JP2005119153A - 平版印刷版材料、画像記録方法、印刷版作製方法および印刷方法 - Google Patents

平版印刷版材料、画像記録方法、印刷版作製方法および印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 プラスチックを支持体とする平版印刷版材料が印刷機のくわえから版抜けを抑え、それにより見当精度の高い平版印刷版材料を提供する。
【解決手段】 プラスチックを支持体とする平版印刷版材料において、該平版印刷版材料の裏面層と印刷機のくわえとの静摩擦係数が0.5〜1であることを特徴とする平版印刷版材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は、プラスチックを支持体とする平版印刷版材料において、印刷機のくわえにおける版抜けを低減し、見当精度を向上した平版印刷版材料、画像記録方法、印刷版作製方法および印刷方法に関する。
印刷データのデジタル化に伴い、安価で取り扱いが容易で、PS版と同等の印刷適正を有するCTP技術が求められている。CTPに使用される印刷版の支持体としては様々なものがあるが、ハンドリングや印刷版の持ち運びに便利な、プラスチックフィルム支持体を用いたものが知られるようになった(例えば、特許文献1参照。)。
しかし平版印刷版に用いられる印刷機およびその周辺機器は、アルミニウム支持体に合わせた設計になっており、プラスチック支持体を用いた平版印刷版の方が見当精度が劣ると言われている。その要因を調べてみると、印刷中にプラスチックを支持体とする平版印刷版材料が印刷機のくわえから徐々に版抜けすることによる問題であることが判明した。
特開2000−258899号公報(特許請求の範囲)
本発明の目的は、プラスチックを支持体とする平版印刷版材料が印刷機のくわえから版抜けを抑え、それにより見当精度の高い平版印刷版材料を提供することにある。
上記課題は、下記の構成により解決することができた。
(請求項1)
プラスチックを支持体とする平版印刷版材料において、該平版印刷版材料の裏面層と印刷機のくわえとの静摩擦係数が0.5〜1であることを特徴とする平版印刷版材料。
(請求項2)
該裏面層と該くわえとの動摩擦係数が0.4〜1であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版材料。
(請求項3)
機上現像可能な平版印刷版材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版材料。
(請求項4)
該平版印刷版材料の画像形成機能層が熱溶融性微粒子または熱融着性微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の平版印刷版材料。
(請求項5)
該プラスチック支持体と該画像形成機能層の間に少なくとも1層の親水性層を有することを特徴とする請求項4に記載の平版印刷版材料。
(請求項6)
該親水性層の少なくとも1層が多孔質構造を有することを特徴とする請求項5に記載の平版印刷版材料。
(請求項7)
該平版印刷版材料の少なくとも1層が光熱変換素剤を含有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の平版印刷版材料。
(請求項8)
該平版印刷版材料の裏面層がマット材を含有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の平版印刷版材料。
(請求項9)
ロール状に巻かれたことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の平版印刷版材料。
(請求項10)
請求項1〜9の何れか1項に記載の平版印刷版材料にレーザーを照射し、吸収したレーザーを熱に変換し画像を形成することを特徴とする画像記録方法。
(請求項11)
該レーザーの波長が700〜1500nmの範囲であることを特徴とする請求項10に記載の画像記録方法。
(請求項12)
請求項1〜9の何れか1項に記載の平版印刷版材料の所定の位置に穴をあけた後に、露光ドラムに巻設して減圧密着により保持し、レーザーにより画像を形成した後機上現像により印刷版を作製することを特徴とする印刷版作製方法。
(請求項13)
請求項1〜9の何れか1項に記載の平版印刷版材料の所定の位置に穴をあけた後に、露光ドラムに巻設して減圧密着により保持し、レーザーにより画像を形成した後機上現像して印刷することを特徴とする印刷方法。
プラスチック支持体を用いた平版印刷版材料が印刷機のくわえからの版抜けを抑え、それにより見当精度の高い平版印刷版材料を提供することができた。
本発明において、裏面層用バインダーとしては、疎水性樹脂が好ましく、例えば、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、アラビアゴム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセテートなどのポリマー、その他の天然樹脂等が使用出来る。また、これらを2種以上併用してもかまわない。裏面層の被覆量は0.1〜10g/m2であり、好ましくは1.0〜9.0g/m2であり、より好ましくは1.5〜8.0g/m2である。
さらに裏面層にマット材を含有させても良い。マット材としては、新モース硬度5以上の無機微粒子や有機マット材が上げられる。新モース硬度5以上の無機微粒子としては、例えば金属酸化物粒子(シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、酸化鉄、酸化クロム等)や金属炭化物粒子(炭化珪素等)、硫酸バリウム、窒化ホウ素粒子、ダイアモンド粒子等が上げられる。有機マット材としては、例えばUSP−2,322,037号明細書等に記載のでんぷん、BEP−625451号やGBP−981198号明細書等に記載されたでんぷん誘導体、特公昭44−3643号公報等に記載のポリビニルアルコール、CHP−330158号明細書等に記載のポリスチレンあるいはポリメタアクリレート、USP−3,079,257号等明細書に記載のポリアクリロニトリル、USP−3,022,169号明細書等に記載されたポリカーボネートが上げられる。平均粒子径は1.0〜10μmが好ましく、3.0〜9μmがより好ましい。被覆量は0.1〜5g/m2が好ましく、0.2〜3g/m2がより好ましい。
