以下,本発明の好適な実施の形態について,添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお,以下の説明及び添付図面において,略同一の機能及び構成を有する構成要素については,同一符号を付することにより,重複説明を省略する。
人間などの左右の眼がそれぞれ取得する網膜像の空間的ずれ(両眼視差)を利用して,2次元の画像を立体的に視認させる方法(以下,立体視の方法。)が多数存在する。なお,視差について,特に記載がない場合,水平方向における視差を示すものとする。
立体視の方法としては,特殊なメガネを利用するアナグリフ方式,カラーアナグリフ方式,偏光フィルタ方式,時分割立体テレビジョン方式等と,特殊なメガネを利用しないレンチキュラ方式等が知られている。
上述したさまざまな立体視の方法を実現するためには,左眼用の左視点画像(L画像。)と,右眼用の右視点画像(R画像。)を取得する必要がある。L画像とR画像を取得するためには,同一の被写体に対して,カメラの位置を,例えば人の両眼の間隔だけ移動して2回撮影する方法等が最も容易である。
また,1回の撮影でL画像とR画像を取得する方法として,例えば,図1および図2に示すように,ミラーなどから構成される光学アダプタ105を,撮像装置100のレンズ103の外側に取り付ける方法が知られている。なお,上記撮像装置100は,例えば,デジタルカメラなどを例示することができる。
図2は,光学アダプタ105の構造を模式的に表している。単一の採光窓から入射される右眼用の光学像は,ミラー121によってミラー122に向けて反射され,ミラー122によって撮影レンズ103に向けて反射された後,撮影レンズ103によって集光される。単一の採光窓から入射される左眼用の光学像は,ミラー121およびミラー122によって反射されることなく,撮影レンズ103によって集光される。
光学アダプタ105を介して入射された光学像は,左眼からの視点の領域および右眼からの視点の領域からなる視差画像として撮影される。この左眼用の領域(左眼用の画像)がL画像として利用され,右眼用の領域(右眼用の画像)がR画像として利用される。なお,各視点画像のセットを視差画像とし,視点画像が複数存在すれば足りるため,必ずしも両隣に一体的に構成する必要はない。
次に,図3に示すように,各視点画像からなる視差画像を合成して得る立体視用の立体画像(立体視画像,3D画像)を表示させる方法として,例えば,図4に示すような偏光フィルタ方式がある。
図4に示すように,偏光フィルタ方式は,R画像を投影するための右眼用プロジェクタ141と,L画像を投影するための左眼用プロジェクタ142と,L画像およびR画像の光を反射するスクリーン143と,偏光メガネ144とから構成される。なお,3D(three−Dimensional:3次元)画像は,立体的に視認可能な立体視画像のことである。
右眼用プロジェクタ141は,垂直方向に偏光フィルタを備えている。左眼用プロジェクタ142は,水平方向に偏光フィルタを備えている。したがって,右眼用プロジェクタ141から出力されるR画像の光は,図4に示す水平方向の矢印の光が出力される。左眼用プロジェクタ142から出力されるL画像の光は,図4に示す垂直方向の矢印の光が出力される。
次に,スクリーン143上では垂直方向の直線偏光によって投影されたL画像と,水平方向の直線偏光によって投影されたR画像とが重ね合わさることで,立体視画像が生成される。
そして,左側に水平方向の直線偏光フィルタ,右側に垂直方向の直線偏光フィルタが配置された偏光メガネ144を用いることにより,スクリーン143により反射された上記立体視画像のうち,右眼用プロジェクタ141から投影されたR画像は,右側の直線偏光フィルタにしか通過されず,左眼用プロジェクタ142から出力されたL画像は,左側の直線偏光フィルタにしか通過されない。
したがって,偏光メガネ144から上記スクリーン143上の立体視画像を見ると,立体感のある画像を視聴することができる。例えば,ユーザは,撮影された建造物などが飛び出して見えるなど,画像を立体的に見ることができる。
図4に示すスクリーン143に立体視画像を生成する場合の他に,例えば,パソコン(Personal Computer:PC),コンピュータ装置によって立体視画像を生成し,表示する場合も可能である。次に,本実施の形態にかかるコンピュータ装置によって立体視画像が生成される場合を,図5〜図8を参照しながら説明する。
上記説明したように,図2に示すミラー121およびミラー122により反射されることで,視差画像が生成される。上記視差画像は,図2に示すようにL画像とR画像とから構成されている。
次に,図5を参照しながら,本実施の形態にかかる立体視画像処理装置に適用されるコンピュータ装置について説明する。図5は,本実施の形態にかかるコンピュータ装置の概略的な構成を示す説明図である。
コンピュータ装置150は,少なくとも中央演算処理部(CPU),記憶部を少なくとも備える情報処理装置であり,一般的にはコンピュータ装置であるが,携帯端末,PDA(Personal Digital Assistant),ノート型パーソナルコンピュータ,またはデスクトップ型パーソナルコンピュータなどの情報処理装置も含まれる。
図5に示すように,コンピュータ装置150には,立体視画像を生成するコンピュータ装置150と,表示された立体視画像を見るときにユーザが使用する偏光メガネ171と,立体視画像を表示する立体視表示部140と,上記立体視表示部140の表示面外側に配置するライン偏光板172とが,さらに備えられる。
偏光メガネ171は,コンピュータ装置150に装着された支持棒170により,コンピュータ装置150のキーボード付近の上方空間に位置するように支持されている。
次に,生成されたL画像およびR画像の視差画像は,図6に示すように,次式(1)に従って,L画像とR画像とが合成され,図7に示すような立体視画像が生成される。なお,偶数ライン,奇数ラインは,コンピュータ装置150に備わる立体視表示部140などに構成される水平方向の列のことである。
例えば,表示部がUXGA(Ultra eXtended Graphics Array)の場合,式(1)に示すように,水平方向のラインのうち,最上端を0番ラインとすると,0番ラインは,偶数ラインであり,次に1番ラインは,奇数ラインであり,…,以降最下端ライン(1599番ライン)まで続く。
偶数ライン
1×(L画像の画素)+0×(R画像の画素)=(立体視画像の画素)
奇数ライン
0×(L画像の画素)+1×(R画像の画素)=(立体視画像の画素)
・・・式(1)
図7に示すように,0番ラインから順に,水平方向の1ラインごとにL画像,R画像を合成することにより,L画像およびR画像が1ラインごと交互に合成された立体視画像が生成される。生成された立体視画像は,例えば,コンピュータ装置に備わる立体視表示部140などに表示される。
図8に示すように,ユーザは,立体視表示部140に表示された立体視画像を,偏光メガネ171を介して見ることになる。なお,立体視表示部140には,予めライン偏光板172を備えている。
上記ライン偏光板172は,水平方向のラインを複数有している。ライン偏光板172の複数ラインのうち,最上端から順に,偶数ラインには,垂直方向の偏光板を備え,奇数ラインには,水平方向の偏光板を備える。
