JP2005127926A - ウラン廃棄物の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ウラン等が付着した金属廃棄物およびフッ化物系ウラン廃棄物の処理の共通化を図り、双方の廃液処理を効率よく行ない、二次廃棄物発生量の抑制を図った処理技術。
【解決手段】本発明に係るウラン廃棄物の処理方法は、ウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物1を酸除染する除染工程2と、フッ化物系ウラン廃棄物4を酸溶解する溶解工程5と、前記除染工程2で酸除染された除染廃液および溶解工程5で酸溶解した溶解廃液6の双方を、共通して処理する廃液処理工程7とを備える方法である。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ウラン廃棄物を処理対象物としたウラン廃棄物の処理方法に係り、特にウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物およびフッ化物系ウラン廃棄物を共通の廃液処理にて効率的に処理し、二次廃棄物発生量を大幅低減させるウラン廃棄物の処理方法に関する。
原子力施設の運転時、定期検査時および廃止措置時などに発生する放射能で汚染された金属から汚染放射能を除去する除染技術が開発されている。
従来この種の除染技術には、ウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物の除染方法として、特許文献1に記載の如く、硫酸で除染する方法、特許文献2に記載の如く有機酸で除染する方法、特許文献3に記載の如くシュウ酸で除染する方法が知られている。
また、非特許文献1に記載の如く、ウラン転換やウラン再処理施設内で発生したフッ素を含有するCaF、NaF等のフッ化物系ウラン廃棄物を塩酸を用いて処理するウラン廃棄物処理方法が開発されている。
特開2000−199800号公報(明細書の段落[0012],[0027]〜[0029]参照) 特開平9−113690号公報(第2頁の請求項1,10および11参照) 特開平10−132999号公報(明細書の段落[0012]および[0042]参照) 日本原子力学会「2003年秋の大会」予稿集I63「塩酸系湿式法によるウラン廃棄物処理」(2003年9月24〜26日 静岡大学開催)第548頁
従来のウラン廃棄物の処理技術は、いずれも処理対象物が金属廃棄物かあるいはフッ化物系ウラン廃棄物のどちらかに限定され、ウランまたはウラン化合物を付着した金属廃棄物とフッ化物系ウラン廃棄物との双方を同時に処理することができなかった。
また、ウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物の処理により生成される二次廃棄物について、特許文献1では言及されていない。しかし、放射性金属廃棄物を硫酸で酸除染する場合には、通常中和処理が必要となるため、ウランを含む多量の中和塩が二次廃棄物として発生することが予想される。
さらに、特許文献2に記載された放射性金属廃棄物の除染方法では、放射性金属廃棄物の除染処理に有機酸を用いており、有機酸の酸除染により除染廃液中に溶出した金属成分をイオン交換樹脂で回収し、回収後のイオン交換樹脂を硫酸で再生している。このため、イオン交換樹脂の再生に使用した硫酸を中和処理する必要があり、この中和処理により多量の中和塩が二次廃棄物として再生することが想定される。
また、特許文献3に記載の放射性金属廃棄物の除染方法では、二次廃棄物としては蒸留によりシュウ酸およびシュウ酸ウラニルが回収されるが、シュウ酸はカルボキシル基が分解可能であるため、二次廃棄物を低減でき、好ましい。
