JP2005128442A - 波長選択フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】入力導波路と出力導波路との間に存在する共振器の共振波長を制御可能であり且つマイクロマシンニング技術による製造が容易な波長選択フィルタを提供する。
【解決手段】直線状の入力導波路1と、入力導波路1の幅方向に離間して並設された直線状の出力導波路2と、入力導波路1と出力導波路2との間に存在する平面形状がリング状の共振器3と、共振器3との距離が可変で共振器3との相互作用により共振器3の共振波長を共振器3単独の共振波長から変化させる共振波長調整用構造体4とを備えている。共振波長調整用構造体4は、半導体マイクロマシンニング技術を利用して共振器3と同一平面上に設けてある。ここにおいて、共振波長調整用構造体4は、上記平面上において両導波路1,2の長手方向に沿って移動可能(スライド自在)となるように形成してあり、共振器3との間の距離を高精度に調節することが可能となっている。
【選択図】 図1
【解決手段】直線状の入力導波路1と、入力導波路1の幅方向に離間して並設された直線状の出力導波路2と、入力導波路1と出力導波路2との間に存在する平面形状がリング状の共振器3と、共振器3との距離が可変で共振器3との相互作用により共振器3の共振波長を共振器3単独の共振波長から変化させる共振波長調整用構造体4とを備えている。共振波長調整用構造体4は、半導体マイクロマシンニング技術を利用して共振器3と同一平面上に設けてある。ここにおいて、共振波長調整用構造体4は、上記平面上において両導波路1,2の長手方向に沿って移動可能(スライド自在)となるように形成してあり、共振器3との間の距離を高精度に調節することが可能となっている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、波長の異なる複数の光信号から所望の波長の光信号を選択的に取り出すことができ、光通信分野や光学計測機器分野などに用いることができる波長選択フィルタに関するものである。
近年、高密度波長分割多重方式(Dense Wavelength Division Multiplexing)の光通信において、波長の異なる多数の光信号から特定の波長の光信号を選択的に取り出す波長選択フィルタが用いられている。
この種の波長選択フィルタとしては、例えば、図10に示すように、直線状の入力導波路1と、入力導波路1の幅方向に離間して並設された直線状の出力導波路2と、入力導波路1と出力導波路2との間に存在するリング状の共振器(以下、リング共振器と称す)3とを備えた構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
図10に示す構成の波長選択フィルタでは、入力導波路1の一端を入力ポートP1、他端をスルーポートP2とするとともに、出力導波路2の一端をドロップポートP3、他端をアッドポートP4とすると、入力ポートP1から波長の異なる複数の光信号を入力することにより、これら複数の波長λ1、λ2、…、λnの光信号のうちリング共振器3の共振波長に一致する波長の光信号がリング共振器3を介して出力導波路2へ移行してドロップポートP3から出力され、共振波長以外の波長の光信号が入力導波路1のスルーポートP2へ向かって伝搬する。ここに、リング共振器3の共振波長は、リング共振器3の直径とリング共振器3の構成材料の屈折率とでおおよそ決まり、例えば、リング共振器3の共振波長がλ1であるとすると、波長λ1の光信号のみがドロップポートP3へ導かれ、波長λ1以外の波長λ2、…、λnの光信号はスルーポートP2へ導かれる。また、出力導波路2のアッドポートP4にリング共振器3の共振波長と一致する波長λ1の光信号が入力された場合、この波長λ1の光信号は入力導波路1のスルーポートP2へ導かれる。なお、図10中の実線の矢印は波長λ1の光信号を分波する場合の各波長λ1、λ2、…、λnそれぞれの光信号の伝搬経路を示し、同図中の破線の矢印は波長λ1の光信号を合波する場合の波長λ1の光信号の伝搬経路を示している。
また、上記特許文献1には、図11に示すように、入力導波路1と出力導波路2との間に複数(図示例では、3つ)のリング共振器3を配置することにより、透過帯域が平坦な箱型(スクエア型)のフィルタ特性を実現できることが記載されている。
また、従来から、図12に示すように、複数本(図示例では、2本)ずつの入力導波路1と出力導波路2とを交差させたマトリクス(格子)を構成し、マトリクスの各格子点それぞれの近傍にそれぞれ共振波長の異なるリング共振器3を配置した多チャネル型の波長選択フィルタも提案されている。ここに、図12に示した構成の波長選択フィルタでは、同図における左上のリング共振器3の共振波長をλ1、右上のリング共振器3の共振波長をλ2、左下のリング共振器3の共振波長をλ3、右下のリング共振器3の共振波長をλ4となるように各リング共振器3の直径を設定してあり、各入力ポートP1から複数の波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、…、λnの光信号が入力されると、図12における左側のドロップポートP3からは波長λ1、λ3の光信号が出力され、同図における右側のドロップポートP3からは波長λ2、λ4の光信号が出力され、同図における上側のスルーポートP2からは波長λ3、λ4、…、λnの光信号が出力され、同図における下側のスルーポートP2からは波長λ1、λ2、λ5、…、λnの光信号が出力される。
なお、入力導波路1と出力導波路2と共振器3との相対的な位置関係やそれぞれの数については図10〜図12の組み合わせに限定されず、種々提案されている。例えば、上記特許文献1には、互いに交差するように配置された入力導波路と出力導波路との両方に重なるようにリング共振器を配置した波長選択フィルタも記載されている。
