JP2005133616A - 燃料量計測装置および燃料計の故障判定装置 - Google Patents

燃料量計測装置および燃料計の故障判定装置 Download PDF

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英二 板倉
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哲之 大江
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Abstract

【課題】 この発明は燃料計に頼らずに燃料量を計測するための燃料計測装置に関する。
【解決手段】 既知の圧力導入特性により燃料タンクに圧力を導入することのできる圧力導入機構を設ける。タンク内圧を検出するタンク内圧センサを設ける。圧力導入機構による圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達するまでの定常圧到達時間TSATを実測する(ステップ100〜104)。TSATと推定燃料量VFUELとの関係を定めたTSAT−VFUELマップに実測されたTSATを照らし合わせて推定燃料量VFUELを推定する(ステップ106)。
【選択図】 図6

Description

この発明は燃料量計測装置および燃料計の故障判定装置に係り、特に、燃料タンクの内部に残存する燃料量を計測するための燃料計測装置、およびその燃料量を計測する燃料計の故障を検出するための燃料計の故障判定装置に関する。
燃料タンクの内部に残存する燃料量を計測する手法としては、液面センサを利用した燃料計を用いる手法が一般的である。これに対して、例えば特開平11−148851号公報には、この種の燃料計を用いずに、燃料タンクに流入する燃料の量と燃料タンクから流出する燃料の量とを積算することで残存する燃料量を計測する装置が開示されている。
液面センサを利用して燃料量を計測する場合は、タンク形状の複雑化等に対処するため、液面センサを複数配置する必要等が生ずる。これに対して上述した従来の手法によれば、燃料量の計測精度がタンク形状により左右されることがない。このため、この手法は、タンク形状が複雑である場合等に、簡単な構成で高精度な燃料計測を実現するうえで有利である。
特開平11−148851号公報
本発明は、燃料計(液面センサ)を用いずに、上述した従来の手法とは異なる手法で、精度良く燃料タンク内の燃料量を計測することのできる燃料計測装置を提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、燃料計と上記の燃料計測装置とを併せ持ち、両者の計測結果を比較することにより燃料計の故障を判定することのできる燃料計の故障判定装置を提供することを第2の目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、燃料量計測装置であって、
既知の圧力導入特性により燃料タンクに圧力を導入する圧力導入機構と、
タンク内圧を検出するタンク内圧センサと、
前記圧力導入機構による圧力導入の開始後におけるタンク内圧の推移に対応する特性値を実測する特性値実測手段と、
前記特性値に基づいて燃料タンク内の燃料量を推定する燃料量推定手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記特性値実測手段は、前記圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達するまでに要する定常圧到達時間を前記特性値として実測する定常圧到達時間実測手段を備え、
前記燃料量推定手段は、前記定常圧到達時間と燃料タンク内の燃料量との既定の関係を記憶した関係記憶手段と、前記定常圧到達時間の実測値に対応する燃料量を前記既定の関係に基づいて算出する燃料量算出手段と、を備えることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1の発明において、
前記特性値実測手段は、前記圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達する前の所定時期における特定のタンク内圧を前記特性値として実測する特定タンク内圧実測手段を備え、
前記燃料量推定手段は、前記特定のタンク内圧と燃料タンク内の燃料量との既定の関係を記憶した関係記憶手段と、前記特定のタンク内圧の実測値に対応する燃料量を前記既定の関係に基づいて算出する燃料量算出手段と、を備えることを特徴とする。
また、第4の発明は、第1の発明において、
前記特性値実測手段は、前記圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達するまでに要する定常圧到達時間を前記特性値として実測する定常圧到達時間実測手段を備え、
前記燃料量推定手段は、燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性とを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算するモデル演算手段と、前記モデル演算手段により演算されるタンク内圧の演算値が定常値に達するまでに要する定常値到達時間を、前記定常圧到達時間の実測値と一致させるような理論上の空間容積を算出する理論空間容積算出手段と、前記理論上の空間容積に基づいて前記燃料タンク内の燃料量を算出する燃料量算出手段と、を備えることを特徴とする。
また、第5の発明は、第1の発明において、
前記特性値実測手段は、前記圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達する前の所定時期における特定のタンク内圧を前記特性値として実測する特定タンク内圧実測手段を備え、
前記燃料量推定手段は、燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性とを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算するモデル演算手段と、前記モデル演算手段により前記特定のタンク内圧として演算される値を、前記特定のタンク内圧の実測値と一致させるような理論上の空間容積を算出する理論空間容積算出手段と、前記理論上の空間容積に基づいて前記燃料タンク内の燃料量を算出する燃料量算出手段と、を備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、第1乃至だい5の発明の何れかにおいて、
前記燃料タンクを含む系に漏れ故障が生じているか否かを判別する漏れ故障判別手段と、
前記漏れ故障の発生が認められる場合には、前記燃料量推定手段により推定された燃料量を破棄し、または、前記燃料量推定手段による燃料量の推定を禁止する推定機能無効手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第7の発明は、燃料計の故障判定装置であって、
第1乃至第6の発明の何れかに係る燃料量計測装置と、
前記燃料タンク内の燃料量を実測する燃料計と、
前記燃料計による燃料量の実測値と、前記燃料量推定手段による燃料量の推定値とが、所定量を超えて乖離している場合に前記燃料計の故障を判定する故障判定手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第8の発明は、燃料計の故障判定装置であって、
既知の圧力導入特性により燃料タンクに圧力を導入する圧力導入機構と、
前記燃料タンク内の燃料量を実測する燃料計と、
前記燃料量の実測値を前提として、前記圧力導入機構による圧力導入の開始後に生ずると予想されるタンク内圧の推移に対応する特性値を推定する特性値推定手段と、
タンク内圧を検出するタンク内圧センサと、
前記圧力導入機構による圧力導入の開始後におけるタンク内圧の推移に対応する特性値を実測する特性値実測手段と、
前記特性値の推定値と実測値とが、所定量を超えて乖離している場合に前記燃料計の故障を判定する故障判定手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第9の発明は、第8の発明において、
前記特性値推定手段は、燃料タンク内の燃料量と前記圧力導入機構による圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達するまでに要する定常圧到達時間との既定の関係を記憶した関係記憶手段と、燃料量の実測値に対応する定常圧到達時間を前記既定の関係に基づいて推定する定常圧到達時間推定手段と、を備え、
前記特性値実測手段は、前記定常圧到達時間を実測する定常圧到達時間実測手段を備え、
前記故障判定手段は、前記定常圧到達時間の推定値と実測値との乖離量に基づいて前記燃料計の故障を判定することを特徴とする。
また、第10の発明は、第8の発明において、
前記特性値推定手段は、燃料量の実測値より前記燃料タンク内の空間容積を算出する空間容積算出手段と、燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性とを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算するモデル演算手段と、前記モデル演算手段による演算結果よりタンク内圧が定常値に達するまでに要すると予想される定常値到達時間を推定する定常値到達時間推定手段とを備え、
前記特性値実測手段は、前記圧力導入機構による圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達するまでに要する定常圧到達時間を実測する定常圧到達時間実測手段を備え、
前記故障判定手段は、前記定常圧到達時間の推定値と実測値との乖離量に基づいて前記燃料計の故障を判定することを特徴とする。
また、第11の発明は、第8の発明において、
前記特性値推定手段は、燃料タンク内の燃料量と前記圧力導入機構による圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達する前の所定時期における特定のタンク内圧との既定の関係を記憶した関係記憶手段と、燃料量の実測値に対応する前記特定のタンク内圧を前記既定の関係に基づいて推定する特定タンク内圧推定手段と、を備え、
前記特性値実測手段は、前記特定のタンク内圧を実測する特定タンク内圧実測手段を備え、
前記故障判定手段は、前記特定のタンク内圧の推定値と実測値との乖離量に基づいて前記燃料計の故障を判定することを特徴とする。
また、第12の発明は、第8の発明において、
前記特性値推定手段は、燃料量の実測値より前記燃料タンク内の空間容積を算出する空間容積算出手段と、燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性とを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算するモデル演算手段と、前記モデル演算手段による演算結果より前記圧力導入機構による圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達する前の所定時期に生ずると予想される特定のタンク内圧を推定する特定タンク内圧推定手段とを備え、
前記特性値実測手段は、前記圧力導入機構による圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達する前の所定時期におけるタンク内圧を実測する特定タンク内圧実測手段を備え、
前記故障判定手段は、前記特定タンク内圧の推定値と実測値との乖離量に基づいて前記燃料計の故障を判定することを特徴とする。
また、第13の発明は、第8乃至第12の発明の何れかにおいて、
前記燃料タンクを含む系に漏れ故障が生じているか否かを判別する漏れ故障判別手段と、
前記漏れ故障の発生が認められる場合には、前記故障判定手段による判定結果を破棄し、または、前記故障判定手段による故障判定を禁止する判定機能無効手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第14の発明は、第2または第3の発明において、
燃料タンクに生じているリークのサイズを検出するリークサイズ検出手段を備え、
前記関係記憶手段は、リークのサイズに応じて複数準備された既定の関係の中から、検出されたリークのサイズに対応する関係を前記既定の関係として選択する関係選択手段、または、基準の関係を検出されたリークのサイズに応じて補正することにより前記既定の関係を生成する関係補正手段を含むことを特徴とする。
また、第15の発明は、第4または第5の発明において、
燃料タンクに生じているリークのサイズを検出するリークサイズ検出手段を備え、
前記モデル演算手段は、燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性と前記燃料タンクに生じているリークのサイズを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算することを特徴とする。
また、第16の発明は、第14または第15の発明において、
前記リークサイズ検出手段は、
前記圧力導入機構による圧力導入の開始後のタンク内圧の定常圧力とリークのサイズとの関係である定常関係を記憶した定常関係記憶手段と、
前記定常圧力を実測する定常圧力実測手段と、
前記定常関係に基づいて前記定常圧力に対応するリークのサイズを推定するリークサイズ推定手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第17の発明は、第14または第15の発明において、
前記リークサイズ検出手段は、
燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性と前記燃料タンクに生じているリークのサイズを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算するモデル演算手段と、
前記圧力導入の開始後のタンク内圧の定常圧力を実測する定常圧力実測手段と、
前記モデル演算手段により演算されるタンク内圧の定常値を、前記定常圧力の実測値と一致させるような理論上のリークのサイズを算出する理論リークサイズ算出手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第18の発明は、第14または第15の発明において、
前記リークサイズ検出手段は、
前記圧力導入の開始後のタンク内圧の定常圧力を実測する定常圧力実測手段と、
前記圧力導入機構の両側に前記定常圧力と大気圧とが作用した際に当該圧力導入機構により搬送されるガス流量を算出するガス流量算出手段と、
前記定常圧力と大気圧とが両側に作用した際に前記ガス流量を流通させるリークのサイズを算出するリークサイズ算出手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第19の発明は、第9または第10の発明において、
燃料タンクに生じているリークのサイズを検出するリークサイズ検出手段を備え、
前記関係記憶手段は、リークのサイズに応じて複数準備された既定の関係の中から、検出されたリークのサイズに対応する関係を前記既定の関係として選択する関係選択手段、または、基準の関係を検出されたリークのサイズに応じて補正することにより前記既定の関係を生成する関係補正手段を含むことを特徴とする。
また、第20の発明は、第10または第12の発明において、
燃料タンクに生じているリークのサイズを検出するリークサイズ検出手段を備え、
前記モデル演算手段は、燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性と前記燃料タンクに生じているリークのサイズを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算することを特徴とする。
また、第21の発明は、第19または第20の発明において、
前記リークサイズ検出手段は、
前記圧力導入機構による圧力導入の開始後のタンク内圧の定常圧力とリークのサイズとの関係である定常関係を記憶した定常関係記憶手段と、
前記定常圧力を実測する定常圧力実測手段と、
前記定常関係に基づいて前記定常圧力に対応するリークのサイズを推定するリークサイズ推定手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第22の発明は、第19または第20の発明において、
前記リークサイズ検出手段は、
燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性と前記燃料タンクに生じているリークのサイズを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算するモデル演算手段と、
前記圧力導入の開始後のタンク内圧の定常圧力を実測する定常圧力実測手段と、
前記モデル演算手段により演算されるタンク内圧の定常値を、前記定常圧力の実測値と一致させるような理論上のリークのサイズを算出する理論リークサイズ算出手段と、
を含むことを特徴とする。
また、第23の発明は、第19または第20の発明において、
前記リークサイズ検出手段は、
前記圧力導入の開始後のタンク内圧の定常圧力を実測する定常圧力実測手段と、
前記圧力導入機構の両側に前記定常圧力と大気圧とが作用した際に当該圧力導入機構により搬送されるガス流量を算出するガス流量算出手段と、
前記定常圧力と大気圧とが両側に作用した際に前記ガス流量を流通させるリークのサイズを算出するリークサイズ算出手段と、
を含むことを特徴とする。
第1の発明によれば、既知の圧力導入特性で燃料タンクに圧力を導入することができる。この際、タンク内圧は、燃料タンク内の空間容積に応じた推移、つまり、その内部に残存する燃料量に応じた推移を示す。本発明によれば、その推移に対応する特性値に基づき、精度良く燃料量を推定することができる。
第2の発明によれば、タンク内圧が定常圧力に達するまでに要する定常圧到達時間が実測される。そして、定常圧到達時間と燃料量とに関する既定の関係にその実測値を照らし合わせることにより、燃料量を精度良く推定することができる。
