JP2005125314A - 磁気重力クロマトグラフィー - Google Patents

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Abstract

【課題】 入手、使用の比較的容易な超伝導磁石を用いて、各種混合物を、簡便に分離、精製、分別する方法及び装置を提供する。
【解決手段】 凹凸を繰り返す面上で、液体状又は固体状混合物を水平方向に働く磁気力と鉛直方向に働く重力の合力により各構成成分に分離する混合物の分離、精製、分別方法。凹凸を繰り返す面は、同一勾配の凹凸を繰り返す面、段階的に勾配の変化する凹凸を繰り返す面などである。さらに、凹凸を繰り返す面を有し、該面上で水平方向に働く磁気力と鉛直方向に働く重力の合力により混合物の分離、精製、分別を行う磁気重力クロマトグラフ装置。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気力および重力を利用した液体状又は固体状混合物の分離、精製、分別方法及び装置に関する。
一般に、有機物も無機物も、混合物として得られる。純粋な単一物質として、もしくは特定成分の純度を高めて、もしくは混合物を分別して有効に利用するために、様々な分離法が用いられている。このうち化学、化学工業、医薬品分野では、各種クロマトグラフィー、再結晶、蒸留、水蒸気蒸留等が広く用いられている。また、物理、機械工業、廃棄物処理、再利用分野では、粉砕、篩い分け、密度差を利用した分離等が行われている。これらの方法はそれぞれの特徴を有しているが、大きな設備と運転エネルギーを必要とし、維持管理、保守点検にも、多くの費用と時間を要する。
一方、近年、強力で大型の超伝導磁石が、比較的安価に、入手できるようになり、超伝導磁石の有効利用が望まれる(例えば、非特許文献1、新磁気科学の展開−モーゼ効果、増強モーゼ効果、磁気アルキメデス浮上−参照)。
廣田憲之、北澤宏一著、「現代化学」1999年5月号、p51
したがって本発明は、このような現状を踏まえて、入手、使用の比較的容易な超伝導磁石を用いて、各種混合物を簡便に分離、精製、分別することを目的とする。
本発明者は、弱磁性物質、即ち反磁性もしくは常磁性物質の強磁場中における挙動について検討する過程で、弱磁性物質といえども、液体状態では、強磁場中、とりわけ強い磁場勾配場(磁気力が一定の範囲において勾配をもって変化する磁場)においては、磁気力のために移動すること、磁気力の影響は、わずかながら、物質によって異なることを見出した。
強磁性物質は、微粉状でも、強い磁場および磁場勾配場において動くことが出来るが、弱磁性物質は、微粉状或いは結晶状態では、強い磁場もしくは磁場勾配場においても動くことは困難である。しかしながら、重力との組み合わせによって、移動すること、分離、分別が可能になる。また、場合によっては、加熱、融解して、もしくは、適当な溶媒に溶解することによって液体状態にした後、強い磁場もしくは磁場勾配場によって動かし、混合物を互いに分離し、その後、冷却もしくは溶媒を取り除くことによって、再度固体状態に戻すことができる。即ち、温度制御を利用して分離することができる。また、最初から液体状態の混合物質もしくは適当な溶媒を用いた溶液であれば、強い磁場および磁場勾配場によって動かし、混合物を互いに分離することができる。
