JP2005128315A - 垂直配向膜、その製造方法、液晶配向膜、光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents

垂直配向膜、その製造方法、液晶配向膜、光学フィルムおよび画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 液晶材料等に対して垂直配向性を有し、かつ強度物性を満足できる垂直配向膜およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 炭素数12〜28のアルキル基を側鎖に有するポリマー100重量部および反応性希釈剤200〜2000重量部を含有する混合組成物を、基材上に塗布した後、放射線で硬化させて得られる垂直配向膜。
【選択図】 なし

Description

本発明は、垂直配向膜およびその製造方法に関する。当該垂直配向膜は液晶材料を垂直配向させて液晶配向膜を得ることができる。当該液晶配向膜は単独でまたは他のフィルムと組み合わせて、位相差板、視角補償フィルム、光学補償フィルム、楕円偏光フィルム等の光学フィルムとして使用できる。また垂直配向膜は液晶セル中の配向膜として用いることができる。さらには本発明は、上記垂直配向膜、液晶配向膜または光学フィルムを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、PDPなどの画像表示装置に関する。
液晶ディスプレイが大型化するに従い、広視野角への要求が大きくなっており、液晶セルの形式に種々の手法が提案されている。また、広視野角に用いる光学補償フィルムにおいても各種の配向方式が検討されている。その1つとして垂直配向膜を用いて液晶材料を垂直配向させる方法があり、すでに実用化もされている。
前記各種の配向方法としてはさまざまな手法が提案されている(非特許文献1)。垂直配向させる手法としては、一般的には垂直配向剤を用いて液晶材料を垂直配向させることが知られている。たとえば、垂直配向方法には、無機物を蒸着させる方法やシランカップリング剤などの有機物を用いる方法などの垂直配向剤上で垂直配向膜を形成方法が知られている(特許文献1、特許文献2)。また、垂直配向の理論的な解析も行なわれている(非特許文献2)。一方、垂直配向剤を用いない手法として、液晶材料を基材上で垂直配向させることが例示されている(特許文献3)。
しかし、光学フィルム等の高性能化に伴い、垂直配向膜にも高性能化が求められるようになり、前記従来の垂直配向膜では、高い擦傷性、機械強度、耐熱性などの強度要求を十分に満足できなくなっている。これらを解決するために、垂直配向膜を形成するポリマーを変性したり、添加剤を加えることによって機械的性質を改質する方法などがあるが、配向性が損なわれるなどの問題が発生するため、改質効果が十分ではない。
液晶.第3巻第1号(1990)第3頁乃至第16頁 化学総説、No.44、表面の改質、日本化学編(1984) 特開平3−7913公報 特開平3−186818公報 特開2002−333642号公報
本発明は、液晶材料等に対して垂直配向性を有し、かつ強度物性を満足できる垂直配向膜およびその製造方法を提供することを目的とする。
また本発明は、前記垂直配向膜を用いて得られた液晶配向膜を提供すること、当該液晶配向膜を少なくとも1枚用いた光学フィルムを提供すること、さらには垂直配向膜、液晶配向膜または光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、下記垂直配向膜により上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の通りである。
1.炭素数12〜28のアルキル基を側鎖に有するポリマー100重量部および反応性希釈剤200〜2000重量部を含有する混合組成物を、基材上に塗布した後、放射線で硬化させて得られる垂直配向膜。
2.反応性希釈剤が、多官能(メタ)アクリレートおよび/または多官能(メタ)アクリレートオリゴマーであることを特徴とする上記1記載の垂直配向膜。
3.混合組成物がラジカル発生剤を含有しており、放射線として紫外線を照射して硬化させたものであることを特徴とする上記1または2記載の垂直配向膜。
4.炭素数12〜28のアルキル基を側鎖に有するポリマー100重量部および反応性希釈剤200〜2000重量部を含有する混合組成物を、基材上に塗布した後、放射線で硬化させることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の垂直配向膜の製造方法。
5.上記1〜3のいずれかに記載の垂直配向膜に液晶材料を塗布し、液晶材料を垂直配向させて得られる液晶配向膜。
6.上記5記載の液晶配向膜を少なくとも1枚用いた光学フィルム。
7.上記1〜3記載の垂直配向膜、上記5記載の液晶配向膜、または上記6記載の光学フィルムを用いた画像表示装置。
上記本発明は、垂直配向性を有する長鎖アルキル基含有ポリマーに反応性希釈剤を添加した混合組成物を材料とし、これを基材上で塗布、放射性硬化することよって垂直配向膜を形成することで、垂直配向性を維持したまま、物性を変化させた垂直配向膜が得られることを見出したものである。当該垂直配向膜は、液晶材料等に対して垂直配向性を有し、かつ強度物性を有する。従って、垂直配向膜は、表面硬度が高くキズつきにくい。また、本発明の垂直配向膜は、垂直配向剤を用いることなく形成することができる。
本発明の垂直配向膜は、炭素数12〜28のアルキル基を側鎖に有するポリマー100重量部および反応性希釈剤200〜2000重量部を含有する混合組成物を、基材上に塗布した後、放射線で硬化させて得られる。
炭素数12〜28のアルキル基を側鎖に有するポリマーは、垂直配向性を有する。アルキル基の炭素数は18〜28であるのが好ましい。なお、アルキル基の炭素数が11以下では、垂直配向性が十分ではない。
