JP2005129170A - 光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基板、第1保護層、Sbを69〜90原子%含む光記録層、第2保護層、Agを98重量%以上含む光反射層、樹脂保護層及び/又は接着層をこの順に有し、更に第1保護層と記録層の間の第1界面層、記録層と第2保護層の間の第2界面層、第2保護層と光反射層の間の第3界面層のうちの少なくとも一層を有し、第1保護層の膜厚が55±10nmの範囲内、光記録層の膜厚が9〜14nm、第1、第2界面層の膜厚が2〜7nm、第3界面層の膜厚が2〜9nmであることを特徴とする光記録媒体。
【選択図】 図1
Description
一方、相変化型光記録媒体の記録再生装置の普及に伴い、1枚の相変化型光記録媒体が、多様な複数の記録装置で記録される機会が増大してきている。即ち、あるメーカーの記録装置で記録された相変化型光記録媒体が、別のメーカーの記録装置でオーバーライト(inter−company overwrite:ICOW)される機会が益々増えてきており、記録装置の違いに起因する記録品質の悪化による再生エラー増大が課題になってきている。
更に、CAV記録或いはマルチスピード記録可能な相変化型光記録媒体では、記録装置間の記録品質悪化に加え、記録線速度の違いによる記録(inter−velocity overwrite:IVOW)による記録品質の悪化も課題になってきている。
これらの対策として、記録装置がオーバーライトする際に、初回記録にくらべて、幾分大きなパワーで記録する方法が、特許文献1〜3に開示されている。
(1)記録層組成の最適化による結晶化速度の制御
(2)記録層膜厚の薄膜化による組成ズレの抑制
(3)界面層を設けて記録層の結晶化を促進
(4)界面層を設けて記録層とZnS・SiO2(20モル%)保護層の相互拡散の防止
(5)光反射層に熱伝導率の大きいAg又はAg合金を用いることによる二次元方向への熱伝導の抑制
例えば、特許文献4〜6には、記録層の調整、Ag反射層の採用、結晶化促進層の採用等による高速高密度記録可能な相変化型光記録媒体が開示されている。しかし、これらの開示技術により、オーバーライトの改善は図れるものの、上記課題であるICOWやIVOWの改善はできなかった。
Agを相変化型光記録媒体の光反射層として利用すると、以下のようなメリットが期待される。
(1)広い波長領域でのディスク反射率の増大による再生能力の向上
(2)Agの光学特性に起因する信号振幅の増大による再生能力の向上
(3)急冷な層構造によるオーバーライト性能の向上
(4)急冷な層構造による記録可能線速度範囲の拡大
(5)高いスパッタ効率による生産性の向上
(6)スパッタ製膜時間の短縮による熱応力の低減(ディスク機械特性の改善)
これらのメリットを確保するためには、純度98重量%以上のAgが望ましい。より好ましいのは99.9重量%以上のAgである。
(1)高温高湿下で腐食し易い。
(2)硫黄や塩素によって、腐食し易い。
(3)下地との膜密着力が小さい。
(4)貴金属であり、汎用反射層のAl等と比較して高価である。
Agの腐食を抑制する方法としては、特許文献7のAgCu、特許文献8のAgMg、特許文献9のAgOM(M:Sb、Pd、Pt)、特許文献10のAgPdCuに見られるようにAgの合金化が提案されている。また、特許文献11には、熱伝導率をコントロールするために、AgにTi、V、Fe、Co、Ni、Zn、Zr、Nb、Mo、Rh、Pd、Sn、Sb、Te、Ta、W、Ir、Pt、Pb、Bi、Cを含有させることが開示されている。しかし、本発明者等が、これらの材料系を実際に光反射層に用いてDVD+RWディスクを作製し、80℃85%RHのアーカイバル高温保存信頼性を評価したところ、300時間の保存でエラーの急増が認められ、これらの開示材料では充分な保存信頼性が得られなかった。
