JP2005116561A - テンプレート作成方法及び装置、位置検出方法及び装置、並びに露光方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 物体の位置情報を精度良く検出する。
【解決手段】 物体の撮像の際に撮像視野に入る可能性がある全領域において、一義的に特徴的であって、撮像視野に必ず入る領域に存在する画像パターンをテンプレートとして採用する(ステップ121〜129)。そして、実際の位置検出における撮像結果から位置検出用マークが認識できなかった場合に、撮像結果の画像とテンプレートとのテンプレートマッチングを行い、そのテンプレートマッチング結果に基づいて、位置検出用マークが認識できたときに得られる位置情報と等価な位置情報を検出する。したがって、位置検出用マークを検出できなかった場合であっても、要求される精度を満たしつつ、位置検出を実行することができる。
【選択図】 図10
【解決手段】 物体の撮像の際に撮像視野に入る可能性がある全領域において、一義的に特徴的であって、撮像視野に必ず入る領域に存在する画像パターンをテンプレートとして採用する(ステップ121〜129)。そして、実際の位置検出における撮像結果から位置検出用マークが認識できなかった場合に、撮像結果の画像とテンプレートとのテンプレートマッチングを行い、そのテンプレートマッチング結果に基づいて、位置検出用マークが認識できたときに得られる位置情報と等価な位置情報を検出する。したがって、位置検出用マークを検出できなかった場合であっても、要求される精度を満たしつつ、位置検出を実行することができる。
【選択図】 図10
Description
本発明は、テンプレート作成方法及び装置、位置検出方法及び装置、並びに露光方法及び装置に係り、より詳しくは、物体の観察結果の画像処理に使用するテンプレートを作成するテンプレート作成方法及びテンプレート作成装置、前記テンプレート作成方法によって作成されたテンプレートを使用して、物体の位置情報を検出する位置検出方法及び位置検出装置、並びに前記位置検出方法により検出された基板の位置情報に基づいて、基板に所定のパターンを形成する露光方法及び露光装置に関する。
従来より、半導体素子、液晶表示素子等を製造するためのリソグラフィ工程では、マスク又はレチクル(以下、「レチクル」と総称する)に形成されたパターンを投影光学系を介してレジスト等が塗布されたウエハ又はガラスプレート等の基板(以下、適宜「基板」又は「ウエハ」という)上に転写する露光装置が用いられている。こうした露光装置としては、いわゆるステッパ等の静止露光型の投影露光装置や、いわゆるスキャニング・ステッパ等の走査露光型の投影露光装置が主として用いられている。かかる露光装置においては、露光に先立ってレチクルとウエハとの位置合わせ(アライメント)を高精度に行う必要がある。
このためレチクルの位置検出及びウエハの位置検出を高精度で行う必要がある。かかる位置検出にあたって、レチクルに関しては、露光光を用いるものが一般的であり、露光光をレチクル上に描画されたレチクルアライメントマークに照射し、CCDカメラなどで撮像したレチクルアライメントマークの画像データを画像処理してマーク位置を計測するVRA(Visual Reticle Alignment)方式等が採用されている。また、ウエハのアライメントにあたっては、レーザー光をウエハ上のドット列状のウエハアライメントマークに照射し、そのマークにより回折または散乱された光を用いてマーク位置を検出するLSA(Laser Step Alignment)方式、ハロゲンランプ等を光源とする波長帯域幅の広い光で照明し、CCDカメラなどで撮像したアライメントマークの画像データを画像処理してマーク位置を計測するFIA(Field Image Alignment)方式等が採用されている。かかるウエハのアライメント方式では、近年におけるアライメント精度向上の要請から、マーク変形やレジストの塗りむら等に対して耐性の高いFIA方式が主流となっている。
こうしたFIAでは、ウエハの移動を規定する基準座標系とウエハ上のショット領域の配列に関する配列座標系(ウエハ座標系)との位置関係の高精度な検出(詳細(ファイン)アライメント)を行うために、ウエハ内の数箇所のファインアライメントマーク(回路パターンとともに転写された詳細位置合わせマーク)が計測される。そして、最小二乗近似等で各ショット領域の配列座標を求めた後、露光に際しては、その演算結果を用い、ウエハステージの精度に任せてステッピングを行うエンハンスト・グローバル・アライメント(以下、「EGA」という)が広く使われている。
かかるEGAのためには、ウエハ上の所定箇所に形成されたファインアライメントマークを高倍率で計測する必要があるが、高倍率で計測を行うには、観測視野が必然的に狭いものとなる。そこで、狭い観測視野で確実にファインアライメントマークを捉えるために、ファインアライメント計測に先立って、ファインアライメント計測における観察倍率よりも低倍率でウエハ上のマークを観察し、ファインアライメント計測よりも低い精度でウエハの位置情報の検出を行うサーチアライメント計測を行うことが一般的に行われている。
上述のように、サーチアライメント計測においては高精度が求められないため、一般にファインアライメント計測用よりも低倍率で観察が行われる。こうした場合、サーチアライメント計測の対象となるウエハ上のマークが、高倍率で観察すると認識できるが、サーチアライメント計測で用いられる低倍率で観察するのでは認識できないことがある。こうした場合に対応するために、サーチアライメント計測における観察領域内の観察像全体のテンプレート像を準備し、そのテンプレート像と観察結果の像とのテンプレートマッチングを行うことにより、サーチアライメント計測で求められる精度で、ウエハの位置情報を検出することが考えられる。
しかしながら、観察像全体についてテンプレートマッチングを行うための相関演算の演算量は一般に多く、2次元でテンプレートマッチングを行うとすれば、そのための演算量は膨大なものとなってしまう。さらに、テンプレート像を設計値から作成するのでは、観察時におけるデフォーカス状態の変動や、製造プロセスの変動に伴う、観察像の変動に対応できない。
本発明は、上記の事情のもとでなされたものであり、その第1の目的は、迅速に精度の良いテンプレートマッチングが可能なテンプレートを作成することができるテンプレート作成方法及びテンプレート作成装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、迅速に精度の良い位置検出が可能な位置検出方法及び位置検出装置を提供することにある。
また、本発明の第3の目的は、迅速に精度の良いパターン形成が可能な露光方法及び露光装置を提供することにある。
本発明のテンプレート作成方法は、物体(W)の観察結果の画像処理に使用するテンプレートを作成するテンプレート作成方法であって、前記物体の観察にあたり観察視野(VSA)に入る可能性のある第1所定領域(VMA)に形成されている形成パターンの観察結果と類似性が高いと推定される推定パターンを用意する推定パターン準備工程と;前記物体の観察にあたり必ず観察視野に入る第2所定領域(VNA)内の前記推定パターンにおいて特徴的なパターンを有するテンプレート領域候補を抽出するテンプレート領域候補抽出工程と;前記テンプレート領域候補それぞれの内部パターンが、前記形成パターンの観察結果の所定の変化範囲内で、前記形成パターンに対して一義的に特徴的なパターンであることの評価を行う評価工程と;前記評価工程における評価結果に基づいて、前記テンプレート領域候補の中からテンプレート領域を決定するテンプレート領域決定工程と;前記テンプレート領域の内部パターンに基づいて、テンプレートを決定するテンプレート決定工程と;を含むテンプレート作成方法である。
本発明のテンプレート作成方法では、推定パターン準備工程において、物体の観察にあたり観察視野に入る可能性のある第1所定領域に形成されている形成パターンの観察結果と類似性が高いと推定される推定パターンを用意する。ここで、「物体の観察にあたり観察視野に入る可能性のある第1所定領域」とは、例えば、カメラや顕微鏡等の観察装置による観察対象の物体の観察時ごとにおける観察装置と物体との位置合わせ誤差等に伴い、観察装置の観察視野に入ることがあり得る物体上の領域をいう。この第1領域は、通常、1回の観察において観察装置の観察視野に入る物体上の観察領域を含む、より大きな領域となる。
引き続き、テンプレート領域候補抽出工程において、物体の観察にあたり必ず観察視野に入る第2所定領域内の推定パターンにおいて特徴的なパターンを有するテンプレート領域候補を抽出する。ここで、「物体の観察にあたり必ず観察視野に入る第2所定領域」とは、例えば、カメラや顕微鏡等の観察装置による物体の観察時ごとに観察装置の観察視野に入る物体上の観察領域の共通領域をいう。この第2所定領域は、通常、1回の観察において観察装置の観察視野に入る物体上の観察領域に含まれる、より小さな領域となる。また、第2所定領域から抽出されるテンプレート候補領域は、さらに小さな領域となる。
次に、評価工程において、推定パターンの一部であるテンプレート領域候補それぞれの内部パターンが、例えば、物体における形成パターンの形成プロセスや、観察時におけるカメラ等のデフォーカス量の変動に伴って発生すると予想される観察結果の変化範囲内で、形成パターンに対して一義的に特徴的なパターンであるか否かの評価を行う。そして、テンプレート領域決定工程において、評価工程で行われたテンプレート候補領域それぞれの評価結果に基づいて、最適と評価されたテンプレート領域候補の中からテンプレート領域を決定し、テンプレート決定工程において、決定されたテンプレート領域の内部パターンをテンプレートとして決定する。
