JP2005134432A - ポリエステル系樹脂支持体回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 支持体上に天然高分子系バインダー及び合成高分子系バインダーを使用し塗布膜を形成した記録材料から、記録材料用(特に純度的に要求が高い写真感光材料用)の支持体の原料として再使用出来る状態で支持体を回収する回収方法の提供。
【解決手段】 ポリエステル系樹脂支持体上に少なくとも1層の塗布膜を有するチップ状の記録材料をアルカリ性処理液により処理し、該アルカリ性処理液から該ポリエステル系樹脂支持体を分離した後、前記ポリエステル系樹脂支持体を酸性処理液で処理し回収するポリエステル系樹脂支持体回収方法において、該酸性処理液が少なくとも有機溶剤と強酸とを有する混合溶媒であることを特徴とするポリエステル系樹脂支持体回収方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ポリエステル系樹脂支持体上に少なくとも1層の塗布膜を有する記録材料からポリエステル系樹脂支持体の回収方法に関する。
ポリエステル系樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートはその優れた特性によりハロゲン化銀写真感光材料、熱現像写真感光材料、インクジェット記録材料、磁気記録材料等の記録材料の支持体として、及び液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイの各種表示装置に使用する光学フィルムとして情報記録産業界でも広く用いられている。ポリエステル系樹脂支持体を使用した記録材料の一例として写真感光材料の場合について図で概略説明する。
図4は写真感光材料の概略断面図である。
図中、6は写真感光材料を示す。601はポリエステル系樹脂支持体を示し、602a、602bは下塗り層を示す。603は下塗り層602aを介してポリエステル系樹脂支持体601上に形成された塗布膜の感光層を示し、605は感光層603の上に形成された塗布膜の保護層を示す。604は下塗り層602bを介してポリエステル系樹脂支持体601上に形成された塗布膜のバッキング層を示す。感光層603は必要に応じて多層から構成されている場合もあるし、上に保護層を塗設していない場合もある。感光層603、保護層605及びバッキング層には天然高分子バインダー又は合成高分子バインダーが作製する写真感光材料の種類により選択され使用されている。本発明では、塗布膜とは感光層と、保護層と、バッキング層とを含めた総称を言う。
近年、情報記録産業界は著しい発展を遂げつつあり使用されるポリエステル系樹脂材料も急増しつつある。それに伴い、製造工程において発生する廃棄対象物(例えば、生産端材、製品検査過程で発生する品質不良品等)、使用済み品も多量になりつつある。
これらポリエステル系樹脂材料の屑は殆どが有効利用されることなく埋め立て又は焼却処理で対応しているのが実状であるが、埋め立てでは腐敗消滅することは無く、焼却処理では焼却条件によりダイオキシンの発生を引き起こし、地球環境負荷を大きくする一因にもなっている。又、ポリエステル原料損失という問題点があり、省資源の面からも好ましくない。
特に、これらポリエステル系樹脂支持体を使用し、塗布膜のバインダーに合成高分子系素材を用いた記録材料に対しては、ポリエステル系樹脂支持体として再使用が出来る状態での回収が困難で、使用済み品及び生産端材については殆どが有効利用されることなく、やむなく、ダイオキシンの発生を抑えるために高温で焼却処理で対応していた。このため、高温の焼却処理に伴い焼却炉の傷みが早く維持費がかかり問題となっている。
これらの問題点を解決するために、ポリエステル系樹脂支持体を使用した記録材料からポリエステル系樹脂支持体を回収する方法が検討されてきた。例えば、塩化ビニリデン、イタコン酸、アクリル酸等の共重合体を下塗り層としたポリエステル系樹脂としてポリエチレンテレフタレート(PET)を使用した支持体を用いた印刷製版フィルムをアルカリ金属塩の水溶液中でカチオン系界面活性剤とともに50〜95℃で加熱処理することでPETを回収する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
下塗り層を有するポリエステル系樹脂支持体及びそれを用いたハロゲン化銀写真感光材料をチップ状に破砕し、界面活性剤(非イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤)を併用し、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含むアルカリ性処理液で温度70〜100℃で撹拌しながら加熱処理することでポリエステル系樹脂支持体(以下、単に支持体ともいう)を回収する方法が知られている(例えば、特許文献2を参照。)。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の回収方法では、支持体上に合成高分子バインダーを使用し塗布膜を形成した記録材料から支持体を回収した場合、剥離した塗布膜及びアルカリ性処理液による処理で発生するスラッジが再付着した支持体、塗布膜が剥離せず残った支持体、剥離した塗布膜等の混入が生じ、記録材料用の支持体の原料として再使用するには純度的に不十分となっている。
特に記録材料用の支持体の原料として再使用する場合、要求される項目としては次の項目が挙げられる。1)写真性能に悪影響(カブリ、増感・減感等の感度異常等)を与える不純物の混入がなく、2)物理的特性(色調、分子量分布等)が変化していないこと、3)撮影したときに画像に悪影響を与える異物の混入が無いこと等が挙げられる。
これらの状況から、支持体に天然高分子系バインダー及び合成高分子系バインダーを使用し塗布膜を形成した記録材料から、記録材料用(特に純度的に要求が高い写真感光材料用)の支持体の原料として再使用出来る状態で支持体を回収する回収方法の開発が望まれている。
