JP2005126801A - 金属腐食防止剤及び金属用酸洗浄液 - Google Patents

金属腐食防止剤及び金属用酸洗浄液 Download PDF

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Tatsuyuki Kume
達之 久米
Etsuo Asami
悦男 浅見
Hiroyuki Ishida
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Abstract

【課題】 優れた金属腐食防止剤と、優れた腐食防止効果のある金属用酸洗浄液とを提供すること。
【解決手段】 (A)有機含窒素化合物、(B)アルキン化合物、(C)ポリオール系化合物の3成分を含有する金属腐食防止剤。酸成分と、上記の(A)成分〜(C)成分とを含む金属用酸洗浄液。(A)成分〜(C)成分は、所定の範囲内の比率において含まれることが好ましい。(A)成分としては、特定の7群のカテゴリーに属する有機アミン成分が特に好ましい。(B)成分としては、アセチレン結合を有し更には水酸基を有する化合物が特に好ましい。(C)成分としては、ポリオキシエチレン・オキサイド縮合型の化合物が特に好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は金属腐食防止剤及び金属用酸洗浄液に関する。更に詳しくは、本発明は、鋼材等の金属材料表面での腐食の発生を防止する金属腐食防止剤に関する。又、本発明は、鋼材等の金属材料表面のスケールや酸化皮膜を除去するための酸洗浄処理に際して、洗浄液の酸成分に起因する腐食の発生を防止することができる金属用酸洗浄液に関する。
例えば鋼材等の熱間圧延工程では、金属材料の表面に、いわゆる熱延スケールが発生する。又、多様な産業分野において、特に水との接触環境において利用される各種装置類を構成する鋼材等の金属材料の表面には、スケールや酸化皮膜が発生する。このようなスケールや酸化皮膜の化学的な除去手段としては、一般的に酸洗浄液(塩酸等の無機酸を含む場合が多い)が用いられる。
ところが、酸洗浄液はスケールや酸化皮膜を除去すると同時に、金属材料の表面を腐食する。仮に金属材料の表面が完全に均一な状態であるとすれば、理論的には、金属材料の表面において緩徐な速度で均一に進行する一般腐食が起こり、その被害は比較的少ないと考えられる。
しかし、金属材料の表面には酸化物皮膜の割れや粒界析出物等の不均一性要因が見られるのが普通である。酸洗浄時における酸洗浄液の濃度や流速の局所的な不均一性と言う要因も作用する。その結果、実際には、非常に腐食進行速度の大きい孔食が発生し、金属の品質が劣化する。このような金属の品質劣化は、例えば金属の加工工程においてはその後の冷間圧延、メッキ、伸線等の工程に悪影響を及ぼすし、装置類を構成する金属材料においては、装置類の機能保全を危うくする要因となる。
このため、従来、金属材料表面のスケールや酸化皮膜を酸洗浄液によって除去する際には、腐食防止剤を併用することが提案されている。そして、腐食防止剤の有効成分として、有機アミン系化合物等が提案されている。
特開昭62−238383号公報 上記の特許文献1では、金属材料に対する酸洗浄時の腐食防止剤として、揮発性のイミダゾール類を提案している。
特開平5−239673号公報 上記の特許文献2では、水又は酸に可溶のアミン化合物又はアミド化合物(特に有機ポリアミン)と、アルキレングリコールポリマーとを有効成分とする腐食抑制剤組成物と、これを添加した金属酸洗液を提案している。
特開平2003−226988号公報 上記の特許文献3は本件出願人の出願に係るものであるが、所定の有機ポリアミン群から選ばれた2種類の有機ポリアミンを有効成分とする腐食抑制剤と、これを含有する酸洗浄液を提案している。
しかし、本願発明者の研究によれば、上記の特許文献1又は特許文献2に提案された腐食防止剤や腐食防止剤含有酸洗浄液は、金属材料に対する酸洗浄時における腐食防止効果が不十分である。又、上記の特許文献3に提案された腐食防止剤及び腐食防止剤含有酸洗浄液は一定の腐食防止効果を確保できるが、その後の本願発明者の研究によれば、十分に満足できる程度までの腐食防止効果には到っておらず、未だ改善の余地がある。
そこで本発明は、更に優れた金属腐食防止剤と、腐食防止効果のある金属用酸洗浄液とを提供することを、解決すべき技術的課題とする。
本願発明者は、この技術的課題の解決手段を追求する過程で、(A)有機含窒素化合物と、(B)アルキン化合物と、(C)ポリオール系化合物との3成分系からなる金属腐食防止剤が極めて有効であることを見出した。又、これらの3成分について、特に有効な化合物群を特定するに到った。更には、これらの3成分が特定の含有濃度あるいは相対的含量比関係にある場合に、とりわけ優れた効果を発揮することを突き止めた。本願発明は、以上の新規な知見に基づき完成されたものである。
