニル二リン酸(isopentenyl diphosphate;IPP)
ジメチルアリル二リン酸(dimethylallyl diphosphate;DMAPP)
ゲラニル二リン酸(geranyl diphosphate;GPP)
ファルネシル二リン酸(farnesyl diphosphate;FPP)
ファルネソール(farnesol;FOH)
ネロリドール(nerolidol;NOH)
ゲラニルゲラニル二リン酸(geranylgeranyl diphosphate;GGPP)
ゲラニルゲラニオール(geranylgeraniol;GGOH)
本方法においては、HMG-CoA還元酵素、ファルネシル二リン酸合成酵素、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素及びフォスファチジン酸フォスファターゼからなる群から選択される1又は複数の酵素(以下、「プレニルアルコール生合成関連酵素」という)の活性を増強させる条件下で細胞を培養する。ここで、プレニルアルコール生合成関連酵素活性を増強させる方法としては、
1.プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子導入株を用いる
2.プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子の転写を増加する
3.プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子の翻訳を増加する
方法が挙げられる。
1.プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子導入株を用いる方法
本発明において、プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子導入株とは、プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を導入することでプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を過剰発現させた細胞を意味する。
プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子導入株は、プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を大腸菌等に由来するベクターに組込み、次に得られた組換えベクターで宿主を形質転換することで得られる。プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を挿入するためのベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えばプラスミド、シャトルベクター、ヘルパープラスミドなどが挙げられる。また該ベクター自体に複製能がない場合には、宿主の染色体に挿入することなどによって複製可能となるDNA断片であってもよい。
プラスミドDNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えばpET30bなどのpET系、pBR322およびpBR325などのpBR系、pUC118、pUC119、pUC18およびpUC19などのpUC系、pBluescript等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13などのYEp系、YCp50などのYCp系等)などが挙げられる。またファージDNAとしては、λファージ(Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP等)が挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、カリフラワーモザイクウイルスなどの植物ウイルス、またはバキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
ベクターにプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を挿入するには、まず適当な制限酵素でプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子のcDNAを切断し、次いで適当なベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法が用いられる。またベクターとプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子のcDNAのそれぞれ一部に相同な領域を持たせることにより、PCRなどを用いたin vitro法または酵母などを用いたin vivo法によって両者を連結する方法であってもよい。
酵母へのプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を有する組換えベクターの導入方法は、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられる。
また、細菌へのプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を有する組換えベクターの導入方法は、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
動物細胞を宿主とする場合は、サル細胞COS-7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウスL細胞などが用いられる。動物細胞へのプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を有する組換えベクターの導入方法としては、動物細胞にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9細胞などが用いられる。昆虫細胞へのプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を有する組換えベクターの導入方法としては、昆虫細胞にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。
植物を宿主とする場合は、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)又は植物培養細胞などが用いられる。植物へのプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を有するベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法およびPEG法等が挙げられる。
一方、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等によって、プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子が宿主に組み込まれたか否かの確認を行うことができる。例えば、形質転換体からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。次いで、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして1本のバンドとして増幅産物を検出することにより、形質転換されたことを確認する。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光又は酵素反応等により増幅産物を確認する方法を採用してもよい。
また、プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子、すなわちHMG-CoA還元酵素遺伝子、ファルネシル二リン酸合成酵素遺伝子、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素遺伝子及びフォスファチジン酸フォスファターゼ遺伝子のいずれかを組合せて融合タンパク質コード遺伝子として宿主に導入することもできる。このようにして融合タンパク質コード遺伝子を導入されたプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子導入株は、2以上のプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を同時に過剰発現することができる。
融合タンパク質コード遺伝子の作製は、例えば2以上のプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子をPCRなどにより連結することによって作製される。この融合タンパク質コード遺伝子を上述した方法で同様に、ベクターに導入し、さらに宿主に形質転換することできる。