特開平11−302580号公報 特開平8−146560号公報
本発明は、上記状況に鑑み成されたものであり、その目的は、支持体上に天然高分子系バインダー及び合成高分子系バインダーを使用し塗布膜を形成した記録材料から、記録材料用(特に純度的に要求が高い写真感光材料用)の支持体の原料として再使用出来る状態で支持体を回収する回収方法を提供することである。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成された。
(請求項1)
ポリエステル系樹脂支持体上に少なくとも1層の塗布膜を有するチップ状の記録材料をアルカリ性処理液により処理し、該アルカリ性処理液から該ポリエステル系樹脂支持体を分離した後、前記ポリエステル系樹脂支持体を酸性処理液で処理し回収するポリエステル系樹脂支持体回収方法において、該酸性処理液が少なくとも有機溶剤と強酸とを有する混合溶媒であることを特徴とするポリエステル系樹脂支持体回収方法。
(請求項2)
前記有機溶剤が、沸点45〜190℃で水溶性であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
(請求項3)
前記強酸が、硝酸、ハロゲン化水素酸、硫酸の何れか1種類であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
(請求項4)
前記混合溶媒は、有機溶剤の濃度が0.1〜50%、強酸の濃度が0.1〜99.9%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
(請求項5)
前記酸性処理液の温度は、使用する有機溶剤の沸点より3〜5℃低くし、時間を1〜180minとすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
(請求項6)
前記酸性処理液による処理は、混合溶媒中の固形分濃度が0.1〜50%であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
(請求項7)
前記塗布膜が天然高分子系バインダー又は合成高分子系バインダーを使用していることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
(請求項8)
前記チップ状の記録材料の外形サイズが0.1〜100mmであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討を加えた結果、支持体に合成高分子系バインダーを使用し塗布膜を形成した記録材料をチップ状にし支持体を回収する場合、塗布膜が残存した支持体、剥離した塗布膜が再付着した支持体等の不純物の混入が多くなり記録材料の支持体の原料に再使用するのは困難であることが判明した。
不純物の混入が多くなる原因として、アルカリ処理液より分離した支持体を酸性処理液により処理するとき、支持体上に残存した塗布膜及び支持体上に再付着した塗布膜への酸性処理液の浸透が十分に進まないため塗布膜の分解が完全に終わらないためであると推定した。
これらに対して酸性処理液で塗布膜の分解処理を行う際、塗布膜の分解を促進させるためには、酸性処理液の温度を高くし、酸濃度を高くすることも効果的であるが、特に塗布膜を膨潤させることが効果的であることが判明し、本発明に至った次第である。
支持体上に天然高分子系バインダー及び合成高分子系バインダーを使用し塗布膜を形成した記録材料から、記録材料用(特に純度的に要求が高い写真感光材料用)の支持体の原料として再使用出来る状態で支持体を回収する回収方法を提供することが出来、高分子系バインダーを用いた記録材料から支持体の材料として再使用可能の支持体回収収率を大幅に向上させることが可能となった。
図1は支持体の回収方法の一例を示す模式図である。
図中、1はアルカリ性処理液により処理を行う第1化学処理部を示す。101は、処理槽101aに入れられた、支持体上に塗布膜を有する細断したチップ状の記録材料102を、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含むアルカリ性処理液103で温度70〜100℃で攪拌機101bで撹拌しながら加熱処理し、支持体から塗布膜を剥離する処理装置を示す。処理槽101a中でチップ状の記録材料102をアルカリ性処理液103で処理するときの固形分濃度としては、0.1〜50質量%が好ましい。0.1質量%未満の場合は、チップ状の記録材料が互いに衝突する回数が減少するし、チップ状の記録材料が羽根と衝突する回数が減少し、記録材料の種類によっては塗布膜の剥離がされないで残るチップ状の記録材料が多くなる場合がある。50質量%を越える場合は、処理液の撹拌が十分に行うことが出来なくなり、チップ状の記録材料に強い剪断力を与えることが無くなるため、記録材料の種類によっては塗布膜の剥離がされないで残るチップ状の記録材料が多くなる場合がある。
処理装置1によりチップ状の記録材料102を加熱処理することにより、アルカリ性処理液103中には、塗布膜が剥離した支持体と、一部の塗布膜が残った支持体と、発生したスラッジ及び剥離した塗布膜が付着した支持体と、剥離した塗布膜と、発生したスラッジ等とを含む状態となる。本発明では、これらを全て含めて固形物と言う。
細断したチップ状の記録光材料102としては、製造工程において発生する廃棄対象物(例えば、生産端材、製品検査過程で発生する品質不良品等)、使用済み品等が挙げられる。細断したチップ状の記録材料の大きさは外形サイズが0.1〜100mmの不定形が好ましい。本発明において外形サイズとは、チップ状の記録材料の中心(重心)から最も遠い角の頂点までの距離の2倍の長さを言う。外形サイズが0.1mm未満の場合は、図1に示す回収方法の各送液管の太さによっては、送液管が詰まる危険がある。又、撹拌に伴う剪断力が小さくなるため塗布膜の剥離が不十分となる場合がある。100mmを越えた場合も同様に、図1に示す回収方法の各送液管の太さによっては、送液管が詰まる危険がある。又、アルカリ処理で撹拌が充分に出来なくなり、塗布膜が残る場合がある。