また,偏光メガネ171の右側には,水平方向の偏光フィルタを備え,左側には,垂直方向の偏光フィルタを備える。したがって,ライン偏光板172を通過したL画像の光またはR画像の光のうち,偏光メガネ171の左側は,奇数ラインからなるL画像の光だけが通過し,右側は,奇数ラインからなるR画像の光だけが通過する。すなわち,ユーザは,立体視画像を立体的に視認することができる。
(立体視画像処理装置)
ここで,図9を参照しながら,本実施の形態にかかる立体視画像処理装置について説明する。図9は,本実施の形態にかかる立体視画像処理装置の概略的な構成を示すブロック図である。なお,図9に示す,本実施の形態にかかる編集部152または画像変換部139は,例えば画像を回転及び/又は移動等する回転移動装置等に該当する。
図9に示すように,立体的に視認することが可能な立体視画像を生成する立体視画像処理装置は,撮像部101と,画像エンコード部132と,画像制御情報生成部133と,データ多重化部134と,記録媒体135と,データ分離部136と,画像デコード部137と,画像分離部138と,画像変換部139と,入力部151と,編集部152と,立体視表示部140とが備えられる。
撮像部101は,被写体を撮像する撮像素子(CCD)130−1および撮像素子130−2と,合成部131とを備える。なお,撮像素子130−1と撮像素子130−2とを,一体化して,一組の撮像素子130から構成することも実施可能である。上記の場合,光学アダプタ105等を備えることで可能となる。
撮像素子130−1により撮像された左眼からの視点の画像(L画像。)と,撮像素子130−1により撮像された右眼からの視点の画像(R画像。)とが,合成部131に伝送される。なお,図9に示す立体視画像処理装置は,2視点の場合を例に挙げて説明するが,かかる例に限定されず,複数の視点の場合であっても実施可能である。
合成部131は,伝送された各視点画像(L画像,R画像)を合成し,結合画像を生成する。なお,図9に示す結合画像は,L画像とR画像とが左右に隣り合わせとなっているが,かかる例に限定されず,例えば,L画像とR画像とが上下に隣り合わせの場合であってもよい。上記結合画像については,後述する。
上記結合画像は,画像エンコード部132によりエンコードされる。上記エンコードは,例えば,JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式などが例示される。
画像制御情報生成部133は,上記結合画像から立体視画像に変換等するためのタグ情報(以下,画像制御情報)を生成する。画像制御情報は,撮像部101の撮像時の露出,日時,フラッシュの有無などの撮像情報,または立体視表示部140に適当な立体視画像を生成するための情報等が含まれる。例えば,表示画面上の1ラインごとに左右画像(L画像,R画像)を表示するための情報などが例示される。
データ多重化部134は,画像エンコード部132から伝送される結合画像と,画像制御情報生成部133から伝送される画像制御情報とを多重化する。多重化された結合画像および画像制御情報は,記録媒体135に記録される。
記録媒体135は,データを読書き可能な記憶デバイスであり,例えば,HDD装置(ハードディスクドライブ装置),CD−RW(ReWritable),DVD−RAM(DVD−Random Access Memory),EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory),またはメモリスティック(登録商標)などが例示される。
データ分離部136は,記録媒体135に記録された結合画像および画像制御情報をそれぞれ取得する。データ分離部136は,取得した結合画像を画像デコード部137に伝送し,画像制御情報を画像分離部138に伝送する。なお,結合画像データおよび画像制御情報は,記録媒体135の所定の場所(フォルダなど。)に記録されている。
なお,本実施の形態にかかるデータ分離部136は,記録媒体135から結合画像および画像制御情報を取得する場合を例に挙げて説明したが,かかる例に限定されず,例えば,記録先のフォルダが別々の場合や,結合画像と画像制御情報が別々に記録され,ネットワーク上のサーバ等から別々に取得する場合等であっても実施可能である。
画像デコード部137は,予めエンコードされた結合画像データをデコードし,画像分離部138に伝送する。
画像分離部138は,データ分離部136から伝送された画像制御情報に基づき,画像制御情報に指定された結合画像を取得し,各視点の画像(L画像,R画像)に分離する。なお,L画像とR画像に分離する際,結合画像のL画像とR画像の有効領域を切り出し,所定角度回転してもよい。分離した結果,L画像とR画像の画像の向きが同じになるようにする。
画像変換部139は,画像分離部138から伝送されたL画像,R画像とを,上記説明した通り,重ね合わせ等することにより,立体視画像に変換する。なお,画像制御情報に切出領域などが指定された場合,画像変換部139は,切出処理等して,立体視画像に変換する。なお,切出領域については,後述する。
立体視表示部140は,画像変換部139により合成された立体視画像を表示する。立体視表示部140は,後程説明するコンピュータ装置に備わるディスプレイなどの表示部,または投影してスクリーンに表示するプロジェクタ装置などを例示することができる。
なお,本実施の形態にかかる立体視表示部140は,立体視画像を表示する場合に限られず,例えば,2Dである静止画像,動画像などの表示,さらには音声の出力等をする場合,または立体視表示部140の代わりにプリントアウト手段を備え,アナグリフ方式の立体視画像を紙などの媒体に出力する等の場合であっても実施可能である。
入力部151は,ユーザから操作指示を受けることが可能なマウス,トラックボール,トラックパッド,スタイラスペン,またはジョイスティックなどのポインティングデバイスや,キーボードなどからなるが,かかる例に限定されない。
編集部152は,上記立体視画像の合成元であるL画像またはR画像のうち少なくとも一方を移動,回転する。上記回転移動処理により,L画像とR画像とに生じていた画像の上下方向の視差が補正される。
上記L画像とR画像とに生じていた画像の上下方向のずれが調整され,上記編集部152が,補正後のL画像とR画像を画像変換部139に伝送することで,補正後のL画像とR画像は立体視画像に再合成される。
上記入力部151からの指示に基づき,編集部152は,L画像のみ,R画像のみ,またはL画像とR画像の両方を,相対的に移動したり,回転したりすることができる。上記移動または回転等により視差を調整することで,編集部152は,特にL画像とR画像から生じる上下方向の視差の発生を抑え,自然な立体感を有する立体視画像にすることができる。なお,上下方向の視差(上下視差)とは,画像相互間に生じる上下方向の像のずれであり,垂直方向に生じる画像のずれはユーザの眼に多大な負担をかけ,違和感を生じる。
さらに,図10を参照しながら,図9に示す本実施の形態にかかる立体視画像処理装置の変形例について説明する。図10は,図9に示す立体視画像処理装置の変形例である。以下,図9に示す立体視画像処理装置との相違点について説明する。
図10に示すように,立体視画像処理装置は,図9に示す立体視画像処理装置と比べて,1つの撮像装置100が備わる点で異なる。さらに,撮像装置100は,光学アダプタ105を備えている点でも異なる。
したがって,光学アダプタ105を備えた撮像装置100は,1回の撮影(シャッター)で,左眼用の視点画像と右眼用の視点画像を撮像し,上記2視点画像からなる結合画像データを生成することができる。なお,2回のシャッターが押下され,2視点画像からなる結合画像データを生成しても良い。