第3の発明によれば、圧力導入の開始後、所定時期における特定のタンク内圧が実測される。そして、その特定のタンク内圧と燃料タンク内の燃料量とに関する既定の関係にその実測値を照らし合わせることにより、燃料量を精度良く推定することができる。
第4の発明によれば、タンク内圧が定常圧力に達するまでに要する定常圧到達時間が実測される。そして、物理モデルを用いて、その定常圧到達時間が実現されるための理論上の空間容積が算出される。本発明によれば、その理論上の空間容積に基づいて燃料タンク内の燃料量を精度良く推定することができる。
第5の発明によれば、圧力導入の開始後、所定時期における特定のタンク内圧が実測される。そして、物理モデルを用いて、その特定のタンク内圧が実現されるための理論上の空間容積が算出される。本発明によれば、その理論上の空間容積に基づいて燃料タンク内の燃料量を精度良く推定することができる。
第6の発明によれば、燃料タンクに漏れ故障が生じているか否かを判別することができる。漏れ故障の発生時は、圧力導入時におけるタンク内圧の推移が正常時とは異なるものとなる。第1乃至第5の発明は、漏れ故障が存在しないことが前提とされているため、このような状況下では正しく燃料量を推定することができない。本発明によれば、このような状況下では燃料量の推定機構を無効にして、燃料量が誤った値に計測されるのを防ぐことができる。
第7の発明によれば、第1乃至第6の発明の何れかに係る燃料量計測装置と共に燃料計を備えるシステムにおいて、両者の計測結果を比較することにより、燃料計の故障を判定することができる。
第8の発明によれば、燃料計により実測された燃料量から、圧力導入の開始後に生ずると予想されるタンク内圧の推移に対応する特性値を推定することができる。また、本発明によれば、その特性値を実測することができる。燃料量の実測値が正しい値であれば、特性値の推定値は、その実測値と等しい値となる。本発明によれば、両者が乖離している場合に燃料計の故障を判定することができる。
第9の発明によれば、定常圧到達時間と燃料量とに関する既定の関係に燃料量の実測値を照らし合わせることにより、実測された燃料量に対して発生するべき定常圧到達時間を精度良く推定することができる。そして、その推定値と定常圧到達時間の実測値とを比較することにより、燃料計に故障が生じているか否かを精度良く判定することができる。
第10の発明によれば、実測された燃料量から算出される空間容積を圧力導入特性と共に物理モデルに当てはめることにより、タンク内圧の推移を演算することができる。タンク内圧の推移が推定できると、タンク内圧が定常値に達するまでに要すると定常値到達時間を推定することができる。本発明によれば、このようにして推定された定常値到達時間を、その実測値と比較することにより、燃料計に故障が生じているか否かを精度良く判定することができる。
第11の発明によれば、圧力導入の開始後、所定時期に生ずるべき特定のタンク内圧と燃料量とに関する既定の関係に燃料量の実測値を照らし合わせることにより、実測された燃料量に対して発生するべき特定のタンク内圧を精度良く推定することができる。そして、その推定値と特定のタンク内圧の実測値とを比較することにより、燃料計に故障が生じているか否かを精度良く判定することができる。
第12の発明によれば、実測された燃料量から算出される空間容積を圧力導入特性と共に物理モデルに当てはめることにより、タンク内圧の推移を演算することができる。タンク内圧の推移が推定できると、圧力導入の開始後、所定時期に生ずるべき特定のタンク内圧を推定することができる。本発明によれば、このようにして推定された特定のタンク内圧を、その実測値と比較することにより、燃料計に故障が生じているか否かを精度良く判定することができる。
第13の発明によれば、燃料タンクに漏れ故障が生じているか否かを判別することができる。漏れ故障の発生時は、圧力導入時におけるタンク内圧の推移が正常時とは異なるものとなる。第8乃至第12の発明は、漏れ故障が存在しないことが前提とされているため、このような状況下では正しく燃料計の故障判定を行うことができない。本発明によれば、このような状況下では燃料計の故障判定機構を無効にして、誤った判定がなされるのを防ぐことができる。
第14または第19の発明によれば、燃料タンクに生じているリークのサイズを検出し、そのサイズに応じた適正な関係を既定の関係として設定することができる。このため、本発明によれば、燃料タンクに漏れ故障が生じている場合でも、燃料量を正確に推定し、或いは燃料計の故障を正確に判定することができる。
第15または第20の発明によれば、燃料タンクに生じているリークのサイズを検出し、燃料タンク内の空間容積と圧力導入機構の圧力導入特性と共に、そのリークのサイズを物理モデルに当てはめることにより、漏れ故障の発生を前提としたタンク内圧の推移を演算により推定することができる。このため、本発明によれば、燃料タンクに漏れ故障が生じている場合でも、燃料量を正確に推定し、或いは燃料計の故障を正確に判定することができる。
第16または第21の発明によれば、タンク内圧の定常圧力とリークのサイズとの関係を定めた定常関係に、定常圧力の実測値を照らし合わせることにより、燃料タンクに生じているリークのサイズを精度良く推定することができる。
第17または第22の発明によれば、タンク内圧の定常圧力が実測される。そして、物理モデルを用いた演算を行うことにより、実測された定常圧力が実現されるために発生しているべきリークのサイズを精度良く推定することができる。
第18または第23の発明によれば、タンク内圧の定常圧力が実測される。タンク内圧が定常圧力に達した後に圧力導入機構により搬送されるガス量は、その両側に発生する差圧に基づいて、つまり、実測された定常圧力と大気圧とに基づいて算出することができる。定常状態で漏れ故障の箇所を流通するガス流量は、その搬送ガス流量に等しいと見なすことができる。リークのサイズは、その両側に作用する差圧と、その中を流れるガス量より算出することができる。本発明によれば、定常圧力の実測値と大気圧との差圧、および上記の搬送ガス流量を基礎として、リークのサイズを精度良く算出することができる。
実施の形態1.
[実施の形態1の装置の構成]
図1は、本発明の実施の形態1のシステム構成を説明するための図である。本実施形態のシステムは、燃料タンク10を備えている。燃料タンクの内部には、その中に貯留されている燃料の液面に応じた出力を発する燃料計12が設けられている。燃料計12によれば、残留している燃料量、ひいては、燃料タンク10内の空間容積VSPを検知することができる。以下、燃料計12により計測された燃料量を「実測燃料量VME」と称す。
燃料タンク10には、また、タンク内圧センサ14が設けられている。タンク内圧センサ14は、燃料タンク10内部の圧力、つまり、タンク内圧PTANKに応じた出力を発するセンサである。燃料タンク10には、ベーパ通路18を介してキャニスタ20が連通している。キャニスタ20の内部には、活性炭22が充填されている。キャニスタ20は、その活性炭22により、燃料タンク10から流入してくる蒸発燃料を吸着することができる。
キャニスタ20には、また、パージ通路24およびパージVSV(Vacuum Switching Valve)26を介して内燃機関の吸気通路(図示せず)が連通している。内燃機関の運転中にパージVSV26を開くと、キャニスタ20に吸気負圧を導き、その内部に吸着されている蒸発燃料を空気と共に脱離させ、キャニスタ20をパージすることができる。
キャニスタ20には、更に、ポンプモジュール30が連通している。ポンプモジュール30は、より具体的には、活性炭22を挟んでベーパ通路18やパージ通路24と反対側においてキャニスタ20に連通している。ポンプモジュール30は、大気通路32を介して大気に開放されている。尚、ポンプモジュール30の構成については、後に図2を参照して詳細に説明する。
本実施形態のシステムは、ECU50(Electronic Control Unit)を備えている。ECU50には、燃料計12やタンク内圧センサ14など、種々のセンサの出力が供給されている。また、ECU50には、パージVSV26やポンプモジュール30などが電気的に接続されている。ECU50は、それらのセンサ出力に基づき、各種のアクチュエータを駆動することにより、本実施形態のシステムを制御することができる。
図2は、ポンプモジュール30の構成を詳細に説明するための図である。図2に示すように、ポンプモジュール30は、キャニスタ20に通じる切り換え弁34を備えている。切り換え弁34には、ポンプ通路36とオリフィス通路38が連通している。ポンプ通路36は、電動ポンプ40を介して大気通路32に連通する通路であり、一方、オリフィス通路38は、オリフィス42を介して大気通路32に連通する通路である。
切り換え弁34は、キャニスタ20とポンプ通路36とを導通させる負圧導入状態と、オリフィス通路38をポンプ通路36に導通させるリファレンス圧発生状態とを選択的に実現することのできる2位置の電磁弁である。電動ポンプ40は、ポンプ通路36側のガスを大気通路32側へ排出するためのポンプである。また、オリフィス42は、基準径(例えばφ0.5mm)の大きさを有する基準孔である。
ポンプモジュール30によれば、切り換え弁34をリファレンス圧発生状態として電動ポンプ40を作動させると、オリフィス通路38に負圧を導入することができる。この場合、ポンプ通路36からオリフィス通路38にわたる系内の圧力は、オリフィス42から流入する空気量と、電動ポンプ40により排出される空気量とを均衡させる圧力に収束する。つまり、この場合、ポンプ通路36には、基準孔(φ0.5mm)を有する系から電動ポンプ40により空気を排出した場合に、その系内に収束値として生ずる圧力が発生する。以下、この圧力を「リファレンス圧PREF」と称す。
ポンプモジュール30は、ポンプ通路36の圧力を検出する圧力センサ44を備えている。このため、本実施形態のシステムによれば、切り換え弁34をリファレンス圧発生状態として電動ポンプ40を作動させることにより、圧力センサ44により、リファレンス圧PREFを検出することができる。
ところで、ポンプ通路36の内圧は、電動ポンプ40が停止しており、かつ、切り換え弁34がリファレンス圧発生状態とされている場合、或いは、内燃機関が停止している場合には、大気圧に収束する。このため、このような状況下では、圧力センサ44により大気圧を検出することができる。
ポンプモジュール30の切り換え弁34が負圧導入状態である場合は、電動ポンプ40が作動すると、キャニスタ20に負圧が導入される。この際、パージVSV26を閉じておけば、キャニスタ20に導かれた負圧を燃料タンク10に導くことができる。つまり、本実施形態のシステムによれば、パージVSV26を閉じて、かつ、切り換え弁34を負圧導入状態として電動ポンプ40を作動させれば、燃料タンク10を含む密閉空間に負圧を導入することができる。この際、密閉空間内の圧力は、タンク内圧センサ14、或いは、ポンプモジュール30内の圧力センサ44により検知することができる。
[実施の形態1の装置の動作説明]
(漏れ故障の判定)
本実施形態の装置は、燃料タンク10の漏れ故障を判定する機能を有している。漏れ故障を判定するにあたっては、先ず、上述した手法でリファレンス圧PREFが検出される。次に、燃料タンク10に負圧が導入され、タンク内圧PTANKの収束値(以下、「定常圧力PSAT」と称す)が検出される。リファレンス圧PREFは、基準孔を有する系に電動ポンプ40で負圧を導入した際に到達する収束値である。従って、定常圧力PSATは、燃料タンク10に基準孔より大きな漏れが生じていればリファレンス圧PREFはまで低下しない。このため、本実施形態の装置においては、上記の手法で検知したリファレンス圧PREFと定常圧力PSATとを比較することにより、燃料タンク10に、基準孔より大きな漏れが生じているか否かを判断することができる。
(燃料量の推定)
本実施形態の装置は、漏れ故障の判定機能に加えて、燃料計12の出力を用いずに燃料タンク10内の燃料量を推定する機能を有している。以下、図3乃至図6を参照して、その推定方法を詳細に説明する。尚、以下の記載においては、推定により得られた燃料量と、実測燃料量VMEとを区別するため、前者を「推定燃料量VFUEL」と称す。
図3は、ポンプモジュール30により燃料タンク10に負圧を導いた場合に、タンク内圧PTANKに生ずる推移を説明するための図である。燃料タンク10に負圧が導入されれば、タンク内圧PTANKは時間の経過と共に低下する。タンク内圧PTANKは、最終的には、電動ポンプ40の能力に応じた定常圧力PSATに収束するが、定常圧力PSATに至る過程では常に一定の推移を示すものではない。すなわち、電動ポンプ40の圧力導入特性は一定であるから、負圧導入開始後のタンク内圧PTANKは、燃料タンク10内の空間容積VSPが大きいほど緩やかな減圧傾向を示し、一方、空間容積VSPが小さいほど急激な減圧傾向を示す。
タンク内圧PTANKが示す推移の傾向は、例えば、負圧導入が開始された後、タンク内圧PTANKが定常圧力PSATに達するまでの時間(以下、「定常圧到達時間TSAT」と称す)と相関を有している。このため、定常圧到達時間TSATは、その推移に対応する特性値として用いることができる。
図4は、定常圧到達時間TSATと燃料タンク10の空間容積VSPとの関係を示す。定常圧到達時間TSATは、タンク内圧PTANKが緩やかな減圧傾向を示すほど長い時間となる。このため、図4に示すように、定常圧到達時間TSATと空間容積VSPとの関係は、正の傾きを有するものとなる。そして、電動ポンプ40の圧力導入特性が一定であるから、その関係は予め実験的に定めておくことが可能である。
図5は、燃料量と定常圧到達時間TSATとの関係を示す。燃料タンク10の総容積は一定であるから、その中に残存している燃料量は、空間容積VSPが大きいほど少量となる。このため、空間容積VSPと定常圧到達時間TSATとの関係が図4に示す如く決定されれば、その関係から、燃料量と定常圧到達時間TSATとの関係は、図5に示すように負の傾きを有するものとして決定することができる。そして、図5に示す関係が予め定まっていれば、定常圧到達時間TSATを実測することで、推定燃料量VFUELを推定することが可能である。
[実施の形態2における具体的処理]
図6は、上記の手法で推定燃料量VFUELを推定するために、ECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。尚、ここでは、このルーチンが起動されると同時に、電動ポンプ40の作動が開始され、かつ、タンク内圧PTANKのモニタが開始されるものとする。
図6に示すルーチンでは、先ず、あるサンプリング時間での圧力変化量ΔP=PT1−PT2が算出される(ステップ100)。次に、圧力変化量ΔPが判定値P1以下であるか否かが判別される(ステップ102)。そして、ΔP≦P1の成立が認められるまで、上記ステップ100および102の処理が繰り返し実行される。
図7は、圧力変化量ΔPの物理的意味を説明するための図である。上記ステップ100において、圧力変化量ΔPを算出する基礎として用いられるPT1およびPT2は、それぞれ時刻T1およびT2におけるタンク内圧PTANKである。そして、時刻T2は、ステップ100が今回実行される時刻を意味し、一方、時刻T1は、前回ステップ100が実行された時刻を意味している。従って、圧力変化量ΔPは、物理的には、最新のサンプリング間隔(ステップ100の実行間隔)の間に生じたタンク内圧PTANKの減圧量としての意味を有している。
圧力変化量ΔPは、タンク内圧PTANKが定常圧力PSATに近づくに連れて小さな値となる。上記ステップ102において用いられる判定値P1は、タンク内圧PTANKが定常圧力PSATに収束したと判断できる程度に小さな値に設定されている。このため、上記ステップ102において、ΔP≦P1の成立が認められた場合は、タンク内圧PTANKが定常圧力PSATに収束したと判断することができる。
図6に示すルーチンにおいて、ΔP≦P1の成立が認められると、次に、電動ポンプ40による圧力導入が開始された後、つまり、図6に示すルーチンが起動された後、現在の時刻までに要した時間が定常圧到達時間TSATとして実測される(ステップ104)。次に、その定常圧到達時間TSATに基づいて、推定燃料量VFUELが算出される(ステップ106)。ECU50は、定常圧到達時間TSATと燃料量VFUELとの関係を定めたTSAT−VFUELマップ(図5参照)を記憶している。本ステップ106では、そのTSAT−VFUELマップに実測された定常圧到達時間TSATを照らし合わせることにより推定燃料量VFUELが推定される。
以上説明した通り、図6に示すルーチンによれば、定常圧到達時間TSATを実測し、その実測結果をTSAT−VFUELマップに当てはめることにより推定燃料量VFUELを算出することができる。このため、本実施形態の装置によれば、燃料計12の出力に頼ることなく燃料タンク10内の燃料量VFUELを精度良く推定することができる。燃料計12を用いずに燃料量VFUELが推定できれば、燃料計12を廃止することも可能である。このため、図1に示す構成には燃料計12を含めているが、本実施形態のシステムからは、燃料計12を排除することとしてもよい。
尚、上述した実施の形態1においては、電動ポンプ40が前記第1の発明における「圧力導入機構」に、定常圧到達時間TSATが前記第1の発明における「特性値」に、それぞれ相当していると共に、ECU50が、上記ステップ100〜104の処理を実行することにより前記第1の発明における「特性値実測手段」が、上記ステップ106の処理を実行することにより前記第1の発明における「燃料量推定手段」が、それぞれ実現されている。また、この実施形態では、ECU50が、上記ステップ100〜104の処理を実行することにより前記第2の発明における「定常圧到達時間実測手段」が、図5に示すTSAT−VFUELマップを記憶することにより前記第2の発明における「関係記憶手段」が、上記ステップ106の処理を実行することにより前記第2の発明における「燃料量算出手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態2.
