JP2005136262A - 半導体装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉛フリー工程においても、チップクラックの発生を抑え信頼性の高い半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体素子搭載領域5aと、前記半導体素子搭載領域5aから少なくとも一方向に伸長せしめられた伸長部5eとを備えた半導体素子搭載部5と、前記半導体素子搭載部5の近傍に、一端が位置するように配設された複数のリード2a、2b、2cと、前記半導体素子搭載領域5aに搭載され、前記リード2a、2b、2cの少なくとも1つに電気的に接続された半導体素子チップ4a、4bと、前記半導体素子チップ4a、4bを被覆すると共に、前記リードの外方の端部を外部に露呈せしめる樹脂パッケージとを備えた半導体装置であって、前記樹脂パッケージは、線膨張係数α2が6.0×10-5/℃ppm以下の樹脂で構成される。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体装置にかかり、特に樹脂封止型半導体装置の半導体素子チップの割れや欠けの低減に関する。
近年、環境汚染の問題が深刻化しており、パーソナルコンピュータ、携帯電話に代表される電子機器などの電子部品の分野でも、鉛を使用しない半田いわゆる鉛フリー半田の使用が進められている。
共晶半田の融点が約183℃であったのに対し、鉛フリー半田の場合、半田融点が、通常は約220℃と、共晶半田に比べ約40℃程度高い。そこで従来はせいぜい230℃程度に設定されていたリフロー温度が、最近では240℃から245℃となっており、高い物では260℃とされているものもある。
このように、リフロー工程で使用する半田が、共晶半田から鉛フリーとなるのに伴い、リフロー炉の温度設定を高くしているものが多い。
例えば、図14および図15に示すように、樹脂パッケージ101の一方の側面から3本のリード102a、b、cが導出されるとともに、この側面と相対向する側面から2本のリード103a、bが導出されたデュアルインライン型の半導体装置が提案されている。
この半導体装置は、図15に示すように、2個のトランジスタチップ(半導体素子チップ)104a,104bに搭載してなるもので、リードフレームに形成された半導体素子搭載部である第1および第2のダイパッド105a、105bにそれぞれ搭載されている。これら第1および第2のダイパッド105a、105bのうち、第1のダイパッド105aは、第2のトランジスタとの接続を容易にするために、隣接する第2のダイパッドの方向に伸長する伸長部105eを備えている。この伸長部105eは、樹脂パッケージ101の長手方向に沿って伸長している。この半導体装置を鉛フリー半田を用いてプリント配線基板上の配線パターンに実装する場合、前述したように、245℃程度の高温となるため、熱ストレスにより、チップにクラックが入りやすいという問題があった。
図16乃至図19を参照しつつこの点について説明する。
すなわち、図16に示すように樹脂パッケージ101の長辺方向の反りが大きくなる。この樹脂パッケージの反りにより、図17に示すように第1のダイパッド105aは伸長部105eを有しているため、長手方向に引っ張り力が働き、この引っ張り力がトランジスタチップに作用し、この引っ張り力によりチップクラックが生じてしまうという問題があった。これは図17および図18にパッケージの短辺方向および長辺方向のリードフレームの変形状況を示すように、長辺方向で特に大きい。
従来、鉛半田を用いた実装工程を用いる場合には、熱ストレス(熱歪)を減少させ収縮応力の低減をはかるべく、半導体素子搭載部の角部に切欠きを設けた方法も提案されている。(特許文献1参照)
特開平4−116962号公報
しかしながら、近年、鉛フリー化により、従来よりもリフロー温度は40℃程度も高くなっており、この温度差は大きいため、種々のプロセスで不良発生の原因となっている。このため特許文献1で示されているような従来の手法では到底対応しえない程度の大きな熱歪が発生する。
特に、前述したように、縦横の長さの異なる断面長方形の樹脂パッケージの場合、熱歪の影響は受けやすい。そしてさらに、リードフレームの半導体素子チップ搭載部である、ダイパッドが長い場合、この長手部分に歪がかかると、このリードフレームの受けた応力が半導体チップに伝搬し、チップクラック発生の原因となっていた。
