JP2005135800A - 光電変換電極及びこれを用いた光電変換素子 - Google Patents

光電変換電極及びこれを用いた光電変換素子 Download PDF

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Abstract

【課題】 大面積を有し、変換効率が高く、極めて簡便かつ安価に作製することができる光電変換電極及び光電変換素子を提供する。
【解決手段】 光電変換電極は、光透過性導電性基材上に、少なくとも溶媒可溶型樹脂を含む高分子化合物と光半導体粒子とよりなる多孔質層を設けたものであって、上記多孔質層が溶媒可溶型樹脂の多孔質構造により形成されたものである。光電変換素子は、上記の光電変換電極と、対向電極と、それらの間に介在する電解質とから構成され、光電変換電極と対向電極の間にセパレータを設けるのが好ましい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、溶媒可溶型樹脂と光半導体とよりなる多孔質層が光透過性導電性基材上に形成された光電変換電極およびそれを用いた光電変換素子に関する。
色素増感型太陽電池は、代表的な光化学電池であるシリコン型太陽電池と比較して、環境に対する影響が少なく、また低コストであること等から、次世代の太陽電池として大きな期待が寄せられており、更には広く光電変換素子としての種々の用途への展開も期待されている。色素増感型電池は、グレッツェルらの研究により、酸化チタンと光増感剤との組み合わせによる光電変換電極を用いて高い変換効率を実現したことで、大きな注目を集めるに至った。それ以来、多くの研究者により変換効率の向上が試みられてきた。グレッツェルらによる色素増感型電池は、透明ガラス基板上に透明導電膜を形成した透明電極の上に、アナターゼ型の酸化チタンからなる多孔質層を形成し、更にルテニウム錯体からなる光増感剤を付着させた光電変換電極を用いている。このようにして形成した光電変換電極を用いた色素増感型太陽電池は、上記のように変換効率は高いものの、ガラス基板を用いているため剛直であり、形状の自由度が低いため、今後の用途展開において例えば屈曲面への効率的な配置に難があり、また、セル自体の重量が大きいことから、ハンドリング性が悪い等の問題点を有している。
これらの問題点を解決するために、ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる高分子フィルムを基板として用いる提案もなされている。しかしながら、PETを用いる場合、酸化チタンの焼成工程における昇温温度は150℃程度が上限となる。そのため、酸化チタンの粒界面における接触が悪く、接触抵抗が高くなることから高変換効率が得られない。また、上記のように酸化チタン粒子同士の密着性が悪いことから、酸化チタン層を厚くした場合には、酸化チタン粒子同士の固着強度が低くなり、安定した層が得られないのみならず、酸化チタン同士の接触抵抗を低減することができない。また、この方法で焼成された酸化チタン層は粒子界面の接着性が悪いために、高分子フィルムの屈曲が過大になると酸化チタン層が破壊されやすいという問題を有している。つまり、PETを用いる方法では、酸化チタンの焼成温度が低いことから、安定した電極層が得られず、また、高い変換効率が得られない等、種々の問題が生ずる。
これらの問題点を解決するために、例えば、特開平2002−175843号公報には、ポリテトラフルオロエチレンの延伸多孔質高分子フィルムを用いて、光半導体粒子を透明電極上に固定化する提案がなされている。
特開平2002−175843号公報。
上記提案の方法によれば、焼成温度を前記方法よりも高い300℃程度の高温にまで上げることができるため、光半導体粒子同士の密着性が向上し、上記の問題点が緩和される。しかしながら、ガラス基板を用いた場合と比べて焼成温度が未だ低く、変換効率の飛躍的な向上が望めないばかりでなく、焼成工程自体が存在することにより、製造工程が簡略化できず、低コストで大面積の光電変換電極を得ることが不可能である。また、この方法では、光増感剤は、酸化チタンの焼成温度である300℃には耐えられないために、酸化チタンの焼成時に同時に存在させることが不可能である。したがって、光増感剤は、焼成による光電変換電極の形成後に、酸化チタン層に浸透する方法を取らざるを得ない。したがって、この方法では工程数が増えるばかりでなく、酸化チタン層が厚い場合や、密に積層されている場合、あるいは、光増感剤を溶解した溶媒とポリテトラフルオロエチレンの延伸多孔質高分子フィルムとの濡れ性が悪い場合には、光増感剤の酸化チタン層への浸透が不十分になり、変換効率が十分に上がらない等の問題が生じる。