反射層の腐食を抑えるために、従来から反射層表面には紫外線硬化樹脂層が形成されている。特許文献12には、樹脂のガラス転移温度を45℃以上にすることで、樹脂の吸水によるしわが無くなり、Al反射層の腐食が回避できることが開示されている。しかし、本発明者等の実験では、特許文献12に記載のガラス転移温度80℃の樹脂を用いても、Ag系光反射層の場合には腐食或いは再生エラーの増大を生じた。
一方、相変化型光記録媒体の高速記録のために、Ag系光反射層を用いる場合、ZnS・SiO2上に直接Ag系反射層を形成すると、ZnS・SiO2のSとAgが反応して反射層の腐食を生じることが知られている。この対策として、特許文献13では、相変化型光記録媒体の保護層に存在する硫黄原子とAg系反射層との化学反応を防止するため、中間層としてTa、Ni、Co、Cr、Si、W、V、C、Si、Au、Pd、Ag酸化物、Al酸化物、Ta酸化物を用いることが開示されている。このときの中間層の膜厚は、耐食性とAg系反射層の高熱伝導率を有効に機能させるため40nmが好適であるとしている。また、中間層膜厚が10nm〜50nmでは、信号特性も80℃85%RHの保存信頼性も問題無いことが開示されている。しかし、本発明者等がこれらの材料を中間層として相変化型光記録媒体を作製したところ、中間層膜厚10nm〜50nmでは信号特性の中間層膜厚依存性が大きく、実用的な信号品質は得られなかった。また、温度の昇降速度10℃/時間で、25℃95%RH12時間−40℃95%RH12時間の6回のヒートサイクル試験では、Ag系光反射層が中間層から剥離する問題も発生した。
しかし、本発明者等の実験によれば、これら結晶化促進層を設けることにより高速結晶化は促進されるが、記録マークの形成が充分にできなくなった。また、H、C−H、C−O、N−Hを含有する結晶化促進層では、耐熱性が充分でなかった。そのため光記録媒体への記録パワーを決定するためのテスト記録の際、オーバーパワーで結晶化促進層が破壊されてしまうことがあった。
1) 基板、第1保護層、Sbを69〜90原子%含む光記録層、第2保護層、Agを98重量%以上含む光反射層、樹脂保護層及び/又は接着層をこの順に有し、更に第1保護層と記録層の間の第1界面層、記録層と第2保護層の間の第2界面層、第2保護層と光反射層の間の第3界面層のうちの少なくとも一層を有し、第1保護層の膜厚が55±10nmの範囲内、光記録層の膜厚が9〜14nm、第1、第2界面層の膜厚が2〜7nm、第3界面層の膜厚が2〜9nmであることを特徴とする光記録媒体。
2) 第1保護層の膜厚が、記録又は再生波長における光記録媒体の反射率が極小値となる第1保護層の膜厚±5nmの範囲内にあることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) 第2保護層の膜厚が8〜14nmであることを特徴とする1)又は2)記載の光記録媒体。
4) 記録又は再生波長における光記録媒体の反射率が18%以上であることを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の光記録媒体。
5) 第1保護層、第1界面層、光記録層、第2界面層、第2保護層、第3界面層、光反射層のうちの少なくとも1層を2回以上の製膜で形成することを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
6) Sbを69〜90原子%含む光記録層を、光記録媒体の最高記録線速度の70〜85%の線速度で初期化することを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