炭素数12〜28のアルキル基を側鎖に有するポリマーとしては、たとえば、アルキルイソシアネートを原料成分としたウレタン系ポリマーなどの反応生成物があげられる。上記の反応生成物は、常法により、ポリビニルアルコール系ポリマーやポリエチレンイミンなどに炭素数12〜28の長鎖アルキル基を有するアルキルイソシアネートを反応させることにより得られる。また炭素数12〜28のアルキル基を側鎖に有するポリマーとしては、アクリル系ポリマーなどが用いられる。炭素数12〜28のアルキル基を側鎖に有するポリマーは、1種を単独で、または2種以上を用いてもよい。また、炭素数12〜28のアルキル基を側鎖に有するポリマーとしてはアクリル系ポリマーを好適に用いることができる。以下アクリル系ポリマーについて説明する。
アクリル系ポリマーは、炭素数12〜28の長鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、つまり式;CH2 =C(R1 )COOR2 (式中、R1 は水素原子またはメチル基、R2 は炭素数12〜28の長鎖アルキル基である)で表されるアクリル系モノマーを含有する。アクリル系ポリマーは、長鎖アルキル基を有するアクリル系モノマーのホモポリマーでもよいが、柔軟性や耐熱性などの特性を容易に制御するためには、他のモノマーとの共重合体とすることができる。共重合体は、ランダムポリマーでもよいし、ブロックポリマーでもよい。
前記式(1)の長鎖アルキル基を有するアクリル系モノマーとしては、例えば、オクタデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ミスチリル(メタ)アクリレート、イソミスチリル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、などがあげられる。
他の共重合モノマーとしては、例えば、汎用の(メタ)アクリレートを用いることができる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレートなどがあげられる。その他、(メタ)アクリレート以外のモノマーとしては、スチレン、ビニルピロリドン、ビニルアセテート、アクリロニトリル等があげられる。
また他の共重合モノマーとしては、例えば、官能基を有するモノマーがあげられる。官能基としては、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、イソシアネート基、アジリジン基などがあげられる。これらのなかでも水酸基、エポキシ基を有するモノマーが好適できる。導入された官能基は、当該官能基同士の反応により、または当該官能基と架橋剤との反応により、アクリル系ポリマーを架橋処理することが可能であり、効果的に架橋を行なうことができ、光学特性(配向性)を維持したまま、耐熱性を向上することができる。
水酸基を有するモノマーとしては、たとえば、式:CH2 =CR3 COOR4 (式中、R3 水素原子またはメチル基、R4 は水酸基を少なくとも1個有する炭素数2〜6のアルキル基である)で表されるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがあげられる。たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチルアクリレート、などがあげられる。また、前記以外の水酸基を有するモノマーとしては、たとえば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。
また、エポキシ基を有するモノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートがあげられる。
前記他の共重合モノマーは、得られるアクリル系ポリマー中、長鎖アルキル基を有するアクリル系モノマー100重量部に対して、1000重量部程度以下の範囲で用いることができる。他の共重合モノマーの割合は、800重量部以下、さらには600重量部以下とするのが好ましい。一方、柔軟性や耐熱性などの特性を制御するには、50重量部以上、さらには100重量部以上用いるのが好ましい。
アクリル系ポリマーは、炭素数12〜28の長鎖アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートをこれ単独でまたは他の共重合モノマーとともに重合または共重合させることにより得られる。ランダムポリマーを作成する方法としては、乳化重合、溶液重合などの通常のラジカル重合法を採用できる他、リビングラジカル重合法を採用できる。ブロックポリマーを作成する手法としては、リビングラジカル重合が好適である。
通常のラジカル重合の場合には、重合開始剤として、AIBN(アゾイソブチロニトリル)に代表されるアゾ系開始剤、BPO(ベンゾイルパーオキサイド)に代表される過酸化物系開始剤などが用いられる。重合開始剤量は通常、モノマーの合計100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。重合温度は重合開始剤の種類によって異なるが、通常は40〜80℃程度である。
リビングラジカル重合法は、特表平10−509475号公報(特許第3040172号明細書)に示されているように、活性化剤として遷移金属とその配位子を使用し、これらの存在下、重合開始剤を用いて、重合反応を進行させる方法である。
ラジカル重合は工業的に最も広く利用されている重合法で、重合可能なモノマーの多様さ、反応系の取り扱いの容易さとそれに基づく製造コストの低廉化などが広く用いられる。ラジカル重合で分子量の制御された重合体を得るには開始剤の量の選択や重合熱の制御が困難であった。その問題を解消した重合法に、リビングラジカル重合法またはATRP法と呼ばれるものがある。
リビングラジカル重合法の参考文献として、例えば、Pattenらによる報告、”Radical Polymerization Yielding Polymers with Mw/Mn 〜1.05 by Homogeneous Atom Transfer Radical Polymerization’’Polymer Preprinted,pp575−6,No37(March 1996);あるいは、Matyjasewski らによる報告、”Contorolled/Living Radical Polymerization. Halogen Atom Transfer Radical Polymerization Promoted by a Cu(I)/Cu(II) Redox Process’’,Macromolecules l995,28,7901−10(October 15,1995);あるいは 同著PCT/US96/03302,International Publication No.WO96/30421(October3,1996);あるいはM.Sawamotoらの報告,’’Ruthunium−mediated Living Radical Polymerization of Methyl Methacrylate Macromolecules,1996,29,1070.などが知られている。