本発明における機上現像とは、印刷機上で湿し水またはインキにより印刷版の塗布面の一部が取り除かれることである。
本発明で用いることのできるプラスチックの支持体としては、取り扱い性の点からはプラスチックフィルムが特に好ましいが、金属板、紙それぞれのプラスチックフィルム複合体であっても良い。印刷版作製装置内での安定搬送性と印刷版としての取り扱い易さから基材の厚みとしては100〜300μmが好ましく、特に好ましくは150〜200μmである。さらに支持体の含水率を0.5質量%以下とする。支持体含水率Dとは、下記式で表される。
D(含水率%)=(w/W)×100
(式中、Wは25℃、60%RHの雰囲気下で調湿平衡にある支持体の質量、wは25℃、60%RHの雰囲気下で調湿平衡にある該支持体の水分含有量を表す。)
支持体の含水率は0.5質量%以下であることが好ましく、0.01〜0.5質量%であることがより好ましく、0.01〜0.3質量%であることが特に好ましい。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類を挙げることができる。特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルムが好ましい。
支持体の親水性層側または反対側、あるいは両側に、帯電防止層を設けるのが好ましい。帯電防止層を支持体と親水性層との間に設けた場合には、親水性層との密着性向上にも寄与する。帯電防止層としては、金属酸化物微粒子やマット剤を分散したポリマー層が使用できる。帯電防止層に用いられる金属酸化物粒子の材料としては、SiO2、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、MgO、BaO、MoO3、V25及びこれらの複合酸化物、及び/又はこれらの金属酸化物に更に異種原子を含む金属酸化物を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。好ましい金属酸化物としては、SiO2、ZnO、SnO2、Al23、TiO2、In23、MgOである。帯電防止層の厚みは、0.01〜1μmであることが好ましい。
これらプラスチックフィルムの表面は、親水性層との密着性を確保するためにコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が施されていても良い。又、サンドブラスト、ブラシ研磨等により機械的に基材表面を粗面化することもできる。更に親水性官能基を有するラテックス、あるいは水溶性樹脂による下引き層を設けることも好ましい態様である。
本発明の印刷版材料の親水性層に用いられる素材は、下記のものが挙げられる。
親水性層マトリクスを形成する素材としては、有機親水性ポリマーを架橋あるいは疑似架橋することにより得られる有機親水性マトリックスや、ポリアルコキシシラン、チタネート、ジルコネート又はアルミネートの加水分解、縮合反応からなるゾル−ゲル変換により得られる無機親水性マトリックス層、金属酸化物等が好ましく用いられる。特に金属酸化物微粒子を含むことが好ましく、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良く、平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。
上記金属酸化物微粒子は、その造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
本発明では、上記の中でも特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは、比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、良好な強度を得ることができる。本発明で用いることのできるコロイダルシリカとしては、後述するネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。
本発明において、親水性層マトリクス構造の多孔質化材として、粒径が1μm未満の多孔質金属酸化物粒子を含有することができる。多孔質金属酸化物粒子としては、以下に記載の多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
多孔質シリカ粒子は、一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法では、ケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、もしくは中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では、四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により、多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。
粒子の多孔性としては、細孔容積で0.5ml/g以上であることが好ましく、0.8ml/g以上であることがより好ましく、1.0〜2.5ml/gであることが更に好ましい。細孔容積は、塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。逆に、細孔容積が0.5ml/g未満の場合には、印刷性能が不十分となる場合がある。