非特許文献4に記載のフッ化物系ウラン廃棄物の処理方法では、ウランおよびフッ素を除去するために、塩酸系による湿式処理法を用いているが、この湿式処理法では、有価物であるウランをできる限り回収するため、中和塩は放射性廃棄物とならないものの処理するフッ化物以上に中和塩が発生してしまうという問題がある。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、ウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物およびフッ化物系ウラン廃棄物処理の共通化、共用化を図り、双方の廃液処理を効率よく行なうことができるウラン廃棄物の処理方法を提供するにある。
本発明の他の目的は、ウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物およびフッ化物系ウラン廃棄物の廃液処理から有価物のウランを効率よく回収するとともに、放射性廃棄物や非放射性廃棄物の二次廃棄物発生量を大幅に低減させ得るウラン廃棄物の処理方法を提供するにある。
本発明に係るウラン廃棄物の処理方法は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、ウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物を酸除染する除染工程と、フッ化物系ウラン廃棄物を酸溶解する溶解工程と、前記除染工程で酸除染された除染廃液および溶解工程で酸溶解した溶解廃液の双方を、共通して処理する廃液処理工程とを備える方法である。
また、本発明に係るウラン廃棄物の処理方法においては、上述した課題を解決するために、前記廃液処理工程は、除染工程からの除染廃液と溶解工程からの溶解廃液とから溶解ウランを回収するウラン回収工程と、ウラン回収された残廃液を処理する残廃液処理工程とを有する方法である。
さらに、本発明に係るウラン廃棄物の処理方法においては、上述した課題を解決するために、前記ウラン回収工程で陰イオン交換樹脂からのウラン溶離に供された溶離水は濾過されて濾過処理水となり、金属廃棄物の除染用水、フッ化物系ウラン廃棄物の溶解用水として再使用に供される方法である。
さらにまた、本発明に係るウラン廃棄物の処理方法においては、上述した課題を解決するために、前記ウラン回収工程に用いられる陰イオン交換樹脂は、廃液中の溶解ウランの吸着、溶離用水による吸着ウランの溶離およびウラン溶離による樹脂再生が行なわれ、繰返し使用に供される方法である。
またさらに、本発明に係るウラン廃棄物の処理方法においては、上述した課題を解決するために、前記廃液処理工程の中和工程で中和処理された上澄水あるいは中和処理後の析出物を濾過処理した濾過処理水を、金属廃棄物の除染用水あるいはフッ化物系ウラン廃棄物の溶解用水として再使用に供する方法であったり、また前記廃液処理工程は、有機酸分解工程前に有機酸回収工程を有し、この有機酸回収工程で蒸留回収された有機酸を、金属廃棄物の酸除染あるいはフッ化物系ウラン廃棄物の酸溶解の再使用に供する方法である。
また、本発明に係るウラン廃棄物の処理方法は、上述した課題を解決するために、前記廃液処理工程の中和工程で中和処理された上澄水あるいは中和処理後の析出物を濾過処理した濾過処理水をイオン交換樹脂で微量フッ素除去を行なって排水させる方法である。
本発明に係るウラン廃棄物の処理方法においては、ウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物あるいはフッ化物系ウラン廃棄物からの廃液処理を共通化、共用化させ、ウランを効率よく回収することができ、ウラン廃棄物処理設備の簡素化、コストの低減を図ることができる。
また、本発明に係るウラン廃棄物の処理方法においては、金属廃棄物やフッ化物系ウラン廃棄物の酸処理に用いる有機酸を繰返し使用することができ、さらに、廃液中からウランを回収する陰イオン交換樹脂や廃液処理工程での使用水を繰返し再使用でき、放射性廃棄物や非放射性廃棄物の二次廃棄物量を大幅に減少させることができる。