2は第1分離処理部を示し、ハイドロサイクロン201と、第1衝突型遠心脱水機202と、水切り手段203とを有している。水切り手段203としては特に限定はなく、例えばエアーサイクロン、スクリーンコンベア等が挙げられる。本図では、エアーサイクロンを使用した場合を示している。
201aはハイドロサイクロン201によりアルカリ性処理液より分離された固形物を受けるホッパーを示す。ハイドロサイクロン201と、第1衝突型遠心脱水機202と、エアーサイクロン203はいずれも市販のものを使用することが可能であり、処理量から適宜大きさを選択することが可能である。
第1分離処理部では、前工程のアルカリ性処理液から固形物を分離する工程である。第1化学処理部1からの固形物を含むアルカリ性処理液は、ハイドロサイクロン201の円柱部の201bの上部より、ハイドロサイクロンの円周方向の接線方向に10〜2500m/minの速度で導入することが好ましい。10m/min未満の場合は、ハイドロサイクロン本体中に渦流の発生が弱くなり、第1化学処理部から送られてくるアルカリ性処理液中の固形物の状態によっては分離が出来なくなる場合がある。2500m/minを越えた場合は、第1化学処理部から送られてくるアルカリ性処理液中の固形物の状態によっては、ハイドロサイクロンの下部のオリフィス201cに固形物が詰まり分離が出来なくなる場合がある。
ハイドロサイクロン201に導入するときの固形分濃度は0.1〜2質量%になるようにアルカリ性処理液を水で希釈することが好ましい。0.1質量%未満の場合は、水を多量に使用することになり、生産性を悪くする原因のひとつになる場合がある。2質量%を越えた場合は、細断したチップ状の写真感光材料の大きさによってはハイドロサイクロンが詰まってしまう場合がある。
ハイドロサイクロンの円周方向の接線方向に沿って導入されたアルカリ性処理液は、遠心力により固形物は、ハイドロサイクロン201のテーパー部201eを介してオリフィス201cよりホッパー201aに分離回収され、上部の排出口201dからは剥離した塗布膜と、発生したスラッジ等の一部を含むアルカリ処理液が排出される。
これら固形物から、支持体に再付着した塗布膜及びスラッジ、剥離した塗布膜、スラッジ等を分離除去するために、ホッパー201aから、水を加えて固形分濃度を0.1〜50質量%に調整し、第1衝突型遠心脱水機202の下部から導入される。
第1衝突型遠心脱水機202に導入された溶液は互いに衝突しながら上部に移動する間に付着物の一部及び剥離した塗布膜、スラッジ等が下部202aより排出される。上部202bからは支持体(塗布膜が剥離された支持体と、一部の塗布膜が残った支持体と、剥離した塗布膜及びスラッジ等が付着した支持体等とを含む)、分離出来ずに残った剥離した塗布膜等が排出される。
第1衝突型遠心脱水機202の上部202bから排出される支持体(塗布膜が剥離された支持体と、一部の塗布膜が残った支持体と、剥離した塗布膜及びスラッジ等が付着した支持体等とを含む)、分離出来ずになかった剥離した塗布膜等は水切り手段であるエアーサイクロンに導入され付着している水が除去される。
この段階で回収された固形物は、塗布膜が剥離された支持体と、一部の塗布膜が残った支持体と、剥離した塗布膜が再付着した支持体と、アルカリ性処理液により生じたスラッジ等が付着した支持体と、剥離した塗布膜と、アルカリ性処理液により生じたスラッジ等とが混入しているため、未だ写真感光材料の支持体に再利用出来る状態とはなっていない。
3は第2分離処理部を示し、高剪断撹拌装置301と第2衝突型遠心脱水機302とを有している。高剪断撹拌装置301と第2衝突型遠心脱水機302はいずれも市販のものを使用することが可能であり、処理量に合わせ適宜大きさを選択することが可能である。
第2分離処理部3は、第1分離処理部で回収された、剥離した塗布膜及びスラッジ等が付着している支持体から物理的な力により塗布膜及びスラッジ等の剥離と、剥離した塗布膜を細分化し除去し易くし支持体を分離する工程である。
第1分離処理部2で回収された固形物は、水により固形分濃度を0.1〜50質量%に調整し、高剪断撹拌装置301に入れられる。尚、高剪断撹拌装置301の機構及び処理条件は図2を参照して説明する。
固形物は、高剪断撹拌装置301で高剪断力を掛けられて処理されることで、支持体に残っている塗布膜、付着していた塗布膜及びスラッジ等が剥離されと同時に細分化される。又、同様に分離せずに残っていた剥離した塗布膜、スラッジ等も高剪断力を掛けられて処理されることで細分化され、水と混合した溶液となる。
この状態で第2衝突型遠心脱水機302に導入され処理されることで、支持体と塗布膜、スラッジ等が分離され、支持体が回収される。尚、第2衝突型遠心脱水機302から支持体を回収するときは、第1分離処理部に示した様なエアーサイクロンを介して回収してもかまわない。この段階で回収された支持体には、僅かな塗布膜、スラッジ等が付着している支持体と、細分化された塗布膜等が混入しているため、未だ写真感光材料の支持体に再利用出来る状態とはなっていない。第2衝突型遠心脱水機302の機構及び条件については図3で説明する。
4は第2分離処理部3より回収された支持体を写真感光材料の支持体に再利用出来る状態にする酸性処理液403による処理を行う第2化学処理部を示す。401は、処理容器401aに入れられた、第2衝突型遠心脱水機302から回収した支持体402を、酸性処理液403中で攪拌機401bで撹拌しながら、支持体を処理する処理装置を示す。