本発明の形態の一例を図1に示す。基本的な層構成は図1の通りであり、情報基板上に、第1保護層、第1界面層、光記録層、第2界面層、第2保護層、第3界面層、光反射層、樹脂層及び/又は接着層が、この順に形成されている。貼り合わせ型の光記録媒体の場合には、接着層の上にカバー基板が形成される。第1、第2界面層は、オーバーライト特性向上、初期化プロセスの容易化(結晶化促進)を目的に形成される。第3界面層は、第2保護層としてZnS・SiO2(20モル%)等の硫黄含有物質を用いた場合に、硫黄と光反射層のAg又はAg合金との化学反応を抑制する目的で形成される。なお、第1〜第3界面層は、3層全部を設ける必要はなく、目的とする性能及び製造設備の制約(スパッタ装置のチャンバー数など)に応じて、少なくとも1層を形成すればよい。また、各層は2回以上の製膜によって形成することもできる。1層を複数回の製膜により作成すれば、複数回の製膜のどこかで製膜異常があった場合にも、他の正常な製膜により補うことができるので、致命的な層の脱落を防止することができる。
(1)記録層材料の結晶化速度を大きくし、高速消去を実現する。
(2)ディスク構成を超急冷構造とし、高速記録を実現する。
DVD線速度4倍(約14m/s)以上の高速で結晶化できる記録層材料を種々検討した結果、Sbを69〜90原子%含む記録層が好適であった。具体的には、Sbを69〜90原子%含むInSb、GaSb、GeSbTe、AgInSbTe、GeInSbTe、GeGaSbTeなどである。
図2に、これら記録層材料でDVD+RW媒体を作製した場合の、Sb含有量(原子%)と、DVD互換又はCD互換可能とする最小記録マークを記録できる時間の関係を示す。14m/s以上の高速で記録する場合、最小マークの記録時間は約30nsになるので、図2から、記録層のSb含有量を69原子%以上とすることが好適であると分る。また、Sb含有量を69原子%以上とすることにより、Sb含有量が65原子%の光記録層に比べて、光記録媒体の反射率が3〜5%増大することが分った。その結果、光記録層の膜厚を薄くしても、光記録媒体の反射率が充分に確保できることが分った。
また、保存信頼性を確保するため、Sb含有量の上限は90原子%とする。
以上のように、光記録層のSb含有量を69〜90原子%にし、Ag系反射層を用いることにより、一定の線速度で同一の記録装置でのDVD線速度14m/sの高密度・高速記録は実現できることが分った。しかしながら、前述したICOWやIVOWでは記録品質の悪化が抑えられなかった。
そこで、これらの課題について鋭意検討した結果、ICOWやIVOWの特徴として、光記録膜の結晶状態がICOWやIVOWの前後で異なるのではないかと推察した。そして詳細な電子顕微鏡観察を行った結果、ICOW及びIVOWの前後で、結晶の方向性、大きさ、結晶化学種、マーク形状の違いが認められた。この結果を基に、次の(1)(2)について検討した。
(1)初期化プロセスで、記録層のトラック方向(時間軸方向)の結晶粒を極力小さくするための高速初期化
(2)光記録媒体の反射率エンハンス効果を極小にするための第1保護層の膜厚の最適化
IVOWは、3.5m/sの記録線速度のDVD+RWレコーダと、14m/sの記録線速度のDVD+RWドライブによるIVOWとした。目標とするIVOWのジッタは、再生エラーとならない11%以下である。
実験の結果、光記録媒体の反射率が極小となる第1保護層の厚さでICOW特性が最適化されることを見出した。この知見は、これまで開示されたこのとのない事項である。
従来の相変化型光記録媒体の場合、媒体の反射率が極小となる第1保護層の厚さでは、実用に耐えうる反射率(18%)が得られず、通常15%位であった。今回、初めて実用に耐え得る反射率が得られたのは、Sb含有量を69原子%以上に調整した結果である。光記録層は、Sb含有量の増大と共に反射率が増大する傾向にあるためと考えられる。また、表2の結果から、ICOWに好適な第1保護層の厚さは55±10nmの範囲内、好ましくは55±8nmの範囲内、更に好ましくは55±5nmの範囲内であった。同様に、ICOW特性を満足する光記録層膜厚は、9〜14nmと判断される。