次に、図8乃至図10を参照して本発明の実施の形態2について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態1の装置において、ECU50に、上記図6に示すルーチンに代えて後述する図10に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態1では、定常圧到達時間TSATをタンク内圧PTANKの推移に対応する特性値として用い、その値TSATを基礎として推定燃料量VFUELの推定を行うこととしている。ところで、圧力導入後におけるタンク内圧PTANKの推移は、定常圧到達時間TSATの他、所定時刻(ここではT1とする)におけるタンク内圧PTANK(以下、「特定タンク内圧PT1」と称す)とも相関を有している。
図8は、所定時刻T1における特定タンク内圧PT1とタンク内圧PTANKの推移傾向との関係を説明するための図である。尚、所定時刻T1は、電動ポンプ40による圧力導入が開始された後、タンク内圧PTANKが定常圧力PSATに収束する前、つまり、定常圧到達時間TSATが経過する前の既定の時刻である。
特定タンク内圧PT1は、タンク内圧PTANKが急激な減少傾向を示すほど小さな値となり、一方、タンク内圧PTANKが緩やかに減少するほど大きな値となる。このため、特定タンク内圧PT1は燃料タンク10内の空間容積VSPが小さいほど小さな値となり、また、空間容積VSPが大きいほど大きな値となる。
図9は、上述したタンク内圧PTANKと空間容積VSPとの関係を、タンク内圧PTANKと推定燃料量VFUELとの関係に変換して表したマップである。実施の形態1で用いたTSAT−VFUELマップ(図5参照)と同様に、図9に示すマップも、ハードウェアの構成に対して予め定めておくことが可能である。そして、このマップが予め定まっていれば、特定タンク内圧PT1を実測することで、推定燃料量VFUELを推定することが可能である。
[実施の形態2における具体的処理]
図10は、上記の手法で推定燃料量VFUELを推定するために、本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。尚、ここでは、このルーチンが起動されると同時に、電動ポンプ40の作動が開始され、かつ、タンク内圧PTANKのモニタが開始されるものとする。
図10に示すルーチンでは、先ず、圧力導入が開始された後、所定時間T1が経過した時点におけるタンク内圧PTANKが特定タンク内圧PT1として記憶される(ステップ110)。次に、その特定タンク内圧PT1に基づいて、推定燃料量VFUELが算出される(ステップ112)。ECU50は、特定タンク内圧PT1と燃料量VFUELとの関係を定めたPT1−VFUELマップ(図9参照)を記憶している。本ステップ112では、そのPT1−VFUELマップに実測されたPT1を照らし合わせることにより推定燃料量VFUELが推定される。
以上説明した通り、図10に示すルーチンによれば、特定タンク内圧PT1を実測し、その実測結果をPT1−VFUELマップに当てはめることにより推定燃料量VFUELを算出することができる。このため、本実施形態の装置によれば、実施の形態1の装置と同様に、燃料計12の出力に頼ることなく燃料タンク10内の燃料量VFUELを精度良く推定することができる。そして、本実施形態の構成によっても、実施の形態1の場合と同様に、燃料計12を廃止することが可能である。
尚、上述した実施の形態2においては、特定タンク内圧PT1が前記第1の発明における「特性値」に相当していると共に、ECU50が、上記ステップ110の処理を実行することにより前記第1の発明における「特性値実測手段」が、上記ステップ112の処理を実行することにより前記第1の発明における「燃料量推定手段」が、それぞれ実現されている。また、この実施形態では、ECU50が、上記ステップ110の処理を実行することにより前記第3の発明における「特定タンク内圧実測手段」が、図9に示すPT1−VFUELマップを記憶することにより前記第3の発明における「関係記憶手段」が、上記ステップ112の処理を実行することにより前記第3の発明における「燃料量算出手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態3.
次に、図11乃至図14を参照して本発明の実施の形態3について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態1の装置において、ECU50に、上述した図6に示すルーチンに代えて、後述する図14に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態1の装置は、定常圧到達時間TSATと推定燃料量VFUELとの関係を予めマップに定めておき、そのマップを参照して推定燃料量VFUELを算出することとしている。これに対して、本実施形態の装置は、タンク内圧PTANKの推移を演算するための物理モデルを準備しておき、その物理モデルを用いて、定常圧到達時間TSATの実測値に対応する推定燃料量VFUELを推定する点に特徴を有している。
[実施の形態3で用いられる物理モデルの説明]
図11は、本実施形態において用いられる物理モデルを説明するための図である。このモデルは、密閉された燃料タンク10内のガスが電動ポンプ40により排出される際の様子を模擬するためのものである。燃料タンク10の空間容積VSPの領域には、空気と蒸発燃料との混合ガスが存在している。電動ポンプ40が作動すると、その混合ガスが燃料タンク10から排出される。図11には、その結果排出される空気量がmaと、また、その結果排出される蒸発燃料量がmgとして示されている。
図11に示すモデルでは、燃料タンク10内の燃料の分圧PFUELが常にその飽和蒸気圧に維持されることを前提としている。つまり、このモデルでは、電動ポンプ40によって蒸発燃料mgが排出されると、分圧の減少分を補う分だけ燃料タンク10の内部で新たな蒸発燃料が発生することを前提としている。図11には、その蒸発燃料の量がmとして示されている。
タンク内圧PTANKは、次式に示す通り、燃料分圧PFUELと空気分圧PAIRの和である。
PTANK=PFUEL+PAIR ・・・(1)
従って、燃料分圧PFUELが一定であるとの前提に立てば、タンク内圧PTANKの変動は、空気分圧PAIRの変動のみに起因して生ずることになる。そして、図11に示すモデルにおいて、燃料タンク10内の空気の減少量は「ma」として表される。この減少量maを、空気を対象とした気体の状態方程式に当てはめると、次式(2)の関係が成立する。但し、次式(2)において、TTANKはタンク内温度、Rは一般気体定数、VSPは燃料タンク10の空間容積である。
Figure 2005133616
タンク内温度TTANKは一定値と見なせるため、流出する空気量maが判れば、上記の状態方程式(2)より、空気分圧PAIRの変動量「dPAIR/dt」、つまり、タンク内圧PTANKの変動量ΔPTANKを算出することが可能である。
図11に示すモデルにおいて、電動ポンプ40により排出されるガスの総量QTANKは、「ma+mg」と表すことができる。一方、その排出流量QTANK=ma+mgは、電動ポンプ40の圧力導入特性と、電動ポンプ40の前後に作用する差圧とにより決まる値であり、その圧力導入特性は、電動ポンプ40のハードウェア構成に対して一義的に決まる特性である。
図12は、電動ポンプ40の圧力導入特性を定めたマップの一例である。図12に示すように、電動ポンプ40の圧力導入特性は、ポンプに作用する前後差圧(ここでは、タンク内圧PTANKと大気圧Pとの差)と、ポンプ排出流量QTANKとに関する一次式として表すことができる。そして、両者の間に成立する一次式は、適合作業等により次式のように数式化しておくことが可能である。但し、次式(3)において、BおよびCは適合係数である。
QTANK=ma+mg=B・(PTANK−P)+C ・・・(3)
電動ポンプ40から排出される空気量maと蒸発燃料量mgとの比は、燃料タンク10の内部における空気の質量分率aと等しいと見なすことができる。そして、その質量分率aは、次式(4)のように表すことができる。但し、次式においてMgは燃料の分子量、Maは空気の分子量である。
Figure 2005133616
更に、上記(4)式に含まれる蒸発燃料の分圧PFUELは、燃料温度Tにより決まる飽和蒸気圧と見なせるから、次式(5)により求めることができる。但し、次式(5)に含まれるRVP(リードベーパプレッシャー)は、燃料の蒸発のし易さを示す係数である。
Figure 2005133616
上記(4)式および(5)式の関係によれば、空気の質量分率aは、タンク内圧PTANKが判れば算出することが可能である。そして、空気の質量分率aが判れば、電動ポンプ40により排出される空気量maは、上記(3)式の関係を用いて、次式の通り算出することができる。
ma=(ma+mg)・a
={B・(PTANK−P)+C}・a ・・・(6)
このように、電動ポンプ40により排出される空気量maは、タンク内圧PTANKさえ判れば演算可能な値である。図11に示す物理モデルは、タンク内圧PTANKが大気圧Pに収束している状況下で電動ポンプ40を始動させることを前提としている。このため、タンク内圧PTANKの初期値は、大気圧Pとして取り扱うことができる。そして、タンク内圧PTANKを大気圧Pとして上記の演算を行えば、電動ポンプ40の始動直後に生ずる排出空気量maを算出することができる。
このようにして算出されたmaを上記の状態方程式(2)に当てはめると、そのmaに起因して生じたタンク内圧PTANKの変化量ΔPTANKを求めることができる。そして、その変化量ΔPTANKを大気圧Pから減じれば、変化後のタンク内圧PTANK=P−ΔPTANKを求めることができる。以後、変化後のタンク内圧PTANKを用いて排出空気量maを算出する処理、および、その結果得られたmaを用いて変化後のタンク内圧PTANKを算出する処理を繰り返すことにより、電動ポンプ40始動後のタンク内圧PTANKの推移を演算により推定することができる。
図13は、上記の手法でタンク内圧PTANKの推移を演算するために、本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。ここでは、先ず、電動ポンプ40によって燃料タンク10から排出される空気量maが算出される(ステップ120;上記(4)〜(6)式参照)。次に、算出された空気量maを状態方程式(2)に当てはめることにより、変化後のタンク内圧PTANKが算出される(ステップ122)。以後、タンク内圧PTANKの算出値が定常的な値に収束するまで上記の繰り返し計算が継続される。
[実施の形態3における具体的処理]
図14は、定常圧到達時間TSATの実測値を基礎とし、上記の物理モデルを用いて推定燃料量VFUELを推定すべく本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。尚、ここでは、このルーチンが起動されると同時に、電動ポンプ40の作動が開始され、かつ、タンク内圧PTANKのモニタが開始されるものとする。
図14に示すルーチンが起動されると、先ず、実施の形態1の場合(図6参照)と同様の手法で定常圧到達時間TSATが実測される(ステップ100〜104)。次に、適当な空間容積VSPが設定され、その空間容積VSPに対応する定常圧到達時間が上記の物理モデルを用いて算出される(ステップ130)。
上記ステップ130では、より具体的には、先ず、空間容積VSPに初期値が代入される。この初期値は、上記の状態方程式(2)中の空間容積VSPに反映される。次に、その状態方程式(2)を用いて図13に示すルーチンが繰り返し実行され、タンク内圧PTANKの推移が演算される。その後、タンク内圧PTANKの演算値が定常値に収束したら、その収束に要した時間が定常圧到達時間として記録される。尚、以下の記載においては、物理モデルを用いて推定された定常圧到達時間を、その実測値TSATと区別するため、「定常圧到達時間推定値TCLC」と称す。
図14に示すルーチンでは、次に、上記ステップ130において算出された定常圧到達時間推定値TCLCと、実測された定常圧到達時間TSATとが一致しているか否かが判別される(ステップ132)。ステップ130において設定された空間容積VSPが現実の空間容積VSPと一致していれば、定常圧到達時間の推定値TCLCと実測値TSATは一致するはずである。換言すると、それら両者が一致していない場合は、ステップ130で正しい空間容積VSPが設定されていないと判断することができる。
上記ステップ132において、TCLC=TSATが成立しないと判別されると、両者の差が減少するように空間容積VSPが変更され(ステップ134)、新たなVSPを用いて上記ステップ130の処理が再び実行される。そして、ステップ132においてTCLC=TSATの成立が認められるまで、その処理が繰り返される。上記の処理が繰り返し実行されると、やがては空間容積VSPに適正な値(現実の値と一致する値)が設定され、TCLC=TSATの成立が認められる。
TCLC=TSATの成立が認められると、その時点で設定されていたVSPが、燃料タンク10内の空間容積の推定値として記録される。そして、その値VSPを既知のタンク容積から減じることにより、推定燃料量VFUELが算出される(ステップ136)。
以上説明した通り、図14に示すルーチンによれば、物理モデルを用いてタンク内圧PTANKの推移を推定する処理を繰り返し実行することにより、実測された定常圧到達時間TSATに対応する空間容積VSPを推定し、更に、その推定値VSPから推定燃料量VSPを算出することができる。このため、本実施形態の装置によれば、実施の形態1の装置と同様に、燃料計12の出力に頼ることなく燃料タンク10内の燃料量VFUELを精度良く推定することができる。そして、本実施形態の構成によっても、実施の形態1の場合と同様に、燃料計12を廃止することが可能である。
尚、上述した実施の形態3においては、定常圧到達時間TSATが前記第1の発明における「特性値」に相当していると共に、ECU50が、上記ステップ100〜104の処理を実行することにより前記第1の発明における「特性値実測手段」が、上記ステップ130〜136の処理を実行することにより前記第1の発明における「燃料量推定手段」が、それぞれ実現されている。また、この実施形態では、ECU50が、上記ステップ100〜104の処理を実行することにより前記第4の発明における「定常圧到達時間実測手段」が、上記ステップ130〜134の処理を実行することにより前記第4の発明における「モデル演算手段」および「理論空間容積算出手段」が、上記ステップ136の処理を実行することにより前記第4の発明における「燃料量算出手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態4.
