JP2005120649A - トンネル掘削機 - Google Patents

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Abstract

【課題】 一台のトンネル掘削機によって所定深さの立坑とこの立坑からの横坑を連続的に能率よく掘削することができるようにする。
【解決手段】 掘削機本体の先端に該掘削機本体よりも大径のカッタヘッドを配設していると共に上記カッタヘッドの直後における掘削機本体の外周四方に掘削壁面に圧着して該掘削壁面の崩落を防止しながら掘削機本体を掘削壁面に支持させる互いに平行な二組のグリッパシューを径方向に伸縮自在に配設してあり、さらに、一方の一組のグリッパシューを掘削機本体の軸心に直交する軸回りに回動自在に構成して、他方の一組のグリッパシューを掘削壁面から内方に収縮させた状態で上記軸回りに掘削機本体を所定の方向に屈折させるようにすると共に、その時に一方の一組のグリッパシューがカッタヘッドの旋回動の邪魔にならないように構成している。
【選択図】 図1

Description

本発明は地上側から所定深さまで立坑を掘削したのち、この立坑の底部から横坑を連続的に掘削する場合など、屈曲部を有する坑の連続掘削に適したトンネル掘削機に関するものである。
従来から、岩盤トンネル掘削機(TBM)を用いて水平坑や斜坑を掘削することが行われているが、このトンネル掘削機によって立坑を地上側から所定深さまで切り下げ掘削したのち、該立坑の底部から横坑を連続的に掘削する等、任意の角度の屈曲部を有するトンネルを連続的に掘削することは、トンネル掘削機の向きを急角度で任意の方向に変更することが困難であるため行われていない。
一方、岩盤トンネルではなく、土砂トンネルで使用されるシールド掘削機の場合、立坑と横坑とを一台の掘削機によって連続掘削する方法として、例えば、特許第2852948号明細書に記載されているように、推進ジャッキを備えた立坑用シールドフレームの前端開口部にシールド掘進機を旋回動自在に支持させると共にこのシールド掘進機のスキンプレートの前端外周面から上記立坑用シールドフレームの後端に至る外周面に鞘管を着脱自在に被せてなる掘削装置を使用して、まず、鞘管によりシールド掘削機と立坑用シールドフレームとを直状に保持した状態で掘削壁面を覆工したセグメントに反力をとって推進ジャッキを伸長させることにより立坑を掘進し、所定の深さにまで掘削したのち、シールド掘削機を水平方向に旋回させて横坑を掘削することが行われている。
この際、シールド掘削機を垂直状態から水平方向に旋回させるには、まず、シールド掘削機と立坑用シールドフレームとを直状に保持させている上記鞘管を地上に設置しておいた複数台のウインチを駆動することによりワイヤを介して地上に引き上げ、しかるのち、立坑用フレームとシールド掘削機の後部球状壁とを連結している旋回用ジャッキを作動させることにより、シールド掘削機を水平方向に向けている。次いで、旋回ジャッキやシールド掘削機の上記後部球状壁、旋回中心軸等を解体撤去したのち、スキンプレートが筒状となるように継ぎ足してその内部に横坑の掘削に必要な設備を配設している。
特許第2852948号明細書
しかしながら、このような立坑と横坑との掘削装置によれば、立坑を掘進する時には、シールド掘進機が自重によって常にそのカッタヘッドを切羽に圧着させているために、岩盤トンネルに適用すれば、岩質に応じた効率のよい掘削が行えないばかりでなく、カッタヘッドの掘削ビットに過大な圧力が作用して掘削ビットが短時間で破損する虞れがある。
仮に、岩盤トンネルに適用できたとしても、立坑の掘削後、掘削装置を水平状態に向ける際に、シールド掘削機と立坑用シールドフレームとを直状に保持している鞘管を撤去しなければならず、この鞘管は掘削壁面に摺接してために、地上に設置した複数台のウインチを駆動してワイヤを介して引き上げようとしても、掘削壁面に係止して引き上げが円滑に行うことができず、撤去作業に著しい手間を要するという問題点がある。
その上、立坑用フレームとシールド掘削機の後部球状壁とを連結している旋回用ジャッキを作動させても、一度ではシールド掘削機を90度、旋回させることができないために、数本の旋回用ジャッキの盛り替えを必要とする。また、シールド掘削機を水平方向に向けた後には、旋回ジャッキやシールド掘削機の上記後部球状壁、旋回中心軸等を解体撤去したのち、スキンプレートが筒状となるように継ぎ足してその内部に横坑の掘削に必要な設備を配設しているために、カッタヘッド以外は立坑の掘削時と殆ど異なった横坑掘削用のシールド掘削機に改造しなければならず、作業能率が低下して立坑から横坑の掘削作業に長期の施工期間を要するという問題点があった。また、再度急角度に旋回する場合には、上記した鞘管や旋回ジャッキ、球状壁の再装着が必要であり、このような作業は事実上困難である。
