JP2005132944A - 光触媒粒子固定用塗布剤、光触媒粒子固定方法及び光触媒担持部材。 - Google Patents

光触媒粒子固定用塗布剤、光触媒粒子固定方法及び光触媒担持部材。 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来技術において問題であった製造コストの増大、生産性の低下という問題を解決しながら、基体に強固に結合しながらTiO2等の光触媒粒子の外気との接触を十分に図り得る光触媒担持部材を製造するための光触媒粒子固定用塗布剤、それによる光触媒粒子固定方法及び光触媒粒子が固定された光触媒担持部材を提案することを目的とする。
【解決手段】 基材に塗布後、乾燥成膜する光触媒粒子の固定用塗布剤であって、該塗布剤は光触媒粒子、成膜用バインダー及び該成膜用バインダーの溶媒若しくは分散媒に溶解可能でかつ前記成膜用バインダーの乾燥成膜温度より50〜250℃低い温度から乾燥成膜温度までの間において分解して気体を発生する有機金属化合物およびその錯塩から選ばれた1種又は2種以上の混合物を気体発生化合物として含有する光触媒粒子固定用塗布剤を用いる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、悪臭やシックハウス症候群の原因となる大気中の有害物質を分解・浄化する機能を有する光触媒粒子を基材上に固定する光触媒粒子固定用塗布剤、該塗布剤を用いて光触媒粒子を基材上に固定方法及び光触媒粒子が固定された光触媒担持部材、特に金属部材部材に関する。
生活環境、医療環境、作業環境の中では種々の悪臭が発生する。また、新しい建物では建材などから有害物質、たとえばホルムアルデヒドなどが発生し、シックハウス症候群などの原因になる。これらの悪臭原因物質や有害物質を除去するために、光触媒機能を有する酸化チタン(化学式TiO2、特にアナターゼ型酸化チタン)を利用し、紫外線の照射の下でこれらの物質を酸化・分解することが有効であることが知られている。
一般に人間が感じる臭いが半分に下がったと感じるためには、悪臭の原因となる有機ガスの濃度が1/10以下に低下することが必要であるといわれている。そのため、理想的には空気清浄機を用いて悪臭原因物質を分解する際には、悪臭原因物質の濃度を出口側では入口側に比べて1/10以下に低減させる必要があるとされている。
しかしながら、光触媒としてTiO2を基材に塗布して有害物質の分解に利用したときの分解反応速度は、数mmol/m2・day程度であり、そのため空気清浄機にTiO2を固定した光触媒エレメントを組みこみ、通風により上記の性能を得るためには、光触媒エレメントの表面積を極めて広大にしなければならないという問題があった。
特に、光触媒用TiO2は平均一次粒径が5〜100nm程度の非常に微細な粉末であり、これをたとえば金属板などの基体上に固定するには、一般に図2に示すように光触媒粒子102であるTiO2の大部分が金属板100への固定剤であるバインダー103に埋まって浄化機能が十分な発揮されないという問題があった。特に光触媒粒子としてその機能が優れているとされる平均粒径が6〜30μmのアナターゼ型酸化チタンは固定剤中に埋没してしまう傾向が強く、そのため十分な光触媒機能を発揮できないという問題があった。
かかる問題を解決するために、特許文献1には、真空蒸着法により支持体に酸化チタン光触媒膜を形成する技術が開示されており、特許文献2には、基体の表面に光触媒の薄膜層をPVD法により形成する薄膜状光触媒体の製造方法が開示されている。また、特許文献3には、基板上に有機金属化合物のゾル溶液を塗布し、固化・熱処理して柱状かつ中空構造の酸化チタン結晶を結晶核から成長させる方法が、特許文献4にはチタンのアルコキシドとアルコールアミン類などから調整されたチタニアゾルにポリエチレングリコールまたはエチレンオキサイドを添加し、基板にコート後,焼成することによって表面に孔径の揃った細孔を有する酸化チタン薄膜光触媒で被覆する方法が示されている。また、特許文献5には表面に酸化チタン粒子を含む多孔質被膜を有する光触媒活性を有する金属部材が提案されている。さらに、特許文献6には、まずポリウレタン発泡体に炭化珪素セラミックスラリーを含浸させ350〜700℃で乾燥した骨格多孔体にアルミナをディップコーティングし350〜700℃で乾燥、次いで1300〜1500℃で焼成する微細孔性の膜を形成する方法が開示されている。
