JP2005122985A - 誘導加熱装置 - Google Patents

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俊夫 石井
Noriko Kubo
典子 久保
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Abstract

【課題】 加熱コイルの加熱コイル面と被加熱体の被加熱面との相対位置がずれても漏洩磁束の発生を抑制する。
【解決手段】 加熱コイル11の外周を所定の間隔を開けて囲うように導電性金属からなる筒体141を設ける。そして、この筒体141の一方の端部が加熱コイル11の加熱コイル面12よりも被加熱体3側に位置するように配置する。また、この筒体141の一方の端部に、該端部より筒体141の内側と外側にそれぞれ延びる平坦面を有した導電性金属からなる環状平板部材142を設ける。
【選択図】 図2

Description

本発明は、鉄等の被加熱体を誘導加熱する誘導加熱装置に関する。
誘導加熱装置は、加熱コイルに数k〜100kHz程度の高周波電流を流すことにより発生される高周波磁界中に導電性物質である金属を置くと渦電流が発生することを利用し、この渦電流によるジュール熱で鉄等の金属からなる被加熱体の加熱を行うようにしたものである。
このため、誘導加熱装置は、バーナ等の加熱に比べて火を使用しないことから安全性に優れている。また、誘導加熱装置は、短時間で被加熱体を加熱できる上、電流制御により特定部位の加熱も可能となることから、鉄鋼スラブの加熱装置(例えば、特許文献1参照)、複写機における転写ロールの加熱装置(例えば、特許文献2参照)、電磁調理器(例えば、特許文献3,4参照)等に広く使用されている。
特開平2−6009号公報 特開2002−40839公報 特公昭58−37676号公報 特開2000−48944公報
その一方で、誘導加熱装置は、加熱コイルから発生する高周波磁界を利用して被加熱体を加熱するため、本質的に誘導加熱装置から磁束が漏洩することは避けられず、人体や電子機器への悪影響が懸念されている。特に近年、鉄鋼プロセスラインは電子化及びコンパクト化が進み、ラインの近傍に電子計算機等の電子機器が配置される場合があり、漏洩磁束の発生を抑制したいという要望が高まっていた。
因みに、電磁調理器の分野においては、漏洩磁束の発生を抑制するために種々の技術が提案されている。例えば、加熱コイルの周囲にアルミニウム等の非磁性金属からなるシールド環を設けることにより、加熱コイルが発生する磁力線と反対の磁場を発生させ、磁力線をシールド環の中に封じ込める技術や、加熱コイルと電源部とを磁束の通過を妨げない非磁性の金属性材料で覆う技術が提案されている。
しかし、電磁調理器分野における前者の技術は、加熱コイルの加熱コイル面と被加熱体の被加熱面との相対位置がずれた場合に、シールド環の外に漏れる磁束が増加するという問題を有していた。また、後者の技術では、電源部から発生する電磁波に関しては効果的にシールドできるものの、加熱コイルからの磁束はシールドされていないため、漏洩磁束は大きいという問題があった。
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、加熱コイルの加熱コイル面と被加熱体の被加熱面との相対位置がずれても漏洩磁束の発生を効果的に抑制できる誘導加熱装置を提供しようとするものである。
本発明は、被加熱体を加熱コイルで誘導加熱する誘導加熱装置において、加熱コイルの外周を所定の間隔を開けて囲うように、かつ一方の端部が加熱コイルの加熱コイル面よりも被加熱体側に位置するように導電性金属からなる筒体を配置するとともに、この筒体の一方の端部に、該端部より筒体の内側と外側にそれぞれ延びる平坦面を有した導電性金属からなる環状平板部材を設けたものである。
また本発明は、筒体の他方の端部に、該端部より筒体の少なくとも内側に延伸された導電性金属からなる環状部材をさらに設けたものである。
この発明において、環状平板部材の筒体内側に延びる平坦面の端部は、加熱コイル面の鉛直上に重ならないことが望ましい。
また、この発明において、筒体の中心軸が加熱コイルの中心軸と同軸になるように筒体を配置することが望ましい。
本発明は、かかる手段を講じたことにより、加熱コイルの加熱コイル面と被加熱体の被加熱面との相対位置がずれても漏洩磁束の発生を効果的に抑制できる誘導加熱装置を提供できる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態は、鉄鋼業における熱間シートバーの誘導加熱装置に本発明を適用した場合である。一般に、鉄鋼用熱間圧延ラインでは、加熱した板状のスラブを粗圧延機により薄厚の熱間シートバーに圧延し、これを仕上圧延機により所望の製品の厚さまでさらに圧延を行うが、この粗圧延から仕上圧延の加工工程間で熱間シートバーの保有する熱の一部が大気中に放熱され、熱間シートバーの温度分布が均一でなくなるので、仕上圧延機入側に誘導加熱装置を設けて熱間シートバーを誘導加熱し、温度分布を均一に保つようにしている。本実施の形態は、この仕上圧延機入側に設けられた誘導加熱装置に本発明を適用した場合である。
