JP2005117613A - 電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置及び方法 - Google Patents

電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置及び方法 Download PDF

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Abstract

【課題】電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック前置歪曲装置及び方法を提供する。
【解決手段】電力増幅器10の入力信号と出力信号との間の差分を生成するための入出力信号減算手段112と、入出力信号減算手段112の出力信号値である前記差分と、所定経路を通じて線形化装置100に入力される入力信号x(t)の絶対値とに基づいて、入力信号x(t)に対応する逆歪曲フィードバック信号e(t)を抽出する逆歪曲フィードバック信号抽出手段114と、入力信号x(t)に逆歪曲フィードバック信号e(t)を加算して、電力増幅器10に入力される前置歪曲信号u(t)を生成する信号加算手段116と、を含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、移動通信基地局用の電力増幅器(PA:Power Amplifier)の線形性を改善させるためのデジタルフィードバック線形化装置及び方法に係り、さらに詳細にはデジタル信号処理(DSP:Digital Signal Process)の技術とフィードバック技術とを利用するデジタルフィードバック型の前置歪曲器(プリディストーション装置)及び方法であって、所定経路を通じて入力される入力信号に対して、電力増幅器の歪曲(ディストーション)成分に対応する逆歪曲(インバース ディストーション)成分をフィードバックを用いて加算して、線形化に必要な前置歪曲信号(プリディストーション信号)を生成し、この前置歪曲信号が電力増幅器を通過されて線形的に増幅された出力信号を得るように構成することによって、電力増幅器の線形性を効果的に改善できる電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置(フィードバックプリディストーション装置、FBPD:Feed Back Predistorter)及びその方法に関する。
一方、本発明は、あらかじめ作成して保存されたルックアップテーブルを通じて、入力信号の大きさに対応する適当な逆歪曲成分を得ることによって当該入力信号に対する最適の前置歪曲信号を作ることができる電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置及びその方法に関する。
よく知られているように、無線基地局用の電力増幅器は、入力信号を信号の歪曲(ディストーション)なしに高電力に増幅しなければならない。特に、広帯域符号分割多重接続(WCDMA:Wideband Code Division Multiple Access)方式の場合、マルチキャリヤ(MC:Multi−Carrier)伝送方式を使用するため、線形性に対する要求が強い。したがって、さらに良好な線形性の確保のために多様な線形化技術及びこの技術が適用された多様な装置が使われている。具体的には、代表的な線形化装置として、アナログ前置歪曲器(アナログプリディストーション装置)、アナログフィードバック線形化装置(アナログフィードバック前置歪曲器)、フィードフォワード線形化器、およびデジタル前置歪曲器(デジタルプリディストーション装置)が使われている。
前述した線形化装置のうちアナログ前置歪曲器及びアナログフィードバック線形化装置は、狭帯域の周波数特性をもつため、入力信号を目標値まで線形化し難いという問題点を有している。一方、前述したフィードフォワード線形化器は、最近まで最も多く使用されてきた線形化装置であって、線形化特性に優れるものの、コスト競争力が弱く、しかも高熱が発生し、装置のサイズも大きくなるといった色々な問題点を有している。
