JP2005125776A - 水圧転写用フィルム及び水圧転写体 - Google Patents

水圧転写用フィルム及び水圧転写体 Download PDF

Info

Publication number
JP2005125776A
JP2005125776A JP2004286626A JP2004286626A JP2005125776A JP 2005125776 A JP2005125776 A JP 2005125776A JP 2004286626 A JP2004286626 A JP 2004286626A JP 2004286626 A JP2004286626 A JP 2004286626A JP 2005125776 A JP2005125776 A JP 2005125776A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
layer
transfer
curable resin
hydraulic transfer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004286626A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4020113B2 (ja
JP2005125776A5 (ja
Inventor
Toshiro Ariga
利郎 有賀
Hirotomo Nagata
寛知 永田
Takashi Suzuki
尚 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd filed Critical Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
Priority to JP2004286626A priority Critical patent/JP4020113B2/ja
Publication of JP2005125776A publication Critical patent/JP2005125776A/ja
Publication of JP2005125776A5 publication Critical patent/JP2005125776A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4020113B2 publication Critical patent/JP4020113B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】 装飾層の柄の乱れを起こさず、転写欠陥無く転写することができる1ステップ工程による水圧転写法に使用する硬化性樹脂層と装飾層を有する水圧転写用フィルムの提供。
【解決手段】 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写層を有し、該転写層が活性エネルギー線照射で硬化可能な硬化性樹脂層と、インキまたは塗料皮膜からなる装飾層を有し、
前記硬化性樹脂層が、常温で非粘着性であり、
1)重量平均分子量7万〜25万のアクリル樹脂である非重合性熱可塑性樹脂(A)と、
2)エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、及びウレタンアクリレートからなる群から選ばれ、前記非重合性熱可塑性樹脂(A)に相溶する重量平均分子量700〜3,000のラジカル重合性オリゴマー(B1)とを
含有する水圧転写用フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、硬化性樹脂層と装飾層とを有する水圧転写用フィルム及び該フィルムを水圧転写した水圧転写体に関する。
水圧転写法は、水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと転写層を有する水圧転写フィルムを、支持体フィルムを下方にして水面に浮かべ、活性化剤と呼ばれる有機溶剤で転写層を軟化させた後、被転写体をその上方から押し付けながら水中に沈めることにより、転写層を被転写体に転写する方法である。
水圧転写法は意匠性に富む装飾層を複雑な三次元形状の成形品に付与できる方法であるが、水圧転写後にさらに水圧転写した装飾層に硬化性樹脂を保護層としてスプレー塗装する工程が必要であるため、転写体を得るためには2ステップの工程が必要であった。また、スプレー塗装工程のために、水圧転写設備の他に塗装設備も必要であるためコスト高であった。このため、工程の簡略化とコスト低減のために1ステップ工程による水圧転写法が求められていた。
この要請に対して、転写層が熱可塑性樹脂層(表面保護層)と装飾層を有する水圧転写フィルムを用いて、被転写体に熱可塑性樹脂層と装飾層を1ステップで転写する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、該技術は表面保護層が熱可塑性樹脂、詳しくはブチルアクリレートとエチルアクリレートの共重合体からなるもので、硬化性塗膜ではないため、表面保護層の耐溶剤性や表面硬度などの物理的・化学的耐久性が十分ではなかった。
また、1ステップ工程による水圧転写法として、塗工層がラジカル重合性不飽和基を有するガラス転移温度が0〜250℃のポリマーからなり、未硬化状態で、常温で固体状をなし、且つ非粘着性の塗工層を有する水圧転写用シートを用いて被転写体に塗工層を転写し、電離放射線または熱で該塗工層を硬化させる、硬化樹脂層を有する成形品の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2に記載された水圧転写フィルムは、ラジカル重合性基を有する化合物としてポリマーを使用しているため、未硬化状態での粘着性が低い。しかし、一方で活性化剤により柔軟化されにくいため、転写層の一部が局部的に転写されない転写欠陥が発生する場合があった。転写不良を防ぐため、活性化剤の溶解性をあげると、装飾層が過度に溶解し装飾層の柄の乱れを生じた。このため、装飾層の柄を乱さず、転写欠陥なく転写することができないという問題があった。
特開平4−197699号公報 特開昭64−22378号公報(特公平7−29084号公報)
したがって、本発明の目的は、
装飾層の柄の乱れを起こさず、転写欠陥無く転写することができる1ステップ工程による水圧転写法に使用する硬化性樹脂層と装飾層を有する水圧転写用フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成する硬化性樹脂層と装飾層を有する水圧転写フィルムの研究を進め、熱可塑性樹脂としてのアクリル樹脂と、特定の種類のオリゴマーとを組み合わせた硬化性樹脂層を使用することにより上記目的を達成することができることを見出した。
また、上記のアクリル樹脂の重量平均分子量を変化させて実験を行った結果、
1)熱可塑性樹脂の重量平均分子量が小さすぎると、活性化剤による溶解性が高いため、水圧転写における装飾層の柄の乱れが起こりやすい。これを軽減させるために、熱可塑性樹脂の含有量を多くし、ラジカル重合性化合物の含有量を少なくすると、硬化塗膜の強度を保持することができない。
2)熱可塑性樹脂の重量平均分子量が大きすぎると、活性化剤により柔軟化させることが難しい。柔軟化させるにはより強い溶解性の活性化剤を使用せざるを得ない。そのような溶解性の強い活性化剤を使用すると、装飾層の柄の乱れを招く。
ことを見出した。
これらの知見に基づき、
熱可塑性樹脂がアクリル樹脂であり、その重量平均分子量が7万〜25万であり、
ラジカル重合性化合物が、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート及びウレタンアクリレートからなる群から選ばれ、前記非重合性熱可塑性樹脂(A)に相溶する重量平均分子量700〜3,000のラジカル重合性オリゴマーである
水圧転写フィルムが上記の目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は
水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写層を有し、該転写層が活性エネルギー線照射で硬化可能な硬化性樹脂層と、インキまたは塗料皮膜からなる装飾層を有する水圧転写用フィルムであって、
前記硬化性樹脂層が、常温で非粘着性であり、
1)重量平均分子量7万〜25万のアクリル樹脂である非重合性熱可塑性樹脂(A)と、
2)エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート及びウレタンアクリレートからなる群から選ばれ、前記非重合性熱可塑性樹脂(A)に相溶する重量平均分子量700〜3,000のラジカル重合性オリゴマー(B1)を
含有することを特徴とする水圧転写フィルムを提供する。
本発明の水圧転写フィルムは、硬化性樹脂層と装飾層とを有する転写層を、転写欠陥がなく、柄の乱れを起こさずに、1ステップで水圧転写することができる。
(支持体フィルム)
本発明の水圧転写用フィルムに用いる水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムは、水で溶解もしくは膨潤可能な樹脂からなるフィルムである。