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、チップクラックの発生を低減し、リフロー工程においてもチップクラック発生を引き起こすことのない半導体装置を提供することを目的とする。
本発明は、半導体素子搭載領域と、前記半導体素子搭載領域の近傍に、一端が位置するように配設された複数のリードと、前記半導体素子搭載領域に搭載され、前記リードの少なくとも1つに電気的に接続された半導体素子チップと、前記半導体素子チップを被覆すると共に、前記リードの外方の端部を外部に露呈せしめる樹脂パッケージとを備えた半導体装置であって、前記樹脂パッケージは、線膨張係数α2が6.0×10-5/℃以下の樹脂で構成される。
この構成により、内部素子(チップと)封止樹脂との線膨張係数の差を小さくすることにより、周囲の環境変化に対しても内部応力を緩和することができる。このようにして、全体の応力を確実に抑えることができるため、クラックに対する安全マージンを確保することができる。たとえば線膨張係数α2を7.0×10-5/℃から4.0×10-5/℃にした場合、チップ下面エッジ応力が42〜176MPa(9.6〜26.5%)に減少し、またチップ上面エッジ応力が121〜340MPa(39.4〜42.4%)に減少した。
なおここで、線膨張係数α2はガラス転移点を越えたときの線膨張係数をいい、線膨張係数α1はガラス転移点以下の線膨張係数をいう。半導体装置の場合、ガラス転移点以下の温度における線膨張係数にはあまり問題はないが、ガラス転移点を越えたときの線膨張係数の大きさがクラック発生を大きく左右していることがわかった。本発明はこの点に着目してなされたものである。
本発明は、上記半導体装置において、前記樹脂パッケージの線膨張係数α1が1.8×10-5/℃以下である樹脂で構成されたものを含む。
この構成によれば、使用時における温度変化に対しても、チップクラックの発生を抑制することができる。
本発明は、前記樹脂パッケージが、エポキシ系樹脂で構成されるものを含む。
本発明は、前記半導体素子チップは、その結晶界面が、前記伸長部の伸長方向に垂直となるのを避けて配されるものを含む。
この構成により、上記効果に加え、最も弱い部分である結晶界面すなわち結晶のへき開面が伸長部の伸長方向と垂直となるのを避けて配されるため、熱ストレスにより最も大きな力のかかる部分がチップの最も弱い部分を避けて配置されることになる。従ってクラックの発生は低減され、鉛フリー化によるリフロー温度の上昇によってもクラックの発生することのない樹脂封止型半導体装置を提供することができる。シリコンのへき開面は(111)面であることが多いが(110)面もへき開面である。従って実際にはこれら(111)面、(110)面が伸長部の伸長方向に垂直となるのを避けるようにすればよい。最も望ましくはへき開面と45°の角度をなすように設計する。
また本発明では、前記半導体装置において、前記半導体素子搭載領域は矩形部を構成しており、前記伸長部は、矩形部の一端部から垂直方向に伸長するものを含む。
この構成によれば、特に、伸長部が応力を受けやすいが、結晶界面がこの伸長部と垂直にならないように配されているため、チップクラックを防止することができる。
また本発明では、前記半導体装置において、リードは、前記樹脂パッケージの一方向または2方向に形成されるものを含む。
リードが4方向にのびるいわゆるクアッド(Quad)タイプの半導体装置の場合、樹脂パッケージは縦横比がほぼ1であることが多く、変形しにくい。しかしリードが樹脂パッケージの一方向または2方向に形成される構造の場合、樹脂パッケージ自体変形し易く、特に、伸長部が応力を受けやすいが、この構成によれば、結晶界面がこの伸長部と垂直にならないように配されているため、チップクラックを防止することができる。
また本発明では、前記半導体装置において、前記樹脂パッケージは主面が長方形であるものを含む。
樹脂パッケージが正方形に近い場合は変形しにくい。しかし樹脂パッケージ主面が長方形である場合、樹脂パッケージ自体変形し易く、リードフレームでは、特に、伸長部が応力を受けやすいが、この構成によれば、結晶界面がこの伸長部と垂直にならないように配されているため、チップクラックを防止することができる。
また本発明では、前記半導体装置において、前記半導体素子搭載部は、前記樹脂パッケージ内に複数個配置されており、前記半導体素子搭載部に搭載される複数個の半導体素子チップが前記パッケージ内で互いに電気的に接続されるものを含む。
この場合、断面長方形のパッケージとなっており、特に第1および第2の半導体素子搭載部の間に相互接続のためのパッドとしての伸長部を必要とすることが多いが、結晶界面がこの伸長部と垂直にならないように配されているため、チップクラックを防止することができる。