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明の構成は、少なくとも、(A)有機含窒素化合物、(B)アルキン化合物、(C)ポリオール系化合物を含有する、金属腐食防止剤である。
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明の構成は、前記第1発明に係る(A)成分が、以下の「化7」〜「化12」のいずれかの一般式に該当する化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物である、金属腐食防止剤である。
Figure 2005126801
(上記の「化7」の一般式において、nは3以上の整数を示す。)
Figure 2005126801
(上記の「化8」の一般式において、nは2以上の整数を示す。)
Figure 2005126801
(上記の「化9」の一般式において、nは3以上の整数を示し、RとRとはそれぞれ水素基、メチル基、エチル基のいずれかであって、RとRは同一の基であっても異なる基であっても良い。)
Figure 2005126801
(上記の「化10」の一般式において、nは3以上の整数を示し、RとRとはそれぞれ水素基、メチル基、エチル基のいずれかであって、RとRは同一の基であっても異なる基であっても良い。)
Figure 2005126801
(上記の「化11」の一般式において、nは1以上の整数を示し、mは1〜4の整数を示し、Rは炭素数が1〜6のアルキレン基を示す。)
Figure 2005126801
(上記の「化12」の一般式において、nは3以上の整数を示し、Rは炭素数が1〜3のアルキレン基を示す。)
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る(B)成分が、アセチレン結合を有する化合物、又は、アセチレン結合と1又は2以上の水酸基とを有する化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物である、金属腐食防止剤である。
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明の構成は、前記第1発明〜第3発明のいずれかに係る(C)成分が、ポリオキシエチレン・オキサイド縮合型の化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物である、金属腐食防止剤である。
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明の構成は、前記第1発明〜第4発明のいずれかに係る金属腐食防止剤における(A)成分〜(C)成分の合計含有量を100重量部とした時、(A)成分の含有量が5〜60重量部の範囲内、(B)成分の含有量が2〜40重量部の範囲内、(C)成分の含有量が3〜60重量%の範囲内である、金属腐食防止剤である。
(第6発明の構成)
上記課題を解決するための本願第6発明の構成は、少なくとも酸成分を含むと共に、第1発明〜第5発明のいずれかに係る(A)有機含窒素化合物、(B)アルキン化合物、及び(C)ポリオール系化合物を含有する、金属用酸洗浄液である。
(第7発明の構成)
上記課題を解決するための本願第7発明の構成は、前記の第6発明に係る金属用酸洗浄液において、(A)成分の含有量が0.7〜10000mg/Lの範囲内であり、(B)成分の含有量が0.5〜10000mg/Lの範囲内であり、(C)成分の含有量が0.5〜10000mg/Lの範囲内である、金属用酸洗浄液である。
(第1発明の効果)
金属材料表面のスケールや酸化皮膜を酸洗浄液によって除去する際における金属腐食防止効果は、少なくとも、(A)有機含窒素化合物、(B)アルキン化合物、(C)ポリオール系化合物の3成分を含有する金属腐食防止剤によって最も有効に発揮される。これらの3成分の選択的な組合わせが非常に有効である理由は未だ必ずしも明確ではない。しかし、本願発明者の推定としては、上記3成分の選択的な組合わせにおける特有の相乗効果が効いているのではないか、と考えている。
即ち、(A)成分〜(C)成分はいずれも、それらの電子供与性基である窒素含有基、アセチレン結合部又は水酸基が金属材料表面に吸着されることにより、(A)成分〜(C)成分が金属材料表面を被覆し、以て金属材料の酸腐食を抑制すると言う共通の基本的作用を持つ。しかし、より具体的には、(A)成分が上記の被覆作用の主体的役割を果たし、(B)成分が漏れのない緻密な被覆構造の形成に有効であり、更に、(C)成分が酸による金属材料の腐食と化学的に競合する、と言う効果を期待できる。