水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルム(以下、支持体フィルムと略す)としては、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、ポリビニルピロリドン、アセチルセルロース、ポリアクリルアミド、アセチルブチルセルロース、ゼラチン、にかわ、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のフィルムが使用できる。
なかでも一般に水圧転写用フィルムとして用いられているPVAフィルムが水に溶解し易く、入手が容易で、硬化性樹脂層の印刷にも適しており、特に好ましい。用いる支持体フィルムの厚みは10〜200μm程度が好ましい。
(転写層)
本発明の水圧転写用フィルムの支持体フィルム上に設けられる転写層は、活性エネルギー線照射で硬化可能な硬化性樹脂層(以下、硬化性樹脂層と言う。)を有する。また、転写層は硬化性樹脂層とその上に設けられた印刷インキ皮膜または塗料皮膜からなる装飾層(以下、装飾層と言う。)とを有する。本発明での硬化性樹脂層は、常温では硬化せず活性エネルギー線照射で硬化して、硬化樹脂層を形成する。
(硬化性樹脂層)
(非重合性熱可塑性樹脂(A))
本発明の水圧転写フィルムが有する硬化性樹脂層には、重量平均分子量7万〜25万のアクリル樹脂である非重合性熱可塑性樹脂(A)が用いられる。
(アクリル樹脂)
本発明で使用する非重合性熱可塑性樹脂(A)として用いられるアクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリレートが、Tgが高く、硬化性樹脂層の乾燥性向上に適しているために好ましい。特にポリメチルメタクリレートを主成分とした重量平均分子量10万〜20万、より好ましくは10万〜15万のポリ(メタ)アクリレートが透明性、耐溶剤性および耐擦傷性に優れる点で好ましい。
また、ポリ(メタ)アクリレートの共重合成分として、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基含有ラジカル重合性単量体を用いて、ポリマーの酸価を1〜10程度に調整することで、支持体フィルムへの密着性や、被転写体と硬化性樹脂層との密着性を向上させることができる。
(非重合性熱可塑性樹脂(A)のTg)
非重合性熱可塑性樹脂(A)中のアクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃〜150℃であることが好ましい。
(非重合性熱可塑性樹脂(A)の含有量)
本発明で使用される硬化性樹脂層が含有する非重合性熱可塑性樹脂(A)の含有量は、30質量%〜70質量%が好ましく、40質量%〜60質量%がより好ましい。
(ラジカル重合性オリゴマー(B1))
ラジカル重合性オリゴマー(B1)は、硬化性樹脂層内で効率的に硬化反応を進めるために反応性基がマトリックス内で十分に動きやすいことが好ましいため、ガラス転移温度が0℃未満であることが好ましい。
ラジカル重合性オリゴマー(B1)は、ラジカル反応性不飽和基としてアクリロイル基またはメタクリロイル基を、1分子中に2〜8個有することが好ましい。
ラジカル重合性オリゴマー(B1)としては、ウレタンアクリレートが好ましい。
(ウレタンアクリレート)
ウレタン(メタ)アクリレートとは、分子内にウレタン結合を持つ(メタ)アクリレートである。例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート、ポリイソシアネート、およびポリオールを反応させて得ることができる。 尚、目的に応じて、ポリオールを原料に用いず、水酸基含有(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとからなるウレタン(メタ)アクリレートを使用することも可能である。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、およびそのエーテル伸長物、ラクトン伸長物等が使用でき、さらには、各種のポリオールについて、その水酸基の一部が(メタ)アクリレートとなった構造のもの、その他にグリシジル(メタ)アクリレートの各種カルボン酸エステル等も使用できる。 具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の炭素数2〜8のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール・プロピレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール・テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン伸長物の他に、
グリセロールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、
トリス(2-ヒドロキシエチル)ジアクリレート等や、グリシジル(メタ)アクリレートの酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸、脂肪酸等の酸付加物等も使用できる。
ウレタンアクリレートに使用するポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、環状脂肪族ポリイソシアネート、イソシアヌレート構造をもつポリイソシアネート等が使用できる。 具体的には、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジオールジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添メチレンジフェニルジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の他に、イソシアヌレート骨格を形成する1,6−ヘキサンジオールジイソシアネートの3量体、イソホロンジイソシアネートの3量体等が挙げられる。
ウレタンアクリレートに使用するポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール等が使用でき、場合によってはポリシロキサンやフルオロオレフィン共重合物等により変性したもの等も使用できる。
(ポリエステルアクリレート)
本発明で使用するポリエステル(メタ)アクリレートは、1分子中に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する飽和または不飽和ポリエステル(メタ)アクリレートである。
例えば、多塩基酸またはその無水物、ポリオール、(メタ)アクリル酸またはその無水物をエステル化して得られる。 尚、目的に応じて、多塩基酸またはその無水物を用いず、ポリオールと(メタ)アクリル酸またはその無水物とからなるポリエステル(メタ)アクリレートを使用することも可能である。この他に、常法により合成されたポリエステルのカルボキシル基と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレートも使用可能である。
多塩基酸としては、例えば、芳香族多塩基酸、鎖状脂肪族多塩基酸、環状脂肪族多塩基酸等が使用できる。ポリオールとしては、例えば、アルキレンポリオール等が使用できる。
本発明で使用するポリエステルアクリレートの構成成分であるポリエステルは、グリコール成分及びトリオールと、二塩基酸及び三塩基酸とのエステル反応により得られるものである。その際、必要により、モノエポキシ化合物やポリエポキシ化合物を併用してもよい。
(ポリエステルアクリレートの原料:グリコール)
上記ポリエステルの原料となるグリコールとしては、
例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチルプロパン−1,3−ジオール、ジメチロールシクロヘキサン、水素化ビスフェノールA、2,4,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール等に代表されるアルキレングリコール類;
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等に代表されるポリアルキレングリコール類;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、テトラブロムビスフェノールA等に代表される2価フェノールとエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドに代表されるアルキレンオキサイドとの付加反応生成物などがある。
トリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオールなどがある。
テトラオール単位としてはペンタエリスリトール、ジグリセロール、1,2,3,4−ブタンテトラオールなどがある。
また、グリコール類と酸成分の一部として水酸基又はカルボキシル基を有するポリエチレンテレフタレート等の重縮合物も使用できる。
(ポリエステルアクリレートの原料:酸成分)