水平面上では、非磁性物質といえども、強い磁場および磁場勾配場において動かされるが、そのままでは、一定方向に動き続けるので、混合物を分離することは出来ない。そこで、滑らかな、しかも、一定勾配の斜面上を動かすことが有効であることが分かった。水平方向に磁気力を受け、且つ、一定勾配の斜面上にある液体は、水平方向に受ける磁気力の大きさと、鉛直方向に受ける重力の合力によって、滑らかな斜面を遡ることが可能であるか否かは、その物質の受ける磁気力の大きさによって決まってくる。磁気力を大きく受ける物質は、斜面の勾配に逆らって、即ち、鉛直方向に働く重力に逆らって、斜面を登ることが出来、磁場および磁場勾配場に対して感受性の小さな物質は、斜面を登ることが出来ずに、斜面の下に留まる。斜面を登ったところで、今度は下りの斜面を作っておけば、三角形の斜面の両側に、2種類の物質が分離されることになる。
実際には、一度の斜面の上下のみによって混合物を分離することは困難であり、磁場および磁場勾配場による力を大きく受ける物質の一部が斜面を越えて反対側に達すると同時に、他の一部は斜面を越えることが出来ずに、手前に留まる。また、磁場および磁場勾配場に対して感受性の小さな物質も、大半は斜面の手前に留まるとはいえ、一部は磁場および磁場勾配場による力を大きく受ける物質に引きずられて、斜面の反対側に達する。従って、凹凸を繰り返す面上において、このような斜面の上り下りを繰り返すことによって、次第に分離が進行し、より高純度の物質が得られるようになる。これは、広く行われている各種クロマトグラフィーの原理と同様であり、この分離方法は磁気重力クロマトグラフィーと呼ぶことができる。各斜面での分離の度合いは、通常のクロマトグラフィーの分配係数に相当する。
凹凸の繰り返しには、大きく分けて2通りの方法が考えられる。第1の方法は、同一勾配の凹凸を繰り返し用いる方法であり、第2の方法は、一段ごとに勾配が変化する方法である。
第1の方法を用いれば、通常のクロマトグラフィーと同様の考え方によって、段数が多くなるに従って次第に分離効率がよくなる。しかしながら、同一勾配をどのような傾斜角にするかは、分離する物質によって異なり、また後述するように、凹凸を繰り返す面を構成する物質の材質によっても異なる。したがって、分離する夫々の液体に合わせて傾斜角度の異なる一定勾配を有する凹凸を作るか、もしくは、凹凸を繰り返す面全体を傾斜させることによって、傾斜角度を、分離する物質に応じて変化させることが必要である。
また、第2の方法を用いれば、各段毎に、それぞれの傾斜勾配を有する斜面を遡ることが可能であるか否かによって、混合物の分離が行われることになり、分離効率が一層高まることもある。
更に、第2の方法を用いて、各段毎にそれぞれの傾斜勾配を有する斜面を、磁気力のもっとも大きな地点を中心に双方向に設置すれば、常磁性物質は磁場の中心方向に引き寄せられ、一方、反磁性物質は磁場中心から遠ざかる方向に動かされるから、常磁性物質と反磁性物質の混合物を、反対方向に分離することが出来る。
ここで傾斜勾配とは上記の傾斜角度と同義で、水平面に対する凹凸の谷から次の頂を結ぶ面の角度のことをいう。
更に、凹凸を繰り返す面を構成する物質の材質も、磁気分離に大きな影響を与えることが明らかとなった。凹凸を繰り返す面を構成する物質と、その上に載っている、分離される物質との間には、常に界面張力が働いているから、その界面張力の大きさによって、磁気力によって動かされる力、斜面をさかのぼる程度が異なる。界面張力の大きさは、凹凸を繰り返す面を構成する物質の材質と分離される物体との組み合わせによって異なる。主として磁気力と重力との合力によって凹凸を繰り返す面を遡るか否かを決定し、界面張力の影響を極力小さくして、分離の制御を簡単にするためには、一般的には、疎水性液体を分離するときには、疎水性表面を有する物質を用いて斜面を作ることが望ましく、水溶液を分離するときには、親水性表面を有する物質を用いて斜面を作ることが望ましい。固体、粉体をそのまま分離するときにも、凹凸を繰り返す面を構成する物質の材質が大きく影響する場合もある。