たとえば、長鎖アルキル基を有するアクリル系モノマー(a)をリビング重合したポリマー(ブロック体a)に、共重合モノマー(b)を加えて、ブロック体aからなるポリマーの重合末端に共重合モノマー(b)が順々に付加していくことにより、第2次ブロックであるブロック体bが導入されて、a−bの形態のジブロックポリマーにすることができる。この際、長鎖アルキル基を有するアクリル系モノマー(a)を、2種以上用いる場合にはブロック体aを調製する際にこれらを共重合することができる。さらには、各構成モノマーとして長鎖アルキル基を有するアクリル系モノマー(a)、共重合モノマー(b)として、複数種を用いた場合には、トリブロックポリマー、テトラブロックポリマー等の高次ブロックポリマーとすることもできる。一方、ブロック体bをリビング重合した後に、長鎖アルキル基を有するアクリル系モノマー(a)を重合して、b−aの形態のジブロックポリマーにすることができる。また、a−b−a型ブロック共重合体とすることができる。a−b−a型ブロック共重合体は、a−bブロック体を共重合した後に、重合末端にブロック体aを付加することができる。なお、a−b−a型ブロック共重合体の作成は、ブロック体bを重合し、そのあとブロックbの末端にブロック体aを付加させて重合することによってa−b−a型ブロック重合体が得られる。また、b−a−b型ブロック共重合体とすることができる。
リビング重合したポリマーに、途中から添加するモノマーは、重合されているポリマーの重合率が少なくとも60重量%を超えたとき、好ましくは80重量%を超えたとき、さらには90重量%を超えたときとするのが好ましい。重合率は、(残存モノマー/重合前の仕込みモノマー量)×100(%)で定義され、加熱してモノマー成分を揮発除去したり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーやガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーにより測定することができる。
なお、重合されているポリマーブロックの重合率をあまり上げすぎると重合末端が失活して、分子量分布が広くなったり、重合が進行しなくなったりする。一方、重合されているポリマーブロックの重合率が低い時点で、他のブロックのモノマーを添加するとランダム共重合部分が多くなり、特性が悪くなる。
前記リビングラジカル重合の際には、モノマー中の溶存酸素を取り除く必要がある。溶存酸素濃度を下げる方法としては、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを吹き込みながら撹拌を行う方法、不活性ガスをモノマー中にバブリングする方法、減圧脱気する方法、加熱して脱気する方法などがある。これらの方法は併用してもよい。
重合開始剤としては、臭素もしくは塩素をα位に有するエステルまたはスチレンの誘導体が好適である。好ましくは2−ブロモ(もしくはクロロ)プロピオン酸誘導体もしくは塩化(もしくは臭化)1−フェニル誘導体があげられる。その中でも特に好ましくは2−ブロモ(もしくはクロロ)プロピオン酸メチル、2−ブロモ(もしくはクロロ)プロピオン酸エチル、2−ブロモ(もしくはクロロ)−2−プロピオン酸メチル、2−ブロモ(もしくはクロロ)−2−プロピオン酸エチル、塩化(もしくは臭化)1−フェニルエチル、2−ブロモイソ酪酸エチルから選ばれるハロゲン系化合物を用いることができる。水酸基を有する開始剤として、例えば、2−ブロモ−2−メチルプロピオン酸−2−ヒドロキシエチルなどを用いることもできる。2官能の開始剤も用いることができる。具体的にはエチレンビス(2−ブロモ−2−メチルプロピオネート)などがあげられる。なお、2官能の開始剤は、a−b−a型のブロック重合体を作成するとき好適に用いられる。
前記重合では得られるブロック共重合体の数平均分子量は意図的に制御する事が可能である。この際、調製するブロック共重合体の数平均分子量Mnは、重合開始剤と重合性モノマーのモル比から下記のように与えられる事が知られている。Mn(計算値)=モノマーの分子量×(モノマーのモル比)/(重合開始剤のモル比)。
かかる重合法においては、開始剤のほかの触媒として遷移金属および配位子を用いる。遷移金属としては、Cu,Ru,Fe,Rh,V,Niの金属種及びこれらの金属塩や金属錯体を用いることができる。また、配位子としては、とくに限定されるものではないが、例えば、ビピリジル誘導体、アミン誘導体、メルカプタン誘導体、トリフルオレート誘導体などを用いることができる。これらの中でも、Cu(I)と2,2′−ビピリジル錯体を用いることが、重合の安定性・速度から特に好ましい。
重合開始剤は、モノマー全体に対し、通常0.05〜30モル%、好ましくは0.1〜10モル%、さらに好ましくは0 .1〜5モル%の割合で用いられる。また、遷移金属の使用量は、ハロゲン化物などの形態として、上記重合開始剤1モル部に対して、通常0.01〜3モル部、好ましくは0.1〜1モル部の割合で用いられる。さらに、その配位子は、上記遷移金属(ハロゲン化物などの形態)1モル部に対して、通常0.5〜5モル部、好ましくは1〜3モル部の割合で用いられる。重合開始剤と活性化剤とをこのような使用割合にすると、リビングラジカル重合の反応性、生成ポリマーの分子量などに好結果が得られる。
前記重合法では、モノマー成分が重合温度下で液状であるものは溶剤を用いても、また無溶剤でも製造することが可能である。溶剤はモノマーを溶解するものであればよい。溶剤としては、テトラヒドロフラン、アニソール、ジメチルアセトアミド、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどを用いることができる。通常、モノマー濃度が10〜60重量%程度で重合を行なう。