(撮像装置100)
次に,本実施の形態にかかる撮像装置100について説明すると,撮像装置100は,少なくともレンズ103と撮像素子130を備え,上記レンズ103には,さらに光学アダプタ105が装着可能となっている。また,図9に示すように,撮像装置100は,撮像部101内に備わってもよく,撮像装置100は,合成部131を備えている場合でもよい。
また,本実施の形態にかかる画像エンコード部132,画像制御情報生成部133,データ多重化部134,および記録媒体135は,撮像装置100に備わらない場合を例に挙げて説明したが,かかる例に限定されず,例えば,画像エンコード部132,画像制御情報生成部133,データ多重化部134,もしくは記録媒体135等のうちいずれか1つまたは任意の組合せが撮像装置100に備わる場合であっても実施可能である。
(コンピュータ装置150)
図5に示すコンピュータ装置150は,図9に示す立体視画像処理装置に構成するデータ分離部136,画像デコード部137,画像分離部138,画像変換部139,入力部151,編集部152,および立体視表示部140を備える。なお,コンピュータ装置150は,画像エンコード部132,画像制御情報生成部133,データ多重下部134,記録媒体135をさらに備える場合でもよい。
コンピュータ装置150は,図1に示す光学アダプタ105が装着された撮像装置100によって撮影された結合画像データを取込む。または,コンピュータ装置150は,光学アダプタ105が装着されていない状態で撮影された画像データなどを取り込む。なお,本実施の形態にかかる撮像装置100は,例えば,ディジタルスチルカメラ,ディジタルビデオカメラなどが例示される。
さらに,コンピュータ装置150は,取込んだ結合画像データまたは連続的に撮影された2枚の画像データから立体視画像データを生成する。生成された立体視画像データは,立体視画像として立体視表示部140に表示される。
なお,撮像装置100からコンピュータ装置150に取り込まれる結合画像等の画像データには,画像制御情報生成部133により生成された画像制御情報が付与されている。
(立体視画像ファイル)
次に,図11を参照しながら,本実施の形態にかかる立体視画像ファイルについて説明する。図11は,本実施の形態にかかる立体視画像ファイルのデータ構造の概略を示す説明図である。
図11に示すように,立体視画像ファイルは,例えば,ファイル名が“ファイル1.jpg”など,拡張子が“.jpg”のJPEG形式の圧縮データファイルである。
また,立体視画像ファイルは,DCF(Design rule for Camera File system)規格に準拠して記録し,これにアプリケーション・マーカセグメント(APP1)を挿入する。
APP1は,立体視画像ファイルの始まりを示すSOI(Start Of Image)マーカの直後に配置される。
さらに,APP1の直後には,結合画像データが配置され,最後に立体視画像ファイルの終了を示すEOI(End Of Image)が配置される。なお,結合画像については,後程説明する。
上記APP1の領域には,図11に示すように,Exif(Exchangeable image file format)の識別情報,および付属情報本体(Tiff header,IFD0,IFD1)から構成される。これら全てを含むAPP1の大きさは,JPEGの規格により64kByteを越えてはならない。
付属情報は,File Header(Tiff header)を含むTiffの構造をとり,最大二つのIFD(IFD0(0th IFD),IFD1(1st IFD))を記録できる。なお,IFDは,“Image File Directory”の略である。
IFD0は,圧縮されている画像(主画像)または立体視画像(3D画像)などに関する付属情報を記録する。図11に示すように,IFD0領域には,Exif IFDのポインタが入るExifポインタ部と,GPS IFDのポインタが入るGPSポインタ部と,3D IFDのポインタが入る3Dポインタ部とが配置される。
さらに,IFD0領域には,各ポインタ部の後に,Exif IFDと,Exif IFD Valueと,GPS IFDと,GPS IFD Valueと,3D IFDと,3D IFD Valueとが配置される。
Exif IFDおよびExif IFD Valueには,画像データの特性,構造,ユーザ情報,撮影条件,もしくは日時等に関連するタグまたはタグ値が記録される。例えば,ユーザコメントのためのタグ“UserComment”タグ,露出時間を示すためのタグ“ExposureTime”,フラッシュの有無を示すためのタグ“Flash”タグなどが例示される。
GPS IFDおよびGPS IFD Valueには,GPS(global positioning system)に関するタグまたはタグ値が記録される領域である。例えば,緯度を示すタグ“GPSLatitude”,高度を示すタグ“GPSAltitude”などが例示される。
上記3D IFDおよび3D IFD Valueに,3D画像である立体視画像に変換するための処理等を制御する画像制御情報に関するタグまたはタグ値(Value)が記録される。なお,画像制御情報については,後程詳述する。また,本実施の形態にかかる結合画像ファイルのデータ構造についても,上記立体視画像ファイルとほぼ同様である。
なお,本実施の形態にかかる立体視画像ファイルのデータ構造は,かかる例に限定されず,他のデータ構造である場合であっても実施することが可能である。例えば,立体視画像用ファイルのデータ構造がJPEGデータからなる場合,各JPEGデータには,JPEGヘッダと圧縮画像データとEOI(End Of Image)とが含まれる場合でもよい。上記JPEGヘッダには,SOI(Start Of Image)や色管理情報等の付属情報が存在する。また,視点画像データの視点番号などの視点情報は,例えば,各々のJPEGヘッダに存在させることもできる。視点が異なる複数の視点画像は,ファイルヘッダとそれに続く複数のJPGEデータとその全体の終わりを示すファイルエンド情報とすることができる。全体に対するヘッダを存在させない場合(結合画像の場合)には,視点情報が,JPEGヘッダ内(アプリケーションマーカー/IFD)に格納される。
(画像情報)
本実施の形態にかかる立体視画像ファイルは,少なくとも撮影または記録等により生成される主画像となる視点画像データと,画像制御情報とから構成されている。なお,視点画像データ,画像制御情報については,DCF規格に規定されている。
(画像フォーマット)
次に,図12を参照しながら,本実施の形態にかかる結合画像データについて説明する。図12は,本実施の形態にかかる結合画像データの概略的な構成を示す説明図である。
図12(a)および図12(b)に示すように,本実施の形態にかかる視差画像データは,左眼用の視点画像(L画像),右眼用の視点画像(R画像)とから構成されている。なお,L画像およびR画像は,各視点において撮像された視点画像である。静止画像である上記視点画像から3Dの立体視画像に合成される。
上記結合画像データは,1つの画像に,L画像データおよびR画像データが一体となるように構成される画像データである。したがって,結合画像データは,視差画像データと比べて,複数の視点画像から構成されている点では共通するが,特に各視点画像が別個・独立していない点で,視差画像データとは,大きく異なる。結合画像のL画像およびR画像は,結合され,一体化されている。
