JP2005135682A - 焼成物パターン - Google Patents
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Abstract
【課題】 耐酸性等の耐薬品性に優れ、且つ焼成時の熱変形による寸法ずれが改善された高精細度化を実現し得る焼成物パターンを提供すること。
【解決手段】 軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末と、該高融点ガラス粉末のバインダーである軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス成分とからなるコア部、および該コア部の表面を被覆する軟化点が焼成温度よりも低く且つ耐酸性を示す低融点ガラス成分からなる被覆層と、を具備する焼成物パターン。
【選択図】 図1
【解決手段】 軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末と、該高融点ガラス粉末のバインダーである軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス成分とからなるコア部、および該コア部の表面を被覆する軟化点が焼成温度よりも低く且つ耐酸性を示す低融点ガラス成分からなる被覆層と、を具備する焼成物パターン。
【選択図】 図1
Description
本発明は、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する。)の放電表示セルを構成する隔壁をはじめとしてガラス基板やセラミック基板上に形成される焼成物パターンに関するものである。
一般に、PDPの隔壁パターンを形成する代表的な方法として、サンドブラスト法およびフォトリソ法がある。サンドブラスト法は、ガラス厚膜を基板前面に形成した後、マスクを介してサンドブラストを行い、選択的にガラス膜を残して隔壁パターンを形成する方法である(例えば、特許文献1参照。)。一方、フォトリソ法は、低融点ガラス粉末の平均屈折率と有機成分の屈折率を同程度に調整してペースト内のUV光の散乱を低減した感光性ペーストを基板全面に塗布し、得られた塗膜を露光、現像にてパターニングした後焼成し、隔壁パターンを形成する方法である(例えば、特許文献2参照。)。
しかしながら、フォトリソ法において用いられている感光性ペーストは、低融点ガラス粉末の平均屈折率と有機成分の屈折率とを同程度にするために屈折率の低い低融点ガラスを用いており、該低融点ガラスはアルカリ硼珪酸ガラスを主体として含むものであることから、得られる焼成物パターンにおいて耐酸性等の耐薬品性を向上させることは困難である。更に、焼成過程においては、脱バインダー化及び低融点ガラスが流動性をもつことによって熱収縮が起こり、焼成物パターンは該熱収縮による変形を受ける。
サンドブラスト法は、マスクを介してサンドブラストを行うため作業時間が長く、また基板上のサンドブラストされる部分には、他の構成部材が形成されている場合もあり、その部材がブラストにより破壊される可能性がある。また、サンドブラスト法においても、用いる組成物には柔らかいガラスが含まれるためその耐薬品性は低く上記問題点は同様に存在する。
特開平11−100232号公報
特許第3239759号公報
本発明は上記のような問題点を解決すべく完成されたものであり、耐酸性等の耐薬品性に優れ、且つ焼成時の熱変形による寸法ずれが改善された高精細度化を実現し得る焼成物パターンを提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題に鑑み鋭意研究した結果、焼成物パターンを構成する感光性ペーストに、低融点ガラス粉末に加えて焼成温度でも溶融しない高融点ガラス粉末を用いることにより該高融点ガラス粉末が骨材的な役割を果たして熱収縮による変形の抑制が可能となり、更にかかる感光性ペーストを用いて形成されたパターンを、耐酸性を示す低融点ガラス組成物を被覆することにより、耐酸性を改善することが可能となり、その結果前記課題を解消して耐酸性の向上及び高精細度化が実現できることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づき完成されたものであり、本発明により、
軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末と、該高融点ガラス粉末のバインダーである軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス成分とからなるコア部、および該コア部の表面を被覆する軟化点が焼成温度よりも低く且つ耐酸性を示す低融点ガラス成分からなる被覆層と、を具備する焼成物パターンが提供される。
軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末と、該高融点ガラス粉末のバインダーである軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス成分とからなるコア部、および該コア部の表面を被覆する軟化点が焼成温度よりも低く且つ耐酸性を示す低融点ガラス成分からなる被覆層と、を具備する焼成物パターンが提供される。