以上のように、14m/s以上の高速記録では、熱伝導率の小さい厚さ2〜7nmの膜が、記録層の片面又は両面に存在しても、光照射時間が短いため、過度の熱蓄積がなく、かつAg光反射層の急冷効果を損なうことはなかった。より効果的な膜厚は、3〜6nmであり、感度とオーバーライト信頼性をバランスよく確保できる。
第1、第2界面層の製法は、量産性、組成ズレの少ないスパッタリングが効果的である。また、この他の材料でもスパッタ条件により熱伝導率を小さくし、界面層として利用することが可能である。熱伝導率を小さくするためには、低パワー、低真空度で作製することで達成される。
第1、第2界面層を設けることにより、相変化型光記録媒体の製造工程で行われる初期化工程を高速化或いは低パワー化することが可能になる。更に、初期化による結晶化後の反射率の周内分布を低減させ、ジッターの低減や光ビームのトラッキング性能の向上を図ることができ、より高速での記録再生にも効果がある。
この対策としては、Agとの相溶性に優れるAl、Bi、Ca、Cu、Cd、Fe、Mn、Mg、Ni、Pd、Pb、Sb、Zn、NdをAgに添加することが効果的である。添加元素は、酸化防止作用及びAg粒子凝集に伴うボイド発生の抑制作用を有する。
(1)水分との接触を抑制すること
(2)分極・イオン化をしにくい下地にAgを形成すること
(3)化学結合よりも物理的な方法による下地との密着力の向上
そして、対策として、次の(1)(2)について検討した。
(1)Ag系光反射層への透湿を抑制する樹脂保護層又は接着層
(2)Ag系光反射層に最適な下地(第3界面層)
ガラス転移温度とは、樹脂が温度上昇により変化する際、比容、比熱、屈折率、誘電率、拡散定数、弾性率等が急変する温度と定義される。樹脂のガラス転移温度は、樹脂を構成する高分子の出発モノマーの化学構造、その置換基の大きさや極性に起因する分子間力によって制御される。ガラス転移温度Tgは、粘弾性測定装置によって、tanδの変極点から測定することができる。
ZnS・SiO2にはZnやSが含まれており、その表面は電気化学的に活性である。またSiO2は、微視的にはSiが正、Oが負の分極を生じるので水との濡れ性も良好であって水分を保持し易く、Ag系光反射層を形成するには適当でない。従って、本発明者等はAg系光反射層の下地となる第3界面層を形成することを考えた。第3界面層に要求される特性として、次の(1)〜(4)のような観点で材料及び作製条件を検討した。
(1)Agと電気化学的な作用の小さい非金属を採用
(2)Agをイオン化させないために、Agより電気陰性度の小さい構成元素を採用
(3)物理的表面改質をし易くするために結合エネルギーが比較的小さい物質の採用
(4)結晶の粒界を通じて、水分や不純物が移動させないために非晶質物質の採用
上記のような条件を満たす元素としてSiが最も好ましいことが分った。Siは次の(1)〜(3)の物性を有する。
(1)非金属である。
(2)電気陰性度は1.8で、Agの電気陰性度1.9より小さい。
(3)Si−Siの結合エネルギーは、76kcal/モルで、Si−C(104kcal/モル)、Si−O(192kcal/モル)、C−C(144kcal/モル)に比べ小さい。
第3界面層の作製方法は、プラズマCVD、プラズマ処理、イオンプレーティング、光CVDなどが利用できるが、光記録媒体の作製で汎用されているスパッタが効果的である。その代表的作製条件は、圧力10−2〜10−4Pa、スパッタ電力0.5〜5.0kW/200mmφ、製膜速度0.5〜5.0nm/sである。
基板の厚さは0.55〜0.65mmが好適であり、貼り合わせ後のディスクの厚さは、1.1〜1.3mmが好適である。
また、本発明の光記録媒体をDVD−ROM互換が可能な書き換え型光記録媒体に応用する場合には、基板に次のような特定の条件が付与されることが望ましい。即ち、基板に形成される案内溝の幅が0.10〜0.40μm、好適には0.15〜0.35μmであり、案内溝の深さが15〜45nm、好適には20〜40nmである。これらの基板溝によって、DVD−ROMドライブでの再生互換性が向上する。