本発明に係るウラン廃棄物の処理方法の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るウラン廃棄物の処理方法を実施するフローの概念図である。
このウラン廃棄物の処理方法では、原子力施設の運搬時、定期検査時および廃止措置時等に発生する放射能汚染された金属、具体的にはウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物や、ウラン転換施設、ウラン処理施設等で発生するフッ素を含有するフッ化物系ウラン廃棄物を処理対象物とし、金属廃棄物およびフッ化物系ウラン廃棄物の双方の処理の共通化、共用化を図り、双方からの廃液処理を共通の廃液処理工程で効率よく能率的に実施する処理技術である。
このウラン廃棄物の処理方法では、ウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物1をカルボキシル基を有する有機酸で酸除染する除染工程2と、この除染工程で酸除染された金属廃棄物をリンス水でリンスするリンス工程3と、フッ化物系ウラン廃棄物4をカルボキシル基を有する有機酸により酸溶解する溶解工程5と、前記除染工程2およびリンス工程3からそれぞれ発生する除染廃液ならびに溶解工程5から発生する溶解廃液6を共通に処理する廃液処理工程7とを備えている。
廃液処理工程7で処理された廃液は排水8となって排出される一方、リンス工程3で処理された金属は、除染済機材9として取り出される。除染工程2では、金属廃棄物(ウラン廃棄物)1が、除染槽(図示せず)に案内させてギ酸やシュウ酸等の有機酸で酸除染される。除染工程2後の金属廃棄物1は、リンス槽(図示せず)内で洗浄水として純水等のリンス水で洗浄され、リンスされた金属は除染済機材9として処理される。
一方、除染工程2で金属廃棄物1を酸除染すると、除染廃液には除染に用いた有機酸の他、溶解したウランおよび金属が含まれる。リンス工程3で発生する廃液は、除染廃液が薄まったものであり、この廃液にも除染に用いた有機酸、溶解したウランおよび金属が含まれている。
また、フッ化物系ウラン廃棄物4を有機酸で酸溶解する溶解工程5で発生する溶解廃液には、酸溶解に用いた有機酸の他、溶解したウランおよびフッ化物成分が含まれる。これらの除染廃液および溶解廃液は、有機酸、ウラン等の共通の成分が含まれているので、廃液処理工程7を共有できる。廃液処理工程7を共通化させて共有することにより、処理設備の合理化、簡素化を図ることができる。
除染工程2で金属廃棄物1を除染する酸や溶解工程5でフッ化物系ウラン廃棄物4を溶解する酸には、有機酸が用いられる。有機酸には、シュウ酸、ギ酸等のカルボン酸、スルホン酸およびスルフィン酸等がある。
図2は、有機酸として例えばギ酸を使用し、ウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物およびフッ素を含むフッ化物系ウラン廃棄物をギ酸溶液中に浸漬した際の実験例を示すものである。
ウランが表面に付着した金属材(SUS材、カーボンスチール(CS)材、Cu材)を所要濃度、圧力、温度のギ酸溶液に所定時間浸漬し、酸除染することにより、ウランは金属材表面からギ酸溶液中に99.5wt%〜100wt%移行し、金属材に付着したウランをほぼ完全に除染することができた。
また、ウランを含むフッ化物系ウラン廃棄物4のCaF、NaF等をギ酸で酸溶解することにより、フッ化物系ウラン廃棄物4に含まれるウランは、溶解廃液中に100wt%移行し、さらに、CaF、NaFはギ酸溶液中にほぼ100wt%溶解した。
このように有機酸であるギ酸溶液を用いて金属材(金属廃棄物)およびフッ化物系ウラン廃棄物を処理すると、図2に示すように、除染対象物がSUS材である場合、付着ウラン廃棄物の99.5wt%の除染を行なうことができ、除染対象物が炭素鋼(カーボンスチール)材、Cu材およびCaF、NaFの場合には、ほぼ100wt%ギ酸溶液中に移行し、ほぼ100wt%の除染、溶解処理することができた。その際、有機酸はカルボキシル基を備えて水と炭酸ガスに分解できるため、酸成分の二次廃棄物が生じることがない。