ゼオライトは、結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
(M1,(M2)0.5m(AlmSin2(m+n)・xH2
ここで、M1、M2は交換性のカチオンであって、M1はLi+、Na+、K+、Tl+、Me4+(TMA)、Et4+(TEA)、Pr4+(TPA)、C7152 +、C816+等であり、M2はCa2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、C818N2 2+等である。又、n≧mであり、m/nの値つまりはAl/Si比率は1以下となる。Al/Si比率が高いほど交換性カチオンの量が多く含まれるため極性が高く、従って親水性も高い。好ましいAl/Si比率は0.4〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0である。xは整数を表す。
本発明で使用するゼオライト粒子としては、Al/Si比率が安定しており、又粒径分布も比較的シャープである合成ゼオライトが好ましく、例えばゼオライトA:Na12(Al12Si1248)・27H2O;Al/Si比率1.0、ゼオライトX:Na86(Al86Si106384)・264H2O;Al/Si比率0.811、ゼオライトY:Na56(Al56Si136384)・250H2O;Al/Si比率0.412等が挙げられる。
Al/Si比率が0.4〜1.0である親水性の高い多孔質粒子を含有することで、親水性層自体の親水性も大きく向上し、印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなる。又、指紋跡の汚れも大きく改善される。Al/Si比率が0.4未満では親水性が不充分であり、上記性能の改善効果が小さくなる。
また、本発明の印刷版材料の親水性層マトリクス構造は、層状粘土鉱物粒子を含有することができる。該層状鉱物粒子としては、例えば、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。特に、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。
又、上記の層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が1μm未満であり、平均アスペクト比が50以上であることが好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲より大きくなると、塗膜に不均一性が生じて、局所的に強度が弱くなる場合がある。又、アスペクト比が上記範囲以下である場合、添加量に対する平板状の粒子数が少なくなり、増粘性が不充分となり、粒子物の沈降を抑制する効果が低減する。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを調製した後、塗布液に添加することが好ましい。
本発明の親水性層マトリクスにはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率(Mはアルカリ金属を表す。)はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば、「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
また、本発明においては、水溶性樹脂を含有してもよい。水溶性樹脂としては、例えば、多糖類、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の樹脂が挙げられるが、本発明に用いられる水溶性樹脂としては、多糖類を用いることが好ましい。
多糖類としては、デンプン類、セルロース類、ポリウロン酸、プルランなどが使用可能であるが、特にメチルセルロース塩、カルボキシメチルセルロース塩、ヒドロキシエチルセルロース塩等のセルロース誘導体が好ましく、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩やアンモニウム塩がより好ましい。これは、親水性層に多糖類を含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果が得られるためである。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜20μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。このような凹凸構造は、親水性層マトリクスに適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと前述の水溶性多糖類とを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷適性を有する構造を得ることができ、好ましい。
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)は、アルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、水溶性多糖類の種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。
本発明で用いることのできる無機粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができるが、塗布液中での沈降を抑制するために、多孔質な金属酸化物粒子を用いることが好ましい。多孔質な金属酸化物粒子としては、前述の多孔質シリカ粒子や多孔質アルミノシリケート粒子を好ましく用いることができる。