アクリル系ポリマーの数平均分子量は、2千〜10万程度であるのが好ましい。好ましくは5千〜5万程度である。これより数平均分子量が低いと耐熱性が低下する。数平均分子量が高すぎると重合時間が長くかかるほか、溶剤に溶け難くなって取扱い難い。また配向し難くなる。数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の数値である。
重合温度は、重合速度、モノマーの溶剤に対する溶解性から、60〜120℃程度が好ましい。重合時間は、最終的な数平均分子量や重合温度にも依存するが、約3〜100時間程度で重合を完了するのが好ましい。なお、モノマーとして重合性官能基を2つ以上有するものを用いることにより、アクリル系ポリマーに架橋構造を導入して耐久性を向上させることもできる。
前記長鎖アルキル基含有ポリマー100重量部に対して、反応性希釈剤を200〜2000重量部を添加して混合組成物を調製する。反応性希釈剤が200重量部より少ないと膜強度の向上効果が少なく、2000部より多いと垂直配向性に悪影響がでる。反応性希釈剤は、長鎖アルキル基含有ポリマー100重量部に対して、300〜1800重量部、さらには400〜1600重量部とするのが好ましい。
反応性希釈剤は、多官能(メタ)アクリレートおよび/または多官能(メタ)アクリレートオリゴマーであるのが好ましい。多官能(メタ)アクリレートオリゴマー類としては、たとえば、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマーなどがあげられる。多官能(メタ)アクリレートとしてはトリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ブタンジオールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、3−メチル1. 5ペンタンジオールジアクリレートなどがあげられる。反応性希釈剤は、多官能(メタ)アクリレートおよび/または多官能(メタ)アクリレートオリゴマーを好適に用いることができるが、これらを併用する場合には任意の比率で用いることができる。
前記混合組成物には、特性に影響を及ぼさない範囲で各種添加剤を配合することができる。前記混合組成物は、基材上に塗工し、製膜し、放射線硬化させることにより、垂直配向膜が得られる。
基材上への塗工は特に制限されず、溶融法、溶液法のいずれを採用してもよいが、溶液法が好適である。基材上への塗工方法は特に限定されず、バーコーター、スピンコーター、ロールコーターなどの適宜な塗工機にて行うことができる。
溶液塗工において、混合組成物を溶解する溶媒としては、たとえば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキベンゼンなどの芳香族炭化水素類、その他、アセトン、酢酸エチル、tert−ブチルアルコール、グリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレンブリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、トリエチルアミン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、ブチロニトリル、二硫化炭素、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等が好ましい。溶液の濃度は、通常3〜50重量%程度である。
基材としては、ガラス基板、金属箔、プラスチックシートまたはプラスチックフィルムのいずれの形状でもよい。基板の厚さは、通常、10〜1000μm程度である。
プラスチックフィルムは加熱温度で変化しないものであれば特に制限はなく、たとえば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムがあげられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムもあげられる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなどもあげられる。これらのなかでも水素結合性が高く、光学フィルムとして用いられるトリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ノルボルネンポリオレフィン等のプラスチックフィルムが賞用される。
また金属フィルムとしては、例えばアルミニウムなどから形成される当該フィルムが挙げられる。
プラスチックフィルムとしては、特にゼオノア(商品名,日本ゼオン(株)製)、ゼオネックス(商品名,日本ゼオン(株)製)、アートン(商品名,JSR(株)製)などのノルボルネン構造を有するポリマー物質からなるプラスチックフィルムが光学的にも優れた特性を有する。これらポリマー物質(プラスチックフィルム)は光学異方性が非常に小さいため、プラスチックフィルム上に形成された垂直配向膜を、別のプラスチックフィルムヘ転写することなく、そのまま位相差板等として液晶ディスプレイの光学補償用途等の光学フィルムに用いることができる。また、光学異方性を有するプラスチックフィルムやアルミホイルなどの金属フィルム上に形成した垂直配向膜は、ノルボルネン構造を有するフィルムやセルローストリアセテートなどの透明で光学異方性の小さいプラスチックフィルム上に直接または粘着剤もしくは接着剤を介して転写することにより、光学補償フィルム等の光学フィルムに利用することができる。
前記混合組成物を基材上へ塗布した後は、溶媒を除去するため加熱乾燥する。加熱条件は、用いる溶媒の種類に応じて適宜に決定される。通常は、80〜100℃程度で、1〜5分間程度行なう。
次いで、放射線を照射して重合硬化させることで垂直配向膜が得られる。すなわち、前記塗布された混合組成物に放射線を照射し、反応性希釈剤を硬化させることで、表面硬度の高い膜にすることができる。
混合組成物には、UVラジカル発生剤を添加しておくことができる。この場合にはいて、放射線としてUV照射により硬化させることができる。混合組成物がUVラジカル発生剤を含有しない場合には電子線を照射して硬化させることが可能である。