二塩基酸(無水物)としては、o−フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロルフタル酸、テトラブロモフタル酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、1,1,2−ドデカン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ハイミッタ酸、ヘット酸などがあり、3塩基酸単位としては、トリメリット酸、アコニット酸、ブタントリカルボン酸、6−カルボキシ−3−メチル−1,2,3,6−ヘキサヒドロフタル酸などがあり、4塩基酸単位としてはピロメリット酸、ブタンテトラカルボン酸などがある。
α,β−不飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、例えばマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロルマレイン酸及びこれらのエステル等が挙げられる。芳香族飽和二塩基酸又はその酸無水物としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ニトロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、ハロゲン化無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、脂肪族或いは脂環族飽和二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、グルタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸及びこれらのエステル等があり、それぞれ単独或いは併用して使用される。
(モノエポキシ化合物)
モノエポキシ化合物としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、スチレンオキサイド、フェニルダリシジルエーテルなどが挙げられる。また、ポリエポキシ化合物としては、いわゆるジエポキシ化合物を好適に使用することができ、例えば日刊工業新聞社発行プラスチック材料講座1「エポキシ樹脂」(昭和11年5月10日発行、縞本邦之編著)第19頁〜第48頁に記載されたエポキシ樹脂を挙げることができる。
前記ポリエステルアクリレートは市販品でもよく、具体例としては、M−7100、M−8030、M−8060、M−8100、M−8530、M−8560、M−9050(商品名:以上全て東亞合成株式会社製)が挙げられ、架橋間分子量がやや大きいM−7100あるいはM−8530が塗膜物性のバランスが取り易いので好適に用いられる。
(エポキシアクリレート)
エポキシ(メタ)アクリレートとは、ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸またはその無水物を反応させて得られる(メタ)アクリレートである。ポリエポキシドとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等や、ビスフェノール型エポキシ樹脂の芳香環を水素添加したものが挙げられる。
エポキシアクリレートとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレートが好ましい。
前記ポリエポキシドとしては、1分子中に好ましくは平均2〜5個のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が好ましい。前記エポキシ樹脂のなかでもビスフェノール型エポキシ樹脂が硬度と伸度のバランスの優れた硬化塗膜を形成できるため好ましい。また、ポリエポキシドは単独で使用できる他、2種以上を併用することもできる。
ポリエポキシドと、アクリル酸又はメタクリル酸との反応は、通常、50℃〜150℃の範囲の温度で、1〜8時間程度、行なわれる。反応の際、好ましくは、触媒が用いられる。触媒としては、具体例としては、トリエチルアミン、ジメチルブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン等のアミン類、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩、ベンジルトリエチルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩、又は第四級ホスホニウム塩、そのほか、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類や、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類等を挙げることができる。
反応に際して、アクリル酸又はメタクリル酸の重合反応を抑制するために、場合によっては、空気等の気流下に反応を行なうこともできる。また、その際に、空気による酸化反応を防止するために2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等の酸化防止剤を併用してもよい。
エポキシアクリレートとしては、ビスフェノールA型エポキシアクリレートが好ましい。エポキシアクリレートは市販品でもよく、具体例としては、NKオリゴEA−1020、NKエステル A−B1206PE、NKエステル ABE−300、NKエステル A−BPE−4、NKエステル A−BPE−6、NKエステル A−BPE−10、NKエステル A−BPE−20、NKエステル A−BPE−30、NKエステル BPE−80N、NKエステル BPE−100N、NKエステル BPE−500、NKエステル BPE−900,NKエステル BPE−1000N、NKエステル A−9300、NKオリゴ EA−5220、NKオリゴ EMA−5220、NKオリゴ EA−5221、NKオリゴ EA−5222、NKオリゴ EA−5223、NKエステル A-BPFL-4E(商品名:以上全て新中村化学株式会社製)が挙げられ、得られる硬化塗膜の物性ならびに経済的理由の観点からEA−1020が好適に用いられる。
(光重合開始剤)
硬化性樹脂層には、必要に応じて慣用の光重合開始剤や光増感剤が含まれて良い。光重合開始剤の代表的なものとしては、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンの如きアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン系化合物;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系化合物;2,4−ジメチルチオキサントンの如きチオキサントン系化合物;4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。
光重合開始剤は用いる活性エネルギー線硬化性樹脂に対して、通常0.5〜15質量%、好ましくは1〜8質量%である。光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチルの如きアミン類が挙げられる。さらに、ベンジルスルホニウム塩やベンジルピリジニウム塩、アリールスルホニウム塩などのオニウム塩は、光カチオン開始剤として知られており、これらの開始剤を用いることも可能であり、上記の光ラジカル発生剤と併用することもできる。
(活性エネルギー線)
活性エネルギー線は、可視光、紫外線、電子線、ガンマ線を意味し、いずれも使用可能であるが、特に紫外線が好適である。紫外線源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が用いられる。
重合反応の際、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセルソルブ等のアルコール類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロブアセテート等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族化合物等を反応溶剤として用いることができる。重合反応の際、重合禁止剤として、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、4−メチルキノリン、フェノチアジン等を反応系に共存させてもよい。
非重合性熱可塑性樹脂(A)であるアクリル樹脂と、ラジカル重合性オリゴマー(B1)がウレタンアクリレートである組み合わせが好ましい。
(非重合性熱可塑性樹脂(A)とラジカル重合性オリゴマー(B1)との質量比P)
本発明の非重合性熱可塑性樹脂(A)に対するラジカル重合性オリゴマー(B)の質量比Pは、30/70〜70/30が好ましく、40/60〜70/30がより好ましく、最も好適には40/60〜60/40である。
グラビア印刷の場合など、印刷機での塗膜形成の場合のように、より塗膜の乾燥性が重視される場合や塗膜の厚さが10μm以下の薄膜である場合は30/70〜60/40が好ましい。より乾燥性を高めるには、非重合性熱可塑性樹脂として質量平均分子量15万以上のポリアクリレートを用いることが好ましい。
硬化性樹脂層と基材フィルムに設けられた装飾層とをドライラミネーションによって貼り合わせて硬化樹脂層上に装飾層を転移させる場合や、塗工機のように十分な乾燥時間を確保できる場合や、10μm以上の厚膜塗工で活性化がより困難となる場合は、非重合性熱可塑性樹脂(A)に対するラジカル重合性オリゴマー(B1)の質量比Pは40/60〜70/30が好ましく、より好ましくは40/60〜60/40である。