また、無機素材で被覆された粒子としては、例えば、ポリメチルメタアクリレートやポリスチレンといった有機粒子を芯材とし、芯材粒子よりも粒径の小さな無機粒子で被覆した粒子が挙げられる。無機粒子の粒径としては、芯材粒子の1/10〜1/100程度であることが好ましい。また、無機粒子としては、同様にシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニアなど、公知の金属酸化物粒子を用いることができる。被覆方法としては、種々の公知の方法を用いることができるが、ハイブリダイザのような空気中で芯材粒子と被覆材粒子とを高速に衝突させて芯材粒子表面に被覆材粒子を食い込ませて固定、被覆する乾式の被覆方法を好ましく用いることができる。
また、有機粒子の芯材を金属メッキした粒子も用いることができる。このような粒子としては、例えば、樹脂粒子に金メッキを施した積水化学工業社製の「ミクロパールAU」等が挙げられる。
粒径は1μm以上でかつ、親水性マトリクス構造の平均膜厚に対して本発明で規定する静摩擦係数の関係を満足することが必要であるが、1〜10μmが好ましく、1.5〜8μmがより好ましく、2μm〜6μmがさらに好ましい。
粒径が10μmを超えると、画像形成の解像度の低下や、ブランケット汚れの劣化が生じる懸念がある。本発明では、粒径が1μm以上の粒子の添加量としては、本発明に係る表面形態パラメータを満足するように適宜調整されるが、親水性層全体の1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。親水性層全体としては、有機樹脂やカーボンブラック等の炭素を含有する素材の含有比率が低いことが親水性を向上させるために好ましく、これらの素材の合計が9質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。
本発明においては、基材と親水性層の間に中間親水性層を設けることができる。中間親水性層に用いる素材としては、親水性層と同様の素材を用いることができる。ただし、中間親水性層は多孔質であることの利点が少なく、また、より無孔質である方が塗膜強度の観点から好ましい。親水性マトリクス構造を形成する多孔質化材の含有量は、親水性層よりも少ないことが好ましく、含有しないことがより好ましい。
中間親水性層で用いる粒径が1μm以上の粒子の添加量としては、本発明に係る表面形態パラメータを満足するように適宜調整されるが、中間親水性層全体の1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましい。
中間親水性層全体としても親水性層と同様に、有機樹脂やカーボンブラック等の炭素を含有する素材の含有比率が低いことが親水性を向上させるために好ましく、これらの素材の合計が9質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。
本発明に係る親水性層、中間親水性層及びその他に設けられる層には、光熱変換素剤を含有することができる。
光熱変換素剤としては、赤外吸収色素、無機・有機顔料、金属、金属酸化物を用いることが好好ましく、具体的には下記のような素材を挙げることができる。
赤外吸収色素としては、シアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。カーボンとしては、特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。
金属としては、粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。前者としては、黒色酸化鉄(Fe34)や、前述の二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。後者とては、例えば、SbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素剤のうち、二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられ、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号公報、特開平9−25126号公報、特開平9−237570号公報、特開平9−241529号公報、特開平10−231441号公報等に開示されている方法により製造することができる。
本発明に用いる複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。
これらの複合金属酸化物は、平均一次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均一次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均一次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均一次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。したがって、これらの複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均一次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
これらの複合金属酸化物の添加量としては、親水性層や下層に対して0.1〜50質量%であり、1〜30質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。
本発明に係る熱溶融性及びまたは熱融着性微粒子を含有する画像形成機能層には、以下のような素材を含有させることができる。