第1発明の優れた効果は、以上のような(A)成分〜(C)成分の特徴的効果が相乗的にマッチングした結果であろう、と考えている。この効果は、とりわけ、適用対象が加工中又は装置類を構成している鉄鋼材であり、酸洗浄液が無機酸を用いるものである場合に、顕著である。
(A)〜(C)の各成分について個別には、それらの類似成分が金属腐食防止剤の有効成分として知られている。しかし本願発明者は、これらの3成分を選択的に組合わせて使用した金属腐食防止剤の技術例を見聞したことがないし、その場合の顕著な金属腐食防止効果も知られていない。
(第2発明の効果)
前記第1発明に係る(A)成分として、必ずしも限定はされないが、前記した「化7」〜「化12」のいずれかの一般式に該当する化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物が特に顕著な効果を発揮することが、実験的に判明した。
(第3発明の効果)
前記第1発明又は第2発明に係る(B)成分としては、必ずしも限定はされないが、アセチレン結合を有する化合物、又はアセチレン結合と1又は2以上の水酸基とを有する化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物が特に顕著な効果を発揮することが、実験的に判明した。
(第4発明の効果)
前記第1発明〜第3発明に係る(C)成分としては、必ずしも限定はされないが、ポリオキシエチレン・オキサイド縮合型の化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物が特に顕著な効果を発揮することが、実験的に判明した。
(第5発明の効果)
金属腐食防止剤における(A)成分〜(C)成分の相対的な含有量比は、必ずしも限定はされないが、第5発明の範囲内であることが特に効果的であることが、実験的に判明した。
(第6発明の効果)
第6発明の金属用酸洗浄液は、酸成分を含むので金属材料表面のスケールや酸化皮膜を酸洗浄によって除去すると言う本来の効果を確保しつつ、前記(A)〜(C)の3成分を含むので、金属材料に対する酸洗浄時における腐食防止効果も十分に満足できるほど確保できる。
(第7発明の効果)
前記第6発明に係る金属用酸洗浄液における(A)成分〜(C)成分の各含有量は、必ずしも限定はされないが、第7発明の範囲内にあることが効果的であることが、実験的に判明した。
次に、第1発明〜第7発明を実施するための形態を、その最良の形態を含めて説明する。以下において「本発明」と言うときは、本願の各発明を一括して指している。
〔金属腐食防止剤〕
本発明に係る金属腐食防止剤は、少なくとも、後述する(A)有機含窒素化合物、(B)アルキン化合物、(C)ポリオール系化合物の3成分を含有する。
金属腐食防止剤におけるこれらの3成分の相対的な含量比は任意に設計することができるが、(A)成分〜(C)成分の合計含有量を100重量部とした時、(A)成分の含有量が5〜60重量部の範囲内、(B)成分の含有量が2〜40重量部の範囲内、(C)成分の含有量が3〜60重量%の範囲内であることが、特に好ましい。
金属腐食防止剤を金属用酸洗浄液中に混合することなく独立に使用する場合は、(A)成分の含有量が0.7〜10000mg/Lの範囲内であり、(B)成分の含有量が0.5〜10000mg/Lの範囲内であり、(C)成分の含有量が0.5〜10000mg/Lの範囲内であることが好ましい。更に、(A)成分の含有量が10〜200mg/Lの範囲内であり、(B)成分の含有量が5〜200mg/Lの範囲内であり、(C)成分の含有量が10〜300mg/Lの範囲内であることが、とりわけ好ましい。
金属腐食防止剤の液相媒体の種類は限定されないが、通常は水又は親水性媒体が好ましく利用される。金属腐食防止剤には、上記の(A)成分〜(C)成分の他に、発明の効果を阻害しない限りにおいて、この種の組成物に含有させることがある任意の付加成分を含有させることができる。任意の付加成分として、例えば、亜硫酸塩、亜硝酸塩、ケイ酸塩、ポリリン酸塩等の無機酸塩類、メルカプトエタノール、メルカプトグリセロール等の含硫黄有機化合物等を挙げることができる。
〔有機含窒素化合物〕
(A)成分である有機含窒素化合物の種類は限定されないが、含窒素基を3つ以上持つ有機含窒素化合物が、より好ましい。その内でも、前記した「化7」〜「化12」のいずれかの一般式に該当する化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物を用いることが、特に好ましい。