ラジカル発生剤は、混合組成物の種類に応じて適宜選択されるが、通常はポリマー、モノマーの吸収域が短波長域にあるため、長波長域に吸収を持つUVラジカル発生剤を使用するのが好ましい。例えば、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、2−ベンジジルー2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)プタノン−1などがあげられる。また多官能ラジカル発生剤を用いることもできる。多官能ラジカル発生剤は、UV照射時に加熱してUV照射することで架橋を促進することもできる。多官能ラジカル発生剤も長波長域に吸収を持つものが好ましく、例えば、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−メトキシ−1′−ナフチル)−4、6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリクロロメチル基含有トリアジン誘導体、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパン]のようなオリゴマー型多官能ラジカル発生剤などがあげられる。
ラジカル発生剤の配合量は、長鎖アルキル基含有ポリマーと反応性希釈剤の合計100重量部あたり、通常、5重量部以下とするのが好ましい。より好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.4〜1重量部である。ラジカル発生剤の配合量が0.1重量部未満では、架橋性に乏しくなる。一方、5重量部を超えると、架橋過多となるおそれがある。
前記ラジカル発生剤とともに、架橋助剤としてベンゾフェノン誘導体(ベンゾフェノンやその誘導体)を混合することができる。この架橋助剤を混合すると、表面層をより迅速に架橋硬化でき、これにより表面層での酸素による架橋硬化反応の阻害現象が抑制され、厚さ方向に均一に架橋硬化させることができる。このようなベンゾフェノン誘導体の使用量は、長鎖アルキル基含有ポリマーと反応性希釈剤の合計100重量部あたり、3重量部以下、通常0.1〜3重量部、好適には0.5〜1重量部とするのがよい。
垂直配向膜の厚みは特に制限されないが0.1〜10μm程度とするのが好ましい。好ましくは0.2〜5μm、さらに好ましくは0.5〜3μmである。こうして得られる垂直配向膜は基材から剥離することなく用いられる他、基材から剥離して用いてもよい。
このようにして得られた垂直配向膜は液晶材料等を垂直配向させる機能を有しており、各種の液晶材料を、塗布し、垂直配向させることにより、液晶材料が垂直配向している各種の液晶配向膜を得ることができる。垂直配向膜の構成成分である長鎖アルキル基含有ポリマーの長鎖アルキル基が空気界面に垂直に配向することで、この上で塗布された液晶材料は、長鎖アルキル基の配向に従って、長鎖アルキル基に水平に配向すると考えられる。液晶材料としては、液晶モノマー、液晶ポリマーのいずれも使用することができる。液晶材料の配向は、通常、加熱により行なうが、その他の各種手段を用いることができる。液晶材料は垂直配向後に固定する。液晶材料が液晶モノマーの場合には、紫外線等の放射線照射による硬化により固定化する。液晶材料が液晶ポリマーの場合には、ガラス転移点以下に冷却することにより固定化する。
上記のように液晶材料が垂直配向することにより得られた液晶配向膜は同一の方向で配向された分子を有する。従ってこの液晶配向膜の配向ベクトルの凍結または安定化およびその異方性物性の保存が達成されることは周知であり、このような薄膜はそれらの光学的性質が確認され、各種の用途で使用される。前記液晶配向膜は一軸性の正の複屈折率を有する薄膜である。
以上のようにして得られる液晶配向膜の配向は、当該液晶配向膜の光学位相差を垂直入射から傾けた角度で測定することによって量化することができる。液晶配向膜の場合、この位相差値は垂直入射について対称的である。光学位相差の測定には数種の方法を利用することができ、例えば自動複屈折測定装置(オーク製)および偏光顕微鏡(オリンパス製)を利用することができる。この液晶配向膜はクロスニコル偏光子間で黒色に見える。このようにして液晶配向膜を評価した。
こうして得られた液晶配向膜は、光学フィルムとして用いられる。前記液晶配向膜は基板(垂直配向膜)から容易に剥離して用いることができる。例えば、液晶配向膜は光学補償フィルム、位相差板等として用いることができる。かかる光学補償フィルム、位相差板は、これをSTN型液晶表示装置に適用することにより、液晶表示装置の表示特性、特に視野角特性(広視野角)を著しく向上させることができる。前記液晶配向膜を用いた光学フィルムは他の光学フィルムと組み合わせて用いることができる。
液晶表示装置等の画像表示装置に適用される光学フィルムには偏光板が用いられる。偏光板は、通常、偏光子の片側または両側に保護フィルムを有するものである。偏光子は、特に制限されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、たとえば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等があげられる。これらのなかでもポリビニルアルコール系フィルムを延伸して二色性材料(沃素、染料)を吸着・配向したものが好適に用いられる。偏光子の厚さも特に制限されないが、5〜80μm程度が一般的である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、たとえば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作製することができる。必要に応じてホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸してもよし、また延伸してからヨウ素で染色してもよい。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液中や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子の片側または両側に設けられている保護フィルムには、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れるものが好ましい。前記保護フィルムの材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物などが保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。その他、アクリル系やウレタン系、アクリルウレタン系やエポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型ないし紫外線硬化型樹脂などをフィルム化したものなどがあげられる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。