本発明の一態様において、軟化点が焼成温度よりも低く且つ耐酸性を示す前記低融点ガラス成分は、Bi2O3、SiO2、B2O3及びAl2O3を主成分として含有し、且つBi2O3の質量比Bi2O3/(Bi2O3+SiO2+B2O3+Al2O3)が0.6以上である。
本発明において、前記コア部は、(a)軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末、(b)軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス粉末、及び(c)感光性有機成分を含有するペーストを用いて形成される。
本発明により、耐酸性に優れ、且つ焼成時の熱変形による寸法ずれが改善された高精細度化を実現し得る焼成物パターンの提供が可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の焼成物パターンの断面図を示す図1において、軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末1に、低融点ガラス成分からなる無機バインダー2が固着してなるコア部3は、軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末(a)と、軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス粉末(b)とを含む無機微粒子、及び感光性有機成分(c)を主成分として含有する感光性ペーストを用い、これを塗布、露光し、現像した後、焼成することにより得られる。
本発明の焼成物パターンの断面図を示す図1において、軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末1に、低融点ガラス成分からなる無機バインダー2が固着してなるコア部3は、軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末(a)と、軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス粉末(b)とを含む無機微粒子、及び感光性有機成分(c)を主成分として含有する感光性ペーストを用い、これを塗布、露光し、現像した後、焼成することにより得られる。
焼成時において、樹脂バインダー等の有機物が熱・酸化分解により除去され、さらに昇温すると軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス粉末(b)が軟化・流動性を持つようになる。このとき、軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末(a)(図1における1)が骨材として機能する。骨材としての高融点ガラス粉末(a)が存在するために、本発明の焼成物パターンにおいては低融点ガラス粉末(b)の軟化・流動性に伴う熱収縮に起因した形状変形が抑制される。また、後述するが、光硬化深度も向上させることが可能となる。一方、低融点ガラス粉末(b)はバインダー的機能を果たし、該低融点ガラス粉末(b)の存在により焼成物パターンと基材との密着性を維持することができる。
本発明の焼成物パターンは、前記コア部3の表面を被覆する被覆層4を有する。該被覆層4は、軟化点が焼成温度よりも低く且つ耐酸性を示す低融点ガラス粉末(d)を主成分として含有するペーストを用いて形成される。ペーストを形成する成分として低融点ガラス粉末(d)と共に用い得る成分はその塗布方法に応じて適宜選択でき、塗布方法としてはコア部3を被覆できる方法であれば特に限定されない。緻密な被覆層を得るには、塗布後に脱泡を行うことが好ましい。また基材面に被覆材が付着することが好ましくない場合には、ペーストとして感光性材料(感光性有機成分)を用いることが好ましい。かかる耐酸性被覆層4の存在により、コア部に用いるガラス成分の種類にかかわらず常に耐酸性に優れる焼成物パターンを得ることができる。また、低融点ガラス粉末(d)は軟化点が焼成温度よりも低いために焼成により緻密なガラスコーティングが施されることとなり、耐酸性のみならず、強度・密着性の向上にも優れた影響を及ぼす。
以下に、本発明の焼成物パターンに用いる各種ガラス粉末及び感光性有機成分について詳細に説明する。
高融点ガラス粉末(a)
高融点ガラス粉末(a)は、軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末である。軟化点が焼成温度よりも高く、上述した骨材的機能を果たして焼成時における形状変形を抑制し得る限り軟化点は限定されるものではない。本発明において焼成温度とはピーク焼成温度を意味し、焼成温度は基材や焼成物パターンの用途等により異なるが、例えばPDP用隔壁パターンを形成する場合においては、高融点ガラス粉末(a)の軟化点は650℃以上であることが好ましい。
高融点ガラス粉末(a)
高融点ガラス粉末(a)は、軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末である。軟化点が焼成温度よりも高く、上述した骨材的機能を果たして焼成時における形状変形を抑制し得る限り軟化点は限定されるものではない。本発明において焼成温度とはピーク焼成温度を意味し、焼成温度は基材や焼成物パターンの用途等により異なるが、例えばPDP用隔壁パターンを形成する場合においては、高融点ガラス粉末(a)の軟化点は650℃以上であることが好ましい。