また、上記提案の方法においては、ポリテトラフルオロエチレンの延伸多孔質高分子フィルムを作製した後に、酸化チタン粒子を多孔質膜中に含浸させる方法を用いているが、含浸工程が必要なことから、工程数が増えて低コスト化できないばかりでなく、酸化チタン粒子の粒子径や凝集性に依存して含浸性が悪化する場合があるために、各種の酸化チタン粒子を使用することができない。一方、その他の光半導体粒子の使用も考慮されるが、光半導体粒子の粒子形状や大きさ、あるいはそれらの因子に起因する凝集性等によっては、必ずしも使用できるとは限らない。更には、光半導体粒子に固有の焼成温度が高い場合には、焼成温度を十分に上げることができず、粒子界面の密着性が上げられない等の問題も有している。これらの問題点は、従来の製法において、焼成工程が存在すること、及び、多孔質膜に光半導体粒子を含浸し保持させる方法を用いていることに起因すると考えられる。
一方、既存の電気化学素子ではゲル電解質を電解液の代わりに使うことが知られているが、従来の光電変換素子においては、変換効率の向上からは、光半導体粒子は焼結により固着させる必要があり、ゲル電解質を用いたり、高分子化合物を電極の結着剤として用いることができなかった。
本発明は、従来の技術における上記の問題点を解決することを目的とする。すなわち、本発明の目的は、色素増感太陽電池に代表される光電変換素子において、大面積を有し、また変換効率が高く、極めて簡便かつ安価に作製することができる光電変換電極、及びそれを用いた光電変換素子を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討した結果、光電変換電極の構成材料、光半導体の焼成工程、光半導体や光増感剤を光電変換電極に組み込む工程等を根底から見直し、高分子化合物を用いて多孔質層を形成することによって、焼結工程を経ることなく、十分に高い変換効率の光変換素子が得られることを見出だし、本発明を完成するに至った。
本発明の光電変換電極は、光透過性導電性基材上に、少なくとも溶媒可溶型樹脂を含む高分子化合物と光半導体粒子とよりなる多孔質層を設けてなり、その多孔質層が溶媒可溶型樹脂の多孔質構造により形成されたものであることを特徴とする。
本発明の上記光電変換電極において、高分子化合物は溶媒可溶型樹脂と共に溶媒非可溶型樹脂を含有してもよく、あるいは、高分子化合物の一部また全部が電解液に対して不溶であり固形またはゲルの性状を保持してもよい。
また、本発明の上記光電変換電極において、光半導体粒子は、少なくとも金属化合物粒子と染料とを含有するものであり、そして、金属化合物粒子は少なくとも金属酸化物粒子を含んでもよい。また、金属酸化物粒子は、少なくとも酸化亜鉛および酸化チタンから選択される1種類以上より構成されているのが好ましい。
本発明の光電変換電極において、上記染料としては、水またはアルコール系溶媒に対して少なくともその一部が可溶である染料を用いることが好ましい。また、上記染料は、その分子構造中にカルボキシル基、スルホン基、水酸基、ニトロ基のうちから選択される少なくとも1種類の極性基を含有してもよい。上記染料は金属錯体または金属錯塩構造を有していてもよく、また、分子構造中に金属を含まないものを用いてもよい。
本発明の光電変換電極において、光透過性導電性基材としては、高分子基材単独よりなるもの、或いは高分子基材を積層してなるものが用いられる。また、これら光透過性導電性基材に用いる高分子基材は実質上フレキシブル性を有していてもよい。
本発明の光電変換素子は、前記の特徴を有する光電変換電極と、これに対向する対向電極と、光電変換電極および対向電極の間に介在する電解質とからなることを特徴とする。本発明の上記光電変換素子は、光電変換電極とこれに対向する対向電極の間にセパレータを設けてもよい。このセパレータは、電解液に対して実質上不溶の不織布または多孔質膜からなるか、電解液により膨潤する高分子電解質であるか、またはこれらの複合体から構成されるものであって、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル樹脂の少なくとも一つまたはこれらの複合体よりなるのが好ましい。また、上記フッ素系樹脂は、ポリフッ化ビニリデン樹脂またはフッ化ビニリデン共重合体樹脂またはこれらの混合物であってもよい。
本発明の光電変換電極は、焼結工程を含まないために、生産性が極めて良好、かつ製造コストが安価であるという利点を有する。すなわち、光半導体粒子を高分子化合物を用いて光透過性導電性基材上に塗工、乾燥するだけで形成することができ、したがって、本発明の光電変換電極は、安価で大面積化が達成され、かつ大量に製造することが可能である。作製に際して、焼成工程がないことによる本発明の他の利点としては、光透過性導電性基材としてフレキシブル性に富んだ高分子フィルムであれば、必ずしも耐熱性が高くない材質であっても使用できるため、殆どの高分子フィルムが適用可能である。また、特に、光半導体粒子同士、および光半導体と光透過性導電性基材の接着が、高分子化合物を用いて行われ、フレキシブル性が高い高分子フィルムを光透過性導電性基材として用いることが可能であるので、本発明の光電変換電極を用いることにより、発電性能を損なうことなく、形状自由度の非常に高い光電変換素子を大面積かつ極めて安価な製造コストで提供することが可能となる。