偏光特性や耐久性などの点より、特に好ましく用いることができる透明基板は、表面をアルカリなどでケン化処理したトリアセチルセルロースフィルムである。保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より10〜500μm程度である。特に20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=[(nx+ny)/2−nz]・d(ただし、nx、nyはフィルム平面内の主屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
前記保護フィルムは、表裏で同じポリマー材料からなる透明保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。前記偏光子と保護フィルムとは通常、水系粘着剤等を介して密着している。水系接着剤としては、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリウレタン、水系ポリエステル等を例示できる。
前記保護フィルムとしては、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものを用いることができる。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
前記偏光板は、位相差板を積層された楕円偏光板または円偏光板として用いることができる。前記楕円偏光板または円偏光板について説明する。これらは位相差板により直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4 波長板(λ/4 板とも言う)が用いられる。1/2 波長板(λ/2 板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
位相差板には、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどを使用することができ、また使用目的に応じた適宜な位相差を有する2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御することができる。位相差板としては、ポリカーボネート、ノルボルネン系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーなどの液晶材料からなる配向フィルム、液晶材料の配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。前記液晶配向膜はかかる位相差板として用いることができる。
また前記垂直配向膜を用いて得られた液晶配向膜は、前述の通り、視角補償フィルムとして偏光板に積層して広視野角偏光板として用いられる。視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。
このような視角補償位相差板としては、他に二軸延伸処理や直交する二方向に延伸処理等された複屈折を有するフィルム、傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。視角補償フィルムは、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的として適宜に組み合わせることができる。
また、良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
前記のほか実用に際して積層される光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板などの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、楕円偏光板または円偏光板に、更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板があげられる。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また前記保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
反射板は前記の偏光板の保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性によっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示当に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一旦反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、拡散板は偏光を元の自然光状態にもどす。この非偏光状態、すなわち自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光状態にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を投下するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
可視光域等の広い波長範囲で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差層と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層又は2層以上の位相差層からなるものであってよい。