ところで、近年の光通信などの分野における情報通信量の著しい増大に伴い、光通信のより一層の大容量化、高機能化が要望されており、多重化する光信号の波長のチャネル間隔、中心波長間隔をより狭めたり、狭帯域の波長で多重化された信号から必要な波長を選択して分波したり合波することができる光通信素子が必要となっている。
しかしながら、上述の図10、図11、図12に示した各波長選択フィルタは、リング共振器3の構造および材料で決定される特定波長の光信号しか選択して分波、合波することができず、しかも狭帯域の波長を選択するためには、リング共振器のサイズを高精度に形成しなければならず、コストが高くなるという問題があった。
また、多波長に対応するためには、図12に示すように共振波長の異なる複数のリング共振器3をマトリクスの各格子点それぞれの近傍に配置する必要があり、多重化する波長の数の増大に伴い、高密度集積化が難しくなるという問題があった。
これらの問題を解決するものとして、上記特許文献1には、リング共振器3の上方に金属板あるいは誘電性薄板からなる構造体と、当該構造体を保持し当該構造体を上下方向に移動させるマイクロ電気機械式のピストンとを設け、リング共振器と上記構造体との間の距離を調節することによりリング共振器の共振波長を制御可能とした波長選択フィルタが提案されている。
特開2000−298215号公報(段落番号〔0002〕−〔0004〕、〔0011〕−〔0014〕、〔0029〕、図1−図3、図15、図17、図18)
しかしながら、上述のリング共振器3の共振波長を制御可能とした波長選択フィルタは、リング共振器3の上方に構造体を設け、さらにその上方にピストを設けたものなので、MEMS(Micro Electro Mechanical System)の実現に利用されるマイクロマシンニング技術による製造が難しかった。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、入力導波路と出力導波路との間に存在する共振器の共振波長を制御可能であり且つマイクロマシンニング技術による製造が容易な波長選択フィルタを提供することにある。
請求項1の発明は、入力導波路の一端側から入射された複数波長の光信号のうち出力導波路との間に存在する共振器の共振波長に一致する波長の光信号が共振器を介して出力導波路へ移行し出力導波路の一端側のドロップポートから出射される波長選択フィルタであって、共振器との距離が可変で共振器との相互作用により共振器の共振波長を共振器単独の共振波長から変化させる共振波長調整用構造体を、共振器と同一平面上に設けてなることを特徴とする。
この発明によれば、共振器との距離が可変で共振器との相互作用により共振器の共振波長を共振器単独の共振波長から変化させる共振波長調整用構造体を備えているので、共振器と共振波長調整用構造体との間の距離を調節することにより入力導波路と出力導波路との間に存在する共振器の共振波長を制御可能であり、しかも、共振波長調整用構造体が共振器と同一平面上に設けられているので、マイクロマシンニング技術による製造が容易になる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記共振波長調整用構造体は、前記共振器との並設方向に直交する面に対して傾斜し前記共振器に対向する傾斜面が形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記共振波長調整用構造体を前記平面上で前記並設方向と直交する方向へ移動させることにより、前記共振波長調整用構造体と前記共振器との距離をアナログ的に調節できて前記共振器の共振波長をアナログ的に変化させることが可能となり、共振波長の高精度な調整を簡単に行なうことができ、光多重通信の波長間隔の大小によらず対応できる汎用性の高いものとなる。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記共振波長調整用構造体は、少なくとも一部が、前記共振器との並設方向に直交し前記共振器に対向する複数の階段面を有する階段状に形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記共振波長調整用構造体を前記平面上で前記並設方向と直交する方向へ移動させることにより、前記共振波長調整用構造体と前記共振器との距離をデジタル的に調節できて共振器の共振波長をデジタル的に変化させることが可能となり、波長多重通信のように波長間隔が予め決められている場合、共振波長を上記波長間隔でディジタル的に変化させることが可能となる。
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3の発明において、前記共振器に対して前記共振波長調整用構造体が複数設けられてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記共振器の共振波長をより高精度に制御可能となり、前記共振器の共振波長の選択肢をより多くでき、より多くの波長に対応できる。
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4の発明において、前記共振波長調整用構造体は、少なくとも一部が、電気エネルギ、熱エネルギ、磁気エネルギのうちの少なくとも1種により屈折率が変化する材料により形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記共振波長調整用構造体の屈折率を変化させることによっても前記共振器の共振波長を変化させることができ、前記共振器の共振波長をより高精度に制御することが可能となる。
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5の発明において、前記共振器は平面形状がリング状に形成されてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記共振器が所謂リング共振器により構成されているので、前記共振器の直径を適宜設定することにより前記共振器単独での共振波長を設計することができる。