また、本発明の光電変換素子は、上記の光電変換電極を使用するから、上記のようにフレキシブル性を有するものが可能となり、そしてセパレータを組み込んだ場合、液漏れがなく、また屈曲によっても電解液の偏りや、短絡等の不具合が生じないものとなる。また、本発明において、セパレータに用いる樹脂の電解液に対する膨潤性や溶解性を最適化することにより、構成部材間の密着性や接着性を向上することができるとともに、導電性の高い金属化合物を併用した場合、内部抵抗の低減がはかれ、変換効率の良い光電変換素子を提供することが可能となる。
まず、本発明の光電変換電極について説明する。光電変換電極は、光透過性導電性基材上に、少なくとも溶媒可溶型樹脂を含む高分子化合物と光半導体粒子とよりなる多孔質層を設けてなるものであって、その多孔質層は溶媒可溶型樹脂の多孔質構造により形成される。
本発明において、光透過性導電性基材としては、従来用いられている剛直な光透過性導電性基材の他、フレキシブル性を有する高分子基材を用いることができる。高分子基材は単独で使用してもよく、あるいは積層した形態のものとして用いてもよい。
前述のように、本発明の利点の一つとして、光半導体粒子を焼結する工程が必要でないことがあげられ、製造工程時に被塗工物に加えられる温度は、せいぜい百数十度が上限であるため、本発明においては各種の高分子基材を用いることができる。すなわち、光半導体粒子及び高分子化合物を含有する塗料に用いる溶媒の乾燥条件に対して、少なくとも耐熱性を有するものであれば、如何なるものでも使用可能であり、具体的には、例えば、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等があげられる。光透過性導電性基材としては、これらの高分子基材の表面に酸化錫、アンチモンドープ酸化錫、ITO等で少なくとも片面に導電処理を施したもの等が例示されるが、これらに限定されるものではない。またこれらの高分子基材は前記の如く単独で用いても、あるいは積層して用いてもよく、また、従来用いられているガラス基材上に積層して用いることも可能である。但し、本発明において、光透過性導電性基材は、少なくとも表・裏のいずれか一面に光透過性の導電面を有することが必要である。
本発明において、光透過性導電性基材としては、上記のように剛直なものでも使用可能であるが、フレキシブル性を有することが望ましい。つまり、前記の如く、従来の少なくとも焼結工程により結着された光半導体粒子層を設けた電極は、たとえ高分子基材を用いて一見屈曲性に富むものとして設計しても、焼結した光半導体粒子の接着界面、および光半導体と光透過性導電性基材との接着界面は、剛直な無機粒子である半導体粒子同士の焼結に依存するため、外部からの曲げ応力に対して非常に脆く、発電性能に悪影響を及ぼすものであったが、本発明においては、上記のように光半導体粒子同士、及び光半導体粒子と光透過性導電性基材とが、可とう性を有する高分子化合物により結着されているために、発電性能に悪影響を与えることなく格段の屈曲性を付与することが可能となるために、光透過性導電性基材をフレキシブル性に富む高分子基材とすることにより、光電変換素子自体の形状自由度を非常に高くすることが可能となる。したがって、従来にない用途展開が可能となる。本発明において、上記のフレキシブル性に富む高分子基材は前記例示したものが好適に利用できる。
上記の光透過性導電性基材の導電面には、少なくとも溶媒可溶型樹脂を含む高分子化合物と光半導体粒子とよりなる多孔質層が形成される。
本発明において、高分子化合物には少なくとも溶媒可溶型樹脂が含まれるが、用いる溶媒可溶型樹脂は、その一部または全部が溶媒に可溶であり、光半導体粒子を光透過性導電性基材(以後、基材と称する)への塗工あるいは印刷等が可能で基材に結着可能なものであって、後記する方法によって多孔質構造を形成できるものであれば、如何なるものでも用いることができる。しかしながら、イオン移動性があるもの、またはイオンを電極から解離しやすいものを単独使用あるいは併用することが望ましい。その様な多孔質構造を形成できる溶媒可溶型樹脂としては、ポリスルホン系樹脂、メチルメタクリレート系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂等があげられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明では、高分子化合物の少なくとも一部また全部が電解液に対して不溶であり、固形またはゲル性状を保持するものであってもよい。高分子化合物が全く膨潤あるいは溶解しない場合は、光電変換素子内部における電解液粘度があがらず、より好適なイオン移動が可能である。一方、溶媒可溶型樹脂のうち、電解液に対して一部が膨潤し、溶媒可溶型樹脂の内部においてイオン移動が期待できる従来のポリマー電池等で利用されているゲル電解質は、本発明において好適に用いることができる。また、そのようなゲル電解質は、電解液を保持しやすいために、必ずしも電解質を固型化しなくても液漏れ等の従来の問題点を抑制することが可能であることから、本発明においては好適に用いることができる。