図12(a)に示す結合画像350−1は,水平方向,左右にL画像とR画像とが両隣に並ぶように構成される。また,図12(b)に示す結合画像350−2は,垂直方向,上下にL画像とR画像とが一体的に結合されている。
なお,本実施の形態にかかる結合画像は,2視点である場合を例に挙げて説明したが,かかる例に限定されず,複数視点から撮影した画像を一枚の結合画像に結合して記録する場合であっても実施可能である。
また,図12(c)に示すように,垂直方向上下に結合された上記結合画像350−2の他に,全部で合計4つのパターンの結合画像(350−3,350−4,350−5,350−6)が存在する。
図12(c)に示す結合画像(350−3,350−4,350−5,350−6)は,垂直方向上下に結合された上記結合画像350−2の配置形式から,上下の画像を一体化した状態で,左右に倒すことで配置されている(時計方向右回りに90度回転,または時計方向左回り90度回転。)。
結合画像(350−3,350−4,350−5,350−6)は,図12(b)に示す結合画像350−2よりも,特に横×縦のアスペクト比が,3:4等のディスプレイに結合画像を画面に表示する際,収まりがよく,1画面内に表示することが出来る。
また,上記結合画像(350−3,350−4,350−5,350−6)は,立体視画像に合成等するための画像制御情報とともに記録媒体135に記録されているため,ネットワーク等を介して,結合画像と画像制御情報を配信することが容易にできる。
なお,結合画像(350−3,350−4,350−5,350−6)と画像制御情報が相互にリンクされていれば記録方法については,限定されない。例えば,同一ファイル内に結合画像と画像制御情報を記録する場合や,ネットワークに接続された別々のサーバに結合画像と画像制御情報が別々に記録される場合等でも実施可能である。
また,結合画像(350−3,350−4,350−5,350−6)を水平方向に圧縮することで,結合画像から立体視画像に合成し,表示する際には,回転して元に戻した状態の画像の垂直成分のみが圧縮された状態となるので,水平方向の画質を劣化させることなく立体視画像を表示することができる。
結合画像(350−3,350−4,350−5,350−6)のうち,どの配置パターンで保存するかについては,2つの指定パターンがある。1つ目のパターンは,各結合画像(350−3,350−4,350−5,350−6)のそれぞれについて,“1”,“2”,“3”,“4”などのIDを付与することで配置パターンを指定するパターンである。
2つ目のパターンは,結合画像(350−3,350−4,350−5,350−6)のうち,まず結合画像(350−3,350−5)または結合画像(350−4,350−6)のどちらであるかを指定し,さらに右視点画像(R画像)が右側であるのか左側に配置されるのかを指定するパターンである。
結合画像350−3は,図12(b)に示す結合画像350−2を左側に倒した状態の画像である。さらに結合画像350−3は,図12(c)に示すように,左側にR画像,右側にL画像が配置された構成の画像である。また,左側のR画像と右側のL画像とともに,画像の向き(天地)は,上側が水平左方向であり,下側が水平右方向である。
結合画像350−4は,図12(b)に示す結合画像350−2を左側に倒した状態での画像である。さらに結合画像350−4は,図12(c)に示すように,左側にL画像,右側にR画像が配置された構成の画像である。また,左側のL画像と右側のR画像とともに,画像の向き(天地)は,上側が水平右方向であり,下側が水平左方向である。
結合画像350−5は,結合画像350−3の状態から,画像の向きはそのままにして,L画像とR画像を左右入替えた状態の画像となっており,結合画像350−6は,結合画像350−4の状態から,画像の向きはそのままにして,L画像とR画像を左右入替えた状態の画像となっている。
図12(c)に示す結合画像(350−3,350−4,350−5,350−6)は,各視点画像であるR画像,L画像の画枠を,例えば縦×横が3:4等のワイド画像にしても,1画面内に左右並べて表示することが可能であり,さらにR画像とL画像をそれぞれ90度回転することで,合成後の立体視画像もワイドな画像に表示される。以下,特に明記されない場合,結合画像は,図12(c)に示す画像のいずれかを示すものとする。
(複数視点の視点画像)
ここで,図13を参照しながら,本実施の形態にかかる複数の視点から撮像した場合の視点画像について説明する。図13は,本実施の形態にかかる複数の視点から撮像した場合の視点画像の概略的な構成を示す説明図である。
図13(a)に示すように,被写体230に対して複数台の撮像装置100(100−1,100−2,100−3,…,100−6)が配置されている。撮像装置100を識別するために,各撮像装置100に対して視点位置が付される。
なお,本実施の形態にかかる撮像装置100(100−1,100−2,100−3,…,100−6)は,6つの視点から撮影するために,配置される場合を例に挙げて説明するが,1又は2以上の撮像装置100が配置される限り,かかる例に限定されない。
上記視点位置は,図13(a)に示すように,水平方向(x),垂直方向(y)の(x,y)座標に基づき,撮像装置100−1である左上から順にA1,A2,A3,…と表わされる。例えば,A1は,座標で表わすと,(水平方向座標,垂直方向座標)=(1,0)などとなる。
したがって,撮像装置100から撮像された視点画像に各視点の視点位置が付加されることで,どの視点から撮像された視点画像であるか,識別することが可能となる。
例えば,撮像装置100の視点位置が“A1”の場合,図13(b)に示すように,撮像装置100により撮像された視点画像の視点位置も“A1”である。
したがって,撮像装置100の画像制御情報生成部133は,画像制御情報を生成し,上記画像制御情報における所定のタグのフィールドに,上記視点位置“A1”(1,0)を設定する。上記視点位置にかかる所定のタグについては後述する。
(画像制御情報)
本実施の形態にかかる結合画像データから立体視画像データに合成し,表示するためには,上記説明したように,タグ情報としての画像制御情報を例えば,ハードディスク,記録媒体などに記録する必要がある。
次に,本実施の形態にかかる画像制御情報に関するタグについて説明する。本実施の形態にかかるタグには,3D画像であることを示す“3Dタグ”,上記画像制御情報のサイズを示す“画像制御情報サイズタグ”,3D画像のサイズを示す“3D画像サイズタグ”,使用者が任意のデータを管理等できる“使用者データ領域タグ(ApplicationData)”,データ構成種別を管理するための“データ構成種別タグ”,または上記画像制御情報のバージョンを示す“画像制御情報バージョンタグ”等のタグが存在する。画像制御情報に含まれるタグを用いることによって,適当な立体視画像を生成したり,編集したり様々な処理を施すことができる。
また,さらに本実施の形態にかかる画像制御情報にかかるタグには,例えば図13に示した“A1”〜“B3”の視点位置を示すためのタグ(視点位置タグ),3D画像が結合画像であるか否か等を示す“結合画像タグ”,3D画像の回転状況等を示す“回転タグ”,3D画像から所定領域切り出された切出領域の水平方向のサイズを示す“切出サイズタグX(CropSizeX)”,3D画像から所定領域切り出された切出領域の垂直方向のサイズを示す“切出サイズタグY(CropSizeY)”,3D画像における切出領域の水平方向のオフセットを示す“切出オフセットタグX(CropOffsetX)”,または3D画像における切出領域の垂直方向のオフセットを示す“切出オフセットタグY(CropOffsetY)”が存在する。なお,“CropOffsetX”,“CropOffsetY”は,複数の視点から3D画像がなる場合,各視点のオフセットを示す。