図3は、廃液処理工程7のフロー図を示すものである。
図1の除染工程2で発生する除染廃液、リンス工程3で発生する除染廃液、溶解工程5で発生する廃液中には、共通して有価物であるウランが含まれており、このウラン成分をウラン回収工程10により回収する。ウラン回収後には、有機酸の他、金属を含む残廃液を処理する残廃液処理工程11を経て排水するようになっている。廃液処理工程7は、少なくともウラン回収工程10と残廃液処理工程11とを備える。
廃液処理工程7では、まず、有価物であるウランを回収し、ウラン回収後に、有機酸およびウラン以外の溶解成分の処理を行なうようになっている。ウランを回収することにより、ウラン廃棄物を低減でき、ウラン回収工程10以降の処理設備を非放射性設備とすることができる。ウラン以外の溶解成分および有機酸成分に起因する二次廃棄物を非放射性廃棄物とすることができる。
図4は、除染廃液処理の前段処理に用いられるウラン回収工程10の処理フローを示す詳細図である。
ウラン回収工程10では、除染廃液、リンス廃液および溶解廃液の廃液中に含まれるウランをイオン交換樹脂で吸着するウラン吸着工程15と、吸着されたウランをイオン交換樹脂から溶離させるウラン溶離工程16と、ウランが溶離したイオン交換樹脂を再生する樹脂再生工程17とを備える。
(ウラン回収工程の具体例)
ウラン吸着工程15では、例えばウランが溶解した規定度2Nのギ酸溶液中に陰イオン交換樹脂を添加したところ、陰イオン交換樹脂に約1mg−U/mL−Re(イオン交換樹脂含有溶液1mL中に約1mg)のウランが吸着された。
ウラン吸着工程15でウランが吸着された残りの金属等を含む残廃液は、除染廃液処理の後段処理である残廃液処理工程11に送られる。
一方、ウラン溶離工程16では、ウラン溶離槽(図示せず)内に溶離用水14、例えば純水が供給され、この溶離用水のウラン溶離作用により、イオン交換樹脂からウランが溶離される。
(ウラン溶離工程の具体例)
1.ウラン吸着工程15でウランが吸着された陰イオン交換樹脂にこの樹脂量の約10倍の純水を溶離用水14として通水させたところ、陰イオン交換樹脂に吸着されたウランの約89wt%が溶離した。
2.溶離用水14として純水をさらに通水させ、陰イオン交換樹脂量の約45倍の純水を通水させたところ、陰イオン交換樹脂に吸着されていたウランの約93wt%が溶離した。
ウラン溶離後、陰イオン交換樹脂をウランが溶解したギ酸溶液中に添加したところ、陰イオン交換樹脂にウランが0.9mg−U/mL−Re再度吸着した。
この試験結果から、溶離用水14を用いたウラン溶離工程16で陰イオン交換樹脂からイオンを溶離させることにより、溶離された陰イオン交換樹脂は再生使用されることがわかった。すなわち、ウラン溶離工程16は樹脂再生工程17を兼ねている。このため、樹脂再生工程17を実施しなくても、陰イオン交換樹脂の再使用が可能であり、ギ酸を使用することにより、溶離用水14として純水でウラン溶離を行なえば、陰イオン交換樹脂が再生できていることが確認できた。
ウラン溶離工程16におけるウラン溶離を溶離用水14として純水を用いると、陰イオン交換樹脂からウランの大部分が溶離され、ウランが溶離された陰イオン交換樹脂は、再度ウラン吸着工程15でウラン吸着用に使用でき、陰イオン交換樹脂18は、ウラン吸着工程15、ウラン溶離工程16および樹脂再生工程17の一連の処理工程に繰返し使用できることを確認できる。
他方、ウラン溶離工程16で溶離用水14として使用した純水は、ウランを含むため、ウラン溶離工程16で発生した溶離水19からウランを沈殿分離させる酸化沈殿工程20と、沈殿したウランを回収する濾過工程21が実施される。
ウランを沈殿させる酸化沈殿工程20では、ウラン溶離工程16からの溶離廃液である溶解水19にウランを含むため、過酸化水素(H)22を添加して酸化反応を生じさせ、ウランを沈殿させる。