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組み合わせにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光領域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
また偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていてもよい。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであってもよい。
上記楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することよって形成することができるが、予め積層して楕円偏光板等の光学フィルムとしたのものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
本発明の光学フィルムには、粘着層を設けることもできる。粘着剤層は、液晶セルへの貼着に用いることができる他、光学層の積層に用いられる。前記光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着する方式などがあげられる。
粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鏡アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やべンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に前記光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。また、本発明の垂直配向膜は、液晶セル中の配向膜として用いることができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
有機EL表示装置は、透明電極と金属電極とに電圧を印加することによって、有機発光層に正孔と電子とが注入され、これら正孔と電子との再結合によって生じるエネルギーが蛍光物資を励起し、励起された蛍光物質が基底状態に戻るときに光を放射する、という原理で発光する。途中の再結合というメカニズムは、一般のダイオードと同様であり、このことからも予想できるように、電流と発光強度は印加電圧に対して整流性を伴う強い非線形性を示す。
有機EL表示装置においては、有機発光層での発光を取り出すために、少なくとも一方の電極が透明でなくてはならず、通常酸化インジウムスズ(ITO)などの透明導電体で形成した透明電極を陽極として用いている。一方、電子注入を容易にして発光効率を上げるには、陰極に仕事関数の小さな物質を用いることが重要で、通常Mg−Ag、Al−Liなどの金属電極を用いている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1 /4 波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4 に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
すなわち、この有機EL表示装置に入射する外部光は、偏光板により直線偏光成分のみが透過する。この直線偏光は位相差板により一般に楕円偏光となるが、とくに位相差板が1 /4 波長板でしかも偏光板と位相差板との偏光方向のなす角がπ/4 のときには円偏光となる。
この円偏光は、透明基板、透明電極、有機薄膜を透過し、金属電極で反射して、再び有機薄膜、透明電極、透明基板を透過して、位相差板に再び直線偏光となる。そして、この直線偏光は、偏光板の偏光方向と直交しているので、偏光板を透過できない。その結果、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下に、この発明の実施例を記載して、より具体的に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、各例中の部は重量部である。
(アクリル系ブロックポリマー(1)の作成)
メカニカルスターラー、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、オクタデシルアクリレート(10g)、ジメチルアセトアミド(23g )、2,2−ビピリジン(2.34g)を加え、系内に2時間窒素を流し置換した。これに窒素気流下、臭化鋼(0.72g)、2−ブロモイソ酪酸エステル(0.98g)を加え、窒素気流下で、80℃で20時間重合した。得られたポリマーは、数平均分子量1700、重量平均分子量1900であった。
前記モノマーの重合率が80重量%以上であることを確認した後、用意しておいた、窒素置換済みの2−エチルヘキシルアクリレート(40g)をジメチルアセトアミド(144g)に溶解した溶液をシリンジでラバーセプタムから添加し、80℃で20時間重合した。これにメタノールを加えて再沈、精製を行なって洗浄を行なって、長鎖アルキル基含有のブロックポリマー(1)を得た。このブロックポリマー(1)は、数平均分子量9900、重量平均分子量12100であった。
(アクリル系ポリマー(2)の作成)
メカニカルスターラー、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、オクタデシルアクリレート(10g)、2−エチルヘキシルアクリレート(40g )、ジメチルアセトアミド(167)を加え、系内に2時間窒素を流し置換した。これに窒素気流下、開始剤としてAIBN(0.1g)を加え、窒素気流下で、65℃で12時間重合した。これにメタノールを加えて再沈、精製を行なって洗浄を行なって長鎖アルキル基含有のポリマー(2)を得た。このポリマー(2)は、数平均分子量10100、重量平均分子量12400であった。
(アクリル系ポリマー(3)の作成)
