JP2005123173A - プラズマディスプレイパネルとその製造方法およびその保護層用材料 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルとその製造方法およびその保護層用材料 Download PDF

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Abstract

【課題】放電特性が良好かつ安定で、画像の表示特性が優れたプラズマディスプレイパネルを実現することを目的とするものである。
【解決手段】基板(前面ガラス基板2)上に形成した走査電極3および維持電極4を覆うように誘電体層5を形成し、この誘電体層5上に保護層6を形成したプラズマディスプレイパネルにおいて、保護層6が炭化マグネシウムを含むプラズマディスプレイパネルである。また、保護層6が、炭化マグネシウムを50重量ppm〜7000重量ppm含む酸化マグネシウムである。さらに、炭化マグネシウムが、MgC、MgあるいはMgである。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示デバイスとして用いられているプラズマディスプレイパネルに関するものである。
近年、ハイビジョンをはじめとする高品位で大画面のテレビに対する期待が高まっている中、CRT、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等の各種ディスプレイデバイスの開発が進められている。
ここで、PDPは、いわゆる3原色(赤、緑、青)を加法混色することにより、フルカラー表示を行うものであり、3原色の各色である、赤(R)、緑(G)、青(B)を発光する蛍光体層を備えており、PDPの放電セル内において発生する放電により生じる紫外線により励起することで、各色の可視光を発生させ、画像表示を行う。
一般に交流型のPDPでは、主放電のための電極を誘電体層で被覆し、メモリー駆動を行うことにより、駆動電圧を低下させている。ところが、放電で生じるイオン衝撃によって誘電体層が変質すると、駆動電圧が上昇してしまうという問題が生じる場合がある。そのため、誘電体層を保護する保護層を誘電体層の表面に形成するということが行われている。一般にこの保護層には酸化マグネシウム(MgO)をはじめとする、耐スパッタ性が高い物質が用いられている(例えば、非特許文献1参照)。
内池平樹、御子柴茂生共著、「プラズマディスプレイのすべて」、(株)工業調査会 1997年5月1日 刊、p79−p80
以上のような構成のPDPにおいては、以下のような課題が発生する場合がある。
すなわち、PDPでは、放電セル内で放電を発生させるために、電極に対して駆動電圧であるパルスを印加する。この際、パルスの立ち上がりからある時間だけ遅れて放電が発生するという「放電遅れ」が存在し、駆動条件によってはこの放電遅れにより、パルスが印加されている間に放電が終了する確率が低くなり、本来点灯すべき放電セルにデータの書き込みができずに点灯不良が生じ、表示品質が悪くなる場合が発生した。
ここで、上記の放電遅れが生じる主要な要因として、放電が開始される際にトリガーとなる初期電子が、保護層から放電空間中に放出されにくくなっていることが考えられる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、画像の表示特性が優れたプラズマディスプレイパネルを実現することを目的とするものである。
上記目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイパネルは、基板上に形成した走査電極および維持電極を覆うように誘電体層を形成し、この誘電体層上に保護層を形成したプラズマディスプレイパネルにおいて、保護層が炭化マグネシウムを含むことを特徴とするものである。
また、上記目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、基板上に形成した走査電極および維持電極を覆うように誘電体層を形成し、この誘電体層上に保護層を形成したプラズマディスプレイパネルの製造方法において、保護層は、炭化マグネシウムを含む保護層用材料を用いて成膜することで形成することを特徴とするものである。