したがって、本発明のテンプレート作成方法によれば、少ない計算量で精度の良い画像処理を行うことができるテンプレートを作成することができる。
本発明のテンプレート作成方法では、前記推定パターンを、前記形成パターンに関する設計情報及び事前測定用物体の観察結果の少なくとも一方から求めることができる。
また、本発明のテンプレート作成方法では、前記テンプレート領域候補抽出工程が、前記推定パターンの画像を所定の大きさで切り出す領域窓を前記第2所定領域内で移動させつつ、移動位置それぞれにおいて前記領域窓によって切り出された画像における画素輝度の分散値を算出する分散値算出工程と;前記分散値算出工程で算出された分散値の分布を解析して、前記テンプレート領域候補の抽出用情報を求める分散値分布解析工程と;を含むこととすることができる。
ここで、前記テンプレート領域決定工程において、前記テンプレート領域を決定できなかったときには、前記所定の大きさよりも大きな大きさを新たな所定の大きさとして、前記テンプレート領域候補抽出工程、評価工程、及びテンプレート領域決定工程を実行することとすることができる。
また、本発明のテンプレート作成方法では、前記物体の観察を、結像光学系を介して結像された前記物体の像の撮像とし、前記所定の変化範囲を、前記結像光学系による前記物体の像の結像位置に対して発生し得る撮像面のデフォーカス量の変化範囲に応じた、前記観察結果の変化範囲であることとすることができる。
また、本発明のテンプレート作成方法では、前記テンプレートを、前記テンプレート領域の内部パターン、並びに、該内部パターンの特徴を反映した前記内部パターンの加工波形及び特性値の少なくとも1つを含むものとすることができる。
本発明のテンプレート作成装置は、物体(W)の観察結果の画像処理に使用するテンプレートを作成するテンプレート作成装置であって、前記物体の観察にあたり観察視野(VSA)に入る可能性のある第1所定領域(VMA)に形成されている形成パターンと類似性が高いと推定される推定パターンに基づいて、前記物体の観察にあたり必ず観察視野に入る第2所定領域(VNA)から、特徴的なパターンを有するテンプレート領域候補を抽出するテンプレート領域候補抽出装置(51)と;前記テンプレート領域候補それぞれの内部パターンが、前記形成パターンの観察結果の所定の変化範囲内で、前記形成パターンに対して一義的に特徴的なパターンであることの評価を行う評価装置(52)と;前記評価装置による評価結果に基づいて、前記テンプレート領域候補の中からテンプレート領域を決定し、該テンプレート領域の内部パターンに基づいて、テンプレートを決定するテンプレート決定装置(53)と;を備えるテンプレート作成装置である。
本発明のテンプレート作成装置では、テンプレート領域候補抽出装置が、物体の観察にあたり観察視野に入る可能性のある第1所定領域に形成されている形成パターンと類似性が高いと推定される推定パターンに基づいて、物体の観察にあたり必ず観察視野に入る第2所定領域から、特徴的なパターンを有するテンプレート領域候補を抽出する。引き続き、テンプレート領域候補それぞれの内部パターンが、形成パターンの観察結果の所定の変化範囲内で、形成パターンに対して一義的に特徴的なパターンであることの評価を、評価装置が行う。そして、テンプレート算出装置が、評価装置による評価結果に基づいて、テンプレート領域候補の中からテンプレート領域を決定し、該テンプレート領域の内部パターンに基づいて、テンプレートを算出する。
すなわち、本発明のテンプレート作成装置は、本発明のテンプレート作成方法を使用してテンプレートを作成する。したがって、本発明のテンプレート作成装置によれば、少ない計算量で精度の良い画像処理を行うことができるテンプレートを作成することができる。
本発明の位置検出方法は、物体(W)の位置情報を検出する位置検出方法であって、前記物体の観察結果の画像処理に使用するテンプレートを、本発明のテンプレート作成方法を使用して作成するテンプレート作成工程と;前記物体を観察する観察工程と;前記観察工程における観察結果と前記テンプレートとの位置関係を変化させつつ、前記位置関係それぞれにおける前記観察結果と前記テンプレートとのマッチング度を求めるテンプレートマッチング工程と;前記マッチング度の分布に基づいて、前記物体の位置情報を算出する位置情報算出工程と;を含む位置検出方法である。
本発明の位置検出方法では、まず、テンプレート作成工程において、物体の観察結果の画像処理に使用するテンプレートを、本発明のテンプレート作成方法を使用して作成する。引き続き、観察工程において物体を観察した後、テンプレートマッチング工程において、物体の観察結果とテンプレートとの位置関係を変化させつつ、該位置関係それぞれにおける観察結果とテンプレートとのマッチング度を求める。かかるマッチング度を求めるテンプレートマッチング演算は、テンプレートのデータ量が少なくなっていることから、その計算量が減少し、迅速に行うことができる。そして、位置情報算出工程において、マッチング度の分布に基づいて物体の位置情報が算出される。したがって、迅速にかつ精度良く物体の位置情報を検出することができる。
本発明の位置検出方法では、前記テンプレートを前記テンプレート領域の内部パターンとし、前記テンプレートマッチング工程において、前記観察結果と前記テンプレートとの正規化相互相関値を算出することとすることができる。
本発明の位置検出装置は、物体(W)の位置情報を検出する位置検出装置であって、前記物体の観察結果の画像処理に使用するテンプレートを作成する本発明のテンプレート作成装置(32)と;前記物体を観察する観察装置(AS)と;前記観察装置による観察結果と前記テンプレートとの位置関係を変化させつつ、前記位置関係それぞれにおける前記観察結果と前記テンプレートとのマッチング度を求めるテンプレートマッチング演算装置(56)と;前記マッチング度の分布に基づいて、前記物体の位置情報を算出する位置情報算出装置(57)と;を備える位置検出装置である。
本発明の位置検出装置では、本発明のテンプレート作成装置が、物体の観察結果の画像処理に使用するテンプレートを、本発明のテンプレート作成方法を使用して作成する。引き続き、観察装置が物体を観察した後、テンプレートマッチング演算装置が、物体の観察結果とテンプレートとの位置関係を変化させつつ、該位置関係それぞれにおける観察結果とテンプレートとのマッチング度を求める。そして、位置情報算出装置が、マッチング度の分布に基づいて物体の位置情報を算出する。すなわち、本発明の位置検出装置は、本発明の位置検出方法を使用して物体の位置情報を検出する。したがって、迅速にかつ精度良く物体の位置情報を検出することができる。
本発明の露光方法は、所定のパターンを基板(W)に形成する露光方法であって、前記基板の位置情報を本発明の位置検出方法によって検出する位置検出工程と;前記位置検出工程において求められた前記基板の位置情報に基づいて、前記基板の位置制御を行いつつ、前記所定のパターンを前記基板に形成するパターン形成工程と;を含む露光方法である。
本発明の露光方法では、位置算出工程において、本発明の位置検出方法を使用して、基板の位置情報を迅速かつ高精度で検出し、その検出結果に基づいて基板の位置情報を算出する。そして、パターン形成工程において、基板の位置情報に基づいて基板の位置合わせを行いつつ、基板にパターンを形成する。したがって、所定のパターンを迅速かつ精度良く基板に形成することができる。
本発明の露光装置は、所定のパターンを基板(W)に形成する露光装置であって、前記基板を搭載して移動面に沿って移動するステージ(WST)と;前記ステージに搭載された前記基板上の位置情報を検出する本発明の位置検出装置と;を備える露光装置である。
本発明の露光装置では、本発明の位置検出装置により、基板の位置情報を精度良く検出することができる。したがって、ステージ装置が、精度良く求められた基板の位置に基づいて基板を移動させることができる。この結果、迅速かつ精度良く、所定のパターンを基板上の区画領域に転写することができる。
本発明のテンプレート作成方法によれば、少ない計算量で精度の良い画像処理を行うことができるテンプレートを作成することができる。
また、本発明のテンプレート作成装置によれば、本発明のテンプレート作成方法を使用してテンプレートを作成するので、少ない計算量で精度の良い画像処理を行うことができるテンプレートを作成することができる。
また、本発明の位置検出方法によれば、本発明のテンプレート作成方法を使用して作成したテンプレートを用いて、物体の観察結果の画像を処理して物体の位置情報を検出するので、迅速にかつ精度良く物体の位置情報を検出することができる。
また、本発明の位置検出装置によれば、本発明のテンプレート作成装置によって作成されたテンプレートを用いて、物体の観察結果の画像を処理して物体の位置情報を検出するので、迅速にかつ精度良く物体の位置情報を検出することができる。
また、本発明の露光方法によれば、本発明の位置検出方法を使用して求めた基板の位置情報に基づいて、基板の位置制御を行うので、迅速かつ精度良く基板上にパターンを形成することができる。
また、本発明の露光装置によれば、本発明の位置検出装置によって求めた基板の位置情報に基づいて、基板の位置制御を行うので、迅速かつ精度良く基板上にパターンを形成することができる。