その他の有機含窒素化合物、例えば、特開平5−239673号公報に列挙されたアミン類やアミド類、特開2003−226988号公報に列挙されたポリアミン類、あるいは更に、その他の一般的な低分子量又は高分子量の有機含窒素化合物も使用することができ、その中にはアミノアルコールやアミノチオール等も含まれる。
〔アルキン化合物〕
(B)成分であるアルキン化合物の種類は限定されないが、アセチレンその他のアセチレン結合(炭素−炭素間三重結合)を持つ化合物、あるいはアセチレン結合と1又は2以上の水酸基とを持つ化合物(即ち、アルキノール又はアルキンジオール等)の1種又は2種以上を用いることが、より好ましい。アルキノールとしては、例えばプロパギルアルコール等を例示できる。アルキンジオールとしては、例えばブチンジオール等を例示できる。
その他のアルキン化合物、例えば、アセチレン結合とチオール基とを持つ化合物、アセチレン結合とアミノ基又はイミノ基とを持つ化合物、アセチレン結合とエーテル結合とを持つ化合物等も使用することができる。
〔ポリオール系化合物〕
(C)成分である「ポリオール系化合物」とは、アルコール性の水酸基を2つ以上持つ化合物、又はそのポリマー、あるいは当該ポリマーのオキサイド型縮合物(オキサイド型縮合物としては、当該ポリマーの末端水酸基が脱水縮合して形成されたエステル、エーテル等を例示することができる)を言う。この定義に該当する限りにおいて、ポリオール系化合物の種類は限定されない。
ポリオール系化合物としては、アルコール型の水酸基を2つ以上持つ化合物(例えば、エチレングリコールやプロピレングリコール)を用いることも好ましいが、ポリオキシエチレン・オキサイド縮合型の化合物の1種又は2種以上を用いることも好ましい。ポリオキシエチレン・オキサイド縮合型の化合物としては、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル(PEF)、ポリオキシエチレングリコール縮合物(PEG)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(POE・R)、ポリオキシエチレンアルキルフェニール(POE・P)等を例示できる。
その他のポリオール系化合物、例えば上記以外のポリオキシアルキレン・オキサイド縮合型化合物等も好ましく使用することができる。
〔金属用酸洗浄液〕
本発明に係る金属用酸洗浄液は、少なくとも酸成分を含むと共に、(A)有機含窒素化合物、(B)アルキン化合物、(C)ポリオール系化合物を含有するものである。(A)成分〜(C)成分の内容は、上記した金属腐食防止剤における場合と同様である。
金属用酸洗浄液におけるこれらの3成分の相対的な含量比は任意に設計することができるが、(A)成分〜(C)成分の合計含有量を100重量部とした時、(A)成分の含有量が5〜60重量部の範囲内、(B)成分の含有量が2〜40重量部の範囲内、(C)成分の含有量が3〜60重量部の範囲内であることが、特に好ましい。
金属用酸洗浄液は、一旦構成した前記の金属腐食防止剤を通常の酸洗浄液に混合することによって調製しても良いし、直接に酸成分と(A)成分〜(C)成分を上記のように組成することによって調製しても良い。それらのいずれの場合においても、(A)成分〜(C)成分の3成分の各含有量は必ずしも限定されないが、(A)成分の含有量が0.7〜10000mg/Lの範囲内であり、(B)成分の含有量が0.5〜10000mg/Lの範囲内であり、(C)成分の含有量が0.5〜10000mg/Lの範囲内であることが好ましい。更に、(A)成分の含有量が10〜200mg/Lの範囲内であり、(B)成分の含有量が5〜200mg/Lの範囲内であり、(C)成分の含有量が10〜300mg/Lの範囲内であることが、とりわけ好ましい。
金属用酸洗浄液の液相媒体の種類は限定されないが、通常は水又は親水性媒体が好ましく利用される。金属用酸洗浄液には、上記の酸成分、及び(A)成分〜(C)成分の他に、発明の効果を阻害しない限りにおいて、この種の組成物に含有させることがある任意の付加成分を含有させることができる。任意の付加成分として、例えば、亜硫酸塩、亜硝酸塩、ケイ酸塩、ポリリン酸塩等の無機酸塩類、メルカプトエタノール、メルカプトグリセロール等の含硫黄有機化合物等を挙げることができる。
〔金属用酸洗浄液の酸成分〕
金属用酸洗浄液の酸成分の種類は限定されず、任意の種類の無機酸又は有機酸を用いることができる。無機酸としては塩酸、硝酸、硫酸等が例示され、有機酸としてはギ酸、クエン酸、マロン酸、グリコール酸、アスコルビン酸、EDTA等が例示される。酸洗浄の対象が鉄鋼材その他の鉄材である場合には、無機酸であることが、より好ましい。