また、本発明では、溶媒非可溶型樹脂を高分子化合物に含有させてもよい。すなわち、上記溶媒可溶型樹脂が電解液に対して過度に膨潤するか、あるいは溶解しやすく、その結果、電解液の粘度が上昇しすぎてイオン移動に悪影響を与える場合や、電解液への親和性を向上する等、その他周辺の電池要素とのマッチングを改善する目的の場合、溶媒非可溶型樹脂を溶媒可溶型樹脂と併用して用いることができる。本発明において用いる溶媒非可溶型の樹脂としては、例えば、溶媒可溶型樹脂を架橋した樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等があげられるが、これらに限定されるものではない。
本発明において、光半導体粒子は少なくとも金属化合物粒子と染料とよりなる。金属化合物粒子としては、例えば電子写真感光体に使用されるフタロシアニン系顔料や、硫化カドミウム等があげられるが、これらに限定されるものではなく、半導体領域にある金属化合物粒子ならば、いずれも本発明に使用することができる。本発明においては、金属化合物粒子は金属酸化物粒子であることが望ましい。金属酸化物粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛等が好適に用いられるが、これらに限定されるものではない。特に酸化亜鉛は、電解液中で亜鉛イオンが発生することにより、粒子間を焼結により結着しなくても良好な導電性を得ることができる点で最も好適に用いることができる。また内部抵抗を調整する目的で、半導体領域の金属酸化物粒子と、導電性の高い酸化物粒子とを併用することもできる。また、金属化合物粒子の粒子間および金属化合物粒子と光透過性導電性基材の間の接触抵抗を低減する目的で、針状、繊維状、ウィスカー状、ナノチューブ状、あるいは、方形状でアスペクト比が高いもの等は好適に使用できるが、これらの形状を有する金属化合物を、粒状の金属化合物粒子と混合して複数の粒子形状の金属化合物を混合して用いてもよい。このような金属化合物粒子として、針状あるいはテトラポット状の酸化亜鉛粒子が特に好適に用いることができる。
また、本発明に用いる染料は、各種のものが好適に使用できるが、金属化合物粒子あるいは金属酸化物粒子に吸着しやすい染料が望ましい。本発明において、「染料」とは、各種の染料をはじめとして、有機顔料及び無機顔料等の色材全般を含むものと定義する。本発明に用いられる染料としては、電荷を発生あるいは吸収するものであれば、如何なるものでも好適に用いることができる。本発明に用いる染料は、分子構造中にカルボキシル基、シアノ基、スルホン基、水酸基、ニトロ基のうちから選択される少なくとも1種類の極性基を含有することが望ましいが、これらに限定されるものではなく、金属化合物あるいは金属酸化物への吸着を向上させる働きがある基が存在すればよい。これら例示した基のうち、カルボキシル基を持つ染料は、金属酸化物が有する酸素の部分への吸着が良好であり、本発明においては特に好適に用いることができる。
また、本発明においては、染料の化学構造から、金属錯体または金属錯塩構造を有する染料を好適に用いることができる。これら染料の例としては、クロム系錯体、ルテニウム錯体、鉄錯体等があげられる。これらの色素は、総じて比較的良好な光半導体特性を得られる他、光安定性も比較的良好であり、本発明において好適に用いられる。
本発明において使用される染料の具体例としては、ルテニウム錯体、クマリン色素、エオシン、メロシアニン、ペリレン、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグルーンオクサレート、ランプブラック、ローズベンガル、ローダミン系染料または顔料、キナクリドン、アントラキノン系染料、モノアゾ及びジスアゾ系染料または顔料等があげられる。また、トナーの荷電制御剤で用いられるアゾ系クロム錯体、ニグロシン等も好適に使用することができが、これらに限定されるものではない。
本発明の光電変換電極において、上記高分子化合物と光半導体粒子とよりなる層は、溶媒可溶型樹脂による高分子化合物により多孔質層が形成されていることが必要である。溶媒可溶型樹脂を多孔質構造とし、その内壁面に光半導体を露出させることにより、電解液との接触面積が格段に上がり、変換効率を飛躍的に向上することができる他、多孔質構造体の厚さを大きくすることにより更に変換効率を上げることも可能となる。多孔質層を形成する方法には、種々の方法が存在する。予め多孔質化した溶媒可溶型樹脂に後から光半導体粒子を浸透・保持することも可能であるが、好ましい方法としては、溶媒可溶型樹脂を溶媒に溶解した溶液中に光半導体粒子を分散した塗料を、光透過性導電性基材上に塗工した後、水等の溶媒可溶型樹脂の貧溶媒中に浸漬し、溶媒置換することにより、多孔質層を形成する方法があげられる。また、更に好適な方法としては、光半導体粒子を混合分散した溶媒可溶型樹脂の溶液中に、溶媒可溶型樹脂の貧溶媒を予め添加した塗料を作製し、光透過性導電性基材上に塗工した後、乾燥工程において良溶媒を先に乾燥させて塗工層中に貧溶媒をミクロ相分離により析出させ、その後、貧溶媒を乾燥させる方法があげられる。それにより、溶媒可溶型樹脂の多孔質構造の内壁に光半導体粒子を析出させることが可能である。光半導体粒子に用いる染料が水等の貧溶媒に可溶な場合は、後者の方法がより好適に用いることができる。また、多孔質層を形成する際の塗工に用いるベースは必ずしも光透過性導電基材である必要はない。例えば、光透過性導電性基材がガラスを基材とするものである場合は、ポリエステルフィルムやポリイミドフィルム上に塗工・乾燥により多孔質層を形成した後に、光透過性導電性基材上に加熱・加圧等の手段を用いて転写し貼り付けることも可能である。