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図16を参照して説明する。
図1には、本発明の第1の実施形態に係る露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置である。この露光装置100は、照明系10、レチクルRを保持するレチクルステージRST、投影光学系PL、基板(物体)としてのウエハWが搭載されるステージとしてのウエハステージWST、観察装置(撮像装置)としてのアライメント検出系AS、及び装置全体を統括制御する主制御系20等を備えている。
前記照明系10は、光源、オプティカルインテグレータからなる照度均一化光学系、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド、及びダイクロイックミラー等(いずれも不図示)を含んで構成されている。ここで、オプティカルインテグレータとしては、フライアイレンズ、内面反射型インテグレータ、及び回折光学素子等を採用することができる。こうした照明系の構成は、例えば、特開平10−112433号公報に開示されている。この照明系10では、回路パターン等が描かれたレチクルR上のレチクルブラインドで規定されたスリット状の照明領域部分を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。
前記レチクルステージRST上にはレチクルRが、例えば真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、ここでは、リニアモータから成る不図示のレチクルステージ駆動部によって、レチクルRの位置決めのため、照明系10の光軸(後述する投影光学系PLの光軸AXに一致)に垂直なXY平面内で微少駆動可能であるとともに、所定の走査方向(ここではY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
レチクルステージRSTのステージ移動面内の位置はレチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、移動鏡15を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計16からのレチクルステージRSTの位置情報(又は速度情報)RPVはステージ制御系19を介して主制御系20に送られ、主制御系20は、この位置情報(又は速度情報)RPVに基づき、ステージ制御系19及びレチクルステージ駆動部(図示省略)を介してレチクルステージRSTを駆動する。
レチクルRの上方には、一対のレチクルアライメント系22(但し、図1では、紙面奥側のレチクルアライメント系は不図示)が配置されている。レチクルアライメント系22としては、レチクルR上のマークとウエハステージWST上の後述する基準マーク板FMに形成された第1基準マークとを同時に観察するTTR(Through The Reticle)方式が採用されている。これらのレチクルアライメント系22による観察結果(撮像結果)は主制御系20に供給されている。この場合、レチクルRからの検出光をレチクルアライメント系22に導くための不図示の偏向ミラーが移動自在に配置されており、露光シーケンスが開始されると、主制御系20からの指令により、不図示の駆動装置により偏向ミラーはそれぞれレチクルアライメント系22と一体的に露光光ILの光路外に退避される。
前記投影光学系PLは、レチクルステージRSTの図1における下方に配置され、その光軸AXの方向がZ軸方向とされている。投影光学系PLとしては、両側テレセントリックで所定の縮小倍率(例えば1/5、又は1/4)を有する屈折光学系が使用されている。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRの照明領域が照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のレチクルRの回路パターンの縮小像(部分倒立像)が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上に形成される。
前記ウエハステージWSTは、投影光学系PLの図1における下方で、不図示のベース上に配置され、このウエハステージWST上には、ウエハホルダ25が載置されている。このウエハホルダ25上にウエハWが例えば真空吸着等によって固定されている。ウエハホルダ25は不図示の駆動部により、投影光学系PLの光軸直交面に対し、任意方向に傾斜可能で、かつ投影光学系PLの光軸AX方向(Z方向)にも微動可能に構成されている。また、このウエハホルダ25は光軸AX回りの微小回転動作も可能になっている。
ウエハステージWSTは走査方向(Y軸方向)の移動のみならず、ウエハW上の複数のショット領域を前記照明領域と共役な露光領域に位置させることができるように、走査方向に垂直な方向(X軸方向)にも移動可能に構成されており、ウエハW上の各ショット領域を走査(スキャン)露光する動作と、次のショットの露光開始位置まで移動する動作とを繰り返すステップ・アンド・スキャン動作を行う。このウエハステージWSTはモータ等を含むウエハステージ駆動部24によりXY2次元方向に駆動される。
ウエハステージWSTのXY平面内での位置はウエハレーザ干渉計(以下、「ウエハ干渉計」という)18によって、移動鏡17を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)WPVはステージ制御系19を介して主制御系20に送られ、主制御系20は、この位置情報(又は速度情報)WPVに基づき、ステージ制御系19及びウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTの駆動制御を行う。
また、ウエハステージWST上のウエハWの近傍には、基準マーク板FMが固定されている。この基準マーク板FMの表面は、ウエハWの表面と同じ高さに設定され、この表面にはレチクルアライメント用の一対の第1基準マーク及びベースライン計測用の第2基準マークを含む様々なアライメント用の基準マークが形成されている。
前記アライメント検出系ASは、投影光学系PLの側面に配置され、本実施形態では、ウエハW上に形成されたストリートラインや位置検出用マーク(ファインアライメントマーク)を観測する結像式アライメントセンサから成るオフ・アクシス方式のアラインメント検出系が用いられている。このアライメント検出系ASの詳細な構成は、例えば特開平9−219354号公報に開示されている。アライメント検出系ASで観測されたウエハW上の観察領域の像データ(撮像データ)IMDは、主制御系20に供給される。
更に、本実施形態の露光装置100では、例えば特開平6−283403号公報等に開示されるように、投影光学系PLの結像面(XY平面)に向けて複数のスリットの像を形成するための結像光束を、光軸AXに対して斜め方向より照射する不図示の照射光学系と、それらの結像光束のウエハW表面での反射光束を受光する不図示の受光光学系とからなる斜入射方式の多点焦点位置検出系(フォーカスセンサ)が設けられている。
前記主制御系20は、図2に示されるように、主制御装置30と記憶装置40とを備えている。
前記主制御装置30は、(a)ステージ制御系19にステージ制御データSCDを供給する等して露光装置100の動作を制御する制御装置39と、(b)アライメント検出系ASから送られてきた撮像データIMDを収集する撮像データ収集装置31と、(c)収集された撮像データIMDに基づいて、テンプレートを作成するテンプレート作成装置32と、(d)収集された撮像データIMD、又は、収集された撮像データIMD及びテンプレート作成装置32によって作成されたテンプレートに基づいて、ウエハWの位置を算出する位置算出装置33とを備えている。なお、上記のアライメント検出系AS、撮像データ収集装置31、テンプレート作成装置32、及び位置算出装置33から位置検出装置が構成されている。
前記記憶装置40は、その内部に、撮像データ格納領域41と、テンプレート作成作業用格納領域42と、位置算出作業用格納領域43とを有している。
なお、図2においては、データの流れが実線矢印で示されるとともに、制御の流れが破線矢印で示されている。
前記テンプレート作成装置32は、図3に示されるように、(i)収集された撮像データIMDに基づいて、テンプレート候補領域を抽出するテンプレート領域候補抽出装置51と、(ii)抽出されたテンプレート領域候補内のパターンのテンプレートしての適性を評価する評価装置52と、(iii)評価装置52による評価結果に基づいて、テンプレートを決定するテンプレート決定装置53とを有している。
前記テンプレート作成作業用格納領域42は、テンプレート候補格納領域61と、評価結果格納領域62と、テンプレート格納領域63とを含んでいる。
なお、図3においても、図2と同様に、データの流れが実線矢印で示されるとともに、制御の流れが破線矢印で示されている。
前記位置算出装置33は、図4に示されるように、(i)撮像結果から後述するYマークSYM又はθマークSθM(図6参照)を認識できない場合に、撮像結果とテンプレートとのマッチング度を演算するテンプレートマッチング演算装置56と、(ii)テンプレートマッチング演算結果に基づいて、ウエハWの位置情報を算出する位置情報算出装置57とを有している。