さらに、宿主が酵母である場合には、同じ及び/又は別々のプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を導入した一倍体株を掛け合わせることで二倍化する。この二倍体化により、それぞれの株が有していたプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を同時に発現することができる。
二倍体化の方法としては、Mat α株及びMat a株をそれぞれ培養し、アガロースプレート上で等量混合し、6時間から一晩培養する方法が挙げられる。二倍体化されたか否かは、胞子形成培地にプレーティングし、25℃で3〜5日間プレート培養した後に、顕微鏡で観察して二倍体化した株は10〜20%が四胞子形成していることから判る。
なお、二倍体化の宿主として用いることができる酵母としては、サッカロマイセス・セレビシアエYPH499株、YPH500株、SEY6210株(ATCC96099)、SEY6211株(ATCC 96100)、SHY1株(ATCC44769)、SHY2株(ATCC44770)、SHY3株(ATCC44771)、SHY4株(ATCC44772)、DB746株(ATCC44773)、DBY747株(ATCC44774)、TD4株(ATCC90833)、DY150株(ATCC96029)、FY833株(ATCC90844)、FY834株(ATCC90845)、W303及びA451などを挙げることができる。
2.プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子の転写を増加する方法
プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子の転写を増加する方法としては、対象となる細胞におけるプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子の転写プロモーター領域を誘導性プロモーターで置換してなる変異型細胞を調製し、当該変化型細胞を誘導条件で培養する方法が挙げられる。具体的には、誘導性プロモーターとして、例えば、酸性フォスファターゼ(PH05)プロモーター、ガラクトース誘導性のGAL1、GAL7、GAL10プロモーター、メリビアーゼ(MEL1)プロモーター、銅メタロチオネイン(CUP1)プロモーター及びヒートショックエレメント(HSE)プロモーターを使用することができる。
また、非誘導性プロモーターを用いて、恒常的にプレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子を発現し、プレニルアルコールを生産することもできる。このような方法に用いるプロモーターとしては、例えばアルコール脱水素酵素(ADH1)プロモーター、エノラーゼ(ENO)プロモーター、フォスフォグリセレートキナーゼ(PGK1)プロモーター、グリセロアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(GAP491)プロモーター、トリオースリン酸イソメラーゼ(TP1)プロモーター及びピルビン酸キナーゼ(PYK)プロモーターなどが挙げられる。
3.プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子の翻訳を増加する方法
プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子の翻訳を増加する方法としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシアエに最適なコドンユーセージにする方法、ATG開始コドン周辺配列の改良(例えばコザック配列((A/G)CCATGG))、発現量の多いタンパク質コード遺伝子を5'側に融合する方法、及び3'非翻訳領域を改良してmRNAの安定性を増加させる方法等が挙げられる。
上記1〜3の方法において、対象となる細胞としてはプレニルアルコールを生合成する代謝経路と糖新生する経路とを併せ持つ細胞であれば特に限定されない。
対象となる細胞/その細胞が有するHMG-CoA還元酵素としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシアエ/HMG-1、ホモ・サピエンス/HMGCR、ラクトコッカス・ラクティス/mvaA、シゾサッカロマイセス・ポンベ/HMG1、スタフィロコッカス・アウレウス/mvaA、ストレプトコッカス・ピロジェネス/mvaS.1、ストレプトコッカス・ミュータンス/mvaA、ハロバクテリウム/mvaA及びストレプトコッカス・ニューモニアエ/mvaA等を挙げることができる。
また対象となる細胞/その細胞が有するファルネシル二リン酸合成酵素としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシアエ/ERG20、大腸菌/TSPA、ホモ・サピエンス/fdps、ラタス・ノルヴェジカス/fdps等を挙げることができる。
さらに、対象となる細胞/その細胞が有するゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素としては、例えば、サッカロマイセス・セレビシアエ/BTS1、エルビニア・ウレドボラ/crtE、シネユシスティス/crtE、スルフォロバス・ソルファタリカス/gdS-1、サーモシネココッカス・エロンガタス/crtE及びホモ・サピエンス/GGPS1等を挙げることができる。
また、対象となる細胞/その細胞が有するフォスファチジン酸フォスファターゼとしては、例えば、サッカロマイセス・セレビシアエ/DPP1、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)/AtPAP1及びラット(R. norvegicus)/PAP2等を挙げることができる。
細胞を培養する培地としては、特に限定されず、上述した細胞の種類に応じて適宜選択すればよい。細胞としてサッカロマイセス・セレビシアエを用いる場合、例えば、YM培地を使用することができる。
また、培地にテルペノイド、油脂、界面活性剤等を添加したり、培地中の窒素源や炭素源濃度を高くすることで、プレニルアルコールの生産効率をさらに高めることもできる。これらの添加剤としては以下のものを例示できる。
テルペノイド:スクアレン、トコフェロール、IPP、DMAPP
油脂:大豆油、魚油、アーモンド油、オリーブ油
界面活性剤:タージトール、トリトンX-305、スパン85、アデカノールLG-109(旭電化製)、アデカノールLG-294(旭電化製)、アデカノールLG-295S (旭電化製)、アデカノールLG-297 (旭電化製)、アデカノールB-3009A (旭電化製)、アデカプロニックL-61 (旭電化製)
一方、本方法において、培地は、エタノールを含有する。エタノールは培地に予め含有されていてもよいが、培養後期に培地に添加されることが好ましい。ここで、培養後期とは、好ましくは培養開始から5〜100時間後、より好ましくは10〜50時間後、最も好ましくは20〜40時間後である。また培地は、エタノールを好ましくは0.01〜10%、より好ましくは0.01〜5%、最も好ましくは0.01〜0.5%の濃度で含有する。
さらに、エタノールは、培養時に培地に連続的に添加することできる。エタノールの添加速度は、培養液1L当たり0.1〜5g/h、好ましくは培養液1L当たり0.5〜2g/hである。
一方、エタノールは、発酵にとってマイナス要因であり、培地中にはできる限り存在しないことが望ましい。他方、本方法においては、エタノールはプレニルアルコール及び糖生産のための原料である。従って、より好ましくは、培養液中のエタノール濃度を常時モニターし、エタノールの消費と供給のバランスを取りながら、培地中のエタノール濃度が0%〜10%、好ましくは0%に限りなく近くなるように、培養液1L当たり0.5〜2g/hでエタノールを添加する。
本方法においては、細胞を、プレニルアルコール生合成関連酵素活性を増強させ、エタノールを存在させる条件下で培養し、得られる培養物からプレニルアルコールを採取することができる。「培養物」とは、培養上清のほか、培養細胞若しくは培養菌体自体又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。
本方法においては、プレニルアルコールを高収率で生産することができる。なお、プレニルアルコールを大量培養するには、ジャーファーメンター培養装置等を用いることもできる。培養後、プレニルアルコールが菌体内又は細胞内に生産される場合には、ホモジナイザー処理などを施して菌体又は細胞を破砕することによりプレニルアルコールを採取する。また、細胞を破砕せずに有機溶媒等で直接抽出してもよい。あるいは、プレニルアルコールが菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、有機溶媒による抽出等により前記培養物中からプレニルアルコールを採取し、必要に応じてさらに各種クロマトグラフィー等を用いて単離精製することができる。