次に、図15を参照して本発明の実施の形態4について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態1の装置において、ECU50に、上述した図6に示すルーチンに代えて、後述する図15に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態3の装置は、物理モデルを用いて演算される定常圧到達時間推定値TCLCが実測された定常圧到達時間TSATと一致する場合に、正しい空間容積VSPが設定されたと判断することとしている。つまり、この実施形態3では、TCLC=TSATが成立する場合に、物理モデルにより推定されたタンク内圧PTANKが現実の推移と合致していると判断することとしている。
ところで、物理モデルを用いて推定されるタンク内圧PTANKの推移が、現実の推移に一致していることを判断する手法は、TCLC=TSATの成立を判定する手法に限られるものではない。例えば、所定時期T1における特定タンク内圧PT1の実測値と推測値とを比較することによっても、上記の一致を判定することは可能である。そこで、本実施形態では、物理モデルにより推定される特定タンク内圧PT1の推定値(以下、「特定タンク内圧推定値PCLC」と称す)が、その実測値PT1と一致する場合に、物理モデルによってタンク内圧PTANKが正しく推定されていると判断し、更に、そのモデルに代入されているVSPを正しい空間容積VSPの推定値として認識することとした。
[実施の形態4における具体的処理]
図15は、空間容積VSPを上記の手法で推定し、その推定結果に基づいて推定燃料量VFUELを算出すべく、本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。尚、ここでは、このルーチンが起動されると同時に、電動ポンプ40の作動が開始され、かつ、タンク内圧PTANKのモニタが開始されるものとする。
図15に示すルーチンが起動されると、先ず、実施の形態2の場合(図10参照)と同様の手法で、圧力導入が開始された後、所定時間T1が経過した時点におけるタンク内圧PTANKが特定タンク内圧PT1として記憶される(ステップ110)。次に、適当な空間容積VSPが設定され、その空間容積VSPに対応する特定タンク内圧推定値PCLCが上記の物理モデルを用いて算出される(ステップ140)。
上記ステップ140では、より具体的には、先ず、空間容積VSPに初期値が代入される。この初期値は、上記の状態方程式(2)中の空間容積VSPに反映される。次に、その状態方程式(2)を用いて図13に示すルーチンが繰り返し実行され、特定タンク内圧推定値PCLCの推定に必要な範囲でタンク内圧PTANKの推移が演算される。そして、所定時間T1の経過時点におけるタンク内圧PTANKが推定されたら、その値が特定タンク内圧推定値PCLCとして記録される。
図15に示すルーチンでは、次に、上記ステップ140において算出された特定タンク内圧推定値PCLCと、実測された特定タンク内圧PT1とが一致しているか否かが判別される(ステップ142)。ステップ140において設定された空間容積VSPが現実の空間容積VSPと一致していれば、特定タンク内圧推定値PCLCと実測された特定タンク内圧PTT1は一致するはずである。換言すると、それら両者が一致していない場合は、ステップ140で正しい空間容積VSPが設定されていないと判断することができる。
上記ステップ142においてPCLC=PT1が成立しないと判別されると、両者の差が減少するように空間容積VSPが変更され(ステップ144)、新たなVSPを用いて上記ステップ140の処理が再び実行される。そして、ステップ142においてPCLC=PT1の成立が認められるまで、その処理が繰り返される。上記の処理が繰り返し実行されると、やがては空間容積VSPに適正な値(現実の値と一致する値)が設定され、PCLC=PT1の成立が認められる。
PCLC=PT1の成立が認められると、その時点で設定されていたVSPが、燃料タンク10内の空間容積の推定値として記録される。そして、その値VSPを既知のタンク容積から減じることにより、推定燃料量VFUELが算出される(ステップ146)。
以上説明した通り、図15に示すルーチンによれば、物理モデルを用いてタンク内圧PTANKの推移を推定する処理を繰り返し実行することにより、実測された特定タンク内圧PT1に対応する空間容積VSPを推定し、更に、その推定値VSPから推定燃料量VSPを算出することができる。このため、本実施形態の装置によれば、実施の形態1の装置と同様に、燃料計12の出力に頼ることなく燃料タンク10内の燃料量VFUELを精度良く推定することができる。そして、本実施形態の構成によっても、実施の形態1の場合と同様に、燃料計12を廃止することが可能である。
尚、上述した実施の形態4においては、特定タンク内圧PT1が前記第1の発明における「特性値」に相当していると共に、ECU50が、上記ステップ110の処理を実行することにより前記第1の発明における「特性値実測手段」が、上記ステップ140〜146の処理を実行することにより前記第1の発明における「燃料量推定手段」が、それぞれ実現されている。また、この実施形態では、ECU50が、上記ステップ110の処理を実行することにより前記第5の発明における「特定タンク内圧実測手段」が、上記ステップ140〜144の処理を実行することにより前記第5の発明における「モデル演算手段」および「理論空間容積算出手段」が、上記ステップ146の処理を実行することにより前記第5の発明における「燃料量算出手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態5.
次に、図16を参照して本発明の実施の形態5について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態1乃至4の何れかの装置において、ECU50に、後述する図16に示すルーチンを更に実行させることにより実現することができる。
本実施形態の装置は、上述した実施の形態1乃至4で用いられる何れかの手法により、燃料計12を用いずに燃料量VFUELを推定することができる。燃料計12が正常に機能している場合は、燃料計12により計測される燃料量VMEと、推定燃料量燃料量VFUELとは実質的に一致するはずである。このため、両者が一致しているか否かを判定すれば、燃料計12が故障しているか否かを判定することが可能である。
図16は、上記の原理に従って燃料計12の故障を判定するため、本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。図16に示すルーチンでは、実施の形態1乃至4の何れかの手法で推定燃料量VFUELが算出された後(ステップ150)、燃料計12により計測された実測燃料量VMEと、推定燃料量VFUELとの比較が行われる(ステップ152)。より具体的には、ここでは、VFUELとVMEとの差の絶対値│VFUEL−VME│が乖離判定値V1以上であるかが判別される。
その結果、│VFUEL−VME│≧V1の成立が認められる場合は、燃料計12が正しい実測燃料量VMEを示していないと判断できる。この場合、ECU50は、燃料計12が異常であると判定する(ステップ154)。一方、│VFUEL−VME│≧V1の不成立が認められる場合は、燃料計12が正しい実測燃料量VMEを示していると判断できる。この場合、ECU50は、燃料計12が正常であると判定する(ステップ156)。
以上説明した通り、図16に示すルーチンによれば、推定燃料量VFUELと実測燃料量VMEとを比較することで、燃料計12が正常であるか否かを判定することができる。このため、本実施形態の装置によれば、燃料計12の故障を速やかに検知することができ、その故障に伴う不都合を未然に防ぐことができる。
尚、上述した実施の形態5においては、ECU50が、上記ステップ150〜156の処理を実行することにより前記第7の発明における「故障判定手段」が実現されている。
実施の形態6.
次に、図17を参照して、本発明の実施の形態6について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態1乃至5の何れかの装置において、ECU50に、後述する図16に示すルーチンを更に実行させることにより実現することができる。
本実施形態の装置は、上述した実施の形態1乃至4で用いられる何れかの手法により、燃料計12を用いずに燃料量VFUELを推定することができる。また、本実施形態の装置は、上述した実施の形態1の装置と同様に、タンク内圧PTANKの定常圧力PSATとリファレンス圧PREFとを比較することで、燃料タンク10に漏れ故障が生じているか否かを判断することができる。
ところで、実施の形態1で用いられるTSAT−VFUELマップ(図5参照)、および実施の形態2で用いられるPT1−VFUELマップ(図9参照)は、何れも燃料タンク10に漏れ故障が生じていないことを前提として設定されたマップである。また、実施の形態3および4で用いられる物理モデル(図11参照)も、燃料タンク10に漏れ故障が生じていないことを前提としている。このため、燃料タンク10に漏れ故障が生じている場合は、それらのマップや物理モデルを用いて正確な推定燃料量VFUELを算出することはできない。そこで、本実施形態では、誤った推定燃料量VFUELの算出を避けるため、漏れ故障の発生が認められる場合には、算出された推定燃料量VFUELを無効にすることとした。
図17は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。尚、このルーチンは、実施の形態1において説明した手法でリファレンス圧PREFを検出した後に実行されるものとする。
図17に示すルーチンでは、先ず、実施の形態1乃至4の何れかの手法で推定燃料量VFUELが算出される(ステップ160)。何れの手法が用いられても、ここでは、推定燃料量VFUELの算出と共に定常圧力PSATの実測も行われる。次に、定常圧力PSATとリファレンス圧PREFとの比較により、漏れ故障の有無が判定される(ステップ162)。
その結果、PSAT≧PSATの成立が認められる場合は、燃料タンク10に漏れ故障が生じていると判定され、上記ステップ160において算出された推定燃料量VFUELがクリアされる(ステップ164)。一方、PSAT≧PSATの不成立が認められる場合は、燃料タンク10に漏れ故障は生じていないと判定され、上記ステップ160において算出された推定燃料量VFUELが正しい値として出力される(ステップ166)。
以上説明した通り、図17に示すルーチンによれば、燃料タンク10に漏れ故障が生じている場合には、推定燃料量VFUELが出力されるのを防ぐことができる。このため、本実施形態の装置によれば、漏れ故障の発生時に誤った推定燃料量VFUELが有効なものとして用いられるのを防ぐことができる。ところで、この実施形態6では、推定燃料量VFUELを推定した後、漏れ故障の有無に応じてその推定値を有効とするか無効とするかを判断することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、推定燃料量VFUELの推定に先立って漏れ故障の有無を判定し、漏れ故障の発生が認められる場合には、その推定自体を禁止することとしてもよい。
実施の形態7.