特開平8-266910号公報 特開平9-192498号公報 特開2002-253964号公報 特開平8-99041号公報 特開2000-285344号公報 特開2003-53194号公報
しかしながら、特許文献1及び2に記載の手段では、基体上に直接TiO2層を成膜するする手段として高価な真空蒸着装置を用いるために、必然的に製品コストの上昇を招く。一方、特許文献3に記載の手段では、固化、熱処理のために長時間を要するため生産性が低いという問題がある。特許文献4記載の方法は、焼成の仕方が室温から徐々に600〜700℃に加熱昇温するものであるため生産性が低いという問題があった。
特許文献5に記載の手段は、生産性が優れ、かつ光触媒粒子である酸化チタン粒子の外気への接触が図られるという点で優れているが、なお、光触媒粒子としてその機能の高い酸化チタンを利用したとき、光触媒粒子の外気への接触が十分ではないという問題があった。また、特許文献6に記載の方法は、微細孔性の膜の製造に20〜24hrを要する上、基材の破損率が4%と高いため製造コストが高いという問題を抱えていた。
本発明は、これら従来技術において問題であった製造コストの増大、生産性の低下という問題を解決しながら、基体に強固に結合しながらTiO2等の光触媒粒子の外気との接触を十分に図り得る光触媒担持部材を製造するための光触媒粒子固定用塗布剤、それによる光触媒粒子固定方法及び光触媒粒子が固定された光触媒担持部材を提案することを目的とする。
本発明の光触媒粒子固定用塗布剤は、基材に塗布後、乾燥成膜する光触媒粒子の固定用塗布剤であって、該塗布剤は光触媒粒子、成膜用バインダー及び該成膜用バインダーの溶媒若しくは分散媒に溶解可能でかつ前記成膜用バインダーの乾燥成膜温度より50〜250℃低い温度から乾燥成膜温度までの間において分解して気体を発生する有機金属化合物およびその錯塩から選ばれた1種又は2種以上の混合物を気体発生化合物として含有する。
上記発明において、気体発生化合物はチタン及びジルコニウムの1種又は2種から選んだ金属の錯塩又はキレート化合物であることが好ましく、特にチタンラクテートアンモニウム、シュウ酸チタニルアンモニウム及びチタンエチルアセトアセテートのいずれかとすることによって好結果が得られる。
上記発明において、成膜用バインダーはメタリン酸塩、シリコン樹脂、ふっ素樹脂、ほうろう釉薬のいずれかを利用するのが好ましい。また、光触媒粒子として平均粒径が6〜30nmのアナターゼ型酸化チタンを用いたとき特に好結果が得られる。
上記光触媒粒子固定用塗布剤を用いて基材表面への光触媒粒子を固定するに当たっては、基材の表面に上記光触媒粒子固定用塗布剤を塗布した後、昇温・乾燥成膜して基材表面に光触媒粒子を固定する際、昇温過程中に成膜用バインダーの乾燥成膜温度より50〜250℃低い温度から乾燥成膜温度までの間において成膜用バインダー層内に外気に通ずる気泡又は亀裂を発生させることが重要である。そのため、上記光触媒粒子固定するに当たっては、成膜用バインダーの乾燥成膜温度より50〜250℃低い温度から乾燥成膜温度までの間の昇温速度を50℃/min以上とするのが好ましい。
本発明により得られる光触媒担持部材は、基材と、該基材上に形成され光触媒粒子を保持する固定層からなり、該固定層には外気に通ずる気泡又は亀裂が存在し、該気泡又は亀裂を介して光触媒粒子が外部環境に通じている。