さらに本方法においては、プレニルアルコールに加えて糖を高収率で生産させ、蓄積させることができる。これら糖は、培養物からのプレニルアルコールの回収後に抽出し、単離精製することができる。糖の抽出及び単離精製方法としては、プレニルアルコールを抽出した培養液を活性炭、さらにはイオン交換樹脂で精製した後に減圧濃縮し、結晶化させるか、又はエタノール、イソプロパノール等を加えて沈殿させる方法が挙げられる。さらに、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過などにより、より純度の高い糖を精製することができる。なお、これら糖は、培養物からのプレニルアルコールの抽出残査中に含まれることとなる。従って、培養物中からのプレニルアルコールの抽出後の残査を糖含有物として、直接使用することができる。
プレニルアルコール回収後の残査は、例えば培地、食品又は飼料に利用することができる。特に、トレハロース及びイノシトール等の糖を含む残査は、例えば、栄養食品、栄養補助食品、粉ミルクなどの食品添加剤、ニワトリ、牛、豚などの家畜用飼料添加剤、ハマチ、エビなどの養殖魚用飼料添加剤及び犬、猫などのペットフード用添加剤として利用することができる。
図1に示した代謝経路から判るように、プレニルアルコール生合成関連酵素、すなわち、HMG-CoA還元酵素、ファルネシル二リン酸合成酵素、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素及びフォスファチジン酸フォスファターゼは、プレニルアルコール生合成の律束酵素である。したがって、これらの酵素の活性を増強させた場合、プレニルアルコールの生合成がより強く進行することとなる。従って、本方法によれば、図1における代謝経路において、プレニルアルコールの生合成が強く進行し、プレニルアルコールの生産効率が向上することとなる。
さらに、図1に示すように、培地にエタノールを添加することで、プレニルアルコールの原料であるアセチルCoAが供給されると同時にグリオキシル酸サイクルによりオキザロ酢酸を経て糖が合成される。特に、トレハロースは酵母の貯蔵糖で培養後期に蓄積される。ここで、培養後期にC源としてグルコースを用いると解糖系によってすみやかに分解されてしまうが、エタノールを用いると糖新生の原料として使用される。なお、エタノールは菌の生育を阻害するため、ある程度、菌が増殖した培養中後期に添加することが好ましい。
一般に、アミノ酸を始めとする生育上極めて重要な一次代謝産物では、当該産物の合成反応に直接関与する遺伝子を強化又は抑制することによって、当該産物の生産性を向上させる試みが行われ成果を出している。しかしながら、プレニルアルコール等の二次代謝産物においては、その合成経路の強化又は抑制を行っても、原料物質が一次代謝産物等の合成に消費されることが多く、生産性を向上させることが困難である。すなわち、プレニルアルコール生合成関連酵素の活性を亢進しても、プレニルアルコールの生合成が強化される蓋然性は低いといえる。
本発明においては、HMG-CoA還元酵素、ファルネシル二リン酸合成酵素、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素及びフォスファチジン酸フォスファターゼからなる群から選択される1又は複数の酵素の活性を増強させることに加えて、エタノールを存在させる条件下で、プレニルアルコール及び糖の生産性をより向上させることができることを実証した。
以下、実施例を用いて本発明に係るプレニルアルコールの製造方法をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
プレニルアルコール生合成関連酵素遺伝子のクローニング
1-1) ファルネシルピロリン酸合成酵素遺伝子(FPS)ERG20のクローニング
ファルネシルピロリン酸合成酵素遺伝子(FPS)ERG20をクローニングするために、サッカロマイセス・セレビシアエDBY746由来のcDNAライブラリー「Quick-Clone cDNA」(Clonetech社製)を鋳型として以下のプライマーを用いて、以下の条件下でPCRを実施した。
プライマー;
プライマー1(SCFPS1):5'-ATG GCT TCA GAA AAA GAA ATT AG-3'(配列番号1)
プライマー2(SCFPS 2):5'-CTA TTT GCT TCT CTT GTA AAC TT-3'(配列番号2)
PCR反応液組成;
10X ExTaqバッファー(宝酒造):5μl、2.5mM dNTPmix:4μl、5U/μl ExTaq(宝酒造):1μl、プライマー1:10pmol、プライマー2:10pmol及び鋳型DNA:0.1μgを含む50μl溶液
反応条件;
(94℃ 45秒、55℃ 1分、72℃ 2分) X 30サイクル
なお、下記のPCRは特別な記載がない限り上記と同様の条件で行った。増幅したPCR断片をアガロースゲル電気泳動で精製後、pT7Blue-T(Novagen, Madison, WI)へT/Aライゲーションによりクローニングした。
次いで、Saccharomyces cerevisiae genome data base(http://genome-www.stanford.edu/Saccharomyces/)にあるERG20の塩基配列と比較したところPCRエラーは存在しなかった。なお、作製したプラスミドDNAをpT7ERG20と命名した。
1-2) ゲラニルゲラニルピロリン酸合成酵素遺伝子BTS1のクローニング
ゲラニルゲラニルピロリン酸合成酵素遺伝子BTS1をクローニングするために、以下のプライマーを用いて上記ERG20の場合と同様にPCRを行った。
プライマー;
プライマー1:5'-ATG GAG GCC AAG ATA GAT GAG CT-3'(配列番号3)
プライマー2:5'-TCA CAA TTC GGA TAA GTG GTC TA-3'(配列番号4)
PCRは、Perfect Match (Stratagene社製)を使用した。次いで増幅した約1.0kbのPCR断片をpT7Blue-TベクターにT/Aクローニングし、BTS1領域の塩基配列を決定した。その結果、GenBank(http://www.neb.nih.gov/Genbank/index.html)に登録されているBTS1配列と完全に一致し、サッカロマイセス・セレビシアエ由来の遺伝子であることを確認した。さらに、BTS1遺伝子がクローニングされたpT7Blue-TベクターをBamH1とSal 1とで消化し、BTS1遺伝子を含むBamH1-Sal 1断片をpYES2ベクター(Invitrogen社製)のBamH1、Xho1部位に導入した。作製したプラスミドDNAをpYES-GGPS6と命名した。
1-3) HMG-CoA還元酵素遺伝子HMG1のクローニング
HMG-CoA還元酵素遺伝子HMG1をクローニングするために、以下のプライマーを用いて上記ERG20の場合と同様にPCRを行った。
プライマー;
プライマー1:5'-ATG CCG CCG CTA TTC AAG GGA CT-3'(配列番号5)
プライマー2:5'-TTA GGA TTT AAT GCA GGT GAC GG-3'(配列番号6)
PCRは、Perfect Match (Stratagene社製)を使用した。増幅した約3.2kbのPCR断片をpT7Blue-TベクターにT/Aクローニングし、HMG1領域の塩基配列を決定した。その結果、GenBank(http://www.neb.nih.gov/Genbank/index.html)に登録されているサッカロマイセス・セレビシアエ由来のHMG1遺伝子配列と比較したところ12ヶ所で違いが見られた。この内の3ヶ所はアミノ酸配列に影響する変異であった(S68F、L607S及びH909R)。作製したプラスミドDNAをpT7HMG1と命名した。
次にPCRエラーを修正するため、pT7HMG1をSma1、ApaL1、Sal1で切断し、3.2kbp断片をアガロース電気泳動で調製した。この断片をpALTER-1(Promega)ベクターのSma1-Sal1部位に挿入しpALHMG1を作製した。さらに、pALHMG1をアルカリ変性して、1本鎖にした後、下記の変異導入オリゴ、Amp repair oligo(Promega)、Tet knockout oligo(Promega)をアニーリングさせた。
プライマー;
プライマー1:5'-CCA AAT AAA GAC TCC AAC ACT CTA TTT-3'(配列番号7)
プライマー2:5'-GAA TTA GAA GCA TTA TTA AGT AGT GGA-3'(配列番号8)
プライマー3:5'-GGA TTT AAC GCA CAT GCA GCT AAT TTA-3'(配列番号9)