また、溶離廃液である溶解水中からウランを沈殿除去させる濾過工程21では、ウランを分離除去させ、分離除去されたウラン23は有価物として回収される。
一方、濾過工程21からウランが除去された濾過処理水24は、
1.除染工程2に用いられる金属廃棄物1の除染用水A、
2.リンス工程3に用いられるリンス水B、
3.溶解工程5に用いられるフッ化物系ウラン廃棄物4の溶解水C、
4.ウラン溶離工程16の溶離用水D、
として再使用可能となっている。
このウラン廃棄物の処理方法では、ウラン回収工程10に用いられる陰イオン交換樹脂を再生し、繰返し使用できるので、二次廃棄物を大幅に低減させることができる。
また、廃液処理工程7におけるウラン回収工程10で、陰イオン交換樹脂からのウラン溶離、樹脂再生に酸やアルカリ溶液を用いれば、それらの中和処理が必要となって中和塩が二次廃棄物として発生するが、このウラン回収工程10では、溶離用水14として純水を使用し、この純水によりウラン溶離や樹脂再生を行ない、ウラン溶離や樹脂再生に用いた溶離水19はウランの酸化沈殿工程20および濾過工程21を経て濾過処理水23となり、金属廃棄物1の除染工程2およびリンス工程3、フッ化物系ウラン廃棄物4の溶解工程5、ならびにウラン回収工程10のウラン溶離用の水として再使用され、繰返し使用される。この濾過処理水23の繰返し使用により、最終排水基準を満足させるために必要な陰イオン交換樹脂の使用量の低減を図ることができる。
図5は、除染廃液処理の後段処理に用いられる残廃液処理工程11の処理フローを示す詳細図である。
ウラン回収工程10のウラン吸着工程15で陰イオン交換樹脂にウランが吸着された残りの廃液25は、有機酸を分解処理する有機酸分解工程30と、分解処理後の残廃液からフッ化物系ウラン廃棄物4のフッ化物成分を中和処理させる中和工程31と、この中和工程31の中和処理により析出した金属水酸化物および中和塩を濾過処理により回収する濾過工程32とから残廃液処理工程11が構成される。なお、中和工程31で中和処理により析出した金属水酸化物および中和塩の析出物を沈殿させた状態で、上澄水を処理水として用いる場合には、濾過工程32を必ずしも必要としない。
濾過工程32での濾過処理により折出された金属水酸化物および中和塩33は分離されて回収される。
また、濾過工程32で濾過処理後の処理水34あるいは中和処理された上澄水は、金属廃棄物の除染工程2の除染用水A、あるいはフッ化物系ウラン廃棄物4の溶解工程5の溶解用水等として再使用に供される。
濾過工程32からの濾過処理水34を排水させる場合には、濾過処理水34にフッ素成分が微量に含まれているので、微量フッ素除去工程35を経て排水処理される。
(残廃液処理の具体例)
ウラン廃棄物の処理方法において、金属廃棄物1の酸除染やフッ化物系ウラン廃棄物4の酸溶解に、カルボキシル基を有する有機酸としてギ酸を用いた例を示す。
廃液処理工程7のウラン回収工程10のウラン吸着で陰イオン交換樹脂にウランが吸着されるので、ウラン吸着工程15からの残廃液25には、ギ酸の他、溶解金属成分、溶解フッ化物成分が含まれている。残廃液25に含まれる各種成分のうち、ギ酸は、過酸化水素(H)の注入により有機酸分解工程30で以下の化学反応が生じ、分解される。
[化1]
HCOOH+H → CO+2HO ……(1)
ギ酸が化学反応により分解された時点で、溶解金属は水酸化物として析出する一方、フッ化物成分は中和され、中和塩として析出する。この中和工程31で析出された金属水酸化物、中和塩33は、濾過工程32で濾過処理により回収される。
一方、濾過工程32で濾過処理された処理水34、図4に示す金属廃棄物1の除染工程2の除染用水Aまたはフッ化物系ウラン廃棄物4の溶解工程5での溶解用水Cとして再使用に供される。
濾過処理水34を再使用しない場合、あるいは最終的に排水する場合には、濾過処理水中にフッ素が微量に含まれているので、イオン交換樹脂を用いて微量なフッ素を濾過処理水から除去する。微量フッ素除去工程35で濾過処理水から微量なフッ素を除去した後、排水6に供される。微量フッ素除去工程35では濾過処理水34中に残留したフッ素を0.03ppm以下まで除去できることが確認された。