また、上記目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイパネルの保護層用材料は、基板上に形成した走査電極および維持電極を覆うように誘電体層を形成し、この誘電体層上に保護層を形成したプラズマディスプレイパネルの保護層用材料であって、保護層用材料は炭化マグネシウムを含むことを特徴とするものである。
本発明のプラズマディスプレイパネルは、放電特性を良好かつ安定なものとすることができ、その結果、画像の表示特性を優れたものとすることができる。
すなわち本発明の請求項1に記載の発明は、基板上に形成した走査電極および維持電極を覆うように誘電体層を形成し、この誘電体層上に保護層を形成したプラズマディスプレイパネルにおいて、保護層が炭化マグネシウムを含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、保護層が、炭化マグネシウムを50重量ppm〜7000重量ppm含む酸化マグネシウムであることを特徴とする。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1記載の発明において、炭化マグネシウムが、MgC、MgあるいはMgの少なくとも1つであることを特徴とする。
また、請求項4に記載の発明は、基板上に形成した走査電極および維持電極を覆うように誘電体層を形成し、この誘電体層上に保護層を形成したプラズマディスプレイパネルの製造方法において、保護層は、炭化マグネシウムを含む保護層用材料を用いて成膜することで形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、保護層用材料は、炭化マグネシウムを50重量ppm〜7000重量ppm含む酸化マグネシウムであることを特徴とする。
また、請求項6に記載の発明は、請求項4記載の発明において、炭化マグネシウムが、MgC、MgあるいはMgの少なくとも1つであることを特徴とする。
また、請求項7に記載の発明は、基板上に形成した走査電極および維持電極を覆うように誘電体層を形成し、この誘電体層上に保護層を形成したプラズマディスプレイパネルの保護層用材料であって、保護層用材料は炭化マグネシウムを含むことを特徴とするプラズマディスプレイパネルの保護層用材料である。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、保護層用材料は、炭化マグネシウムを50重量ppm〜7000重量ppm含む酸化マグネシウムであることを特徴とする。
また、請求項9に記載の発明は、請求項7記載の発明において、炭化マグネシウムが、MgC、MgあるいはMgの少なくとも1つであることを特徴とする。
以下、本発明の一実施の形態のプラズマディスプレイパネル(PDP)について、図面を参照しながら説明する。
図1は、交流面放電型のプラズマディスプレイパネル(PDP)101の概略構成を示す部分断面斜視図である。図2はPDP101の断面図である。
前面パネル1では、1対のストライプ状の走査電極3とストライプ状の維持電極4とは1つの表示電極を形成する。複数対の走査電極3と維持電極4、すなわち複数の表示電極が前面ガラス基板2の表面2A上に配設される。走査電極3と維持電極4との上を覆う誘電体層5が形成され、誘電体層5上を覆う保護層6が形成されている。
背面パネル7では、ストライプ状のアドレス電極9が、走査電極3および維持電極4に対して直角に背面ガラス基板8の表面8A上に配されている。アドレス電極9を覆う電極保護層10はアドレス電極9を保護し、可視光を前面パネル1の方向に反射する。電極保護層10上には、アドレス電極9と同じ方向に伸延し、アドレス電極9を挟むようにして隔壁11が設けられ、隔壁11間には蛍光体層12が設けられている。