オリゴをアニーリングさせた1本鎖pALHMG1にT4DNAポリメラーゼを作用させ、2本鎖にし、大腸菌ES1301株(Promega)に導入した後、125μg/mlアンピシリンで部位特異的変異が導入されたプラスミドを保持する形質転換体を集積培養し、プラスミドDNAを調製した。得られたプラスミドのDNA配列を解析したところ、上記のアミノ酸配列に影響する3ヶ所のPCRエラーが修正されていた。このプラスミドをpALHMG106と命名した。
1-4) フォスファチジン酸フォスファターゼ遺伝子DPP1のクローニング
フォスファチジン酸フォスファターゼ遺伝子DPP1をクローニングするために、以下のプライマー及び鋳型としてサッカロマイセス・セレビシアエ(Stratagene社製)cDNAを用いたPCRによってDPP1遺伝子をクローニングした。
プライマー;
プライマー1:5'-CCG CGG ATG AAC AGA GTT TCG TTT-3'(配列番号10)
プライマー2:5'-CTC GAG TTA CAA CCT TCA TCG GA-3'(配列番号11)
次いで増幅された0.9kbのPCR断片をアガロースゲル電気泳動で精製した後、pMCR2.1-TOPOへ連結した。配列決定分析を行いPCRエラーがないことを確認した。作製したプラスミドをpCR-DPP1と命名した。
〔実施例2〕
ゲノムインテグレーションベクターの構築
2-1) pRS406Tcyc、pRS405Tcyc及びpRS404Tcycの作製(pRSベクターへのCYC1t断片の挿入)
CYC1転写ターミネーターCYC1t断片をPCRで調製した。以下の条件下で、以下の組み合わせのプライマーを用いてPCRを行った。
1. CYC1t-XK
XhoI-Tcyc1FW:5'-TGC ATC TCG AGG GCC GCA TCA TGT AAT TAG-3'(配列番号12)
KpnI-Tcyc1RV:5'-CAT TAG GTA CCG GCC GCA AAT TAA AGC CTT CG-3'(配列番号13)
2. CYC1tXA
XhoI-Tcyc1FW:5'-TGC ATC TCG AGG GCC GCA TCA TGT AAT TAG-3'(配列番号14)
ApaI-Tcyc1RV:5'-CAT TAG GGC CCG GCC GCA AAT TAA AGC CTT CG-3'(配列番号15)
PCR反応液組成;
鋳型(pYES2(Invitrogen社製)):0.1μg、各プライマー:50pmol、1x pfu buffer with MgSO4(Promega, Madison, WI):5μl、dNTP:10nmol、Pfu DNAポリメラーゼ(Promega):1.5U及びperfect matchポリメラーゼエンハンサー(Stratagene):1μlを含む50μl溶液
反応条件;
95℃ 2分-(95℃ 45秒、60℃ 30秒、72℃ 1分)×30サイクル-72℃ 5分-4℃ストック
上記1、2の条件で増幅したPCR断片をそれぞれ、XhoIとKpnI又はXhoIとApaIで切断し、アガロースゲル電気泳動により260 bpのDNA断片を精製し、CYC1t-XKおよびCYC1tXAとした。次いでpRS405(Stratagene社製)のXhoI-KpnI部位にCYC1t-XKを、またpRS404及びpRS406(Stratagene社製)のXhoI-ApaI部位にCYC1tXAを挿入し、それぞれpRS405Tcyc、pRS404Tcyc及びpRS406Tcycと命名した。
2-2) TDH3pの作製(転写プロモーターの調製)
TDH3p(PGK)プロモーターを含むDNA断片をPCRで調製した。サッカロマイセス・セレビシアエYPH499(Stratagene社製)ゲノムDNAを酵母ゲノムDNA調製用キット「Genとるくん」(宝酒造製)で調製し、該ゲノムDNAを鋳型として、以下の反応条件下で、以下のプライマーを用いてPCRを行った。
プライマー;
SacI-Ptdh3FW:5'-CAC GGA GCT CCA GTT CGA GTT TAT CAT TAT CAA-3'(配列番号16)
SacII-Ptdh3RV:5'-CTC TCC GCG GTT TGT TTG TTT ATG TGT GTT TAT TC-3'(配列番号17)
PCR反応液組成;
鋳型サッカロマイセス・セレビシアエYPH499(Stratagene社製)ゲノムDNA:0.46μg、各プライマー:100pmol、1x ExTaqバッファー(Takara):10μl、dNTP:20nmol、ExTaq DNAポリメラーゼ(Takara):0.5U及びperfect matchポリメラーゼエンハンサー:1μlを含む100μl溶液
反応条件;
95℃ 2分-(95℃ 45秒、60℃ 1分、72℃ 2分)×30サイクル-72℃ 4分-4℃ストック
増幅したDNAをSacIとSacIIで切断し、アガロースゲル電気泳動で680bpのDNA断片を精製しTDH3pとした。
2-3) 2μOriSNの作製(2μDNA複製開始領域の調製)
pYES2(Invitrogen社製)をSspIとNheIで切断した後、2μDNA複製開始点(2μ ori)を含む1.5kbp断片をアガロースゲル電気泳動により精製し、Klenow酵素で平滑末端化し、このDNA断片を2μOriSNとした。
2-4) pRS434GAP、pRS435GAP及びpRS436GAPの作製(YEp型発現ベクターの作製)
pRS404Tcyc、pRS405Tcyc及びpRS406TcycをBAP(bacterial alkaline phosphatase, Takara)処理したNaeI部位に2μOriSNを挿入し、大腸菌SURE2に形質転換した後、プラスミドDNAを調製した。次いでこれらプラスミドDNAを、DraIIIとEcoRI、HpaI、または、PstIとPvuIIにより切断した後、アガロースゲル電気泳動し、2μoriの挿入とその向きをチェックした。作製したpRS404 Tcyc、pRS405 Tcyc、pRS406TcycにpYES2と同じ向きに2μ oriが挿入されたプラスミドをそれぞれpRS434Tcyc2μOri、pRS435Tcyc2μOri及びpRS436Tcyc2μOriと命名した。
さらに、pRS434Tcyc2μOri、pRS435Tcyc2μOri及びpRS436Tcyc2μOriの3種のプラスミドのSacI-SacII部位に転写プロモーターを含む断片TDH3pを挿入することで、pRS434GAP、pRS435GAP及びpRS436GAPをそれぞれ得た。
2-5) pRS504ベクターの作製
pRS434GAPにサッカロマイセス・セレビシアエrDNA配列を導入したベクターpRS504を作製した。なおrDNA配列は、Nieto A et. al.(1999) Biotechnol. Prog., 15(3), 459-66を参照した。
上記ERG20の場合と同様に、pRS434GAPを鋳型DNAとして以下のプライマーを用いてPCRを行った。
プライマー;
プライマー1(AatTRP1-50F):5'-TTT CCG ACG TCC ACG TGA GTA TAC GTG ATT AAG-3'(配列番号18)
プライマー2(TRP1d-R):5'-AGG CAA GTG CAC AAA CAA TAC TT-3'(配列番号19)
その結果、0.8kbのTRP1d断片が増幅された。
次に、サッカロマイセス・セレビシアエYPH499(ATCC 204679)株のゲノムDNAを酵母ゲノムDNA調製用キット「Genとるくん」(宝酒造製)で調製し、該ゲノムDNAを鋳型として、以下のリン酸化したプライマーを用いてPCRを行った。
プライマー1(R4):5'-ATG AGA GTA GCA AAC GTA AGT CTA A-3'(配列番号20)
プライマー2(K-R7):5'-TGA CTG GTA CCT TTC CTC TAA TCA GGT TCC ACC-3'(配列番号21)
その結果、rDNAの一部である1.3kbのR47断片が増幅された。
次いでTRP1d断片とR47断片とをアガロースゲル電気泳動で精製した後、連結した。この連結断片を含む反応液を鋳型として、AatTRP1-50F(配列番号18)とK-R7(配列番号21)プライマーを用いてPCRを行い、TRP1dとR47とが連結した2.0kbのTR47断片を増幅した。さらに、TR47断片をアガロースゲル電気泳動で精製し、pCR-Blunt ll TOPOベクター(invitrogen社製)にサブクローニングした。得られたベクターをTOPO-TR47と命名した。なお、TR47断片を配列決定したところ変異は入っていなかった。次に、制限酵素AatllとKpnlとでTOPO-TR47及びpRS434GAPを消化し、TR47断片とTDH3プロモーターを含む3.2kb断片とを切り出し、連結した。得られたプラスミドをpRS504と命名した。
2-6) pRS514ベクターの作製