次に、図18を参照して本発明の実施の形態7について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態1の装置において、ECU50に、上述した図6に示すルーチンに代えて、後述する図18に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態1の装置(図1〜図7参照)は、定常圧到達時間TSATを実測し、その実測値TSATをTSAT−VFUELマップ(図5参照)に照らし合わせることで推定燃料量VFUELを算出することとしている。ところで、TSAT−VFUELマップが既知であれば、つまり、定常圧到達時間と燃料量との関係が既知であれば、その既知の関係に実測燃料量VMEを照らし合わせることにより、定常圧到達時間推定値TCLCを算出することが可能である。
このようにして算出される定常圧到達時間推定値TCLCは、実測燃料量VMEが正しい値であれば、つまり、燃料計12が正しい値を示していれば、実測による定常圧到達時間TSATと等しくなるべき値である。従って、燃料計12に故障が生じているか否かは、上記の如く推定される定常圧到達時間推定値TCLCと、実測による定常圧到達時間TSATとが一致しているか否かを見ることでも判断することができる。
図18は、燃料計12の故障判定を上記の手法で行うべく本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。尚、ここでは、このルーチンが起動されると同時に、電動ポンプ40の作動が開始され、かつ、タンク内圧PTANKのモニタが開始されるものとする。
図18に示すルーチンでは、先ず、燃料計12の出力に基づいて実測燃料量VMEが実測される(ステップ170)。次に、VME−TCLCマップにその実測燃料量VMEを照らし合わせることにより、定常圧到達時間推定値TCLCが推定される(ステップ172)。ここで用いられるVME−TCLCマップは、実質的には図5に示すTSAT−VFUELマップと同じ関係、つまり、定常圧到達時間と燃料量との既知の関係を定めたマップである。上記の処理によれば、その既知の関係を基礎として、実測燃料量VMEに対応する定常圧到達時間推定値TCLCを算出することができる。
図18に示すルーチンでは、次に、実施の形態1の場合と同様の手法で定常圧到達時間TSATが実測される(ステップ100〜104、図6参照)。その後、実測された定常圧到達時間TSATと定常圧到達時間推定値TCLCとの比較が行われる(ステップ174)。より具体的には、ここでは、TSATとTCLCとの差の絶対値│TSAT−TCLC│が乖離判定値T1以上であるかが判別される。
その結果、│TSAT−TCLC│≧T1の成立が認められる場合は、定常圧到達時間推定値TCLCが正しく推定されていなかった、つまり、燃料計12が正しい実測燃料量VMEを示していなかったと判断できる。この場合、ECU50は、燃料計12の異常を判定する(ステップ176)。一方、│TSAT−TCLC│≧T1の不成立が認められる場合は、燃料計12が正しい実測燃料量VMEを示していたと判断できる。この場合、ECU50は、燃料計12が正常であると判定する(ステップ178)。
以上説明した通り、図18に示すルーチンによれば、実測燃料量VMEを既知の関係に照らし合わせることにより推定した定常圧到達時間推定値TCLCが、実測による定常圧到達時間TSATと正しく整合しているか否かを見ることで、燃料計12が正常であるか否かを判定することができる。このため、本実施形態の装置によれば、燃料計12の故障を速やかに検知することができ、その故障に伴う不都合を未然に防ぐことができる。
尚、上述した実施の形態7においては、電動ポンプ40が前記第8の発明における「圧力導入機構」に、定常圧到達時間が前記第8の発明における「特性値」に、それぞれ相当していると共に、ECU50が、上記ステップ170および172の処理を実行することにより、前記第8の発明における「特性値推定手段」が、上記ステップ100〜104の処理を実行することにより前記第8の発明における「特性値実測手段」が、上記ステップ174〜178の処理を実行することにより前記第8の発明における「故障判定手段」が、それぞれ実現されている。更に、この実施形態においては、ECU50が、上述したVME−TCLCマップを記憶することにより前記第9の発明における「関係記憶手段」が、上記ステップ172の処理を実行することにより前記第9の発明における「定常圧到達時間推定手段」が、上記ステップ100〜104の処理を実行することにより前記第9の発明における「定常圧到達時間実測手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態8.
次に、図19を参照して本発明の実施の形態8について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態1の装置において、ECU50に、上述した図6に示すルーチンに代えて、後述する図19に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態3の装置(図11〜図14参照)は、定常圧到達時間TSATを実測し、その実測値TSATを発生させる理論上の空間容積VSPを、物理モデルを用いた演算処理により探し出すこととしている。そして、実施の形態3では、そのようにして探索された理論上の空間容積VSPから推定燃料量VFUELが算出される。
ところで、図11に示す物理モデルによれば、つまり、上述した演算式(1)〜(6)を用いたモデル演算の手法によれば、空間容積VSPを実測し、その実測値VSPに整合する定常圧到達時間推定値TCLCを算出することも可能である。より具体的には、実測による空間容積VSPを上記の状態方程式(2)に代入してモデル演算を繰り返せば、実測された空間容積VSPに対して発生するべきタンク内圧PTANKの推移を推定することができる。そして、その推移が推定できれば、実測された空間容積VSPに整合する定常圧到達時間推定値TCLCを推定することが可能である。
空間容積VSPは、燃料計12により実測された燃料量VMEを既知のタンク容量から減ずることで実質的に実測することができる。そして、上記の手法で推定される定常圧到達時間推定値TCLCは、空間容積VSPの実測値が正しい値であれば、つまり、燃料計12が正しい値を示していれば、実測による定常圧到達時間TSATと等しくなるはずである。従って、燃料計12に故障が生じているか否かは、上記の手法で推定された定常圧到達時間推定値TCLCと、実測された定常圧到達時間TSATとが一致しているか否かを見ることでも判断することができる。
図19は、燃料計12の故障判定を上記の手法で行うべく本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。尚、ここでは、このルーチンが起動されると同時に、電動ポンプ40の作動が開始され、かつ、タンク内圧PTANKのモニタが開始されるものとする。
図19に示すルーチンでは、先ず、燃料計12により実測された燃料量VMEに基づいて空間容積VSPが実測される(ステップ180)。次に、実測された空間容積VSPを用いてモデル演算を繰り返すことにより、タンク内圧PTANKの推移が推定され、更に、その推定結果より定常圧到達時間推定値TCLCが算出される(ステップ182)。以後、実施の形態7の場合と同様の手法で、定常圧到達時間TSATの実測(ステップ100〜104)、および│TSAT−TCLC│≧T1の判定による燃料計12の故障判定(ステップ174〜178)が順次実行される。
以上説明した通り、図19に示すルーチンによれば、実測燃料量VMEを代入したモデル演算により推定した定常圧到達時間推定値TCLCが、実測による定常圧到達時間TSATと正しく整合しているか否かを見ることで、燃料計12が正常であるか否かを判定することができる。このため、本実施形態の装置によれば、燃料計12の故障を速やかに検知することができ、その故障に伴う不都合を未然に防ぐことができる。
尚、上述した実施の形態8においては、ECU50が、上記ステップ180および182の処理を実行することにより、前記第8の発明における「特性値推定手段」が実現されている。更に、この実施形態においては、ECU50が、上記ステップ180の処理を実行することにより前記第10の発明における「空間容積算出手段」が、上記ステップ182の処理を実行することにより前記第10の発明における「モデル演算手段」および「定常値到達時間推定手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態9.
次に、図20を参照して本発明の実施の形態9について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態1の装置において、ECU50に、上述した図6に示すルーチンに代えて、後述する図20に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態2の装置(図8〜図10参照)は、特定タンク内圧PT1を実測し、その実測値PT1をPT1−VFUELマップ(図9参照)に照らし合わせることで推定燃料量VFUELを算出することとしている。ところで、PT1−VFUELマップが既知であれば、つまり、圧力導入開始後所定時間T1が経過した時点でのタンク内圧PT1と燃料量との関係が既知であれば、その既知の関係に実測燃料量VMEを照らし合わせることにより、特定タンク内圧推定値PCLCを算出することが可能である。
このようにして算出される特定タンク内圧推定値PCLCは、実測燃料量VMEが正しい値であれば、つまり、燃料計12が正しい値を示していれば、特定タンク内圧PT1の実測値と等しくなるべき値である。従って、燃料計12に故障が生じているか否かは、上記の如く推定される特定タンク内圧推定値PCLCと、実測による特定タンク内圧PSATとが一致しているか否かを見ることでも判断することができる。
図20は、燃料計12の故障判定を上記の手法で行うべく本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。尚、ここでは、このルーチンが起動されると同時に、電動ポンプ40の作動が開始され、かつ、タンク内圧PTANKのモニタが開始されるものとする。
図20に示すルーチンでは、先ず、燃料計12の出力に基づいて実測燃料量VMEが実測される(ステップ190)。次に、VME−PCLCマップにその実測燃料量VMEを照らし合わせることにより、特定タンク内圧推定値PCLCが推定される(ステップ192)。ここで用いられるVME−PCLCマップは、実質的には図9に示すPT1−VFUELマップと同じ関係、つまり、特定タンク内圧と燃料量との既知の関係を定めたマップである。上記の処理によれば、その既知の関係を基礎として、実測燃料量VMEに対応する特定タンク内圧推定値PCLCを算出することができる。
図20に示すルーチンでは、次に、圧力導入が開始された後、所定時間T1が経過した時点でのタンク内圧PTANKが特定タンク内圧PT1の実測値として取得されると共に、その実測値PT1と特定タンク内圧推定値PCLCとの差、つまり、│PT1−PCLC│が乖離判定値P1以上であるかが判別される。
その結果、│PT1−PCLC│≧P1の成立が認められる場合は、特定タンク内圧推定値PCLCが正しく推定されていなかった、つまり、燃料計12が正しい実測燃料量VMEを示していなかったと判断できる。この場合、ECU50は、燃料計12の異常を判定する(ステップ196)。一方、│PT1−PCLC│≧P1の不成立が認められる場合は、燃料計12が正しい実測燃料量VMEを示していたと判断できる。この場合、ECU50は、燃料計12が正常であると判定する(ステップ198)。
以上説明した通り、図20に示すルーチンによれば、実測燃料量VMEを既知の関係に照らし合わせることにより推定した特定タンク内圧推定値PCLCが、実測された特定タンク内圧PT1と正しく整合しているか否かを見ることで、燃料計12が正常であるか否かを判定することができる。このため、本実施形態の装置によれば、燃料計12の故障を速やかに検知することができ、その故障に伴う不都合を未然に防ぐことができる。
尚、上述した実施の形態9においては、圧力導入開始後、所定時間T1が経過した時点でのタンク内圧PTANK(つまり、特定タンク内圧)が前記第8の発明における「特性値」に相当していると共に、ECU50が、上記ステップ190および192の処理を実行することにより、前記第8の発明における「特性値推定手段」が、上記ステップ194において特定タンク内圧PT1を実測することにより前記第8の発明における「特性値実測手段」が、上記ステップ194〜198の処理を実行することにより前記第8の発明における「故障判定手段」が、それぞれ実現されている。更に、この実施形態においては、ECU50が、上述したVME−PCLCマップを記憶することにより前記第11の発明における「関係記憶手段」が、上記ステップ192の処理を実行することにより前記第11の発明における「特定タンク内圧推定手段」が、上記ステップ194の処理を実行することにより前記第11の発明における「特定タンク内圧実測手段」がそれぞれ実現されている。
実施の形態10.
次に、図21を参照して本発明の実施の形態10について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態1の装置において、ECU50に、上述した図6に示すルーチンに代えて、後述する図21に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態4の装置(図15参照)は、特定タンク内圧PT1を実測し、その実測値PT1を発生させる理論上の空間容積VSPを、物理モデルを用いた演算処理により探し出すこととしている。そして、実施の形態4では、そのようにして探索された理論上の空間容積VSPから推定燃料量VFUELが算出される。
ところで、図11に示す物理モデルによれば、つまり、上述した演算式(1)〜(6)を用いたモデル演算の手法によれば、空間容積VSPを実測し、その実測値VSPに整合する特定タンク内圧推定値PCLCを算出することも可能である。より具体的には、実測による空間容積VSPを上記の状態方程式(2)に代入してモデル演算を繰り返せば、実測された空間容積VSPに対して発生するべきタンク内圧PTANKの推移を推定することができる。そして、その推移が推定できれば、実測された空間容積VSPに整合する特定タンク内圧推定値PCLCを推定することが可能である。
空間容積VSPは、燃料計12により実測された燃料量VMEを既知のタンク容量から減ずることで実質的に実測することができる。そして、上記の手法で推定される特定タンク内圧推定値PCLCは、空間容積VSPの実測値が正しい値であれば、つまり、燃料計12が正しい値を示していれば、特定タンク内圧PSATの実測値と等しくなるはずである。従って、燃料計12に故障が生じているか否かは、上記の手法で推定された特定タンク内圧推定値PCLCと、実測された特定タンク内圧PT1とが一致しているか否かを見ることでも判断することができる。
図21は、燃料計12の故障判定を上記の手法で行うべく本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートである。尚、ここでは、このルーチンが起動されると同時に、電動ポンプ40の作動が開始され、かつ、タンク内圧PTANKのモニタが開始されるものとする。
図21に示すルーチンでは、先ず、燃料計12により実測された燃料量VMEに基づいて空間容積VSPが実測される(ステップ200)。次に、実測された空間容積VSPを用いてモデル演算を繰り返すことにより、タンク内圧PTANKの推移が推定され、更に、その推定結果より、圧力導入開始後、所定時間T1が経過した時点で生ずると予想されるタンク内圧PTANKが特定タンク内圧推定値PCLCとして算出される(ステップ202)。以後、実施の形態9の場合と同様の手法で、特定タンク内圧PT1の実測値と特定タンク内圧推定値PCLCとの偏差│PT1−PCLC│が乖離判定値P1以上であるかに基づき、燃料計12の故障判定が行われる(ステップ194〜198)。
以上説明した通り、図21に示すルーチンによれば、実測燃料量VMEを代入したモデル演算により推定した特定タンク内圧推定値PCLCが、実測による特定タンク内圧PT1と正しく整合しているか否かを見ることで、燃料計12が正常であるか否かを判定することができる。このため、本実施形態の装置によれば、燃料計12の故障を速やかに検知することができ、その故障に伴う不都合を未然に防ぐことができる。
尚、上述した実施の形態10においては、ECU50が、上記ステップ200および202の処理を実行することにより、前記第8の発明における「特性値推定手段」が実現されている。更に、この実施形態においては、ECU50が、上記ステップ200の処理を実行することにより前記第12の発明における「空間容積算出手段」が、上記ステップ202の処理を実行することにより前記第12の発明における「モデル演算手段」および「特定タンク内圧推定手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態11.