前記フィードフォワード線形化器の問題点を解決するための装置がデジタル信号処理(DSP)を利用するデジタル前置歪曲器である。このデジタル前置歪曲器は、周波数帯域の問題がなく、線形性の改善程度に優れ、コスト競争力に優れており、サイズも小型化できるため、基地局用の線形化装置として非常に適している。しかし、このようなデジタル前置歪曲器自体が誤差を多く含んでいる場合、関連する電力増幅器の誤差許容度(エラー トレランス)を高くできない。したがって、要求されている水準で前記電力増幅器の信号の歪曲を相殺させることが難いといった問題点を有する。
一方、従来技術による電力増幅器の線形化装置であるアナログフィードバック前置歪曲器は、前置歪曲信号を効果的に抽出でき、歪曲信号の相殺誤差許容度が非常に大きいといった長所を有する。このような特徴を有する従来のアナログフィードバック前置歪曲器の一例を図1に示した。図1に示されるとおり、従来技術によるアナログフィードバック前置歪曲器は、供給ブロック2、相殺ブロック4、主増幅器ブロック6及びベクトル変調器(VM:Vector Modulator)3,5を含んで構成される。相殺ブロック4では主増幅器10の出力信号y(t)から主増幅器10の入力信号u(t)を差し引いて、逆歪曲成分e(t)を抽出する。供給ブロック2では、この抽出された前記逆歪曲成分e(t)がフィードバックループを通じて入力信号x(t)に加算される。図1で、ベクトル変調器3,5は各々、入力される信号の位相を適切に変化させる役割をする。
図1に示されたようなアナログフィードバック前置歪曲器の出力信号y(t)の周波数領域信号Y(f)は、次のように表現される。
Figure 2005117613
前記式で、Gm、Gu、Gyは、図1で明示された各通路の利得であり、Xは周波数領域の入力信号であり、Xdは主増幅器10により発生する混変調(IM:Intermodulation)信号、すなわち歪曲成分である。
前記式1.aの第1項は増幅された主信号であり、第2項は相殺されるべき混変調信号である。混変調信号を完壁に相殺させるためには、第2項を0に接近させなければならず、このためには、Guが1になるように設定することが望ましい。Guを1に近い値とする時、式1.aは近似式1.bで表現でき、この式はフィードバック動作を明確に表す。この場合、装置全体の利得(全体利得)GPDは、フィードバックループの利得により決定され、その値は−1/Gyである。混変調成分は、負のフィードバック動作のため、閉ループの利得Gy・Gm(≧1)で除算される。したがって、図1に示された装置のGy・Gmが1より非常に大きい値に設計されれば、歪曲成分の相殺を最も高めることができ、歪曲を相殺する上での誤差許容度が高くなる。
しかし、前記アナログフィードバック前置歪曲器は、フィードバック特性上、動作帯域が狭く、動作が不安定で発振の可能性が多いといった問題点を有している。
本発明の目的はは、デジタル信号処理(DSP)の技術とフィードバック技術とを利用するデジタルフィードバック線形化装置(デジタルフィードバック前置歪曲器)及びその方法であって、所定経路を通じて入力される入力信号に電力増幅器の歪曲成分に対応する逆歪曲成分をフィードバックで加算して線形化に必要な前置歪曲信号を生成し、この前置歪曲信号が電力増幅器を通過することによって線形的に増幅された出力信号を得ることによって、電力増幅器の線形性を効果的に改善できるデジタルフィードバック線形化装置及びその方法を提供することをである。
本発明の他の目的は、あらかじめ作成されて保存されているルックアップテーブルで、入力信号の大きさ(アンプリチュード)に対応する適当な逆歪曲成分を得ることによって、当該入力信号に対する最適の前置歪曲信号を作ることができるデジタルフィードバック線形化装置及びその方法を提供することである。
前記目的を達成するために、本発明のデジタルフィードバック線形化装置の一形態では、電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置において、前記電力増幅器の入力信号と出力信号との間の差分を生成するための入出力信号減算手段と、前記入出力信号減算手段の出力信号値である前記差分と、所定経路を通じて前記線形化装置に入力される入力信号x(t)の絶対値とに基づいて、前記入力信号x(t)に対応する逆歪曲フィードバック信号e(t)を抽出する逆歪曲フィードバック信号抽出手段と、前記入力信号x(t)に前記逆歪曲フィードバック信号e(t)を加算して、前記電力増幅器に入力される前置歪曲信号u(t)を生成する信号加算手段と、を含み、前記電力増幅器が前記前置歪曲信号を入力信号として使用することによって、前記電力増幅器が線形化されることを特徴とする。