また、本発明の光記録媒体をCD−RW媒体に応用する場合には、案内溝の幅が0.25〜0.65μm、好適には0.30〜0.60μm、案内溝の深さが20〜50nm、好適には25〜45nmである。
第1保護層の膜厚は、反射率、変調度や記録感度に大きく影響する。先に述べたように良好なICOW及びIVOW特性を得るためには、第1保護層の膜厚を55±10の範囲内nmとすることが好適である。第2保護層の膜厚としては、5〜25nm、好適には8〜14nmとするのが良い。5nmより薄くなると耐熱性保護層としての機能を果たさなくなるし、記録感度の低下を生じる。一方、25nmより厚くなると、界面剥離を生じ易くなり、繰り返し記録性能も低下する。
0.1≦α≦15
1≦β≦15
69≦γ≦95
0≦ε≦10
これらの組成比を満足する領域では、14m/s以上の高速記録・消去が可能となり、かつ内周と外周で2.4倍の記録速度の異なるCAV記録を可能とする。
添加元素Mとしては、金属Sbより熱伝導率の小さい金属が、高速記録の際に課題となる記録パワーの低減に効果的である。具体的には、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Hoなどのランタン系列金属、Ti、Zr、Mnが挙げられる。Mの添加量は10原子%以下が望ましい。10原子%を超えると、記録消去特性に影響し、オーバーライト性能が充分でなくなる。
相変化型光記録層の膜厚は、9〜14nm、好適には9〜13nmとするのが良い。更にジッター等の初期特性、オーバーライト特性、量産効率、再生互換性、高温高湿度耐久性を考慮すると、10〜12nmとするのが良い。9nmより薄いと光吸収能が著しく低下し、記録層としての役割を果たさなくなる。また、14nmより厚いと14m/s以上の高速記録でのオーバーライト性能が劣ってくる。
このような光記録層は、各種気相成長法、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。
ハードコート層を設ける場合には、スピンコート法で作製した紫外線硬化型樹脂が一般的である。厚さは2〜6μmが適当である。2μmより薄くすると十分な耐擦傷性が得られない。6μmより厚くすると内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。ハードコート層の硬度は、布でこすっても大きな傷が付かない鉛筆硬度H以上とする必要がある。必要に応じて導電性の材料を混入させて帯電防止を図り、埃等の付着を防止することも効果的である。
更に、耐擦傷性の確保、ブランド名などのレーベル印刷、インクジェットプリンタに対するインク受容層の形成などを目的として印刷層を設ける場合には、紫外線硬化型樹脂膜をスクリーン印刷法により形成するのが好適である。厚さは3〜50μmが適当である。3μmより薄くすると、層形成時にムラが生じてしまう。50μmより厚くすると、内部応力が大きくなってしまい、ディスクの機械特性に大きく影響してしまう。
接着層の膜厚は特に制限されるものではないが、材料の塗布性、硬化性、ディスクの機械特性の影響を考慮すると5〜100μm、好適には7〜80μmである。接着面の範囲も特に制限されるものではないが、DVD及び/又はCD互換が可能な書き換え型ディスクに応用する場合、高速記録を可能とするためには、接着強度を確保するために、内周端の位置がΦ15〜40mm、好適にはΦ15〜30mmであることが望ましい。
Ag系光反射層の膜厚としては、50〜200nm、好適には70〜160nmとするのが良い。また、Ag系光反射層を多層化することも可能である。多層化した場合には、各層の膜厚は少なくとも10nm必要であり、多層化膜の合計膜厚は50〜160nmとするのが良い。多層記録層の半透明反射層として利用する際には、10〜50nmが好適である。
本発明2によれば、一層ICOW、IVOWに優れた光記録媒体を提供できる。
本発明3によれば、更に特性のバランスのとれた光記録媒体を提供できる。