以上、磁気重力クロマトグラフィーに影響する主な条件は、磁気力の大きさ、温度制御又は溶媒もしくは液体の粘度又は微粉状物体の粒径や密度、凹凸の勾配、凹凸を繰り返す面を構成する物質の表面物性、の4つであると考えられる。
本発明はこれらの知見に基づき検討を重ね、なされたものである。
すなわち、本発明は、
(1)凹凸(谷部と頂部をいう。以下同様。)を繰り返す面上で、液体状又は固体状混合物を水平方向に働く磁気力と鉛直方向に働く重力の合力により各構成成分に分離することを特徴とする混合物の分離、精製、分別方法、
(2)前記液体状又は固体状混合物が有機物又は無機物からなることを特徴とする(1)項記載の方法、
(3)同一勾配の凹凸を繰り返す面を有し、該面上で(1)項記載の方法により混合物の分離、精製、分別が行われることを特徴とする磁気重力クロマトグラフ装置、
(4)段階的に勾配の変化する凹凸を繰り返す面を有し、該面上で(1)項記載の方法により混合物の分離、精製、分別が行われることを特徴とする磁気重力クロマトグラフ装置、及び、
(5)段階的に勾配の変化する凹凸を繰り返しの2組を中央部の谷を挟んで水平方向に逆向きで設けた面を有してなり、前記2組の凹凸の繰り返しはそれぞれ該中央部の谷から遠くなる程勾配が急になるように凹凸の勾配を変化させて配設してなり、該面上で請求項1記載の方法により混合物の分離、精製、分別が行われることを特徴とする磁気重力クロマトグラフ装置
を提供するものである。
本発明の方法及び装置によって、液体状又は固体状の各種混合物を構成成分である有機物又は無機物に、容易に分離、精製、分別することができる。ここでは、強力な磁気力を用いる以外は、普遍的に存在する重力、及び、混合物と面との間に働く界面張力を用いるのみであるので、物質本来の性質をなんら損なうことなく、不安定な物質も容易に分離することができる。
本発明の一つの実施態様は、凹凸を繰り返す面上で、液体状又は固体状混合物を水平方向に働く磁気力と鉛直方向に働く重力の合力により各構成成分に分離する混合物の分離、精製、分別方法である。
本発明においては、液体状又は固体状混合物の各構成成分への分離に磁気力を利用する。そのための磁場の発生源としては、例えば、市販のヘリウムフリーの超伝導マグネットを用いることができる。磁場の発生源としては、水平方向に一定磁場および磁場勾配がかかる、或いは、一定磁場および磁場勾配の大きさを制御できるヘリウムフリーの超伝導マグネットもしくは強力な永久磁石を用いることが好ましい。
また、本発明において、磁場の強さは、0.1〜15テスラ(T)程度が好ましく、1〜12テスラ(T)がさらに好ましい。
また、本発明において、磁場勾配は、0〜±100(T・m−1)が好ましく、±20〜±100(T・m−1)がさらに好ましい。
本発明の別の実施形態は、同一勾配の凹凸を繰り返す面を有し、該面上で液体状又は固体状混合物を水平方向に働く磁気力と鉛直方向に働く重力の合力により各構成成分に分離、精製、分別を行う磁気重力クロマトグラフ装置である。
また、本発明の別の実施形態は、段階的に勾配の変化する凹凸を繰り返す面を有し、該面上で液体状又は固体状混合物を水平方向に働く磁気力と鉛直方向に働く重力の合力により各構成成分に分離、精製、分別を行う磁気重力クロマトグラフ装置である。
また、本発明のさらに別の実施形態は、段階的に勾配の変化する凹凸を繰り返しの2組を中央部の谷を挟んで水平方向に逆向きで設けた面を有してなり、前記2組の凹凸の繰り返しはそれぞれ該中央部の谷から遠くなるに従い勾配が急になるように凹凸の勾配を変化させて配設してなり、該面上で液体状又は固体状混合物を水平方向に働く磁気力と鉛直方向に働く重力の合力により各構成成分に分離、精製、分別を行う磁気重力クロマトグラフ装置である。