高融点ガラス粉末(a)のガラス組成は、主として軟化点、屈折率等の観点から決定することができる。本発明において、高融点ガラス粉末(a)の平均屈折率は、感光性有機成分の屈折率と同程度であることが好ましく、1.45〜1.7の範囲であることが好ましい。高融点ガラス粉末(a)のガラス組成としては、例えば、SiO2、SiO2-B2O3系、SiO2-B2O3-Al2O3系、B2O3-Al2O3系を挙げることができる。
低融点ガラス粉末(b)
低融点ガラス粉末(b)は、軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス粉末である。軟化点が焼成温度よりも低く、上述したバインダー的機能を果たす限りにおいて軟化点は限定されるものではない。例えばPDP用隔壁パターンを形成する場合においては、低融点ガラス粉末(b)の軟化点は350℃〜600℃であることが好ましく、450℃〜550℃であることがより好ましい。
低融点ガラス粉末(b)は、軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス粉末である。軟化点が焼成温度よりも低く、上述したバインダー的機能を果たす限りにおいて軟化点は限定されるものではない。例えばPDP用隔壁パターンを形成する場合においては、低融点ガラス粉末(b)の軟化点は350℃〜600℃であることが好ましく、450℃〜550℃であることがより好ましい。
低融点ガラス粉末(b)のガラス組成は、主として軟化点、屈折率、溶融粘度等の観点から決定することができる。
低融点ガラス粉末(b)のガラス組成としては、例えば、Bi2O3-SiO2-B2O3-Al2O3系(Bi2O360%以上)(屈折率2.1〜2.2)のような耐酸性に優れるガラス組成が挙げられる。更に本発明の焼成物パターンは耐酸性被覆層を有することから、該ガラス粉末(b)として耐酸性を有しないアルカリ硼珪酸系の低融点ガラス粉末も使用することができ、例えば、PbO(50−75%)-SiO2(10−50%)-B2O3-Al2O3−RO(RはZn、Cu、又はMgを表す。)(屈折率1.9〜2.1)、SiO2(47%)-(Li2O+K2O)(13%)-B2O3(21%)-BaO(5%)-Al2O3(8%)-ZnO(21%)(屈折率1.5〜1.6)、SiO2(22%)-(Li2O+K2O)(11%)-B2O3(25%)-Al2O3(20%)-ZnO(21%)(屈折率1.55〜1.65)等を用いることもできる。また、より深い光硬化深度を得るためには、(1)前記ビスマス系ガラスのように耐酸性に優れる低融点ガラス粉末を使用する場合にはその屈折率が高いため配合量を少なくする方法、あるいは(2)平均屈折率が感光性有機成分(c)の屈折率と同程度のもの(1.45〜1.7)を用いる方法がある。
また、高融点ガラス粉末(a)と低融点ガラス粉末(b)との配合率は、強度(形状維持)、密着性、粉末のサイズ、低融点ガラス粉末(b)の溶融粘度等の観点から適宜決定することができる。通常、高融点ガラス粉末(a)の配合比率が大きくなると、焼成時の形状変形が抑制され光硬化深度が向上するが、高融点ガラス粉末(a)の配合比率が大きすぎると、焼結体がよりポーラスになって強度が低下する。一方、高融点ガラス粉末(a)の配合率が小さくなると、焼結性がよくなり焼結強度と基板との密着性が向上するが、高融点ガラス粉末(a)の配合比率が小さすぎると、焼成時の形状変形が大きくなる。好適な配合比率の目安としては、(a)/[(a)+(b)]=0.3〜0.7(質量比)である。
耐酸性低融点ガラス粉末(d)
耐酸性低融点ガラス粉末(d)は、軟化点が焼成温度よりも低く且つ耐酸性を示す低融点ガラス粉末である。軟化点が焼成温度よりも低く、上述した緻密なガラスコーティング被膜を形成することができる限りにおいて軟化点は限定されるものではないが、具体的には上記低融点ガラス粉末(b)と同様のことが言える。
耐酸性低融点ガラス粉末(d)は、軟化点が焼成温度よりも低く且つ耐酸性を示す低融点ガラス粉末である。軟化点が焼成温度よりも低く、上述した緻密なガラスコーティング被膜を形成することができる限りにおいて軟化点は限定されるものではないが、具体的には上記低融点ガラス粉末(b)と同様のことが言える。
耐酸性低融点ガラス粉末(d)は、軟化点が焼成温度より低く且つ上述した焼成物パターンの耐酸性を向上させることができる耐酸性を示すガラス粉末であれば限定されるものではなく、具体的には、Bi2O3-SiO2-B2O3-Al2O3系(Bi2O360%以上)(屈折率2.1〜2.2)などが挙げられる。
感光性有機成分(c)
本発明においてコア部形成用感光性ペーストに使用する感光性有機成分(c)とは、従来から公知の光重合性化合物のことであって、例えば、有機バインダー(A)と、不飽和基等の反応性官能基を有する光重合性モノマー(B)と、芳香族カルボニル化合物等の光重合開始剤(C)等の混合物などが挙げられる。
本発明においてコア部形成用感光性ペーストに使用する感光性有機成分(c)とは、従来から公知の光重合性化合物のことであって、例えば、有機バインダー(A)と、不飽和基等の反応性官能基を有する光重合性モノマー(B)と、芳香族カルボニル化合物等の光重合開始剤(C)等の混合物などが挙げられる。