また,さらに本実施の形態にかかる画像制御情報にかかるタグには,3D画像における有効領域の水平方向のサイズを示す“有効サイズタグX(ValidSizeX)”,3D画像における有効領域の垂直方向のサイズを示す“有効サイズタグY(ValidSizeY)”,3D画像における有効領域の水平方向のオフセットを示す“有効オフセットタグX(ValidOffsetX)”,または3D画像における有効領域の垂直方向のオフセットを示す“有効オフセットタグY(ValidOffsetY)”が存在する。なお,“有効オフセットタグX”,“有効オフセットタグY”は,複数の視点から3D画像がなる場合,各視点のオフセットを示す。
また,さらに本実施の形態にかかる画像制御情報にかかるタグには,3D画像(立体視画像)を表示可能な立体視表示部140に,適正なサイズの立体視画像を表示するためのタグである“想定表示サイズタグ”,または立体視画像の注目参照点を示すための“リマークポイントタグ”などが存在する。
たとえば,上記“回転タグ”は,3バイトからなる。なお,“回転タグ”は,結合画像における各視点画像の回転角,左右ミラー反転の有無を示し,0〜7のいずれかの値が設定される。0〜7の値に応じて回転角,ミラーの有無が決定する。
また,“CropOffsetX”は,各視点6バイトからなるタグである。したがって,例えば2視点の場合は,12バイトとなる。なお,“CropOffsetX”は,切出領域の水平方向のオフセットを示す。切出領域の水平方向のオフセットは,水平方向の切出領域の開始位置(始点)を示す。
“CropOffsetY”は,各視点6バイトからなるタグである。したがって,例えば2視点の場合は,12バイトとなる。なお,“CropOffsetY”は,切出領域の垂直方向のオフセットを示す。各視点の画像の上下ずれ補正量も含み,ずれ量が不明の場合は,上記“CropOffsetY”には,“0”の値が設定される。切出領域の垂直方向のオフセットは,垂直方向の切出領域の開始位置(始点)を示す。切出領域の垂直/水平方向のオフセットが定まることにより,切出領域の開始位置が定まる。
“ValidSizeX”は,各視点6バイトのタグである。なお,“ValidSizeX”は,結合画像から3D画像に変換することが可能な領域を示す有効領域の水平方向のサイズである。
“ValidSizeY”は,各視点6バイトのタグである。なお,“ValidSizeY”は,有効領域の垂直方向のサイズである。
“ValidOffsetX”は,各視点6バイトのタグである。例えば,3視点の場合は,18バイトである。なお,“ValidOffsetX”は,有効領域の水平方向のオフセットである。有効領域の水平方向のオフセットは,水平方向の有効領域の開始位置(始点)を示す。
“ValidOffsetY”は,各視点6バイトのタグである。例えば,3視点の場合は,18バイトである。なお,“ValidOffsetY”は,有効領域の垂直方向のオフセットである。有効領域の垂直方向のオフセットは,垂直方向の有効領域の開始位置(始点)を示す。
“想定表示サイズタグ”は,4バイトのタグである。なお,“想定表示サイズタグ”のタグのフィールドには,例えば,立体視表示部140の種類と大きさが設定される。立体視表示部140の大きさは,本実施の形態ではインチ(inch)により表されるが,係る例に限定されない。
“リマークポイントタグ”は,6バイトのタグである。なお,“Remarkpoint”は,立体視画像の注目点を示すためのタグである。
立体視表示部140に立体視画像を表示する場合,立体視表示部140の中心点には,参照注目点に該当する立体視画像が表示される。したがって,立体視表示部140の中心点と,立体視画像の注目点とは一致する。
“リマークポイント”のタグから注目点が設定されることにより,例えば,立体視画像の大きさよりも立体表示部140が小さい場合,立体視画像全体を表示することはできないが,立体視画像を少なくとも部分的に視認することが可能となる。
次に,本実施の形態にかかる立体視画像処理装置における回転及び/又は移動処理の説明をする。
(回転/移動補正)
本実施の形態にかかる立体視画像処理装置では,各視点画像を個別に回転及び/又は移動の微調整することで,立体視画像に生じた視差等を補正することができる。図14,図15,図16を参照しながら,本実施の形態にかかる回転移動補正について説明する。図14〜図16は,本実施の形態にかかる回転移動補正の概略的な構成を示す説明図である。なお,回転移動とは,視点画像を回転のみ,移動のみ,または移動と回転の両方のいずれかを示す。
まず,本実施の形態にかかる回転移動補正の処理方法として,図14に示すように,視点画像の向きのずれを解消するため,視点画像であるL画像とR画像の双方を,適当な角度それぞれ回転移動する処理がある。
図14(a)に示すように,視点画像であるL画像は,水平線500−1が傾いて撮影されており,L画像に対しての水平方向と,L画像の水平線500−1とが略平行とならず所定の角度を有している。なお,水平線500−1または水平線500−2(水平線500)は,視点画像に含まれる被写体に対して,例えば水平となる補助線である。
R画像についても,R画像に対しての水平方向と,R画像の水平線500−2が略平行とならず所定の角度を有している。したがって,L画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2とに対する鉛直線(矢印)の傾きは相違している。なお,L画像およびR画像の配置は,平行配置であるが,交差配置等でもよい。
また,図14(a)に示すL画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2は,ずれており,双方の水平線は一致していない。上記L画像の水平線500−1は右上がり(右斜め上方向)に傾いており,上記R画像の水平線500−2は右下がり(左斜め上方向)に傾いている。したがって,図14(a)に示すL画像とR画像とから立体視画像に合成しても,上下に視差が生じるため立体視を困難または不可能にし,たとえ上下視差の程度が少なく融像し,鑑賞可能であっても眼精疲労の大きな原因となっていた。これは,特に複数台の撮像装置100で撮影する場合や,1台の撮像装置100で複数回シャッターする場合等には,各視点画像間のカメラ方向,傾きを厳密に制御することは難しく上記のような上下視差が発生する事態が多く発生する。
双方の画像を一致させるために,図14(a)に示すL画像を“a”度右回りに回転し,R画像を左回りに“b”度回転し,必要に応じて上下左右方向に移動することで,図14(b)に示すように,L画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2の傾きがほぼ等しく,図14(a)と比べて,L画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2とのずれは極めて少なくなっている。