pRS514ベクターをpRS434GAPに基づいて作製した。まず、pRS504ベクターの作製で用いたAatTRP1-50F(配列番号18)と以下に示すKpnTRP1-50dRプライマーを用いて、pRS434GAPを鋳型DNAとしてPCRを行った。
プライマー;
KpnTRP1-50dR:5'-TGA CTG GTA CCA GGC AAG TGC ACA AAC AAT ACT T-3'(配列番号22)
その結果、TRP1dマーカーを含む0.8kbのDNA断片(AK-TRP1d)が増幅された。
次にサッカロマイセス・セレビシアエYPH499 (ATCC 204679)株のゲノムDNAを鋳型として、以下のプライマーを用いてPCRを行った。
プライマー;
S-R4:5'-TAT TGA GCT CAT GAG AGT AGC AAA GCT AAG TCT AA-3'(配列番号23)
BB-R5:5'-CAG GTG CGC GCG GTA ACC CAG TTC CTC ACT A-3'(配列番号24)
その結果、0.6kbのrDNA部分断片SBB-R45が増幅された。
さらに、同様にYPH499ゲノムDNAを鋳型として、以下のプライマーを用いてPCRを行った。
プライマー;
AB-R6:5'-GTG AGG ACG TCG GTT ACC CGG GGC ACC TGT CAC-3'(配列番号25)
A-R7:5'-CAC TCG ACG TCT TTC CTC TAA TCA GGT TCC ACC-3'(配列番号26)
その結果、0.7kbのrDNA部分断片ABA-R67が増幅された。
以上で得られたAK-TRP1d、SBB-R45及びABA-R67断片をそれぞれpCR-Blunt ll TOPOベクターにサブクローニングし、TOPO-AK-TRP1d 、TOPO-SBB-R45及びTOPO-ABA-R67ベクターを得た。なお、これらは配列決定分析よりエラーがないことが確認された。次に、制限酵素AatllとKpnlとでTOPO-AK-TRP1d及びpRS434GAPを消化し、それぞれAK-TRP1d断片とTDH3プロモーターを含む3.2kb断片とを切り出し、連結した。得られたプラスミドをpTRPと命名した。次いで、制限酵素Sacl及びBssHllを用いてTOPO-SBB-R45からSBB-R45断片を切りだし、pTRPのSac l-BssHll部位に挿入しpTRP-R45を得た。さらに、制限酵素AatllによってTOPO-ABA-R67からABA-R67断片を切りだし、pTRP-R45のAat ll部位に挿入した。得られたプラスミドをpRS514と命名した。
2-7) pRS515ベクターの作製
pRS515ベクターを、pRS514のマーカー遺伝子TRP1dをLEU2dに入れかえることにより作製した。
Erhart E, (1983) J. Bacteriol. 156(2), 625-635を参照して、LEU2dに対するプロモーターの長さは、29bpになるように設計した。pRS435GAPを鋳型として、以下に示すプライマーを用いてPCRを行った。
プライマー;
Pma-LEU2d-F:5'-CAC GTG TCG ACT ACG TCG TAA GGC CGT TT-3'(配列番号27)
Kpn-LEU2d-R:5'-GGT ACC AAG GAT ATA CCA TTC TAA TGT CTG CCC C-3'(配列番号28)
その結果、1.6kbのLEU2dマーカーDNA、PK-LEU2dが増幅された。得られたPK-LEU2dを、pCR-Blunt ll TOPOベクターにサブクローニングし、TOPO-PK-LEU2dベクターを得た。なお、このベクターの配列決定分析を行い、エラーがないことを確認した。次いで、制限酵素PmaClとXho 1でTOPO-PK-LEU2dを消化してPK-LEU2d断片を切り出した後、T4 DNAポリメラーゼによりXho 1部位を平滑化した。
一方、pRS514ベクターを制限酵素PmaClとKpn1で消化することでマーカー遺伝子TRP1dを取り除き、KOD plus DNAポリメラーゼによってKpn11部位を平滑化した。次いでこの平滑化した断片と上記の平滑化したPK-LEU2d断片とを連結した。得られたプラスミドをpRS515と命名した。
2-8) pDI626ベクターの作製
pRS436GAPを鋳型DNAとして、T4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化した以下のプライマーを用いてinverse PCRを行い、4.7kbの断片を増幅した。
プライマー;
T7-F:5'-GCG TAA TAC GAC TCA CTA TAG GG-3'(配列番号29)
2um-R:5'-CCT GAT GCG GTA TTT TCT CCT TAC-3'(配列番号30)
得られた断片を自己連結した後、鋳型DNAをDpnlで分解除去した。このようにしてpRS436GAPより2um Oriを除去したプラスミドpRS436-2umを作製した。
次に、YPH499ゲノムDNAを鋳型として、以下のプライマーを用いてPCRを行い、増幅した断片をT12と命名した。
プライマー;
Aat-TY1F:5'-GAC GTC TGT TGG AAT AAA AAT CCA CTA TCG-3'(配列番号31)
Sse-TY2R:5'-CCT GCA GGA TTC CGT TTT ATA TGT TTA TAT TCA TTG-3'(配列番号32)
同様にYPH499ゲノムDNAを鋳型として、以下のプライマーを用いてPCRを行い、増幅した断片をT34と命名した。
プライマー;
SAC l-TY3F:5'-GAG CTC GAG GAA TAA TCG TAA TAT TAG TAT GTA-3'(配列番号33)
Sse-TY4R:5'-GCG CGC TGA GAA ATT TGT GGG TAA TTA GAT AAT-3'(配列番号34)
増幅されたT12及びT34はいずれもYOLWTy1-1(chromosome XV, from coordinates 117, 702 to 123, 627)のLTR配列の一部である。これら2つの断片をpCR-Blunt ll TOPOベクターにサブクローニングし、得られたベクターをそれぞれTOPO-T12及びTOPO-T34と命名した。なお、これらベクターの配列決定分析を行い、PCRエラーがないことを確認した。
次いで、TOPO-T12をAat llとSse8387 l で消化し、T12断片を切りだしpRS436-2umのAat ll-Sse8387 l部位に連結し、プラスミドpDIT12を作製した。同様にSac lとBssH llを用いてTOPO-T34を消化し、T34断片を切りだしpDIT12のSac l-BssH ll部位に連結してプラスミドpDI626を作製した。
〔実施例3〕
融合タンパク質コード遺伝子の作製
3-1) pRS435GGF(FPS-GGPS融合タンパク質コード遺伝子)の作製
GGPS遺伝子BTS1を組み込んだpYES-GGPS6と、FPS遺伝子ERG20を組み込んだpT7-ERG20を鋳型として、以下のプライマーを用いて、以下の反応条件下でPCRを行った。
1. PCR1
鋳型:pYES-GGPS6
プライマー;
プライマー1(SacII-BTS1):5'-TCC CCG CGG ATG GAG GCC AAG ATA GAT-3'(配列番号35)
プライマー2(BTSI-109I):5'-GCA GGG ACC CCA ATT CGG ATA AGT GGT C-3'(配列番号36)
2. PCR2
鋳型:pT7-ERG20
プライマー;
プライマー1(109I-ERG20):5'-GTA GGG TCC TCA GAA AAA GAA ATT AGG AG-3'(配列番号37)
プライマー2(-21):5'-TGT AAA ACG ACG GCC AGT-3'(配列番号38)
(下線はベクター連結用のSacII、XhoI又はXbaI認識部位で、二重下線は融合遺伝子作製用のEcoO109I認識部位を示す)
PCR反応液組成;
1x KOD-Plusバッファー(Toyobo, Osaka, Japan):5μl、0.2mM dNTPs、0.25mM MgSO4、プライマー1:15pmol、プライマー2:15pmol、鋳型DNA:0.01〜0.1μg、KOD-Plus DNAポリメラーゼ(Toyobo):1Uを含む50μl反応カクテル
(なお、KOD-Plusバッファーには1.6μg/μlのKOD抗体が含まれている)
反応条件;
94℃ 2分-(94℃ 15秒、55℃ 30秒、68℃ 1分) X 30サイクル-68℃ 2分保温
PCR1、PCR2で得られた反応産物をそれぞれ#9、#11とした。次いで、#9及び#11を制限酵素EcoO109Iで消化した後連結し、この連結断片を含む反応液を鋳型として、上記SacII-BTS1(配列番号35)と-21(配列番号38)をプライマーとして用いて、同様の条件下で2ndPCRを行い、DNA断片#9-#11を得た。
