JP2005130601A - 誘導機制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 誘導機周波数が0付近にある状態が継続することにより、誘導機トルクの制御が不能となる。例えば、電気車制御の場合、坂道での後退起動、停止までの電気ブレーキ運転実施時に、問題となる。
【解決手段】 誘導機速度を出力する速度演算器を持ち、磁束指令とトルク指令を基に誘導機のトルクを制御する誘導機制御装置に、前記誘導機速度と前記磁束指令を入力し低速用磁束指令を出力する指令加工器を新たに設け、前記磁束指令の代わりに前記低速用磁束指令と前記トルク指令を基に誘導機のトルクを制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、誘導機のトルク制御に関するもので、特に、0周波数通過制御に関するものである。
図5は、一従来例を示すブロック図であり、1は指令発生器、2はトルク制御手段、3は電力変換器、4は電流検出器、5は電圧検出器、6は誘導機、7は速度演算器である。以下、図5に従い動作を説明する。
電圧検出器5は、誘導機6の電圧ベクトルvを検出する。電流検出器4は、誘導機6の電流ベクトルiを検出する。
速度演算器7は、式(1)〜(3)を基に誘導機速度ωmを演算する。
ここで、φ2は二次磁束、Rは一次抵抗、Rは二次抵抗、Lは一次インダクタンス、L
は二次インダクタンス、Mは相互インダクタンスである。
(1)式の二次磁束φ2の回転角周波数が誘導機周波数ωとなり、(2)式より誘導機すべりωsが求められる。誘導機6の回転角周波数ωmは式(3)により求める。
指令発生器1は、誘導機6に与えたい磁束指令φ*、トルク指令τ*を発生する。トルク制御手段2は、電流ベクトルiと誘導機速度ωmと磁束指令φ*、トルク指令τ*を入力し、誘導機速度ωmで回転している誘導機6に、指令通りのトルクを与える電圧指令v*を出力する。
電力変換器3は、電圧指令v*を増幅し、誘導機6に電力を供給する。
以上の構成により、誘導機6は指令通りのトルクと磁束を与えられ、誘導機6のトルクを制御する。(例えば、特許文献1参照)。
特開平5−168274
従来技術においては、以下に示す問題点がある。
式(1)〜(3)により、誘導機6に供給される電圧と電流から誘導機6の誘導機速度ωmを演算する場合、誘導機周波数ωが0付近での(1)式の第1項括弧内の演算精度が著しく悪化し、二次磁束φ2の演算精度が悪くなり、誘導機速度ωmの演算誤差が大きくなる。この状態が継続することにより、実際の速度との誤差が増加して所望のトルクを出力できなくなる。
例えば、誘導機6が逆転している状態から正転へ向かう運転、逆に、誘導機6が正転している状態から逆転へ向かう運転の場合、あるいは、回生減速運転で誘導機6を停止させる運転の場合、図6に示すように、誘導機周波数ωは0を通過することとなり、トルク指令τ*が低ければ、誘導機周波数ωの0状態が継続し、所望のトルクを出力できなくなる。
電気車制御の場合、坂道での後退起動、停止までの電気ブレーキ運転実施時に、問題となる。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものである。
前述の問題点を解決するために以下の手段を施す。
請求項1においては、磁束指令φ*と誘導機速度ωmを入力し、低速用磁束指令φ0*を出力する指令加工器8を新たに設ける。
請求項2においては、指令加工器8を以下の構成とする。
1.誘導機速度ωmと低周波数設定値ω01と極低周波数設定値ω00を入力し、指令ゲインGφを出力する磁束指令ゲイン演算器9。
2.指令ゲインGφと磁束指令φ*を掛け算して、低速用磁束指令φ0*を出力する積算器10。
請求項3においては、磁束指令ゲイン演算器9の詳細を示す。すなわち、低周波数設定値ω01と極低周波数設定値ω00に対して、
ω00<ωm<ω01、あるいは、ω01<ωm<ω00・・・(4)
という関係に誘導機速度ωmがある場合、指令ゲインGφを1より大きな値Gφ0とする。また、誘導機速度ωmが(4)以外であれば、指令ゲインGφを1とする。
以上の手段を施すことにより、以下の効果が現れる。
低速用磁束指令φ0*を誘導機速度ωmによって変化させることにより、誘導機6の磁束が誘導機速度ωmによって変わり、誘導機すべりωsが式(2)に則って変化し、誘導機周波数ωが変化する。すなわち、誘導機周波数ωを誘導機速度ωmによって変化させることができる。
電気車における後退起動や電気ブレーキ運転において、誘導機速度ωmが小さく誘導機周波数ωが0に近いときφ*<φ0*とすれば式(2)により誘導機すべりωsは従来に比べて小さくなり、誘導機周波数ωを0から離すことができる。
誘導機6が減速し、誘導機速度ωmが充分に小さくなったとき、φ0*=φ*とすることにより、誘導機すべりωsは従来の大きさに戻り、誘導機周波数ωが速やかに0を通過する。
以上のように、誘導機速度ωmにより誘導機6の磁束を操作することにより、誘導機周波数ωが0付近に滞在する期間を短くすることができ、誘導機周波数ωの0通過が可能となる。
本発明により、誘導機周波数の0通過を速やかに行うことができる。
誘導機6の磁束を誘導機速度ωmにより操作することにより、誘導機周波数ωの速やかな0通過を実現する。
図1は、本発明の一実施例を示すブロック図であり、8は指令加工器である。以下、図1について図5と異なる点のみを説明する。
指令加工器8は、磁束指令φ*と誘導機速度ωmを入力し、低速用磁束指令φ0*を出力する。トルク制御手段2は、指令発生器1から出力されていた磁束指令φ*の代わりに、低速用磁束指令φ0*を入力する。
以上の構成とすることにより、低速用磁束指令φ0*を誘導機速度ωmによって変化させることができる。誘導機6の磁束は誘導機速度ωmによって変わり、誘導機すべりωsが式(2)に則って変化し、誘導機周波数ωが変化する。すなわち、誘導機周波数ωを誘導機速度ωmによって変化させることができる。
図2は、指令加工器8の一実施例を示すブロック図であり、9は磁束指令ゲイン演算器、10は積算器である。磁束指令ゲイン演算器9は、誘導機速度ωmと低周波数設定値ω01と極低周波数設定値ω00を入力し指令ゲインGφを出力する。積算器10は、指令ゲインGφと磁束指令φ*を掛け算して、低速用磁束指令φ0*を出力する。
図3は、磁束指令ゲイン演算器9の一演算例を示す図である。ここで、Gφ0>1とする。図4は、図3の如く指令ゲインGφを変化させたときの誘導機すべりωsと誘導機周波数ωの変化の様子である。
誘導機6の速度が正値から0へ向かって減速し、誘導機速度ωmがω00<ωm<ω01区間のとき、Gφ0>1とすることにより、誘導機すべりωsが減少し、誘導機周波数ωが0から離れる。誘導機周波数ωが0から離れることにより、(1)式の第1項括弧内の演算精度悪化を防ぐことができ、二次磁束φ2の演算精度も改善し、誘導機速度ωmの演算誤差も小さくなる。実際の速度との誤差が減少して所望のトルクを誘導機6に出力できるようになる。
さらに誘導機6が減速し、誘導機速度ωmがωm<ω00となったとき、Gφ0=1とすることにより、誘導機すべりωsは従来の大きさに戻り、誘導機周波数ωが速やかに0を通過する。これにより、誘導機周波数ωが0付近に滞在する期間を短くすることができ、誘導機周波数ω=0状態の継続によるトルク制御性能の悪化を防ぐことができる。
誘導機6の速度が負値から0へ向かって減速する場合も、誘導機6の速度が正値から0へ向かって減速する場合と同様に考えることができる。
以上の構成とすることにより、誘導機周波数ωが0付近に滞在する期間を短くすることができ、誘導機周波数ωの0通過が可能となる。
例えば、誘導機6が逆転している状態から正転へ向かう運転、逆に、誘導機6が正転している状態から逆転へ向かう運転の場合、あるいは、回生減速運転で誘導機6を停止させる運転の場合、図4に示すように、誘導機周波数ωは0を回避することとなり、所望のトルクを出力できるようになる。
誘導機の低速ブレーキ運転時のトルク制御が可能となる。
例えば、電気車における後退起動運転、停止までの電気ブレーキ運転が可能となる。
例えば、クレーン車下降のような低速ブレーキ運転が可能となる。
図1は、本発明の一実施例を示すブロック図である。 図2は、本発明の指令加工器の一構成例を示すブロック図である。 図3は、本発明の磁束指令ゲイン演算器の一演算例を示す図である。 図4は、本発明における誘導機すべり、誘導機周波数の動作概念図である。 図5は、一従来例を示すブロック図である。 図6は、従来における誘導機すべり、誘導機周波数の動作概念図である。
符号の説明
1 指令発生器
2 トルク制御手段
3 電力変換器
4 電流検出器
5 電圧検出器
6 誘導機
7 速度演算器
8 指令加工器
9 磁束指令ゲイン演算器
10 積算器