本発明において、形成される多孔質層の膜厚は、一般に0.5〜100μmの範囲に設定すればよく、好ましくは1〜70μm、更に好ましくは2〜50μmの範囲である。また、多孔質層の気孔率(ボイド)は、一般に1〜99%の範囲に設定すればよく、好ましくは10〜90%の範囲である。
多孔質層における光半導体粒子と溶媒可溶型樹脂の比率は、任意に設定できるが、一般に、溶媒可溶型樹脂:光半導体粒子=1:99〜90:10の範囲が好ましく、より好ましくは10:90〜50:50の範囲である。溶媒可溶型樹脂の比率が1未満の場合は、光半導体粒子の光透過性導電性基材への固着或いは光半導体粒子同士の固着が不十分になる。一方、90を越える場合は、内部抵抗が上がり過ぎる場合が生じるので好ましくない。また、この比率で規定される範囲とは別に、前記の溶媒非可溶型樹脂を混合することが可能である。これは、本発明においては溶媒非可溶型樹脂が光半導体粒子を被覆することがないために、電極の内部抵抗を上昇させることがないためである。溶媒非可溶型樹脂の混合割合は、一般には溶媒可溶型樹脂100重量部に対して1000重量部以下、好ましくは500重量部以下、より好ましくは100重量部以下である。
次に、本発明の光電変換素子について説明する。光電変換素子は、上記のようにして作製された光電変換電極と、これに対向する対向電極と、光電変換電極および対向電極の間に介在する電解質とを必須成分として構成される。
本発明において電解質としては、ヨウ素及びヨウ化物を用いた電解液を好適に用いることができるが、イオン伝導が可能であり、かつ酸化還元雰囲気で安定な媒介物質であれば、如何なるものでも好適に用いることができる。溶媒にはアセトニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等が例示されるが、これらに限定されるものではない。また本発明においては、ヨウ化銅等の電解質を電極材料に付着し固体化した固体型の電解質も好適に用いられる。
本発明の光電変換素子は、電極間の絶縁を目的として、電解液に侵されない絶縁性フィルムをスペーサーとして電極の周辺部に設けることができる。また、電解液を用いる場合には、液漏れの防止から、電解液を化学ゲルあるいは物理ゲル化して用いることも可能であり、例えば、前記のように、多孔質層の高分子化合物を光半導体粒子のバインダーとして使用するとともに、その一部を電解液でゲル化してゲル電解質として用いることも、液漏れに対して効果的である。この場合に用いられる高分子化合物については、前記例示した通りである。
以上は電極間の絶縁性を得るためにスペーサーを用いる場合の例を示すものであるが、電極間にセパレータを介在させることによって、このような液漏れを防ぐたことが可能である。本発明では、電解液に対して親和性が高く、かつ、電解液の流通が良好でイオン移動がスムースであり、かつ電気絶縁性の高いセパレータを用いるのが好ましい。セパレータとしては、電解液に対して実質上不溶の不織布または多孔質膜からなるか、電解液により膨潤する高分子電解質であるか、またはこれらの複合体であり、特に本発明の光電変換素子はフレキシブル性に富むため、以下に述べるセパレータを、スペーサーの代わりに用いることが望ましい。例えば、電解液に対して膨潤する高分子電解質からなる多孔質膜、あるいは、従来のリチウムイオン二次電池に用いられるポリオレフィン樹脂からなる延伸セパレータの両面または片面に高分子電解質の多孔質層を設けた塗工膜(両面塗工膜と称する)、あるいは不織布に高分子電解質の多孔質層を設けた膜(複合膜と称する)を用いることができる。このようなセパレータは、前述のように、屈曲しても電極同士の接触による短絡を完全に防ぐことが可能となるため、本発明の光電変換素子では有効に用いることができる。より詳細には以下のとおりである。
高分子電解質としては、アクリロニトリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、メチルメタクリレート系樹脂等のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂等、電解液に対して膨潤する樹脂を用いることができるが、必ずしも膨潤の度合いが大きくなくても単に濡れ性が良好であれば好適に用いることができる。このような、電解液に対して膨潤し、あるいは濡れ性が良好な樹脂を用いることにより、電解液の液漏れが防止できるのみならず、注液性を極めて良好にすることが可能となる。