さらに、2nd PCR産物#9-#11をSacIIとBamHIで切断した後、pRS435GAPのSacII-BamHI部位に挿入し、得られたベクターをpRS435GGFと命名した。
3-2) pRS434GGDP(BTS1-DPP1融合タンパク質コード遺伝子)の作製
プラスミドpYES-GGPS6をBamHlとMlulで切断し、アガロースゲル電気泳動で1.0kb断片を精製した。これをpRS435GAPのBamHl-Mlul部位に導入し、プラスミドpRS435GAP-BTS1を作製した。
一方、DPP1にGAPプロモーターを接続するため、pCR-DPP1よりSacll-Xhol断片を切り出し、プラスミドpRS435GAPのSacll-Xhol部位に挿入した。作製したプラスミドはpRS435GAP-DPP1と命名した。
次に以下のプライマーを用いて、以下の反応条件下でPCRを実施した。
プライマー;
プライマー1(S-BTS1-3A):5'-ACG CCG CGG ACA ATG GAG GCC AAG ATA GAT GAG-3'(配列番号39)
プライマー2(GGDP-2):5'-TCT GTT CAT AGA ACC ACC ACC CAA TTC GGA TAA GTG GTC TAT-3'(配列番号40)
PCR反応液組成;
1X KODバッファー(TOYOBO):2μl、200μM dNTPmix、1mM塩化マグネシウム、0.4μM DNAプライマー、KOD DNAポリメラーゼ(TOYOTBO):0.5U及び鋳型DNA(pRS435GAP-BTS1):0.1μgを含む20μl反応液
反応条件;
(98℃ 15秒、43℃ 2秒、74℃ 30秒) X 25サイクル
増幅した1.0kbのPCR断片をアガロースゲル電気泳動で精製し、#Aとした。次いで、以下のプライマーを用いたこと以外は、上記と同様の条件下でPCRを行った。
プライマー;
プライマー1(GGDP-3):5'-GGT GGT GGT TCT ATG AAC AGA GTT TCG TTT AT-3'(配列番号41)
プライマー2(X-DPP1-4):5'-CTT TTC TCG AGT TAC ATA CCT TCA TCG GA-3'(配列番号42)
増幅した0.9kbのPCR断片をアガロースゲル電気泳動で精製し、#Bとした。なお#Aの3'と#Bの5'とは、21bpオーバーラップすることになる。
次に、以下の条件下で再度PCRを行い、#Aと#B断片とを連結させた。
反応液組成;
1X KODバッファー(TOYOBO):2μl、200μM dNTPmix、1mM塩化マグネシウム、KOD DNAポリメラーゼ(TOYOTBO):0.5U、#A:50ng及び#B:50ngを含む20μl反応液
反応条件;
94℃ 2分-(94℃ 15秒、47℃ 30秒、68℃ 2分) X 5サイクル
さらに、得られたPCR断片を含むPCR反応液を用いて、以下の条件下でPCRを行った。
PCR反応液組成;
1X KODバッファー(TOYOBO):2μl、200μM dNTPmix、1mM塩化マグネシウム、0.4μM DNAプライマー(S-BTS1-3A、X-DPP1-4)、KOD DNAポリメラーゼ(TOYOTBO):0.5U及び#Aと#Bの連結断片を含むPCR反応液:2μlを含む20μl反応液
反応条件;
94℃ 2分-(94℃ 15秒、51℃ 30秒、68℃ 2分) X 25サイクル
増幅した1.9kbのDNA断片をアガロース電気泳動で精製し、Zero Blunt TOPO PCR Cloning Kit (Invitrogen社製)にサブクローニングし、DNA配列決定分析を行い、設計通りの塩基配列になっていることを確認した。次にこのプラスミドをSac llとXlho lで切断した後、pRS434GAPベクターのSac ll-Xlho l部位に挿入した。得られたベクターをpRS434-GGDPと命名した。
〔実施例4〕
発現ベクターの構築
4-1) HMG1発現用多コピーYipプラスミドの作製
pALHMG106をSma lとSal lで切断した後、アガロース電気泳動で3.2kbのHMG1遺伝子断片を精製した。これをpRS434GAPのSma l-Sal l部位に挿入しpRS434GAP-HMG1を得た。次に、pRS434GAP-HMG1を鋳型として、以下に示すプライマーを用いてPCRを行い、HMG1遺伝子の開始コドンからTth111 l部位(ATG開始コドンから647bp)までの断片を増幅した。
プライマー;
プライマー1(SacHMG1-F):5'-CCG CGG AAC AAA ATG CCG CCG CTA TTC AAG GG-3'(配列番号43)
プライマー2(TthHMG647R):5'-GAC CCG GTC TTC CTC ATG TC-3'(配列番号44)
この結果、SacHMG1-FプライマーによりHMG1の開始コドン上流にAACAAA配列とSac ll部位が付加された。このPCR産物をpMCR2.1-TOPOベクター(invitrogen社製)にサブクローニングし、PCRエラーがないことを配列決定分析によって確認した。サブクローニングした該pMCR2.1-TOPOベクターからSac ll-Tth111 l断片を切りだし、pRS434GAP-HMG1のSac ll-Tth111 l断片と入れ替えた。得られたプラスミドをpRS434GAPa-HMG1と命名した。さらに、pRS434GAPa-HMG1をSac llとXho lで消化し、3.2kbのHMG1断片を切りだし、pRS504のSac ll-Xho l部位に連結した。得られたプラスミドをpRS504HMG1と命名した。
4-2) GGF発現用多コピー型YIPプラスミドの作製
プラスミドpRS435GGFを制限酵素Sac llとMlu lで消化し、BTS1-ERG20融合遺伝子を切り出した。この断片をpRS515のSac ll-Mlu l断片と入れ替えた。得られたプラスミドをpRS515GGFと命名した。
4-3) GGDP発現用多コピー型YIPプラスミドの作製
プラスミドpRS434GGDPを制限酵素Sac llとMlu lで消化し、GGDP断片を切り出した。この断片をプラスミドpID626のSac llとMlu l部位に連結した。得られたプラスミドをpDI626GGDPと命名した。
〔実施例5〕
遺伝子導入酵母の作製
5-1) GGDP/HMG1/GGF/YPH499株の作製
プラスミドDNA(pRS504HMG1)20μgをBstP lで切断することで線状化し、エタノール沈殿後、滅菌水5μlに溶解した。次いで、該プラスミドをFrozen EZ yeast transformation kit (Zymoresearch社製)を用いてサッカロマイセス・セレビシアエYPH499(Stratagene社製)に形質転換した。トリプトファン非含有YNB酵母最少培地(Difco社製)で生育してきた株のコロニーPCRを行い、HMG1遺伝子が導入されていることを確認した。得られた株をHMG1/YPH499と命名した。
同様にpDI626GGDPをAat llとBss Hlで消化することで直線化し、HMG1/YPH499に形質転換した。ウラシル非要求性になった株を取得することにより、GGDP融合遺伝子が導入されたGGDP/HMG1/YPH499株を得た。
さらにpRS515GGFをBss Hlで消化することで直線化し、GGDP/HMG1/YPH499株に形質転換した。ロイシン非要求性になった株を取得することにより、GGF融合遺伝子が導入されたGGDP/HMG1/GGF/YPH499株を得た。なお、GGDP/HMG1/GGF/YPH499株は、GGDP融合遺伝子がレトロトランスポゾンのδ配列に、かつHMG1とGGF融合遺伝子がリボソームDNA配列にそれぞれ多コピーインテグレーションした株である。
5-2) GGDP/HMG1/YPH500株の作製
GGDP/HMG1/GGF/YPH499株と全く同様にして、GGDP融合遺伝子とHMG1遺伝子を酵母YPH500(Stratagene社製)の染色体DNA上に多コピーインテグレーションすることで、GGDP/HMG1/YPH500を作製した。
5-3) GGDP/HMG1/GGF/SEY6211株の作製
pRS435GGFをDra lllとApa lで消化した後、DNA Blunting Kit(宝酒造製)を用いて平滑末端化し、自己連結させることで、2μOriの領域を削除した。次に、該プラスミドをAfl llで消化することで、直線化し、Frozen EZ yeast transformation kit (Zymoresearch社製)を用いてSEY6211株(ATCC 96100)に形質転換した。なお、Afl llは、プラスミドpRS435GGFのLeu2遺伝子内に切断部位を有し、形質転換された株は染色体DNA上のLeu2遺伝子部分(破壊遺伝子)で相同組換えが起き、GGF融合遺伝子が一つ導入されると同時に新たに野生型のLeu2遺伝子が導入されロイシン非要求性になる。ロイシン非含有YNB酵母最少培地(Difco社製)でレプリカを取ることにより、GGF融合遺伝子導入株GGF/SEY6211を得た。同株のコロニーPCRを行い、GGF融合遺伝子が導入されていることを確認した。