前記位置算出作業用格納領域43は、位置情報算出用情報格納領域66と、位置情報格納領域67とを含んでいる。
なお、図4においても、図2と同様に、データの流れが実線矢印で示されるとともに、制御の流れが破線矢印で示されている。
なお、本実施形態では、主制御装置30を上記のように、各種の装置を組み合わせて構成したが、主制御系20を計算機システムとして構成し、主制御装置30を構成する上記の各装置の機能をプログラムによって実現することも可能である。
また、主制御系20を計算機システムとして構成した場合には、主制御装置30を構成する上記の各装置の後述する機能を実現するためのプログラムの全てを予め主制御系20に内蔵することは、必ずしも必須ではない。例えば、図1において点線で示されるように、主制御系20に関しては、必要となるプログラム内容を格納した記憶媒体91を用意するとともに、記憶媒体91からプログラム内容を読み出し可能であり、かつ、記憶媒体91を着脱可能な読み取り装置90を主制御系20に接続し、主制御系20が、読み取り装置90に装填された記憶媒体91から機能実現のために必要なプログラム内容を読み出して、そのプログラムを実行するように構成することができる。
また、主制御系20が接続された読み取り装置90に装填された記憶媒体91からプログラム内容を読み出して、内部にインストールする構成とすることができる。さらに、インターネット等を利用し、通信ネットワークを介して機能実現のために必要となるプログラム内容を主制御系20にインストールする構成とすることもできる。
なお、記憶媒体91としては、磁気的に記憶するもの(磁気ディスク、磁気テープ等)、電気的に記憶するもの(PROM,バッテリ・バックアップ付RAM,EEPROMその他の半導体メモリ等)、光磁気的に記憶するもの(光磁気ディスク等)、電気磁気的に記憶するもの(デジタルオーディオテープ(DAT)等)等、種々の記憶形態で記憶するものを採用することができる。
以上のように、機能を実現するためのプログラム内容を記憶した記憶媒体を使用したり、インストールしたりすることが可能なように構成することにより、後におけるプログラム内容の修正や、性能向上のためのバージョンアップ等を容易に行うことができるようになる。
次に、上述のようにして構成された本実施形態の露光装置100の動作について、主に図5を参照しつつ、適宜他の図面を参照して説明する。
まず、図5のステップ101において、新たなテンプレートの作成が必要であるか否かが判定される。かかる判定は、露光装置100にとって新たなデバイス製造工程で処理されたウエハWを露光する必要が生じたか否かによって行われる。ステップ101において肯定的な判定が行われた場合には、処理はサブルーチン102へ移行する。一方、否定的な判定がなされた場合には、処理はサブルーチン103へ移行する。以下、ステップ101において肯定的な判定が行われたとして説明する。
サブルーチン102においては、サーチアライメント用のテンプレート作成が行われる。
前提として、アライメント検出系ASのベースライン計測等の露光準備は行われているものとする。
また、テンプレート作成のために用いるウエハWTには、設計上は、図6(A)に示されるように、YマークSYM及びθマークSθMを含むサーチ・アライメントマークは、前層までの露光の際に、ウエハWTに転写形成されているものとする。なお、サーチ・アライメントマークは、ショット領域SAごとに付設されて転写形成されているが、本実施形態では、少ないマークの位置の検出によって精度良く、ウエハ・ローテーション及びウエハWTの中心位置を算出するために、図6(A)に示されるように、X方向間隔が長く、かつ、ウエハWTの中心位置からのY方向距離が長くなる2つのサーチ・アライメントマークをYマークSYMとθマークSθMとして採用しているものとする。
また、本実施形態では、サーチ・アライメントマーク、すなわちYマークSYM及びθマークSθMとして、図6(B)に示されるような、Y方向に沿って、X方向に延びるラインパターンSML1,SML2,SML3とスペースパターンSMS1,SMS2,SMS3,SMS4とが交互に並べられたラインアンドスペースマークを使用しているものとする。すなわち、ラインパターンSMLm(m=1〜3)の−Y方向側にはスペースパターンSMSmが形成されており、また、ラインパターンSMLmの+Y方向側にはスペースパターンSMSm+1が形成されている。なお、本実施形態では、サーチ・アライメントマークを、ラインが3本のラインアンドスペースマークとしているが、サーチ・アライメントマークとして採用されるラインアンドスペースマークにおけるライン本数は、3本に限定されるものではなく、他の本数であってもよい。また、本実施形態では、ライン間隔を異なるものとしたが、同一のライン間隔としてもよい。
また、上述したテンプレート作成のために用いるウエハWTが、ウエハステージWST上のウエハホルダ25にロードされているものとする。かかるウエハWTのロードは、主制御系20が不図示のウエハローダの制御系にウエハWTのロードを指示し、この指示に応じて、不図示のウエハローダが動作することにより行われる。
また、ウエハホルダ25にロードされたウエハWTについては、ウエハWTの外形の観測結果を基準としたいわゆるプリアライメントにより、その位置情報がある程度の精度で検出されているものとする。
また、ウエハWTにおけるYマークSYM及びθマークSθMの位置は、事前の測定等により既知であるものとする。
図5に戻り、サブルーチン102では、図7に示されるように、まず、ステップ111において、YマークSYMが本来的には含まれる領域(以下、「Yマーク領域」という)のテンプレート決定用撮像を、アライメント検出系ASにより行う。ここで、プリアライメントによるウエハWTの位置情報の検出誤差等による位置合わせ誤差を考慮したとき、後のサーチアライメント用の撮像において、図8において実線で示される撮像視野VSAが入り得る範囲である図8において点線で示されるウエハWT上の領域VMA(以下、「最大領域VMA」という)の撮像が行われる。なお、図8に示されるように、本実施形態においては、撮像視野VSAが、一辺の長さLの正方形状であり、後のサーチアライメント用の撮像における撮像位置合わせ誤差が、X軸方向で±ΔX、及び、Y軸方向で±ΔYであり、値L,ΔX,ΔYのいずれも設計情報から既知であるものとする。
ステップ111におけるテンプレート決定用撮像においては、まず、図9(A)に示されるように、撮像視野VSAが最大領域VMAの紙面左下側となる位置に、ウエハWTを移動させる。かかるウエハWTの移動は、ウエハ干渉計18によるウエハステージWSTの位置情報WPVに基づいて、主制御系20が、ステージ制御系19及びウエハステージ駆動部24を介して、ウエハステージWSTを移動させることによって行われる。
次に、アライメント検出系ASに対するウエハWTの表面位置をフォーカス位置とする。かかるフォーカス位置へのウエハWTの表面位置の位置合わせは、多点焦点位置検出系による検出結果に基づいて、主制御系20(より詳しくは、主制御装置30の制御装置39)が、ステージ制御系19を介してウエハホルダ25のZ位置を調整することにより行われる。
引き続き、フォーカス状態において、アライメント検出系ASがYマーク領域の撮像を行う。撮像結果は、撮像データIMDとして、主制御系20に供給される。主制御系20では、撮像データ収集装置31が、撮像データIMDを収集し、撮像位置情報及びデフォーカス情報とともに、撮像データ格納領域41に格納する。
次いで、デバイスの製造工程の変動に伴って発生すると予想されるウエハWT上に形成される膜厚の変動や、ウエハWTの表面位置のフォーカス位置合わせ誤差から予想されるデフォーカス量に基づいて、アライメント検出系ASに対するウエハWTの表面位置を、撮像時における最大の正デフォーカス量となると考えられる位置とする。かかるデフォーカス状態の発生は、多点焦点位置検出系による検出結果に基づいて、主制御系20(より詳しくは、主制御装置30の制御装置39)が、ステージ制御系19を介してウエハホルダ25のZ位置を調整することにより行われる。
引き続き、この最大の正デフォーカス状態において、アライメント検出系ASがYマーク領域の撮像を行う。撮像結果は、撮像データIMDとして、主制御系20に供給される。主制御系20では、撮像データ収集装置31が、撮像データIMDを収集し、撮像位置情報及びデフォーカス情報とともに、撮像データ格納領域41に格納する。
次に、デバイスの製造工程の変動に伴って発生すると予想されるウエハWT上に形成される膜厚の変動や、ウエハWTの表面位置のフォーカス位置合わせ誤差から予想されるデフォーカス量に基づいて、アライメント検出系ASに対するウエハWTの表面位置を撮像時における最大の負デフォーカス量となると考えられる位置とする。かかるデフォーカス状態の発生も、多点焦点位置検出系による検出結果に基づいて、主制御系20(より詳しくは、主制御装置30の制御装置39)が、ステージ制御系19を介してウエハホルダ25のZ位置を調整することにより行われる。
引き続き、この最大の負デフォーカス状態において、アライメント検出系ASがYマーク領域の撮像を行う。撮像結果は、撮像データIMDとして、主制御系20に供給される。主制御系20では、撮像データ収集装置31が、撮像データIMDを収集し、撮像位置情報及びデフォーカス情報とともに、撮像データ格納領域41に格納する。