本発明においては、例えば、磁場発生源として市販の10テスラの超伝導マグネットを用いる場合、磁場中心から100mmはなれた地点で、磁場の強さと磁場勾配の積が最大となるので、その場所に、本発明に係る磁気重力クロマトグラフ装置を設置し、分離したい混合物を凹凸を繰り返す面の最初の谷の部分、もしくは凹凸を繰り返す面を双方向に有する中心部の谷の部分に入れてクロマトグラフィーを行う。
凹凸を繰り返す面以外の装置全体は、磁場の影響を受けないために、銅もしくは、他の非磁性物質で出来ていることが望ましい。
また、凹凸を繰り返す面を構成する物質としては、滑らかな面を形成できるものであれば特に限定されるものではないが、実用的な面からは、以下の物質が好ましい。
ガラス(GL)、
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、
ポリ塩化ビニル(PVC)、
ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリエチレン(PE)、
ポリプロピレン(PP)、
ポリアミド(商品名:ナイロン(Ny)、親水性ポリマー)、
再生セルロース(セロハン(Cell)、親水性ポリマー)、
ポリカーボネート(PC)、
銅、又は、
アルミニウム。
本発明のさらに別の実施態様は、凹凸を繰り返す面上で、液体状又は固体状混合物から水平方向に働く磁気力と鉛直方向に働く重力の合力により分離、精製、分別された有機物又は無機物である。
液体状の混合物の場合、混合物を、凹凸を繰り返す面に設置後、磁場をかけることによって、液体状の混合物は、磁場および磁場勾配によって滑らかな斜面を次々と上り下りして、次第に分離され、液体のまま、各成分である有機物又は無機物に分離される。しかしながら実際には、分離される前に、液液相分離が起こっているものと思われる。固体状の混合物の場合には、各成分の密度、粒径、磁化率の違いによって、各成分に分離、分別される。典型的な固体状の混合物は、粉体の混合物である。
本発明のさらに別の実施態様は、含有(溶存)金属イオンの種類の異なる2種類以上の水溶液と有機液体とが混合、乳化、分散した液体を凹凸を繰り返す面上で、水平方向に働く磁気力と鉛直方向に働く重力の合力により分離、精製、分別された複数の水溶液及び有機液体である。
例えば、塩化マンガン水溶液の液滴と硫酸銅水溶液の液滴とでは、同一の粒径の液滴で、同一の磁場勾配の位置においても、その及ぼされる磁気力の大きさは大きく異なる。したがって、液体パラフィン中に乳化分散した系においては、塩化マンガンを含む液滴のみが磁場中心方向に集められ、硫酸銅を含む液滴はほとんど動くことなく、液体パラフィンは、磁場中心から遠ざか方向へ動き、3者は容易に分離される。このような、分離、精製、分別はこれらの組み合わせに限られない。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
実施例1
水循環式温度制御装置と、耐熱ホースで連結した温度制御容器を試作した。温度制御容器は、外壁が直径98mm、長さ200mmのポリ塩化ビニルで作られた円筒型容器で、その中に、発泡ポリスチロールの断熱材で保護された銅製の水循環用パイプ及び試料台が組み込まれている。銅製試料台の部分(平面図(a)、断面図(b)及び側面図(c))を図1に示す。なお、図1中に記載された長さを示す数値の単位はmmである。