本発明により基材に対して1回の塗布、乾燥、焼き付け処理を行うだけで、TiO2等の光触媒粒子は固定層により基体に強固に保持されながら、固定層に存在する気泡又は亀裂により外気に通ずるようになる。それにより、光触媒担持部材を低い製造コストと高い生産性を維持して製造することができるとともに、製造された光触媒担持部材に高い有害物質、悪臭原因物質の除去機能を有せしめることができる。これにより、たとえば空気清浄機の光触媒エレメントを小型化など、有害物質除去装置の軽量・小型化に寄与する。
本発明に係る光触媒粒子固定用塗布剤は、光触媒粒子、成膜用バインダー及び該成膜用バインダーの溶媒若しくは分散媒に溶解可能でかつ前記成膜用バインダーの乾燥成膜温度より50〜250℃低い温度から乾燥成膜温度までの間において分解して気体を発生する気体発生化合物を含有する。
ここに、バインダーの乾燥成膜温度は、バインダーが水溶性または水分散の無機物の場合は水が完全に蒸発し100℃以上の水蒸気を吹き付けても再溶解しない状態に達するまでの最低温度をいい、基材の上に塗布する場合はバインダーのみならず基材表面との反応性によっても変化するので、実際に基材上にバインダーを塗布し、乾燥成膜するテストを行って決定する。一方、有機物の場合は溶媒の蒸発に続いて分子の重合による加工性、硬度の上昇、基材との密着性が期待したレベルに到達する最低温度をいう。
光触媒粒子としては、酸化チタン、特にアナターゼ型酸化チタンを用いるのが好適である。その平均一次粒径は特に問わず6nm程度のものでも使用可能であるが、本発明では10〜30nmとするのがよい。一般に光触媒粒子としては接触表面積を大にするとの理由から平均一次粒径が10nm以下のものがよいとされている。しかしながら、本発明者が行った実験結果によれば、本発明のように気体発生化合物を配合した場合は、光触媒粒子の平均一次粒径が10nm以上の方が有害物質の分解速度が大きいことが分かった。
これは本発明の場合、気体発生化合物を含有しているので、光触媒粒子が大きい方が成膜過程で形成された気泡あるいは亀裂上に存在しやすくなり、それによって有害物質の分解速度を大きくすること、および一次粒子の表面積が小さくなった結果、粒子に対するバインダーの必要量が小さくなったことによると考えられる。しかし、30nmを超えてさらに光触媒粒子の一次粒子の粒径が大きすぎる場合には、有害気体との反応表面積が低下するために、有害気体の分解速度が低下する。このような理由により、光触媒粒子の平均一次粒径は6〜30nm、特に10〜30nmを好適とする。なお、光触媒粒子の平均粒径は電子顕微鏡により測定された結果である。
光触媒性粒子の配合量は成膜用バインダー100部(固形分の質量比、以下同じ)に対して200〜450部とするのがよい。その成膜用バインダーに対する割合があまりに多いと基材に対して十分担持されず、一方あまりに少ないときは、本発明を適用しても光触媒粒子が成膜したバインダー中に埋没してしまい、光触媒担持部材の悪臭分解作用が低下してしまうからである。
なお、成膜用バインダーとしては公知のものがすべて使用できる。しかし、基材、特に鋼板、アルミ板等の金属板への連続塗布を考慮すると、メタりん酸塩、シリコン樹脂、ふっ素樹脂、低温ほうろう釉薬のいずれかを利用するのが好ましい。この成膜用バインダーは通常、光触媒粒子とともに溶媒又は分散媒によって希釈され塗布剤を形成する。
溶媒としては水(メタりん酸を成膜用バインダーとするとき)、メチルピロリドン(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)をバインダーとするとき)などに例示されるように、成膜用バインダーの種類によってバインダーが溶解する溶媒を選び、適当な粘度の塗布液が形成されるように配合比率を選択する。また、ほうろうフリットのように無機物を成膜用バインダーとするときは、水又は有機溶媒を分散媒として使用する。
本発明では、上記光触媒粒子、成膜用バインダー、その溶媒若しくは分散媒の他に上記成膜用バインダーの溶媒若しくは分散媒に溶解可能でかつ前記成膜用バインダーの乾燥成膜温度より50〜250℃低い温度から乾燥成膜温度までの間において分解して気体を発生する気体発生化合物を添加する。