次に、図9(B)に示されるように、撮像視野VSAが最大領域VMAの紙面右下側となる位置に、主制御系20がステージ制御系19及びウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTを移動させることにより、ウエハWTを移動させる。引き続き、図9(A)の位置の場合と同様にして、フォーカス状態、撮像時における最大の正のデフォーカス状態、及び撮像時における最大の負のデフォーカス状態それぞれにおいて、アライメント検出系ASがYマーク領域の撮像を行う。撮像結果は、撮像データIMDとして、主制御系20に供給され、撮像データ収集装置31が、撮像データIMDを収集し、撮像位置情報及びデフォーカス情報とともに、撮像データ格納領域41に格納する。
次いで、図9(C)に示されるように、撮像視野VSAが最大領域VMAの紙面右上側となる位置に、主制御系20がステージ制御系19及びウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTを移動させることにより、ウエハWTを移動させる。引き続き、図9(A)の位置の場合と同様にして、フォーカス状態、撮像時における最大の正のデフォーカス状態、及び撮像時における最大の負のデフォーカス状態それぞれにおいて、アライメント検出系ASがYマーク領域の撮像を行う。撮像結果は、撮像データIMDとして、主制御系20に供給され、撮像データ収集装置31が、撮像データIMDを収集し、撮像位置情報及びデフォーカス情報とともに、撮像データ格納領域41に格納する。
引き続き、図9(D)に示されるように、撮像視野VSAが最大領域VMAの紙面左上側となる位置に、主制御系20がステージ制御系19及びウエハステージ駆動部24を介してウエハステージWSTを移動させることにより、ウエハWTを移動させる。引き続き、図9(A)の位置の場合と同様にして、フォーカス状態、撮像時における最大の正のデフォーカス状態、及び撮像時における最大の負のデフォーカス状態それぞれにおいて、アライメント検出系ASがYマーク領域の撮像を行う。撮像結果は、撮像データIMDとして、主制御系20に供給され、撮像データ収集装置31が、撮像データIMDを収集し、撮像位置情報及びデフォーカス情報とともに、撮像データ格納領域41に格納する。
図7に戻り、次に、サブルーチン112において、Yマーク領域に応じたテンプレートを作成する。このサブルーチン112では、図10に示されるように、まず、ステップ121において、Yマーク領域における最大領域VMA内の画像が作成される。この画像作成は、テンプレート領域候補抽出装置51が、撮像データ格納領域41から上述したステップ111における撮像結果を読み出し、フォーカス状態、撮像時における最大の正のデフォーカス状態、及び撮像時における最大の負のデフォーカス状態それぞれにおける4つの撮像位置における撮像結果を合成して、フォーカス状態の最大領域VMA内画像(以下、「最大フォーカス画像」という)、撮像時における最大の正のデフォーカス状態の最大領域VMA内画像(以下、「最大正デフォーカス画像」という)、及び撮像時における最大の負のデフォーカス状態の最大領域VMA内画像(以下、「最大負デフォーカス画像」という)を作成する。
かかる最大領域VMA内の画像の作成では、撮像結果においてYマークSYMが認識できる場合には、YマークSYMの画像の各画素データを、YマークSYMの周囲の画像における画素データの平均値等で置き換える等して、YマークSYMを認識できない画像を合成する。一方、撮像結果においてYマークSYMが認識できない場合には、撮像結果の画像をそのまま使用して合成する。こうして合成された画像の一例が、図11に示されている。なお、図11では、回路パターンが形成されたチップ領域が斜線ハッチング部として表され、チップ領域間のストリートライン領域及びパターン非形成領域が非ハッチング部として表されている。また、図11には、Yマーク領域の撮像の際に、アライメント検出系ASとウエハWTとの位置合わせ誤差があったとしても必ず撮像視野VSA内に入るウエハWT上の領域(以下、「最小領域VNA」という)が、二点鎖線により併せて示されている。
図10に戻り、引き続き、ステップ122において、テンプレート領域候補抽出装置51が、図12に示されるテンプレート候補領域を抽出するための領域抽出窓WINの大きさを初期値に設定する。この領域抽出窓WINの大きさの初期値は、最大領域VMA内において設計上から期待される最大領域内パターンに基づいて、テンプレート領域として最小の大きさとなり得ると期待される大きさとして、予め求められたものを使用する。なお、領域抽出窓WINの大きさの初期値は、最小領域VNAの大きさよりも小さいものに設定される。
図10に戻り、次に、ステップ123において、テンプレート候補領域の抽出が行われる。かかるテンプレート候補領域の抽出においては、まず、テンプレート領域候補抽出装置51が、領域抽出窓WINが最小領域VNA内に全て含まれることを維持しつつ、最小領域VNA内において領域抽出窓WINを順次移動させる(図12参照)。そして、テンプレート領域候補抽出装置51は、領域抽出窓WINの移動の各位置ごとに、最大フォーカス画像おける領域抽出窓WIN内の画素データの分散値を算出する。ここで、分散値を算出するのは、最小領域VNA内において特徴的な画像形態となっている領域は、その領域画像の濃淡が大きく変化している領域であると考えられるからである。
こうして算出された分散値の分布に基づいて、テンプレート領域候補抽出装置51は、分散値の分布におけるピーク値がピーク以外の部分に値と比べて十分に大きくなっているピーク位置における領域領域抽出窓WIN内の領域を、テンプレート領域候補として抽出する。ここで、テンプレート領域候補は、必ず抽出されるとは限らず、また、テンプレート候補領域が抽出されたとしても、その数は1つのこともあれば、複数のこともある。なお、テンプレート候補領域として領域TMCA1,TMCA2,…,TMCAPが抽出されたとして、以下の説明を行う。
テンプレート領域候補抽出装置51は、こうして抽出されたテンプレート候補領域TMCA1,TMCA2,…,TMCAPの内のパターンTMC1,TMC2,…,TMCPを、テンプレート候補として、テンプレート候補格納領域61に格納する。また、テンプレート領域候補抽出装置51は、テンプレート候補領域TMCA1,TMCA2,…,TMCAPの位置及び形状の情報をテンプレート候補格納領域61に格納する。また、テンプレート領域候補抽出装置51は、最大フォーカス画像、最大正デフォーカス画像、及び最大負デフォーカス画像をテンプレート候補格納領域61に格納する。
図10に戻り、次に、ステップ124において、評価装置52が、抽出されたテンプレート候補TMAp(p=1〜P)それぞれのテンプレートとしての適格性を評価する。この評価においては、後述するサーチアライメントにおけるYマーク領域の撮像結果とテンプレートとのテンプレートマッチング演算結果からウエハWTの位置情報を精度良く検出可能であるかが評価される。すなわち、サーチアライメントにおけるYマーク領域の撮像結果が露光用ウエハWの位置合わせ誤差、ウエハW表面位置のアライメント検出系ASに対するデフォーカス量、及び前段階までの製造工程の変動に伴うウエハW表面の膜圧変動等が生じたとしても、Yマーク領域の撮像結果と採用したテンプレートとのテンプレートマッチング演算結果からウエハWの位置情報を精度良く検出可能であるかが評価される。
この評価において、評価装置52は、まず、テンプレート候補格納領域61からテンプレート候補TMC1,TMC2,…,TMCP、テンプレート候補領域TMCA1,TMCA2,…,TMCAPの位置情報、最大フォーカス画像、最大正デフォーカス画像、及び最大負デフォーカス画像を読み出す。引き続き、評価装置52は、テンプレート候補TMA1が最大領域VMA内に全て含まれることを維持しつつ、最大領域VMA内においてテンプレート候補TMC1を順次移動させる(図13参照)。そして、評価装置51は、テンプレート候補TMC1の移動の各位置ごとに、その位置における最大フォーカス画像とテンプレート候補TMC1との相関値を算出することにより、テンプレートマッチングを行う。この結果、テンプレート候補TMC1に関する、最大フォーカス画像に対する最大領域VMA内における相関値の分布(以下、「フォーカス相関値分布」という)が得られる。
引き続き、評価装置52は、上記の最大フォーカス画像の場合と同様にして、最大正デフォーカス画像及び最大負デフォーカス画像それぞれについて、最大領域VMA内においてテンプレート候補TMC1を順次移動させつつ、テンプレート候補TMC1の移動の各位置ごとに、その位置における画像とテンプレート候補との相関値を算出する。この結果、テンプレート候補TMC1に関する、最大正デフォーカス画像に対する最大領域VMA内における相関値の分布(以下、「正デフォーカス相関値分布」という)、及び、最大負デフォーカス画像に対する最大領域VMA内における相関値の分布(以下、「負デフォーカス相関値分布」という)が得られる。