特に、高分子電解質のうちでも、電解液への膨潤性を抑制し、電解液中でも多孔質形状を保持する高分子電解質は、電解液の流通を良好に保つことでイオン移動を良好に保ち発電性能を損ねない等の利点が高いので、より好適に用いることができる。その一例として、ポリフッ化ビニリデンの多孔質膜があげられる。すなわち、電解液に用いる溶媒をアセトニトリルにした場合、高分子電解質として、ポリフッ化ビニリデンの多孔質膜を組み合わせた場合には、ポリフッ化ビニリデン樹脂は、電解液への親和性が比較的高く、液漏れを防ぐという点と、ポリフッ化ビニリデン樹脂からなる多孔質構造が電解液によっても侵されずに光電変換素子中でそのまま形状維持するために、電解液の光電変換素子中での流動が可能であることから、イオン移動を損ねないという点とを同時に満たすことができ、本発明のセパレータとして、非常に好適に用いることができる。また、フッ化ビニリデンーヘキサフルオロプロピレン樹脂等のフッ化ビニリデン共重合体樹脂またはそれとポリフッ化ビニリデン樹脂との混合物よりなる多孔質膜も好適に使用できる。
以上述べたように、本発明に用いられるセパレータとしては、多孔性の高分子電解質からなり、電気絶縁性が良好であるとともに、電解液に含浸しても過度に膨潤せず多孔質を維持できるものが望ましい。しかしながら、これらの特性を有するものでなくても、実質上電解液に不溶の多孔質膜あるいは不織布も好適に用いることができる。また、高分子電解質からなる非多孔質膜であっても電解液でゲル化するか、あるいは電解液がない完全固体系においてもイオン伝導性を示すものであれば、いずれも本発明で用いることが可能である。つまり、光電変換素子に組み込んだ場合に、少なくとも電極間の電気絶縁性があり、厚さ方向にイオン移動が可能なものであれば、如何なるものでも好適に使用することができる。その一例として、ポリオレフィン樹脂やフッ素系樹脂の延伸膜、ポリイミド樹脂またはポリスルホン樹脂の多孔質膜、絶縁性を有する不織布や紙等があげられる。絶縁性を有する不織布を構成する繊維としては、ポリエステル繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ガラス繊維、PBO繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、麻等があげられる。また、本発明において、例えば前記の高分子電解質からなる多孔質膜を薄膜化する場合には、その機械的な強度を補う目的から、前記の実質的に電解液に不溶の多孔質膜あるいは不織布と高分子電解質の複合膜を使用することも可能である。これらは、前述の両面塗工膜や複合膜に相当するものである。
光電変換電極と対向する対抗電極としては、公知の如何なるものでも使用することができる。例えば、白金板、白金スッパタ層を設けたガラス板、白金スッパタ層を設けたITO−PETフィルム、カーボン電極等が使用できる。
以下、本発明を実施例および比較例を用いて詳記する。光電変換素子の性能は、JASCO社製の太陽電池評価システムにて評価し、AM1.5,1000mW/mの疑似太陽光を照射した際に得られた変換効率を評価値とした。
1)光半導体粒子の調製
染料として、アシッド・レッド(Acid Red)87(東京化成社製)0.7g、エタノール200g、トリメチルアミン(試薬)0.1gをビーカーにて混合し、完全に染料が溶けたことを確認した後に、酸化亜鉛粒子(堺化学社製、Finex50)40gを投入し、超音波分散機にて、酸化亜鉛の二次粒子の解離を行いつつ染色を20分間行った。染色した酸化亜鉛粒子をブフナー漏斗にて分離した。エタノールの脱離が終わった後で、再度エタノールで洗浄した後に、酸化亜鉛粒子を回収し、次に真空乾燥機にて100℃加熱下で乾燥し、光半導体粒子を調製した。
2)高分子化合物の溶液の調製
N−メチルー2−ピロリドン(NMP)85gに対して、ポリフッ化ビニリデン樹脂(アトフィナ社製、カイナー301F)15g及び多孔質化に必要な貧溶媒であるエチレングリコール7gを投入し、常温にて攪拌しながら徐々に溶解し高分子化合物の溶液を得た。
3)光半導体粒子含有塗料の調製
上記1)で得られた光半導体粒子と2)で得られた高分子化合物の溶液とを、重量比で、光半導体粒子:高分子化合物=100:5となるように配合し、超音波分散機で30分間分散して、光半導体粒子含有塗料を得た。
4)光電変換電極の作製
ITOガラス基板(10×15×0.7mm、10Ω/□)の導電面全面に、上記3)で得られた光半導体含有塗料をアプリケータを用いて塗工した。その後、5mm×5mmの面積を残してITOガラス基板の周囲4辺に残る塗料をふき取った。次いで80℃にて60分間乾燥して、多孔質光半導体層を形成し、本発明の光電変換電極を得た。
5)光電変換素子の作製
上記4)で得られた光電変換電極面の周囲に、厚さ300μmのポリフッ化エチレン製シートからなるスペーサーフィルムを配置し、次いでそのスペーサーフィルムの上に対向電極として白金板を配して重ね、次いで両電極間の隙間に電解液(ヨウ化テトラプロピルアンモニウム0.5mol/dmとヨウ素0.05mol/dmのアセトニトリル溶液からなる)を隙間を満たす量だけ注入して、本発明の光電変換素子を得た。変換効率ηを測定したところ、η=1.51%であった。