τ*・・・トルク指令
φ*・・・磁束指令
φ0*・・・低速用磁束指令
v・・・電圧ベクトル
i・・・電流ベクトル
v*・・・電圧指令
ωm・・・・誘導機速度
ω・・・誘導機周波数
ωs・・・誘導機すべり
ω01・・・低周波数設定値
ω00・・・極低周波数設定値
Gφ・・・指令ゲイン

Claims (3)

  1. 誘導機速度ωmを出力する速度演算器を持ち、磁束指令φ*とトルク指令τ*を基に誘導機のトルクを制御する誘導機制御装置において、
    前記誘導機速度ωmと前記磁束指令φ*を入力し低速用磁束指令φ0*を出力する指令加工器を新たに設け、前記磁束指令φ*の代わりに前記低速用磁束指令φ0*と前記トルク指令τ*を基に誘導機のトルクを制御することを特徴とする誘導機制御装置。
  2. 前記指令加工器を、
    前記誘導機速度ωmと低周波数設定値ω01と極低周波設定値ω00を入力し指令ゲインGφを出力する磁束指令ゲイン演算器と、前記磁束指令φ*と前記指令ゲインGφとを掛けて前記低速用磁束指令φ0*を出力する積算器とから構成することを特徴とする請求項1記載の誘導機制御装置。
  3. 前記磁束指令ゲイン演算器において、
    前記低周波設定値ω01から前記極低周波設定値ω00の区間に前記誘導機速度ωmがあるときは前記指令ゲインGφを1より大きな値Gφ0とし、それ以外の区間では前記指令ゲインGφを1とすることを特徴とする請求項2記載の誘導機制御装置。
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