また、硬化性樹脂層中の、非重合性熱可塑性樹脂(A)とラジカル重合性オリゴマー(B1)の質量%の総和は、60質量%以上であることが好ましい。
硬化性樹脂層は、膜厚が厚いほど、得られる成形品の保護効果は大きく、また装飾層の凹凸を吸収する効果が大きいために成形品に優れた光沢を持たせることができる。従って、硬化性樹脂層の膜厚は、具体的には3μm以上、好ましくは15μm以上の厚みを持つことが好ましい。硬化性樹脂層の厚みが200μmを超えると、有機溶剤による硬化性樹脂層の活性化が十分なされにくい。有機溶剤による硬化性樹脂層の十分な活性化、装飾層に対する保護層としての機能、及び装飾層の凹凸の吸収等の観点から、硬化性樹脂層の乾燥膜厚は3〜200μmであることが好ましく、より好ましくは、15〜70μmである。
(ラジカル重合性化合物(B2))
硬化性樹脂層には、重量平均分子量200以上700未満の低分子量ラジカル重合性化合物(B2)を加えてもよい。低分子量ラジカル重合性化合物(B2)は、ラジカル重合性オリゴマー(B1)に比べてさらに硬化性樹脂層内で動きやすいので、より強固な硬化塗膜を得る場合に用いると有効である。しかし、ラジカル重合性化合物(B2)の添加量が多くなると、塗膜からのブリードアウトが起こりやすくなり、装飾層にしみ出たり、塗膜の膜厚変動を誘発するので低分子量ラジカル重合性化合物(B2)は、ラジカル重合性化合物のうちの20質量%を超えない範囲で添加することが好ましい。
重量平均分子量200以上700未満のラジカル重合性化合物(B2)は、慣用の種々のビニル系モノマーを要求特性に応じて選択して利用することができる。
これらとしては、好ましくは各種の(メタ)アクリレート、その他にアリルエーテル、不飽和カルボン酸エステル等が使用でき、更に好ましくは、硬化性の点でアクリレートが望ましい。また、これ等の化合物中のラジカル重合性不飽和基数は1分子中に1個以上、好ましくは2個〜6個が望ましい。
これらの例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性ポリプロピレングリコールジアクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド伸長グリセロールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド伸長グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド伸長トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド伸長トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンダエリスリトールテトラアクリレート混合物、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンダエリスリトールテトラアクリレート混合物が好ましい。
(硬化性樹脂層中の微粒子A)
硬化性樹脂層は、活性化による硬化性樹脂層の膨潤抑制効果を得るために、及び艶消し調を付与するために、無機微粒子又は有機微粒子(以下、微粒子Aと言う。)を含有することができる。
装飾層が積層されているときは、得られる水圧転写体の装飾層の意匠性が良く発現できることから、硬化性樹脂層は透明であることが好ましい。但し、水圧転写体の要求特性、及び、意匠性によるが、基本的に得られる水圧転写体の装飾層の色や柄が透けて見えれば良く、硬化性樹脂層は完全に透明であることを要せず、透明から半透明なものまでを含む。また、着色されていてもよい。
無機微粒子としては、無機顔料、カーボン、酸化チタン、クラファイト、亜鉛華等の無機着色顔料;炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレー(China Clay)、シリカ粉、珪藻土、タルク、カオリン、アルミナホワイト、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、バライト粉、砥の粉等の無機体質顔料;等の無機顔料や、シリコーン、ガラスビーズなどがあげられる。
有機微粒子としては、有機着色顔料、有機結晶やポリマー微粒子があげられる。有機着色顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、スレン顔料、キナクリドン顔料等の汎用の顔料があげられる。有機着色顔料は、粒径や添加量により、転写層中の装飾層、あるいは装飾層を持たない場合は下地(転写基材)の隠蔽効果が異なるので、要求される意匠によって適宜有機着色顔料の粒径及び添加量を制御すればよい。
有機結晶としては、結晶性ポリ尿素、結晶性ポリウレタン、結晶性ポリアミド、結晶性アミノ酸、結晶性ポリペプチド、結晶性有機金属錯体等が挙げられる。
また、ポリマー微粒子としては、架橋アクリル系微粒子、架橋ポリスチレン系樹脂微粒子、架橋ウレタン微粒子、フェノール樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、ポリエチレン微粒子、フッ素微粒子、メラミン微粒子、ポリカーボネート微粒子およびフェノール微粒子などをあげることができる。
前記微粒子Aの中でも、無機顔料、有機結晶、及びポリマー微粒子は膨潤抑制効果が高いので好ましく、無機体質顔料及び有機結晶は特に効果が高いので好ましい。
(装飾層)
硬化性樹脂層の上に設けられる装飾層として用いられる印刷インキまたは塗料は、有機溶剤によって活性化されて転写に十分な柔軟性が得られることが好ましく、硬化性樹脂層の乾燥後に、特にグラビア印刷インキを用いた印刷により装飾層を形成することが好ましい。
印刷インキ又は塗料に用いる基材樹脂は、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ウレア樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂(塩ビ、酢ビ、塩ビ−酢ビ共重合樹脂)、ビニリデン樹脂(ビニリデンクロライド、ビニリデンフルオネート)、エチレン−ビニルアセテート樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩素化オレフィン樹脂、エチレン−アクリル樹脂、石油系樹脂、セルロース誘導体樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられ、中でもポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩ビ−酢ビ共重合樹脂が、有機溶媒への溶解性、流動性、顔料分散性、転写性に優れることから好ましく用いられ、特にポリウレタン樹脂が好ましい。
印刷インキまたは塗料に用いる着色剤は、顔料が好ましく、無機系顔料、有機系顔料のいずれも使用が可能である。また、金属切削粒子のペーストや蒸着金属膜から得られる金属細片を顔料として含んだ金属光沢インキの使用も可能である。これらの金属としては、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、真鍮(Cu−Zn)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、ニッケルクローム(Ni−Cr)およびステンレス(SUS)等が好ましく用いられる。これらの金属細片は、分散性、酸化防止やインキ層の強度向上のためにエポキシ樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、ニトロセルロース等のセルロース誘導体などで表面処理されていても良い。
装飾層は、
1)支持体上の硬化性樹脂層上への塗布または印刷する方法、
あるいは、
2)支持体フィルム上に硬化性樹脂層が形成されたフィルムと剥離性フィルム上に装飾層を有するフィルムとのドライラミネートする方法
により水圧転写用フィルム中に積層することができる。
1)の支持体に前記硬化性樹脂層上へ塗工または印刷する場合、硬化性樹脂層表面の濡れ性等の塗装または印刷に対する適正が必要になる。
2)のあらかじめ剥離フィルム上に装飾層を形成する場合は、剥離性フィルム上に装飾層を有するフィルムと支持体フィルム上に硬化性樹脂層が形成されたフィルムとのドライラミネートにより積層する方法が好ましい。
支持体上に硬化性樹脂層を設けたフィルムと、剥離性フィルム上に装飾層を設けたフィルムとを貼り合わせる工程では、一般に、PVAフィルムをはじめとする支持体フィルムの耐熱性が低く、130℃を超える温度で貼り合わせると、フィルムの収縮やラミネートじわが入りやすくなる問題が生じ易いことから、フィルム(A)の乾燥、加熱加圧による貼り合わせは、40〜120℃の温度範囲で行うことが好ましく、40〜100℃の温度範囲で行うことがより好ましい。
装飾層は、剥離性フィルム上、あるいは支持体フィルム上に形成された硬化性樹脂層上に、グラビア印刷のほかにオフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、熱転写印刷などを用いて形成する。装飾層の乾燥膜厚は0.5〜15μmであることが好ましく、更に好ましくは、1〜7μmである。また絵柄のない着色層や、無色のワニス樹脂層についても塗工によって形成することができる。