酸性処理液403は、少なくとも有機溶剤と強酸とを有する混合溶媒であり、有機溶剤の濃度が0.1〜50質量%、強酸の濃度が0.1〜99.9質量%であることが好ましい。酸性処理液403の一例としては次の混合溶媒が挙げられる。1)有機溶剤の濃度が0.1質量%、強酸の濃度が99.9質量%から構成される混合溶媒。2)有機溶剤の濃度が50質量%、強酸の濃度が50質量%から構成される混合溶媒。3)有機溶剤の濃度が40質量%、強酸の濃度が40質量%、水20質量%から構成される混合溶媒。酸性処理液の有機溶剤、強酸の濃度は塗布膜の種類により適宜変更することが可能である。
有機溶剤の濃度が0.1質量%未満の場合は、ポリエステル支持体上に残存している塗布膜の膨潤性が悪くなり、共存する酸の塗布膜への浸透が悪くなり、記録材料の塗布膜の種類によっては塗布膜の分解ができなくなる場合がある。50質量%を越える場合は、相対的に酸の量が少なくなり、記録材料の塗布膜の種類によっては塗布膜の分解ができなくなる場合がある。強酸の濃度が0.1質量%未満の場合は、塗布膜に対して酸の量が少なすぎるため、記録材料の塗布膜の種類によっては塗布膜の分解が不十分となる場合がある。99.9質量%を越える場合は、有機溶剤が少なすぎるためポリエステル支持体上に残存している塗布膜の膨潤性が悪くなり、共存する酸の塗布膜への浸透が悪くなり、記録材料の塗布膜の種類によっては塗布膜の分解ができなくなる場合がある。
使用する有機溶剤としては、沸点45〜190℃で水溶性であることが好ましい。又、純度も70%以上であることが好ましい。これらの有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、アセトニルアセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で使用しても良いし、2種類を併用してもかまわない。
有機溶剤の沸点が45℃未満の場合は、酸処理液による処理液の温度を上げることが出来ないため、記録材料の塗布膜の種類によってはポリエステル支持体上に残存している塗布膜の分解ができなくなる場合がある。190℃を越えた場合は、記録材料に使用しているポリエステル支持体が変質する場合がある。
使用する強酸としては、硝酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、塩化水素酸等のハロゲン化水素酸、硫酸等が挙げられる。又、単体の濃度としては70〜100%であることが好ましい。これらの強酸は単独で使用することが好ましい。
酸性処理液の温度は、使用する有機溶剤の沸点より3〜5度低くし、時間は1〜180minとすることが好ましい。有機溶剤の沸点より3度未満の場合は、有機溶剤の蒸発が進み、有機溶剤の減少に伴い、ポリエステル支持体上に残存している塗布膜の膨潤度が下がり、塗布膜への酸の浸透が遅くなることで、記録材料の塗布膜の種類によっては塗布膜の分解ができなくなる場合がある。5℃を越えた場合は、記録材料の塗布膜の種類によっては酸による塗布膜の分解性が悪く(求核性が悪く)なる場合がある。
処理する時間が1min未満の場合は、ポリエステル支持体上に残存している塗布膜の膨潤が不十分となり、記録材料の塗布膜の種類によっては酸の塗布膜への浸透が悪くなり分解が不十分となる場合がある。180minを越えた場合は、ポリエステル支持体が変質する場合がある。
酸性処理液に処理する時の固形分濃度としては0.1〜50%であるこが好ましい。固形分濃度が1%未満の場合は、酸によるポリエステル支持体上に残存している塗布膜の分解は進むのであるが、チップ状の記録材料が互いに衝突する回数が減少するため、衝突による洗浄効果が少なくなり、記録材料の塗布膜の種類によっては分解物が残る場合がある。50%を越えた場合は、相対的に有機溶剤と酸の量が不十分となり記録材料の塗布膜の種類によっては、ポリエステル支持体上に残存している塗布膜の分解が不十分となる場合がある。
固形分濃度とは、塗布膜が剥離した支持体、混入している剥離した塗布膜、発生したスラッジ、剥離した塗布膜及び発生したスラッジが再付着した支持体等の酸性処理液中の固形分の濃度を示す。
処理槽で処理するチップ状の記録材料は外形サイズが0.1〜100mmの不定形であることが好ましい。外形サイズが0.1mm未満の場合は、図1に示す回収方法の各送液管の太さによっては、送液管が詰まる危険がある。100mmを越えた場合も同様に、図1に示す回収方法の各送液管の太さによっては、送液管が詰まる危険がある。又、酸性処理槽での撹拌が充分に出来なくなったり、塗布膜への酸の浸透が悪くなり塗布膜の分解が不十分となる場合がある。
酸性処理液による処理時の撹拌は、撹拌直径が処理槽の内径に対して20〜70%になるよな撹拌羽根で、回転速度(周速度)0.1〜10m/secが好ましい。酸性処理液で処理することにより、支持体402に付着している僅かな塗布膜、スラッジ、混入している微細な塗膜のバインダーが分解し、銀を硝酸銀として分離除去することが出来る状態となる。
酸性処理液で処理が終了した段階で回収された支持体は、異物の付着が無く、酸性処理液を分離することで写真感光材料の製造時に使用する支持体と同じ程度となっており、写真感光材料の支持体に再利用出来る状態となっている。
5は水洗・乾燥部を示す。水洗・乾燥部5は、第2化学処理部4で酸性処理液で処理した支持体を分離、水洗し、乾燥する工程である。501は水洗装置を示し、502は乾燥装置を示す。水洗装置501は回収された支持体を効率良く洗浄出来れば装置には特に限定はなく、例えば撹拌機が付いた水洗槽でもよく、水洗水をシャワーで欠けながら回転可能なメッシュのドラム式容器等でも良い。乾燥装置で乾燥が終了した段階で、記録材料の支持体の原材料に再利用出来る状態(写真感光材料用の支持体の原材料に再利用出来る状態)の支持体の回収が終了する。
乾燥装置502も水洗装置501と同様に効率良く乾燥出来れば装置には特に限定はなく、例えば乾燥風を吹き付けながら回転可能なメッシュのドラム式容器等でも良い。