有機バインダー(A)としては、カルボキシル基を有する樹脂、具体的にはそれ自体がエチレン性不飽和二重結合を有するカルボキシル基含有感光性樹脂及びエチレン性不飽和二重結合を有さないカルボキシル基含有樹脂のいずれも使用可能である。好適に使用できる樹脂(オリゴマー及びポリマーのいずれでもよい)としては、以下のようなものが挙げられる。
(1)(ア)不飽和カルボン酸と(イ)不飽和二重結合を有する化合物を共重合させることによって得られるカルボキシル基含有樹脂;
(2)(ア)不飽和カルボン酸と(イ)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体にエチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られるカルボキシル基含有感光性樹脂;
(3)(ウ)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と(イ)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(ア)不飽和カルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(エ)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂;
(4)(オ)不飽和二重結合を有する酸無水物と、それ以外の(イ)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(カ)水酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂;
(5)(キ)エポキシ化合物と(ク)不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(エ)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(6)(イ)不飽和二重結合を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体のエポキシ基に、(ケ)1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エチレン性不飽和結合を持たない有機酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(エ)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂;
(7)(コ)水酸基含有ポリマーに(エ)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂;
(8)(コ)水酸基含有ポリマーに(エ)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂に、(ウ)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物をさらに反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(2)(ア)不飽和カルボン酸と(イ)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体にエチレン性不飽和基をペンダントとして付加させることによって得られるカルボキシル基含有感光性樹脂;
(3)(ウ)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物と(イ)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(ア)不飽和カルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(エ)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂;
(4)(オ)不飽和二重結合を有する酸無水物と、それ以外の(イ)不飽和二重結合を有する化合物の共重合体に、(カ)水酸基と不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂;
(5)(キ)エポキシ化合物と(ク)不飽和モノカルボン酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(エ)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂
(6)(イ)不飽和二重結合を有する化合物とグリシジル(メタ)アクリレートの共重合体のエポキシ基に、(ケ)1分子中に1つのカルボキシル基を有し、エチレン性不飽和結合を持たない有機酸を反応させ、生成した2級の水酸基に(エ)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂;
(7)(コ)水酸基含有ポリマーに(エ)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂;
(8)(コ)水酸基含有ポリマーに(エ)多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂に、(ウ)エポキシ基と不飽和二重結合を有する化合物をさらに反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