以上のことから、岩盤トンネルでは使用できるものにはならず、このため、岩盤トンネルで屈曲部を施工する際は、一旦、掘削機と後続台車等を坑外に取り出し、削岩機等を用いてトンネル先端部(切羽)を拡大掘削したのち、掘削機と後続台車を再度坑内に搬入し、掘削機の向きを所望方向に変えて再掘進する手段しかなく、この場合、多大な労力と期間が必要で非常に困難なものとなっていた。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、スキンプレートを設けていないグリッパシュー式の岩盤トンネル掘削機(TBM)を使用して屈曲部を有する坑を連続的に能率よく掘削することができるトンネル掘削機を提供するにある。
上記目的を達成するために本発明のトンネル掘削機は、請求項1に記載したように、掘削機本体の先端にカッタヘッドを回転自在に配設し且つこのカッタヘッドの直後における掘削機本体の外周四方にジャッキによって掘削機本体の径方向に伸縮するグリッパシューを装着していると共に、互いに平行に対向する二組のグリッパシューのうち、一方の一組のグリッパシューを掘削機本体の軸心に直交する軸回りに回動自在に装着してあり、さらに、この一方の一組のグリッパシューを掘削壁面に圧着させると共に他方の一組のグリッパシューを収縮させて掘削機本体を上記軸心回りにその向きを変える時における上記一方の一組のグリッパシューのカッタヘッドの旋回軌跡と重なる部分にカッタヘッドの当接からの逃がし部を設けてなる構造としている。
このように構成したトンネル掘削機において、上記一方の一組のグリッパシューにおける一部に設けているカッタヘッドの当接からの逃がし部としては、請求項2に係る発明においては、該グリッパシュー本体の側面に着脱自在に連結した分割グリッパシュー片から形成してあり、請求項3に係る発明においては、グリッパシュー本体内に分割グリッパシュー片をグリッパシュー本体の側方に出没自在に配設することによって形成している。さらに、請求項4に係る発明においては、グリッパシュー本体の側面に分割グリッパシュー片を掘削機の内方に向かって折り畳み自在に配設することによって構成している。
請求項5に係る発明は、上記掘削機本体の外周にスキンプレートを設けることなくその外周四方に該掘削機本体の長さ方向に平行な固定台板を固着してあり、これらの固定台板上にジャッキの支持台を取付けてこの支持台上に複数本のジャッキを介してグリッパシューを装着していると共に、互いに平行に対向する一方の一組のグリッパシューを支持している上記支持台の中心部を固定台板に回動自在に枢着し、さらに、支持台を回動駆動機構によって回動させるように構成している。
また、請求項4に係る発明は、上記各ジャッキの支持台とグリッパシュー間を連結している複数本のジャッキとして、支持台から掘削機本体の後方側に向けて傾斜した推進用傾斜ジャッキと、支持台から掘削機本体の前方側に向けて傾斜した突っ張り用傾斜ジャッキとから構成していることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、掘削機本体の先端に回転自在に配設したカッタヘッドの直後における外周四方にジャッキによって掘削機本体の径方向に伸縮するグリッパシューを設けているので、掘削機本体にスキンプレートを設けていないにもかかわらず、これらのグリッパシューを坑の掘削壁面に押し付けることによってカッタヘッドで掘削した掘削壁面の崩落を防止することができると共に、カッタヘッドに掘削機本体の自重等による過大な力が作用することなく切羽地盤の状況に応じた掘削が可能となって立坑等の坑の掘削が能率よく行えるものである。
さらに、掘削機本体の外周四方に配設したグリッパシューにおいて、互いに平行に対向する一方の一組のグリッパシューを掘削機本体の軸心に直交する軸回りに回動自在に装着しているので、他方の互いに平行な一組のグリッパシューを収縮させたのち、掘削壁面に圧着している上記一方の一組のグリッパシューを支点として掘削機本体全体を他方の互いに平行なグリッパシューと一体に所定角度でもって所定方向に、例えば、立坑から横向きに掘削すべき方向にその向きを容易に且つ急角度でもって変えさせることができる。