実施例1の1)〜4)の手順と同様にして光電変換電極を作製した後に、スペーサーの代わりにポリフッ化ビニリデン樹脂の多孔質膜からなるセパレータを両電極間に配した他は、実施例1の5)と同様の手順で、光電変換素子を作製した。変換効率ηを測定したところ、η=2.12%であった。
なお、上記セパレータは、以下のようにして作製した。
1)ポリフッ化ビニリデン樹脂(カイナー301F、アトフィナ社製)100gをNMP900g中に投入し、常温にて攪拌して上記樹脂の溶液を得た。
2)アプリケータを用いて上記溶液をポリプロピレンシートに塗工した。塗工直後に水中に5分間浸漬し、NMPと水を溶媒置換することによってポリフッ化ビニリデン樹脂を多孔質化した。
3)次いで、塗工層を有するポリプロピレンシートを80℃に設定した乾燥機中に静置し、十分に水を乾燥した後に、ポリプロピレンシートを剥離、除去してポリフッ化ビニリデン樹脂からなるセパレータを得た。セパレータの厚さをマイクロメーターで測定したところ32μmであった。電子顕微鏡にてセパレータの断面を観察し、厚さを測定したところ、同様に32μmであった。
透明導電性フィルム(ITO−PETフィルム)の導電面に対して、実施例1の1)〜4)の手順と同様の方法にて塗工して、光電変換電極を得た。次に、この光電変換電極の電極面上に、実施例2のセパレータを重ね、さらにそのセパレータ面に対して、透明導電性フィルム(ITO−PETフィルム)に白金スパッタ層を設けた電極を、白金層がセパレータ面と接するように重ねて配置した後、実施例1と同様にして電解液を注入し、光電変換素子を得た。変換効率ηを測定したところ、η=2.17%であった。
実施例1に記載のポリフッ化ビニリデン樹脂(PVdF、カイナー301F)の一部をフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン他樹脂(VdF−HFP、ソルベイ社製、ソレフ20216)に置き換えて高分子化合物の溶液を作製した。具体的には、カイナー301F:ソレフ20216=75:25(重量比)とした以外は、実施例3と同様にして光電変換素子を得た。変換効率ηを測定したところ、η=1.93%であった。
実施例1の高分子化合物の溶液に、架橋ポリメチルメタクリレート(MMA)粒子(綜研化学社製)を3g添加、分散した以外は、実施例3と同様にして光電変換素子を得た。変換効率ηを測定したところ、η=1.61%であった。
実施例2のセパレータの作製手順1)に記載のPVdF樹脂100gに換えて、これと同じPVdF(カイナー301F)75gおよびフッ化ビニリデンーヘキサフルオロプロピレン樹脂(VdF−HFP、ソルベイ社製、ソレフ20216)25gの混合樹脂を用いてセパレータを作製した以外は、実施例3と同様にして光電変換素子を作製した。変換効率ηを測定したところ、η=2.09%であった。
実施例1〜6において得られた変換効率は、光電変換素子として十分に高いものといえる。実施例1の場合は、光電変換電極に用いている高分子化合物を多孔質化しており、光半導体粒子が電極内部で電解液と効率よく接触することが可能であり、良好な変換効率を得るに至った。図1に実施例1の光電変換電極の断面の顕微鏡写真を示す。なお、図2は、比較のためのもので、焼結によるノンポーラスな電極の断面構造の顕微鏡写真である。これら両者の電極構造の比較から明らかなように、本発明における多孔質の電極構造は極めてユニークなものであり、従来の光電変換電極には見られない特異的な構造を有していることが分かる。図1に示すように、高分子化合物を多孔質化することにより、光電変換電極の内部に電解液が流入しやすい構造となり、したがって、イオン移動が非常にスムースになること、内部の表面積が増加し、光半導体粒子と電解液の接触面積が増えることから、変換効率が向上する等、光電変換電極として理想的な構造を有していることが分かる。
実施例1と実施例2の相違は、前者がスペーサーを用いているのに対して、後者はセパレータを用いている点である。実施例2の場合、電解液の注入は非常にスムースであり、電解液が即座に浸透していくことがわかった。この原因は、セパレータを構成する材質が電解液と親和性が良好であることを示している。電極間距離は、セパレータの場合、スペーサーの約1/10となるため薄膜化が容易である。また、セパレータを用いた実施例2の場合、試験後の電極に付着している電解液の量は、目視上、格段に少ないことが分かった。この現象は、電極間に存在する電解液がセパレータの多孔質部分に保持されており、セパレータを用いた場合、液漏れ現象の原因となるフリーな電解液が少なくなることが分かった。このセパレータは電解液に対して膨潤しないものであったが、これは、電解液を必ずしもゲル化しなくても、液漏れの抑制と光電変換素子の性能を両立できることを示しており、本発明の優位性を裏付けるものでもある。