本発明に用いられる熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上100℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、例えば、パラフィンワックス、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものであり、また乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げて作業性を向上させるためにこれらのワックスに、例えば、ステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でも、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、脂肪酸エステル、脂肪酸の何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
また、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は、公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
構成層中での熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
本発明で用いることもできる熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、該熱可塑性疎水性高分子重合体粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。また、高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。
高分子重合体微粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法又は気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水又は水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。又、熱溶融性微粒子、熱融着性微粒子は、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。また、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等を含有させても良い。
又、熱可塑性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
又、熱可塑性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
構成層中の熱可塑性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
本発明に係る熱溶融性及びまたは熱融着性微粒子を含有する画像形成機能層には、さらに水溶性素材を含有することができる。水溶性素材を含有することにより、印刷機上で湿し水やインクを用いて未露光部の画像形成機能層を除去する際に、その除去性を向上させることができる。
水溶性素材としては、親水性層に含有可能な素材として挙げた水溶性樹脂を用いることもできるが、本発明の画像形成機能層としては、糖類を用いることが好ましく、特にオリゴ糖を用いることが好ましい。
オリゴ糖の中でもトレハロースは、比較的純度の高い状態のものが工業的に安価に入手可能可能であり、水への溶解度が高いにもかかわらず、吸湿性は非常に低く、機上現像性及び保存性共に非常に良好である。
又、オリゴ糖水和物を熱溶融させて水和水を除去した後に凝固させると(凝固後短時間のうちは)無水物の結晶となるが、トレハロースは水和物よりも無水物の融点が100℃以上も高いことが特徴的である。これは赤外線露光で熱溶融し、再凝固した直後は露光済部は高融点で溶融しにくい状態となることを意味し、バンディング等の露光時の画像欠陥を起こしにくくする効果がある。本発明の目的を達成するには、オリゴ糖の中でも特にトレハロースが好ましい。
構成層中のオリゴ糖の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、10〜80質量%がさらに好ましい。
本発明の印刷版材料における画像形成は、熱により行うことができるが、特に赤外線レーザーによる露光によって画像形成を行うことが好ましい。
本発明に関する露光に関し、より具体的には、赤外及び/または近赤外領域で発光する、すなわち700〜1500nmの波長範囲で発光するレーザーを使用した走査露光が好ましい。レーザーとしてはガスレーザーを用いてもよいが、近赤外領域で発光する半導体レーザーを使用することが特に好ましい。
本発明において、走査露光に好適な装置としては、半導体レーザーを用いてコンピュータからの画像信号に応じて印刷版材料表面に画像を形成可能な装置であればどのような方式の装置であってもよい。
一般的には、
(1)平板状保持機構に保持された印刷版材料に一本もしくは複数本のレーザービームを用いて2次元的な走査を行って印刷版材料全面を露光する方式、
(2)固定された円筒状の保持機構の内側に、円筒面に沿って保持された印刷版材料に、円筒内部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いて円筒の周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式、
(3)回転体としての軸を中心に回転する円筒状ドラム表面に保持された印刷版材料に、円筒外部から一本もしくは複数本のレーザービームを用いてドラムの回転によって周方向(主走査方向)に走査しつつ、周方向に直角な方向(副走査方向)に移動させて印刷版材料全面を露光する方式があげられる。
本発明に関しては、特に(3)項記載の走査露光方式が好ましく、特に印刷装置上で露光を行う装置においては、(3)項記載の露光方式が用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるのもではない。
《支持体の作製》:プラスチックフィルムの作製