望ましくは、前記逆歪曲フィードバック信号抽出手段は、所定単位で順次に増加する前記入力信号x(t)の大きさに対応して量子化された複数の信号値で構成されたルックアップテーブルを含む。
前記目的を達成するために、本発明のデジタルフィードバック線形化装置の他の形態では、電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置において、前記線形化装置に入力される入力信号x(t)の絶対値の大きさに対応して量子化された信号値よりなるルックアップテーブルと、前記電力増幅器からフィードバックされる出力信号と関連するフィードバック出力参照信号y(t)を前記ルックアップテーブルで選択決定するためのフィードバック出力参照信号決定手段と、前記入力信号x(t)に前記フィードバック出力参照信号y(t)を加算して前記電力増幅器に入力される誤差信号x(t)を生成する信号加算手段と、を含み、前記電力増幅器が前記誤差信号x(t)を入力信号として使用することによって、前記電力増幅器が線形化されることを特徴とする。
望ましくは、前記電力増幅器自体の利得をAと表示し、前記増幅器による歪曲成分をd(t)と表示し、フィードバックによる減衰度を1/Kと表示し、前記PAの出力信号をy(t)と表示する時、下記のような式が成立する。
Figure 2005117613
また、前記目的を達成するために、本発明のデジタルフィードバック線形化方法の一形態では、電力増幅器の線形化のための線形化装置により具現されるデジタルフィードバック線形化方法において、(a)前記電力増幅器の入力信号と出力信号との間の差分を生成する段階と、(b)前記(a)段階で生成された差分と、所定経路を通じて前記線形化装置に入力される入力信号x(t)の絶対値とに基づいて、前記入力信号x(t)に対応する逆歪曲フィードバック信号e(t)を抽出する段階と、(c)前記入力信号x(t)に前記逆歪曲フィードバック信号e(t)を加算して、前記電力増幅器に入力される前置歪曲信号u(t)を生成する段階と、(d)前記PAが前記前置歪曲信号u(t)を入力信号として使用することによって、前記電力増幅器が線形化される段階と、を含むことを特徴とする。
望ましくは、前記(b)段階は、所定単位で順次に増加する前記入力信号x(t)の大きさに対応して量子化された複数の信号値で構成されたルックアップテーブルを作る段階と、当該ルックアップテーブルを通じて、前記入力信号x(t)に応じた前記逆歪曲フィードバック信号e(t)を抽出する段階とを含む。
さらに、前記目的を達成するために、本発明のデジタルフィードバック線形化方法の他の形態では、電力増幅器の線形化のための線形化装置により具現されるデジタルフィードバック線形化方法において、前記線形化装置に入力される入力信号x(t)の絶対値の大きさに対応して量子化された複数の信号値よりなるルックアップテーブルを構成する段階と、前記電力増幅器からフィードバックされる出力信号と関連するフィードバック出力参照信号y(t)を前記ルックアップテーブルで選択決定する段階と、前記入力信号x(t)に前記フィードバック出力参照信号y(t)を加算して、前記電力増幅器に入力される誤差信号x(t)を生成する段階と、前記電力増幅器が前記誤差信号x(t)を入力信号として使用することによって、前記電力増幅器が線形化される段階と、を含むことを特徴とする。
本発明による電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置及び方法は、デジタル信号処理技術とフィードバック技術とを利用するデジタルフィードバック前置歪曲器(FBPD)及び方法であって、所定経路を通じて入力される入力信号に電力増幅器の歪曲成分に対応する逆歪曲成分をフィードバックで加算して線形化に必要な前置歪曲信号を生成し、この前置歪曲信号が電力増幅器を通過して線形的に増幅された出力信号を得るように構成されるので、電力増幅器の線形性を効果的に改善でき、安定性に優れ、広い動作帯域を有し、コスト及びサイズ競争力に優れるといった利点を有する。