また本発明では、前記半導体装置において、前記半導体素子搭載部は、それぞれ、前記半導体素子搭載部の配列方向に直交して前記樹脂パッケージの外部に導出された吊りリードを備え、第1の半導体素子チップを搭載する第1の半導体素子搭載部と、第2の半導体素子チップを搭載する第2の半導体素子搭載部とを備え、前記伸長部は前記第1の半導体素子搭載部から、前記第2の半導体素子搭載部の近傍まで、伸長しており、前記第1および第2の半導体素子搭載部の配列方向に平行に、これらと相対向して配列され、それぞれ、先端に接続領域を備えた複数のリードを具備し、前記接続領域と前記第1および第2の半導体素子チップはボンディングワイヤを介して電気的に接続されているものを含む。
この構成の場合、特にチップクラックが生じやすいが、上述したように低膨張率の樹脂を選択することによりチップクラックを大幅に低減することができる。
また本発明では、前記半導体装置において、前記半導体素子搭載部は、矩形部と前記矩形部に連続的に形成された前記伸長部とを備え、前記半導体素子チップはその角部が、前記矩形部の角部に相当するように位置づけられているものを含む。
この構成によっても同様に、チップクラックを大幅に低減することができる。
なおチップは結晶方向にかかる応力が600MPa以下の場合にチップ破壊を防止することができることがわかった。
本発明の半導体装置によれば、鉛フリー工程において、高温でのリフロー工程を経ても、チップクラックの発生もなく、高歩留まりの半導体装置を提供することが可能となる。
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態の半導体装置を示す斜視図、図2は同半導体装置の樹脂パッケージを除いた図、図3は同実施の形態に用いられるリードフレームを示す図、図4は同半導体装置の製造工程の一部であって、半導体素子チップを搭載しワイヤボンディングを行った状態を示す図、図5は、この半導体装置の樹脂封止工程を示す説明図である。
この半導体装置は、封止樹脂をガラス転移点以上における線膨張係数である線膨張係数α2が40であるシンクロ系樹脂で構成したことを特徴とする。なおこの樹脂の他の物性値は次表に示すとおりである。比較のために現在使用しているエポキシ系樹脂についても示した。
Figure 2005136262
ここで比較例として示したのはOCNエポキシ樹脂(オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂)である。
本発明で望ましいのは、高密着性・低吸湿性を特徴としたジシクロ系樹脂(ジシクロペンタジエンエポキシ樹脂)、ビフェノール系樹脂(ビフェノール)エポキシ樹脂、反りが少なくガラス転移点Tgの低い片面封止用多官能系樹脂などである。
ガラス転移点以上における線膨張係数α2については6.0-5/℃(60ppm)以下となるようにするのが望ましい。
また、ガラス転移点以下における線膨張係数α1については1.2〜1.5×10-5/℃以下となるようにするのが望ましい。
そしてこの半導体装置は、半導体素子搭載部が、矩形の半導体素子搭載領域としてのダイパッド5a、5bと、このダイパッド5aに連続的に形成された伸長部5eとを備え、この伸長部5eと半導体素子搭載領域との間に応力緩衝部としての切欠き7を具備しており、前記半導体素子チップはその角部が、前記ダイパッド5a、5bに相当するように位置づけられ、半導体素子チップの(111)が前記伸長部5eの伸長方向と45°の角度をなしていることを特徴とする。また、樹脂パッケージ1は、リード2a、2b、2c、3a、3bが導出される面を境として上下の樹脂1a、1bの厚さ比が、前記導出される面よりも上方の樹脂量と下方の樹脂量とがほぼ同一となるように決定される。ここではリードが導出される面から樹脂パッケージ上面までの距離Laと、リード導出面から樹脂パッケージ下面までの距離LbとはLa=0.55mm、Lb=0.55mmであった。
またこの樹脂パッケージの外径は2.9mm×1.5mm×1.1mmであった。