本発明4によれば、更に再生互換性に優れた光記録媒体を提供できる。
本発明5〜6によれば、優れた特性を有する本発明1〜4の光記録媒体の製造方法を提供できる。
溝幅0.25μm、溝深さ27nm、ウオブル溝の周期4.26μmの案内溝を有する厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を射出成型し、この基板上に、第1保護層、第1界面層、光記録層、第2保護層、第3界面層、純度99.99重量%のAg光反射層を順次スパッタリング法により積層した。第1保護層には厚さ52nmのZnSSiO2(20モル%)を用いた。第1界面層には、厚さ4nmのAl2O3を用いた。第2保護層には、厚さ12nmのZnSSiO2(20モル%)を用いた。第3界面層には、厚さ4nmのSiCを用いた。光記録層にはAg0.2Ge3.5In3.5Sb71.4Te21.4を用い、厚さ12nmとした。Ag光反射層は、厚さ140nmとした。
その結果、ポリカ基板/ZnSSiO2(20モル%)52nm/Al2O3(4nm)/Ag0.2Ge3.5Ine3.5Sb71.4Te21.4(12nm)/ZnSSiO2(20モル%)12nm/SiC(4nm)/99.99重量%Ag(140nm)という層構成を形成した。
次いで、Ag光反射層上に、室温粘度120cps、硬化後のガラス転移温度149℃となる紫外線硬化型樹脂をスピンコートして樹脂保護層を形成し、相変化型光記録媒体の単板ディスクを作成した。
次いで、ポリカーボネート製の貼り合わせ基板を、室温粘度450cps、硬化後のガラス転移温度75℃となる紫外線硬化型接着剤で貼り合わせて光記録媒体を得た。
次に、大口径LD(ビーム径75μm×1μm)を有する日立コンピュータ機器製初期化装置を用いて、線速度11m/s、電力1300mW、送り38μm/rで、内周から外周に向けて、線速度一定で光記録層を全面結晶化した。
次に、得られた相変化型光記録媒体に、パルステック製記録再生評価装置DDU1000を用いて、記録線速度14m/s、波長657nm、NA0.65、記録パワー19.2mWで、DVD−ROM再生可能なフォーマットにより光記録した。
その結果、オーバーライト1000回記録後のデータ・トゥ・クロック・ジッタ(Data to Clock Jitter)が8.6%と良好であった。また、反射率20%、変調度65%と信号特性も良好であった。
また、上記オーバーライト1000回後の記録の上に、3.5m/s、記録パワー16mWでIVOW記録を実施した。
その結果、データ・トゥ・クロック・ジッタが8.5%と良好であった。
更に、この光記録媒体を温度の昇降速度10℃/時間で、25℃95%RH12時間−40℃95%RH12時間の条件で6回のヒートサイクル試験を行った結果、反射率20%、変調度63%、外周58mmのチルト0.4°であり、変化は認められなかった。また、欠陥率の増大も認められなかった。
溝幅0.25μm、溝深さ27nm、ウオブル溝の周期4.26μmの案内溝を有する厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を射出成型し、この基板上に、第1保護層、第1界面層、光記録層、第2保護層、第3界面層、純度99.99重量%のAg光反射層を順次スパッタリング法により積層した。第1保護層には厚さ45nmのZnSSiO2(20モル%)を用いた。第1界面層には、厚さ6nmのZrO2・TiO2(20モル%)を用いた。第2保護層には、厚さ8nmのZnSSiO2(20モル%)を用いた。第3界面層には、厚さ4nmのSiCを用いた。光記録層にはAg0.2Ge3.5Ine3.5Sb71.4Te21.4を用い、厚さ9nmとした。Ag光反射層は、厚さ140nmとした。