以下、添付した図面を参照しつつ本発明による電力増幅器(PA)の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置(デジタルフィードバック型の前置歪曲器:FBPD)及びその方法の望ましい実施例を詳細に説明する。本発明の説明において、関連した公知技術または公知の構成については、説明の煩雑さを避けるとともに、本発明の要旨を明確なものとする観点から、その詳細な説明を省略する。そして、後述する用語は本発明での機能を考慮して定義された用語であって、その定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいて下されなければならない。
また、以下の説明において、従来技術による技術構成と本発明による技術構成とが同じ場合には従来技術で使用した図面符号をそのまま使用し、これについての詳細な説明は省略する。
図2に示されるとおり、本発明の一実施の形態の線形化装置100は、電力増幅器10の入力信号と出力信号との間の差分を生成するための入出力信号減算部112と、入出力信号減算部112の出力信号値である前記差分と、所定経路を通じて前記線形化装置100に入力される入力信号x(t)の絶対値とに基づいて入力信号x(t)に対応する逆歪曲フィードバック信号(インバース プリディストーションフィードバック信号)e(t)を抽出する逆歪曲フィードバック信号抽出部としてのルックアップテーブル114と、入力信号x(t)に逆歪曲フィードバック信号e(t)を加算して、電力増幅器10に入力される前置歪曲信号(プリディストーション信号)u(t)を生成する信号加算部116と、電力増幅器10の出力端と入出力信号減算部112間に介在されて電力増幅器10の出力信号y(t)の大きさを線形化装置100の全体の利得である全体利得GPDの逆数だけ減衰させる出力信号減衰部118と、を含んでなる。ここで、電力増幅器10が前置歪曲信号u(t)を入力信号として使用することにより、電力増幅器10が線形化される。
図2に示されたように、本発明の入出力信号減算部112と、逆歪曲フィードバック信号抽出部としてのルックアップテーブル114と、信号加算部116とは、一種のデジタル信号処理器(DSP:Digital Signal Processor)110で構成しうる。一方、本発明の逆歪曲フィードバック信号抽出部に含まれるルックアップテーブル114は、所定単位で順次に増加する、例えば1ずつ増加する入力信号x(t)の大きさに対応して量子化された複数の信号値からなる。一方、本発明の線形化装置100は、図2に示されたように前置歪曲信号u(t)がフィードバックされて入力信号x(t)に再び加算される時の利得Guを1に近似した値にする。
たとえば、所定単位で順次に増加する入力信号x(t)がトレーニング信号として試験的に装置に入力されて、このときの前記電力増幅器10の入力信号と出力信号との間の差分と、前記入力信号x(t)の絶対値とに基づいて収束させることによって、各入力信号x(t)の大きさに対応する複数個の逆歪曲フィードバック信号e(t)が、ルックアップテーブル114として算出される。そして、電力増幅器10の線形化段階では、このルックアップテーブル114で入力信号x(t)の大きさに対応する逆歪曲フィードバック信号e(t)が抽出される。
したがって、全体としては、本実施形態の線形化装置100は、前記電力増幅器10の入力信号と出力信号との間の差分と、前記入力信号x(t)の絶対値とに基づいて、前記入力信号x(t)に対応する逆歪曲フィードバック信号e(t)を抽出する逆歪曲フィードバック信号抽出手段を含むものといえる。