図1に示される、第1化学処理部、第1分離処理部、第2分離処理部、第2化学処理部、水洗・乾燥部はいずれもバッチ処理で行うことが好ましい。
次に、本発明に係る高剪断撹拌装置の機構及び処理条件に付き説明する。
図2は図1の第2分離処理部の高剪断撹拌装置であるヘンシェルミキサーの概略図である。図2の(a)はヘンシェルミキサーの概略断面図である。図2の(b)はヘンシェルミキサーの下羽根の概略斜視図である。図2の(c)はヘンシェルミキサーの上羽根の概略斜視図である。
第1分離処理部で回収した固形物から支持体のみを回収するためには、これらに高剪断力を掛け、支持体に残存している塗布膜、支持体に付着している塗布膜及びスラッジ等を剥離し細分化して除去する、及び混入している塗布膜を細分化して除去することが一番効果的であることが検討の結果明らかになった。
支持体に残存している塗布膜は、アルカリ溶液で処理が終了している段階で下塗り層にアルカリ溶液が染み込んでいる状態であるため塗布膜に高剪断力を掛けることで剥離が促進され易い状態となっている。又、支持体に付着している塗布膜及びスラッジ等も高剪断力を掛けることで剥離が促進される。剥離された塗布膜、スラッジ等は高剪断力を掛けることで細分化され次の工程で支持体との分離がし易くなる。
均等に高剪断力を掛ける最適な装置としてヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)が挙げられる。本図では高剪断撹拌装置としてヘンシェルミキサーを使用した場合に付き説明する。
図中、301aはヘンシェルミキサーの有底円筒状の胴部を示し、301bは蓋部を示す。301cは回転軸を示し、301dは回転軸31cに取り付けられた下羽根を示し、301eは回転軸301cに取り付けられた上羽根を示す。回転軸が回転(図中の矢印方向)することで胴部301aの液体は2つの方向の流れが発生する。1つは下羽根301dの回転により下から上向きの流れ(図中の矢印方向)が発生する。他の1つは上羽根301eの回転により水平方向の流れ(図中の矢印方向)が発生する。処理液中に固形物が存在する場合、固形物は、一旦上向きの流れに乗り流れ、次に下向きの流れに乗り、上羽根に接触することで剪断力が掛けられる。この様な流れを発生させるヘンシェルミキサーで一定時間処理することで固形物毎に高剪断力が均一に掛けられることで、支持体に残存していた塗布膜、付着していた塗布膜及びスラッジ、分離せずに残っていた塗布膜が剥離されると同時に細断され細分化することで次の工程で分離が容易となる。
下羽根及び上羽根の形状は特に限定は無く、被撹拌物の種類と固形物の濃度とにより適宜選択することが可能である。
ヘンシェルミキサー301における好ましい条件としては次の条件が挙げられる。固形分濃度は1〜70質量%が好ましい。1質量%未満の場合は、槽内旋回流が支配的となり、軸流が発生しなくなり、被撹拌物の種類と固形物の種類によっては上羽根による粉砕が出来なくなる場合がある。70質量%を越えた場合は、固形物の種類によっては、ブリッジを起こしやすくなり均一な撹拌が出来なくなる場合がある。
羽根の回転速度(羽根の先端の周速度)は10〜70m/secが好ましい。20m/sec未満では固形物毎に与える剪断力が小さくなり、付着した塗布膜及びスラッジの状態によっては剥離されなくなったり、剥離した塗布膜等が細分化しなくなる場合がある。70m/secを越えた場合は、塗布膜の種類によっては、剥離した塗布膜が撹拌に伴い温度が上昇し、塗膜中に使用しているバインダーの種類によっては粘性が上がり軟化し、剥離した塗膜が再び支持体に付着し、その後の工程で再付着した塗膜を剥離することが困難となる場合がある。
時間は、10〜30分が好ましい。10分未満の場合は、塗布膜の種類及び付着している異物の状態によって剥離が終了しない場合がある。30分を越えた場合は、内部の温度が上昇し塗膜中に使用しているバインダーの種類によっては粘性が上がり軟化し、剥離した塗膜が再び支持体に付着し、その後の工程で再付着した塗膜を剥離することが困難となる場合がある。
温度は、1〜40℃が好ましい。1℃未満の場合は、内容物の種類によっては部分的に凝固が生じ完全な流動が出来なくなる場合がある。40℃を越えた場合は、塗布膜の種類によっては、粘性を帯び始め支持体に再付着する場合がある。
図3は図1に示す第2衝突型遠心脱水機の概略図である。図3の(a)は図1に示す第2衝突型遠心脱水機の概略断面図である。図3の(b)は衝突型遠心脱水機の概略平面図である。
図中、302aは衝突型遠心脱水機の円筒状の外筒を示し、302bは外筒302aの内部に配設された回転ローターを示す。302cは円筒状の分離筒を示す。302dは回転ローター302bの駆動用のモータを示す。302c1は円筒状の分離筒302cに設けられた孔を示す。302b1は回転ローター302bの表面に取り付けられた撹拌羽根を示す。撹拌羽根は回転ローター302bが回転(図中の矢印方向)したとき、分離筒302cと回転ローター302bの外側との間隙303に供給口304から入れられた高剪断撹拌装置により処理された処理液が上方向の流れになるような角度で取り付けられている。回転ローター302bが回転することで遠心力が作用し、分離筒302cに設けられた孔からは支持体から剥離した塗布膜、スラッジ及び処理液が通過し除去され、支持体は通過しないで残り上部の排出口305から排出分離される。孔を通過した塗布膜、付着物が混入している処理液は外筒302aの下部の排出口306から排出される。孔302c1の大きさは、細断されたチップ状の写真感光材料の大きさに対して1/10〜1/2が好ましい。1/10未満の場合は、剥離した塗布膜の大きさ及び付着物の大きさによっては孔を通過しないで除去されない場合がある。1/2を越えた場合は、支持体の大きさによっては支持体が除去されてしまう場合がある。尚、細断されたチップ状の写真感光材料の大きさとは、細断されたチップ状の写真感光材料を100g取り、この中の各チップの最大長さを測定した平均値を示す。孔302c1の形状は特に限定はないが、円形が分離筒の清掃、強度維持、作りやすさの面から好ましい。