図1に示す試料台の凹凸部1の上に、図2に示す試料皿を載せる。図2(a)は平面図、図2(b)は断面図である。用いた試料皿は、厚さ0.3mmのナイロン66製で、最初の谷2から一定勾配の滑らかな上り下り3回繰り返し、頂6〜8を経て最後の谷5に達する凹凸を繰り返す面を形成している。この試料皿は別途作成したステンレス製の型を用いて電気炉中でナイロン66フィルムを加熱、融解、冷却して作成したものである。試料皿を、試料台に密着するようにプラスチック製のねじ4個で固定して磁気重力クロマトグラフ装置を作成し、円筒型容器中に設置した。円筒型容器内の端の部分には予め銅版が入れてあり、試料台は一定角度で傾斜するようになっている。即ち、試料皿の一定勾配は、実際には遥かに小さな勾配になっている。円筒型容器全体は水平に保った。
試料皿の最初の谷2の部分にベンゾフェノンの結晶100mg及びn−ドコサンの結晶100mgを載せ、温度制御装置を作動させて、試料台を70℃一定に保った。ベンゾフェノンとn−ドコサンは完全に融解し、互いに混合して、均一な溶液となった。試料部分を銅製のふた、更に断熱材及びポリ塩化ビニルのふたで覆い、円筒型容器全体を、水平に保ったまま、水平方向に固定されたヘリウムフリー超伝導磁石のボア中に挿入した。このとき、まだ、超伝導磁石は作動しておらず、磁場はかかっていない。ヘリウムフリー超伝導磁石のボアは、内径100mmで、円筒型容器は丁度その中に入るように設計されている。磁場の中心より100mm手前に試料の中心が来るように試料容器の位置を固定した。この位置で、磁場の強さと磁場勾配の大きさの積の値で決められる磁気力が、それぞれの物質について、最大となる。
ボア中で70℃に保ったまま磁場の上昇を開始し、3時間後に磁場中心が10.0テスラに達した後は、そのまま一定に保った。温度は、その後、分速0.5℃で0℃まで下げ、3時間一定に保った後、25℃室温まで昇温した。その後、ボア中より円筒型容器を取り出し、クロマトグラフ装置を取り出すと、試料皿の最初の谷2、第2の谷3、第3の谷4の3つにほぼ同じ量ずつ分かれて、それぞれに結晶が付着していた。それぞれの谷の部分の結晶を示差走査熱量計を用いて分析したところ、試料皿の最初の谷2の試料中にはベンゾフェノン64%及びn−ドコサン36%が、第2の谷3の試料中にはベンゾフェノン55%及びn−ドコサン45%が、第3の谷4の試料中にはベンゾフェノン4%及びn−ドコサン96%がそれぞれ含まれていた。
この結果は以下のことを示している。即ち、ベンゾフェノン、n−ドコサン共に、融解状態では完全に混合しているが、それにもかかわらず別個の大きさの磁気力を受ける。冷却過程において、未だ両物質共に液体であるにも関わらず、液液相分離が起こって、混合比の異なる2相の液体となる。磁気力に押されて、重力に逆らって、それぞれ滑らかな斜面を遡るが、磁気力に押される力は、ベンゾフェノンを多く含む液体よりもn−ドコサンを多く含む液体のほうが大きいので、n−ドコサンを多く含む液体のほうがより多く、最初の6を乗り越え、第2の谷3に達する。更に、第2の谷3から、第2の7を乗り越えて、第3の谷4に達する割合は、n−ドコサンのほうがさらに多くなる。その結果、両者共に液体であるにも関わらず、分離した状態でそれぞれの谷に留まる。その後、温度低下によって最初にn−ドコサンが、次いでベンゾフェノンも結晶化し、ナイロン66膜の表面に付着したものである。表面付着力は両者共に強いので、磁場の外に室温で取り出した後も、付着した状態がそのまま保たれていたものである。
また、試料台を、図3に示すような段階的に勾配の変化する凹凸を繰り返すものに代え、同様に混合物のクロマトグラフィーを行ったところ、ベンゾフェノンとn−ドコサンの完全混合物は、8段の夫々の谷の部分に、濃度および量の異なる状態で分配された。反磁性の小さなベンゾフェノンは、最初の谷に68.2%が残留し、2〜7番目の谷には夫々数%ずつ分布し、8番目の谷は11.9%が到達した。それに対して、反磁性の大きなn−ドコサンは、最初の谷に23.8%が残留したのに対して、8番目の谷には35.1%が到達した。また、2〜7番目の谷には夫々数%ずつ分布した。このようにして、極めて簡単な操作で、ベンゾフェノンとn−ドコサンの完全混合物は、ベンゾフェノンの濃厚な成分と、n−ドコサンの濃厚な成分に分離することが出来た。なお、図3(a)はここで用いた試料台の平面図、図3(b)は断面図、図3(c)は側面図である。