その結果、ポリカ基板/ZnSSiO2(20モル%)45nm/ZrO2・TiO2(20モル%)6nm/Ag0.2Ge3.5Ine3.5Sb71.4Te21.4(9nm)/ZrO2・TiO2(20モル%)6nm/ZnSSiO2(20モル%)8nm/SiC(4nm)/99.99重量%Ag(140nm)という層構成を形成した。
次いで、Ag光反射層上に、室温粘度120cps、硬化後のガラス転移温度149℃となる紫外線硬化型樹脂をスピンコートして樹脂保護層を形成し、相変化型光記録媒体の単板ディスクを作成した。
次いで、ポリカーボネート製の貼り合わせ基板を、室温粘度450cps、硬化後のガラス転移温度75℃となる紫外線硬化型接着剤で貼り合わせて光記録媒体を得た。
次に、大口径LD(ビーム径75μm×1μm)を有する日立コンピュータ機器製初期化装置を用いて、線速度11m/s、電力1300mW、送り38μm/rで、内周から外周に向けて、線速度一定で光記録層を全面結晶化した。
次に、得られた相変化型光記録媒体に、パルステック製記録再生評価装置DDU1000を用いて、記録線速度14m/s、波長657nm、NA0.65、記録パワー19.2mWで、DVD−ROM再生可能なフォーマットで光記録した。
その結果、オーバーライト1000回記録後のデータ・トゥ・クロック・ジッタが8.6%と良好であった。また、反射率19%、変調度68%と信号特性も良好であった。
また、上記オーバーライト1000回後の記録の上に、3.5m/s、記録パワー16mWでIVOW記録を実施した。
その結果、データ・トゥ・クロック・ジッタが8.8%と良好であった。
溝幅0.25μm、溝深さ27nm、ウオブル溝の周期4.26μmの案内溝を有する0.6mm厚ポリカーボネート基板を射出成型し、この基板上に、第1保護層、第1界面層、光記録層、第2保護層、第3界面層、純度99.99重量%のAg光反射層を順次スパッタリング法により積層した。第1保護層には厚さ65nmのZnSSiO2(20モル%)を用いた。第1界面層には、厚さ2nmのZrO2・TiO2(20モル%)を用いた。第2保護層には、厚さ14nmのZnSSiO2(20モル%)を用いた。第3界面層には、厚さ3nmのSiCを用いた。光記録層にはAg0.5Ge3.5In3.5Sb72.4Te20.1を用い、厚さ14nmとした。Ag光反射層は、厚さ140nmとした。
その結果、ポリカ基板/ZnSSiO22(20モル%)46nm/ZrO2・TiO2(20モル%)6nm/Ag0.5Ge3.5Ine3.5Sb72.4Te20.1(14nm)/ZnSSiO2(20モル%)14nm/SiC(4nm)/99.99重量%Ag(140nm)という層構成を形成した。
次いで、Ag光反射層上に、室温粘度120cps、硬化後のガラス転移温度149℃となる紫外線硬化型樹脂をスピンコートして樹脂保護層を形成し、相変化型光記録媒体の単板ディスクを作成した。
次いで、ポリカーボネート製の貼り合わせ基板を、室温粘度450cps、硬化後のガラス転移温度75℃となる紫外線硬化型接着剤で貼り合わせて光記録媒体を得た。
次に、大口径LD(ビーム径75μm×1μm)を有する日立コンピュータ機器製初期化装置を用いて、線速度11m/s、電力1300mW、送り38μm/rで、内周から外周に向けて、線速度一定で光記録層を全面結晶化した。
次に、得られた相変化型光記録媒体に、パルステック製記録再生評価装置DDU1000を用いて、記録線速度14m/s、波長657nm、NA0.65、記録パワー19.2mWで、DVD−ROM再生可能なフォーマットで光記録した。
その結果、オーバーライト1000回記録後のデータ・トゥ・クロック・ジッタが8.9%と良好であった。また、反射率21%、変調度63%と信号特性も良好であった。
また、上記オーバーライト1000回後の記録の上に、3.5m/s、記録パワー16mWでIVOW記録を実施した。
その結果、データ・トゥ・クロック・ジッタが8.9%と良好であった。