この気体発生化合物は、少なくとも成膜開始時までは成膜用バインダーの溶媒若しくは分散媒に溶解しており、それによって光触媒粒子の周囲を覆うように存在し、成膜過程の最終段階に至ると熱分解して気体を発生し始め、その気体の発生がほぼ乾燥成膜の終了時まで継続するものである。
気体発生化合物はこのような性質をもっているために、成膜過程で固化しつつあるバインダー層内で気体(ガス)を発生し、それによって固化しつつあるあるいは固化完了直前のバインダー層内に外気に通ずる気泡又は亀裂を発生させる。それにより、光触媒担持部材の固定層に外気に通ずる気泡又は亀裂が存在し、該気泡又は亀裂を介して光触媒粒子が外部環境に通じているようになる。
したがって、気体発生化合物は成膜用バインダーを混じた状態で溶媒若しくは分散媒に溶解可能でなければならず、また、成膜用バインダーに応じてその乾燥成膜温度より50〜250℃低い温度から乾燥成膜温度までの間において分解して気体を発生するものでなければならない。そのような性質をもつ化合物として、有機金属化合物およびその錯塩が挙げられ、中でもチタン及びジルコニウムの1種又は2種から選んだ金属の錯塩又はキレート化合物が好ましい。
具体的には、しゅう酸チタニルアンモニウム、チタンラクテート、チタンラクテートアンモニウム、チタンアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンオクチレングリコナート、チタンエチルアセトアセテート、チタントリエタノールアミネート、酢酸ジルコニル、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトナート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトナート、ジルコニウムトリブトキシエチルアセとアセテート、ジルコニウムブトキシアセチルアセトナートビスエチルアセとアセテート等が挙げられる。
これらの気体発生化合物の含有量は成膜用バインダーの種類、光触媒粒子の粒度にもよるが気体発生温度における気体発生量が質量比で光触媒粒子の10〜60%になるように配合するとよい。
本発明に係る光触媒粒子固定用塗布剤には、上記光触媒粒子、成膜用バインダー及び気体発生化合物の他に、通常被膜形成用塗布剤として含有させることのできる種々の物質を添加させることができる。たとえばメタりん酸塩の場合、被膜の密着性改善用添加剤としての硝酸アルミニウムなどを上記効果を維持できる範囲内において適宜配合することができる。
上記光触媒粒子固定用塗布剤を用いて基材表面への光触媒粒子固定するに当たっては、まず金属板、例えば鋼板やアルミニウム板などの基材を準備する。ついで、基材表面をを清浄化した後、上記を塗布する。塗布は任意の方法、たとえばロールコーターによって行うことができる。
光触媒粒子固定用塗布剤が塗布された基材は、次いで乾燥成膜工程に付される。この工程は任意の焼付け炉で行えばよいが、その昇温過程中、特に塗布剤のバインダー成分の乾燥成膜温度を基準として、少なくともその温度に至る近傍の区間を比較的大きな昇温速度が得られるように急速加熱することが望ましい。これにより、その区間で気体発生化合物の熱分解速度が大きくなり、最終的に固化されつつあるバインダー成分(光触媒粒子を保持する固定層となるべきもの)中に多量の気泡や亀裂を形成させることができる。
このような急速加熱区間および昇温速度の適正値は、気体発生物質の熱分解温度、その昇温速度依存特性、および該気体発生物質とバインダー成分との組み合わせに応じて塗布加熱実験を行って具体的に決定することができる。たとえば、バインダー成分の乾燥成膜温度が決定されたとき、気体発生物質はその乾燥成膜温度より50℃低い温度までに熱分解を開始するものを選択すればよい。なお、それ乾燥成膜温度より50℃以上高い温度に至っても熱分解を継続することは本発明にとって支障にならない。