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6の発明において、前記共振波長調整用構造体を静電力により移動させる静電アクチュエータが前記同一平面上に設けられてなることを特徴とする。
この発明によれば、前記共振波長調整用構造体を移動させるアクチュエータが静電アクチュエータなのでマイクロマシンニング技術で容易に製造することができる。
請求項1の発明は、共振器と共振波長調整用構造体との間の距離を調節することにより入力導波路と出力導波路との間に存在する共振器の共振波長を制御可能であり、しかも、共振波長調整用構造体が共振器と同一平面上に設けられているので、マイクロマシンニング技術による製造が容易になるという効果がある。
(実施形態1)
本実施形態の波長選択フィルタは、図1に示すように、直線状の入力導波路1と、入力導波路1の幅方向に離間して並設された直線状の出力導波路2と、入力導波路1と出力導波路2との間に存在する平面形状がリング状の共振器(以下、リング共振器と称す)3と、リング共振器3との距離が可変でリング共振器3との相互作用によりリング共振器3の共振波長をリング共振器3単独の共振波長から変化させる共振波長調整用構造体4とを備えている。
本実施形態の波長選択フィルタは、図1に示すように、直線状の入力導波路1と、入力導波路1の幅方向に離間して並設された直線状の出力導波路2と、入力導波路1と出力導波路2との間に存在する平面形状がリング状の共振器(以下、リング共振器と称す)3と、リング共振器3との距離が可変でリング共振器3との相互作用によりリング共振器3の共振波長をリング共振器3単独の共振波長から変化させる共振波長調整用構造体4とを備えている。
共振波長調整用構造体4は、半導体マイクロマシンニング技術を利用してリング共振器3と同一平面上に設けてある。ここにおいて、共振波長調整用構造体4は、上記平面上において両導波路1,2の長手方向に沿って移動可能(スライド自在)となるように形成してあり、リング共振器3との間の距離を高精度に調節することが可能となっている。なお、本実施形態の波長選択フィルタは、例えば、厚み方向の中間に絶縁膜であるシリコン酸化膜(埋込酸化膜)を有する所謂SOI(Silicon On Insulator)基板やシリコン基板などの半導体基板を半導体マイクロマシンニング技術により加工することによって形成することができる。
入力導波路1の一端を入力ポートP1、他端をスルーポートP2とするとともに、出力導波路2の一端をドロップポートP3、他端をアッドポートP4とすると、図1の構成において共振波長調整用構造体4が設けられていない場合には、図10に示した従来構成と同様に、入力ポートP1から波長の異なる複数の光信号を入力することにより、これら複数の波長λ1、λ2、…、λnの光信号のうちリング共振器3単独の共振波長に一致する波長の光信号がリング共振器3を介して出力導波路2へ移行してドロップポートP3から出力され、共振波長以外の波長の光信号が入力導波路1のポートP2へ向かって伝搬する。ここに、リング共振器3単独の共振波長は、リング共振器3の直径とリング共振器3の構成材料の屈折率とでおおよそ決まり、例えば、リング共振器3の共振波長がλ1であるとすると、波長λ1の光信号のみがドロップポートP3へ導かれ、波長λ1以外の波長λ2、…、λnの光信号はスルーポートP2へ導かれる。また、出力導波路2のアッドポートP4にリング共振器3の共振波長と一致する波長λ1の光信号が入力された場合、この波長λ1の光信号は入力導波路1のスルーポートP2へ導かれる。
これに対して、本実施形態の波長選択フィルタでは、リング共振器3の近傍に共振波長調整用構造体4が配置されており、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節することによって、リング共振器3単独の共振とは異なる共振波長の光信号を、リング共振器3を介して出力導波路2へ移行させてドロップポートP3から出力させることが可能となる。例えば、リング共振器3単独の共振波長が波長λ1であったとして、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節してリング共振器3の共振波長をλnに変化させた場合には、共振波長λn以外の波長λ1、λ2、…、λn−1の光信号は入力導波路1のスルーポートP2へ向かって伝搬する。また、出力導波路2のアッドポートP4に上述の共振波長λnに一致する波長λnの光信号が入力された場合、この波長λnの光信号はリング共振器3を介して入力導波路1のスルーポートP2へ導かれる。なお、図1中の実線の矢印は波長λnの光信号を分波する場合の各波長λ1、λ2、…、λn−1、λnそれぞれの光信号の伝搬経路を示し、同図中の破線の矢印は波長λnの光信号を合波する場合の波長λnの光信号の伝搬経路を示している。
しかして、本実施形態の波長選択フィルタでは、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節することによってリング共振器3の共振波長を変化させることができる(つまり、リング共振器3の共振波長を制御できる)ので、1つの共振器3に対して1つの共振波長調整用構造体4を設けるだけで種々の波長の光信号を選択的にドロップポートP3へ分波したり、スルーポートP2へ合波することができる。要するに、本実施形態の波長選択フィルタでは、従来のような選択したい波長ごとに共振波長の異なるリング共振器3を配置した構成を採用する必要がなく、リング共振器3の数を大幅に減少させることができ、従来と同じチップサイズで選択的に取り出し可能な波長の数を多くできる。言い換えれば、多波長を選択的に取り出す波長選択フィルタの小型化を図ることができる。また、本実施形態の波長選択フィルタでは、リング共振器3と共振波長調整用構造体4とを同一平面上に配置する構成となっているので、半導体マイクロマシンニング技術を利用して容易に製造することができ、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を高精度に調整可能となるので、リング共振器3の加工精度を著しく高めることなく、リング共振器3の共振波長を選択したい波長に精度良く一致させることができ、低コスト化を図ることができる。