このウラン廃棄物の処理方法においては、残廃液処理工程11の有機酸分解処理にて、有機酸であるギ酸を分解処理することにより、酸に起因する二次廃棄物を低減できる。また、残廃液処理工程11の濾過工程32からの濾過処理水34を金属廃棄物1の酸除染やフッ化物系ウラン廃棄物4の酸溶解の水として再使用することにより、微量フッ素除去工程35で使用する陰イオン交換樹脂量を低減させることができる。
図6は、図5に示された残廃液処理工程の変形例を示すものである。
この変形例に示された残廃液処理工程11Aは、図5に示された有機酸分解工程30の前処理に有機酸回収工程38を実施したものである。他の処理構成は、図5に示される残廃液処理工程11と異ならないので、同じ処理には同一符号を付し説明を省略する。
この残廃液処理工程11Aでは、図4に示されたウラン回収工程10のウラン吸着作用により、除染廃液からウランが除去され、ウラン除去された残廃液25は有機酸回収工程38で有機酸であるギ酸が回収される。
ギ酸は、図7に示す蒸気圧−温度曲線に示すように、水と同じ温度において、蒸気圧が水の蒸気圧よりやや大きい。この蒸気圧差を利用し、蒸留処理により、ギ酸の処理濃度と同等以上の濃度のギ酸を回収することができる。
有機酸回収工程38で回収されたギ酸は、図4に示す金属廃棄物の除染工程2の酸除染用水Aとして、また、フッ化系ウラン廃棄物4の溶解工程5の酸溶解用水Cとして再使用することができる。
図6に示された残廃液処理工程11Aでは、有機酸回収工程38で回収されたギ酸を再使用できるので、ギ酸の使用量を減少させることができる。
図8は、現在実施しているウラン廃棄物の処理で発生する二次廃棄物発生量を、本実施形態を適用した場合の二次廃棄物発生量を比較して示す図である。図8(A),(B),(C)および(D)に示すように、このウラン廃棄物の処理方法を実施した場合、金属廃棄物処理やフッ化物処理後の二次廃棄物発生量が大幅に減少させ得ることがわかる。
図8(A)は、金属廃棄物を本発明のウラン廃棄物の処理方法に用いられる廃液処理のウラン回収工程10から発生する陰イオン交換樹脂(ウランを含む)と残廃液処理工程11(11A)の微量フッ素除去で発生するイオン交換樹脂(非ウラン)の二次廃棄物発生量を現状のウラン廃棄物処理で発生するイオン交換樹脂の樹脂発生量と比較した図である。
図8(B)はフッ化物系ウラン廃棄物を本発明のウラン廃棄物の処理方法で処理した際の図8(A)と同様な二次廃棄物量と現状のウラン廃棄物処理で発生するイオン交換樹脂の樹脂発生量とを比較して示した図である。
図8(C)は、金属廃棄物処理におけるイオン交換樹脂以外の二次廃棄物発生量を本発明による処理と現状の処理とで比較して示す図、図8(D)はフッ化物系ウラン廃棄物を処理した場合の図8(C)と同様な二次廃棄物発生量を本発明による処理と現状の処理とで比較して示す図である。
なお、本発明の一実施形態では、金属廃棄物の酸除染やフッ化物系のウラン廃棄物の酸溶解に有機酸としてギ酸を用いた例を示したが、必ずしもギ酸に限定されることなく、シュウ酸等のカルボキシル基を有する有機酸を用いることもできる。また、ウラン回収工程のウラン溶離用水として純水を用いた例を示したが、この溶離用水は純水に代えて清浄な蒸留水を用いてもよい。
本発明に係るウラン廃棄物の処理方法の実施形態を簡略的に示すフロー図。 ウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物やフッ化物系ウラン廃棄物を有機酸であるギ酸で処理した実施例を示す図。 本発明に係るウラン廃棄物の処理方法に用いられる廃液処理工程を簡略的に示すフロー図。 本発明に係るウラン廃棄物の処理方法に用いられるウラン回収工程の詳細を示すフロー図。 本発明に係るウラン廃棄物の処理方法に用いられる残廃液処理工程の詳細を示すフロー図。 図5に示された残廃液処理工程の変形例を示すフロー図。 ウラン回収工程で使用される溶離用水としての純水と有機酸としてのギ酸の温度による蒸気圧変化を示す比較図。 現状のウラン廃棄物処理技術と本発明の処理技術とによる二次廃棄物発生量の差を示す比較図。