なお、硬化性樹脂層および装飾層中に、意匠性、展延性を阻害しない範囲において、消泡剤、沈降防止剤、顔料分散剤、流動性改質剤、ブロッキング防止剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、シリカゾル、オルガノシリカゾルなどの慣用の各種添加剤を加えることができる。これらの添加剤は液体でも固体でもよいし、溶解するものであっても、分散するだけであってもよい。
微粒子Aの添加により、フィルム(X)とフィルム(Y)の接着力が弱まってしまい、剥離性フィルムを剥離する際に硬化性樹脂層と装飾層の界面で剥離が生じてしまう場合のような、装飾層と硬化性樹脂層の接着力が不足する場合には、支持体フィルムに艶消し調を形成する硬化性樹脂層を設けた後に、装飾層との接着性をあげるために接着層を設けることが好ましい。接着層としては、艶消し剤を含有していない硬化性樹脂層や、装飾層であるインキ層または塗料層から着色剤を除いた樹脂層を用いることが好ましい。この際には、フィルム(X)の接着層とフィルム(Y)の装飾層とが相対するように重ねてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせる。
本発明の水圧転写用フィルムの製造はドライラミネーターを用いて行うことが好ましい。すなわち、ドライラミネーターの一方の繰り出しロール(第1の繰り出しロール)に支持体を装着し、もう一方の繰り出しロール(第2の繰り出しロール)に予め剥離性フィルムに絵柄模様の装飾層を印刷したフィルム(Y)を装着する。第1の繰り出しロールから繰り出された支持体フィルムの水溶性もしくは水膨潤性の樹脂層面に前記硬化性樹脂の有機溶剤溶液が塗布され、さらにドライヤーにて乾燥されて支持体フィルム上に硬化性樹脂層が形成されたフィルム(X)が得られる。次いで、このフィルム(X)の硬化性樹脂層と、第2の繰り出しロールから繰り出されるフィルム(Y)の装飾層とが相対するように重ね合わされ、加熱圧着ロールで貼り合わされて巻き取りロールに巻き取られることにより、本発明の水圧転写用フィルムが製造される。
支持体フィルムに前記硬化性樹脂の有機溶剤溶液を塗布するには、スリットリバースコーター、ダイコーター、コンマコーター、バーコーター、ナイフコーター、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、マイクログラビアコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ロールコーター、エアナイフコーター等を用いることが出来る。
また、剥離性フィルムに積層した支持体を用いることにより、塗工または印刷基材として、たるみの影響をほとんど受けず、寸法安定性が良好であるため、前記硬化性樹脂の有機溶剤溶液の塗布膜厚を精密に制御することが可能になる。
剥離性フィルム上に装飾層を有するフィルム(Y)の製造は、塗布でも良いが印刷により行うことが好ましく、特に柄模様を印刷する場合は、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷またはシルク印刷が好ましい。剥離性フィルム上に装飾層を塗布または印刷後、乾燥してフィルム(Y)を得る。
(剥離性フィルム)
本発明に用いることができる剥離性フィルムは、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン系フィルム、ポリエステルフィルム、ナイロンまたはポリ塩化ビニルからなるフィルムが挙げられ、比較的安価でかつリサイクルが容易なポリオレフィン系フィルムが特に好ましい。フィルムの厚みは、装飾層との適度の密着性、印刷時の強度との観点から、0.5μm〜250μmであるものが好ましい。
また、必要に応じて、剥離性フィルムに表面処理を行うことにより、最大剥離力を更に調整することも可能である。
本発明の水圧転写用フィルムは、従来の水圧転写用フィルムの水圧転写と同様な方法で水圧転写を行うことができる。
(水圧転写体の製造方法)
本発明の硬化性樹脂層、または装飾層と硬化性樹脂層とを有する成形品の製造方法は、本発明の水圧転写フィルムを、その支持体フィルムを下にして水に浮かべ、有機溶剤により硬化性樹脂層、または装飾層と硬化性樹脂層を有する転写層を活性化した後、転写層を被転写体に水圧転写し、支持体フィルムを除去し、次いで転写層を活性エネルギー線照射で硬化させる方法であり、従来の水圧転写用フィルムと同様な方法で水圧転写を行うことができる。水圧転写用フィルムを用いた装飾成形品の製造方法の概略は、以下に示す通りである。
(1)水圧転写フィルムを、その支持体フィルムを下にし、転写層を上にして水槽中の水に浮かべ、前記支持体フィルムを水で溶解もしくは膨潤させる。
(2)水圧転写用フィルムの転写層に活性化剤を塗布または噴霧することにより硬化性樹脂層と装飾層からなる転写層を活性化させる。
なお、転写層の有機溶剤による活性化はフィルムを水に浮かべる前に行っても良い。
(3)水圧転写用フィルムの転写層に被転写体を押しつけながら、被転写体と水圧転写用フィルムを水中に沈めて行き、水圧によって転写層を前記被転写体に密着させて転写する。
(4)水から出した被転写体から支持体フィルムを除去し、被転写体に転写された転写層の硬化性樹脂層を活性エネルギー線照射により硬化させ、硬化性樹脂層もしくは硬化性樹脂層と装飾層とを有する成形品を得る。
硬化性樹脂層または、硬化性樹脂層と装飾層とからなる本発明の水圧転写フィルムの転写層は、有機溶剤を塗布または散布することにより活性化され、十分に可溶化もしくは柔軟化される。ここで言う活性化とは、転写層に有機溶剤を塗布または散布することにより、転写層を完全には溶解せずに可溶化させ、転写層に柔軟性を付与することにより転写層の被転写体への追従性と密着性を向上させることを意味する。この活性化は転写層を水圧転写用フィルムから被転写体へ転写する際に、これらの転写層が柔軟化され、被転写体の三次元曲面へ十分に追従できる程度に行われれば良い。
水圧転写における水槽の水は、支持体フィルムを膨潤または溶解させる他、転写層を転写する際に水圧転写用フィルムを被転写体の三次元曲面に密着させる水圧媒体として働く。具体的には、水道水、蒸留水、イオン交換水などの水で良く、また用いる支持体フィルムによっては、水にホウ酸等の無機塩類やアルコール類を10%以内の範囲で溶解させたものでもよい。
(活性化剤)
活性化剤は、硬化樹脂層もしくは硬化性樹脂層と装飾層とを可溶化させ、柔軟性を付与する有機溶剤である。水圧転写工程が終了するまで蒸発しないことが好ましい。本発明で使用される活性化剤は、一般の水圧転写に用いる活性化剤を用いることができる。具体的には、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブ、カルビトール、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、ソルフィットアセテート及びそれらの混合物が挙げられる。
この活性化剤中に印刷インキ又は塗料と成形品との密着性を高めるために、若干の樹脂成分を含ませてもよい。例えば、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂といった、インキのバインダーに類似の構造のものを1〜10%含ませることによって密着性が高まることがある。
また同様の目的で、活性化剤中に上述したラジカル重合性化合物や光重合開始剤を溶解させて使用してもよい。
被転写体に転写層を水圧転写した後、支持体フィルムを水で溶解もしくは剥離して除去し乾燥させる。被転写体からの支持体フィルムの除去は、従来の水圧転写方法と同様に水流で支持体フィルムを溶解もしくは剥離して除去する。
硬化性樹脂層は、水および活性化剤を乾燥後させた後に、活性エネルギー線照射により硬化を行う。硬化時間は、組成、硬化剤の種類にもよるが、数分から1時間以内に硬化が進むものが工程上好ましい。
(被転写体となる成形品)
被転写体となる成形品は、その表面に硬化性樹脂層や装飾層が十分密着することが好ましく、このため必要に応じて成形物表面にプライマー層を設ける。プライマー層を形成する樹脂は、プライマー層として慣用の樹脂を特に制限なく用いることができ、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などが挙げられる。また、密着性の良好なABS樹脂やSBSゴムなど、溶剤吸収性の高い樹脂成分からなる成形品にはプライマー処理は不要である。成形品の材質は、プライマー処理さえ施されていて、水中に沈めても形状が崩れたりせず品質上問題を起こさないレベルの防水性があれば、金属、プラスチック、木材、パルプモールド、ガラスなど特に限定されない。
本発明が適用できる成形物の具体例としては、テレビ、ビデオ、エアコン、ラジオカセット、携帯電話、冷蔵庫等の家庭電化製品、パーソナルコンピューターやプリンター等のOA機器、その他石油ファンヒーター、カメラなどの家庭製品のハウジング部分に適用できる。また、テーブル、タンス、柱などの家具部材や、バスタブ、システムキッチン、扉、窓枠、廻り縁などの建築部材、筆記用具、電卓、電子手帳、ケースなどの雑貨、文房具、自動車内装パネル、自動車やオートバイの外板、ホイールキャップ、スキーキャリヤ、自動車用キャリアバッグ、ゴルフクラブ、ヨットなどの船舶部品、スキー板、スノーボード、ヘルメット、ゴーグル、モニュメントなどの曲面を有し、かつ意匠性を必要とする成形品に特に有用に用いられ、極めて広い分野で使用可能である。