前面ガラス基板2と背面ガラス基板8とは、間に放電空間13を形成するように対向して配置されている。放電空間13には、放電ガスとして、例えば希ガスであるネオン(Ne)およびキセノン(Xe)の混合ガスが66500Pa(500Torr)程度の圧力で封入されており、隔壁11によって仕切られた、アドレス電極9と走査電極3および維持電極4の交差する部分が単位発光領域である放電セル14として動作する。保護層6との間に放電空間13を形成するように保護層6から所定の距離だけ離れて背面ガラス基板8が配置されている。
PDP101では、アドレス電極9、走査電極3および維持電極4に駆動電圧を印加することにより放電セル14において放電を発生させ、この放電によって生じる紫外線が蛍光体層12に照射され可視光に変換されることにより画像が表示される。
図3は、PDP101とPDP101を駆動する駆動回路とを備えた画像表示装置の概略構成を示すブロック図である。PDP101のアドレス電極9にはアドレス電極駆動部21が接続され、走査電極3には走査電極駆動部22が接続され、そして、維持電極4には維持電極駆動部23が接続されている。
交流面放電型のPDP101を用いた画像表示装置を駆動するために、一般に、1フレームの映像を複数のサブフィールドに分割することによってPDP101に階調を表現させる。この方式では放電セル14中の放電を制御するために1つのサブフィールドがさらに4つの期間に分割される。図4に、1サブフィールド中の駆動波形のタイムチャートの一例を示す。
図4は図3に示す画像表示装置の駆動波形を示すタイムチャートであり、1つのサブフィールドで電極3、4、9に印加される電圧の波形を示す。セットアップ期間31では放電を生じやすくするために、走査電極3に初期化パルス51を印加してPDP101の全放電セル14内に壁電荷を蓄積させる。アドレス期間32では、点灯させる放電セル14に対応するアドレス電極9と走査電極にデータパルス52と走査パルス53をそれぞれ印加し、点灯させる放電セル14で放電を発生させる。サステイン期間33では、全ての走査電極3と維持電極4とに維持パルス54、55をそれぞれ印加して、アドレス期間32で放電が発生した放電セル14を点灯させ、その点灯を維持させる。イレース期間34では、維持電極4に消去パルス56を印加して、放電セル14内に蓄積した壁電荷を消去して放電セル14の点灯を停止させる。
セットアップ期間31で、走査電極3がアドレス電極9および維持電極4の双方に対して高電位となるように走査電極3に初期化パルス51を印加することにより放電セル14で放電を発生させる。放電によって発生した電荷はアドレス電極9、走査電極3および維持電極4間の電位差を打ち消すように放電セル14の壁面に蓄積される。その結果、走査電極3付近の保護層6の表面には負の電荷が壁電荷として蓄積され、アドレス電極9付近の蛍光体層12の表面、および維持電極4付近の保護層6の表面には、正の電荷が壁電荷として蓄積される。これらの壁電荷により走査電極3とアドレス電極9との間、および走査電極3と維持電極4との間には所定の壁電位が生じる。
アドレス期間32では、走査電極3が維持電極4に対して低電位となるように走査電極3に順番に走査パルス53を印加するとともに、点灯させる放電セル14に対応するアドレス電極9にデータパルス52を印加する。このとき、アドレス電極9が走査電極3に対して高電位となるようにする。即ち、走査電極3とアドレス電極9との間に壁電位と同方向に電圧を印加すると共に、走査電極3と維持電極4との間にも壁電位と同方向に電圧を印加することにより、放電セル14に書き込み放電を生じさせる。その結果、蛍光体層12の表面および維持電極4付近の保護層6の表面には負の電荷が壁電荷として蓄積され、走査電極3付近の保護層6の表面には正の電荷が壁電荷として蓄積される。これにより維持電極4と走査電極3との間には、所定の値の壁電位が生じる。