図4は、本発明の他の実施形態の線形化装置200を示す。、図4に示されるとおり、本発明の他の実施形態の線形化装置200は、線形化装置200に入力される入力信号x(t)の絶対値の大きさに対応して量子化された複数の信号値を含むルックアップテーブル214と、電力増幅器10からフィードバックされる出力信号と関連するフィードバック出力参照信号y(t)をルックアップテーブル214を通じて選択決定するためのフィードバック出力参照信号決定部215と、入力信号x(t)にフィードバック出力参照信号y(t)を加算して電力増幅器10に入力される誤差信号x(t)を生成する信号加算部216と、電力増幅器10の出力信号の大きさを線形化装置200の全体利得kの逆数だけ減衰させる出力信号減衰部218と、を含んでなる。ここで、電力増幅器10が、誤差信号x(t)を入力信号として使用することによって、電力増幅器10が線形化される。
一方、図4に示した本発明の実施形態において、電力増幅器10自体の利得をAと表示し、電力増幅器10による歪曲成分をd(t)と表示し、フィードバックによる減衰度を1/Kと表示し、電力増幅器10の出力信号をy(t)と表示する時、下記のような式が成立する。
Figure 2005117613
前記式6は、式5でA>>Kと仮定することによって求められる。
なお、図4に示される線形化装置200においても、ルックアップテーブル214、フィードバック出力参照信号決定手段215、および信号加算手段216は、デジタル信号処理器として構成することができる。
図3は、図2に示した本発明の一実施の形態の線形化装置により具現される線形化方法のフローチャートを示す。図3に示されるとおり本発明の一実施形態である線形化方法は、電力増幅器10の入力信号と出力信号との差分Dを生成する段階(S100)と、S100段階で生成された差分Dの値と、線形化装置100に入力される入力信号x(t)の絶対値とに基づいて作られたルックアップテーブル114から、入力信号x(t)に対応する逆歪曲フィードバック信号e(t)を抽出する段階(S110)と、入力信号x(t)に逆歪曲フィードバック信号e(t)を加算して電力増幅器10に入力される前置歪曲信号u(t)を生成する段階(S120)と、電力増幅器10が前置歪曲信号u(t)を入力信号として使用することによって電力増幅器10が線形化される段階(S130)と、を含んでなる。
一方、図5は、図4に示した本発明の他の実施形態による線形化装置により具現される線形化方法のフローチャートを示す。図5に示されるとおり、本発明の他の実施の形態の線形化方法は、線形化装置200に入力される入力信号x(t)の絶対値の大きさに対応して量子化された信号値よりなるルックアップテーブル214を構成する段階(S200)と、電力増幅器10からフィードバックされる出力信号と関連するフィードバック出力参照信号y(t)をルックアップテーブル214で選択決定する段階(S210)と、入力信号x(t)にフィードバック出力参照信号y(t)を加算して電力増幅器10に入力される誤差信号x(t)を生成する段階(S220)と、電力増幅器10が誤差信号x(t)を入力信号として使用することによって、電力増幅器(S230)が線形化される段階(S230)と、を含んでなる。
次に、前記のように構成された本発明による電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置、すなわちフィードバック前置歪曲器(FBPD)の実施形態の作用を図2ないし図8を参照しつつ説明する。
図2に示した本発明の一実施例による電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置の動作原理は、図1を参照しつつ説明した従来技術のアナログフィードバック前置歪曲器と同じであるが、本発明での逆歪曲フィードバック信号e(t)は、ルックアップテーブル114に含まれているという点にその差がある。また、従来技術の相殺通路の利得因子Gu(すなわち前置歪曲信号u(t)がフィードバックされて入力信号x(t)に再び加算される時の利得Gu)と、フィードバック通路の利得因子Gy(すなわち主増幅器である電力増幅器10がフィードバックされる時の利得Gy)とは、本発明ではデジタル信号処理110により調整される。
本発明でルックアップテーブル114の使用は、電力増幅器10の動作帯域を拡張させ、発振の可能性を除去する。したがって、本発明による電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置(デジタルフィードバック型の前置歪曲器)は、優秀な線形性、優秀なコスト、サイズ競争力、基地局デジタル部との互換性、広帯域動作、および安定性など従来のデジタル前置歪曲器の長所を全て有するとともに、従来のアナログフィードバック前置歪曲器の最も大きい長所である歪曲補正の誤差許用度が高い点も同時に有する。