以下に、実施例をもって、本発明を具体的に説明するが、これらに何ら制限されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(製造例1)
厚さ30μmの東洋紡製無延伸ポリプロピレンフィルム「パイレンCT」上に、下記組成の印刷インキG1をグラビア印刷にて、ベタ2版、柄3版で木目柄を印刷し、印刷フィルムP1を得た。
(インキ組成G1、黒、茶、白)
バーノックEZL676:20質量部(固形分換算)
顔料(黒、茶、白):10質量部(固形分)
ワックス等添加剤:10質量部
溶剤:不揮発分が30%となるように添加
但し、バーノックEZL676は、大日本インキ化学工業(株)社製のポリウレタンであり、溶剤はトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンを2:1:1で混合した溶剤を用いた。
(製造例2)
厚さ50μmの東洋紡製無延伸ポリプロピレンフィルム「「パイレンCT」上に、下記組成の印刷インキG2をグラビア印刷にて4g(固形分)/mの厚みで柄模様及びベタを3版で印刷して、格子柄の印刷フィルムP2を製造した。
<印刷インキG2組成、黒、黄、白>
ポリウレタン(大日本インキ社製 バーノックEZL676):20質量部、顔料(黒
、黄、白):10質量部、酢酸エチル・トルエン(1/1):60質量部、およびワックス等添加剤:10質量部。
(実施例1)
厚さ35μmのポリビニルアルコール樹脂フィルムの表面に、下記組成の硬化性樹脂組成物(1)をグラビア印刷により10g(固形分)/mの硬化性樹脂層をベタ2版で印刷し、次に下記の処方の印刷インキを3〜4g(固形分)/mの厚みの柄模様及びベタを3版で印刷した。
(硬化性樹脂組成物(1))
ユニディック17−813 :50質量部(固形分換算)
アクリペットVH :50質量部
イルガキュア184 : 1質量部
溶剤 :不揮発分30質量%となるように添加
但し、ユニディック17−813は、大日本インキ化学工業(株)社製ポリウレタンポリ(メタ)クリレート(重量平均分子量:1,500、Tg−20℃(DSC法))であり、アクリペットVHは、三菱レーヨン(株)社製の非重合性熱可塑アクリル樹脂(重量平均分子量:200,000、Tg:100℃)であり、イルガキュア184は、チバ・スペシャリティケミカルズ(株)社製の光重合開始剤であり、溶剤は、MEK、酢酸ブチル、トルエン、酢酸エチルの混合溶剤である。
(インキ組成、黒、茶、白)
ポリウレタン(大日本インキ社性バーノックEZL676):20質量部
顔料(黒、茶、白):10質量部
酢酸エチル・トルエン(1/1):60質量部
ワックス等添加剤 :10質量部
得られた水圧転写用フィルムC1を30℃の水浴に、装飾層面が上になるようにして、2分間放置後、活性化剤(キシレン/メチルイソブチルケトン/3−メチル3−メトキシブチルアセテート/酢酸ブチル=50/25/15/10;以下、活性化剤Sと言う。)40g/mをフィルム上に散布した。更に10秒放置後、垂直方向からABS製成形物(自動車内装パネル)を押し当て、柄を転写した。転写後、成形物を水洗し、90℃で1分乾燥した。次にUV照射装置(出力80KW/m、10m/分のコンベア速度)に3回サンプルを通すことにより、光沢のある硬化皮膜を得た。
(実施例2)
アイセロ化学社製の厚さ30μmのPVAフィルムに下記の硬化性樹脂組成物(2)を、
リップコーターで固形分膜厚20μmになるように塗工し、次いで60℃で2分間乾燥してフィルムを製造した。このフィルムの硬化性樹脂層と製造例1で作製した印刷フィルムP1の装飾層を向き合わせて60℃でラミネートした。ラミネートしたフィルムをそのまま巻き取り水圧転写用フィルムC2を製造した。
得られた水圧転写用フィルムC2を30℃の水浴に、インキ面が上になるようにして浮かべ、2分間放置後、活性化剤S:40g/mをフィルム上に散布した。さらに10秒放置後、垂直方向からプライマー塗工済みのABS製自動車ドアパネルに、水圧転写した。転写後、被転写体を水洗し、90℃で20分乾燥した。次にUV照射装置(出力160W/cm、5m/分のコンベア速度)に1回サンプルを通すことにより、光沢のある硬化皮膜を得た。
(硬化性樹脂組成物(2))
ユニディック17−813:60質量部(固形分換算)
パラロイドA11:20質量部(固形分)
パラロイドB60:20質量部(固形分)
イルガキュア184: 3質量部(固形分)
溶剤:(不揮発分50質量%に調整。)
但し、パラロイドA11は、ローム・アンド・ハース社製の非重合性熱可塑アクリル樹脂(重量平均分子量:125,000、Tg:100℃)であり、パラロイドB60は、ローム・アンド・ハース社製の非重合性熱可塑アクリル樹脂(重量平均分子量50,000、Tg75℃ )である。溶剤は、MEK、酢酸ブチル、トルエン、酢酸エチルの混合溶剤である。
(実施例3)
実施例2と同様の方法で硬化性樹脂組成物(3)をPVAフィルム上に塗工し、硬化性樹脂層を形成した後、装飾フィルムをラミネートして、硬化性樹脂層上に装飾層を形成した。得られた水圧転写フィルム3を実施例2と同様の方法でABS製自動車ドアパネルに水圧転写を行い、光沢のある硬化皮膜を得た。
(硬化性樹脂組成物(3))
ニューフロンティアR−2402:50質量部(固形分換算)
アロニックスM−305:10質量部(固形分換算)
パラロイドA11:40質量部(固形分)
イルガキュア184: 3質量部(固形分)
溶剤:(不揮発分50質量%に調整。)
ただし、ニューフロンティアR−2402は第一工業製薬(株)社製ポリエステルアクリレート(重量平均分子量:1,590、Tg:−45℃)、アロニックスM−305は、東亜合成社製ポリエステルアクリレート(重量平均分子量:350、Tg:−49℃)である。
(実施例4)
実施例2と同様の手法で硬化性樹脂層組成物(4)をPVAフィルム上に形成した後、装飾フィルムをラミネートして、硬化性樹脂層上に装飾層を形成した。得られた水圧転写フィルムC4を実施例2と同様の方法でABS製自動車ドアパネルに水圧転写を行い、光沢のある硬化皮膜を得た。
(硬化性樹脂層組成物(4))
ユニディックV5500:70質量部(固形分換算)
パラロイドA11:30質量部(固形分)
イルガキュア184: 3質量部(固形分)
溶剤:(不揮発分50質量%に調整。)
ただし、ユニディックV5500は大日本インキ化学工業(株)社製2官能性エポキシアクリレート(重量平均分子量:1,070、Tg:−4℃)である。
(実施例5)
実施例2と同様な手法で硬化性樹脂層組成物(5)をPVAフィルム上に形成した後、装飾フィルムをラミネートして、硬化性樹脂層上に装飾層を形成した。得られた水圧転写フィルムC5を実施例2と同様の方法でABS製自動車ドアパネルに水圧転写を行い、光沢のある硬化皮膜を得た。
(硬化性樹脂層組成物(5))
ユニディックV5500:30質量部(固形分換算)
パラロイドA11:30質量部(固形分)
パラロイドB60:40質量部(固形分)
イルガキュア184: 3質量部(固形分)
溶剤:(不揮発分50質量%に調整。)
(比較例1)
厚さ35μmのポリビニルアルコール樹脂フィルムの表面に、下記組成の硬化性樹脂組成物(6)をグラビア印刷により10g(固形分)/mの硬化性樹脂層をベタ2版で印刷し、次に下記の処方の印刷インキを4g(固形分)/mの厚みの柄模様及びベタを3版で印刷した。
(硬化性樹脂組成物(6))
ラジカル反応性アクリル樹脂(a):97質量部(固形分換算)
イルガキュア184: 3質量部(固形分)
溶剤:(不揮発分28質量%に調整。)
但し、 ラジカル反応性アクリル樹脂(a)は、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートをモル比で40/10/10/20の比で共重合したポリ(メタ)アクリレート(質量平均分子量105,000)を、トルエンに溶解して30%溶液にした後、昭和電工株式会社製アクリルイソシアネートモノマーMOIを10質量部添加し、50℃で1時間攪拌して調整した、メタクリル基を側鎖に有するTg85℃の活性エネルギー線硬化性樹脂である。
(インキ組成、黒、茶、白)
ポリウレタン(大日本インキ社製バーノックEZL676):20質量部
顔料(黒、茶、白):10質量部
酢酸エチル・トルエン(1/1):60質量部
ワックス等添加剤 :10質量部
得られた水圧転写用フィルムC8を30℃の水浴に、インキ面が上になるようにして、2分間放置後、活性化剤S:50g/mをフィルム上に散布したが、インキ皮膜は溶解するものの、硬化性樹脂層はほとんど溶解せず、良好な水圧転写ができなかった。
(比較例2)
実施例2と同様な手法で硬化性樹脂組成物(7)をPVAフィルム上に形成した後、装飾フィルムをラミネートして、硬化性樹脂層上に装飾層を形成した。しかし、得られた水圧転写フィルムは、数日で硬化性樹脂層に皺が入り、使用できなくなった。水圧転写性も、硬化性樹脂層の溶解が速く、インキの溶解性とのバランスが悪いため、装飾層の柄が乱れ、良好な転写物を得られなかった。
(硬化性樹脂組成物(7))
ビームセット700 : 100質量部(固形分換算)
イルガキュア184 :3質量部
溶剤 :不揮発分30質量%となるように添加