メカニカルスターラー、窒素導入管、冷却管およびラバーセプタムを備えた4つ口フラスコに、オクタデシルアクリレート(50g)、ジメチルアセトアミド(167g )、2,2−ビピリジン(2.34g)を加え、系内に2時間窒素を流し置換した。これに窒素気流下、臭化鋼(0.72g)、2−ブロモイソ酪酸エステル(0.98g)を加え、窒素気流下で、80℃で20時間重合した。これにメタノールを加えて再沈、精製を行なって洗浄を行なって、長鎖アルキル基含有のポリマー(3)を得た。このポリマー(3)は、数平均分子量9800、重量平均分子量12500であった。
実施例1
アクリル系ブロックポリマー(1)100部、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(共栄社製,ライトアクリレートDCP−A)500部および2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン15部を、シクロペンタノン1400部に溶解した溶液を調製した。当該溶液を、スピンコーターにより、ガラス板上に塗布し、90℃で2分間乾燥した。その後、UV光を2J/cm2 照射してガラス板上に膜厚2μmの垂直配向膜を形成した。
実施例2
実施例1において、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(共栄社製,ライトアクリレートDCP−A)の代わりに、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート(共栄社製,ライトアクリレートMDP−A)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてガラス板上に垂直配向膜を形成した。
実施例3
実施例1において、アクリル系ブロックポリマー(1)の代わりにアクリル系ポリマー(2)を用い、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(共栄社製,ライトアクリレートDCP−A)の使用量を1200部に変えたこと以外は実施例1と同様にして垂直配向膜を形成した。
実施例4
実施例1において、アクリル系ブロックポリマー(1)の代わりにアクリル系ポリマー(2)を用い、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(共栄社製,ライトアクリレートDCP−A)500部の代わりに、ウレタンアクリレート(共栄社製,UA306T)600部およびジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート(共栄社製,ライトアクリレートDCP−A)600部を用いたこと以外は実施例1と同様にして垂直配向膜を形成した。
実施例5
実施例3において、アクリル系ブロックポリマー(1)の代わりにアクリル系ポリマー(3)を用いたこと以外は実施例3と同様にして垂直配向膜を形成した。
比較例1
実施例1において、アクリル系ブロックポリマー(1)100部および2,4−トリクロロメチル(ピペニル−6トリアジン)5部を、シクロペンタノン2300部に溶解した溶液を調製したこと以外は実施例1と同様にして垂直配向膜を形成した。
比較例2
実施例1において、ジメチロールートリシクロデカンジアクリレート(共栄社製,ライトアクリレートDCP−A)の使用量を3000部に変え、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス−(トリクロロメチル)−s−トリアジン5部を2,4−トリクロロメチル(ピペニル−6トリアジン)25部に変えたこと以外は実施例1と同様にしてガラス板上に垂直配向膜を形成した。
実施例および比較例で得られた垂直配向膜(ガラス板付き)について以下の評価を行なった。結果を表1に示す。
(垂直配向性)
得られた垂直配向膜(ガラス板付き)の上に、液晶モノマー(PaliocolorLC242:BASF社製)の酢酸エチル溶液(固形分10重量%)をスピンコーターで塗布した後、すぐに乾燥し、液晶モノマーの厚みが1μmの液晶層を形成した。これを100℃で2分間加熱配向させて液晶配向膜を得た。得られた液晶配向膜の光学位相差を評価するために、偏光顕微鏡を用いて以下のようにして評価した。液晶配向膜をクロスニコル偏光子の間挟んだ場合には黒色に見え、クロスニコル偏光子の間で液晶配向膜を傾けた場合には白色に見えるものを垂直配向している(○)と評価した。これ以外の場合は垂直配向していない(×)と評価した。なお、前記液晶モノマーを垂直配向膜の代わりにガラス板上で、前記と同様にして、塗布、配向して液晶層を形成しても垂直配向性は示さなかった。
(膜強度)
垂直配向膜の表面を15g/cm2 の荷重をかけた布(ベンコット)で3往復こすり、跡がつくかどうかを下記基準で評価した。
○:跡付きがないもの。
×:跡付きがあるもの。
Figure 2005128315

Claims (7)

  1. 炭素数12〜28のアルキル基を側鎖に有するポリマー100重量部および反応性希釈剤200〜2000重量部を含有する混合組成物を、基材上に塗布した後、放射線で硬化させて得られる垂直配向膜。
  2. 反応性希釈剤が、多官能(メタ)アクリレートおよび/または多官能(メタ)アクリレートオリゴマーであることを特徴とする請求項1記載の垂直配向膜。
  3. 混合組成物がラジカル発生剤を含有しており、放射線として紫外線を照射して硬化させたものであることを特徴とする請求項1または2記載の垂直配向膜。
  4. 炭素数12〜28のアルキル基を側鎖に有するポリマー100重量部および反応性希釈剤200〜2000重量部を含有する混合組成物を、基材上に塗布した後、放射線で硬化させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の垂直配向膜の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の垂直配向膜に液晶材料を塗布し、液晶材料を垂直配向させて得られる液晶配向膜。
  6. 請求項5記載の液晶配向膜を少なくとも1枚用いた光学フィルム。
  7. 請求項1〜3記載の垂直配向膜、請求項5記載の液晶配向膜、または請求項6記載の光学フィルムを用いた画像表示装置。



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