図6は、本発明の一実施の形態による電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置100の動作過程を示す。このデジタルフィードバック線形化装置の動作過程は、図示したように大きく2段階に分けることができる。第1段階は、ルックアップテーブル114を具現する段階であって、例えば入力端に1からnまで大きさが順次に増加するトレーニング信号を入力させ、このときの前記差分と入力信号の絶対値とに基づいてルックアップテーブル114が得られる。ルックアップテーブル114は、収束過程を通じて、入力信号の大きさ対応するn個の量子化されたフィードバック信号e(t)を有する。第2段階は、電力増幅器10の線形化段階であって、図示したようにルックアップテーブル114を得るために必要であった通路は除去され、ルックアップテーブル114を利用することによって電力増幅器10は線形化される。通路の除去は、ハードウェアやソフトウェアを用いた切り替え動作によって実現できる。
一方、図4及び図5に示した本発明の他の実施の形態のデジタルフィードバック線形化装置の動作原理は、フィードバック参照信号y(t)をルックアップテーブル214により具現すること以外は、従来のアナログフィードバック前置歪曲器(図1)と同じである。下記の式2ないし6は、図4に示した本発明の他の実施例のデジタルフィードバック線形化装置200の動作原理を表す式であって、フィードバック参照信号y(t)が、式4によって、入力の大きさに対応してルックアップテーブル214において変化する。下記の式で、Aは電力増幅器自体の利得を表し、d(t)は電力増幅器による歪曲成分を、1/Kはフィードバック通路の減衰度を表す。
Figure 2005117613
前記式5で、図4の線形化装置がA>>Kに設計されれば、(K+A)≒Aと近似化し、その結果、式6を得る。式6から分かるように、歪曲成分d(t)はK/Aにより減衰(オフセット)されて線形化される。通常のフィードバック信号に代えて、ルックアップテーブル214によって選択決定されるフィードバック参照信号y(t)を用いることによって、デジタルフィードバック線形化装置の遅延誤差を防止できるので、従来のアナログフィードバック前置歪曲器の問題点である不安定性及び狭帯域性を十分に克服でき、式6のような線形化を具現できる。
図7及び図8を参照して、本発明によるデジタルフィードバック線形化装置と従来技術によるデジタル前置歪曲器との性能を比較した結果を示す。
図7は、ルックアップテーブル114,214を得る過程で従来のデジタル前置歪曲器と本発明によるデジタルフィードバック線形化装置(デジタルフィードバック前置歪曲器)との収束速度のシミュレーション結果を比較して示したグラフである。図7で、横軸はシミュレーションの反復回数を表し、縦軸は残留誤差を2乗したものであり、電力増幅器10の出力信号の線形化後に残っている歪曲程度を表す。図7に示されたように、本発明のデジタルフィードバック線形化装置が従来のデジタル前置歪曲器に比べて非常に優秀な収束特性をもっていることが示される。
図8Aは、上記のフィードバック信号e(t)において振幅の誤差が生じた時における、従来のデジタル前置歪曲器と本発明によるフィードバック線形化装置との出力信号の線形化後の歪曲程度のシミュレーション結果を比較して示した図面であり、図8Bは、上記のフィードバック信号e(t)において位相の誤差が生じた時における、従来のデジタル前置歪曲器と本発明によるフィードバック線形化装置との出力信号の線形化後の歪曲程度のシミュレーション結果を比較して示した図面である。図8A及び図8Bに示されるとおり、振幅誤差と位相誤差のどちらか生じた場合であっても、本発明の線形化装置が従来のデジタル前置歪曲器に比べて非常に低いレベルの歪曲特性を示すことが分かる。このような事実に照らして見る時、本発明によるデジタルフィードバック線形化装置は、優秀な歪曲相殺誤差許用度を有することを確認できる。