次に、評価装置52は、(a)テンプレート候補TMC1に関するフォーカス相関値分布、正デフォーカス相関値分布、及び負デフォーカス相関値分布(以下、「三相関値分布」という)それぞれにおいて、明瞭な相関値ピークが1つ以上存在すること、(b)三相関値分布それぞれにおいて、最もピーク値が大きな相関ピーク(以下、「最大相関ピーク」という)のピーク値(以下、「最大相関ピーク値」という)が、最大相関ピーク領域以外の領域における相関値よりも十分に大きいこと、(c)三相関値分布それぞれの最大相関ピークが同一位置(サーチアライメントにおける要求精度の範囲内で同一位置)にあることの3つの評価基準によって、テンプレート候補TMC1のテンプレート適格性を評価する。テンプレート候補TMC1がこれらの評価基準の1つでも満たさないときは、評価装置52は、テンプレート候補TMC1がテンプレート適格性なしと評価する。一方、テンプレート候補TMC1がこれらの評価基準を全て満たせば、評価装置52は、テンプレート候補TMC1がテンプレート適格性ありと評価し、テンプレート候補TMC1を三相関値分布及びテンプレート候補領域TMCA1の位置情報とともに、評価結果格納領域62に格納する。
次いで、評価装置52は、上記のテンプレート候補TMC1の場合と同様にして、テレンプレート候補TMCA2,…,TMCAPそれぞれについてテンプレート適格性を評価する。そして、評価装置52は、テンプレート適格性があると評価されたテンプレート候補を、そのテンプレート候補に関する三相関値分布およびそのテンプレート候補に対応するテンプレート候補領域の位置情報とともに、評価結果格納領域62に格納する。
なお、評価装置52は、上記の評価の結果、テンプレート適格性のあるテンプレートがないと評価した場合には、テンプレート適格性があるテンプレート候補がなかった旨の情報を評価結果格納領域62に格納する。
また、上述したステップ123においてテンプレート候補領域が1つも抽出されなかった場合には、ステップ124においては上述のような評価を行わず、評価した結果、テンプレート適格性があるテンプレート候補がなかった旨の情報を、評価結果格納領域62に格納する。
次いで、ステップ125において、テンプレート決定装置53が、評価装置52による評価結果に基づいて、Yマーク領域に応じたテンプレートTMYを決定する。このテンプレートTMYの決定では、テンプレート決定装置53が、評価結果格納領域62から、評価装置52による評価結果を読み出す。読み出された評価結果において、テンプレート適格性があるテンプレート候補がなかった場合には、ステップ125の処理を終了し、処理がステップ126へ移行する。
一方、テンプレート適格性があると評価されたテンプレート候補が1つのみであった場合には、テンプレート決定装置53は、そのテンプレート候補をYマーク領域に応じたテンプレートTMYに採用することを決定する。引き続き、テンプレート決定装置53は、テンプレートTMYに応じたテンプレート候補領域の位置情報と、YマークSYMが認識されたときに求められるであろうYマーク位置情報との差異情報(以下、「Yマーク位置差異情報」という)を算出する。そして、テンプレート決定装置53は、決定されたテンプレートTMYを、Yマーク位置差異情報とともに、テンプレート格納領域63に格納する。
また、テンプレート適格性があると評価されたテンプレート候補が複数あった場合には、テンプレート決定装置53は、それらのテンプレート候補の内で総合的に最も一義性の高いテンプレート候補をYマーク領域に応じたテンプレートTMYに採用することを決定する。引き続き、テンプレート決定装置53は、テンプレートTMYに応じたテンプレート候補領域の位置情報と、YマークSYMが認識されたときに求められるであろうYマーク位置情報との差異情報(以下、「Yマーク位置差異情報」という)を算出する。そして、テンプレート決定装置53は、決定されたテンプレートTMYを、Yマーク位置差異情報とともに、テンプレート格納領域63に格納する。
引き続き、ステップ126において、テンプレートTMYを決定できたか否かが判定される。肯定的な判定がなされると、サブルーチン112が終了し、処理は図7のステップ113へ移行する。一方、否定的な判定がなされると、処理はステップ127へ移行する。以下、否定的な判定がなされ、処理がステップ127へ移行したとして説明する。
ステップ127においては、現在の領域抽出窓WINの大きさを拡大可能か否か、すなわち現在の領域抽出窓WINの大きさが最小領域VNAの大きさ以下か否かが判定される。否定的な判定がなされると、処理はステップ129へ移行する。一方、肯定的な判定がなされると、処理はステップ128へ移行する。この段階では、現在の領域抽出窓WINの大きさが初期値なので、肯定的な判定がなされ、処理は128へ移行する。
ステップ128では、テンプレート候補領域抽出装置51が、領域抽出窓WINの大きさを予め定められた割合で拡大する。なお、領域抽出窓WINの大きさの拡大は、拡大された領域抽出窓WINの大きさが最小領域VNAの大きさ以下となるように行われる。そして、処理がステップ123へ移行する。
以後、ステップ126において肯定的な判定がなされるか、ステップ127において否定的な判定がなされるまで、ステップ123〜128の処理が繰り返される。そして、ステップ126において肯定的な判定がなされると、サブルーチン112が終了し、処理は図7のステップ113へ移行する。一方、ステップ126において肯定的な判定がなされる前にステップ127において否定的な判定がなされると、ステップ129においてエラーフラグがオンに設定された後、サブルーチン112が終了し、処理は図7のステップ113へ移行する。
ステップ113おいては、サブルーチン112における処理によりYマーク領域に応じたテンプレートTMYが作成できたか否かの判定が、エラーフラグを参照することにより行われる。エラーフラグがオンであり、否定的な判定がなされた場合には、エラー処理を開始する。かかるエラー処理においては、まず、テンプレートTMYを作成できなかった旨が、露光装置100のオペレータに通知される。この通知を受けたオペレータは、アライメント検出系ASによる撮像倍率を変更して撮像範囲の拡大若しくは縮小、又はYマーク領域の位置をウエハWT上の別領域に設定する等して、再度ステップ111及びサブルーチン112の処理によるテンプレートTMYの作成を試みる。
一方、ステップ113において肯定的な判定がなされた場合には、処理がステップ114へ移行する。このステップ114では、ステップ111におけるYマーク領域の撮像と同様にして、θマークSθMが本来的には含まれる領域(以下、「θマーク領域」という)のテンプレート決定用撮像を、アライメント検出系ASにより行う。引き続き、サブルーチン115において、サブルーチン112のテンプレートTMYの作成処理と同様にして、θマーク領域に応じたテンプレートTMθの作成処理が行われる。
引き続き、ステップ116において、サブルーチン115における処理によりθマーク領域に応じたテンプレートTMθが作成できたか否かの判定が行われる。否定的な判定がなされた場合には、エラー処理を開始する。かかるエラー処理においては、上述したテンプレートTMYの場合と同様にして、まず、テンプレートTMθが作成できなかった旨が、露光装置100のオペレータに通知される。この通知を受けたオペレータは、アライメント検出系ASによる撮像倍率を変更して撮像範囲の拡大若しくは縮小、又はθマーク領域の位置をウエハWT上の別領域に設定する等して、再度ステップ114及びサブルーチン115の処理によるテンプレートTMθの作成を試みる。一方、肯定的な判断がなされると、サブルーチン102の処理を終了し、処理が図5のサブルーチン103へ移行する。
以下、Yマーク領域に応じたテンプレートTMY及びθマーク領域に応じたテンプレートTMθが作成され、テンプレート格納領域63に格納されたとして説明する。
サブルーチン103においては、露光対象のウエハWについてのサーチアライメントが行われる。
前提として、ウエハWは、上述したテンプレート作成用ウエハWTと同様の製造工程を経たものであるとする。
また、不図示のレチクルローダにより、レチクルステージRST上にウエハWに転写すべきパターンが形成されたレチクルRがロードされており、また、主制御系20の制御のもとで、レチクルアライメント及びアライメント検出系ASのベースライン計測が行われているものとする。
このような準備作業の終了後、サブルーチン103が開始される。このサブルーチン103では、図14に示されるように、ステップ131において、不図示のウエハローダの制御系にウエハWのロードを指示する。これにより、ウエハローダによって、ウエハWがウエハステージWST上のウエハホルダ25上にロードされる。
次に、ステップ132において、最初の位置検出対象であるYマークSYMの形成領域がアライメント検出系ASの撮像領域内に入るように、ウエハWを移動させる。かかるウエハWの移動は、ウエハ干渉計18によるウエハステージWSTの位置情報WPVに基づいて、主制御系20が、ステージ制御系19及びウエハステージ駆動部24を介して、ウエハステージWSTを移動させることによって行われる。
次いで、ステップ133において、制御装置39の制御のもとで、アライメント検出系ASが、YマークSYMを含む領域の撮像を行う。撮像結果は、撮像データIMDとして、主制御系20に供給される。主制御系20では、撮像データ収集装置31が、撮像データIMDを収集し、撮像データ格納領域41に格納する。
次に、ステップ134において、撮像結果中においてYマークSYMを認識できるか否かが判定される。かかる認定は、位置算出装置33のテンプレートマッチング装置56が、撮像データ格納領域41から撮像結果を読み出して解析することにより行われる。
ステップ134における判定が肯定的であった場合には、テンプレートマッチング演算装置56が撮像結果データを、YマークSYMを認識できた旨の情報とともに、位置情報算出用情報格納領域66に格納する。そして、処理はステップ135へ移行する。このステップ135では、位置情報算出装置57が、位置情報算出用情報格納領域66から撮像結果データを読み出し、従来から行われているYマークSYMに基づく位置情報算出を行う。このYマークSYMに基づく位置情報算出は当業者にとっては周知であるので、詳しい説明は省略する。