次に、図22を参照して、本発明の実施の形態11について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態7乃至10の何れかの装置において、ECU50に、後述する図22に示すルーチンを更に実行させることにより実現することができる。
本実施形態の装置は、上述した実施の形態7乃至10で用いられる何れかの手法により、燃料計12の故障を判定することができる。また、本実施形態の装置は、上述した実施の形態1の装置と同様に、タンク内圧PTANKの定常圧力PSATとリファレンス圧PREFとを比較することで、燃料タンク10に漏れ故障が生じているか否かを判断することができる。
ところで、実施の形態7で用いられるVME−TCLCマップ、および実施の形態9で用いられるVME−PCLCマップは、何れも燃料タンク10に漏れ故障が生じていないことを前提として設定されたマップである。また、実施の形態10および12で用いられる物理モデル(図11参照)も、燃料タンク10に漏れ故障が生じていないことを前提としている。このため、燃料タンク10に漏れ故障が生じている場合は、それらのマップや物理モデルを用いて、定常圧到達時間推定値TCLCや特定タンク内圧推定値PCLCを正しく算出することはできない。従って、そのような場合には、燃料計12の故障を正しく判定することはできない。そこで、本実施形態では、故障に関する誤判定を避けるため、漏れ故障の発生が認められる場合には、故障判定の結果を無効にすることとした。
図22は、上記の機能を実現するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。尚、このルーチンは、実施の形態1において説明した手法でリファレンス圧PREFを検出した後に実行されるものとする。
図22に示すルーチンでは、先ず、実施の形態7乃至10の何れかの手法で燃料計12の故障診断が行われる(ステップ210)。何れの手法が用いられても、ここでは、故障判定の処理と共に定常圧力PSATの実測が行われる。次に、定常圧力PSATとリファレンス圧PREFとの比較により、漏れ故障の有無が判定される(ステップ212)。そして、PSAT≧PSATの成立が認められる場合は、燃料タンク10に漏れ故障が生じていると判定され、上記ステップ210で得られた診断の結果がクリアされる(ステップ214)。一方、PSAT≧PSATの不成立が認められる場合は、燃料タンク10に漏れ故障は生じていないと判定され、上記ステップ210で得られた判定結果が正しい結果として出力される(ステップ216)。
以上説明した通り、図22に示すルーチンによれば、燃料タンク10に漏れ故障が生じている場合には、燃料計12の故障診断の結果が出力されるのを防ぐことができる。このため、本実施形態の装置によれば、漏れ故障の発生時に誤った故障診断結果が出力されるのを防ぐことができる。ところで、この実施形態11では、燃料計12の故障診断を実行した後、漏れ故障の有無に応じてその診断の結果を有効とするか無効とするかを判断することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、故障診断の推定に先立って漏れ故障の有無を判定し、漏れ故障の発生が認められる場合には、その診断自体を禁止することとしてもよい。
尚、上述した実施の形態11においては、ECU50が、上記ステップ212の処理を実行することにより前記第13の発明における「漏れ故障判別手段」が、上記ステップ214の処理を実行することにより前記第13の発明における「判定機能無効手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態12.
次に、図23乃至図25を参照して本発明の実施の形態12について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態1の装置において、ECU50に、上述した図6に示すルーチンに代えて、後述する図25に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態1の装置は、漏れ故障が発生していないことを前提として設定したTSAT−VFUELマップ(図5参照)を用いて推定燃料量VFUELを推定することから、漏れ故障の発生時には、推定燃料量VFUELを正しく推定できないという特性を有していた。これに対して、本実施形態は、漏れ故障のサイズに応じたTSAT−VFUELマップを予め複数準備しておき、漏れ故障のサイズに応じて適切なTSAT−VFUELマップを選択して推定処理を行うことで、漏れ故障の発生時にも推定燃料量VFUELを正しく推定する点に特徴を有している。
上記の機能を実現するためには、漏れ故障のサイズに応じたマップを選択するに先だって、そのサイズを正確に検知する必要がある。燃料タンク10に漏れ故障が生じている場合、タンク内圧PTANKは、漏れ故障の箇所から流入するガス量m1と、電動ポンプ40により排出されるガス量QTANKとが均衡することで定常圧力PSATに収束する。この場合、リーク径Aが大きく、流入ガス量m1が多量になるほど、定常圧力PSATは高圧となる。そして、両者の関係は、電動ポンプ40の圧力導入特性に対してほぼ一義的に決定される。
図23は、漏れ故障のリーク径Aと定常圧力PSATとの関係の一例を示す。このような関係は、システムのハードウェアが決まれば、例えば適合作業を行うことで、予め把握しておくことが可能である。そして、この関係が既知であれば、ECU50は、定常圧力PSATの実測値をその関係に照らし合わせることにより、リーク径Aを検知することができる。
図24は、本実施形態の装置が記憶しているTSAT−VFUELマップの概念を示した図である。TSAT−VFUELマップは、負圧導入が開始された後、タンク内圧PTANKが定常圧力PSATに収束するのに要する時間TSATと、燃料タンク12内に残存している燃料量VFUELとの関係を定めたものである。タンク内圧PTANKの収束には、燃料タンク12内の空間容積VSPが大きいほど長い時間を要する。このため、定常圧到達時間TSATは、燃料量VFUELが少ないほど長時間となる。また、タンク内圧PTANKは、漏れ箇所からの流入ガス量m1が多いほどその収束に長時間を要する。このため、定常圧到達時間TSATはリーク径Aが大きいほど長時間となる。これらの関係は、適合作業等により予め把握し、図24に示すようにマップ化してECU50に記憶させておくことができる。そして、その関係が既知であれば、ECU50は、実測された定常圧到達時間TSATと、検知されたリーク径Aとを実測値をその関係に照らし合わせることにより、漏れ故障の有無に関わらず、常に正確に推定燃料量VFUELを推定することができる。
図25は、上記の手法で推定燃料量VFUELを推定すべく本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。尚、ここでは、このルーチンが起動されると同時に、電動ポンプ40の作動が開始され、かつ、タンク内圧PTANKのモニタが開始されるものとする。
図25に示すルーチンが起動されると、先ず、実施の形態1の場合(図6参照)と同じ手法で定常圧到達時間TSATが実測される(ステップ100〜104)。次に、タンク内圧PTANKの定常圧力PSATが測定される(ステップ220)。測定された定常圧力PSATがリーク径−定常圧力マップ(図23参照)に照らし合わされることにより、リーク径Aが算出される(ステップ222)。ECU50は、複数記憶しているTSAT−VFUELマップ(図24参照)の中から、算出されたリーク径Aに応じたマップを選択する(ステップ224)。選択されたTSAT−VFUELマップに、上記ステップ104で実測された定常圧到達時間TSATが照らし合わされることにより、推定燃料量VFUELが算出される(ステップ226)。
以上説明した通り、図25に示すルーチンによれば、リーク径Aと定常圧力PSATとに関する既定の関係を基礎としてリーク径Aを算出し、そのリーク径Aに応じた適切なTSAT−VFUELマップを用いて推定燃料量VFUELを推定することができる。このため、本実施形態の装置によれば、燃料タンク10に漏れ故障が生じている場合でも、燃料計12に頼ることなく精度良く推定燃料量VFUELを推定することができる。
ところで、上述した実施の形態12では、ECU50に、リーク径Aに応じた複数のTSAT−VFUELマップを記憶させておき、適切なマップを選択することで漏れ故障の発生に対処することとしているが、その対処の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、ECU50には、標準のTSAT−VFUELマップだけを記憶させておき、リーク径Aに応じてそのマップの値を補正することで漏れ故障の発生に対処することとしてもよい。
また、上述した実施の形態12では、実施の形態1で用いられた手法(TSAT−VFUELマップからVFUELを推定する手法)に対して、リーク径Aに応じてマップ値を修正する手法を組み合わせることとしているが、その組み合わせの対象は、これに限定されるものではない。すなわち、リーク径Aに応じてマップ値を修正する手法は、実施の形態2で用いられた手法(PT1−VFUELマップからVFUELを推定する手法、図10参照)、実施の形態7で用いられた手法(VME−TCLCマップからTCLCを推定する手法、図18参照)、更には、実施の形態9で用いられた手法(VME−PCLCマップからPCLCを推定する手法、図20参照)と組み合わせることとしてもよい。尚、この点については、以下に説明する実施の形態13および14についても同様である。
尚、上述した実施の形態12においては、ECU50が、上記ステップ220および222の処理を実行することにより前記第14の発明における「リークサイズ検出手段」が、上記ステップ224の処理を実行することにより前記第14の発明における「関係選択手段」が、それぞれ実現されている。また、この実施形態においては、ECU50に、リーク径Aに応じて標準のマップ値を補正させることにより、前記第14の発明における「関係補正手段」を実現することができる。更に、この実施形態においては、ECU50が、図23に示すリーク径−定常圧力マップを記憶することにより前記第16または第21の発明における「定常関係記憶手段」が、上記ステップ220の処理を実行することにより前記第16または第21の発明における「定常圧力実測手段」が、上記ステップ222の処理を実行することにより前記第16または第21の発明における「リークサイズ推定手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態13.
次に、図26乃至図29を参照して本発明の実施の形態13について説明する。本実施形態の装置は、リーク径Aの算出を、物理モデルを用いた演算により行う点を除き、上述した実施の形態12の装置と同様である。この装置は、実施の形態1の装置において、ECU50に、上述した図6に示すルーチンに代えて、後述する図29に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
[実施の形態13で用いられる物理モデルの説明]
図26は、本実施形態において用いられる物理モデルを説明するための図である。このモデルは、燃料タンク10にリーク径Aの漏れが形成されていることを仮定している点において、図11に示すモデルと相違している。
燃料タンク10内のガスが電動ポンプ40により排出されると、タンク内圧PTANKが低下して燃料タンク10の内外に差圧が生ずる。その結果、漏れ故障の部位では、燃料タンク10の内部へ向かう空気の流れが生ずる。図26に示す「m」は、その空気の流量を示している。尚、図26において、「ma」および「mg」は、図11に示す場合と同様に、それぞれ電動ポンプ40による排出空気量および排出燃料量を意味している。また、このモデルにおいても、燃料タンク10内の燃料分圧PFUELは、常にその飽和蒸気圧に維持されるとの前提が取られており、「m」は、その燃料分圧を維持するために発生する蒸発燃料量を意味している。
燃料分圧PFUELが一定であるとの前提に立てば、タンク内圧PTANKの変動は、空気分圧PAIRの変動のみに起因して生ずることになる。そして、図26に示すモデルによれば、燃料タンク10内の空気の増減量は「m+ma」として表すことができる。この増減量を空気を対象とした気体の状態方程式に当てはめると、次式(7)の関係が成立する。但し、次式(7)において、TTANKはタンク内温度、Rは一般気体定数、VSPは燃料タンク10の空間容積である。
Figure 2005133616
タンク内温度TTANKは一定値と見なすことができる。また、空間容積VSPは実質的に燃料計12により推定することができる。このため、流入空気量mと流出空気量maとが判れば、上記の状態方程式(7)より、空気分圧PAIRの変動量「dPAIR/dt」、つまり、タンク内圧PTANKの変動量ΔPTANKを算出することが可能である。
ところで、流入空気量mは、リーク径Aの漏れを通って大気圧Pの空間からタンク内圧PTANKの空間に流入してくる空気の量である。この空気量mは関数Φを用いたノズルの式により、以下のように表すことができる。但し、次式(8)において、Maは空気の分子量、Tは基準孔の上流側温度(つまり、大気温度)である。
Figure 2005133616
上記(8)式の右辺は、タンク内圧PTANKとリーク径Aとを除いて、既知または検出可能な値により構成されている。従って、流入空気量mは、タンク内圧PTANKが判り、かつ、リーク径Aが設定されれば上記(8)式から算出することが可能である。
一方、図26に示すモデルにおいて、排出空気量maは、図11に示すモデルの場合と同様に、タンク内圧PTANKさえ判れば、上記(3)式乃至(6)式より算出することが可能である。つまり、上記の状態方程式(7)に、未知の値として含まれる流入空気量mおよび排出空気量maは、リーク径Aが定まれば、タンク内圧PTANKの関数として算出することが可能である。
図26に示すモデルは、タンク内圧PTANKが大気圧Pに収束している状況下で電動ポンプ40を始動させることを前提としている。このため、タンク内圧PTANKの初期値は、大気圧Pとして取り扱うことができる。そして、タンク内圧PTANKを大気圧Pとして状態方程式(7)を解けば、設定されたリーク径Aに対して、電動ポンプ40の始動直後に生ずるべきタンク内圧PTANKの変化量ΔPTANKを求めることができる。そして、その変化量ΔPTANKを大気圧Pから減じれば、変化後のタンク内圧PTANK=P−ΔPTANKを求めることができる。以後、変化後のタンク内圧PTANKを用いて流入空気量mおよび排出空気量maを算出する処理、および、その結果得られたmおよびmaを用いて変化後のタンク内圧PTANKを算出する処理を繰り返すことにより、リーク径Aの存在下で電動ポンプ40始動後に生ずるタンク内圧PTANKの推移を推定することができる。
図27は、上記の手法でタンク内圧PTANKの推移を推定するために、本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。ここでは、先ず、電動ポンプ40によって燃料タンク10から排出される空気量maが算出される(ステップ230;上記(3)〜(6)式参照)。次に、上記したノズルの式(8)を用いて、リーク径Aの仮想の漏れ箇所から流入する空気量mが算出される(ステップ232)。そして、それらの算出値量maおよびmを状態方程式(7)に当てはめることにより、変化後のタンク内圧PTANKが算出される(ステップ234)。以後、タンク内圧PTANKの算出値が定常的な値に収束するまで上記の繰り返し計算が継続される。
図28は、上述したモデル演算により推定されるタンク内圧PTANKの推移と、その演算に用いたリーク径Aとの関係を説明するための図である。この図において、破線で示す曲線は、リーク径Aを変えて行った複数のタンク内圧推移の推定結果を示す。また、実線で示す曲線は、実測によるタンク内圧推移を示す。モデル演算により推定されたタンク内圧推定は、その演算に用いられたリーク径Aが現実のリーク径と一致していれば、現実のタンク内圧推移と一致する。このため、その一致が得られるようなリーク径Aを探し出せば、現実のリーク径を演算により求めることができる。
[実施の形態13における具体的処理]
図29は、物理モデルを用いた上記の手法でリーク径Aを検出するために本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。尚、ここでは、このルーチンが起動されると同時に、電動ポンプ40の作動が開始され、かつ、タンク内圧PTANKのモニタが開始されるものとする。