図1は本実施の形態における誘導加熱装置の平面図であり、図2は図1のA−A矢視断面の概略図である。本実施の形態では、鉄鋼用熱間圧延ラインを搬送される板状被加熱体(熱間シートバー)3を上下から挟み込むように、一対の誘導加熱装置1,2が対峙して設けられている。誘導加熱装置1と誘導加熱装置2は同一構成である。そこで本実施の形態では、説明の便宜上、誘導加熱装置1について説明し、誘導加熱装置2については、同一部分に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
誘導加熱装置1は、電線が“口”形状に巻回された加熱コイル11と、この加熱コイル11の加熱コイル面12とは反対側の面に放射状に取り付けられた複数のフェライト棒13と、金属筒14とから構成されている。誘導加熱装置1における加熱コイル11の加熱コイル面12と、誘導加熱装置2における加熱コイル11の加熱コイル面12とは対向して配置されており、その間を搬送される板状被加熱体3の幅方向略全域を上下から加熱するようになっている。なお、図1において、矢印Bは板状被加熱体3の搬送方向を示している。
金属筒14は、加熱コイル11の外周を所定の間隔を開けて囲うように、かつ一方の端部が加熱コイル11の加熱コイル面12よりも被加熱体の被加熱面側に位置するように配置された略四角柱状の筒体141と、この筒体141の被加熱面側である一方の端部に設けられ、該端部より筒体141の内側と外側にそれぞれ一定の幅で延びる平坦面を有した環状平板部材142と、前記筒体141の被加熱面側とは反対側である他方の端部に設けられ、該端部より筒体141の内側に一定量突出するように延伸された環状部材143とから構成されている。筒体141,環状平板部材142及び環状部材143は、いずれもステンレス,プラスチック等の導電性金属によって成形されている。なお、筒体141,環状平板部材142及び環状部材143は一体成形してもよいし、別々に成形し接着して金属筒14を形成してもよい。
金属筒14は、筒体141の中心軸が加熱コイル11の中心軸と同軸となるように配置されている。また、環状平板部材142の筒体内側に延びる平坦面の端部が加熱コイル面12の鉛直上に重ならないように、かつ、その筒体外側に延びる平坦面の端部が鉄鋼用熱間圧延ラインを搬送される板状被加熱体3の端部よりも十分外側に位置するように、環状平板部材142の幅が設定されている。また、加熱コイル面12と板状被加熱体3との距離が離れすぎないように、筒体141の高さと環状平板部材142の厚みが設定されている。さらに、前記フェライト棒13の端部が前記環状部材143の先端と略接するように、環状部材143の幅が設定されている。ここに、金属筒14は、環状平板部材142を上にした状態で縦方向に切断すると、その切断面が“τ”形状になる。
このように構成された本実施の形態においては、一対の誘導加熱装置1,2の各加熱コイル11に図示しない高周波電源から高周波電流を流すと、両加熱コイル11間に高周波磁界が発生する。この高周波磁界中を、鉄鋼用熱間圧延ラインを搬送される板状被加熱体(熱間シートバー)3が通過すると、板状被加熱体3に渦電流が発生し、この渦電流によるジュール熱で板状被加熱体3が加熱される。
このとき、加熱コイル11から発生され、板状被加熱体3の被加熱面に当たってその周囲に拡散した磁束の大部分は、加熱コイル面12よりも被加熱体側に位置する導電性金属からなる環状平板部材142の平坦部で吸収される。そして、同じく導電性金属からなる筒体141を流れ、さらに同じく導電性金属からなる環状部材143を流れて、フェライト棒13に達する。このとき、筒体141には加熱コイル11に流れる電流と逆方向の誘導電流が流れるので、加熱コイル11から発生する磁束をコイル中心方向へ集中させることができる。これにより、磁束の漏れを低減させることが可能となる。
ただし、この場合において、筒体141を流れる誘導電流が過大すぎると磁束を低減せしめて加熱効率が低下するおそれがあるため、筒体141と内周面と加熱コイル11の外周面との間に所定の間隔を空けるように、筒体141の大きさを設定する必要がある。
ところで、鉄鋼用熱間圧延ラインを搬送される板状被加熱体3は、図3の実線3aや2点差線3bで示すように、その搬送途中で板幅方向に片寄る場合がある。このような場合でも、本実施の形態においては、環状平板部材142によって形成される平坦部を筒体141の外側まで延びた幅広としたので、板状被加熱体3の被加熱面に当たって拡散した磁束を漏れなく吸収することができる。
このように本実施の形態によれば、加熱コイル11の外周を所定の間隔を開けて囲うように導電性金属からなる筒体141を設け、この筒体141の一方の端部が加熱コイル11の加熱コイル面12よりも板状被加熱体3側に位置するように配置するとともに、この筒体141の一方の端部に、該端部より筒体141の内側と外側にそれぞれ延びる平坦面を有した導電性金属からなる環状平板部材142を設けたので、加熱コイル11の加熱コイル面と板状被加熱体3の被加熱面との相対位置がずれても、板状被加熱体3の被加熱面に当たって拡散した磁束を漏れなく吸収することができ、漏洩磁束の発生を効果的に抑制できる効果を奏する。