一方、ステップ134における判定が否定的であった場合には、処理はサブルーチン136へ移行する。このサブルーチン136では、図15に示されるように、まず、ステップ151において、撮像結果とテンプレートTMYとのテンプレートマッチング演算が行われる。かかるテンプレートマッチング演算では、まず、テンプレートマッチング演算装置56がテンプレート作成作業用格納領域42のテンプレート格納領域63からテンプレートTMY及びYマーク位置差異情報を読み出す。引き続き、テンプレートマッチング演算装置56が、テンプレートTMYが撮像視野VSA内に全て含まれることを維持しつつ、撮像視野VSA内においてテンプレートTMYを順次移動させる(図16参照)。
そして、テンプレートマッチング演算装置56は、テンプレートTMYの移動の各位置ごとに、その位置における撮像結果の画像とテンプレートTMYとの相関値を算出することにより、テンプレートマッチングを行う。この結果、テンプレートTMYに関する、撮像結果の画像に対する撮像視野VSA内における相関値の分布(以下、「位置情報算出用相関値分布」という)が得られる。テンプレートマッチング演算装置56は、こうして得られた位置情報算出用相関値分布を、Yマーク差異情報とともに位置情報算出用情報格納領域66に格納する。
次に、ステップ152において、位置情報算出装置57が、ステップ151におけるテンプレートマッチング結果に基づいて、ウエハWの位置情報を算出する。かかる位置情報の算出では、まず、位置情報算出装置57が、位置情報算出用情報格納領域66から位置情報算出用相関値分布を読み出す。引き続き、位置情報算出装置57は、位置情報算出用相関値分布の最大ピーク位置を求める。そして、位置情報算出装置57は、最大ピーク位置及びYマーク差異情報に基づいて、撮像結果からYマークSYMが認識できていれば求められたであろうYマークSYMの位置情報と等価なウエハWの位置情報を算出する。位置情報算出装置57は、求められたウエハWの位置情報を位置情報格納領域67に格納する。
こうしてステップ135におけるYマークSYMの位置又はサブルーチン136におけるYマークSYMの位置と等価な位置情報の検出が終了すると、処理はステップ137へ移行する。
次に、ステップ137〜141において、上述のステップ132〜136と同様にして、θマークSθMのY位置又はこれと等価な位置情報が検出される。そして、処理がステップ142へ移行する。このステップ142では、主制御系20が、上記の位置算出結果にもとづいて、サーチアライメントの検出精度でウエハ・ローテーションθsを算出する。かかるウエハ・ローテーションθsの算出が終了すると、サブルーチン103の処理が終了し、処理は図5のステップ104へ移行する。
次に、ステップ104において、主制御系20は、アライメント検出系ASの倍率を高倍率に設定し、この状態で、上記サブルーチン103で求められたウエハ・ローテーションθsを使用して、各サンプリング・マークがアライメント検出系ASの真下になる位置に、ウエハ干渉計18の計測値をモニタしつつウエハ駆動装置24を介してウエハステージWSTを順次位置決めしつつ、アライメント検出系ASを用いて各サンプリングマーク(ファインアライメントマーク)を検出する。この際、主制御系20では、各サンプリング・マークの検出時のアライメント検出系ASの計測値とそのときのウエハ干渉計18の計測値とに基づいて、各サンプリング・マークの座標位置を検出する。
引き続き、ステップ105において、主制御系20は、例えば特開昭61−44429号公報に開示されるような最小二乗法を用いた統計演算を行い、ウエハW上の各ショット領域の配列に関するローテーションθ、X,Y方向のスケーリングSX,SY、直交度ORT、X,Y方向のオフセットOX、OYの6つのパラメータを算出する。
次いで、ステップ106において、主制御系20は、上記6つのパラメータを所定の演算式に代入して、ウエハW上の各ショット領域の配列座標、すなわち重ね合せ補正位置を算出する。
なお、上記のステップ104,105,106の処理の具体的内容は、例えば上記特開昭61−44429号公報等に詳細に開示されており、公知であるから、詳細な説明については省略する。
その後、主制御系20では、求めた各ショット領域の配列座標と予め計測したベースライン距離とに基づき、ウエハW上の各ショット領域の露光のための走査開始位置にウエハWを順次ステッピングさせる動作と、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを走査方向に同期移動させつつレチクルパターンをウエハ上に転写する動作とを、繰り返して、ステップ・アンド・スキャン方式による露光動作を行う。これにより、ウエハWに対する露光処理が終了する。
以上説明したように、本実施形態では、サーチアライメントにおける位置検出用のYマークSYM(θマークSθM)を含む撮像の際に撮像視野に入る可能性がある全領域において、一義的に特徴的であって、撮像視野に必ず入る領域に存在するYマークSYM(θマークSθM)以外の画像パターンをテンプレートTMY(TMθ)として採用する。そして、サーチアライメントにおける撮像結果からYマークSYM(θマークSθM)が認識できなかった場合に、撮像結果の画像とテンプレートTMY(TMθ)とのテンプレートマッチングを行い、そのテンプレートマッチング結果に基づいて、YマークSYM(θマークSθM)が認識できたときに得られる位置情報と等価な位置情報を検出する。したがって、サーチアライメントにおける撮像結果から位置検出用のYマークSYM(θマークSθM)を検出できなかった場合であっても、サーチアライメントとして要求される精度を満たしつつ、サーチアライメントを実行することができる。
また、テンプレートの決定の際に、デバイスの製造工程の変動に伴うウエハWに形成される各種の膜厚の変動や撮像時におけるデフォーカス量の変動による撮像結果の変化に対するロバスト性を、これらの変動をデフォーカス量の変動に換算した換算デフォーカス量だけテンプレート作成用に行われる撮像におけるデフォーカス量を変化させて得られる複数の撮像結果画像の全てに対するテンプレートの一義性を評価することにより評価している。したがって、デバイスの製造工程の変動に伴って撮像結果が変化しても、精度良くウエハの位置情報を検出することができる。
また、テンプレートの決定に際に、テンプレート候補抽出用の領域抽出窓WIN内の画像における画素データの分散を求め、分散が大きな画像をテンプレート候補としている。したがって、撮像視野に必ず入るウエハW上の領域内における特徴的な画像パターンが存在する可能性のある領域を、簡易かつ迅速に抽出することができる。
また、本実施形態では、サーチアライメントにおいて位置検出用のYマークSYM(θマークSθM)が見つからなかった場合であっても、サーチアライメントを必要な精度で実行するので、歩留まり良く、所定のパターンをウエハW上に転写することができる。
なお、上記の実施形態では、テンプレートの作成にあたり実際の撮像結果を使用したが、ウエハに形成されるパターンの設計情報を使用してテンプレート作成を行うこともできる。
また、上記の実施形態では、領域抽出窓を矩形状としたが、ウエハに形成されるパターンの態様に応じて任意の適切な形状とすることができる。
また、上記の実施形態では、テンプレート候補領域内の全画像パターンをそのままテンプレートパターン候補としたが、テンプレート候補領域内の画像を加工処理したものをテンプレートとしてもよい。かかる加工処理の結果は、1次元情報であってもよいし、2次元情報であってもよい。
また、テンプレート候補領域内におけるS/Nや対称性等の画像特徴をテンプレート候補とすることもできる。
さらに、テンプレート候補領域内におけるS/Nや対称性等の複数の画像特徴を組合せたものをテンプレート候補とすることもできる。かかる組合せを最適化するためには、決定木(「吉田 他:属性の識別能力の局所性を考慮した確率的決定木の構築,人口知能学会誌、Vol.11,No.2,1996,pp264〜272」等を参照)を用いることができる。また、テンプレートの作成時間を併せて最適化するためには遺伝的アルゴリズム等を採用することが望ましい。
また、テンプレート候補領域内の画像における特徴的なパターン抽出を、ブロープ解析等により行ってもよい。
また、上記の実施形態では、走査型露光装置の場合を説明したが、本発明は、紫外線を光源にする縮小投影露光装置、波長10nm前後の軟X線を光源にする縮小投影露光装置、波長1nm前後を光源にするX線露光装置、EB(電子ビーム)やイオンビームによる露光装置などあらゆるウエハ露光装置、液晶露光装置等に適応できる。また、ステップ・アンド・リピート機、ステップ・アンド・スキャン機、ステップ・アンド・スティッチング機を問わない。
また、上記の実施形態では、露光装置におけるウエハ上のサーチ・アライメントマークの位置検出、及びウエハの位置合わせの場合を説明したが、本発明を適用したマーク検出、位置検出、及び位置合わせは、ウエハ上のファイン・アライメントマークの位置検出、及びウエハの位置合わせや、レチクル上のレチクルアライメントマークの位置検出、及びレチクルの位置合わせに用いることもできる。更に、露光装置以外の装置、例えば重ね合わせ計測装置等の顕微鏡等を使用した物体の観察装置、工場の組み立てライン、加工ライン、検査ラインにおける対象物の位置決め装置等における物体の位置検出やその物体の位置合わせにも利用可能である。