なお、本実施形態の波長選択フィルタでは、上述のように共振波長調整用構造体4を上記平面上において両導波路1,2の長手方向に沿って移動可能となるように形成してあるが、上記平面上において両導波路1,2に交差する方向へ移動可能となるように形成してもよいし、これら各方向を組み合わせて2次元方向へ移動可能となるように形成してもよい。
(実施形態2)
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図2に示すように、共振波長調整用構造体4の形状が相違する。本実施形態における共振波長調整用構造体4は、リング共振器3との並設方向(図2の左右方向)に直交する面に対して傾斜しリング共振器3に対向する傾斜面41が形成されており、両導波路1,2の並設方向(図2の上下方向)へ移動可能となっている。すなわち、本実施形態における共振波長調整用構造体4は、両導波路1,2の長手方向と直交する平面に対して傾斜する傾斜面41をリング共振器3側に形成してあり、両導波路1,2に直交する方向へ移動可能となっている。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図2に示すように、共振波長調整用構造体4の形状が相違する。本実施形態における共振波長調整用構造体4は、リング共振器3との並設方向(図2の左右方向)に直交する面に対して傾斜しリング共振器3に対向する傾斜面41が形成されており、両導波路1,2の並設方向(図2の上下方向)へ移動可能となっている。すなわち、本実施形態における共振波長調整用構造体4は、両導波路1,2の長手方向と直交する平面に対して傾斜する傾斜面41をリング共振器3側に形成してあり、両導波路1,2に直交する方向へ移動可能となっている。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の波長選択フィルタの基本動作は実施形態1と同じであって、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節することによって、リング共振器3単独の共振とは異なる共振波長の光信号を、リング共振器3を介して出力導波路2へ移行させてドロップポートP3から出力させることが可能となる。例えば、リング共振器3単独の共振波長が波長λ1であったとして、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節してリング共振器3の共振波長をλnに変化させた場合には、共振波長λn以外の波長λ1、λ2、…、λn−1の光信号は入力導波路1のスルーポートP2へ向かって伝搬する。また、出力導波路2のアッドポートP4に上述の共振波長λnに一致する波長λnの光信号が入力された場合、この波長λnの光信号はリング共振器3を介して入力導波路1のスルーポートP2へ導かれる。なお、図2中の実線の矢印は波長λnの光信号を分波する場合の各波長λ1、λ2、…、λn−1、λnそれぞれの光信号の伝搬経路を示し、同図中の破線の矢印は波長λnの光信号を合波する場合の波長λnの光信号の伝搬経路を示している。
しかして、本実施形態の波長選択フィルタにおいても、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節することによってリング共振器3の共振波長を変化させることができるので、1つのリング共振器3に対して1つの共振波長調整用構造体4を設けるだけで種々の波長の光信号を選択的にドロップポートP3へ分波したり、スルーポートP2へ合波することができる。しかも、本実施形態の波長選択フィルタでは、共振波長調整用構造体4におけるリング共振器3側に傾斜面41を形成してあるので、共振波長調整用構造体4を上記平面上でリング共振器3との並設方向と直交する方向へ移動させることにより、共振波長調整用構造体4とリング共振器3との距離をアナログ的に調節できてリング共振器3の共振波長をアナログ的に変化させることが可能となり、共振波長の高精度な調整を簡単に行なうことができ、光多重通信の波長間隔の大小によらず対応できる汎用性の高いものとなる。
なお、本実施形態の波長選択フィルタでは、上述のように共振波長調整用構造体4を上記平面上で両導波路1,2に直交する方向に沿って移動可能となるように形成してあるが、上記平面上で両導波路1,2の長手方向に沿って移動可能となるように形成してもよいし、これら各方向を組み合わせて2次元方向へ移動可能となるように形成してもよい。
(実施形態3)
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図3に示すように、共振波長調整用構造体4の形状が相違する。本実施形態における共振波長調整用構造体4は、一部がリング共振器3との並設方向(図3の左右方向)に直交しリング共振器3に対向する複数の階段面4a,4b,4cを有する階段状に形成されており、両導波路1,2の並設方向(図3の上下方向)へ移動可能となっている。すなわち、本実施形態における共振波長調整用構造体4は、リング共振器3側を階段状の形状に形成することによりリング共振器3に対向する複数の階段面4a,4b,4cを設けてある。ここに、階段状の形状は共振波長調整用構造体4の少なくとも一部に形成されていればよい。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図3に示すように、共振波長調整用構造体4の形状が相違する。