図7及び図8に示されたシミュレーション結果から分かるように、本発明によるデジタルフィードバック線形化装置は、従来のアナログフィードバック前置歪曲器の短所を補完でき、従来のデジタル前置歪曲器より収束速度及び誤差許用度に優れた特性を有する。すなわち、本発明によるデジタルフィードバック線形化装置は、従来のアナログフィードバック前置歪曲器の長所とデジタル前置歪曲器の長所をいずれも有していることが分かる。
以上、本発明の望ましい実施例について詳細に記述したが、当業者が特許請求の範囲に定義された本発明の精神及び範囲を外れることなく本発明を多様に変形または変更して実施できることは明らかである。
本発明は、デジタル信号処理技術及びフィードバック技術を利用するデジタルフィードバック前置歪曲装置に利用でき、安定性に優れ、広い動作帯域を有し、コスト及びサイズ競争力がある電力増幅器の線形化技術に適用しうる。
従来技術による電力増幅器線形化用の線形化装置であるアナログフィードバック前置歪曲器の構成図である。 本発明の一の実施形態による電力増幅器線形化用のデジタルフィードバック線形化装置の構成図である。 図2の線形化装置により具現される本発明の一実施形態である線形化方法のフローチャートである。 本発明の他の実施形態による電力増幅器線形化用のデジタルフィードバック線形化装置の構成図である。 図4の線形化装置により具現される本発明の他の実施形態である線形化方法のフローチャートである。 本発明による線形化装置の動作原理を説明するための図面である。 従来技術によるデジタル前置歪曲器と本発明によるデジタルフィードバック線形化装置の収束速度のシミュレーション結果を比較して示すグラフである。 フィードバック信号に振幅の誤差が生じた場合における、従来技術によるデジタル前置歪曲器と本発明によるデジタルフィードバック線形化装置の出力信号の線形化後の歪曲程度のシミュレーション結果を比較して示すグラフである。 フィードバック信号に位相の誤差が生じた場合における、従来技術によるデジタル前置歪曲器と本発明によるデジタルフィードバック線形化装置の出力信号の線形化後の歪曲程度のシミュレーション結果を比較して示すグラフである。
符号の説明
10 電力増幅器、
100,200 デジタルフィードバック線形化装置、
110,215 デジタル信号処理器、
112 入出力信号減算部、
114,214 ルックアップテーブル、
116,216 信号加算部、
118,218 出力信号減衰部。

Claims (12)

  1. 電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置において、
    前記電力増幅器の入力信号と出力信号との間の差分を生成するための入出力信号減算手段と、
    前記入出力信号減算手段の出力信号値である前記差分と、所定経路を通じて前記線形化装置に入力される入力信号x(t)の絶対値とに基づいて、前記入力信号x(t)に対応する逆歪曲フィードバック信号e(t)を抽出する逆歪曲フィードバック信号抽出手段と、
    前記入力信号x(t)に前記逆歪曲フィードバック信号e(t)を加算して、前記電力増幅器に入力される前置歪曲信号u(t)を生成する信号加算手段と、を含み、
    前記電力増幅器が、前記前置歪曲信号u(t)を入力信号として使用することによって、当該電力増幅器が線形化されることを特徴とするデジタルフィードバック線形化装置。
  2. 前記逆歪曲フィードバック信号抽出手段は、所定単位で順次に増加する前記入力信号x(t)の大きさに対応して量子化された複数の信号値で構成されたルックアップテーブルを含むことを特徴とする請求項1に記載のデジタルフィードバック線形化装置。
  3. 前記入出力信号減算手段、前記逆歪曲フィードバック信号抽出手段、及び前記信号加算手段は、デジタル信号処理器で構成されることを特徴とする請求項1に記載のデジタルフィードバック線形化装置。
  4. 前記電力増幅器の出力端と前記電力増幅器の入出力信号減算手段との間に介在されて前記電力増幅器の出力信号の大きさを調整する出力信号減衰手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のデジタルフィードバック線形化装置。