上記説明のように,L画像およびR画像が回転等による微調整後,双方の画像が合成されると,図14(c)に示すように,上下視差は解消され,適当な立体感があり,視認性の高い立体視画像を立体視表示部140に表示することができる。なお,図14(c)に示す水平線500は,水平線500−1と水平線500−2が合成されたものである。
次に,本実施の形態にかかる回転移動補正の処理方法として,図15に示すように,視点画像の向きのずれを解消するため,視点画像であるL画像とR画像のうち,L画像を固定し,R画像を適当な角度回転し,または移動する処理方法が存在する。
図15(a)に示すように,L画像は,水平線500−1が傾いて撮影されており,L画像の水平方向と,L画像の水平線500−1とが平行とならずに,所定の角度を有している。
R画像についても,R画像の水平方向と,R画像の水平線500−2が平行とならず所定の角度を有している。また,L画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2とに対する鉛直線(矢印)の傾きは相違している。なお,L画像およびR画像の配置は,平行配置であるが,交差配置等でもよい。
また,図15(a)に示すL画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2は,ずれており,双方の水平線の傾き角度は相違している。上記L画像の水平線500−1は右上がり(右斜め上方向)に傾いており,上記R画像の水平線500−2は右下がり(左斜め上方向)に傾いている。したがって,双方の画像の向きは相違しており,上記説明の通り,図15(a)に示すL画像とR画像とから立体視画像に合成しても,上下に視差が含まれる蓋然性が極めて高く,立体感のある立体視画像が表示されない。
図15(a)に示すL画像をそのままの状態にし,R画像を左回りに“d”度回転し,必要に応じて上下左右に移動することにより,図15(b)に示すように,L画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2の傾き角度がほぼ等しく,図15(a)と比べて,L画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2とのずれは極めて少なくなっている。つまり,双方の視点画像の向きを一致させることで,上下の視差の発生が極力抑えられる。
上記説明のように,L画像またはR画像の回転移動による微調整後,双方の画像が合成されると,図15(c)に示すように,適当に立体感のある,見やすい立体視画像が立体視表示部140に表示される。なお,図15(c)に示す水平線500は,水平線500−1と水平線500−2が合成されたものである。このように上下視差さえ解消して合成すれば水平線を必ずしも水平に表示することにこだわる必要はない。
なお,図14(b)に示すL画像の水平線500−1およびR画像の水平線500−2と比べて,図15(b)に示すL画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2は,相対的に傾きが大きい。しかし,上下方向の視差の発生を最小限に少なくすることができるため,図15(b)に示すL画像およびR画像から立体視画像に合成しても,3D画像として適当な立体感のある立体視画像を表示することが出来る。
さらに,本実施の形態にかかる回転移動補正の処理方法として,図16に示すように,双方の視点画像のずれを解消するため,視点画像であるL画像とR画像のうち,R画像を固定し,L画像を適当な角度回転し,または移動する処理方法が存在する。
図16(a)に示すように,L画像は,水平線500−1が傾いて撮影されており,L画像の水平方向と,L画像の水平線500−1とが略平行とならず所定の角度を有している。
R画像についても,R画像の水平方向と,R画像の水平線500−2が略平行とならず所定の角度を有している。また,L画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2とに対する鉛直線(矢印)の傾きは相違している。なお,L画像およびR画像の配置は,平行配置であるが,交差配置等でもよい。
また,図16(a)に示すL画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2は,ずれており,双方の水平線は一致していない。上記L画像の水平線500−1は右上がり(右斜め上方向)に傾いており,上記R画像の水平線500−2は右下がり(左斜め上方向)に傾いている。したがって,双方の視点画像の向きは相違しており,上記説明の通り,図16(a)に示すL画像とR画像とから立体視画像に合成しても,上下に視差が発生している蓋然性が極めて高く,立体感のある立体視画像が表示されない。
図16(a)に示すR画像をそのままの状態にし,L画像を右回りに“c”度回転し,必要に応じて,上下左右方向に移動することで,図16(b)に示すように,L画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2の傾きの角度がほぼ一致し,図16(a)と比べて,L画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2とのずれは極めて少なくなっている。つまり,双方の画像の向きを一致させることで,上下方向に発生していた視差を,無くすことができる。
上記説明のように,L画像およびR画像の回転移動による微調整後,双方の画像が合成されると,図16(c)に示すように,3D画像として適当な立体感のある,見やすい立体視画像が立体視表示部140に表示される。なお,図16(c)に示す水平線500は,水平線500−1と水平線500−2が合成されたものである。
なお,図14(b)に示すL画像の水平線500−1およびR画像の水平線500−2と比べて,図16(b)に示すL画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2は,相対的に傾きが大きい。しかし,上下の視差の発生を最小限に抑えることができるため,図16(b)に示すL画像およびR画像から立体視画像に合成しても,3D画像として適当な立体視画像を実現することが出来る。
図14〜図16に示すL画像またはR画像の回転移動補正は,立体視表示部140の表示画面に表示される回転移動設定画面510に回転角度等を設定することにより,行われる。なお,本実施の形態にかかる回転移動設定画面510については後程詳述する。
(回転移動設定画面)
次に,図17を参照しながら,本実施の形態にかかる回転移動設定画面について説明する。図17は,本実施の形態にかかる回転移動設定画面の概略的な構成を示す説明図である。
入力部151により,図17(a)に示す回転移動設定画面510に回転角度等を設定することにより,視点画像(L画像,R画像)の回転や,移動の微調整を行うことができる。なお,光学アダプタ105を使用する場合,予め台形歪補正などの画像ひずみ処理は済ませておく。
図17(a)に示す回転移動設定画面510には,L画像(左)の視点画像の回転を選択するチェックボックス511と,L画像(左)の視点画像の回転角度を設定する入力ボックス512と,R画像(右)の視点画像の回転を選択するチェックボックス513と,R画像(右)の視点画像の回転角度を設定する入力ボックス514とが表示されている。