走査電極3とアドレス電極9とに走査パルス53とデータパルス52とをそれぞれ印加してから放電遅れ時間だけ書き込み放電が生じるのが遅れる。放電遅れ時間が長くなると、走査電極3とアドレス電極9とにそれぞれ走査パルス53とデータパルス52とを印加している時間(アドレス時間)に書き込み放電が起こらない場合がある。書き込み放電の起こらなかった放電セル14では、走査電極3と維持電極4に維持パルス54、55を印加しても放電が起こらずに蛍光体12が発光せず、画像表示に悪影響を与える。PDP101が高精細になると走査電極3に割り当てられるアドレス時間が短くなるので、書き込み放電の起こらない確率が高くなる。また、放電ガス中のXeの分圧を5%以上と高くすると、書き込み放電の起こらない確率は高まる。また、隔壁11を図1に示すストライプ構造ではなく、放電セル14の周囲を囲む井桁構造とすることで内部の不純物ガスの残存が多くなる場合にも、書き込み放電の起こらない確率は高まる。
また、サステイン期間33において、まず走査電極3が維持電極4に対して高電位となるように走査電極3に維持パルス54を印加する。即ち、維持電極4と走査電極3との間に壁電位と同方向に電圧を印加することにより、維持放電を生じさせる。その結果、放電セル14の点灯を開始できる。維持電極4と走査電極3との極性が交互に入れ替わるように維持パルス54、55を印加することで、放電セル14内で断続的にパルス発光させることができる。
イレース期間34では、幅の狭い消去パルス56を維持電極4に印加することで不完全な放電を発生させ、これにより壁電荷を消滅させる。
実施の形態のPDP101における保護層6について説明する。
保護層6は、MgC、Mg、Mgのような炭化マグネシウムを含む酸化マグネシウム(MgO)である材料よりなる。保護層6は、MgOとMgC、Mg、Mgのような炭化マグネシウムとを含む蒸発源を、例えば酸素雰囲気中でピアス式電子ビームガンを加熱源として加熱して誘電体層5上に蒸着させて形成できる。
PDP101は以上述べたような保護層6を備えており、以下の理由により保護層6により、アドレス期間32での書き込み放電が発生しないというミスが抑制されると考えられる。
真空蒸着法(EB法)によって形成したMgOにより従来の保護層は99.99%程度の高純度のMgOを含み、電気陰性度は低くイオン性は大きい。よって、その表面のMgイオンは不安定な(エネルギーの高い)状態にあり、水酸基(OH基)を吸着することで安定化した状態となっている(例えば、色材、69(9)、1996、pp623−631参照)。カソードルミネッセンス測定によると、多くの酸素欠陥によるカソードルミネッセンスのピークが現れており、従来の保護層は欠陥が多く、これらの欠陥はHOやCOあるいは炭化水素(CH)当の不純物ガスを吸着する(例えば、電気学会放電研究会資料、EP−98−202、1988、pp21参照)。
放電遅れが生じる主要な要因として、放電が開始される際にトリガーとなる初期電子が、保護層から放電空間中に放出されにくくなっていることが考えられる。
MgOによる保護層6に、例えば、MgC、Mg、Mgのような炭化マグネシウムを添加することで、MgO結晶中の酸素欠陥の分布状態が変化し、その結果、書き込みミスの発生が抑制されるものと考えられる。
保護層6の形成の際には、電子ビーム電流の量、酸素分圧、基板2の温度等の条件は保護層6の組成には大きく影響しないので任意に設定できる。例えば、真空度が5.0×10−4Pa以下、基板2の温度が200℃以上、蒸着圧力が3.0×10−2〜8.0×10−2Paに設定する。
保護層6の形成方法も上述の蒸着に限らず、スパッタ法、イオンプレーティング法でもよい。スパッタ法では、例えば、MgC、Mg、Mgのような炭化マグネシウムを含むMgO粉末を空気中で焼結させて形成したターゲットを用いてもよい。イオンプレーティング法では、蒸着法における上記の蒸発源を用いることができる。
MgOと、MgC、Mg、Mgのような炭化マグネシウムは予め材料の段階で混合する必要はない。これらの元素による個別のターゲットや蒸発源を準備し、材料が蒸発した状態で混合されて保護層6を形成してもよい。
保護層6の炭化マグネシウムの濃度は50重量ppm〜7000重量ppmであることが好ましい。
次に、実施の形態によるPDP101の製造方法について以下に述べる。まず、前面パネル1の製造方法を説明する。