金属用酸洗浄液における酸成分の濃度は、適用対象たる金属材料の相違、要求される酸洗浄の程度や酸洗浄処理の速度等によって異なるので、一律に規定することはできない。しかし、例えば塩酸等の無機酸を使用する場合、1〜10N程度、より好ましくは2〜6N程度をすることができる。
〔金属腐食防止剤及び金属用酸洗浄液の使用形態〕
金属腐食防止剤は、金属の酸洗浄とは無関係の金属腐食防止目的に用いることができるし、金属の酸洗浄との関係において用いることもできる。金属腐食防止剤を金属の酸洗浄との関係において用いる場合には、通常の酸洗浄液に対して金属腐食防止剤を、その有効成分の最終濃度に留意しつつ混合して、本発明の金属用酸洗浄液を構成してから用いることができる。又、金属腐食防止剤を一旦構成することなく、本発明に係る金属用酸洗浄液を直接に組成して、これを用いることもできる。
金属腐食防止剤や金属用酸洗浄液の適用対象は限定されず、各種の加工中の金属材料や各種の装置類を構成する金属材料に対して広範囲に適用できる。但し、金属材料としては鉄材が特に好ましく、とりわけ鋼鉄材が好適である。適用対象たる装置類の1,2の例として、発電プラント、ボイラー等を好ましく例示することができる。又、一般論として、水との接触環境において利用される各種装置類も好ましく例示することができる。
(実施例1:金属用酸洗浄液の調製)
4Nの塩酸水溶液に対して2価の鉄イオンを70g/リッターの割合で、又、3価の鉄イオンを1g/リッターの割合でそれぞれ添加し、無添加酸洗浄液を調製した。なお、上記の2価及び3価の鉄イオンは、金属用酸洗浄液を促進試験によって評価するために、あえて添加するものである。
次に、この無添加酸洗浄液の一部をそれぞれ分取して、これらの無添加酸洗浄液に対して下記の(A)成分〜(C)成分の3種類の成分の一部ないし全部を添加し、以下に列挙する金属用酸洗浄液をそれぞれ調製した。これらの金属用酸洗浄液の内、第1液は実施例であり、他は比較例である。
1)金属用酸洗浄液の第1液:(A)成分〜(C)成分の3成分を添加
2)金属用酸洗浄液の第2液:(A)成分及び(B)成分を添加
3)金属用酸洗浄液の第3液:(A)成分及び(C)成分を添加
4)金属用酸洗浄液の第4液:(A)成分のみを添加
5)金属用酸洗浄液の第5液:(B)成分のみを添加。
なお、(A)成分としては、前記「化7」に該当するポリアリルアミン塩酸塩(平均分子量約3000)を50ppmの割合で添加した。(B)成分としては、1,4−ブチンジオールを20ppmの割合で添加した。(C)成分としては、ポリエチレングリコール(平均分子量約200)を30ppmの割合で添加した。
(実施例2:金属用酸洗浄液の性能評価試験)
供試材として、50×50×2.2(mm)のSPHC材(黒皮材)を使用した。このSPHC材は、C(0.09%)、Mn(0.26%)、P(0.017%)、S(0.021%)を含み、表面にはαFeとFeの表面スケールが44.1g/m付着した鋼板である。性能評価試験としては、金属用酸洗浄液800mLを容積1Lのビーカーに収容し、このビーカーを90°Cに維持した恒温槽中に保持した状態において、上記のSPHC材を10分間浸漬させて酸洗浄処理を行うと言う浸漬試験を行った。
性能評価試験においては、まずスタンダードとして、前記の無添加酸洗浄液を用いた浸漬試験により、供試材の減重量(X)を測定した。次に、上記の金属用酸洗浄液の第1液〜第5液を個別に用いた浸漬試験により、第1液を用いた場合における供試材の減重量( Y1 )、第2液を用いた場合における供試材の減重量( Y2 )、・・・第5液を用いた場合における供試材の減重量( Y5 )を、順次に測定した。
そして、第1液〜第5液をそれぞれ用いた場合における腐食抑制率を次の式により算出した。即ち、腐食抑制率(%)=〔1−(Y/X)〕×100である。この式において、Yは Y1 ないし Y5 のいずれかである。従って、腐食抑制率のパーセンテージの大きいもの程、金属用酸洗浄液の腐食抑制効果が高い。
更に、上記評価試験後の供試材につき、分光測色計(ミノルタ製 CM2600d)を用いて、黄色度及び白色度(L値)を測定した。黄色度は供試材表面の粗さ及び酸の残存度の評価指標であり、黄色度が低いことは洗浄後の清浄性が良好であることを物語る。白色度(L値)は供試材表面の粗さ及び腐食度合いの評価指標であり、L値が高いことは供試材表面の保護性が良好であることを物語る。
(評価結果)