すなわち、この半導体装置は、リードフレームと、半導体素子チップ4a、4bと、この周りを囲む樹脂パッケージ1とで構成される。そして2個のトランジスタチップを構成する半導体素子チップ4a、4bを、リードフレームのダイパッド5a、5bにそれぞれ載置固定するとともに、この半導体素子チップ4a、4bのパッドを、リード端子2a、2b、2c、3a、3bに夫々ボンディングワイヤ6を介して電気的接続を行うものである。このように、リードフレーム上に電気的接続のなされた半導体素子チップを樹脂パッケージ1a、1bで封止し、樹脂パッケージ1a、1bから導出されたリードをガルウィング型に成形したものである。このリード端子2a、2b、2c、3a、3bの外方端を、図9に示すように鉛フリー半田層22を介してプリント基板20表面上の回路パターンに載置し、リフロー法により、245℃程度で加熱することにより、プリント基板20表面の回路パターン21上への実装が鉛フリー半田を介してなされる。
ここで伸長部5eはボンディングパッドとして用いられることが多いが、パッドとして用いられない機種もある。パッドとして用いられない場合は不要であるが、少量多品種化に伴い同一のリードフレームで多品種に対応させる汎用型リードフレームとして用いるため、本実施の形態のリードフレームは伸長部5eを備えている。
さらに、本実施の形態では、第1および第2の半導体素子搭載部であるダイパッド5a、5bの配列方向に直交して樹脂パッケージ1の外部に導出された吊りリードとしてのリード端子3a、3bを備えている。これらダイパッド5a、5bのうちの一方5aは、他方のダイパッドの近傍まで、伸長する伸長部5eを具備しており、さらにこれらダイパッド5aの配列方向に平行に、これらと相対向して配列され、それぞれ、先端に接続領域を備えた複数のリード2a、2b、2cを具備し、前記接続領域と前記第1および第2の半導体素子チップ5a、5bはボンディングワイヤ6を介して電気的に接続されている。
また本発明では、前記半導体装置において、前記半導体素子搭載部は、矩形部と前記矩形部に連続的に形成された前記伸長部とを備え、前記半導体素子チップはその角部が、前記矩形部の角部に相当するように位置づけられている。
このダイパッドにはAgメッキ、リード端子には、Sn−PbやSn−Biに代表されるPbフリー半田メッキ層を備えている。
そしてこのリードフレームは、図3に要部拡大断面図を示すように、送り穴9を備えた2本のサイドバー8の間に、第1および第2の半導体素子チップ搭載部としてのダイパッド5a、5bと、これを支持する吊りリード3a、3bと、この吊りリードに相対向してリード端子2a、2b、2cとからなるリードフレームユニットが多数個順次配設されたものである。また、ダイパッド5aと伸長部5eとの境界に切り欠き7が形成されている。
次に、この半導体装置の実装方法について説明する。
まず、このリードフレームの製造方法について説明する。
この方法では、金属製の板状体(銅板)からなる条材を打ち抜き加工し、図3に示すように、送り穴9を備えたサイドバー8の間に、ダイパッド5a、5bと、これを支持する吊りリード3a、3bと、リード端子2a、2b、2cとからなるリードフレームユニットが多数個順次配設されたリードフレーム本体の形状加工を行う。このとき抜き型を変更し、打ち抜きと同時に切り欠きが形成できるようになっている。そしてこのようにして形成されたリードフレーム本体表面に、電解メッキによりAgメッキ層を形成した。
次にこのリードフレームを用いた半導体装置の製造方法について説明する。
まず図4に示すように、図3に示したリードフレームのダイパッド5a、5bに半導体素子チップ4a、4bの裏面が搭載されるように固着し、ボンディングワイヤ12によって半導体素子チップ4a、4bとリード端子2a、2b、2cとの電気的接続を行う。
この後、図5に示すように、上金型10aによって形成されるキャビティ空間11a内の半導体素子チップを除く空間領域の体積が、ほぼ等しくなるようにキャビティ空間の厚さLa、Lbが調整される。そして上金型10aと下金型10bによって形成されるキャビティ空間11a、11b内の空間領域に前記表に示したような物性値をもつエポキシ樹脂をインジェクトし、樹脂封止を行い、樹脂パッケージ1で被覆された半導体装置を形成する。
そして最後に、サイドバー8を除去し、リード端子をガルウイング形状に成形し、図1に示した半導体装置が形成される。
そして、プリント基板などへの装着時には鉛フリー半田により、効率よくリフローされる。
この半導体装置では全体にかかる応力を確実に抑制することができ、クラックに対する安全マージンを低減することができた。これに対し比較例として示した従来の樹脂では14.5%程度の不良が発生した。
また、それぞれ本発明の実施の形態の半導体装置における、半導体素子チップのダイパッド5aへの載置方向と結晶界面CBとの関係を説明するとともに最大引っ張り応力Fの方向とクラックCの発生との関係とを測定した。その結果を、図12(a)および(b)に示す。