その上、上記一方の一組のグリッパシューを掘削壁面に圧着させると共に他方の一組のグリッパシューを収縮させて掘削機本体を上記軸心回りにその向きを変える時におけるカッタヘッドの旋回軌跡上に対向する側の上記一方の一組のグリッパシューの一部にカッタヘッドの当接からの逃がし部を設けているので、カッタヘッドの直後の掘削機本体の四方に上記グリッパシューを設けているにもかかわらず、カッタヘッドが掘削壁面に圧着しているグリッパシューに邪魔されることなく掘削機本体全体を確実に所定の角度だけ回動させて所定の掘進方向に円滑に向きを変えることができる。
しかも、掘削機本体全体をこのように向きを変えたのち、収縮させておいた他方の一組のグリッパシューを伸長させて掘削壁面に圧着させる一方、一方の一組のグリッパシューを収縮させると共にこれらのグリッパシューを元の状態にまで回動させたのち、掘削壁面に圧着させることによって、何等の複雑な作業や操作を必要とすることなく向きを変えた方向に掘削機の姿勢を簡単に戻すことができると共にその方向にこの掘削機によって立坑と同径の坑を連続して掘進させることができる。
掘削機本体が掘削方向の向きを変える際に、カッタヘッドの旋回動の邪魔にならないように、一方の一組のグリッパシューの一部に設けた上記逃がし部としては、請求項2に記載したように、これらのグリッパシュー本体の側面に分割グリッパシュー片を着脱自在に連結した構造を採用することにより、この分割グリッパシュー片の除去によってカッタヘッドの外周部がグリッパシューに当接することなく掘削機本体全体を確実に所定の角度だけ回動させて所定の掘進方向に向きを変えさせることができる。
また、上記のような逃がし部としては、請求項3に記載の発明のように、グリッパシュー本体内に分割グリッパシュー片をグリッパシュー本体の側方に出没自在に配設しておいてもよく、或いは、請求項4に記載した発明のように、グリッパシュー本体の側面に分割グリッパシュー片を掘削機の内方に向かって折り畳み自在に配設しておいてもよく、いずれの場合も、分割グリッパシュー片をグリッパシュー本体の側部内に没入させたり、グリッパシュー本体の側面から後方に屈折させることによって上記同様にカッタヘッドの外周部がグリッパシューに当接することなく掘削機本体全体を確実に所定の角度だけ回動させて所定の掘進方向に向きを変えさせることができる。さらに、通常の坑掘削時には、分割グリッパシュー片をグリッパシュー本体の側部に面一状に連続した状態にしておくことによって、掘削壁面に対して大きな圧着面積でもって当接させて掘削壁面の崩落を防止しながら掘進することができる。
請求項5に係る発明によれば、掘削機本体はスキンプレートを設けることなくその外周四方に掘削機本体の長さ方向に平行な固定台板を固着し、これらの固定台板上にジャッキの支持台を取付けてこの支持台上に複数本のジャッキを介してグリッパシューを装着していると共に、互いに平行する一方の一組のグリッパシューを支持している上記支持台の中心部を固定台板に回動自在に枢着し、さらに、支持台を回動駆動機構によって回動させるように構成しているので、一組のグリッパシューをこれらのグリッパシューを支持しているジャッキと共に簡単に固定台板上で回動させることができると共にこれらのグリッパシューを掘削壁面に圧着させた状態で回動駆動機構を作動させることにより、掘削機本体を他方の一組のグリッパシューと共に所定方向に向きを変えることができる。
また、請求項6に係る発明によれば、上記支持台とグリッパシュー間を連結している複数本のジャッキは、支持台から掘削機本体の後方側に向けて傾斜した推進用傾斜ジャッキと、支持台から掘削機本体の前方側に向けて傾斜した突っ張り用傾斜ジャッキとから構成しているので、別に推進用ジャッキを使用することなく突っ張り用傾斜ジャッキによりグリッパシューを掘削壁面に所定の押圧力でもって押し付けた状態で推進用傾斜ジャッキにより掘削機本体を推進させながら立坑や横坑等を掘進することができるものである。