更に、試料台を、図4に示すような段階的に勾配の変化する凹凸を繰り返しの2組を中央部の谷を挟んで水平方向に逆向きで設けた面を有してなり、2組の凹凸の繰り返しはそれぞれ中央部の谷から遠くなるに従い勾配が急になるように凹凸の勾配を変化させて配設してなるものに代え、試料台の凹凸に合わせた型により図2に示す試料皿と同様に作製した試料皿を、試料台に密着するように固定した。この試料皿の中心部の谷に反磁性物質の混合物を載せ、中心部をもっとも磁気力の強くかかる磁場中に置くことによって、反磁性物質と常磁性物質を双方向に分離することが出来た。なお、図4(a)はここで用いた試料台の平面図、図4(b)は断面図、図4(c)は側面図である。
本発明は、多くの工業分野で用いることができる。例えば、化学工業、塗料、食品、医薬品、化粧品等の分野では、乳化、分散していて、通常の方法では分離、精製、分別が困難な、有機物、無機物、水、有機溶剤の混合系の分離に用いることができる。また、金属廃棄物を再利用する分野では、予めシュレッダー等を用いて、粉砕して、金属粉にした後、たとえばアルミニウムと銅の粉末を容易に分けることができる。さらに、核燃料再処理工程においては、燃料棒を裁断した後、核燃料と、被覆金属とを容易に分離、分別することができる。これらの例は、いずれも従来の方法では、分離、精製、分別が極めて困難であるものであった。さらに、本発明の適用分野は、これ等にとどまるものではない。
実施例1で用いた、同一勾配の凹凸を繰り返す試料台の平面図(a)、断面図(b)及び側面図(c)である。 実施例1で用いた、試料皿の平面図(a)及び断面図(b)である。 段階的に勾配の変化する凹凸を繰り返す試料台の平面図(a)、断面図(b)及び側面図(c)である。 段階的に勾配の変化する凹凸を繰り返す面を双方向に有する試料台の平面図(a)、断面図(b)、及び側面図(c)である。
符号の説明
1 凹凸部
2 最初の谷
3 第2の谷
4 第3の谷
5 最後の谷
6 最初の頂
7 第2の頂
8 第3の頂

Claims (5)

  1. 凹凸を繰り返す面上で、液体状又は固体状混合物を水平方向に働く磁気力と鉛直方向に働く重力の合力により各構成成分に分離することを特徴とする混合物の分離、精製、分別方法。
  2. 前記液体状又は固体状混合物が有機物又は無機物からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 同一勾配の凹凸を繰り返す面を有し、該面上で請求項1記載の方法により混合物の分離、精製、分別が行われることを特徴とする磁気重力クロマトグラフ装置。
  4. 段階的に勾配の変化する凹凸を繰り返す面を有し、該面上で請求項1記載の方法により混合物の分離、精製、分別が行われることを特徴とする磁気重力クロマトグラフ装置。
  5. 段階的に勾配の変化する凹凸を繰り返しの2組を中央部の谷を挟んで水平方向に逆向きで設けた面を有してなり、前記2組の凹凸の繰り返しはそれぞれ該中央部の谷から遠くなる程勾配が急になるように凹凸の勾配を変化させて配設してなり、該面上で請求項1記載の方法により混合物の分離、精製、分別が行われることを特徴とする磁気重力クロマトグラフ装置。
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