かかる構成によれば、最も弱い部分である結晶界面すなわちシリコン結晶のへき開面である(111)面が伸長部の伸長方向と45°をなすように配され、垂直となるのを避けて配されるため、リフロー時の熱ストレスにより最も大きな力のかかる部分がチップの最も弱い部分を避けて配置されることになる。従ってクラックの発生は低減され、鉛フリー化によるリフロー温度の上昇によってもクラックの発生することのない樹脂封止型半導体装置を提供することができる。特に、伸長部5eが応力を受け、変形しやすいが、本実施の形態では図12(b)に示すように結晶界面CBがこの伸長部5eと垂直にならないように配されているため、伸長部5eの変形による最大引っ張り応力Fに垂直にはなっていないため、クラックCの発生は抑制される。これに対し、従来例では図12(a)に示すように、結晶界面CBがこの伸長部5eと垂直となり、伸長部5eの変形による最大引っ張り応力Fに垂直にはなってこの応力を最大の状態で受けることになる。このためチップクラックが発生しやすい。
また本実施の形態では、リードフレームにおけるダイパッド5aとこれとL字状をなすように伸長する伸長部5eとの境界に応力緩衝部としての切り欠き7を形成しているため、最も応力の集中しやすい場所に応力緩衝部が設けられているため、半導体素子チップ4aに応力が伝搬するのを防止することができ、チップクラックの発生を抑制することができる。
さらにまた、本実施の形態では、樹脂パッケージ1を、このリード面を境に、上下の樹脂量がほぼ等しくなるように構成しているため、リフロー工程において245℃以上の高温となっても、樹脂パッケージ自体が歪むのを防ぐことができる。このため、樹脂パッケージの熱歪が半導体チップに伝搬してチップクラックが発生する確率は大きく低減される。このように、この構成によれば、熱により樹脂パッケージが歪を生じるのを防止することが可能となる。
また、半導体装置の封止樹脂から露呈するリード部が、半田層となっているため、安定な外部端子構造を形成することが可能となる。
なおこの封止樹脂から露呈するリード部の最外層としては、金、錫、パラジウム半田など、安定で半田と共晶を形成し易い金属で構成すればよい。
また、本発明のリードフレームにおいては、前記最外層は、半田と共晶を形成し易い金などの金属で構成すれば、プリント基板などへの実装に際し、良好に接続を行うことが可能となる。
また、本発明のリードフレームの製造方法では、打ち抜き法によって形成したが、打ち抜き法とエッチング法との組み合わせあるいはエッチング法を用いるようにしてもよい。
更にまた樹脂パッケージについても、前記実施の形態では、リードが導出される面から樹脂パッケージ上面までの距離Laと、リード導出面から樹脂パッケージ下面までの距離LbとはLa=0.55mm、Lb=0.55mmとしたが、これに限定されることなく上部と下部の形状にもよるが、La=0.2mm、Lb=0.9mmとしたもの、La=0.3mm、Lb=0.8mmとしたものも有効であった。
また、前記実施の形態では、リードフレームにおいて半導体素子搭載領域と伸長部との境界に切欠きを形成したが、この切欠きは、前記半導体素子搭載領域と伸長部との境界に配置するのが望ましいが、境界近傍から伸長部の長手方向に沿って切り欠きを入れ、伸長部の幅を狭くしたり、伸長部の長さを小さくしたり、してもよく、応力低減のための構造を形成しこれを応力緩衝部としてもよい。
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態でも前記第1の実施の形態で用いたのと同様の低膨張係数の樹脂パッケージを用いた。また、前記第1の実施の形態では、リードフレームのダイパッド5aとその伸長部5eとの境界部に応力緩衝部としての切欠き7を形成したが、これに代えて、本実施の形態では、図6(a)に示すように、伸長部5eの長さを、ダイパッドの半導体素子チップ搭載領域である矩形領域の1辺の長さと同程度以上とならないようにしたことを特徴とするもので、従来よりも短く形成している。他の部分については前記第1の実施の形態と同様である。
またこの例でも、半導体素子チップ4a、4bはへき開面と伸長部の伸長方向とは45°の角度をなすように形成される。
この構成によれば、伸長部が短く形成されているため、この伸長部からダイパッド5aが受ける引っ張り応力は低減され、従ってチップクラックの発生率は低減される。
なお、図6(b)に示すように、半導体素子チップの搭載方向は従来と同様にしても、従来例で示した伸長部をダイパッド5b近傍まで伸長させたものに比べて、大幅にチップクラックの発生率が低減される。
(第3の実施の形態)