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1は立坑Bを掘削しているトンネル掘削機Aの簡略縦断正面図、図2はそのグリッパシュー部分の横断面図であって、掘削機本体1は、掘削すべき立坑Bの径と同じ長さまたはやや短い長さに形成されている筒状胴体1aの長さ方向の中間部外周面に内周面を円形面に形成している矩形枠体1bを一体に固着してなり、この矩形枠体1bの四方端面、即ち、掘削機本体1の長さ方向に平行な四方の平坦な面に複数本のジャッキ3A、3Bによってそれぞれ径方向に伸縮するグリッパシュー2を配設していると共に筒状胴体1aの前端(下端)側にカッタヘッド4を回転自在に配設している。なお、掘削機本体1における上記筒状胴体1aは角筒状であっても円筒状であってもよく、また、矩形枠体1bをこの筒状胴体1aの外周面にその内周面を一体に固着することなく筒状胴体1aの回りに回動自在に固定しておいてもよい。
掘削機本体1における上記矩形枠体1bの外周四方に配設しているグリッパシュー2は、前後方向の長さが筒状胴体1aの長さよりも短い矩形状板からなり、その外面を周方向(幅方向)に向かって掘削壁面の周方向と同じ湾曲度でもって湾曲している凸円弧状湾曲外面21に形成している。
さらに、掘削機本体1の直径方向に対向する互いに平行な二組のグリッパシュー2、2において、一方の一組のグリッパシュー2A、2Aは、掘削機本体1の軸心に直交する軸回りに回動自在に装着されてあり、他方の一組のグリッパシュー2B、2Bは、上記一方の一組のグリッパシュー2A、2Aと同様に、掘削機本体1の軸心に直交する軸回りに回動自在に装着しておいてもよいが、図においては、矩形枠体1bの互いに平行な面にそれぞれ回動不能に装着されている。
掘削機本体1の矩形枠体1bに対するこれらのグリッパシュー2A、2Bの取付構造をさらに詳しく説明すると、矩形枠体1bの外周四方の上記平坦な四方端面に、図2に示すように固定台板5を固着し、互いに平行な二組の固定台板5、5における一方の一組の固定台板5、5上に支持台6A、6Aを重ね合わせてその中心部を固定台板5、5の中心に突設している支軸7に回動自在に枢着する一方、他方の一組の固定台板5、5上に支持台6B、6Bを固定し、これらの回動支持台6A、6Aと固定支持台6B、6Bの外面にそれぞれ上記複数本のジャッキ3A、3Bの基端部を前後方向(掘削機本体1の長さ方向)に回動自在に連結すると共にそのロッド先端部をグリッパシュー2A、2Bの内面に回動自在に連結してなるものである。
なお、上記回動支持台6A、6Aの回動駆動機構8としては、矩形枠体1b側と回動支持台6A間をジャッキによって連結して該ジャッキの作動により回動支持台6Aを回動させるように構成してもよいし、或いは、掘削壁面tと回動支持台6A間をジャッキによって斜め方向に連結して掘削壁面に反力をとりながらジャッキの作動により回転支持台6Aを回動させるように構成してもよいが、図1、図2においては、矩形枠体1b上に回動用モータ8aを設置し、このモータ8aの回転軸に固着しているピニオン8bを回動支持材6Aに上記支軸7を中心として一体に設けている円形ラック8cに噛合させて回動用モータ8aの駆動により回動支持材6Aを上記支軸7回りに回動させるように構成している。また、回動支持台6Aは通常は、ボルト(図示せず)によって固定台板5に回動不能に固定されていて、グリッパシュー2A、2Aの凸円弧状湾曲外面21を掘削壁面tの周方向に向けた状態に保持している。
さらに、互いに平行な二組のグリッパシュー2A、2A:2B、2Bを上記のように掘削機本体1の矩形枠体1bの四方に配設した状態においては、これらのグリッパシュー2A、2Bはその前端面(先端面)を掘削機本体1の前端側に回転自在に配設しているカッタヘッド4の外周端縁に近接させた状態にしてカッタヘッド4の直後に対向させ、且つ、後端面(基端面)を掘削機本体1の上記筒状胴体1aの後端部外周方に位置させた状態、即ち、グリッパシュー2A、2Bの後端から筒状胴体1aを後方に突出させた状態にして上述したように矩形状枠体1bの四方に装着されていると共に、隣接するグリッパシュー2A、2Bの対向側端面を互いに近接させてこれらの側端面間の間隔Wを小さくすることにより、掘削壁面tに対するグリッパシュー2A、2Bの圧着面積を大きくして掘削壁面の崩落を防止すると共にこれらのグリッパシュー2A、2Bによる掘削機本体1の支持を確実に行わせるように構成している。