分離筒302cに設けられた孔302c1の開口率(孔の総面積/分離筒の総表面積×100で表される値)は、10〜80%が好ましい。更に、30〜60%が好ましい。10%未満の場合は、処理液中の固形物濃度によっては分離に時間が掛かり、作業効率が悪くなる場合がある。80%を越えた場合は、分離筒の材質によっては強度が不足し、分離筒のメンテナンスに時間と費用が掛かり、生産効率が悪くなる場合がある。
回転ローター302bの形状は高速回転が可能であるならば特に限定は無く、例えば円筒形、多角筒形等であってもかまわない。本図では円筒形の場合を示している。尚、第1分離処理部に使用している第1衝突型遠心脱水機も本図に示す第2衝突型遠心脱水機と同じ構造をしている。
衝突型遠心脱水機に入れる処理液の量は、固形分濃度と衝突型遠心脱水機の大きさにより適宜決めることが可能である。回転ローターの回転速度(周速度)は、5〜40m/secが好ましい。5m/sec未満の場合、処理液中の塗布膜の一部が残った支持体、剥離した塗布膜、アルカリ性処理液処理により発生したスラッジ及び剥離した塗布膜が付着している支持体の大きさによっては、衝突型遠心脱水機内にて固形物の巻き上がりが生じず、これらの支持体同士の衝突がなくなり、塗布膜及びアルカリ性処理液処理により発生したスラッジ等が分離出来なくなる場合がある。40m/secを越えた場合は、ロータの羽根により支持体が破損され微細化が進むため、分離筒に設けられた孔の大きさによっては、微細化した支持体か除去され、回収率が大幅に低下する場合がある。
図1〜図3に示す方法を用いてポリエステル系樹脂を支持体とした記録材料を細断しチップ状し、図1〜図3に示す示す回収方法で支持体を回収する効果として次の効果が挙げられる。
1)回収された支持体の純度が高く、記録材料の支持体の原料(写真感光材料の支持体の原料)として再使用するとしてことが可能となった。
2)純度の高い支持体の回収率の向上が可能となった。
3)再使用することが可能になったことに伴い、焼却処理又は埋め立て処理の必要が無くなり環境負荷を減少することが可能となった。
本発明に係る支持体としては特に限定はなく、例えば特開2000−206646、同2001−290243、同2002−99063、同2002−116320、同2002−131872、同2002−250990、同2003−1774等に記載のものが挙げられる。
本発明に係る、支持体を用いた記録材料としては、天然高分子バインダー及び合成高分子バインダーを使用して塗布膜を形成した記録材料のいずれも対象とすることが可能である。天然高分子バインダーを用いた写真感光材料としては、例えば医療用、印刷用、一般用のハロゲン化銀写真感光材料が挙げられる。合成高分子バインダーを用いた記録材料としては、熱現像感光材料、放射線画像変換シート等が挙げられる。特に、特開平9−292671号、同9−304870号、同9−304871号、同9−304872号、同10−31282号、特開平10−62898号、特開平11−295844号、特開平11−352627号に開示されている熱現像感光材料が好ましい。
本発明において、支持体上に形成される塗布膜に用いる透明又は半透明の天然高分子、合成高分子バインダーとしては次のものが挙げられる。天然高分子バインダーとしては例えば:ゼラチン、アラビアゴム、カゼイン、デンプン等が挙げられる。合成高分子バインダーとしては例えば:ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリビニルアセタール類(例えば、ポリビニルホルマール及びポリビニルブチラール)、ポリエステル類、ポリウレタン類、フェノキシ樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリエポキシド類、ポリカーボネート類、ポリビニルアセテート、セルロースエステル類、ポリアミド類が広く用いられる。
塗布膜に用いるバインダーとしては、疎水性樹脂及び親水性樹脂のいずれでもよく、それぞれの適性に応じて使い分けられる。好ましい疎水性樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、セルロースアセテート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明の具体的な効果を示すが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
実施例1
(チップ状の記録材料の準備)
10mm×10mm(外形サイズ14mm)の大きさのチップ状の記録材料(コニカミノルタエムジー(株)製SD−P(熱現像感光材料)の半切サイズ)180kgを準備した。
〈支持体の回収〉
図1に示す方法に従って順次処理を行った。
(アルカリ性処理液による処理)
準備したチップ状の記録材料の全量を濃度1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液2500Lと混合し、撹拌羽根の回転速度(周速度)5m/秒、温度90℃で1時間、撹拌処理し塗布膜を剥離した。尚、使用した撹拌羽根は、回転したときの直径が処理槽の内径に対して40%、羽根を回転したときの回転容積が処理槽の処理液の容量に対して10%の4枚羽根のステンレス製の撹拌羽根を用い、処理槽の液面からの鉛直方向の距離が処理液の深さに対して0.3になるように回転軸に取り付け処理槽内に配設した。
(処理済みアルカリ性処理液から固形分の分離)
各処理済みアルカリ性処理液を図1に示す第1分離部、第2分離部により固形分を分離した。
(酸性処理液の準備)