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。
本実施の形態でも前記第1の実施の形態で用いたのと同様の低膨張係数の樹脂パッケージを用いた。また、前記第1の実施の形態では、リードフレームのダイパッド5aとその伸長部5eとの境界部に応力緩衝部としての切欠き7を形成したが、これに代えて、本実施の形態では、図7(a)に示すように、伸長部5eの長さを、ダイパッドの半導体素子チップ搭載領域である矩形領域の1辺の長さと同程度以上とならないようにすると共に幅wをリード端子の幅w0よりも小さくしたことを特徴とするもので、従来よりも短く形成している。他の部分については前記第1および第2の実施の形態と同様である。
またこの例でも、半導体素子チップ4a、4bはへき開面と伸長部の伸長方向とは45°の角度をなすように形成される。
この構成によれば、伸長部が短くかつ幅を小さくして形成されているため、この伸長部からダイパッド5aが受ける引っ張り応力は低減され、従ってチップクラックの発生率は低減される。
なお、図7(b)に示すように、半導体素子チップの搭載方向は従来と同様にしても、従来例で示した伸長部をダイパッド5b近傍まで伸長させたものに比べて、大幅にチップクラックの発生率が低減される。
(第4の実施の形態)
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。
本実施の形態でも前記第1の実施の形態で用いたのと同様の低膨張係数の樹脂パッケージを用いた。また、前記第2および第3の実施の形態では、リードフレームのダイパッド5aからの伸長部5eを、短くしたり、幅を小さくしたりしたが、本実施の形態では、図8(a)に示すように、伸長部を切除し、長手方向のダイパッドの形状を線対称としたものである。他の部分については前記第1および第2の実施の形態と同様である。これにより、伸長部をパッドとして使用できなくなり、適用品種が少なくなるという欠点があるが、引っ張り応力は低減される、チップクラックの発生は低減される。
またこの例でも、半導体素子チップ4a、4bはへき開面と伸長部の伸長方向とは45°の角度をなすように形成される。
この構成によれば、伸長部を削除して形成されているため、伸長部からダイパッド5aが受ける引っ張り応力はなくなり、従ってチップクラックの発生率は低減される。
なお、図8(b)に示すように、半導体素子チップの搭載方向は従来と同様にしても、従来例で示した伸長部をダイパッド5b近傍まで伸長させたものに比べて、大幅にチップクラックの発生率が低減される。
なお、前記第1乃至第4の実施の形態のリードフレームにおける半導体チップ4aの受ける応力値を測定した結果を図11に示す。Pは図14および図15に示した従来例の半導体装置、N1は第2の実施の形態の半導体装置、N2は第3の実施の形態の半導体装置、N3は第4の実施の形態の半導体装置、N4は第1の実施の形態の半導体装置における半導体チップの受ける応力値を示す。これらの比較から、本発明の第1乃至第4の実施の形態によれば応力が低減され、チップクラックの発生率の低下をはかることが可能となることがわかる。
また、チップの方向と応力との関係を測定した結果を図13(a)乃至(d)に示す。この図から明らかなように、チップ底面即ちリードフレームとの接着面近傍における応力を測定した結果を示すもので、位置としては図13(c)および図13(d)に示すように、C1−C2、C4−C1の方向での応力を測定した結を示す図である。これらの図からわかるように、チップを45°回転したときの応力値は辺C1―C2において増大するものの、辺C4―C1においては減少する。またチップを45°回転するとともにリードフレームの伸長部5eを切除したものは辺C1―C2および、辺C4―C1において共に減少する。図中曲線aは従来例のリードフレームを用いて従来例のチップ配置をしたもの、曲線bはチップ配置を45°回転したもの、曲線cはチップ配置を45°回転するとともに伸長部5eを切除したものを示す。
また、リードフレームのダイパッド5aと伸長部5eとの間に切り欠き7を形成し応力緩衝部を設けたが、本実施の形態では、図10に示すように、応力緩衝部としての切り欠き7を形成することなく形成したもので、他の部分については前記第1の実施の形態と同様である。
これにより、伸長部5eの受ける引っ張り応力は従来と同様であるが、半導体素子チップ4aのへき開面が引っ張り応力が最大となる伸長部eの伸張方向から45°回転して形成されるため、引っ張り応力は理論的には3分の2程度に低減されるため引っ張り応力は低減される、チップクラックの発生は低減される。