このように、上記グリッパシュー2A、2Bの周方向の幅を大きくし且つこれらのグリッパシュー2A、2Bをカッタヘッド4の直後に配設すると、上記一方の一組のグリッパシュー2A、2Aを掘削壁面tに圧着させた状態で他方の一組のグリッパシュー2B、2Bを収縮させたのち、上記回動駆動機構8によって掘削機本体1を上記一方の一組のグリッパシュー2A、2Aを支点としてそれまでの掘削方向に対して屈折する方向に回動させると、掘削機本体1の先端に設けている上記カッタヘッド4が掘削機本体1と共に旋回動して掘削壁面tに圧着している上記一方の一組のグリッパシュー2A、2Aの側部に当接して所定方向に向きを変えることができなくなる。そのため、本発明の実施の形態においては、上記カッタヘッド4の旋回軌跡上に重なる側の上記一方の一組のグリッパシュー2A、2Aの側部にカッタヘッド4の当接を避けるための当接からの逃がし部を設けている。
この逃がし部の構成の一例としては、上記図2において、一方の一組のグリッパシュー2A、2Aにおける上記カッタヘッド4が旋回動する側の側部を分割してグリッパシュー2Aをグリッパシュー本体と分割グリッパシュー片2'とで形成し、この分割グリッパシュー片2'をグリッパシュー本体との分割側面に着脱自在に連結して上記他方のグリッパシュー2Bと同一幅のグリッパシュー2Aを形成し、この分割グリッパシュー片2'をグリッパシュー本体から取り外すことにより、その取り外したことによって生じる空間部に旋回動するカッタヘッド4の外周部を通過させるように構成している。
グリッパシュー2Aにおける本体の側面に対して分割グリッパシュー片2'を着脱自在に連結する構造としては、グリッパシュー本体と分割グリッパシュー片2'との分割対向側部の内面複数個所にブラケット22、23をそれぞれ固着し、これらのブラケット22、23同士を取り外し可能なボルト24によって固定した構造としている。
また、上記グリッパシュー2A、2Bと支持台6A、6B間を連結している上記ジャッキ3A、3Bは、支持台6A、6Bからグリッパシュー2A、2Bに向かって掘削機本体1の後方(図においては上方)側に傾斜している推進用傾斜ジャッキ3Aと、支持台6A、6Bからグリッパシュー2A、2Bに向かって掘削機本体1の前方(図においては下方)側に傾斜している支持用傾斜ジャッキ3Bとからなり、支持台6A、6Bから前方側に向かって傾斜している支持用傾斜ジャッキ3Bの伸長によりグリッパシュー2A、2Bを掘削壁面tに圧着させて掘削機本体1が必要以上に下動するのを阻止すると共に支持台6A、6Bから前方側に向かって傾斜している推進用傾斜ジャッキ3Aの伸長により掘削機本体1を掘進させるように構成している。
一方、上記カッタヘッド4は上記掘削機本体1よりも外径を大径に且つその回転中心部41から外周端に向かって後方(上方)に傾斜した逆截頭円錐形状に形成されていると共に掘削面に多数のローラビット42を突設してあり、さらに、周方向に所定間隔毎にズリ取込み開口部43を設けていて、このズリ取込み開口部43の回転方向に面している側端縁に、掘削ズリを機内に取り込むためのスクレーパ44を取付けている。
さらに、このカッタヘッド4の外周端に内径方向に向かってアーム部材45を突設してこれらのアーム部材45の内端にリング部材46を一体に固着し、該リング部材46を掘削機本体1の上記矩形枠体1bの円形内周面における下端部(先端部)に回転自在に支持させていると共に、このリング部材46の内周面に設けている内歯ギヤ47に、矩形枠体1b上に設置している駆動用モータ9の回転軸に固着した外歯ギヤ9aを噛合させてモータ9の駆動によりカッタヘッド4を回転させるように構成している。
このように構成したトンネル掘削機Aの後端(上端)には平面矩形状の複数台(図においては3台)の後続台10、11、12が切り離し可能に上下に積み重ねた状態で連結してあり、各後続台10〜12には、その中心部に上記掘削機本体1の筒状胴体1aと同大、同形の筒状支柱体13、14、15を一体に設けていて上下に隣接する後続台における支柱体の対向端面間を互いに着脱自在に連結、連通させていると共に下部後続台12の支柱体15の下端開口部を上記筒状胴体1aの上端開口部に着脱自在に連結してあり、さらに、掘削機本体1の上記筒状胴体1a内からこれらの支柱体13〜15内を通じて掘削ズリをバケットコンベア等の適宜な搬送手段によって上方に搬出するように構成している。
なお、平面矩形状に形成されている後続台10〜12はその平面での対角線の長さ及び各後続台10〜12の高さを立坑Bや後述する横坑Cの掘削径より短い長さ、高さに形成されている。また、上部後続台10には、例えば掘削壁面tに覆工コンクリートを施工するための設備が設けられ、中間部後続台11には各種の油圧設備等が設置され、下部後続台12にはロックボルト打設装置16や覆工コンクリート吹付装置(図示せず)などが配設されていて掘削壁面tに対する一次覆工等の作業を行うように構成している。