テレフタル酸とエチレングリコールを用い、常法に従いIV(固有粘度)=0.66(フェノール/テトラクロロエタン=6/4(質量比)中25℃で測定)のPETを得た。これをペレット化した後130℃で4時間乾燥し、300℃で溶融後T型ダイから押し出し、50℃の冷却ドラム上で急冷し熱固定した未延伸フィルムを2軸で熱延伸し作成した。
《支持体の下引き処理》
上記で得られた基材の一方の面に、8W/m2・分の条件でコロナ放電処理を行いながら下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し、更にその上にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗設した(下引き面A)。また反対側の面に、8W/m2・分の条件でコロナ放電処理を行いながら下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設し、更にその上にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗設(下引き面B)して下引き済み基材を得た。
《下引き塗布液a》;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃)(固形分基準) 6.3%
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス(固形分基準) 1.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 92.0%
《下引き塗布液b》;
ゼラチン 1%
アニオン系界面活性剤S−1 0.05%
硬膜剤H−1 0.02%
マット材(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.02%
防黴剤F−1 0.01%
水 98.9%
Figure 2005119153
《下引き塗布液c》;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス(固形分基準) 0.4%
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス(固形分基準)
7.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 91.9%
《下引き塗布液d》;
成分d−11/成分d−12/成分d−13=66/31/1の導電性組成物
6.4%
硬膜剤H−2 0.7%
アニオン系界面活性剤S−1 0.07%
マット材(シリカ,平均粒径3.5μm) 0.03%
水 93.4%
成分d−11;
スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−12;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−13;
スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
Figure 2005119153
《平版印刷版材料の作製》
下記に示す親水性層1塗布液(調製方法は下記に示す)、親水性層2塗布液(調製方法は下記に示す)をその順で、下引き済み支持体のA面上にワイヤーバーを用いてそれぞれ乾燥付量が2.5g/m2、0.6g/m2になるように塗布し、120℃で3分間乾燥したのちに60℃で24時間の加熱処理を施した。さらに、画像形成機能層塗布液をワイヤーバーを用いて乾燥付量が0.6g/m2になるように塗布して50℃で3分間乾燥したのちに、50℃で72時間のシーズニング処理を施した。また、各バック層塗布液を下引き済み支持体のB面上にワイヤーバーを用いて乾燥付量が2.5g/m2になるように塗布して平版印刷版材料を作製した。
《親水性層1塗布液の調製》
コロイダルシリカ(アルカリ系)(スノーテックス−XS(日産化学社製、固形分20質量%)) 48質量部
コロイダルシリカ(アルカリ系)(スノーテックス−ZL(日産化学社製、固形分40質量%)) 4質量部
コアがメラミン樹脂でシェルがシリカからなる凹凸表面の真球状粒子(日産化学STM−6500S、平均粒径6.5μm) 15質量部
多孔質金属酸化物粒子シルトンJC−40(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケート粒子、平均粒径4μm) 11.1質量部
Cu−Fe−Mn系金属酸化物黒色顔料(TM−3550ブラック粉体(大日精化工業社製、粒径0.1μm程度)の固形分40質量%(うち0.2質量%は分散剤)水分散物) 20質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学社製)の4質量%の水溶液
0.56質量部
層状鉱物粒子モンモリロナイト、ミネラルコロイドMO(Southern Clay Products社製、平均粒径0.1μm程度)をホモジナイザで強攪拌して5質量%の水膨潤ゲルとしたもの 1.11質量部
リン酸三ナトリウム・12水(関東化学社製)の10質量%の水溶液
0.28質量部
《親水性層2塗布液の調製》
コロイダルシリカ(アルカリ系)(スノーテックス−S(日産化学社製、固形分30質量%)) 30質量部
ネックレス状コロイダルシリカ(アルカリ系)(スノーテックス−PSM(日産化学社製、固形分20質量%)) 45質量部
多孔質金属酸化物粒子シルトンJC−20(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケート粒子、平均粒径2μm) 10質量部
Cu−Fe−Mn系金属酸化物黒色顔料(TM−3550ブラック粉体(大日精化工業社製、粒径0.1μm程度)の固形分40質量%(うち0.2質量%は分散剤)水分散物) 9質量部
カルボキシメチルセルロースナトリウム(関東化学社製)の4質量%の水溶液
1質量部