本実施形態における共振波長調整用構造体4は、一部がリング共振器3との並設方向(図3の左右方向)に直交しリング共振器3に対向する複数の階段面4a,4b,4cを有する階段状に形成されており、両導波路1,2の並設方向(図3の上下方向)へ移動可能となっている。すなわち、本実施形態における共振波長調整用構造体4は、リング共振器3側を階段状の形状に形成することによりリング共振器3に対向する複数の階段面4a,4b,4cを設けてある。ここに、階段状の形状は共振波長調整用構造体4の少なくとも一部に形成されていればよい。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の波長選択フィルタの基本動作は実施形態1と同じであって、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節することによって、リング共振器3単独の共振とは異なる共振波長の光信号を、リング共振器3を介して出力導波路2へ移行させてドロップポートP3から出力させることが可能となる。例えば、リング共振器3単独の共振波長が波長λ1であったとして、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節してリング共振器3の共振波長をλnに変化させた場合には、共振波長λn以外の波長λ1、λ2、…、λn−1の光信号は入力導波路1のスルーポートP2へ向かって伝搬する。また、出力導波路2のアッドポートP4に上述の共振波長λnに一致する波長λnの光信号が入力された場合、この波長λnの光信号はリング共振器3を介して入力導波路1のスルーポートP2へ導かれる。なお、図3中の実線の矢印は波長λnの光信号を分波する場合の各波長λ1、λ2、…、λn−1、λnそれぞれの光信号の伝搬経路を示し、同図中の破線の矢印は波長λnの光信号を合波する場合の波長λnの光信号の伝搬経路を示している。
しかして、本実施形態の波長選択フィルタにおいても、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節することによってリング共振器3の共振波長を変化させることができるので、1つのリング共振器3に対して1つの共振波長調整用構造体4を設けるだけで種々の波長の光信号を選択的にドロップポートP3へ分波したり、スルーポートP2へ合波することができる。しかも、本実施形態の波長選択フィルタでは、共振波長調整用構造体4における共振器3側を階段状の形状としてあるので、共振波長調整用構造体4を上記平面上でリング共振器3との並設方向と直交する方向へ移動させることにより、共振波長調整用構造体4とリング共振器3との距離をデジタル的に調節できてリング共振器3の共振波長をデジタル的に変化させることが可能となり、波長多重通信のように波長間隔が予め決められている場合、共振波長を上記波長間隔でディジタル的に変化させることが可能となる。
なお、本実施形態の波長選択フィルタでは、上述のように共振波長調整用構造体4を上記平面上で両導波路1,2に直交する方向に沿って移動可能となるように形成してあるが、上記平面上で両導波路1,2の長手方向に沿って移動可能となるように形成してもよいし、これら各方向を組み合わせて2次元方向へ移動可能となるように形成してもよい。
(実施形態4)
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図4に示すように、共振波長調整用構造体4とリング共振器3との間の距離が共振波長調整用構造体の移動後に維持されるように共振波長構成用構造体4を保持する保持体5を、リング共振器3および共振波長調整用構造体4と同一平面上に形成してある点などが相違する。ここで、共振波長調整用構造体4は、リング共振器3側とは反対側にロッド42が設けられており、ロッド42には長手方向に離間して複数の係合爪42aが突設されている。一方、保持体5は、上記長手方向に離間した係合爪42aのいずれかに係脱自在に係合する保持爪5aを有している。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図4に示すように、共振波長調整用構造体4とリング共振器3との間の距離が共振波長調整用構造体の移動後に維持されるように共振波長構成用構造体4を保持する保持体5を、リング共振器3および共振波長調整用構造体4と同一平面上に形成してある点などが相違する。ここで、共振波長調整用構造体4は、リング共振器3側とは反対側にロッド42が設けられており、ロッド42には長手方向に離間して複数の係合爪42aが突設されている。一方、保持体5は、上記長手方向に離間した係合爪42aのいずれかに係脱自在に係合する保持爪5aを有している。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
しかして、本実施形態の波長選択フィルタでは、保持爪5aが係合爪42aと係合していることにより、共振波長調整用構造体4を移動させる外力を印加するための電源がオフされても、共振波長調整用構造体4の位置がずれないので、共振波長調整用構造体4とリング共振器3との間の距離が保持され、当該距離に応じて決まるリング共振器3の共振波長の光信号の分波、合波を引き続き行うことができる。このような本実施形態の波長選択フィルタは、電源をオフしても所望の分波機能や合波機能を維持できるので、低消費電力化を図ることができ、しかも、停電時など突然の電源遮断時にも、所望の分波機能や合波機能を維持できるので、光通信分野において特に有用である。
なお、本実施形態の波長選択フィルタでは、ロッド42の長手方向において隣り合う係合爪42a間の間隔でリング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を変化させることになるので、隣り合う係合爪42a間の間隔を小さくするほど、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を高精度に制御することができる。なお、保持体5およびロッド42の形状は特に限定するものではない。