次に、このように構成したトンネル掘削機Aによって、まず、立坑Bを所定深さまで垂直状に切り下げ掘削していくには、図1、図2に示すように、掘削機本体1の四方に配設しているグリッパシュー2A、2Bを傾斜ジャッキ3A、3Bによって掘削壁面tに圧着させることにより該掘削壁面tに推進反力をとると共にトンネル掘削機A及び後続台10〜12の支持を行わせ、矩形枠体1bから斜め上方に傾斜している推進用傾斜ジャッキ3Aを伸長させることによってトンネル掘削機Aを下方に推進させながらカッタヘッド4の回転によって切羽の岩盤を掘削していく。なお、矩形枠体1bから斜め下方に傾斜している突っ張り用傾斜ジャッキ3Bは、掘削壁面tに対するグリッパシュー2A、2Bの下端部の圧着力を調整してトンネル掘削機Aが必要以上に降下するのを阻止するものである。
推進用の傾斜ジャッキ3A、3Aの伸長によってトンネル掘削機Aが一定長、掘進すると、これらの傾斜ジャッキ3A、3Aを収縮させると共に突っ張り用傾斜ジャッキ3Bによる掘削壁面tへの圧着力を減少させることにより、四方のグリッパシュー2A、2Bを次の位置まで前進(下動)させたのち、再び、これらの傾斜ジャッキ3A、3Bを伸長させることによって立坑Bを掘進する。
こうして、トンネル掘削機Aをその後続台10〜12と共に下方に掘進させて所定の深さまで立坑Bを掘削すると、まず、所定の深さに達する手前の位置で図3に示すように、後続台10〜12を一体に連結した状態で上部後続台10を掘削壁面t或いは地上のクレーンにワイヤロープ17によって吊支させた状態にしたのち、トンネル掘削機Aを所定深さまで掘進させることによって後続台10〜12をトンネル掘削機Aから切り離し、しかるのち、トンネル掘削機Aをその突っ張り用傾斜ジャッキ3Bを伸長させることによって僅かに後退させて切羽面から離間させる。なお、後続台10〜12の支持は、上記した構成に限らず、例えば、後続台の側部数カ所にジャッキを取付け、このジャッキを伸長させて掘削壁面tに圧着させることにより支持させてもよい。また、トンネル掘削機Aを後退させることなく、カッタヘッド4のみを後退させておいてもよく、さらには何ら後退させなくてもよい。
この状態にして一方の一組のグリッパシュー2A、2Aを装着している回動支持台6Aを固定ボルトの撤去によって固定台板5に対して回動可能にすると共にこれらのグリッパシュー2A、2Aの本体の側面に連結している分割グリッパシュー片2'、2'を図4に示すように、該グリッパシュー本体から取り外しておき、さらに、該グリッパシュー2A、2Aの本体を掘削壁面tに圧着させた状態にする一方、他方の一組のグリッパシュー2B、2Bをそれらを支持しているジャッキ3A、3Bを収縮させることによって掘削機本体1に向かって内方に最大限まで縮径させておく。また、必要に応じてカッタヘッド4の最外周端にローラビット42' を装着する。
しかるのち、カッタヘッド4を回転させると共に回動駆動機構8のモータ8aを駆動すると、このモータ8aの回転軸に固着しているピニオン8bが掘削壁面tに圧着している上記一方の一組のグリッパシュー2A、2A本体の回動支持台6Aの外周端面に設けている円形ラック8cに噛合しながら周方向に移動してモータ8aを設置している固定支持台6B、6Bが図5、図6に示すように、上記グリッパシュー2A、2A本体を支点として支軸7回りに回動し、掘削機本体1が垂直状態から一側方に向かって徐々に向きを変えながらカッタヘッド4によって立坑Bの掘削壁面tの一側壁面を切り崩していく。
上記掘削機本体1がその向きを変える時に、該掘削機本体1の先端側に設けている上記カッタヘッド4も掘削機本体1と共に一体に旋回動するが、上記掘削壁面tに圧着している一方の一組のグリッパシュー2A、2Aの本体側面から上記カッタヘッド4の旋回軌跡上に位置する分割グリッパシュー片2'が取り外されているので、カッタヘッド4がその旋回動に何等邪魔されることなく、掘削機本体1と共に所定の方向に向くまで円滑に回動させることができる。
こうして、掘削機本体1が90度、支軸7回りに回動して水平方向に向きを変えると、図7、図8に示すように、収縮している他方の一組のグリッパシュー2B、2Bが掘削機本体1と一体的にその向きを変えて凸円弧状に湾曲した外面21を次に掘削する横坑Cの掘削壁面t'の周方向に向けた状態となるが、立坑Bの底部における掘削壁面tに圧着している上記一方の一組のグリッパシュー2A、2Aの本体は、掘削機本体1が水平方向に向きを変えても立坑Bの掘削に適した状態を保持している。