この構成によれば、リードフレームおよびボンディング工程を変更することなく実現でき、半導体素子チップの装着方向を45°回転するのみで形成することができるため、製造も容易である。なおこの回転方向としては、ワイヤボンディングのワイヤの方向を考慮して決定する必要がある。
また、半導体素子チップ4a、4bはへき開面と伸長部の伸長方向とのなす角度は45°に限定されることなく、30°とするなど適宜調整可能である。
(第5の実施の形態)
次に本発明の第5の実施の形態について説明する。
本実施の形態でも前記第1の実施の形態で用いたのと同様の低膨張係数の樹脂パッケージを用いた。また、前記第1の実施の形態では、リードフレームのダイパッド5aと伸長部5eとの間に切り欠き7を形成し応力緩衝部を設けたが、本実施の形態では、図10に示すように、応力緩衝部としての切り欠き7を形成することなく形成したもので、他の部分については前記第1の実施の形態と同様である。
これにより、伸長部5eの受ける引っ張り応力は従来と同様であるが、半導体素子チップ4aのへき開面が引っ張り応力が最大となる伸長部eの伸張方向から45°回転して形成されるため、引っ張り応力は理論的には3分の2程度に低減されるため引っ張り応力は低減される、チップクラックの発生は低減される。
この構成によれば、リードフレームおよびボンディング工程を変更することなく実現でき、半導体素子チップの装着方向を45°回転するのみで形成することができるため、製造も容易である。なおこの回転方向としては、ワイヤボンディングのワイヤの方向を考慮して決定する必要がある。
また、半導体素子チップ4a、4bはへき開面と伸長部の伸長方向とのなす角度は45°に限定されることなく、30°とするなど適宜調整可能である。
また、図10に破線で示すように、リードフレームのダイパッド5aと伸長部5eとの間に円形孔7Sを形成し応力緩衝部を構成してもよい。また円形孔に限らず★状孔、□穴なども有効である。これらの孔もここでは切り欠きの一部とする。
なお、前記実施の形態では、2個のトランジスタの実装について説明したが、1個のトランジスタを実装する場合にも適用可能であり、またこのようなディスクリート素子に限定されることなく、ICやLSIなどにも適用可能であることはいうまでもない。
また、樹脂パッケージを構成する樹脂としては、前記実施の形態で用いたエポキシ樹脂に限定されることなく適宜変更可能である。なおガラス転移点以下の線膨張係数α1についてはあまり影響はなく、ガラス転移点を越えた領域での線膨張係数α2が6.0×10-5/℃を越えないようにするのが望ましい。
樹脂としては、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂などが適用可能であるが線膨張係数α2を調整するためには、アンダーフィル材を添加するなど種々の方法によって微調整を行うことができる。シリコーン系樹脂は効果ではあるが、線膨張係数α2の調整が容易であり、有効である。
以上説明してきたように、本発明の半導体装置によれば、鉛フリー工程において、高温でのリフロー工程によって実装される半導体装置の、チップクラックの低減に有効であり、熱応力によりチップクラック等のダメージを受けやすい、特に、長方形の樹脂パッケージをもつシングルインライン型あるいはデュアルインライン型の半導体装置の歩留まりの向上に有効である。
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置を示す図 本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の(樹脂パッケージを除いた状態を示す)説明図 本発明の第1の実施の形態に用いられるリードフレームを示す図 本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す図 本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す図 本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置を示す図 本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置を示す図 本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置を示す図 本発明の半導体装置の実装例を示す図 本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置を示す図 本発明の実施の形態の半導体装置におけるチップクラックの発生率を示す比較図 本発明の実施の形態の半導体装置の原理説明図 本発明の実施の形態の半導体装置における応力値を示す比較図 従来例の半導体装置を示す図 従来例の半導体装置の(樹脂パッケージを除いた状態を示す)説明図 従来例の半導体装置を示す図 従来例の半導体装置を示す図 従来例の半導体装置を示す図 従来例の半導体装置を示す図