次にプラスミドDNApRS504HMG1をBstP lで切断することで線状化し、同様にGGF/SEY6211株に形質転換した。トリプトファン非含有YNB酵母最少培地(Difco社製)で生育した株のコロニーPCRを行い、HMG1遺伝子が導入されていることを確認した。得られた株をHMG1/GGF/SEY6211と命名した。
さらに、同様にpDI626GGDPをAat llとBss Hlで消化し、直線化することでHMG1/GGF/SEY6211に形質転換した。次いでウラシル非要求性になった株を取得することにより、GGDP融合遺伝子が導入されたGGDP/HMG1/GGF/SEY6211株を得た。なお、GGDP/HMG1/GGF/SEY6211株は、GGDP融合遺伝子がレトロトランスポゾンのδ配列に、HMG1がリボソームDNA配列にそれぞれ多コピーインテグレーションし、かつGGF融合遺伝子がLeu2遺伝子座に単一コピーインテグレーションした株である。
5-4) GGDP/HMG1/GGF/SEY6210株の作製
上記のGGDP/HMG1/GGF/SEY6211株と全く同様にして、GGDP融合遺伝子、HMG1及びGGF融合遺伝子を酵母SEY6210(ATCC 96099)株の染色体DNAに導入したGGDP/HMG1/GGF/ SEY6210株を作製した。なお、GGDP/HMG1/GGF/SEY6210株は、GGDP/HMG1/GGF/SEY6211と同様にGGDP融合遺伝子がレトロトランスポゾンのδ配列に、HMG1がリボソームDNA配列にそれぞれ多コピーインテグレーションし、かつGGF融合遺伝子がLeu2遺伝子座に単一コピーインテグレーションした株である。
〔実施例6〕
遺伝子導入酵母の非栄養要求性二倍体化
6-1) 野生型遺伝子断片の作製
大量培養する場合、栄養非要求性にすると生育が早く、使用する培地の選択幅が上昇する。そこで、GGDP/HMG1/GGF/YPH499株とGGDP/HMG1/YPH500株とを掛合せてとヒスチジン、リジン及びアデニン要求性に、またGGDP/HMG1/GGF/SEY6211株とGGDP/HMG1/GGF/ SEY6210株とを掛合せてヒスチジン要求性にすることとした。
これら非栄養要求性にするため、野生型のHis 3、Lys 1、Ade 2遺伝子を相同組換えで染色体DNA上に組み込むことにした。まず、野生型のHis 3、Lys 1及びAde 2遺伝子断片を以下に示すようにPCRで増幅させ、アガロース電気泳動で増幅断片を分離し、精製し、以下の実験に用いた。
<野生型His 3断片の増幅>
野生型His 3断片を増幅するために、以下のプライマーを用いて、以下の反応条件下でPCRを実施した。
プライマー;
プライマー1(His3-L):5'-TTT TAA GAG CTT GGT GAG CGC-3'(配列番号45)
プライマー2(His3-R):5'-TCG AGT TCA AGA GAA AAA AAA-3'(配列番号46)
PCR反応液組成;
1X Pyrobestバッファー(宝酒造製):10μl、200μM dNTPmix、0.4μM DNAプライマー、Pyrobest (宝酒造製):2.5U及び鋳型(pRS403(Stratagene社製)):30ngを含む100μl反応液
反応条件;
94℃ 1分-(94℃ 30秒、55℃ 1分、72℃ 2分) X 30サイクル-72℃ 10分
<野生型Lys 1断片の増幅>
野生型Lys 1断片を増幅するために、以下のプライマーを用いて、以下の反応条件下でPCRを実施した。
プライマー;
プライマー1(Lys 1):5'-ATG ACT AAC GAA AAG GTC TGG-3'(配列番号47)
プライマー2(Lys 2):5'-TAA AGC TGC TGC GGA GCT TCC-3'(配列番号48)
PCR反応液組成;
1X Pyrobestバッファー(宝酒造製):10μl、200μM dNTPmix、0.4μM DNAプライマー、Pyrobest (宝酒造製):2.5U及び鋳型(サッカロマイセス・セレビシアエ A451(ATCC 200589)):0.05μg(酵母ゲノムDNA調製用キット「Genとるくん」(宝酒造製)で調製)を含む100μl反応液
反応条件;
94℃ 1分-(94℃ 30秒、58℃ 1分、72℃ 4分) X 30サイクル-72℃ 7分
<野生型Ade 2断片の増幅>
野生型Ade 2断片を増幅するために、以下のプライマーを用いて、以下の反応条件下でPCRを実施した。
プライマー;
プライマー1(Ade 1):5'-ATG GAT TCT AGA ACA GTT GGT-3'(配列番号49)
プライマー2(Ade 2):5'-TTA CTT GTT TTC TAG ATA AGC-3'(配列番号50)
PCR反応液組成;
1X Pyrobestバッファー(宝酒造製):10μl、200μM dNTPmix、0.4μM DNAプライマー、Pyrobest (宝酒造製):2.5U及び鋳型(サッカロマイセス・セレビシアエA451(ATCC 200589)):0.05μg(酵母ゲノムDNA調製用キット「Genとるくん」(宝酒造製)で調製)を含む100μl反応液
反応条件;
94℃ 1分-(94℃ 30秒、55℃ 1分、72℃ 2分) X 30サイクル-72℃ 7分
6-2) GGDP/HMG1/GGF/YPH499株のヒスチジン非要求性化
PCRで増幅し、精製したHis3断片9μgを用いて、Frozen EZ yeast transformation kit (Zymoresearch社製)でGGDP/HMG1/GGF/YPH499株に形質転換し、His3遺伝子を導入することでヒスチジン非要求性にした。得られた株をGGDP/HMG1/GGF/YPH499-Hと命名した。
6-3) GGDP/HMG1/YPH500株のリジン及びアデニン非要求性化
6-2)と同様にして、PCRで増幅し、精製したLys1断片38μg及びAde2断片20μgを、順次Frozen EZ yeast transformation kit (Zymoresearch社製)でGGDP/HMG1/YPH500株に導入した。得られた株をGGDP/HMG1/YPH500-LAと命名した。
6-4) GGDP/HMG1/GGF/SEY6210株のヒスチジン非要求性化
6-2)と同様にして、PCRで増幅し、精製したHis3断片をFrozen EZ yeast transformation kit (Zymoresearch社製)でGGDP/HMG1/GGF/SEY6210株に導入した。得られた株をGGDP/HMG1/GGF/SEY6210-H株と命名した。
6-5) 5X4株の作製
GGDP/HMG1/GGF/YPH499-H株及びGGDP/HMG1/YPH500-LA株を、それぞれYeast extract 5g/L、Malt extract 5g/L、Bactopeptone 10g/L及びGlucose 5g/Lを含む培地(YPD 7)で30℃で一晩振盪培養した。次いで、両株の各培養液200μlを混合し(ほぼ同じOD600nmになるよう液量を調製)、新しいYPD7培地を加え、さらに一晩振盪培養した。培養液を生理食塩水で希釈して、DOBプレート(BIO 101社製)にプレーティングし、コロニーを取得した。なお、二倍体化された株は栄養要求性相補され最少培地のDOBプレートで生育するようになる。二倍体化していることを確認するために、得られたコロニーをYPD7培地で液体培養した後、以下に示す前胞子形成培地に全量をプレーティングし、30℃で一晩培養した。
<前胞子形成培地組成>
Yeast extract:0.8%
polypeptone: 0.3%
Glucose: 10g%
Agarose: 2%
次に、前胞子形成培地で生育した菌体を以下に示す胞子形成培地に塗布した。
<胞子形成培地組成>
酢酸カリウム: 1%
Yeast extract:0.1%
Glucose: 0.05%
Agarose: 2%
この際、約1cm四方に厚めに菌を塗った。菌体を室温で3日間置いた後、位相差顕微鏡で胞子形成を確認したところ、菌体の約20%近くが四胞子を形成しており、二倍体化されていることが確認できた。このようにして得られた二倍体栄養非要求性株を5X4株と命名した。
6-6) GD10株の作製
5X4株と同様にして、それぞれ培養したGGDP/HMG1/GGF/SEY6211株とGGDP/HMG1/GGF/SEY6210-H株とを混合して、得られた非栄養要求性株を上記胞子形成培地に塗布し、顕微鏡下で胞子が形成することを確認し、2倍体化していることを確認した。このようにして得られた二倍体栄養非要求性株をGD10株と命名した。なお、YPH株と異なりSEY6210株はアデニン非栄養要求性であり、SEY6211株はリジン非栄養要求性であることから、一方にHis3遺伝子を導入するだけで二倍体株を非栄養要求性にすることができる。