(実施形態5)
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図5に示すように、共振波長調整用構造体4とリング共振器3との間の距離が共振波長調整用構造体の移動後に維持されるように共振波長構成用構造体4を保持する保持体5を、リング共振器3および共振波長調整用構造体4と同一平面上に形成してある点などが相違する。ここで、本実施形態では、共振波長調整用構造体4におけるリング共振器3側の一部を磁性体により形成してあり、保持体5が磁力により共振波長調整用構造体4の位置を保持する電磁石装置により構成されている。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図5に示すように、共振波長調整用構造体4とリング共振器3との間の距離が共振波長調整用構造体の移動後に維持されるように共振波長構成用構造体4を保持する保持体5を、リング共振器3および共振波長調整用構造体4と同一平面上に形成してある点などが相違する。ここで、本実施形態では、共振波長調整用構造体4におけるリング共振器3側の一部を磁性体により形成してあり、保持体5が磁力により共振波長調整用構造体4の位置を保持する電磁石装置により構成されている。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
しかして、本実施形態の波長選択フィルタでは、電源がオフされても、共振波長調整用構造体4とリング共振器3との間の距離が保持され、当該距離に応じて決まるリング共振器3の共振波長の光信号の分波、合波を引き続き行うことができる。このような本実施形態の波長選択フィルタは、電源をオフしても所望の分波機能や合波機能を維持できるので、低消費電力化を図ることができ、しかも、停電時など突然の電源遮断時にも、所望の分波機能や合波機能を維持できるので、光通信分野において特に有用である。なお、本実施形態では、共振波長調整用構造体4を移動させる移動手段を別途に設けてあるが、保持体5を移動手段として併用してもよい。また、複数の保持体5を設けて共振波長調整用構造体4を様々な位置に保持できるように構成してもよい。
(実施形態6)
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図6に示すように、1つのリング共振器3に対して複数(図示例では、2つ)の共振波長調整用構造体4を設けている点が相違する。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図6に示すように、1つのリング共振器3に対して複数(図示例では、2つ)の共振波長調整用構造体4を設けている点が相違する。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の波長選択フィルタの基本動作は実施形態1と同じであって、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節することによって、リング共振器3単独の共振とは異なる共振波長の光信号を、リング共振器3を介して出力導波路2へ移行させてドロップポートP3から出力させることが可能となる。例えば、リング共振器3単独の共振波長が波長λ1であったとして、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節してリング共振器3の共振波長をλnに変化させた場合には、共振波長λn以外の波長λ1、λ2、…、λn−1の光信号は入力導波路1のスルーポートP2へ向かって伝搬する。また、出力導波路2のアッドポートP4に上述の共振波長λnに一致する波長λnの光信号が入力された場合、この波長λnの光信号はリング共振器3を介して入力導波路1のスルーポートP2へ導かれる。なお、図6中の実線の矢印は波長λnの光信号を分波する場合の各波長λ1、λ2、…、λn−1、λnそれぞれの光信号の伝搬経路を示し、同図中の破線の矢印は波長λnの光信号を合波する場合の波長λnの光信号の伝搬経路を示している。
しかして、本実施形態の波長選択フィルタでは、リング共振器3と少なくとも一方の共振波長調整用構造体4との間の距離を調節することによってリング共振器3の共振波長を変化させることができるので、1つのリング共振器3を介して種々の波長の光信号を選択的にドロップポートP3へ分波したり、スルーポートP2へ合波することができる。しかも、本実施形態の波長選択フィルタでは、1つのリング共振器3の近傍にそれぞれリング共振器3との間の距離を調節可能な複数の共振波長調整用構造体4を配置してあるので、リング共振器3の共振波長の選択肢をより多くでき、より多くの波長に対応できる。
なお、上記実施形態2,3の波長選択フィルタにおいても、1つのリング共振器3に対して複数の共振波長調整用構造体4を設けてもよいことは勿論である。
(実施形態7)
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図7に示すように、共振波長調整用構造体4に熱光学効果を有する材料からなる屈折率可変部43を設けている点などが相違する。すなわち、本実施形態における共振波長調整用構造体4の一部である屈折率可変部43が熱エネルギにより屈折率が変化する材料により形成されている。ここにおいて、屈折率可変部43は電源Eにより直接あるいはヒータを介して加熱されることにより屈折率が変化する。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図7に示すように、共振波長調整用構造体4に熱光学効果を有する材料からなる屈折率可変部43を設けている点などが相違する。すなわち、本実施形態における共振波長調整用構造体4の一部である屈折率可変部43が熱エネルギにより屈折率が変化する材料により形成されている。ここにおいて、屈折率可変部43は電源Eにより直接あるいはヒータを介して加熱されることにより屈折率が変化する。