図29に示すルーチンでは、先ず、実施の形態12の場合(図25参照)と同様の手法で、定常圧到達時間TSATの実測(ステップ100〜104)と、定常圧力PSATの実測(ステップ220)が順次行われる。このルーチンでは、次に、適当なリーク径Aが設定され、そのリーク径Aに対応する定常圧力推定値PSCLCが上記の物理モデルを用いて算出される(ステップ230)。
上記ステップ230では、より具体的には、先ず、燃料計12により実測された実測燃料量VMEから空間容積VSPが算出される。算出された空間容積VSPは、上記の状態方程式(7)に反映される。次に、リーク径Aに初期値が代入される。この初期値は、上記のノズル式(8)に反映される。次いで、状態方程式(7)を用いて図27に示すルーチンが繰り返し実行され、タンク内圧PTANKの推移が演算される。その後、タンク内圧PTANKの演算値が定常値に収束したら、その収束値が定常圧力推定値PSCLCとして記録される。
図29に示すルーチンでは、次に、上記ステップ230において算出された定常圧力推定値PSCLCと、上記ステップ220で実測された定常圧力PSATとが一致しているか否かが判別される(ステップ232)。ステップ230において設定されたリーク径Aが現実の漏れの大きさと合致していれば、定常圧力の推定値PSCLCと実測値PSATは一致するはずである。換言すると、それら両者が一致していない場合は、ステップ230で正しいリーク径Aが設定されていなかったと判断することができる。
上記ステップ232において、PSCLC=PSATの不成立が認められると、両者の差が減少するようにリーク径Aが変更され(ステップ234)、新たなAを用いて上記ステップ230の処理が再び実行される。そして、ステップ232においてPSCLC=PSATの成立が認められるまで、その処理が繰り返される。上記の処理が繰り返し実行されると、やがてはリーク径Aに適正な値(現実の値と一致する値)が設定され、PSCLC=PSATの成立が認められる。
PSCLC=PSATの成立が認められると、その時点で設定されていたAが、燃料タンク10に生じている漏れ故障のリーク径として記録される。そして、以後、実施の形態12の場合と同様に、複数のTSAT−VFUELマップ(図24参照)から、そのリーク径Aに応じたマップが選択され(ステップ224)、その選択されたTSAT−VFUELマップに従って推定燃料量VFUELが算出される(ステップ226)。
以上説明した通り、図29に示すルーチンによれば、現実のタンク内圧推移と一致する推移をモデル上で発生させるリーク径Aを探すことにより、精度良くリーク径Aを推定し、その推定値Aに応じて、適切なTSAT−VFUELマップを選択することができる。このため、本実施形態の装置によれば、燃料タンク10に漏れ故障が生じている場合でも、燃料計12に頼ることなく精度良く推定燃料量VFUELを推定することができる。
ところで、上述した実施の形態13では、モデル演算に用いられたリーク径Aが現実の漏れの大きさに合致したものであるか否かを、定常圧力PSATと定常圧力推定値PSCLCとの比較により判定することとしているが、その判定の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、リーク径Aが正しい値であるか否かは、モデル演算により推定されたタンク内圧推移が現実の推移と一致しているか否かにより判断すれば良く、その判定が可能であれば、特定タンク内圧PT1の実測値と特定タンク内圧推定値PCLCとの比較、或いは、定常圧到達時間TSATの実測値と定常圧到達時間推定値TCLCとの比較により、その判定を行うこととしてもよい。
尚、上述した実施の形態13においては、ECU50が、上記ステップ230〜234の処理を実行することにより前記第14の発明における「リークサイズ検出手段」が実現されている。また、この実施形態においては、ECU50が、上記ステップ230の処理を実行することにより前記第17または第23の発明における「モデル演算手段」が、上記ステップ220の処理を実行することにより前記代17または第23の発明における「定常圧力実測手段」が、上記ステップ232および234の処理を実行することにより前記第17または第23の発明における「理論リークサイズ算出手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態14.
次に、図30を参照して本発明の実施の形態14について説明する。本実施形態の装置は、リーク径Aの算出を、ノズルの式を用いて行う点を除き、上述した実施の形態12、或いは実施の形態13の装置と同様である。この装置は、実施の形態1の装置において、ECU50に、上述した図6に示すルーチンに代えて、後述する図30に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
図26に示すモデルにおいて、漏れ故障の箇所から流入してくる空気の量mは、リーク径Aを用いて上記(8)式のように表すことができるのは上記の通りである。この(8)式を書き直すと、リーク径Aは、流入空気量mを用いて、次式の如く表すことができる。
Figure 2005133616
タンク内圧PTANKが定常圧力PSATに収束した状態では、流入空気量mと、電動ポンプ40による排出ガス量QTANK(=ma+mg)が均衡していると見なすことができる。従って、PTANK=PSATが成立する状況下では、上記(9)式は、次式のように書き直すことができる。
Figure 2005133616
排出ガス量QTANKは、上記(3)式に示すように、電動ポンプ40の圧力導入特性と、その前後に作用する差圧(PTANK−P)とにより決まる値である。このため、上記(10)式のPTANKに、実測した定常圧力PSATを代入すれば、リーク径Aを求めることが可能である。
[実施の形態14における具体的処理]
図30は、上記の手法でリーク径Aを算出し、その算出結果を利用して精度良く推定燃料量VFUELを算出すべく本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。尚、ここでは、このルーチンが起動されると同時に、電動ポンプ40の作動が開始され、かつ、タンク内圧PTANKのモニタが開始されるものとする。
図30に示すルーチンでは、先ず、実施の形態12の場合(図25参照)と同様の手法で、定常圧到達時間TSATの実測(ステップ100〜104)と、定常圧力PSATの実測(ステップ220)が順次行われる。このルーチンでは、次に、実測された定常圧力PSATと既知のポンプ特性とに基づき、電動ポンプ40による排出ガス量QTANKが算出される(ステップ230、上記(3)式参照)。
次に、その結果得られた排出ガス量QTANKと、定常圧力PSATの実測値とを上記(10)式に代入することでリーク径Aが算出される(ステップ232)。以後、実施の形態12の場合と同様に、複数のTSAT−VFUELマップ(図24参照)から、そのリーク径Aに応じたマップが選択され(ステップ224)、その選択されたTSAT−VFUELマップに従って推定燃料量VFUELが算出される(ステップ226)。
以上説明した通り、図30に示すルーチンによれば、タンク内圧PTANKが定常圧力PSATに収束している時の拘束条件(m=QTANK)を利用して、ノズルの式よりリーク径Aを簡単に算出することができる。そして、算出されたリーク径Aに応じて、適切なTSAT−VFUELマップを選択することができる。このため、本実施形態の装置によれば、燃料タンク10に漏れ故障が生じている場合でも、燃料計12に頼ることなく精度良く推定燃料量VFUELを推定することができる。
ところで、上述した実施の形態12乃至14では、実施の形態1で用いられた手法(TSAT−VFUELマップからVFUELを推定する手法)に対して、リーク径Aに応じてマップ値を修正する手法を組み合わせることとしているが、その組み合わせの対象は、これに限定されるものではない。すなわち、リーク径Aに応じてマップ値を修正する手法は、実施の形態2で用いられた手法(PT1−VFUELマップからVFUELを推定する手法、図10参照)、実施の形態7で用いられた手法(VME−TCLCマップからTCLCを推定する手法、図18参照)、更には、実施の形態9で用いられた手法(VME−PCLCマップからPCLCを推定する手法、図20参照)と組み合わせることとしてもよい。
尚、上述した実施の形態14においては、ECU50が、上記ステップ240および242の処理を実行することにより前記第14の発明における「リークサイズ検出手段」が実現されている。また、この実施形態においては、ECU50が、上記ステップ220の処理を実行することにより前記第18または第23の発明における「定常圧力実測手段」が、上記ステップ240の処理を実行することにより前記第18または第23の発明における「ガス流量算出手段」が、上記ステップ242の処理を実行することにより前記第18または第23の発明における「リークサイズ算出手段」が、それぞれ実現されている。
実施の形態15.
次に、図31を参照して本発明の実施の形態15について説明する。本実施形態の装置は、実施の形態1の装置において、ECU50に、上述した図6に示すルーチンに代えて、後述する図31に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
上述した実施の形態3の装置(図11乃至図14参照)は、漏れ故障が発生していないことを前提としたモデル演算によりタンク内圧PTANKの推移を推定し、その結果を利用して推定燃料量VFUELを推定している。このため、この装置では、漏れ故障の発生時に推定燃料量VFUELを正しく推定することはできない。ところで、図26に示す物理モデルでは、リーク径Aの漏れ故障の存在が前提とされている。このため、そのモデルを用いたモデル演算(図27参照)によれば、リーク径Aが決まれば、その漏れが存在する状況下でのタンク内圧PTANKの推移を精度良く推定し、その結果から推定燃料量VFUELを精度良く推定することができる。
リーク径Aは、例えば、上述した実施の形態12で用いた手法により算出することができる。そこで、本実施形態では、その手法によりリーク径Aを算出した後、図26に示す物理モデルを前提としたモデル演算にそのリーク径Aを代入して、タンク内圧PTANKの推移推定と、推定燃料量VFUELの算出とを行うこととした。
図31は、上記の手法で推定燃料量VFUELを推定すべく本実施形態においてECU50が実行するルーチンのフローチャートを示す。尚、ここでは、このルーチンが起動されると同時に、電動ポンプ40の作動が開始され、かつ、タンク内圧PTANKのモニタが開始されるものとする。
図31に示すルーチンが起動されると、先ず、実施の形態12の場合(図25参照)と同じ手法で、燃料タンク10に生じている漏れ故障のリーク径Aが算出される(ステップ100〜104,220〜222)。
次に、適当な空間容積VSPが設定され、その空間容積VSPに対応する定常圧到達時間推定値TCLCが、図26に示す物理モデルを前提としたモデル演算により(図27、上記(3)〜(8)式参照)算出される。そして、空間容積VSPを変更しながらその演算を繰り返すことにより、TCLC=TSATを成立させるVSPが探索され(ステップ252,254)、そのVSPを既知のタンク容量から減ずることで推定燃料量VFUELが算出される。尚、これらの処理は、用いられるモデル演算が異なる点を除き、図14に示すステップ130〜136の処理(実施の形態3参照)と同じであるため、ここではその詳細な説明は省略する。
以上説明した通り、図31に示すルーチンによれば、リーク径Aの漏れ故障が生じている状況下での推定燃料量VFUELを、モデル演算により精度良く算出することができる。このため、本実施形態の装置によれば、燃料タンク10に漏れ故障が生じている場合に、燃料計12に頼ることなく、推定燃料量VFUELをモデル演算により精度良く推定することができる。
ところで、上述した実施の形態15においては、リーク径Aを、実施の形態12の場合と同様の手法で算出することとしているが、その算出の手法はこれに限定されるものではない。すなわち、リーク径Aは、実施の形態13(図29参照)で用いた手法、或いは実施の形態14(図30参照)で用いた手法により算出することとしてもよい。
図32は、実施の形態13で用いたリーク径Aの算出手法(ステップ100〜232)と、モデル演算により推定燃料量VFUELを算出する手法(ステップ250〜256)とを組み合わせた場合のフローチャートである。また、図33は、実施の形態14で用いたリーク径Aの算出手法(ステップ100〜242)と、モデル演算により推定燃料量VFUELを算出する手法(ステップ250〜256)とを組み合わせた場合のフローチャートである。尚、これらの内容は、既に説明した事項の組み合わせに過ぎないため、ここではその詳細な説明は省略する。
ところで、上述した実施の形態15では、実施の形態3で用いられた処理(TCLC=TSATとなるVSPを探す処理)に対して、リーク径Aの漏れを前提としたモデル演算を組み合わせることとしているが、その組み合わせの対象は、これに限定されるものではない。すなわち、リーク径Aの漏れを前提としたモデル演算は、実施の形態4で用いられた処理(PCLC=PT1となるVSPを探す処理、図15参照)、実施の形態8で用いられた処理(VSPからTCLCを算出する処理、図19参照)、更には、実施の形態10で用いられた手法(VSPからPCLCを算出する処理、図21参照)と組み合わせることとしてもよい。
また、上述した全ての実施形態1乃至15は、推定燃料量VFUELの推定や、燃料計12の故障診断の前提として、燃料タンク10に負圧を導入することとしているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、推定燃料量VFUELの推定や、燃料計12の故障診断は、燃料タンク10に正圧を導入したうえで行うこととしてもよい。
本発明の実施の形態1の構成を説明するための図である。 図1に示す装置が備えるポンプモジュールの構成を説明するための図である。 図1に示す装置において燃料タンクへの負圧導入が開始された後のタンク内圧PTANKの変化を示す図である。 タンク内圧PTANKが定常圧力PSATに達するのに必要な定常圧到達時間TSATと空間容積VSPとの関係を示す図である。 タンク内圧PTANKが定常圧力PSATに達するのに必要な定常圧到達時間TSATと推定燃料量VFUELとの関係を示す図である。 本発明の実施の形態1において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態1においてタンク内圧PTANKの収束を判定する手法を説明するための図である。 圧力導入の開始後所定時間T1が経過した時点での特定タンク内圧PT1と空間容積VSPとの関係を示す図である。 圧力導入の開始後所定時間T1が経過した時点での特定タンク内圧PT1と推定燃料量VFUELとの関係を示す図である。 本発明の実施の形態2において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態3におい用いられる物理モデルを説明するための図である。 図1に示す装置が備える電動ポンプの圧力導入特性を説明するための図である。 本発明の実施の形態3において物理モデルを用いてタンク内圧PTANKの推移を推定すべく実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態3において推定燃料量VFUELを算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態4において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態5において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態6において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態7において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態8において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態9において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態10において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態11において実行されるルーチンのフローチャートである。 漏れ故障のリーク径とタンク内圧PTANKの定常圧力PSATとの関係を示す図である。 本発明の実施の形態12において用いられる複数のTSAT−VFUELマップの概念図である。 本発明の実施の形態12において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態13におい用いられる物理モデルを説明するための図である。 本発明の実施の形態13において物理モデルを用いてタンク内圧PTANKの推移を推定すべく実行されるルーチンのフローチャートである。 図27に示すモデル演算により推定されるタンク内圧PTANKの推移と、その演算に用いたリーク径Aとの関係を説明するための図である。 本発明の実施の形態13において推定燃料量VFUELを算出するために実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態14において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態15において実行されるルーチンのフローチャートである。 本発明の実施の形態15において実行されるルーチンの第1変形例のフローチャートである。 本発明の実施の形態15において実行されるルーチンの第2変形例のフローチャートである。