溝幅0.25μm、溝深さ27nm、ウオブル溝の周期4.26μmの案内溝を有する厚さ0.6mmのポリカーボネート基板を射出成型し、この基板上に、第1保護層、第1界面層、光記録層、第2保護層、第3界面層、純度99.99重量%のAg光反射層を順次スパッタリング法により積層した。第1保護層には厚さ65nmのZnSSiO2(20モル%)を用いた。第1界面層には、厚さ2nmのZrO2・TiO2(20モル%)を用いた。第2保護層には、厚さ14nmのZnSSiO2(20モル%)を用いた。第3界面層には、厚さ3nmのSiCを用いた。光記録層にはGa15Ge3Sb70Sn12を用い、厚さ14nmとした。Ag光反射層は、厚さ140nmとした。
その結果、ポリカ基板/ZnSSiO22(20モル%)46nm/ZrO2・TiO2(20モル%)6nm/Ga15Ge3Sb70Sn12(14nm)/ZnSSiO2(20モル%)14nm/SiC(4nm)/99.99重量%Ag(140nm)という層構成を形成した。
次いで、Ag光反射層上に、室温粘度120cps、硬化後のガラス転移温度149℃となる紫外線硬化型樹脂をスピンコートして樹脂保護層を形成し、相変化型光記録媒体の単板ディスクを作成した。
次いで、ポリカーボネートの貼り合わせ基板を、室温粘度450cps、硬化後のガラス転移温度75℃となる紫外線硬化型接着剤で貼り合わせて光記録媒体を得た。
次に、大口径LD(ビーム径75μm×1μm)を有する日立コンピュータ機器製初期化装置を用いて、線速度11m/s、電力1300mW、送り38μm/rで、内周から外周に向けて、線速度一定で光記録層を全面結晶化した。
次に、得られた相変化型光記録媒体に、パルステック製記録再生評価装置DDU1000を用いて、記録線速度28m/s、波長657nm、NA0.65、記録パワー30mWで、DVD−ROM再生可能なフォーマットで光記録した。
その結果、オーバーライト1000回記録後のデータ・トゥ・クロック・ジッタが8.9%と良好であった。また、反射率21%、変調度63%と信号特性も良好であった。
また、上記オーバーライト1000回後の記録の上に、14m/s、記録パワー22mWでIVOW記録を実施した。
その結果、データ・トゥ・クロック・ジッタが8.9%と良好であった。
Claims (6)
- 基板、第1保護層、Sbを69〜90原子%含む光記録層、第2保護層、Agを98重量%以上含む光反射層、樹脂保護層及び/又は接着層をこの順に有し、更に第1保護層と記録層の間の第1界面層、記録層と第2保護層の間の第2界面層、第2保護層と光反射層の間の第3界面層のうちの少なくとも一層を有し、第1保護層の膜厚が55±10nmの範囲内、光記録層の膜厚が9〜14nm、第1、第2界面層の膜厚が2〜7nm、第3界面層の膜厚が2〜9nmであることを特徴とする光記録媒体。
- 第1保護層の膜厚が、記録又は再生波長における光記録媒体の反射率が極小値となる第1保護層の膜厚±5nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 第2保護層の膜厚が8〜14nmであることを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
- 記録又は再生波長における光記録媒体の反射率が18%以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光記録媒体。
- 第1保護層、第1界面層、光記録層、第2界面層、第2保護層、第3界面層、光反射層のうちの少なくとも1層を2回以上の製膜で形成することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
- Sbを69〜90原子%含む光記録層を、光記録媒体の最高記録線速度の70〜85%の線速度で初期化することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
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