〔実施例7〕
5X4株及びGD10株を用いたゲラニルゲラニオール及び糖の生産
7-1) 培養方法
5X4株及びGD10株をそれぞれ以下の条件でFed-Batch培養した。
シード
下記培地200mlを500ml三角フラスコに張り込み、120℃、20分間殺菌した。
<培地組成>
Yeast extract:5g/L
Malt extract: 5g/L
Bactopeptone: 10g/L
Glucose: 5g/L
培地のpHは無調整
スラントより一白金耳、組換え酵母を掻きとり、30℃、120rpmで2日間培養した。
本培養
10L培養装置MSJ-U(丸菱バイオエンジ製)に水5Lをはり蒸気滅菌した。漕内の水を無菌的に完全に抜いた後、あらかじめオートクレーブ滅菌した培地成分A〜Eを無菌的に投入した。
<培地成分A>
グルコース3gを水100mlに溶解し、オートクレーブ滅菌した。
<培地成分B>
硫酸マグネシウム(7水和物)2.55g、硫安4.5g及びKH2PO4 15gを水200mlに溶解し、オートクレーブ滅菌した。
<培地成分C>
CSL(Corn Steep liquor)183mlを4N硫酸でpH2.0に調整した後、水を用いて300mlに容量を合わせ、80℃で1時間予滅菌した後、121℃で20分間オートクレーブ滅菌した。次に十分に溶液が冷めたのを確認し、フード内でアンモニア水を加え、pH6に調整した(この場合、アンモニア水を約30ml加える)。
<培地成分D>
塩化カルシウム(2水和物)1.05gを水100mlに溶解して、オートクレーブ滅菌した。
<培地成分E>
水1650mlにアデカノールLG109(旭電化製)5mLを添加して十分に混合した後、オートクレーブ滅菌した。
上記培地成分A〜Eを漕内に投入した後、4N水酸化ナトリウム溶液と4N硫酸溶液でpHを5.5に調整した後、シード培養液100mlを加えた。次いで、菌株を通気1vvm、攪拌900rpm、培養温度33℃及びpH5.5の条件下で制御培養した。培養開始10時間目より40%グルコース溶液のフィードを開始した。なお、該フィードは、4.0ml/hより開始し、随時流速を上げ流加開始12時間後には18.7ml/hになるようにした。18.7ml/hで1時間流加した後、一旦フィードを停止し、4時間後にエタノールに切り替え6.8ml/hでフィードを続けた。なお、菌株をエタノールにフィード液を切り替えてからさらに132時間培養した。
7-2) ゲラニルゲラニオール分析
7-1)で得られた上記培養液2mlを試験管(内径18mm X 125mm)にサンプリングし、これにメタノール1.25ml及びペンタン2mlを加えた。その後、培養液を十分に攪拌した後、遠心分離した(ベックマン社製CP、1500rpm、5分、室温)。次いでペンタン層を注意深くパスツールピペットでGC/MS用バイアル瓶に移した。なお、バイアル瓶にはあらかじめ内部標準として1-ウンデカノール/エタノール溶液(1μl/ml)を10μl添加しておいた。
以下の条件でGC/MS分析を行った。69マスでセレクションし、1-ウンデカノールに対するプレニルアルコールのピーク面積比よりプレニルアルコールの定量を行った。
<GC/MS条件>
インレット温度:250℃
ヂィテクター温度:260℃
MSゾーン温度
MS Quad:150℃
MS Source:230℃
スキャンパラメーター
Low Mass:35
High Mass:200
Threshold:40
インジェクションパラメーター
モード:自動インジェクション
サンプル量:2μl
洗浄回数:メタノールで3回、ヘキサンで2回
スプリット比: 1:20
カラム:ヒューレットパッカード社製HP-5MS(0.25mm X 30M, フィルム厚0.25μm)
キャリヤーガス:ヘリウム1.0ml/min
ソルベントディレー:2分
オーブン昇温条件:115℃、1.5分保持→70/分で250℃まで昇温、2分保持→70/分で300℃まで昇温、7分保持
7-3) 生成した糖の分析
5X4株の培養液100μlを1時間減圧乾燥した後、ピリジン(PIERCE社製)0.6ml、BSA(GLサイエンス社製:N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド)0.5ml、TMCS(GLサイエンス社製:トリメチルクロロシラン)0.1mlおよび内部標準としてスクアレン(ヘキサンに溶解)0.1mgを加え、室温で1時間かけてシリル化した。GC/MSを用いて、以下の条件下でシリル化物を定量した。
<GC/MS条件>
スキャンパラメーター
Low Mass:35
High Mass:400
Threshold:40
オーブン昇温条件:120℃、90分保持→10/分で300℃まで昇温、2分保持
その他の条件はゲラニルゲラニオール分析と同じ。
一方、流加培養したGD10株の培養液100μlを遠心分離により菌体と上清に分け、上清は5X4株と同様に処理した。なお、菌体は滅菌水500μlに添加して、懸濁した後、同量のガラスビーズを加えビーズショッカー(安井機械)で菌を20分間破砕した。遠心分離にて破砕液を回収し、5X4株と同様に凍結乾燥し、シリル化処理した。
7-4) ゲラニルゲラニオール及び糖の分析結果
5X4株培養液のゲラニルゲラニオール及び糖の分析結果を以下の表1に示す。
Figure 2005052046
フィード液をグルコースからエタノールに切りかえる際に4時間フィードを停止した。この際は、5X4株の培地中のグルコースは消費されほとんど検出されなかった。しかしながら、表1に示されるように、エタノールに切り替え132時間後には糖類が多く合成されていることが判る。この結果は、加えたエタノールから糖が合成されたと考えられる。
一方、GD10株培養液のゲラニルゲラニオール及び糖の分析結果を以下の表2に示す。
Figure 2005052046
表2に示されるように、5X4株と比較して、GD10株は大量の糖を合成することが判る。なお、合成された糖類の大部分が培地に分泌されていた。
このようにゲラニルゲラニオールをヘキサン、ブタノール及びジクロロエタン等の有機溶媒によって抽出した後に残った培養物は菌体の他に糖類を多く含んでいた。
本発明に係るプレニルアルコールの製造方法は、細胞におけるプレニルアルコール及び糖の生産性を向上させることができ、培養物中にプレニルアルコール及び糖を蓄積できることから、各種の分野で有用なプレニルアルコール及び糖の生産に適用できる。
細胞におけるプレニルアルコール生合成経路及び糖の生合成経路を模式的に示す図である。
配列番号1〜50は、合成プライマーである。

Claims (9)

  1. HMG-CoA還元酵素、ファルネシル二リン酸合成酵素、ゲラニルゲラニル二リン酸合成酵素及びフォスファチジン酸フォスファターゼからなる群から選択される1又は複数の酵素の活性を増強させた細胞を、エタノールを存在させる条件下で培養し、培養物中にプレニルアルコール及び糖を蓄積させ、
    培養物中からプレニルアルコールを回収する、
    プレニルアルコールの製造方法。
  2. プレニルアルコール回収後に、さらに培養物中から糖を回収することを含む、請求項1記載のプレニルアルコールの製造方法。
  3. プレニルアルコール回収後の残査が培地、食品又は飼料に利用可能であることを特徴とする請求項1記載のプレニルアルコールの製造方法。
  4. 1又は複数の上記酵素遺伝子を過剰発現させた細胞を用いることを特徴とする請求項1記載のプレニルアルコールの製造方法。
  5. 上記酵素遺伝子を融合タンパク質コード遺伝子として細胞に導入することで2以上の上記酵素遺伝子を過剰発現させることを特徴とする請求項4記載のプレニルアルコールの製造方法。
  6. 1又は複数の上記酵素遺伝子の転写を増加させることで、上記酵素の活性を増強させることを特徴とする請求項1記載のプレニルアルコールの製造方法。
  7. 1又は複数の上記酵素遺伝子の翻訳効率を増加させることで、上記酵素の活性を増強させることを特徴とする請求項1記載のプレニルアルコールの製造方法。
  8. 上記エタノールを培養開始から5〜100時間後に培地に添加することを特徴する請求項1記載のプレニルアルコールの製造方法。
  9. 上記エタノールは、0.01〜10%の濃度で存在することを特徴とする請求項1記載のプレニルアルコールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2009139349A1 (ja) * 2008-05-14 2009-11-19 Bio-energy株式会社 酵母細胞に遺伝子を導入する方法およびそのためのベクター
WO2012098662A1 (ja) 2011-01-20 2012-07-26 トヨタ自動車株式会社 組換え酵母及びこれを用いた物質生産方法

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