さらに,図17(a)に示す回転移動設定画面510には,L画像及び/又はR画像を上下方向,左右方向に移動させるための「上」ボタンと,「下」ボタンと,「右」ボタンと,「左」ボタンと,回転する角度が1度刻みである回転調整ボタン516と,回転する角度が0.5度刻みである回転調整ボタン517と,回転する角度が0.1度刻みである回転調整ボタン518と,回転する角度が0.05度刻みである回転調整ボタン519と,回転調整ボタン516〜回転調整ボタン519による回転方向を時計回転方向または逆時計回転方向に設定する方向チェックボックス515とを少なくとも備える。
図17に示すように,L画像またはR画像を回転微調整する場合,チェックボックス511と,チェックボックス513にマウスのクリックなどで,レ点が表示されるようにチェックし,入力ボックス512には“a”度,入力ボックス514には“−b”度と設定される。
“a”度と,“−b”度が設定されると,画像分離部138により結合画像データから切出処理等されたL画像データとR画像データについて,編集部152は,図14(b)に示すように,L画像データを,右回りに“a”度回転し,R画像データを,左回りに“b”度回転する。
なお,L画像またはR画像を回転微調整する場合,チェックボックス511をチェックし,回転調整ボタン516〜回転調整ボタン519のうち少なくとも一つを,マウス(図示せず。)などにより,“a”度になるまで複数回クリックしても,L画像を右回りに“a”度回転することができる。
L画像と同じく,R画像についてもチェックボックス513をチェックし,さらに方向チェックボックス515をチェックし,回転調整ボタン516〜回転調整ボタン519のうち少なくとも一つを,マウスなどの入力部151により,“−b”度になるまで複数回クリックすることで,編集部152はL画像を左回りに“−b”度回転することができる。
さらに,図17(b)に示すように,L画像またはR画像を回転微調整する場合,つまみ部521を,例えば,矢印a方向または矢印b方向に回転する(ひねる)ことで,L画像またはR画像を回転させることができる。なお,上記つまみ部521は,入力部151に含まれる。
したがって,図17(a)に示す回転調整ボタン516〜回転調整ボタン519をクリックする必要がなく,または入力ボックス512や,入力ボックス514に回転角度の数値を設定する必要がないため,効率的に回転補正の処理をすることができる。
上記つまみ部521は,矢印aまたは矢印b方向に回転する(ひねる)角度によって,例えば,0.5度単位に,L画像またはR画像が回転する角度を調節することができる。
本実施の形態にかかるつまみ部521は,L画像またはR画像が回転する角度を調節することが可能であれば,かかる例に限定されず,例えば,ダイヤル,ジョグダイヤルなどの場合であってもよい。
次に,編集部152によりL画像とR画像の回転移動が終了すると,画像変換部139によりL画像とR画像が合成され,立体視画像が生成される。なお合成前に,L画像の水平線500−1とR画像の水平線500−2が一致しているか否かを確認するために,立体視画像の一部分を拡大することができる。
図18を参照しながら,本実施の形態にかかる拡大表示画面を説明する。図18は,本実施の形態にかかる拡大表示画面の概略的な構成を示す説明図である。
図18に示すように,拡大表示画面530には,立体視画像のうち水平線500の周辺が部分的に選択され,水平線500−1と水平線500−2が拡大表示されている。
立体視画像の全体表示では,水平線500−1と水平線500−2の傾きが異なっていることが把握することが難しいが,上記拡大表示画面530を用いることで,水平線500−1と水平線500−2が一致しているか否かを確認することが容易となる。
編集部152は,回転移動したR画像データとL画像データを画像変換部139に伝送する。画像変換部139は,R画像データとL画像データとから立体視画像データを生成することにより,表示画面に補正後の立体視画像が表示される。
(回転補正処理)
ここで,図19を参照しながら,本実施の形態にかかる回転移動補正処理について説明する。図19は,本実施の形態にかかる回転移動補正処理の概略的な動作を示すフローチャートである。
図19に示すように,まず,入力部151からの指示に基づき,編集部151は,回転移動補正処理をするために,上記説明した通り,L画像およびR画像に,水平線500−1と水平線500−2をそれぞれ設定する(S700)。
なお,本実施の形態にかかる水平線の設定(S700)は,L画像およびR画像それぞれに,水平線500を設定する場合を例に挙げて説明したが,かかる例に限定されず,例えば,水平線以外にも補助線等を設定する場合でも実施可能である。上記補助線は,L画像およびR画像の任意の個所にそれぞれ設定される場合,またはL画像およびR画像に共通して存在する対応点を通過する補助線等の場合である。上記補助線,対応点については後述する。なお,操作者が水平線500に相当する対応線を認識してさえいれば,水平線の設定処理(S700)を実行しなくてもよい。
また,本実施の形態にかかる水平線または補助線の色は,各視点画像に応じて,異なる場合でもよい。例えば,L画像の水平線または補助線の色は青色であり,R画像の水平線または補助線の色は赤色である場合でもよい。
次に,水平線500がL画像およびR画像に設定されると,上記説明したように,L画像とR画像を立体視画像に合成するため,例えば,R画像に設定された水平線500の傾きと同じ角度や,水平線500の傾きが水平になるまで等,水平線500が適当な角度になるまで,入力部151からの指示に基づき編集部152はL画像またはR画像を回転する(S701)。
画像の回転処理(S701)が終了すると,最後の微調整として,編集部152は,適当な地点までL画像またはR画像を上下左右にずらす(S702)。なお,上下(上方向または下方向)に移動することで,主に上下方向の視差が調整され,左右方向(左方向または右方向)に移動することで,主に左右方向の視差が調整される。上記左右方向の視差の調整により,立体表示の強度を調節することができる。立体表示の強度は,3Dの飛び出し等,立体感の度合いである。
上記上下左右の移動処理(S702)後,さらに回転/移動処理があれば(S703),上述の画像の回転(S701)を実行することができる。また,上記移動処理(S702)後,他に処理する必要がなければ,本実施の形態にかかる回転移動補正処理の一連の動作が終了する。なお,上下左右の移動処理(S702)の終了後,L画像とR画像を合成することにより,3D表示するのに適当な立体視画像を生成することができる。なお,本実施の形態にかかる最初の画像の回転処理(S701)を実行後,以降の上下左右の移動(S702),終了(S703),画像の回転処理(S701)の間の処理を自動的にループ処理しても実施可能である。
本実施の形態にかかる回転移動補正処理をすることにより,少なくとも2視点以上の視点画像を撮影する際に,手ブレなどにより,撮像装置100が傾いてしまった場合でも,適当な立体視画像を生成することができる。なお,従来では,撮影の失敗による上記手ブレの画像などは,画像データごと消去される場合が多かった。
なお,本実施の形態にかかる回転補正にて用いられた視点画像の回転角度,位置などの情報は,立体視画像を記録媒体135に保存後,変更することができない場合であっても実施可能である。特に,回転角度の情報については,変更不可にすることで,眼精疲労を招く立体視には不適な立体視画像を生成しないよう未然に防ぐことができる。