また、上記カルボキシル基含有感光性樹脂及びカルボキシル基含有樹脂としては、それぞれ重量平均分子量1,000〜100,000、好ましくは5,000〜70,000、及び酸価50〜250mgKOH/g、かつ、カルボキシル基含有感光性樹脂の場合、その二重結合当量が350〜2,000、好ましくは400〜1,500のものを好適に用いることができる。上記樹脂の分子量が1,000より低い場合、現像時の皮膜の密着性に悪影響を与え、一方、100,000よりも高い場合、現像不良を生じ易いので好ましくない。また、酸価が50mgKOH/gより低い場合、アルカリ水溶液に対する溶解性が不充分で現像不良を生じ易く、一方、250mgKOH/gより高い場合、現像時に皮膜の密着性の劣化や光硬化部(露光部)の溶解が生じるので好ましくない。さらに、カルボキシル基含有感光性樹脂の場合、感光性樹脂の二重結合当量が350よりも小さいと、焼成時に残渣が残り易くなり、一方、2,000よりも大きいと、現像時の作業余裕度が狭く、また光硬化時に高露光量を必要とするので好ましくない。
本発明において、光重合性モノマー(B)は組成物の光硬化性の促進及び現像性を向上させるために用いる。このような光重合性モノマー(B)としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及び上記アクリレートに対応する各メタクリレート類;フタル酸、アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、こはく酸、トリメリット酸、テレフタル酸等の多塩基酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのモノ−、ジ−、トリ−又はそれ以上のポリエステルなどが挙げられるが、特定のものに限定されるものではなく、またこれらを単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの光重合性モノマーの中でも、1分子中に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。
このような光重合性モノマー(B)の配合量は、前記有機バインダー(カルボキシル基含有感光性樹脂及び/又はカルボキシル基含有樹脂)(A)100質量部当り20〜100質量部が適当である。光重合性モノマー(B)の配合量が上記範囲よりも少ない場合、組成物の充分な光硬化性が得られ難くなり、一方、上記範囲を超えて多量になると、皮膜の深部に比べて表面部の光硬化が早くなるため硬化むらを生じ易くなる。
前記光重合開始剤(C)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシー2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のアミノアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;又はキサントン類;(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネイト等のフォスフィンオキサイド類;各種パーオキサイド類などが挙げられ、これら公知慣用の光重合開始剤を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの光重合開始剤(C)の配合率は、前記有機バインダー(カルボキシル基含有感光性樹脂及び/又はカルボキシル基含有樹脂)(A)100質量部当り1〜30質量部が適当であり、好ましくは、5〜20質量部である。
また、上記のような光重合開始剤(C)は、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、ペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の三級アミン類のような光増感剤の1種あるいは2種以上と組み合わせて用いることができる。
さらに、より深い光硬化深度を要求される場合、必要に応じて、可視領域でラジカル重合を開始するチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製イルガキュアー784等のチタノセン系光重合開始剤、ロイコ染料等を硬化助剤として組み合わせて用いることができる。
さらに、より深い光硬化深度を要求される場合、必要に応じて、熱重合触媒を前記光重合開始剤(C)と併用して用いることができる。この熱重合触媒は、数分から1時間程度にわたって高温におけるエージングにより未硬化の光重合性モノマーを反応させうるものであり、具体的には、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、アゾイソブチロニトリル等のアゾ化合物等があり、好ましくは、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2,4−ジバレロニトリル、1´−アゾビス−1−シクロヘキサンカルボニトリル、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレイト、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリックアシッド、2−メチル−2,2´−アゾビスプロパンニトリル、2,4−ジメチル−2,2,2´,2´―アゾビスペンタンニトリル、1,1´−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2,2´,2´−アゾビス(2−メチルブタナミドオキシム)ジヒドロクロライド等が挙げられ、より好ましいものとしては環境にやさしいノンシアン、ノンハロゲンタイプの1,1´−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)が挙げられる。