この一組のグリッパシュー2A、2A本体を横坑Cを掘削するのに適した状態にするには、まず、図9に示すように、掘削した立坑Bの底部における余掘り部を埋め戻して次に掘削すべき横坑Cの底面に連なる底面部Dを形成したのち、収縮している他方の一組のグリッパシュー2B、2Bを伸長させて底面部Dに対向している下側のグリッパシュー2Bを該底面部Dに当接させることより掘削機本体1を支持し、この状態にしたのち、掘削壁面tに圧着している一方の一組のグリッパシュー2A、2A本体を収縮させる。
しかるのち、上記回動駆動機構8のモータ8aを駆動させて回動支持台6A、6Aを固定板5、5上でその回動角度が90度に達するまで回動させると、これらのグリッパシュー2A、2A本体の向きが横坑Cを掘削するのに適した状態、即ち、その凸円弧状に湾曲した外面21、21が横坑Cの掘削壁面t'の周方向に向いた状態となる。
次いで、これらのグリッパシュー2A、2Aの本体の側面に掘削機本体1の回動時に取り外しておいた上記分割グリッパシュー片2'、2'を取付けて元の形状に復旧したのち、固定ボルトによってこれらのグリッパシュー2A、2Aの回転支持台6A、6Aを固定台板5、5に固定する。しかるのち、図10に示すように、グリッパシュー2A、2Aと立坑Bの底部における掘削壁面tとの間に当て物Eを介在させてグリッパシュー2A、2Aをこの当て物Eを介して掘削壁面tに均一を押し付け、この状態にして、カッタヘッド4を回転させながら推進用傾斜ジャッキ3A及び突っ張り用傾斜ジャッキ3Bを作動させることにより、トンネル掘削機Aを水平方向に掘進させて横坑Cを掘削する。
この横坑Cが20〜30m程度、掘削されると、該横坑Cの内底面に図11、図12に示すようにレール18を敷設し、上記立坑Bの掘削後に掘削機本体1から切り離して底部の上方部における掘削壁面tに吊支しておいた後続台10〜12を一台ずつ切り離してこのレール18上に走行自在に順次、配設すると共に掘削機本体1に直列状に接続する。この際、各後続台10〜12の車輪19は、立坑Bの掘削時に予め、地上から、後続台10〜12に搬入しておき、レール18の敷設後、このレール18上に吊り下ろす際に後続台10〜12の底面に取付けて台車とする。
こうして、トンネル掘削機Aに後続台車10〜12を順次、連結してこれらの後続台車10〜12に配設している油圧機器や覆工用設備等の各種設備を使用しながらトンネル掘削機Aを掘進させて所定長さの横坑Cを掘削するものである。なお、トンネル掘削機Aによる横坑Cの掘進は、四方のグリッパシュー2A、2Bを掘削壁面t'に圧着させた状態で上述したように推進用傾斜ジャッキ3A、3Aを伸長させることによって行い、一定長の横坑部分が掘削されると、互いに平行な一方の一組のグリッパシュー2A、2Aを傾斜ジャッキ3A、3Bの収縮によって横坑Cの掘削壁面t'から離したのち、伸長させることによって掘削壁面t'に対する先の圧着部分から所定長さ、前進した掘削壁面部分に圧着させ、次いで、他方の一組のグリッパシュー2B、2Bを傾斜ジャッキ3A、3Bの収縮によって横坑Cの掘削壁面t'から離したのち、伸長させることによって同じく、次の掘削開始位置となる掘削壁面t'に圧着させ、しかるのち、推進用傾斜ジャッキ3A、3Aを伸長させることによって掘進していくものである。
なお、以上の実施の形態においては、上記カッタヘッド4の旋回軌跡上に重なる側の上記一方の一組のグリッパシュー2A、2Aの側部に、カッタヘッド4の当接を避けるために設けている逃がし部としては、分割グリッパシュー片2'をグリッパシュー2Aの本体側面に着脱自在に連結した構造としているが、図13に示すように、グリッパシュー2Aの本体の側部に上記分割グリッパシュー片2'を周方向(側方)に出没自在に内装する室25を設けておき、トンネル掘削時には分割グリッパシュー片2'をこの室25から外側に突出させてグリッパシュー2Aの一部とし、方向転換時には室25内に収納して掘削機本体1と共に回動するカッタヘッド4の旋回の邪魔にならないように構成しておいてもよい。この場合、分割グリッパシュー片2'を室25内から出没させる手段としてはジャッキ(図示せず)を採用すればよい。