この気体発生物質の熱分解温度は示差熱重量(質量)試験によって決定することができるが、標準的な示差熱重量(質量)試験における昇温速度と実際の工程における昇温速度との間にはギャップがあるので、それによる熱分解温度の差異を考慮してバインダー成分に応じた気体発生物質の選定をなすべきである。
具体的には乾燥成膜時の昇温温度が50℃/minの場合、気体発生物質として、標準的な示差熱重量(質量)試験(昇温速度10℃/min)における熱分解温度がバインダー成分の乾燥成膜温度より50℃〜250℃の間にあるものを選択すればよい。
上記一連の工程により製造された光触媒担持部材は、基材上に形成され光触媒粒子を含む光触媒粒子を保持する固定層を有し、該固定層には外気に通ずる気泡又は亀裂が存在し、該気泡又は亀裂を介して光触媒粒子が外部環境に通じているものとなっている。
図1は本発明によって製造された光触媒担持部材の代表的なSEM像(倍率×5000)であり、外気に通ずる多数の気泡や亀裂が生成し、それに沿って光触媒粒子粒子が固定されている。
光触媒粒子として平均一次粒径15nmのアナターゼ型TiO2:20g、成膜用バインダーとして第1りん酸アルミニウム(Al(H2PO4)3):5g及び硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O):1.2gを準備し、これらを気体発生物質及び溶媒であるしゅう酸チタニルアンモニウム(NH4)2(TiO(C2O4)2)の16%水溶液(質量比):100gに溶解・分散して光触媒粒子固定用塗布剤を調整した。これを基材として準備した厚さ0.30mmの5182アルミニウム合金(0.35%Mn、4.5%Mg、0.25%Zn)板に塗布量が片面当たり乾燥状態で5.1g/m2になるように塗布し、400℃の熱風炉に装入後、70s後に取り出し光触媒担持部材とした。
シュウ酸チタニルアンモニウムの16%水溶液(質量比)に代えてシュウ酸10%(質量比)の水溶液(100g)を用いて光触媒粒子固定用塗布剤とした他は実施例1と同条件で処理して光触媒担持部材とし比較例1とした。
光触媒粒子として平均一次粒径15nmのアナターゼ型TiO2粒子:60g、成膜用バインダーとしてポリテトラフルオロエチレンPTFE(C2F4)n:100g及びポリエーテルスルホン(PES,(C6H5-SO2-C6H5-O-)n):100gを準備し、これらを気体発生物質チタンエチルアセトアセテート(C3H7O)2-Ti(C6H9O3)2:50gと共に溶媒であるメチルピロリドン:100gに溶解して光触媒粒子固定用塗布剤を調整した。
厚さ0.20mmのティンフリースチールを準備し、これにポリエーテルスルホン(PES)をメチルピロリドンが主成分である溶媒に溶解して調整した下塗り処理液を塗布量が片面当たり乾燥状態で8g/m2になるように塗布し、300℃の熱風炉に装入後、1min乾燥後、常温まで冷却して基材とした。得られた基材上に上記光触媒粒子固定用塗布剤を片面当たり乾燥状態で15g/m2になるように塗布し、450℃の熱風炉に装入後、2minに取り出し光触媒担持部材とした。
気体発生物質チタンエチルアセトアセテート50gに代えてメチルピロリドン:100gを配合した光触媒粒子固定用塗布剤とした他は実施例2と同条件で処理して光触媒担持部材とし比較例2とした。
光触媒粒子として平均一次粒径30nmのアナターゼ型TiO2:25gに成膜用バインダーとしてSiO2:41g、Na2O+K2O:30g、ZnO:6g、V2O5:3gを加えたほうろう用フリット粉末105g、気体発生化合物としてチタンラクテートアンモニウム(〔(OH)2Ti(C3H4O3)22・2NH4):50gを準備し、これらを水に溶解分散して光触媒粒子固定用塗布剤とした。これを基材として準備した厚さ0.50mmの溶融アルミニウムめっき鋼板にスプレー塗布し、580℃の炉に装入し5min後に取り出して光触媒担持部材とした。得られたほうろう層の厚さは60μmであった。