なお、他の構成は実施形態1と同様なので、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の波長選択フィルタの基本動作は実施形態1と同じであって、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節することによって、リング共振器3単独の共振とは異なる共振波長の光信号を、リング共振器3を介して出力導波路2へ移行させてドロップポートP3から出力させることが可能となる。例えば、リング共振器3単独の共振波長が波長λ1であったとして、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節してリング共振器3の共振波長をλnに変化させた場合には、共振波長λn以外の波長λ1、λ2、…、λn−1の光信号は入力導波路1のスルーポートP2へ向かって伝搬する。また、出力導波路2のアッドポートP4に上述の共振波長λnに一致する波長λnの光信号が入力された場合、この波長λnの光信号はリング共振器3を介して入力導波路1のスルーポートP2へ導かれる。なお、図7中の実線の矢印は波長λnの光信号を分波する場合の各波長λ1、λ2、…、λn−1、λnそれぞれの光信号の伝搬経路を示し、同図中の破線の矢印は波長λnの光信号を合波する場合の波長λnの光信号の伝搬経路を示している。
ところで、本実施形態の波長選択フィルタでは、実施形態1と同様にリング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節することによりリング共振器3の共振波長を調整することができるが、上記距離だけでなく、屈折率可変部43の屈折率を変化させることによってもリング共振器3の共振波長を調整することができるので、リング共振器3の共振波長の選択肢をより多くでき、より多くの波長に対応できる。
なお、本実施形態の波長選択フィルタでは、上述のように共振波長調整用構造体4を上記平面上で両導波路1,2に直交する方向に沿って移動可能となるように形成してあるが、上記平面上で両導波路1,2の長手方向に沿って移動可能となるように形成してもよいし、これら各方向を組み合わせて2次元方向へ移動可能となるように形成してもよい。また、共振波長調整用構造体4の形状も特に限定するものではなく、例えば、実施形態2や実施形態3の形状を採用してもよい。また、本実施形態では、屈折率可変部43を熱光学効果を有する材料により形成してあるが、屈折率可変部43の材料としては、電気光学効果、磁気光学効果を有する材料により形成してもよい。要するに、屈折率可変部43は、熱エネルギ、電気エネルギ、磁気エネルギの少なくとも1種により屈折率を変化させることができる材料により形成してあればよい。また、本実施形態では、共振波長調整用構造体4の一部を屈折率可変部43としてあるが、共振波長調整用構造体4の全部を屈折率可変部43としてもよい。
(実施形態8)
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図8に示すように、共振波長調整用構造体4を静電力により移動させる静電アクチュエータ6がリング共振器3および共振波長調整用構造体4と同一平面上に形成されている点が相違する。ここにおいて、静電アクチュエータ6は、共振波長調整用構造体4における共振器3側とは反対側に突設されたロッド44を備えており、ロッド44の先端部に櫛形状の可動電極45が設けられ、可動電極45の隣り合う櫛歯45a間それぞれに櫛歯46aが入り込んだ櫛形状の固定電極46が可動電極45近傍に配置されている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の波長選択フィルタの構成は実施形態1と略同じであって、図8に示すように、共振波長調整用構造体4を静電力により移動させる静電アクチュエータ6がリング共振器3および共振波長調整用構造体4と同一平面上に形成されている点が相違する。ここにおいて、静電アクチュエータ6は、共振波長調整用構造体4における共振器3側とは反対側に突設されたロッド44を備えており、ロッド44の先端部に櫛形状の可動電極45が設けられ、可動電極45の隣り合う櫛歯45a間それぞれに櫛歯46aが入り込んだ櫛形状の固定電極46が可動電極45近傍に配置されている。なお、実施形態1と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の波長選択フィルタの基本動作は実施形態1と同じであって、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節することによって、リング共振器3単独の共振とは異なる共振波長の光信号を、リング共振器3を介して出力導波路2へ移行させてドロップポートP3から出力させることが可能となる。例えば、リング共振器3単独の共振波長が波長λ1であったとして、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節してリング共振器3の共振波長をλnに変化させた場合には、共振波長λn以外の波長λ1、λ2、…、λn−1の光信号は入力導波路1のスルーポートP2へ向かって伝搬する。また、出力導波路2のアッドポートP4に上述の共振波長λnに一致する波長λnの光信号が入力された場合、この波長λnの光信号はリング共振器3を介して入力導波路1のスルーポートP2へ導かれる。なお、図8中の実線の矢印は波長λnの光信号を分波する場合の各波長λ1、λ2、…、λn−1、λnそれぞれの光信号の伝搬経路を示し、同図中の破線の矢印は波長λnの光信号を合波する場合の波長λnの光信号の伝搬経路を示している。