有機溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)、強酸として硫酸を使用し、表1に示す様にこれらの濃度を変えた酸性処理液を準備し1−1〜1−14とした。尚、硫酸を使用しないでMEKと水の混合処理液を調製し1−15、及びMEKを使用しないで硫酸と水との混合処理液を調製し1−16、1−17、硫酸のみを使用した処理液を調製し1−18として比較処理液とした。
Figure 2005134432
(酸性処理液による処理)
分離した固形分10kgを準備した酸性処理液1−1で処理した後、水洗、乾燥を行い支持体を回収し、試料とし101した。酸性処理液による処理温度は75℃、処理時間は60min、固形分濃度は10質量%とした。処理時の撹拌は、撹拌直径が処理容器の内径に対して40%の撹拌羽根で、回転速度(周速度)5m/secで行った。
酸性処理液1−1を準備した各酸性処理液1−2〜1−14及び各比較の処理液1−15〜1−18に変えた他は試料101を作製した同じ条件で分離した固形分を各10kgを処理し支持体を回収し、試料102〜118とした。
〈第1分離部による分離処理〉
(ハイドロサイクロンによる分離)
図1に示すハイドロサイクロンを使用し、処理済みのアルカリ性処理液から固形物の分離を行った。使用したハイドロサイクロンは、円柱部長さ0.45m、円柱部内径0.3m、円錐部の長さ0.45m、円錐部テーパー度15%、オリフィス部内径5cmのものを使用し、ハイドロサイクロンの上部より、ハイドロサイクロンの円周接線方向に、流速100m/minの速度で処理済みのアルカリ性処理液を導入し処理を行った。
(第1衝突型遠心脱水機による分離)
ハイドロサイクロンにより各処理済みアルカリ性処理液から分離された固形物に、更に水を加え固形分濃度を50質量%に調整し、図1、図3に示す第1衝突型遠心脱水機の下部より、流速5m/minの速度で混合液を導入し、不要物の一部を分離した。尚、使用した第1衝突型遠心脱水機は、外筒直径0.4m、高さ1.5m、回転ローターの直径0.3m、直径1.5mのものを使用し、回転速度(回転周速)は15m/secで行った。尚、分離筒は、直径2mm(チップの大きさ(平均値)に対して1/5)の円形の孔が3mm間隔でチドリ状に配列し開孔率40%のものを使用した。
(エアーサイクロンによる水分、その他付着物等の分離)
第1衝突型遠心脱水機の上部より、各処理済みアルカリ性処理液から分離して排出されてくる固形物をエアーサイクロンにより、付着している水分、その他付着物を分離した。
〈第2分離処理部による固形物から塗布膜、スラッジ等の分離〉
第1分離処理部により分離された固形物から、支持体に残存している塗布膜、付着しているスラッジ及び塗布膜、分離せずに残っている剥離した塗布膜等を除去するために図1に示される第2分離処理部による処理を行った。
(高剪断撹拌装置による混合)
高剪断撹拌装置としてはヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製FM20C/L、上羽根はYi羽根、下羽根はSo羽根)を使用した。分離された固形物を図1、図2に示されるヘンシェルミキサーによる処理を行うため、固形分濃度が50質量%になるように水を加えて調整した。調整した処理液を、羽根の回転速度(羽根の先端の周速度)は40m/sec、温度30℃で10分間ヘンシェルミキサーによる処理を行った。
(第2衝突型遠心脱水機による分離)
ヘンシェルミキサーにより混合された混合液を、図1、図3に示す第2衝突型遠心脱水機の下部より、流速5m/minの速度で混合液を導入し、固形物より支持体の分離を行った。尚、使用した第2衝突型遠心脱水機は、第1衝突型遠心脱水機と同じ物を使用し、同じ条件で処理した。
(評価)
得られた各試料101〜118に付き、分子量測定、着色度測定、異物付着観察を行い、以下に示す評価ランクに従って評価した結果を表2に示す。尚、分子量測定は柴山科学機械製作所製粘度測定器SS−270LC−1を用いて測定し、得られた粘度から換算した。着色度測定は、各試料を使用し、日精樹脂工業(株)製射出成型機AU3Eを用いて、厚さ0.5mmのプレートを作製した。それぞれのプレートを(株)日立製作所製分光光度計U−3210を用いて測定した。
分子量の評価ランク
○:基準試料に対する差が10%未満
△:基準試料に対する差が10〜30%未満
×:基準試料に対する差が30%以上
尚、評価に使用した基準試料には、製膜直後の支持体を使用した。
着色度の評価ランク
○:基準試料に対する差が3%未満
△:基準試料に対する差が3〜5%未満
×:基準試料に対する差が5%以上
尚、評価に使用した基準試料には、製膜直後の支持体を細断し、各試料と同様に日精樹脂工業(株)製射出成型機AU3Eを用いて、厚さ0.5mmのプレートを作製した物を使用した。
異物付着観察
各試料101〜118につき、各10gを任意サンプリングし、目視により異物付有無を確認した。
異物付着の評価ランク
○:回収した支持体の全てに異物付着が認められない
△:回収した支持体の1枚に直径0.1mm程度の大きさの異物が1〜4個付着している
×:回収した支持体の1枚に直径0.1mm程度の大きさの異物が5個以上付着している
Figure 2005134432
以上の結果より、使用前のPETと同じ純度の支持体が回収されたことが確認され、本発明の有効性が確認された。
実施例2
(チップ状の記録材料の準備)
10mm×10mm(外形サイズ14mm)の大きさのチップ状の記録材料(コニカミノルタエムジー(株)製SD−P(熱現像感光材料)の半切サイズ)100kgを準備した。
〈支持体の回収〉
図1に示す方法に従って順次処理を行った。
(アルカリ性処理液による処理)
準備したチップ状の記録材料の全量を濃度1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液1000Lと混合し、実施例1と同じ条件で撹拌処理し塗布膜を剥離した。
(処理済みアルカリ性処理液から固形分の分離)