さらにまた、上記逃がし部の別な構造としては、図14に示すように、グリッパシュー2Aの本体側面に分割グリッパシュー片2'をヒンジ26を介して掘削機の内方に向かって屈折自在に又は折り畳み自在に配設しておいてもよい。この場合、グリッパシュー2Aの本体と分割グリッパシュー片2'との内面間をジャッキ(図示せず)によって連結しておき、このジャッキの伸縮によって上記ヒンジ26を支点として分割グリッパシュー片2'を後方に回動させるようにしておけばよい。なお、以上の実施の形態においては、立坑Bから横坑Cに至る屈曲部の連続掘削方法について説明したが、立坑Bや横坑Cに限らず、トンネル掘削機Aによって掘削中の坑(トンネル)から該坑に対して急角度でもって任意の方向に坑を連続掘削する場合においても当然のことながら実施し得るものである。
立坑を所定深さまで掘削したトンネル掘削機の簡略縦断正面図。 その四方に配設したグリッパシュー部分の簡略横断面図。 掘削機本体から後続台を切り離した状態の簡略縦断正面図。 他方の一組のグリッパシューを収縮させた状態の簡略横断面図。 掘削機本体を水平方向に向きを変えている状態の簡略縦断正面図。 そのグリッパシュー部分の簡略横断面図。 掘削機本体を水平方向に向きを変えた状態の簡略縦断正面図。 その簡略横断面図。 他方の一組のグリッパシューを伸長させた状態の簡略縦断正面図。 その簡略横断面図。 横坑を掘削している状態の簡略縦断正面図。 その簡略横断面図。 グリッパシューの側部に設けているカッタヘッドの当接からの逃がし部の別な実施の形態を示す簡略横断面図。 グリッパシューの側部に設けているカッタヘッドの当接からの逃がし部のさらに別な実施の形態を示す簡略横断面図。
符号の説明
A トンネル掘削機
B 立坑
C 横坑
t 掘削壁面
1 掘削機本体
2A、2B グリッパシュー
2' 分割グリッパシュー片
3A、3B 傾斜ジャッキ
4 カッタヘッド
5 固定台板
6 支持台
8 回動駆動機構

Claims (6)

  1. 掘削機本体の先端にカッタヘッドを回転自在に配設し且つこのカッタヘッドの直後における掘削機本体の外周四方にジャッキによって掘削機本体の径方向に伸縮するグリッパシューを装着していると共に、互いに平行に対向する二組のグリッパシューのうち、一方の一組のグリッパシューを掘削機本体の軸心に直交する軸回りに回動自在に装着してあり、さらに、この一方の一組のグリッパシューを掘削壁面に圧着させると共に他方の一組のグリッパシューを収縮させて掘削機本体を上記軸心回りにその向きを変える時における上記一方の一組のグリッパシューのカッタヘッドの旋回軌跡と重なる部分にカッタヘッドの当接からの逃がし部を設けていることを特徴とするトンネル掘削機。
  2. 一方の一組のグリッパシューにおけるカッタヘッドの当接からの逃がし部は、該グリッパシュー本体の側面に着脱自在に連結した分割グリッパシュー片から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機。
  3. 一方の一組のグリッパシューにおけるカッタヘッドの当接からの逃がし部は、グリッパシュー本体内に分割グリッパシュー片をグリッパシュー本体の側方に出没自在に配設することによって形成していることを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機。
  4. 一方の一組のグリッパシューにおけるカッタヘッドの当接からの逃がし部は、グリッパシュー本体の側面に分割グリッパシュー片を掘削機の内方に向かって折り畳み自在に配設していることを特徴とする請求項1に記載のトンネル掘削機。
  5. 掘削機本体はスキンプレートを設けることなくその外周四方に該掘削機本体の長さ方向に平行な固定台板を固着してあり、これらの固定台板上にジャッキの支持台を取付けてこの支持台上に複数本のジャッキを介してグリッパシューを装着していると共に、互いに平行に対向する一方の一組のグリッパシューを支持している上記支持台の中心部を固定台板に回動自在に枢着し、さらに、支持台を回動駆動機構によって回動させるように構成していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうち、いずれか1項に記載のトンネル掘削機。
  6. 支持台とグリッパシュー間を連結している複数本のジャッキは、支持台から掘削機本体の後方側に向けて傾斜した推進用傾斜ジャッキと、支持台から掘削機本体の前方側に向けて傾斜した突っ張り用傾斜ジャッキとからなることを特徴とする請求項1又は請求項5に記載のトンネル掘削機。
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