但し、ビームセット700は、荒川化学(株)社製ポリアクリレート(重量平均分子量:570、液状)である。

(比較例3)
実施例2と同様な手法で硬化性樹脂組成物(8)をPVAフィルム上に形成した後、製造例2で作製した格子柄のフィルムP2の印刷層とを向き合わせて60℃でラミネートし、硬化性樹脂層上に装飾層を形成した。
(硬化性樹脂層組成物(8))
ユニディック17−813 :20質量部(固形分換算)
パラロイドB−72 :80質量部
イルガキュア184 : 1質量部
溶剤 :不揮発分30質量%となるように添加

ただし、パラロイドB−72は、ローム・アンド・ハース社製の非重合性熱可塑アクリル樹脂(重量平均分子量25,000)である。
得られた水圧転写シートC10は、PPフィルムが剥がれづらく、フィルムにしわが生じた。水圧転写を行い、得られた成形物を評価すると、鉛筆硬度が3B以下となり、耐溶剤性も低下した。
(比較例4)
実施例2と同様の方法で硬化性樹脂組成物(9)をPVAフィルム上に形成した後、製造例2で作製した格子柄のフィルムP2の印刷層とを向き合わせて60℃でラミネートし、硬化性樹脂層上に装飾層を形成した。
(硬化性樹脂層組成物(9))
ユニディック17−813 :80質量部(固形分換算)
ダイヤナールER−55 :20質量部
イルガキュア184 : 1質量部
溶剤 :不揮発分30質量%となるように添加
ただし、ダイヤナールER−55は三菱レーヨン製非重合性熱可塑アクリル樹脂(重量平均分子量400,000)である。得られた水圧転写フィルムは、タック性が高く、PPフィルムを剥離すると、インキ面に粘着性があり、水面にしわなく浮かべることができなかった。
実施例及び比較例の硬化性樹脂層の組成、及び硬化性樹脂層中の非重合性熱可塑性樹脂(A)に対するラジカル重合性化合物(B1)の質量比Pを表1にまとめた。
Figure 2005125776
(転写体の試験方法)
各実施例で得られたサンプルを用いて下記の各種物性試験を行った。
(水圧転写性)
実施例、比較例で行った水圧転写において、表面欠陥がなく、柄の再現性が良好なものを○、著しい表面欠陥や、柄の崩れを生じたものは×とした。
(表面光沢評価)
JIS-K5400「7.6鏡面光沢度」に従い、60゜鏡面光沢度を測定した。
(耐擦傷性評価)
トラバース型試験器を用い、荷重1Kg/9cm、スチールウール000番往復5回での試験後の光沢を表面光沢評価と同様の試験法で測定し、初期の光沢に対する保持率をパーセントで表示した。
(鉛筆硬度)
JIS-K5401「塗膜用鉛筆引き掻き試験機」を用いて塗膜の鉛筆硬度を測定した。芯の長さは3mm塗膜綿との角度45度、荷重1Kg、引き掻き速度0.5mm/分、引き掻き長さ3mm、使用鉛筆は三菱ユニとした。
(耐溶剤試験)
MEKを含ませた脱脂綿で1Kgの加重でラビング試験機で100往復擦り、塗膜の表面を観察して、変色、光沢の変化がなければ○、どちらかが生じれば×とした。