層状鉱物粒子モンモリロナイト、ミネラルコロイドMO(Southern Clay Products社製、平均粒径0.1μm程度)をホモジナイザで強攪拌して5質量%の水膨潤ゲルとしたもの 2質量部
リン酸三ナトリウム・12水(関東化学社製)の10質量%の水溶液 0.5質量部
多孔質金属酸化物粒子シルトンAMT08(水澤化学社製、多孔質アルミノシリケート粒子、平均粒径0.6μm) 12.5質量部
《画像形成機能層塗布液の調製》
カルナバワックスエマルジョンA118(岐阜セラック社製、平均粒径0.3μm、固形分40%) 45質量部
マイクロクリスタリンワックスA−206(岐阜セラック社製) 25質量部
2糖類トレハロース粉体(林原商事社製、トレハオース)10%水溶液 15質量部
ポリアクリル酸ナトリウム30質量%水溶液DL−522(日本触媒社製)
10質量部
炭酸カルシウム粉体(丸尾カルシウム社製) 5質量部
《バック層塗布液1の調製》
1531COOC1633 10質量部
p−ノニルフェノキシポリオキシエチレン 1質量部
スチレン−アクリル樹脂 60質量部
アニオン系界面活性剤S−2 0.5質量部
アニオン系界面活性剤S−3 0.5質量部
JC−50(水澤化学社製) 3質量部
水 30質量部
Figure 2005119153
《バック層塗布液2の調製》
WSA−910(大日本インキ化学工業社製) 30質量部
WSA−950(大日本インキ化学工業社製) 1質量部
スノーテックスーXS(日産化学社製) 60質量部
アニオン系界面活性剤S−2 0.5質量部
アニオン系界面活性剤S−3 0.5質量部
JC−50(水澤化学社製) 3質量部
水 30質量部
バック層塗布液2中のJC−50(水澤化学社製)をMX−500(綜研化学社製、同量)、BE−40(岐阜セラミック社製、同量)に変更することにより各々バック層塗布液3、4を作製した。
表1に各バック層塗布液を用いて作製した各試料の裏面層の静・動摩擦係数を示した。
〈静・動摩擦係数の測定〉
機器:協和界面科学社製DF−PM APPARATUS
方法:23℃,55%RHの環境下に試料を24時間放置した後、同様の環境下で測定を行った。平版印刷版材料裏面層と印刷機くわえとの摩擦係数は、JIS K−7125の摩擦係数試験方法に従い行った。試料台に上記で作製した平版印刷版材料の裏面層が表となるようにセットし、くわえと同一の素材の摩擦体に50gの荷重をかけて10cm/minの速度で試料台を10cm移動させてその負荷を測定した。
〈印刷方法〉
印刷装置としては、小森コーポレーション製のLITHRONE26を用いて、上記印刷版をくわえ、印刷機シリンダーに固定した後、コート紙と、湿し水としてアストロマーク3(日研化学研究所製)の2質量部%水溶液、インキとして東洋インキ社製のトーヨーキングハイエコーを使用して印刷を行った。
〈版抜け〉
版抜けは、上記記載の方法で印刷し2万枚印刷終了時のくわえ部分での版の抜け量が50μm以上を版抜けとし、500回の繰り返しを行い、版抜け発生回数を目視で評価した。版抜け発生率1%以上は実用上問題であり、1%未満は実用上許容しうる。
Figure 2005119153
平版印刷版材料裏面層の印刷機くわえに対する静摩擦係数を0.5〜1とすることで、印刷時にくわえ部分からの版抜け発生率が抑えられ、それにより見当精度が向上した平版印刷版材料を提供することができた。

Claims (13)

  1. プラスチックを支持体とする平版印刷版材料において、該平版印刷版材料の裏面層と印刷機のくわえとの静摩擦係数が0.5〜1であることを特徴とする平版印刷版材料。
  2. 該裏面層と該くわえとの動摩擦係数が0.4〜1であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版材料。
  3. 機上現像可能な平版印刷版材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の平版印刷版材料。
  4. 該平版印刷版材料の画像形成機能層が熱溶融性微粒子または熱融着性微粒子を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の平版印刷版材料。
  5. 該プラスチック支持体と該画像形成機能層の間に少なくとも1層の親水性層を有することを特徴とする請求項4に記載の平版印刷版材料。
  6. 該親水性層の少なくとも1層が多孔質構造を有することを特徴とする請求項5に記載の平版印刷版材料。
  7. 該平版印刷版材料の少なくとも1層が光熱変換素剤を含有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の平版印刷版材料。
  8. 該平版印刷版材料の裏面層がマット材を含有することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の平版印刷版材料。
  9. ロール状に巻かれたことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の平版印刷版材料。
  10. 請求項1〜9の何れか1項に記載の平版印刷版材料にレーザーを照射し、吸収したレーザーを熱に変換し画像を形成することを特徴とする画像記録方法。
  11. 該レーザーの波長が700〜1500nmの範囲であることを特徴とする請求項10に記載の画像記録方法。
  12. 請求項1〜9の何れか1項に記載の平版印刷版材料の所定の位置に穴をあけた後に、露光ドラムに巻設して減圧密着により保持し、レーザーにより画像を形成した後機上現像により印刷版を作製することを特徴とする印刷版作製方法。
  13. 請求項1〜9の何れか1項に記載の平版印刷版材料の所定の位置に穴をあけた後に、露光ドラムに巻設して減圧密着により保持し、レーザーにより画像を形成した後機上現像して印刷することを特徴とする印刷方法。
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