次に、本実施形態の露光装置及び方法を使用したデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造について説明する。
まず、設計ステップにおいて、デバイスの機能設計(例えば、半導体デバイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、マスク製作ステップにおいて、設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ウエハ製造ステップにおいて、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ウエハ処理ステップにおいて、上記のステップで用意されたマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路等を形成する。
このウエハ処理ステップは、例えば、半導体デバイスの製造にあたっては、ウエハの表面を酸化させる酸化ステップ、ウエハ表面に絶縁膜を形成するCVDステップ、ウエハ上に電極を蒸着によって形成する電極形成ステップ、ウエハにイオンを打ち込むイオン打込みステップといったウエハプロセスの各段階の前処理工程と、後述する後処理工程を有している。前処理工程は、ウエハプロセスの各段階において必要な処理に応じて選択されて実行される。
ウエハプロセスの各段階において、前処理工程が終了すると、レジスト処理ステップにおいてウエハに感光剤が塗布され、引き続き、露光ステップにおいて上記で説明した露光装置100によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。次に、現像ステップにおいて露光されたウエハが現像され、引き続き、エッチングステップにおいて、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材をエッチングにより取り去る。そして、レジスト除去ステップにおいて、エッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。
以上のようにして、前処理工程と、レジスト処理ステップからレジスト除去ステップまでの後処理工程とを繰り返し行うことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。
こうしてウエハ処理ステップが終了すると、組立ステップにおいて、ウエハ処理ステップにおいて処理されたウエハを用いてチップ化する。この組み立てには、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)やパッケージング工程(チップ封入)等の工程が含まれる。
最後に、検査ステップにおいて、組立ステップで作製されたデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷される。
以上のようにして、精度良く微細なパターンが形成されたデバイスが製造される。
32…テンプレート作成装置、51…テンプレート領域候補抽出装置、52…評価装置、53…テンプレート決定装置、56…テンプレートマッチング演算装置、57…位置情報算出装置、AS…アライメント検出系(観察装置)、VMA…最大領域(第1領域)、VNA…最小領域(第2領域)、VSA…撮像視野、W…露光用ウエハ(物体、基板)、WST…ウエハステージ(ステージ)、WT…テンプレート作成用ウエハ
Claims (12)
- 物体の観察結果の画像処理に使用するテンプレートを作成するテンプレート作成方法であって、
前記物体の観察にあたり観察視野に入る可能性のある第1所定領域に形成されている形成パターンの観察結果と類似性が高いと推定される推定パターンを用意する推定パターン準備工程と;
前記物体の観察にあたり必ず観察視野に入る第2所定領域内の前記推定パターンにおいて特徴的なパターンを有するテンプレート領域候補を抽出するテンプレート領域候補抽出工程と;
前記テンプレート領域候補それぞれの内部パターンが、前記形成パターンの観察結果の所定の変化範囲内で、前記形成パターンに対して一義的に特徴的なパターンであることの評価を行う評価工程と;
前記評価工程における評価結果に基づいて、前記テンプレート領域候補の中からテンプレート領域を決定するテンプレート領域決定工程と;
前記テンプレート領域の内部パターンに基づいて、テンプレートを決定するテンプレート決定工程と;を含むテンプレート作成方法。 - 前記推定パターンは、前記形成パターンに関する設計情報及び事前測定用物体の観察結果の少なくとも一方から求められる、ことを特徴とする請求項1に記載のテンプレート作成方法。
- 前記テンプレート領域候補抽出工程は、
前記推定パターンの画像を所定の大きさで切り出す領域窓を前記第2所定領域内で移動させつつ、移動位置それぞれにおいて前記領域窓によって切り出された画像における画素輝度の分散値を算出する分散値算出工程と;
前記分散値算出工程で算出された分散値の分布を解析して、前記テンプレート領域候補の抽出用情報を求める分散値分布解析工程と;を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のテンプレート作成方法。 - 前記テンプレート領域決定工程において、前記テンプレート領域を決定できなかったときには、前記所定の大きさよりも大きな大きさを新たな所定の大きさとして、前記テンプレート領域候補抽出工程、評価工程、及びテンプレート領域決定工程を実行する、ことを特徴とする請求項3に記載のテンプレート作成方法。
- 前記物体の観察は、結像光学系を介して結像された前記物体の像の撮像であり、
前記所定の変化範囲は、前記結像光学系による前記物体の像の結像位置に対して発生し得る撮像面のデフォーカス量の変化範囲に応じた、前記観察結果の変化範囲である、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のテンプレート作成方法。 - 前記テンプレートは、前記テンプレート領域の内部パターン、並びに、該内部パターンの特徴を反映した前記内部パターンの加工波形及び特性値の少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のテンプレート作成方法。
- 物体の観察結果の画像処理に使用するテンプレートを作成するテンプレート作成装置であって、
前記物体の観察にあたり観察視野に入る可能性のある第1所定領域に形成されている形成パターンと類似性が高いと推定される推定パターンに基づいて、前記物体の観察にあたり必ず観察視野に入る第2所定領域から、特徴的なパターンを有するテンプレート領域候補を抽出するテンプレート領域候補抽出装置と;
前記テンプレート領域候補それぞれの内部パターンが、前記形成パターンの観察結果の所定の変化範囲内で、前記形成パターンに対して一義的に特徴的なパターンであることの評価を行う評価装置と;
前記評価装置による評価結果に基づいて、前記テンプレート領域候補の中からテンプレート領域を決定し、該テンプレート領域の内部パターンに基づいて、テンプレートを決定するテンプレート決定装置と;を備えるテンプレート作成装置。 - 物体の位置情報を検出する位置検出方法であって、
前記物体の観察結果の画像処理に使用するテンプレートを、請求項1〜6のいずれか一項に記載のテンプレート作成方法を使用して作成するテンプレート作成工程と;
前記物体を観察する観察工程と;
前記観察工程における観察結果と前記テンプレートとの位置関係を変化させつつ、前記位置関係それぞれにおける前記観察結果と前記テンプレートとのマッチング度を求めるテンプレートマッチング工程と;
前記マッチング度の分布に基づいて、前記物体の位置情報を算出する位置情報算出工程と;を含む位置検出方法。 - 前記テンプレートは、前記テンプレート領域の内部パターンであり、
前記テンプレートマッチング工程では、前記観察結果と前記テンプレートとの正規化相互相関値を算出する、ことを特徴とする請求項8に記載の位置検出方法。 - 物体の位置情報を検出する位置検出装置であって、
前記物体の観察結果の画像処理に使用するテンプレートを作成する請求項7に記載のテンプレート作成装置と;
前記物体を観察する観察装置と;
前記観察装置による観察結果と前記テンプレートとの位置関係を変化させつつ、前記位置関係それぞれにおける前記観察結果と前記テンプレートとのマッチング度を求めるテンプレートマッチング演算装置と;
前記マッチング度の分布に基づいて、前記物体の位置情報を算出する位置情報算出装置と;を備える位置検出装置。 - 所定のパターンを基板に形成する露光方法であって、
前記基板の位置情報を請求項8又は9に記載の位置検出方法によって検出する位置検出工程と;
前記位置検出工程において求められた前記基板の位置情報に基づいて、前記基板の位置制御を行いつつ、前記所定のパターンを前記基板に形成するパターン形成工程と;を含む露光方法。 - 所定のパターンを基板に形成する露光装置であって、
前記基板を搭載して移動面に沿って移動するステージと;
前記ステージに搭載された前記基板上の位置情報を検出する請求項10に記載の位置検出装置と;を備える露光装置。
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