また,本実施の形態にかかる視点画像の回転角度,位置などの情報は,タグに設定する場合であっても実施可能である。上記タグは,例えば,“回転タグ”等を例示することができ,さらには,回転補正のための“回転補正タグ”を設ける場合であってもよい。上記“回転補正タグ”には,例えば,視点画像ごとに,回転角度,または位置などの情報が設定される。
(対応点)
次に,本実施の形態にかかる対応点を含む画像の回転補正について,図20を参照しながら説明する。図20は,本実施の形態にかかる対応点を含む画像の回転移動補正の概略を示す説明図である。
図20(a)に示すように,R画像の対応点518−2を通過する水平軸522−1とL画像の対応点518−1を通過する水平軸522−2は,y軸方向(垂直方向)に上下にずれている。なお,図20に示すx軸(水平,横方向)およびy軸(垂直,縦方向)は,例えば,立体視表示部140の画面の横方向および縦方向等に該当する。
また,対応点は,同一被写体として各視点画像で対応が一致する点である。例えば,2視点の場合,同一被写体として左視点画像(L画像)と右視点画像(R画像)との対応が一致する点である。なお,通常,対応点は,ほぼ各視点画像内の全ての点に対し存在するが,全ての視点画像上に必ずしも対応点が存在するとは限らない。したがって,部分的に対応点が存在しない領域が発生する場合がある。
なお,本実施の形態に係る対応点とは,視点画像内のある領域に存在する対応点の集合体を表わしてもよい。上記対応点の集合の占める領域の大きさ,形状等は,各視点画像に撮影された被写体を対応付けることが可能であれば,かかる例に限定されず,任意の大きさ,形状等の領域でもよい。
例えば,複数の視点画像に同一被写体のコップが撮影されている場合,対応点をコップの開口部の縁(または縁の任意の点)に対して考えると,一の視点画像に撮影された上記開口部の縁の画像内に存在する対応点の占める領域と,他の視点画像に撮影された上記開口部の縁の画像内に存在する対応点の占める領域とは,大きさ,形状等が,ほぼ同程度に一致する。
なお,対応点を設定する際には,視点画像を全て画面に表示した上で,各視点画像のコントラストを上げる,または2値画像にすることで,適当な対応点を検出し,設定を容易にすることができる。なお,画像の2値化は,例えば視点画像の各画素の輝度(明るさ)に対して1又は2以上の閾値を設け,閾値以下ならば“0”(黒),閾値より大きければ“1”(白)等とすることである。
したがって,画像調整画面(図示せず。)から,視点画像のコントラストを上げるための「コントラストUPボタン」,または視点画像を白黒の2値画像にするための「2値ボタン」等のボタンをマウスなどの入力部151で選択することにより,対応点の検出を容易にする。
対応点が視点画像であるL画像とR画像とが,お互い相対的に立体視表示部140の画面垂直方向に,ずれていた場合,図20(a)に示すL画像とR画像とから合成される立体視画像は,上下方向に視差が発生してしまい,ユーザは,眼精疲労を及ぼす。人間は,左右に眼が備わるため,水平方向の視差よりも垂直方向に発生する視差に対しては,眼に疲労感を及ぼしてしまうためである。
入力部151により,図17に示す画像設定画面510の所定事項を設定し,編集部152は,図20(a)に示すL画像およびR画像の対応点を通過する補助線520を右回り方向(矢印a)に回転する。なお,図20(a)に示す補助線520は,y軸上と角度α度有するように交差している。
なお,本実施の形態にかかる補助線520を回転させる際の中心は,補助線520とy軸との交点の場合を例に挙げて説明するが,中心が補助線520上に存在すれば,かかる例に限定されない。
次に,補助線520を回転させると,図20(b)に示すように,補助線520は,x軸に対して平行となる。さらに微調整するため,対応点を中心としてL画像,R画像を回転する。なお,補助線520の回転につらなって,上記補助線520を通過するように上記L画像およびR画像についてもお互い並行するように回動する。
また,必要に応じて,例えば,補助線520の傾きを水平に微調整する場合や,L画像またはR画像を上下左右に微調整で移動する場合など,図17に示す「上」ボタン,「下」ボタン,「左」ボタン,「右」ボタンをマウスのクリックなどで押下する。
上記クリックなどの押下により,L画像またはR画像を上下左右に動かし,L画像とR画像との画像の中での対応点518−1と518−2とを,さらに詳細に微調整することで,補助線520の傾きが,x軸に対して水平となる。
図20(b)に示すように,L画像およびR画像の対応点の位置がともに,y軸上同じ位置であることから,垂直方向(y軸)の上下の視差が無くなる。したがって,図20(b)に示すL画像およびR画像から立体視画像を生成すると,視認性の極めて高く,かつ眼の負担が少ない,適正な立体的な画像が立体視表示部140に表示される。
回転移動設定画面510からの視点画像の回転または上下左右の移動により,立体視画像の上下方向の視差量を極小化することが可能となる。上下の視差は,水平方向の視差よりも眼の疲労等に,大きく影響を及ぼす。したがって,上下方向の視差量を極小化することで,眼の疲労を抑えることが可能となる。
以上から,全ての視点画像は,台形歪みがない限り,本実施の形態にかかる対応点を通過するような補助線または水平線を視点画像に設定し,視点画像を回転または上下左右に移動することにより,水平視差を有する,自然で視認性の良好な立体視画像を生成することができる。
なお,本実施の形態にかかるL画像およびR画像に設定された対応点を通過する補助線が回転することで視点画像の上下の視差を無くす場合を例に挙げて説明したが,かかる例に限定されず,例えば,R画像もしくはL画像のうちいずれか一方または双方を回転移動させる場合であっても実施可能である。なお,上記の場合,L画像およびR画像とはお互い水平視差を維持するため平行関係を保つようにする。また,L画像,R画像を回転させる際,適当な個所を回転の中心点とすることができる。
また,本実施の形態にかかる対応点が上下方向に発生する,ずれを解消するために,双方の画像に該当する対応点をマッチング(対応点マッチング)することで,自動的に立体視画像の上下の視差を解消することも実施可能である。
まず対応点を,双方の視点画像を2値化などすることで抽出する。なお,上記対応点は,例えば各視点画像3個ずつ抽出される。さらに,上記抽出された対応点同士がマッチングする(一致する)ように,対応点ごとに上記説明の回転移動補正を自動的に行う。すべての対応点が一致しない場合には,いずれか1つの対応点が一致するように視点画像が回転移動する場合や,水平方向のずれは所定量有した上で全ての対応点が上下方向のずれの発生が最小限になるよう視点画像が回転移動する場合等でもよい。
以上から,各視点画像に含む対応点が上下方向によるずれの発生を最大限に防げるため,双方の視点画像の合成により生成される立体視画像は,立体感があり,視認性の高い,3D画像となる。
なお,本実施の形態にかかる視点画像の回転移動補正処理は,2視点画像の場合を例に挙げて説明したが,かかる例に限定されず,複数の視点画像の場合であっても実施可能である。
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例を想定し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
上記実施形態においては,左視点画像および右視点画像の2視点からなる視点画像の場合を例にあげて説明したが,本発明はかかる例に限定されない。例えば,3以上の複数の視点画像の場合であっても実施することができる。