チタンラクテートアンモニウムを配合しない他は光触媒粒子固定用塗布剤とした実施例3と同条件で処理して光触媒担持部材とし比較例3とした。
上記各実施例において用いた成膜用バインダーの成膜温度、気体発生物質の示差熱重量分析データ(昇温速度10℃/min)に基づく気体発生発生量(質量減少量)を表1に示す。
上記実施例および比較例で作成された光触媒担持部材から50x100mmのサンプル板を切り出し、これらを容積500mlのシャーレに入れ、濃度100ppmのアセトアルデヒドガスを封入して30min吸着後、再度濃度100ppmのアセトアルデヒドガスを封入し1mW/cm2のブラックライトを照射し10minごとに内部のガスをサンプリングし、ガスクロマトグラフで濃度を測定した。所定時間経過後のアセトアルデヒド濃度(質量比)の測定結果を表2に示す。
表2によれば、本発明により製造した光触媒担持部材のうち実施例1及び2の場合には、封入されたアセトアルデヒドが紫外線照射30min以内に検出されなくなり、実施例3の場合も照射時間30minでアセトアルデヒド濃度が2ppmまで低下した。これに対し、気体発生化合物を配合しなかった比較例は実施例の4倍以上の長時間照射を行ってもアセトアルデヒドの高々60%、平均31%しか分解できなかった。なお実施例で作成した部材はいずれも曲げ加工性がよく、直径10mmの丸棒に沿って折り曲げても光触媒粒子含有層は剥離しなかった。
本発明により得られた光触媒担持部材のSEM像(倍率×5000)である。 従来の光触媒粒子をバインダーにより固定した金属板の模式図である。

Claims (7)

  1. 基材に塗布後、乾燥成膜する光触媒粒子の固定用塗布剤であって、
    該塗布剤は光触媒粒子、成膜用バインダー及び該成膜用バインダーの溶媒若しくは分散媒に溶解可能でかつ前記成膜用バインダーの乾燥成膜温度より50〜250℃低い温度から乾燥成膜温度までの間において分解して気体を発生する有機金属化合物およびその錯塩から選ばれた1種又は2種以上の混合物を気体発生化合物として含有することを特徴とする光触媒粒子固定用塗布剤。
  2. 気体発生化合物はチタン及びジルコニウムの1種又は2種から選んだ金属の錯塩又はキレート化合物であることを特徴とする請求項1記載の光触媒性粒子固定用塗布剤。
  3. 成膜用バインダーはメタりん酸塩、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ほうろう釉薬のいずれかであることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の光触媒粒子固定用塗布剤。
  4. 光触媒粒子がアナターゼ型酸化チタンであり、かつその平均一次粒径が6〜30nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光触媒粒子固定用塗布剤。
  5. 基材の表面に請求項1〜4のいずれかに記載の光触媒粒子固定用塗布剤を塗布した後、昇温・乾燥成膜して基材表面に光触媒粒子を固定するに当たり、
    昇温過程中に成膜用バインダーの乾燥成膜温度より50〜250℃低い温度から乾燥成膜温度までの間において成膜用バインダー層内に外気に通ずる気泡又は亀裂を発生させることを特徴とする基材表面への光触媒粒子固定方法。
  6. 成膜用バインダーの乾燥成膜温度より50〜250℃低い温度から乾燥成膜温度までの間の昇温速度が50℃/min以上であることを特徴とする請求項5記載の基材表面への光触媒粒子固定方法。
  7. 基材と、該基材上に形成され光触媒粒子を保持する固定層と、からなる光触媒担持部材であって、
    前記固定層には外気に通ずる気泡又は亀裂が存在し、該気泡又は亀裂を介して光触媒粒子が外部環境に通じていることを特徴とする光触媒粒子を表面に固定した光触媒担持部材。
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