ところで、本実施形態の波長選択フィルタでは、固定電極46と可動電極45との間に印加する電圧を制御することで固定電極46と可動電極45との間に作用する静電吸引力により可動電極45が移動するので、リング共振器3と共振波長調整用構造体4との間の距離を調節してリング共振器3の共振波長を調整することができる。また、本実施形態の波長選択フィルタでは、共振波長調整用構造体4を静電力により移動させる静電アクチュエータがリング共振器3および共振波長調整用構造体4と同一平面上に設けられており、しかも、共振波長調整用構造体4を移動させるアクチュエータが静電アクチュエータなので、マイクロマシンニング技術で容易に製造することができる。
なお、共振波長調整用構造体4の形状は特に限定するものではなく、例えば、実施形態2や実施形態3の形状を採用してもよい。また、実施形態6と同様に、1つのリング共振器3に対して複数の共振波長調整用構造体4を設けてもよい。
(実施形態9)
本実施形態の波長選択フィルタは、図9に示すように、複数本(図示例では、2本)ずつの入力導波路1と出力導波路2とを交差させたマトリクス(格子)を構成し、マトリクスの各格子点それぞれの近傍にそれぞれ共振波長の異なるリング共振器3を配置した多チャネル型の波長選択フィルタとなっており、各リング共振器3それぞれの近傍で各リング共振器3と同一平面上に実施形態1と同様の共振波長調整用構造体4を配置してある。
本実施形態の波長選択フィルタは、図9に示すように、複数本(図示例では、2本)ずつの入力導波路1と出力導波路2とを交差させたマトリクス(格子)を構成し、マトリクスの各格子点それぞれの近傍にそれぞれ共振波長の異なるリング共振器3を配置した多チャネル型の波長選択フィルタとなっており、各リング共振器3それぞれの近傍で各リング共振器3と同一平面上に実施形態1と同様の共振波長調整用構造体4を配置してある。
本実施形態の波長選択フィルタでは、同図における左上のリング共振器3の共振波長がλ1となるようにこのリング共振器3と近傍の共振波長調整用構造体4との間の距離を調節し、右上のリング共振器3の共振波長がλ2となるようにこのリング共振器3と近傍の共振波長調整用構造体4との間の距離を調節し、左下のリング共振器3の共振波長がλ3となるようにこのリング共振器3と近傍の共振波長調整用構造体4との間の距離を調節し、右下のリング共振器3の共振波長がλ4となるようにこのリング共振器3と近傍の共振波長調整用構造体4との間の距離を調節した場合、各入力ポートP1から複数の波長λ1、λ2、λ3、λ4、λ5、…、λnの光信号が入力されると、図9における左側のドロップポートP3からは波長λ1、λ3の光信号が出力され、同図における右側のドロップポートP3からは波長λ2、λ4の光信号が出力され、同図における上側のスルーポートP2からは波長λ3、λ4、…、λnの光信号が出力され、同図における下側のスルーポートP2からは波長λ1、λ2、λ5、…、λnの光信号が出力される。また、例えば、図9における左側のアッドポートP3から波長λ1の光信号が入力されると、この波長λ1の光信号は図9における左上のリング共振器3を介して図9における上側のスルーポートP2から出力される。
なお、共振波長調整用構造体4の形状は特に限定するものではなく、例えば、実施形態2や実施形態3の形状を採用してもよい。
ところで、入力導波路1と出力導波路2とリング共振器3との相対的な位置関係は上記各実施形態に限らず、種々の組み合わせが可能であり、例えば、図11に示した従来例のように1つの入力導波路1と出力導波路2との間に複数のリング共振器3を配置した構成において各リング共振器3それぞれの近傍に共振波長調整用構造体4を設けた構成を採用すれば、透過帯域が平坦な箱型(スクエア型)のフィルタ特性を実現できる。
1 入力導波路
2 出力導波路
3 共振器
4 共振波長調整用構造体
P1 入力ポート
P2 スルーポート
P3 ドロップポート
P4 アッドポート
2 出力導波路
3 共振器
4 共振波長調整用構造体
P1 入力ポート
P2 スルーポート
P3 ドロップポート
P4 アッドポート
Claims (7)
- 入力導波路の一端側から入射された複数波長の光信号のうち出力導波路との間に存在する共振器の共振波長に一致する波長の光信号が共振器を介して出力導波路へ移行し出力導波路の一端側のドロップポートから出射される波長選択フィルタであって、共振器との距離が可変で共振器との相互作用により共振器の共振波長を共振器単独の共振波長から変化させる共振波長調整用構造体を、共振器と同一平面上に設けてなることを特徴とする波長選択フィルタ。
- 前記共振波長調整用構造体は、前記共振器との並設方向に直交する面に対して傾斜し前記共振器に対向する傾斜面が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の波長選択フィルタ。
- 前記共振波長調整用構造体は、少なくとも一部が、前記共振器との並設方向に直交し前記共振器に対向する複数の階段面を有する階段状に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の波長選択フィルタ。
- 前記共振器に対して前記共振波長調整用構造体が複数設けられてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の波長選択フィルタ。
- 前記共振波長調整用構造体は、少なくとも一部が、電気エネルギ、熱エネルギ、磁気エネルギのうちの少なくとも1種により屈折率が変化する材料により形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の波長選択フィルタ。
- 前記共振器は平面形状がリング状に形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の波長選択フィルタ。
- 前記共振波長調整用構造体を静電力により移動させる静電アクチュエータが前記同一平面上に設けられてなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の波長選択フィルタ。
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