Figure 2005125776
本発明の実施例である実施例1〜5は、装飾層の柄の乱れなく水圧転写が行われ、得られた水圧転写体の表面は高い硬度と耐溶剤性を示した。
本発明の水圧転写フィルムは、曲面を有し、かつ意匠性を必要とする成形品に特に有用に用いられ、極めて広い分野で使用可能である。

Claims (6)

  1. 水溶性もしくは水膨潤性の樹脂からなる支持体フィルムと該支持体フィルム上に設けた有機溶剤に溶解可能な転写層を有し、該転写層が活性エネルギー線照射で硬化可能な硬化性樹脂層と、インキまたは塗料皮膜からなる装飾層を有する水圧転写用フィルムであって、
    前記硬化性樹脂層が、常温で非粘着性であり、
    1)重量平均分子量7万〜25万のアクリル樹脂である非重合性熱可塑性樹脂(A)と、
    2)エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、及びウレタンアクリレートからなる群から選ばれ、前記非重合性熱可塑性樹脂(A)に相溶する重量平均分子量700〜3,000のラジカル重合性オリゴマー(B1)とを
    含有することを特徴とする水圧転写用フィルム。
  2. 前記硬化性樹脂層中の、前記非重合性熱可塑性樹脂(A)と前記ラジカル重合性オリゴマー(B1)の総和が60質量%以上である請求項1に記載の水圧転写用フィルム。
  3. 前記ラジカル重合性オリゴマー(B1)がウレタンアクリレートである請求項1に記載の水圧転写用フィルム。
  4. 前記硬化性樹脂層が重量平均分子量200以上700未満の重合性化合物(B2)を含有する請求項1に記載の水圧転写用フィルム。
  5. 前記転写層上に前記転写層との界面で剥離可能な剥離性フィルムを有する請求項1に記載の水圧転写用フィルム。
  6. 請求項1に記載の水圧転写フィルムを用いて、被転写体に前記転写層を水圧転写した後、前記硬化性樹脂層を活性エネルギー線照射により硬化させた硬化樹脂層を有する水圧転写体。
JP2004286626A 2003-09-30 2004-09-30 水圧転写用フィルム及び水圧転写体 Expired - Fee Related JP4020113B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004286626A JP4020113B2 (ja) 2003-09-30 2004-09-30 水圧転写用フィルム及び水圧転写体

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003340351 2003-09-30
JP2004286626A JP4020113B2 (ja) 2003-09-30 2004-09-30 水圧転写用フィルム及び水圧転写体

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2005125776A true JP2005125776A (ja) 2005-05-19
JP2005125776A5 JP2005125776A5 (ja) 2007-09-20
JP4020113B2 JP4020113B2 (ja) 2007-12-12

Family

ID=34655623

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004286626A Expired - Fee Related JP4020113B2 (ja) 2003-09-30 2004-09-30 水圧転写用フィルム及び水圧転写体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4020113B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007023577A1 (ja) * 2005-08-23 2007-03-01 Taica Corporation 水圧転写フィルム用塗布剤、水圧転写方法及び水圧転写品
US8850973B2 (en) 2009-04-30 2014-10-07 Taica Corporation Water pressure transfer method, a water pressure transfer article and a coating agent for water pressure transfer film
US9327546B2 (en) 2010-02-22 2016-05-03 Taica Corporation Matting activator for hydraulic transfer film, hydraulic transfer method, and hydraulic transfer product
CN108215555A (zh) * 2018-02-01 2018-06-29 柳州市万菱科技有限责任公司 一种用于水转印的活化剂

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007023577A1 (ja) * 2005-08-23 2007-03-01 Taica Corporation 水圧転写フィルム用塗布剤、水圧転写方法及び水圧転写品
WO2007023525A1 (ja) * 2005-08-23 2007-03-01 Taica Corporation 水圧転写フィルム用塗布剤、水圧転写方法及び水圧転写品
US8795789B2 (en) 2005-08-23 2014-08-05 Taica Corporation Coating agent for a water pressure transfer film, a water pressure transfer method and a water pressure transfer article
US8850973B2 (en) 2009-04-30 2014-10-07 Taica Corporation Water pressure transfer method, a water pressure transfer article and a coating agent for water pressure transfer film
US9327546B2 (en) 2010-02-22 2016-05-03 Taica Corporation Matting activator for hydraulic transfer film, hydraulic transfer method, and hydraulic transfer product
CN108215555A (zh) * 2018-02-01 2018-06-29 柳州市万菱科技有限责任公司 一种用于水转印的活化剂

Also Published As

Publication number Publication date
JP4020113B2 (ja) 2007-12-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3691030B2 (ja) 水圧転写用フィルム及びそれを用いた水圧転写体の製造方法
US20070042163A1 (en) Film for hydraulic transfer and hydraulically transferred body
JP4696492B2 (ja) 水圧転写用フィルムおよび水圧転写体
JP4437245B2 (ja) 水圧転写用フィルムおよび水圧転写体
JP4020113B2 (ja) 水圧転写用フィルム及び水圧転写体
JP2005246960A (ja) 水圧転写用フィルム及びそれを用いた水圧転写体
JP4277650B2 (ja) 水圧転写用フィルムおよび水圧転写体
JP2005132014A (ja) 水圧転写用活性化剤および水圧転写体の製造方法
JP2014159128A (ja) 熱転写フィルムの製造方法、及びそれを使用した加飾品の製造方法
JP2006159671A (ja) 水圧転写フィルム及び水圧転写体
JP4710570B2 (ja) 水圧転写フィルム及び水圧転写体
JP2006264126A (ja) 水圧転写フィルム及び水圧転写体
JP4275477B2 (ja) 硬化樹脂層を有する成形品の製造方法及び水圧転写装置
JP2005205659A (ja) 水圧転写用フィルムの製造方法、水圧転写用フィルムおよび水圧転写体
JP2006346884A (ja) 水圧転写フィルム及び水圧転写体
JP2005297429A (ja) 水圧転写用フィルムおよび水圧転写体
JP2007055244A (ja) 水圧転写用フィルム、水圧転写体の製造方法、及び水圧転写体
JP2006123392A (ja) 水圧転写フィルムの製造方法
JP4013787B2 (ja) 水圧転写用フィルム及び水圧転写体
JP2004291439A (ja) 水圧転写用フィルム及びそれを用いた水圧転写体の製造方法
JP2005059275A (ja) 水圧転写体の製造方法
JP2005262869A (ja) 水圧転写用フィルム及びそれを用いた水圧転写体
JP2006231605A (ja) 水圧転写用フィルム及び水圧転写体
JP2004284020A (ja) 水圧転写用フィルム及びそれを用いた水圧転写体の製造方法
JP2005178355A (ja) 水圧転写用フィルム及びそれを用いた水圧転写体

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20050912

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070808

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070808

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20070808

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070904

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070917

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101005

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20070829

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111005

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111005

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121005

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121005

Year of fee payment: 5

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121005

Year of fee payment: 5

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121005

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121005

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131005

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees