JP2005121476A - 燃料移送手順データ作成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料移送手順の立案と、立案した燃料移送計画の妥当性確認及び燃料取替中の未臨界性評価予測に利用可能な装置を提供することにある。
【解決手段】 燃料移送手順データ作成装置の演算処理装置4には、計算条件データファイル5と、知識ベース6と、核的データベース7とを備えた記憶装置8を接続すると共に、計画立案条件データ読込み部9と、移送候補抽出部11と、未臨界性評価部12と、移送経路決定部13とを備え、特に、未臨界性評価部は、未臨界性評価の対象となる全炉心体系の炉心燃料配置図を作成する作成部12aと、評価対象炉心燃料配置図に対して均質的炉心径方向断面メッシュを生成し、各メッシュ領域設置物の燃料等に対する核的データを核的データベースから取込むメッシュ領域核的データ設定部12bと、全ての領域の核的データから連立方程式を組立て、数値解法的に係数の中性子実効増倍率値を算出して未臨界性の可否を判定する判定部12cとを有する。
【選択図】 図1


Description

本発明は、原子力発電所の定期検査時燃料取替の燃料移送手順データ作成装置に係り、特に、燃料移送手順の立案と、立案した燃料移送計画の妥当性確認及び燃料取替中の未臨界性評価予測に利用可能な技術に関する。
従来から、原子力発電所の定期検査時の燃料取替作業で採用する燃料移送手順は、種々の安全性を優先的に確保すると共に、高い効率性が要求されることから、その計画立案を支援するシステムが幾つか報告されている。安全性の面では、特に燃料取替中の未臨界性確保が最優先である。
しかしながら、上記報告されている燃料移送計画を支援するシステムは、計画立案作業や実際の燃料取替作業の効率性を念頭に置いた面でかなりの進展がみられるが、システムに採用する未臨界性評価関連の技術は、進展していないのが実情である。
燃料移送計画時の未臨界性評価に関連する技術として、注目制御棒位置周り16バンドルを対象とした炉停止余裕評価方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、公知によれば、燃料の装荷予定位置に隣接する制御棒あるいは引抜く予定の制御棒を中心とした36バンドル体系の実効増倍率、すなわち、ある時間内に発生する全中性子数と、同じ時間内における吸収及び漏れによる全損失中性子数との比を評価する技術の報告がある。
なお、燃料移送計画関連の装置として関連するものには、例えば特許文献2、特許文献3、特許文献4等が挙げられる。
特許文献2の技術では、炉心関連作業実行時の単位作業期間毎に取出す目標燃料配置を考慮しながら燃料移動作業手順を作成し、プリンタに実行順に移動対象、移動元位置、移動先位置及び設置方向が表形式で出力され、ディスプレィには、実行順の途中配置が表示されるようになっている等の燃料移動計画支援装置に係わる技術が提案されているが、未臨界性評価に関する技術は提案されていない。
特許文献3の技術では、燃料移送上の制約事項を踏まえ、燃料移送数の最少化を考慮すると共に、燃料取替機の移動時間を最少化できる等の燃料取替機制御データ作成装置に係わる技術が提案されているが、未臨界性評価に関する技術は提案されていない。
特許文献4の技術では、複数並設した燃料交換機を使用する等の燃料移動計画方法及び燃料移動計画装置に係わる技術が提案されているが、未臨界性評価は、前述の特許文献1記載の局所炉心16バンドル体系評価技術が適用されている。
特開平3−95491号公報 特開平3−248093号公報 特開平5−209989号公報 特開平6−273577号公報
従来の燃料移送手順の立案時における未臨界性評価法は、局所炉心体系を計算対象とする手法であることから、例えば実際の反応度に比べると誤差が有り、36バンドル評価法では誤差に対処するため、過度の保守性を見込んで適用しているので、例えば実際には反応度的に燃料の移送装荷が可能な場合でも評価結果が不可と判定されると、その対策のために、例えばブレードガイドを使用することがあり、燃料移送手順数の増加にも直結する。
また、燃料取替中の未臨界性確保の根拠を燃料移送計画時に把握しておくためには、実際により近い精度で計算する未臨界性評価技術が必要である。
例えば前述の特許文献3の技術では、燃料取替機の移送時間は最少化できるものとなっているが、未臨界性評価の技術においては、比較的短時間に計算されることを前提に、実際により近い精度で計算可能とするものが必要とされる。
本発明の課題は、上記事情に鑑み、燃料移送手順の立案と、立案した燃料移送計画の妥当性確認及び燃料取替中の未臨界性評価予測に利用可能な燃料移送手順データ作成装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、入力装置と、表示装置と、燃料移送手順データ収納装置及び演算処理装置を有する燃料移送手順データ作成装置において、演算処理装置には、燃料取替計画立案の諸条件を纏めた計算条件データファイルと、移送候補抽出のための知識ベースと、メッシュ領域核的データ設定のための核的データベースとを備えた記憶装置を接続すると共に、入力装置から指示し、計算条件データファイルを読込み、取替中の炉内燃料配置状態を示す情報の初期値を設定し、燃料移送手順の推論材料となる新旧炉心燃料配置替えデータを作成する計画立案条件データ読込み部と、新旧炉心燃料配置替えデータと知識ベースを適用し、次に移送させる候補手順データを推論により抽出する移送候補抽出部と、移送候補抽出部にて抽出された移送候補手順の未臨界性を評価する未臨界性評価部と、未臨界性評価部で未臨界性可と判定された移送候補の移送経路と燃料取替機による移送時間を計算し、移送候補が複数存在する場合は、各移送候補の移送時間と中性子実効増倍率値を基に知識ベースを適用の上、評価し、実際に採用する移送手順を1つに決定する移送経路決定部とを備える。
ここで、未臨界性評価部は、移送候補手順が制御棒引抜きの場合あるいは移送先が炉内の場合に、その移送情報から取替中の炉内燃料配置状態の情報を基に未臨界性評価の対象となる全炉心体系の炉心燃料配置図を作成する評価対象炉心燃料配置図作成部と、評価対象炉心燃料配置図に対して炉心を上部方向から見た均質的炉心径方向断面メッシュを生成し、各メッシュ領域設置物の燃料またはブレードガイドあるいは水に対する核的データを核的データベースから取込むメッシュ領域核的データ設定部と、全ての領域の核的データから連立方程式を組立て、数値解法的に係数の中性子実効増倍率値を算出して未臨界性の可否を判定する中性子実効増倍率の計算及び未臨界性判定部とを有する。
ここで、移送経路決定部で決定た移送手順を燃料移送手順データ収納装置に出力し、移送経路及び中性子実効増倍率値を表示装置に表示する。
本発明によれば、燃料取替中の未臨界性評価に対し、全炉心体系で中性子の挙動を扱う技術を採用することにより、実際により近い精度で計算することができる。よって、過度の保守性を見込む必要がないので、燃料移送数の低減を図ることができる。
また、燃料移送計画時において、燃料取替中の未臨界性確保の根拠を実際に近い精度で把握することが容易となる。
また、本発明の燃料取替中の未臨界性評価の技術と、公知の燃料取替機移送時間最少化を図る技術の併用によって、燃料取替機の効率的移動を図った最適な燃料移送手順を作成することができ、定期検査期間の短縮及び原子力発電所の年間稼動日数の増加に直結させることができる。
さらに、移送される燃料等の移送経路に加え、未臨界性評価結果及び燃料取替中の中性子実効増倍率値の推移が視覚により確認できるので、燃料移送計画の妥当性確認が容易になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明による燃料移送手順データ作成装置の実施例1を示す。
本実施例1の燃料移送手順データ作成装置は、入力装置1、表示装置2、燃料移送手順データ収納装置3及び演算処理装置4を有し、演算処理装置4には、燃料取替計画立案の諸条件を纏めた計算条件データファイル5と、移送候補抽出のための知識ベース6と、メッシュ領域核的データ設定のための核的データベース7とを備えた記憶装置8を接続すると共に、計画立案条件データ読込み部9と、作業用データメモリ10と、移送候補抽出部11と、未臨界性評価部12と、移送経路決定部13を備えて構成される。
計画立案条件データ読込み部9は、入力装置1から指示し、計算条件データファイル5を読込み、取替中の炉内燃料配置状態を示す情報の初期設定と燃料移送手順の推論材料となる新旧炉心燃料配置替えデータを作成し、作業用データメモリ10に新旧炉心燃料配置替えデータ10aとして登録する。移送候補抽出部11は、新旧炉心燃料配置替えデータ10aと知識ベース6を適用し、次に移送させる候補手順データを推論により抽出し、作業用データメモリ10に移送候補手順データ10bとして登録する。未臨界性評価部12は、移送候補抽出部11にて抽出された移送候補手順10bの未臨界性を評価するものであり、評価対象炉心燃料配置図作成部12aと、メッシュ領域核的データ設定部12bと、中性子実効増倍率の計算及び未臨界性判定部12cとで構成される。
評価対象炉心燃料配置図作成部12aは、移送候補手順10bが制御棒引抜きの場合、あるいは移送先が炉内の場合に、その移送情報から取替中の炉内燃料配置状態の情報を基に未臨界性評価の対象となる全炉心体系の炉心燃料配置図を作成する。メッシュ領域核的データ設定部12bは、評価対象炉心燃料配置図に対して炉心を上部方向から見た均質的炉心径方向断面メッシュを生成し、各メッシュ領域設置物の燃料またはブレードガイドあるいは水に対する核的データを核的データベース7から取込む。中性子実効増倍率の計算及び未臨界性判定部12cは、全ての領域の核的データから連立方程式を組立て、数値解法的に係数の中性子実効増倍率値を算出して未臨界性の可否を判定し、結果を作業用データメモリ10に移送候補手順の未臨界性データ10cとして登録する。
移送経路決定部13は、未臨界性評価部12で未臨界性可と判定された移送候補の移送経路と燃料取替機による移送時間を計算し、作業用データメモリ10に移送候補手順データ10bとして登録し、移送候補が複数存在する場合は、各移送候補の移送時間と中性子実効増倍率値を基に知識ベース6を適用の上、評価し、実際に採用する移送手順を1つに決定し、その移送手順を燃料移送手順データ収納装置3に出力し、移送経路及び中性子実効増倍率値を表示装置2に表示する。
図2は、本実施例1による燃料移送手順データ作成装置における処理フローを示す。図3は、図2における処理203の詳細フローを示し、また、図4は、図3における処理303を示したものであり、図5及び図6は、図3における処理304を示したものである。
さらに、図7は、図3における処理304の中の各メッシュ領域毎の核的データ設定要領に関する詳細フローを示す。
図2において、まず、計画立案条件データ読込み部9の処理内容201により、計画立案条件データ読込み部9は、入力装置1から指示し、計算条件データファイル5を読込み、取替中の炉内燃料配置状態を示す情報の初期値を設定し、燃料移送手順の推論材料となる新旧炉心燃料配置替えデータを作成し、作業用データメモリ10に新旧炉心燃料配置替えデータ10aとして登録する。
旧炉心というのは、定検開始時の炉心燃料配置を示し、新炉心というのは、次サイクル運転用の新炉心燃料配置を示す。新旧炉心配置替え情報というのは、旧炉心の例えば炉内の位置Aの燃料は、次サイクルでは例えば新炉心の位置Bに移る、また、旧炉心の例えば位置Cの燃料は、次サイクルでは使用されず取り出される、さらに、新炉心の位置Dの燃料は、新燃料が装荷される等の取替情報である。
次に、移送候補抽出部11の処理内容202により、移送候補抽出部11は、新旧炉心燃料配置替えデータ10aと知識ベース6を適用し、次に移送させる候補手順データを推論により抽出し、作業用データメモリ10に移送候補手順データ10bとして登録する。候補は、複数抽出されることがある。
知識ベース6には、燃料移動方針、炉内工事位置等に応じた燃料の炉内部分燃料取出しの要領や、新炉心構成時の要領、例えば炉心のどの位置から注目して燃料を新炉心に取替えていくか等の情報が予め登録されている。
なお、前述の特許文献3(特開平5−209989号公報)には、燃料取出し時の制御棒転倒防止ルール、燃料取替機の効率的移動を図るルール等の実際の燃料移送及び制約事項の専門知識のルールが記載されており、本実施例1の装置が使用する知識ベース6にもこれらのルールが適用される。
さらに、知識ベース6には、燃料取替機の移送時間と中性子実効増倍率値の組合せに対する適用優先パターンのルールと、算出した中性子実効増倍率値に対する未臨界性可否の判定基準値が盛り込まれている。燃料取替機の移送時間と中性子実効増倍率値の組合せに対する優先ルールとしては、例えば未臨界性可のもので、燃料取替機の移送時間の最も短い手順というルールがある。また、未臨界性可否の基準値としては、例えば実効増倍率が0.99より小さければ、未臨界である、というルールがある。
知識ベース6に組み込んであるルールは、計画時の燃料移動方針等によって変更できるものとなっている。
続いて、未臨界性評価部12の処理内容203により、処理202にて抽出された全候補手順の中から制御棒引抜き手順あるいは炉内への燃料装荷の手順を対象に、全炉心体系で均質的な炉心径方向断面メッシュを切った未臨界性評価対象炉心燃料配置図を作成し、各メッシュ領域の設置物に対応した核的データから連立方程式を組立てて数値解法的に係数の中性子実効増倍率を算出し、未臨界性の可否を判定する。
この未臨界性評価部12の処理内容203は、本実施例1の特徴とするところであり、その具体的な処理手順は、図3から図7を用いて後述する。
次に、移送経路決定部13の処理内容204により、移送経路決定部13は、処理203にて未臨界性評価部12で未臨界性可と判定された候補手順の中から、燃料取替機による移送時間と中性子増倍率値を基に知識ベース6を適用し、評価し、最適な移送経路を決定し、その移送手順を燃料移送手順データ収納装置3に出力し、移送経路及び中性子実効増倍率値を表示装置2に表示する。
ここで、燃料取替機による移送時間と移送経路の求め方は、例えば特許文献3(特開平5−209989号公報)提案の技術が適用できる。
なお、処理204では、採用した移送手順実施後の炉内燃料配置状態の情報を更新する。新炉心完成の可否判定処理205は、処理204で更新された炉内燃料配置状態に対して処理201で入力された次サイクル運転用の新炉心燃料配置データと照合して一致しているかを判定している。ここで一致した場合は、本装置に入力された立案条件に基く燃料移送手順の立案が終了となり、一致していない場合は、更新後の炉内燃料配置状態を基に処理202から処理205が繰返えされる。
次に、本実施例1による未臨界性評価部12の処理手順を図3から図7を用いて説明する。
まず、移送候補抽出部11にて抽出された次の移送手順候補に対して複数の候補がある場合は、例えば抽出された順番に処理301において1つの移送候補手順を評価対象として作業用データメモリ10から取り出し、判定処理302にて処理301で取り出した評価対象手順の内容を判定し、燃料の炉内装荷あるいは制御引抜操作の場合は、処理303へ進む。
一方、評価対象手順がプール内への移送あるいは制御棒挿入の場合は、判定処理306へ進み、この場合は未臨界性可として扱う。
処理303では、取替中の炉内燃料配置状態の情報を基に、移送候補手順の実施後を想定した評価対象炉心燃料配置図を作成する。
例えば、図4の炉心401は、処理303の実施前の炉内燃料配置状態を示す。ここで、設置物404は燃料、設置物405は制御棒、設置物406は制御棒が引抜状態を示しており、設置物407はブレードガイド、設置物408はダミー燃料、設置物409はバンドル位置が空状態であることを示しており、設置物は水となる。
例えば、移送候補の移送元が位置411、移送先が位置410とすると、処理303の目標である評価対象炉心燃料配置図は、移送候補の移送元411が移送先410に移送装荷された例えば炉心403の状態を想定して作成される。
なお、炉停止余裕評価の観点から、例えば燃料移送先に隣接する制御棒412を引抜いたと仮定した炉内燃料配置図を作成することは可能であり、計算処理にも適用できる。
続いて、処理304では、評価対象炉心燃料配置図403に対し、例えば図5に示すように、炉心径方向断面メッシュを均質的に切り、生成する。
X方向501とY方向502に対してX方向メッシュ線503及びY方向メッシュ線504を例えば制御棒505と燃料位置506の関係のように均質的に切る。メッシュ上の1つの領域は、例えば領域507となる。
なお、計算体系炉心全体のメッシュの構成は、例えば図6のようになる。
また、処理304では、各メッシュ領域の設置物に対応した核的データを核的データベース7から取り込んで作業用メモリ10に登録する。
ここで、処理304のメッシュ領域毎の核的データ設定要領を図6及び図7を用いて説明する。
図6は、処理304の一例で、X方向602とY方向603に対する炉心(計算領域)601をx方向のメッシュ線例604、y方向のメッシュ線例605等で表したものであり、範囲606は、メッシュの一領域を示す。
なお、炉心(計算体系)601は、例えば最初のY方向(y=1)607は、X方向の領域(Xy=9)612から始まり、領域(Xy=18)613で終わる。
この例では、例えば領域(Xy=9)612をyに対応したX方向の処理対象領域Xyの初期値と呼ぶこととし、領域(Xy=18)613をyに対応したX方向の最大処理対象領域と呼び、Y方向の最大値のyを、Yの最大処理対象領域609と呼ぶこととする。
図7は、図6メッシュの一領域毎に設置物を把握して核的データを設定する要領に関する詳細フローを示す。
まず、処理701にて、Y方向の処理対象領域yの初期値を設定(y=1)し、処理702にて、yに対応したX方向の処理対象領域Xyの初期値、y=1の例ではXy=9を設定して、処理703にて、領域(Xy,y)に存在する例えば燃料の有無、制御棒の有無等の設置物を把握する。
次に、処理704では、処理703で把握した設置物に対応した核的データを核的データベース7から取り込んで作業用データメモリ10に登録する。
ここで、設置物には、例えば燃料、ブレードガイド、ダミー燃料等があり、何も装荷されていない場合の設置物は水が設定される。
核的データベース7には、例えば上記の設置物に対応した核的データが別途制御棒の有無別に登録されており、データ検索キーにより取り込み可能となっている。
核的データベース7から核的データを取り込む際は、例えば設置物=燃料、制御棒=有り、または、設置物=水、制御棒=無し、等をデータ検索キーとして与えることにより、検索キーに該当する核的データが検索され、取り込まれる。
ここで、取り込む核的データとしては、例えば拡散定数、吸収断面積、減速断面積、核分裂断面積等がある。
続いて、処理705にて、X方向の処理対象領域Xyに1を加え(Xy=Xy+1)、次の処理対象領域に処理の対象を移す。
判定処理706では、処理対象領域Xyが処理対象yにおけるX方向の最大処理対象領域超過の有無を判定する。
ここで、超過していない場合は、処理703へ処理が移り、超過している場合は、処理707へ進む。処理707では、Y方向の処理対象領域yに1を加え(y=y+1)、判定処理708で、Y方向の最大処理対象領域超過の有無を判定し、超過していない場合は、処理702へ処理が移り、超過している場合は、この図7の処理を終了する。
続いて、図3の処理305の一例を説明する。
処理305は、まず、処理304で設定したメッシュ領域の核的データを一領域毎に下記拡散方程式に当て嵌め、全メッシュ領域を対象とした空間的には連立方程式の形にし、数値解法的に係数λの中性子実効増倍率を算出する。
Figure 2005121476

連立方程式の解法後、処理305では、算出した中性子実効増倍率値を基に知識ベース6を適用して未臨界性の可否を判定し、結果を作業用データメモリ10に登録する。ここで、知識ベース6に登録されている未臨界性可否の判定基準値を例えば0.99とすると、係数λ<0.99のとき未臨界性可、係数λ≧0.99のとき未臨界性否である。
続いて、判定処理306にて、移送候補抽出部11で抽出された候補手順データの評価終了の可否を判定し、終了していない場合は、処理301へ移り、残っている候補手順の1つを評価対象手順として処理302から処理306を繰返す。全ての候補手順の評価が終了した場合、この図3の処理を終了する。
なお、本実施例1では、図1の移送経路決定部13にて移送することが決まった燃料移送対象燃料の情報及び燃料取替機の移動経路線を表示装置2に表示させる。
図8は、表示装置2に表示される画面の一例であって、炉心801及び燃料貯蔵プール内802の燃料配置を示す画面に、燃料移送対象燃料の情報803及び燃料取替機の移動経路線804が表示されている。
燃料移送対象燃料の情報803の例は、燃料移送手順におけるステップ番号805、燃料に付けられている燃料ラベル806、移送元と移送先807及びその燃料が移送元に装荷された際の中性子実効増倍率値808が表示されている。
また、燃料取替機の移動経路線804の線上をマーク809が点滅しながら、移送元から移送先へ移すことができ、このマークの動きにより燃料移送の状況をさらに容易に把握することができる。
さらに、本実施例1では、燃料取替中の中性子実効増倍率値の推移図810を合わせて表示する。中性子実効増倍率値の推移図例810は、横軸に燃料移送ステップ番号811をとり、縦軸に中性子実効増倍率値812を示したグラフである。このグラフには、未臨界性境界線813も合わせて表示している。このグラフにより、燃料取替中の中性子実効増倍率値の推移814が視覚により確認できる。
ここで、図8における炉心801及び燃料貯蔵プール内802の燃料マーク815は、燃料の種類別に表示色で区別している。また、炉心801の燃料マーク815は、次サイクルのターゲット位置に装荷された燃料か、そうでない燃料かを区別して表現する。例えばターゲット位置に配置された燃料は、燃料マーク815を塗りつぶして表示し、非ターゲットである燃料は、枠だけで表示して区別している。空白816は、その位置には何も装荷されていない、空位置の状態であることを示している。燃料マーク815の一部が欠けているのは、制御棒817の方向に向けて装荷するチャンネルファスナを示している。
また、制御棒の引抜きや挿入を含む燃料移送手順を立案する際は、制御棒マーク817の色を引抜き状態と挿入状態で区別して表示する。
このようにして作成した個々の燃料移送手順は、図1の燃料移送手順データ収納装置3に送られる。この燃料移送手順データ収納装置3に収納されたデータは、別途、燃料取替機の制御用データや、燃料移送手順書として印刷され、実際の原子力発電所の定期検査時に活用される。
本発明は、燃料取替中の未臨界性評価に対し、全炉心体系で中性子の挙動を扱う技術を採用することにより、実際により近い精度で計算することができる。よって、過度の保守性を見込む必要がないので、燃料移送数の低減を図ることができる。
また、燃料移送計画時において、燃料取替中の未臨界性確保の根拠を実際に近い精度で把握することが容易となる。
また、本発明の燃料取替中の未臨界性評価の技術と、公知の燃料取替機移送時間最少化を図る技術の併用によって、燃料取替機の効率的移動を図った最適な燃料移送手順を作成することができ、定期検査期間の短縮及び原子力発電所の年間稼動日数の増加に直結させることができる。
さらに、移送される燃料等の移送経路に加え、未臨界性評価結果及び燃料取替中の中性子実効増倍率値の推移が視覚により確認できるので、燃料移送計画の妥当性確認が容易になる。
本発明による燃料移送手順データ作成装置の実施例1を示す。 本発明の燃料移送手順データ作成装置における処理フローを示す。 本発明の未臨界性評価部の処理フローを示す。 本発明の評価対象炉心燃料配置図作成要領を示す。 本発明の炉心径方向断面メッシュ生成要領を示す。 本発明の計算体系の炉心径方向断面メッシュ図を示す。 本発明のメッシュ領域毎の核的データ設定要領の処理フローを示す。 本発明の表示装置に表示される画面の一例を示す。
符号の説明
1…入力装置、2…表示装置、3…燃料移送手順データ収納装置、4…演算処理装置、8…記憶装置、9…計画立案条件データ読込み部、10…作業用データメモリ、11…移送候補抽出部、12…未臨界性評価部、12a…評価対象炉心燃料配置図作成部、12b…メッシュ領域核的データ設定部、12c…中性子実効増倍率計算及び未臨界性判定部、13…移送経路決定部

Claims (3)

  1. 入力装置と、表示装置と、燃料移送手順データ収納装置及び演算処理装置を有する燃料移送手順データ作成装置において、
    前記演算処理装置には、燃料取替計画立案の諸条件を纏めた計算条件データファイルと、移送候補抽出のための知識ベースと、メッシュ領域核的データ設定のための核的データベースとを備えた記憶装置を接続すると共に、
    前記入力装置から指示し、前記計算条件データファイルを読込み、取替中の炉内燃料配置状態を示す情報の初期値を設定し、燃料移送手順の推論材料となる新旧炉心燃料配置替えデータを作成する計画立案条件データ読込み部と、前記新旧炉心燃料配置替えデータと前記知識ベースを適用し、次に移送させる候補手順データを推論により抽出する移送候補抽出部と、前記移送候補抽出部にて抽出された前記移送候補手順の未臨界性を評価する未臨界性評価部と、前記未臨界性評価部で未臨界性可と判定された移送候補の移送経路と燃料取替機による移送時間を計算し、前記移送候補が複数存在する場合は、各移送候補の前記移送時間と前記中性子実効増倍率値を基に前記知識ベースを適用の上、評価し、実際に採用する移送手順を1つに決定する移送経路決定部とを備えることを特徴とする燃料移送手順データ作成装置。
  2. 請求項1において、前記未臨界性評価部は、前記移送候補手順が制御棒引抜きの場合あるいは移送先が炉内の場合に、その移送情報から前記取替中の炉内燃料配置状態の情報を基に未臨界性評価の対象となる全炉心体系の炉心燃料配置図を作成する評価対象炉心燃料配置図作成部と、前記評価対象炉心燃料配置図に対して炉心を上部方向から見た均質的炉心径方向断面メッシュを生成し、各メッシュ領域設置物の燃料またはブレードガイドあるいは水に対する核的データを前記核的データベースから取込むメッシュ領域核的データ設定部と、全ての領域の核的データから連立方程式を組立て、数値解法的に係数の中性子実効増倍率値を算出して未臨界性の可否を判定する中性子実効増倍率の計算及び未臨界性判定部とを有することを特徴とする燃料移送手順データ作成装置。
  3. 請求項2において、前記移送経路決定部で決定た移送手順を前記燃料移送手順データ収納装置に出力し、前記移送経路及び前記中性子実効増倍率値を前記表示装置に表示することを特徴とする燃料移送手順データ作成装置。

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