また、本実施の形態によれば、環状平板部材142の筒体141の内側に延びる平坦面の端部が加熱コイル面12の鉛直上に重ならないようにしたので、加熱コイル11から板状被加熱体3側に発生される磁束を平坦部が妨げることがなく、加熱効率の低下を防止できる効果も奏する。
さらに、本実施の形態によれば、筒体141の中心軸が加熱コイル11の中心軸と同軸になるように筒体141を配置したので、環状平板部材142の平坦部で吸収され、筒体141を介してフェライト棒13に戻される磁束を効果的に加熱コイル11の中心部に戻すので、この点からも加熱効率の低下を防止できる効果を奏する。
なお、前記実施の形態では、金属筒14の縦断面形状を“τ“形状としたが、図4に示すように、環状部材143を省略して“T”形状としてもよい。このようにしても、環状平板部材142の平坦部で吸収され、筒体141を流れる磁束は、加熱コイル11の加熱コイル面12とは逆側に設けられたフェライト棒13に戻されるので、加熱効率の低下を防止できる効果を奏する。
また、図5に示すように、環状部材143を、筒体141の内側のみでなく外側にも延伸して金属筒14の縦断面形状を“エ”形状としてもよい。縦断面形状を“エ”形状とすることにより、環状平板部材142の平坦部で吸収し切れず、筒体141の外側に回った磁束を環状部材143の筒体外側に延伸された部分で吸収できるので、漏洩磁束をより一層低減できる効果を奏する。
また、前記実施の形態では、鉄鋼用熱間圧延ラインの仕上圧延機入側に設けられた誘導加熱装置に本発明を適用した場合を示したが、本発明を適用可能な誘導加熱装置は、これに限定されるものではない。
図6は、ロール加熱装置40の誘導加熱装置41に本発明を適用した場合である。ロール加熱装置40は、ワークロール42の外周に沿って搬送される熱延鋼板,冷延鋼板等の被加熱体43を、誘導加熱装置41によりワークロール42の外周から誘導加熱するものである。この誘導加熱装置41に、断面“τ”,“T”,または“エ”形状の金属筒14を設けることによって、漏洩磁束の低減を図ることができる。
因みに、図6に示した構成の誘導加熱装置41は、複写機の定着ローラを加熱する誘導加熱装置としても適用することができる。
図7は、電磁調理器50の誘導加熱装置51に本発明を適用した場合である。電磁調理器50は、トッププレート52の上に置かれた鉄製の鍋等の被加熱体53をトッププレート52の下方に設けられた誘導加熱装置51によって誘導加熱するものである。この誘導加熱装置51にも断面“τ”,“T”,または“エ”形状の金属筒14を設けることによって、漏洩磁束の低減を図ることができる。特に、電磁調理器の場合には、底面積の大きい鍋を加熱する際に鍋の底面部を伝わって磁束が広く拡散するが、環状平板部材142の平坦部は、筒体141の内側のみならず外側にも延伸されているので、漏洩磁束を最小限に抑制できる効果を奏する。
この他、例えば加熱コイル11の形状が円形である場合には、金属筒14の形状も円形にするなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能であるのは勿論である。
本発明の一実施の形態における誘導加熱装置の平面図。 図1におけるA−A矢視断面の概略図。 本実施の形態の作用説明に用いる模式図。 本発明に関わる金属筒の他の実施形態を示す断面概略図。 本発明に関わる金属筒のさらに他の実施形態を示す断面概略図。 本発明をロール加熱装置に適用した実施形態を示す模式図。 本発明を電磁調理器に適用した実施形態を示す模式図。
符号の説明
1,2,41,51…誘導加熱装置
3,43,53…被加熱体
11…加熱コイル
13…フェライト棒
14…金属筒
141…筒体
142…環状平板部材
143…環状部材

Claims (4)

  1. 被加熱体を加熱コイルで誘導加熱する誘導加熱装置において、
    前記加熱コイルの外周を所定の間隔を開けて囲うように、かつ一方の端部が前記加熱コイルの加熱コイル面よりも前記被加熱体側に位置するように配置された導電性金属からなる筒体と、この筒体の前記一方の端部に設けられ、該端部より前記筒体の内側と外側にそれぞれ延びる平坦面を有した導電性金属からなる環状平板部材とを具備したことを特徴とする誘導加熱装置。
  2. 前記筒体の他方の端部に設けられ、該端部より前記筒体の少なくとも内側に延伸された導電性金属からなる環状部材をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載の誘導加熱装置。
  3. 前記環状平板部材の前記筒体内側に延びる平坦面の端部が前記加熱コイル面の鉛直上に重ならないことを特徴とする請求項1または2記載の誘導加熱装置。
  4. 前記筒体の中心軸が前記加熱コイルの中心軸と同軸になるように前記筒体を配置したことを特徴とする請求項1または2記載の誘導加熱装置。
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