腐食抑制率の評価において85%以上を「◎」、80%〜85%未満を「○」、75%〜80%未満を「△」、75%未満を「×」とした。黄色度の評価においては、0〜2未満を「◎」、2〜3未満を「○」、3〜4未満を「△」、4以上を「×」とした。L値の評価においては、70以上を「◎」、68〜70未満を「○」、65〜68未満を「△」、65未満を「×」とした。
以上の判定基準によれば、実施例である第1液を用いた場合は、腐食抑制率、黄色度、L値のいずれにおいても「◎」であり、極めて高い評価を与えることができた。
これに対して、比較例である第2液を用いた場合は、腐食抑制率と黄色度とは「○」であるが、L値は「△」であった。第3液を用いた場合は、腐食抑制率は「○」であるが、黄色度とL値は「△」であった。第4液を用いた場合は、腐食抑制率は「○」であるが、黄色度とL値は「×」に近い「△」であった。第5液を用いた場合は、全ての項目が「×」に近い「△」であった。
(実施例3)
(C)成分をポリエチレングリコール(30ppm)からエチレングリコール(30ppm)に変更した点以外は実施例1と全く同様にして金属用酸洗浄液の第1液〜第5液をそれぞれ調製し、これらの金属用酸洗浄液を用いて実施例2と全く同様の性能評価試験を行い、腐食抑制率、黄色度及び白色度(L値)を測定・評価した。
その結果、実施例である第1液、及び比較例である第2液〜第5液について、前記実施例2に示した場合と同等の評価結果を得た。
本発明は、鋼材等の金属材料表面での腐食の発生を防止する一般的な金属腐食防止や、金属の酸洗浄時の金属腐食防止の技術分野において、特に優れた金属腐食防止剤と金属用酸洗浄液とを提供することができる。

Claims (7)

  1. 少なくとも、(A)有機含窒素化合物、(B)アルキン化合物、(C)ポリオール系化合物を含有することを特徴とする金属腐食防止剤。
  2. 前記(A)成分が、以下の「化1」〜「化6」のいずれかの一般式に該当する化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の金属腐食防止剤。
    Figure 2005126801
    (上記の「化1」の一般式において、nは3以上の整数を示す。)
    Figure 2005126801
    (上記の「化2」の一般式において、nは2以上の整数を示す。)
    Figure 2005126801
    (上記の「化3」の一般式において、nは3以上の整数を示し、RとRとはそれぞれ水素基、メチル基、エチル基のいずれかであって、RとRは同一の基であっても異なる基であっても良い。)
    Figure 2005126801
    (上記の「化4」の一般式において、nは3以上の整数を示し、RとRとはそれぞれ水素基、メチル基、エチル基のいずれかであって、RとRは同一の基であっても異なる基であっても良い。)
    Figure 2005126801
    (上記の「化5」の一般式において、nは1以上の整数を示し、mは1〜4の整数を示し、Rは炭素数が1〜6のアルキレン基を示す。)
    Figure 2005126801
    (上記の「化6」の一般式において、nは3以上の整数を示し、Rは炭素数が1〜3のアルキレン基を示す。)
  3. 前記(B)成分が、アセチレン結合を有する化合物、又はアセチレン結合と1又は2以上の水酸基とを有する化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属腐食防止剤。
  4. 前記(C)成分が、ポリオキシエチレン・オキサイド縮合型の化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の金属腐食防止剤。
  5. 前記金属腐食防止剤における(A)成分〜(C)成分の合計含有量を100重量部とした時、(A)成分の含有量が5〜60重量部の範囲内、(B)成分の含有量が2〜40重量部の範囲内、(C)成分の含有量が3〜60重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の金属腐食防止剤。
  6. 少なくとも酸成分を含むと共に、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の(A)有機含窒素化合物、(B)アルキン化合物、(C)ポリオール系化合物を含有することを特徴とする金属用酸洗浄液。
  7. 前記金属用酸洗浄液において、(A)成分の含有量が0.7〜10000mg/Lの範囲内であり、(B)成分の含有量が0.5〜10000mg/Lの範囲内であり、(C)成分の含有量が0.5〜10000mg/Lの範囲内であることを特徴とする請求項6に記載の金属用酸洗浄液。
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