各処理済みアルカリ性処理液を図1に示す第1分離部、第2分離部により固形分を分離した。尚、第1分離部、第2分離部による固形分の分離は実施例1と同じ条件で行った。
(酸性処理液の準備)
表3に示す様に有機溶剤と強酸とを変えた酸性処理液を調製し2−1〜2−8とした。尚、有機溶剤は40質量%、強酸は60質量%との割合で混合した。
Figure 2005134432
(酸性処理液による処理)
分離した固形分の内、10kgを準備した酸性処理液2−1で処理した後、水洗、乾燥を行い支持体を回収し、試料201した。酸性処理液の温度は各使用している有機溶剤の沸点より4℃低く設定した。その他の酸性処理液による処理条件は実施例1と同じ条件で行った。
酸性処理液2−1を準備した各酸性処理液2−2〜2−8に変えた他は試料201を作製した同じ条件で、分離した固形分の内各10kgを処理し支持体を回収し、試料202〜208とした。
(評価)
得られた各試料201〜208に付き、分子量測定、着色度測定、異物付着観察を実施例1と同じ方法で行い、実施例1と同じ評価ランクにより評価した結果を表4に示す。
Figure 2005134432
以上の結果より、使用前のPETと同じ純度の支持体が回収されたことが確認され、本発明の有効性が確認された。
実施例3
実施例1で試料106を作製するとき、酸性処理の温度、時間を表5に示す様に変えて処理を行った他は全て実施例1と同じ条件、同じ方法で行い試料301〜310を作製した。得られた試料301〜310に付き、分子量測定、着色度測定、異物付着観察を実施例1と同じ方法で行い、実施例1と同じ評価ランクにより評価した結果を表5に示す。
表中の酸性処理の温度は、使用している有機溶剤の沸点に対しての温度差を示す。
Figure 2005134432
以上の結果より、使用前のPETと同じ純度の支持体が回収されたことが確認され、本発明の有効性が確認された。
実施例4
実施例1で試料106を作製するとき、酸性処理時の固形分濃度(質量%)を表6に示す様に変えて処理を行った他は全て実施例1と同じ条件、同じ方法で行い試料401〜406を作製した。得られた試料401〜406に付き、分子量測定、着色度測定、異物付着観察を実施例1と同じ方法で行い、実施例1と同じ評価ランクにより評価した結果を表6に示す。
Figure 2005134432
以上の結果より、使用前のPETと同じ純度の支持体が回収されたことが確認され、本発明の有効性が確認された。
実施例5
実施例1で試料106を作製するとき、チップ状の記録材料(コニカミノルタエムジー(株)製SD−P(熱現像感光材料))の外形サイズを表7に示す様に変えてた他は全て実施例1と同じ条件、同じ方法で処理を行い支持体を回収し試料501〜507を作製した。得られた試料501〜507に付き、分子量測定、着色度測定、異物付着観察を実施例1と同じ方法で行い、実施例1と同じ評価ランクにより評価した結果を表7に示す。
Figure 2005134432
以上の結果より、使用前のPETと同じ純度の支持体が回収されたことが確認され、本発明の有効性が確認された。
支持体の回収方法の一例を示す模式図である。 図1の第2分離処理部の高剪断撹拌装置であるヘンシェルミキサーの概略図である。 図1に示す第2衝突型遠心脱水機の概略図である。 写真感光材料の概略断面図である。
符号の説明
1 第1化学処理部
101、401 処理装置
101a 処理槽
101a1 底面
101b2 回転軸
101b3 撹拌羽根
2 第1分離処理部
201 ハイドロサイクロン
202 第1衝突型遠心脱水機
3 第2分離処理部
301 高剪断撹拌装置
302 第2衝突型遠心脱水機
4 第2化学処理部
5 水洗・乾燥部
501 水洗装置
502 乾燥装置
6 写真感光材料

Claims (8)

  1. ポリエステル系樹脂支持体上に少なくとも1層の塗布膜を有するチップ状の記録材料をアルカリ性処理液により処理し、該アルカリ性処理液から該ポリエステル系樹脂支持体を分離した後、前記ポリエステル系樹脂支持体を酸性処理液で処理し回収するポリエステル系樹脂支持体回収方法において、該酸性処理液が少なくとも有機溶剤と強酸とを有する混合溶媒であることを特徴とするポリエステル系樹脂支持体回収方法。
  2. 前記有機溶剤が、沸点45〜190℃で水溶性であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
  3. 前記強酸が、硝酸、ハロゲン化水素酸、硫酸の何れか1種類であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
  4. 前記混合溶媒は、有機溶剤の濃度が0.1〜50%、強酸の濃度が0.1〜99.9%であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
  5. 前記酸性処理液の温度は、使用する有機溶剤の沸点より3〜5℃低くし、時間を1〜180minとすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
  6. 前記酸性処理液による処理は、混合溶媒中の固形分濃度が0.1〜50%であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
  7. 前記塗布膜が天然高分子系バインダー又は合成高分子系バインダーを使用していることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
  8. 前記チップ状の記録材料の外形サイズが0.1〜100mmであることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載のポリエステル系樹脂支持体回収方法。
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