  5. 前記出力信号減衰手段は、前記出力信号のサイズを前記線形化装置の全体利得の逆数だけ減衰させることを特徴とする請求項4に記載のデジタルフィードバック線形化装置。
  6. 前記前置歪曲信号u(t)がフィードバックされて前記入力信号x(t)に再び加算される時の利得Guは、1に近似した値を有することを特徴とする請求項1に記載のデジタルフィードバック線形化装置。
  7. 電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置において、
    前記線形化装置に入力される入力信号x(t)の絶対値の大きさに対応して量子化された複数の信号値よりなるルックアップテーブルと、
    前記電力増幅器からフィードバックされる出力信号に関連するフィードバック出力参照信号y(t)を前記ルックアップテーブルで選択決定するためのフィードバック出力参照信号決定手段と、
    前記入力信号x(t)に前記フィードバック出力参照信号y(t)を加算して前記電力増幅器に入力される誤差信号x(t)を生成する信号加算手段と、を含み、
    前記電力増幅器が、前記誤差信号x(t)を入力信号として使用することによって、前記電力増幅器が線形化されることを特徴とするデジタルフィードバック線形化装置。
  8. 前記電力増幅器の出力信号の大きさを調整する出力信号減衰手段をさらに含み、
    前記出力信号減衰手段は、前記出力信号のサイズを前記線形化装置の全体利得の逆数だけ減衰させることを特徴とする請求項7に記載のデジタルフィードバック線形化装置。
  9. 前記電力増幅器自体の利得をAと表示し、前記増幅器による歪曲成分をd(t)と表示し、フィードバックによる減衰度を1/Kと表示し、前記電力増幅器の出力信号をy(t)と表示する時、下記のような式
    Figure 2005117613
    が成立することを特徴とする請求項7に記載の電力増幅器の線形化のためのデジタルフィードバック線形化装置。
  10. 電力増幅器の線形化のための線形化装置により具現されるデジタルフィードバック線形化方法において、
    (a)前記電力増幅器の入力信号と出力信号との間の差分を生成する段階と、
    (b)前記(a)段階で生成された前記差分と、所定経路を通じて前記線形化装置に入力される入力信号x(t)の絶対値とに基づいて、前記入力信号x(t)に対応する逆歪曲フィードバック信号e(t)を抽出する段階と、
    (c)前記入力信号x(t)に前記逆歪曲フィードバック信号e(t)を加算して、前記電力増幅器に入力される前置歪曲信号u(t)を生成する段階と、
    (d)前記電力増幅器が前記前置歪曲信号u(t)を入力信号として使用することによって、当該電力増幅器が線形化される段階と、を含むことを特徴とするデジタルフィードバック線形化方法。
  11. 前記(b)段階は、
    所定単位で順次に増加する前記入力信号x(t)の大きさに対応して量子化された複数の信号値で構成されたルックアップテーブルを作る段階と、
    前記ルックアップテーブルを通じて、前記入力信号x(t)に応じた前記逆歪曲フィードバック信号e(t)を抽出する段階と、を含むことを特徴とする請求項10に記載のデジタルフィードバック線形化方法。
  12. 電力増幅器の線形化のための線形化装置により具現されるデジタルフィードバック線形化方法において、
    前記線形化装置に入力される入力信号x(t)の絶対値の大きさに対応して量子化された複数の信号値よりなるルックアップテーブルを構成する段階と、
    前記電力増幅器からフィードバックされる出力信号と関連するフィードバック出力参照信号y(t)を前記ルックアップテーブルで選択決定する段階と、
    前記入力信号x(t)に前記フィードバック出力参照信号y(t)を加算して、前記電力増幅器に入力される誤差信号x(t)を生成する段階と、
    前記電力増幅器が前記誤差信号x(t)を入力信号として使用することによって、前記電力増幅器が線形化される段階と、を含むことを特徴とするデジタルフィードバック線形化方法。
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