前面ガラス基板2上に走査電極3と維持電極4を形成し、走査電極3と維持電極4の上を鉛系の誘電体層5で覆う。誘電体層5の表面に、MgOと、MgC、Mg、Mgのような炭化マグネシウムとを含む保護層6を形成することによって前面パネル1を作製する。
実施の形態によるPDP101では、走査電極3、維持電極4は、例えば透明導電膜と透明導電膜上に形成されているバス電極である銀電極よりなる。透明導電膜をフォトリソグラフィー法で電極のストライプ形状に形成後、その上にフォトリソグラフィー法によって銀電極を形成してこれらを焼成する。
鉛系の誘電体層5の組成は、例えば、酸化鉛(PbO)75重量%、酸化硼素(B)15重量%、酸化硅素(SiO)10重量%であり、誘電体層5は、例えばスクリーン印刷法と焼成によって形成する。
保護層6は、真空蒸着法、スパッタリング法、あるいは、イオンプレーティング法を用いて形成する。
保護層6をスパッタリング法で形成する場合、MgOに50重量ppm〜7000重量ppmのMgC、Mg、Mgのような炭化マグネシウムを添加したターゲットを用いて、スパッタガスであるArガスと反応ガスである酸素ガス(Oガス)とを用いて保護層6を作成する。スパッタを行う際に、所定の温度(200℃〜400℃)にガラス基板2を加熱するとともに、Arガス、必要に応じてOガスをスパッタ装置に導入しながら排気装置を用いて圧力を0.1Pa〜10Paに減圧して保護層6を形成できる。また、添加を促進するために、スパッタを行うと同時にバイアス電源で−100V〜150Vの電位をガラス基板2に印加しながらターゲットをスパッタして保護層6を形成すると特性はさらに向上する。なお、MgO中への添加物の量はターゲットに入れる添加物の量とスパッタ用の放電を発生させる際の高周波電力でコントロールする。
保護層6を真空蒸着法にて形成する場合は、ガラス基板2を200℃〜400℃に加熱し、排気装置を用いて蒸着室内を3×10−4Paに減圧し、MgOや添加する物質とを蒸発させるための電子ビームやホローカソードの蒸発源を必要に応じた数だけ設置し、酸素ガス(Oガス)を反応ガスとして使用してこれらの材料を誘電体層6上に蒸着させる。実施の形態においては、誘電体層5上にOガスを蒸着装置に導入しながら、排気装置を用いて蒸着室内の圧力を0.01Pa〜1.0Paに減圧し、電子ビームやホローカソード蒸発源で50重量ppm〜7000重量ppmのMgC、Mg、Mgのような炭化マグネシウムが添加されたMgOを蒸発させて保護層6を形成する。
次に背面パネル7の製造方法を説明する。
背面ガラス基板8上に、銀ベースのペーストをスクリーン印刷し、その後焼成してアドレス電極9を形成する。アドレス電極9上に、前面パネル1と同様に、スクリーン印刷法と焼成によって電極を保護する鉛系の誘電体層18を形成する。そして、ガラス製の隔壁11を所定のピッチで配置して固着する。そして、隔壁11に挟まれた各空間内に、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体の中の1つを配設することで蛍光体層12を形成する。なお、1つの放電セル14を囲むように隔壁を井桁構造とする場合には、図1に示す隔壁11と直角に別の隔壁を形成する。
各色の蛍光体としては、一般的にPDPに用いられている蛍光体を用いることができ、例えば下記のような組成である。
赤色蛍光体:(YGd1−x)BO:Eu
緑色蛍光体:ZnSiO:Mn、(Y、Gd)BO:Tb
青色蛍光体:BaMgAl1017:Eu
次に、以上のようにして作製した前面パネル1と背面パネル7とを封着用ガラスを用いて走査電極3および維持電極4とアドレス電極9とが直角になるように対向させた状態で貼り合わせて封着する。その後、隔壁11で仕切られた放電空間13内を高真空(例えば、3×10−4Pa程度)に排気(排気ベーキング)した後、放電空間13内に所定の組成の放電ガスを所定の圧力で封入することによってPDP101を作製する。
ここで、PDP101が40インチクラスのハイビジョンテレビに用いるものの場合は、放電セル14のサイズおよびピッチが小さくなるため、輝度向上のためには隔壁としては井桁構造の隔壁が好ましい。