符号の説明
1 金属廃棄物
2 除染工程
3 リンス工程
4 フッ化物系ウラン廃棄物
5 溶解工程
6 廃液
7 廃液処理工程
8 排水
10 ウラン回収工程
11,11A 残廃液処理工程
14 溶離用水(純水)
15 ウラン吸着工程
16 ウラン溶離工程
17 樹脂再生工程
19 溶離水
20 酸化沈殿工程
23 回収ウラン
24 濾過処理水
25 残廃液
30 有機酸分解工程
31 中和工程
34 濾過処理水
35 微量フッ素除去工程
38 有機酸回収工程

Claims (13)

  1. ウランまたはウラン化合物が付着した金属廃棄物を酸除染する除染工程と、
    フッ化物系ウラン廃棄物を酸溶解する溶解工程と、
    前記除染工程で酸除染された除染廃液および溶解工程で酸溶解した溶解廃液の双方を、共通して処理する廃液処理工程とを備えることを特徴とするウラン廃棄物の処理方法。
  2. 前記除染工程で酸除染された金属廃棄物をリンス水で注ぎ処理するリンス工程をさらに備える請求項1記載のウラン廃棄物の処理方法。
  3. 前記廃液処理工程は、除染工程からの除染廃液と溶解工程からの溶解廃液とから溶解ウランを回収するウラン回収工程と、ウラン回収された残廃液を処理する残廃液処理工程とを有する請求項1記載のウラン廃棄物の処理方法。
  4. 前記ウラン回収工程は、廃液中の溶解ウランを陰イオン交換樹脂に吸着させ、吸着された陰イオン交換樹脂から溶離用水でウランを溶離させてウラン回収する請求項3記載のウラン廃棄物の処理方法。
  5. 前記ウラン回収工程で陰イオン交換樹脂からのウラン溶離に供された溶離水は濾過されて濾過処理水となり、金属廃棄物の除染用水、フッ化物系ウラン廃棄物の溶解用水として再使用に供される請求項4記載のウラン廃棄物の処理方法。
  6. 前記ウラン回収工程に用いられる陰イオン交換樹脂は、廃液中の溶解ウランの吸着、溶離用水による吸着ウランの溶離およびウラン溶離による樹脂再生が行なわれ、繰返し使用に供される請求項4記載のウラン廃棄物の処理方法。
  7. 前記溶離用水は純水であり、この純水でウランの溶離・樹脂再生を行なう請求項4記載のウラン廃棄物の処理方法。
  8. 前記金属廃棄物の酸除染およびフッ化物系ウラン廃棄物の酸溶解に有機酸が用いられる請求項1記載のウラン廃棄物の処理方法。
  9. 前記有機酸はギ酸またはシュウ酸のようにカルボキシル基を有するカルボン酸である請求項8記載のウラン廃棄物の処理方法。
  10. 前記残廃液処理工程は、残廃液中の有機酸を分解処理する有機酸分解工程と、分解処理後の残廃液からフッ化物系ウラン廃棄物のフッ化物成分を中和処理させる中和工程とを備える請求項3記載のウラン廃棄物の処理方法。
  11. 前記廃液処理工程の中和工程で中和処理された上澄水あるいは中和処理後の析出物を濾過処理した濾過処理水を、金属廃棄物の除染用水あるいはフッ化物系ウラン廃棄物の溶解用水として再使用に供する請求項3または10記載のウラン廃棄物の処理方法。
  12. 前記廃液処理工程は、有機酸分解工程前に有機酸回収工程を有し、この有機酸回収工程で蒸留回収された有機酸を、金属廃棄物の酸除染あるいはフッ化物系ウラン廃棄物の酸溶解の再使用に供する請求項3または10記載のウラン廃棄物の処理方法。
  13. 前記廃液処理工程の中和工程で中和処理された上澄水あるいは中和処理後の析出物を濾過処理した濾過処理水をイオン交換樹脂で微量フッ素除去を行なって排水させる請求項3または10記載のウラン廃棄物の処理方法。
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