実施例3は、実施例2で用いている光透過性導電性基材をフレキシブル化した光電変換素子を示すが、本発明においては光透過性導電性基材のフレキシブル化においても、変換効率が良好であることが分かる 。また、以下述べるように、実施例3において柔軟性に富むPVdFセパレータを用いる効果がさらに明らかとなった。即ち、この系においては、電解液との親和性が極めて良好なPVdFを材質としたセパレータを用いているため、実施例2と同様に電解液の漏れは全く生じないばかりでなく、折り曲げ等によって電解液の偏り(応力の高い部分において電解液が粗になる不具合)も全く生じないという結果が得られた。
実施例4は、VdF―HFP共重合樹脂を一部用いているが、この系では、高分子化合物の一部が電解液により膨潤あるいは溶解するために、光電変換電極とセパレータ、または光電変換電極と光透過性導電性基材面との接着性または密着性が向上し、その結果、内部抵抗が低減するために短絡電流密度が増大することが確認された。
実施例5は、光電変換電極に架橋MMA粒子を混合したものであるが、この架橋MMA粒子は電解液に不溶であり、また膨潤しないものであった。実施例3より更に電解液の含浸性が良好な結果が得られた。その理由は必ずしも明らかではないが、PVdFからなる高分子化合物層と架橋MMA粒子の接触界面に微小なすきまが生じている可能性があり、その部分に電解液が浸み込みやすい構造となっていることが考えられる。電解液の保持性も良好であった。
実施例6は、実施例2のセパレータを構成する樹脂の一部を、電解液に若干ゲル化するVdF−HFPに変更したものであるが、良好な変換効率が得られた。この系では、VdF−HFPが一部ゲル化するために、対向電極とセパレータの接着性あるいは密着性が向上したものと推測され、したがって、この界面での接触抵抗が低減され、良好な結果に結びついたものと思われる。一方、セパレータを構成する大部分の樹脂は、電解液に対して膨潤しにくいPVdFホモポリマーであることから、セパレータは多孔質形状を維持しているために電解液の流通は良好であり、イオン伝導性を阻害せず、変換効率が良好であったものと考えられる。
実施例1の光電変換電極の断面の顕微鏡写真。 比較のためのノンポーラスな光電変換電極の断面構造の顕微鏡写真。

Claims (15)

  1. 光透過性導電性基材上に、少なくとも溶媒可溶型樹脂を含む高分子化合物と光半導体粒子とよりなる多孔質層を設けてなり、該多孔質層が溶媒可溶型樹脂の多孔質構造により形成されたものであることを特徴とする光電変換電極。
  2. 高分子化合物が溶媒非可溶型樹脂を含有することを特徴とする請求項1記載の光電変換電極。
  3. 高分子化合物の一部または全部が電解液に対して不溶であり、固形またはゲルの性状を保持することを特徴とする請求項1記載の光電変換電極。
  4. 溶媒可溶型樹脂が、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニリデン共重合体樹脂またはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項1記載の光電変換電極。
  5. 光半導体粒子が少なくとも金属化合物粒子と染料とよりなることを特徴とする請求項1記載の光電変換電極。
  6. 金属化合物粒子が少なくとも金属酸化物粒子を含むことを特徴とする請求項5記載の光電変換電極。
  7. 金属酸化物粒子が、酸化亜鉛および酸化チタンから選択される1種以上であることを特徴とする請求項6記載の光電変換電極。
  8. 染料が、分子構造中にカルボキシル基、スルホン基、水酸基およびニトロ基のうちから選択される少なくとも1種類の極性基を含有することを特徴とする請求項5記載の光電変換電極。
  9. 光透過性導電性基材が、高分子基材よりなることを特徴とする請求項1記載の光電変換電極。
  10. 高分子基材がフレキシブル性を有することを特徴とする請求項9記載の光電変換電極。
  11. 少なくとも請求項1〜10のいずれかに記載の光電変換電極と、これに対向する対向電極と、該光電変換電極および対向電極の間に介在する電解質とからなることを特徴とする光電変換素子。
  12. 光電変換電極と対向電極との間にセパレータを設けたことを特徴とする請求項11記載の光電変換素子。
  13. セパレータが電解液に対して実質上不溶の不織布または多孔質膜からなるか、電解液により膨潤する高分子電解質であるか、またはこれらの複合体であることを特徴とする請求項12記載の光電変換素子。
  14. 不織布、多孔質膜または高分子電解質が、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル樹脂の少なくとも一つまたはこれらの複合体よりなることを特徴とする請求項13記載の光電変換素子。
  15. フッ素系樹脂が、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニリデン共重合体樹脂またはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項14記載の光電変換素子。
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