また、封入する放電ガスの組成は、従来から用いられているNe−Xe系で良いが、Xe分圧を5%以上に設定するとともに、封入圧力を450〜760Torrの範囲に設定することで、放電セルの発光輝度の向上を図ることができ、好ましい。
実施の形態によるPDPの性能を評価するために、上記方法で作製したPDPの試料を準備し評価した。
保護層6の材料として、MgOに添加する濃度0〜8000重量ppmの範囲の炭化マグネシウム(MgC等)を含む複数種類の蒸着源を準備した。これらの蒸着源を用いて保護層を形成した複数種類の前面パネルを作製し、これらを用いてそれぞれPDPの試料を作製した。PDPの試料の放電遅れ時間を、雰囲気温度−5℃〜80℃の環境下で計測した。この計測結果から温度に対する放電遅れ時間のアレニウスプロットを作成して、その近似した直線から放電遅れ時間の活性化エネルギーを求めた。なお、試料に封入した放電ガスはNe−Xeの混合ガスでXe分圧は5%である。
ここでいう放電遅れ時間とは、走査電極3とアドレス電極9との間に電圧を印加してから放電(書き込み放電)が起きるまでの時間である。書き込み放電の発光がピークを示した時を書き込み放電が発生した時と見なし、試料の電極にパルスを印加してから書き込み放電が発生するまでの時間を100回分測定して平均化し、放電時間遅れとした。
活性化エネルギーは、温度に対する、放電遅れ時間の変化等の特性を示す数値であり、活性化エネルギーの値が低くなるほど温度に対して特性が変化しないと見なされる。
図5に、作製した試料での、保護層6の材料のMgOの蒸着源中に添加した炭化マグネシウムの濃度と、その蒸着源を用いて形成した保護層6を有するPDPの活性化エネルギーおよびPDPの点灯状態(ちらつきの有無)を示す。ここで、ちらつきの有無については、PDPの試料の雰囲気温度を−5℃〜80℃の間で変化させたときにちらつきが発生した場合を「あり」としている。図5では、添加物のないMgOによる材料の蒸着源による保護層を有する従来例の試料(試料番号17)の活性化エネルギーを1として各試料の活性化エネルギーを従来例の試料に対する相対値で示す。
図5に示すように、MgOの蒸着源中の炭化マグネシウムの添加濃度が50重量ppm〜7000重量ppmの試料では、活性化エネルギーが試料番号17の従来例の試料に比べて小さく、画面のちらつきが発生していない。MgCを8000重量ppm含む試料とMgCを20重量ppm含む試料とは活性化エネルギーが試料番号17の従来例の試料に比べて小さいが、画面のちらつきが発生している。炭化マグネシウムの濃度が7000重量ppmを超えると放電遅れ時間が大きくなるか、あるいは放電に必要な電圧が異常に高くなり従来の電圧では画像を表示できなくなった。
放電ガスのXe分圧が高くなると、温度に対する放電遅れ時間の変化が増大する傾向があり、PDPの動作、表示特性は温度の影響を受けやすくなる。このため、図5に示した活性化エネルギーはできるだけ小さい方が良い。試料番号1〜14の試料においては活性化エネルギーの相対値がかなり小さい。このため、Xe分圧を10%〜50%のように高くしたNe−Xe放電ガスが封入されても、50重量ppm〜7000重量ppmの炭化マグネシウムを含むMgOの蒸着源で形成された保護層6を有する試料では、放電遅れの温度特性に起因する画面のちらつきが抑制され、良好な画像を表示できる。
すなわち、50重量ppm〜7000重量ppmの炭化マグネシウムを含むMgOの蒸着源を用いて形成した保護層6は、50重量ppm〜7000重量ppmの炭化マグネシウムを含む酸化マグネシウムにより構成される。保護層6を有するPDPの試料では放電ガスのXe分圧が10%以上に上昇しても電極に印加される従来の電圧の値を変更することなく画像を表示でき、放電遅れ時間が温度に対して変化することを抑制することができる。
MgOに炭化マグネシウムを含有した材料で作製された保護層によって、放電遅れ時間が温度によって変化することを抑制できる。すなわち、温度に対してほとんど変化の無い電子放出能力を有する保護層6が得られる。その結果、実施の形態によるPDP101は環境温度にかかわらず良好な画像を表示できる。