本発明においてコア部は、上述したように、軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末(a)と軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス粉末(b)を含む無機微粒子、及び感光性有機成分(c)を含有する感光性ペーストを用いて形成され、その無機微粒子と感光性有機成分(c)との配合率は体積比で、[(a+b)/(a+b+c)]×100が20〜60%であることが好ましい。
また、本発明の一態様において、高融点ガラス粉末(a)と低融点ガラス粉末(b)の配合率が異なる複数種の感光性ペーストを用いて、コア部を複数層とすることもできる。その場合において、基板側の層を低融点ガラス粉末(b)の含有率の大きい感光性ペーストを用いて形成することにより、基板の密着性向上を図ることも可能である。
本発明の焼成物パターンの製造においてまず、高融点ガラス粉末(a)、低融点ガラス粉末(b)および感光性有機成分(c)を主成分として含有する感光性ペーストを、スクリーン印刷法、バーコーター、ブレードコーターなど適宜の塗布方法にて例えばガラス基板などの基板上に塗布し、乾燥した後、選択的露光し、現像を行って所定形状のパターンが得られる。コア部3は該パターンを焼成して得られるが、該焼成は、被覆層用の感光性ペーストをディップコーティング、印刷法など適宜の塗布方法を用いて基板全面に塗布し、乾燥後、選択的露光、現像して形成される被覆層4の焼成と同時に行ってもよく、あるいはコア部の焼成後に被覆層を形成してもよい。
このようにして製造した本発明に係る焼成物パターンは、耐酸性に優れ、且つ焼成時の熱変形による寸法ずれが改善されたものであった。
1・・・軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末、2・・・軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス成分、3・・・コア部、4・・・耐酸性被覆層、5・・・基材
Claims (3)
- 軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末と、該高融点ガラス粉末のバインダーである軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス成分とからなるコア部、および該コア部の表面を被覆する軟化点が焼成温度よりも低く且つ耐酸性を示す低融点ガラス成分からなる被覆層と、を具備する焼成物パターン。
- 軟化点が焼成温度よりも低く且つ耐酸性を示す前記低融点ガラス成分が、Bi2O3、SiO2、B2O3及びAl2O3を主成分として含有し、且つBi2O3の質量比Bi2O3/(Bi2O3+SiO2+B2O3+Al2O3)が0.6以上である、請求項1に記載の焼成物パターン。
- 前記コア部が、(a)軟化点が焼成温度よりも高い高融点ガラス粉末、(b)軟化点が焼成温度よりも低い低融点ガラス粉末、及び(c)感光性有機成分を含有する感光性ペーストを用いて形成された、請求項1又は2に記載の焼成物パターン。
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JP2003368839A JP2005135682A (ja) | 2003-10-29 | 2003-10-29 | 焼成物パターン |
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JP2003368839A JP2005135682A (ja) | 2003-10-29 | 2003-10-29 | 焼成物パターン |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2005135682A true JP2005135682A (ja) | 2005-05-26 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007122024A (ja) * | 2005-09-28 | 2007-05-17 | Toray Ind Inc | 感光性組成物 |
WO2012132651A1 (ja) * | 2011-03-25 | 2012-10-04 | 東レ株式会社 | ペースト組成物およびプラズマディスプレイの製造方法 |
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2003
- 2003-10-29 JP JP2003368839A patent/JP2005135682A/ja not_active Withdrawn
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