符号の説明
1 樹脂パッケージ
1a、1b 上下の樹脂
2a、2b、2c リード端子
3a、3b 吊りリード
4a、4b 半導体素子チップ
5a、5b ダイパッド(半導体素子搭載部)
5e 伸長部
6 ボンディングワイヤ
7 切欠き
8 サイドバー
9 送り穴
10 金型
11 キャビティ
101 樹脂パッケージ
102a、102b、102c リード端子
103a、103b 吊りリード
104a、104b 半導体素子チップ
105a、105b ダイパッド(半導体素子搭載部)
105e 伸長部

Claims (11)

  1. 半導体素子搭載領域と、前記半導体素子搭載領域の近傍に、一端が位置するように配設された複数のリードと、
    前記半導体素子搭載領域に搭載され、前記リードの少なくとも1つに電気的に接続された半導体素子チップと、
    前記半導体素子チップを被覆すると共に、前記リードの外方の端部を外部に露呈せしめる樹脂パッケージとを備えた半導体装置であって、
    前記樹脂パッケージは、線膨張係数α2が6.0×10-5/℃以下の樹脂で構成されたことを特徴とする半導体装置。
  2. 前記樹脂パッケージは、線膨張係数α1が1.8×10-5/℃以下の樹脂で構成されたことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 前記樹脂パッケージは、線膨張係数がリードフレームのそれよりも小さい樹脂で構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
  4. 前記樹脂パッケージは、エポキシ系樹脂で構成される請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
  5. 前記半導体素子搭載領域は、少なくとも一方向に伸長せしめられた伸長部を備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置。
  6. 前記半導体素子搭載領域は矩形部を構成しており、前記伸長部は、前記矩形部の一端部から垂直方向に伸長していることを特徴とする請求項5に記載の半導体装置。
  7. 前記半導体素子チップは、その結晶界面が、前記伸長部の伸長方向に垂直となるのを避けて配される請求項5または6に記載の半導体装置。
  8. 前記リードは、前記樹脂パッケージの一方向または2方向に形成される請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置。
  9. 前記樹脂パッケージは主面が長方形であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体装置。
  10. 前記半導体素子搭載部は、それぞれ、前記半導体素子搭載部の配列方向に直交して前記樹脂パッケージの外部に導出された吊りリードを備え、第1の半導体素子チップを搭載する第1の半導体素子搭載部と、第2の半導体素子チップを搭載する第2の半導体素子搭載部とを備え、
    前記伸長部は前記第1の半導体素子搭載部から、前記第2の半導体素子搭載部の近傍まで、伸長しており、
    前記第1および第2の半導体素子搭載部の配列方向に平行に、これらと相対向して配列され、それぞれ、先端に接続領域を備えた複数のリードを具備し、
    前記接続領域と前記第1および第2の半導体素子チップはボンディングワイヤを介して電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  11. 前記半導体素子搭載部は、矩形部と前記矩形部に連続的に形成された前記伸長部とを備え、前記半導体素子チップはその角部が、前記矩形部の角部に相当するように位置づけられていることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115632003A (zh) * 2022-12-22 2023-01-20 紫光同芯微电子有限公司 芯片封装方法、装置、可读介质及电子设备

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