なお、上記実施の形態では炭化マグネシウムとして、MgC、Mg、Mgのそれぞれを使用した場合について説明したが、例えばMgCとMgとを混合して使用してもよい。すなわち、保護層6が、炭化マグネシウムとしてMgC、MgあるいはMgのうちの少なくとも1つを含有するようにしてもよい。その場合にも混合した炭化マグネシウムの総量が50重量ppm〜7000重量ppmであれば上記と同様の効果が得られる。
以上のように本発明のプラズマディスプレイパネルは、放電特性が良好かつ安定で、画像の表示特性が優れたプラズマディスプレイパネルを提供することができる。
本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの概略構成を示す部分断面斜視図 同プラズマディスプレイパネルの一部分を示す断面図 本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイパネルに対して駆動回路を接続して構成した画像表示装置の概略構成を示すブロック図 図3に示した画像表示装置の駆動波形を示すタイムチャート 実施の形態によるPDPの評価結果を示す図
符号の説明
1 前面パネル
2 前面ガラス基板
3 走査電極
4 維持電極
5 誘電体層
6 保護層
7 背面パネル
8 背面ガラス基板
9 アドレス電極
10 電極保護層
11 隔壁
12 蛍光体層
13 放電空間
14 放電セル

Claims (9)

  1. 間に放電空間を形成するように対向配置された第1の基板および第2の基板と、
    前記第1の基板上に設けられた走査電極と、
    前記第1の基板上に設けられた維持電極と、
    前記走査電極と前記維持電極とを覆う誘電体層と、
    前記誘電体層上に設けられた、酸化マグネシウムと炭化マグネシウムとを含む保護層と、を備えたプラズマディスプレイパネル。
  2. 前記保護層は50重量ppm〜7000重量ppmの炭化マグネシウムを含む、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  3. 前記保護層は前記炭化マグネシウムとしてMgC、MgあるいはMgのうちの少なくとも1つを含有する、請求項1記載のプラズマディスプレイパネル。
  4. 間に放電空間を形成するように対向配置した第1の基板および第2の基板と、前記第1の基板上に設けた走査電極および維持電極と、前記走査電極および前記維持電極を覆う誘電体層と、前記誘電体層上に設けた保護層とを備えたプラズマディスプレイパネルの製造方法において、酸化マグネシウムと炭化マグネシウムとを含む材料で前記保護層を形成するステップを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  5. 前記保護層の前記材料は50重量ppm〜7000重量ppmの炭化マグネシウムを含む、請求項4記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  6. 前記保護層の前記材料は前記炭化マグネシウムとしてMgC、MgあるいはMgのうちの少なくとも1つを含有する、請求項4記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  7. 間に放電空間を形成するように対向配置した第1の基板および第2の基板と、前記第1の基板上に設けた走査電極および維持電極と、前記走査電極および前記維持電極を覆う誘電体層と、前記誘電体層上に設けた保護層とを備えたプラズマディスプレイパネルの製造において、前記保護層の形成に用いる材料であって、酸化マグネシウムと炭化マグネシウムとを含むプラズマディスプレイパネルの保護層用材料。
  8. 50重量ppm〜7000重量ppmの炭化マグネシウムを含む、請求項7記載のプラズマディスプレイパネルの保護層用材料。
  9. 前記炭化マグネシウムとしてMgC、MgあるいはMgのうちの少なくとも1つを含有する、請求項7記載のプラズマディスプレイパネルの保護層用材料。
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