符号の説明
10 燃料タンク
12 燃料計
14 タンク内圧センサ
30 ポンプモジュール
34 切り換え弁
40 電動ポンプ
44 圧力センサ
50 ECU(Electronic Control Unit)
VSP 空間容積
TSAT 定常圧到達時間(または基準の定常圧到達時間)
TCLC 定常圧到達時間推定値
PSAT 定常圧力
PSCLC 定常圧力推定値
PT1 特定タンク内圧
PCLC 特定タンク内圧推定値
PREF リファレンス圧
m 流入空気量
ma 流出空気量
mg 流出蒸発燃料量
a 質量分率

Claims (23)

  1. 既知の圧力導入特性により燃料タンクに圧力を導入する圧力導入機構と、
    タンク内圧を検出するタンク内圧センサと、
    前記圧力導入機構による圧力導入の開始後におけるタンク内圧の推移に対応する特性値を実測する特性値実測手段と、
    前記特性値に基づいて燃料タンク内の燃料量を推定する燃料量推定手段と、
    を備えることを特徴とする燃料量計測装置。
  2. 前記特性値実測手段は、前記圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達するまでに要する定常圧到達時間を前記特性値として実測する定常圧到達時間実測手段を備え、
    前記燃料量推定手段は、前記定常圧到達時間と燃料タンク内の燃料量との既定の関係を記憶した関係記憶手段と、前記定常圧到達時間の実測値に対応する燃料量を前記既定の関係に基づいて算出する燃料量算出手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載の燃料量計測装置。
  3. 前記特性値実測手段は、前記圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達する前の所定時期における特定のタンク内圧を前記特性値として実測する特定タンク内圧実測手段を備え、
    前記燃料量推定手段は、前記特定のタンク内圧と燃料タンク内の燃料量との既定の関係を記憶した関係記憶手段と、前記特定のタンク内圧の実測値に対応する燃料量を前記既定の関係に基づいて算出する燃料量算出手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載の燃料量計測装置。
  4. 前記特性値実測手段は、前記圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達するまでに要する定常圧到達時間を前記特性値として実測する定常圧到達時間実測手段を備え、
    前記燃料量推定手段は、燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性とを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算するモデル演算手段と、前記モデル演算手段により演算されるタンク内圧の演算値が定常値に達するまでに要する定常値到達時間を、前記定常圧到達時間の実測値と一致させるような理論上の空間容積を算出する理論空間容積算出手段と、前記理論上の空間容積に基づいて前記燃料タンク内の燃料量を算出する燃料量算出手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載の燃料量計測装置。
  5. 前記特性値実測手段は、前記圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達する前の所定時期における特定のタンク内圧を前記特性値として実測する特定タンク内圧実測手段を備え、
    前記燃料量推定手段は、燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性とを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算するモデル演算手段と、前記モデル演算手段により前記特定のタンク内圧として演算される値を、前記特定のタンク内圧の実測値と一致させるような理論上の空間容積を算出する理論空間容積算出手段と、前記理論上の空間容積に基づいて前記燃料タンク内の燃料量を算出する燃料量算出手段と、を備えることを特徴とする請求項1記載の燃料量計測装置。
  6. 前記燃料タンクを含む系に漏れ故障が生じているか否かを判別する漏れ故障判別手段と、
    前記漏れ故障の発生が認められる場合には、前記燃料量推定手段により推定された燃料量を破棄し、または、前記燃料量推定手段による燃料量の推定を禁止する推定機能無効手段と、
    を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の燃料量計測装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項記載の燃料量計測装置と、
    前記燃料タンク内の燃料量を実測する燃料計と、
    前記燃料計による燃料量の実測値と、前記燃料量推定手段による燃料量の推定値とが、所定量を超えて乖離している場合に前記燃料計の故障を判定する故障判定手段と、
    を備えることを特徴とする燃料計の故障判定装置。
  8. 既知の圧力導入特性により燃料タンクに圧力を導入する圧力導入機構と、
    前記燃料タンク内の燃料量を実測する燃料計と、
    前記燃料量の実測値を前提として、前記圧力導入機構による圧力導入の開始後に生ずると予想されるタンク内圧の推移に対応する特性値を推定する特性値推定手段と、
    タンク内圧を検出するタンク内圧センサと、
    前記圧力導入機構による圧力導入の開始後におけるタンク内圧の推移に対応する特性値を実測する特性値実測手段と、
    前記特性値の推定値と実測値とが、所定量を超えて乖離している場合に前記燃料計の故障を判定する故障判定手段と、
    を備えることを特徴とする燃料計の故障判定装置。
  9. 前記特性値推定手段は、燃料タンク内の燃料量と前記圧力導入機構による圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達するまでに要する定常圧到達時間との既定の関係を記憶した関係記憶手段と、燃料量の実測値に対応する定常圧到達時間を前記既定の関係に基づいて推定する定常圧到達時間推定手段と、を備え、
    前記特性値実測手段は、前記定常圧到達時間を実測する定常圧到達時間実測手段を備え、
    前記故障判定手段は、前記定常圧到達時間の推定値と実測値との乖離量に基づいて前記燃料計の故障を判定することを特徴とする請求項8記載の燃料計の故障判定装置。
  10. 前記特性値推定手段は、燃料量の実測値より前記燃料タンク内の空間容積を算出する空間容積算出手段と、燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性とを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算するモデル演算手段と、前記モデル演算手段による演算結果よりタンク内圧が定常値に達するまでに要すると予想される定常値到達時間を推定する定常値到達時間推定手段とを備え、
    前記特性値実測手段は、前記圧力導入機構による圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達するまでに要する定常圧到達時間を実測する定常圧到達時間実測手段を備え、
    前記故障判定手段は、前記定常圧到達時間の推定値と実測値との乖離量に基づいて前記燃料計の故障を判定することを特徴とする請求項8記載の燃料計の故障判定装置。
  11. 前記特性値推定手段は、燃料タンク内の燃料量と前記圧力導入機構による圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達する前の所定時期における特定のタンク内圧との既定の関係を記憶した関係記憶手段と、燃料量の実測値に対応する前記特定のタンク内圧を前記既定の関係に基づいて推定する特定タンク内圧推定手段と、を備え、
    前記特性値実測手段は、前記特定のタンク内圧を実測する特定タンク内圧実測手段を備え、
    前記故障判定手段は、前記特定のタンク内圧の推定値と実測値との乖離量に基づいて前記燃料計の故障を判定することを特徴とする請求項8記載の燃料計の故障判定装置。
  12. 前記特性値推定手段は、燃料量の実測値より前記燃料タンク内の空間容積を算出する空間容積算出手段と、燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性とを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算するモデル演算手段と、前記モデル演算手段による演算結果より前記圧力導入機構による圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達する前の所定時期に生ずると予想される特定のタンク内圧を推定する特定タンク内圧推定手段とを備え、
    前記特性値実測手段は、前記圧力導入機構による圧力導入の開始後、タンク内圧が定常圧力に達する前の所定時期におけるタンク内圧を実測する特定タンク内圧実測手段を備え、
    前記故障判定手段は、前記特定タンク内圧の推定値と実測値との乖離量に基づいて前記燃料計の故障を判定することを特徴とする請求項8記載の燃料計の故障判定装置。
  13. 前記燃料タンクを含む系に漏れ故障が生じているか否かを判別する漏れ故障判別手段と、
    前記漏れ故障の発生が認められる場合には、前記故障判定手段による判定結果を破棄し、または、前記故障判定手段による故障判定を禁止する判定機能無効手段と、
    を備えることを特徴とする請求項8乃至12の何れか1項記載の燃料計の故障判定装置。
  14. 燃料タンクに生じているリークのサイズを検出するリークサイズ検出手段を備え、
    前記関係記憶手段は、リークのサイズに応じて複数準備された既定の関係の中から、検出されたリークのサイズに対応する関係を前記既定の関係として選択する関係選択手段、または、基準の関係を検出されたリークのサイズに応じて補正することにより前記既定の関係を生成する関係補正手段を含むことを特徴とする請求項2または3記載の燃料量計測装置。
  15. 燃料タンクに生じているリークのサイズを検出するリークサイズ検出手段を備え、
    前記モデル演算手段は、燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性と前記燃料タンクに生じているリークのサイズを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算することを特徴とする請求項4または5記載の燃料量計測装置。
  16. 前記リークサイズ検出手段は、
    前記圧力導入機構による圧力導入の開始後のタンク内圧の定常圧力とリークのサイズとの関係である定常関係を記憶した定常関係記憶手段と、
    前記定常圧力を実測する定常圧力実測手段と、
    前記定常関係に基づいて前記定常圧力に対応するリークのサイズを推定するリークサイズ推定手段と、
    を含むことを特徴とする請求項14または15記載の燃料量計測装置。
  17. 前記リークサイズ検出手段は、
    燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性と前記燃料タンクに生じているリークのサイズを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算するモデル演算手段と、
    前記圧力導入の開始後のタンク内圧の定常圧力を実測する定常圧力実測手段と、
    前記モデル演算手段により演算されるタンク内圧の定常値を、前記定常圧力の実測値と一致させるような理論上のリークのサイズを算出する理論リークサイズ算出手段と、
    を含むことを特徴とする請求項14または15記載の燃料量計測装置。
  18. 前記リークサイズ検出手段は、
    前記圧力導入の開始後のタンク内圧の定常圧力を実測する定常圧力実測手段と、
    前記圧力導入機構の両側に前記定常圧力と大気圧とが作用した際に当該圧力導入機構により搬送されるガス流量を算出するガス流量算出手段と、
    前記定常圧力と大気圧とが両側に作用した際に前記ガス流量を流通させるリークのサイズを算出するリークサイズ算出手段と、
    を含むことを特徴とする請求項14または15記載の燃料量計測装置。
  19. 燃料タンクに生じているリークのサイズを検出するリークサイズ検出手段を備え、
    前記関係記憶手段は、リークのサイズに応じて複数準備された既定の関係の中から、検出されたリークのサイズに対応する関係を前記既定の関係として選択する関係選択手段、または、基準の関係を検出されたリークのサイズに応じて補正することにより前記既定の関係を生成する関係補正手段を含むことを特徴とする請求項9または10記載の燃料計の故障判定装置。
  20. 燃料タンクに生じているリークのサイズを検出するリークサイズ検出手段を備え、
    前記モデル演算手段は、燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性と前記燃料タンクに生じているリークのサイズを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算することを特徴とする請求項10または12記載の燃料計の故障判定装置。
  21. 前記リークサイズ検出手段は、
    前記圧力導入機構による圧力導入の開始後のタンク内圧の定常圧力とリークのサイズとの関係である定常関係を記憶した定常関係記憶手段と、
    前記定常圧力を実測する定常圧力実測手段と、
    前記定常関係に基づいて前記定常圧力に対応するリークのサイズを推定するリークサイズ推定手段と、
    を含むことを特徴とする請求項19または20記載の燃料計の故障判定装置。
  22. 前記リークサイズ検出手段は、
    燃料タンク内の空間容積と前記圧力導入機構の圧力導入特性と前記燃料タンクに生じているリークのサイズを物理モデルに当てはめてタンク内圧の推移を演算するモデル演算手段と、
    前記圧力導入の開始後のタンク内圧の定常圧力を実測する定常圧力実測手段と、
    前記モデル演算手段により演算されるタンク内圧の定常値を、前記定常圧力の実測値と一致させるような理論上のリークのサイズを算出する理論リークサイズ算出手段と、
    を含むことを特徴とする請求項19または20記載の燃料計の故障判定装置。
  23. 前記リークサイズ検出手段は、
    前記圧力導入の開始後のタンク内圧の定常圧力を実測する定常圧力実測手段と、
    前記圧力導入機構の両側に前記定常圧力と大気圧とが作用した際に当該圧力導入機構により搬送されるガス流量を算出するガス流量算出手段と、
    前記定常圧力と大気圧とが両側に作用した際に前記ガス流量を流通させるリークのサイズを算出するリークサイズ算出手段と、
    を含むことを特徴とする請求項19または20記載の燃料計の故障判定装置。
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