JP2005116462A - 電子放出素子とこれを用いた画像表示装置、及びこれらの製造方法 - Google Patents

電子放出素子とこれを用いた画像表示装置、及びこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 電子放出部材への電界集中が向上した電子放出素子を大面積の平面基板上の所望の位置に簡易に製造する方法を提供する。
【解決手段】 Agからなる導電層1を形成した基体4上に、SnO2からなる粒子2を分散させた分散液を塗布し、該粒子2を上記基体4表面に付着させ、加熱処理を施すことにより、導電層1を構成するAgを上記粒子2を介して該粒子2より析出させて、Agよりなるファイバー3を形成する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電界放出型陰極を用いた電子放出素子、該電子放出素子を用いてなる画像表示装置、及びこれらの製造方法に関する。
従来、電子放出素子の一種である電界放出型陰極としては、スピント(Spindt)型を始め、突起の先端から電子を放出させるタイプの陰極が種々提案されている。この中で突起として針状物を用いる方法が提案されており、例えば、Si針状構造を冷陰極部材に使用する電子放出素子(特許文献1)や、針状粒子のウイスカーを用いた電子放出素子(特許文献2)、さらにはカーボンナノチューブを用いた電子放出素子(特許文献3)が提案されている。また、これらの針状物を用いた電子放出素子により構成する画像表示装置も提案されている。
特開平8−255555号公報 特開2001−357771号公報 米国特許第5872422号明細書
前記した、従来の針状物の作製方法や配置方法は、大面積の平面基板を使用する画像表示装置を構成する際には、基板サイズが大きいことと相俟って、大型で高価な真空装置やガス配管等の設備、高周波電源や基板加熱機構等付随装置が必要である。そのため、最終的に画像表示装置が高価格となるという問題や、面内分布に優れた均質な電子放出素子の作製が困難であるという問題があった。また、一層の低コスト化のためには、電子放出素子の駆動電圧をより低減することが重要であり、そのためには、電子放出部材への電界集中を強める構造を実現する必要がある。
本発明の課題は、上記問題を解決し、電子放出部材への電界集中が向上した電子放出素子の構造、及び、該電子放出素子を大面積の平面基板上に均質に且つ安価に作製する製造方法を提供し、表示特性に優れた画像表示装置をより安価に提供することにある。
本発明の第1は、導電層と、該導電層に接触して配置された粒子と、該粒子に一端が接続された少なくとも金属から構成されるファイバーと、を有することを特徴とする電子放出素子である。
上記本発明の電子放出素子においては、下記の構成を好ましい態様として含む。
前記ファイバーを構成する金属がAgもしくはAgを主成分とするものである。
前記粒子が、少なくとも半導体、特にn型半導体からなる。
前記粒子が、少なくともSnO2からなる。
本発明の第2は、複数の電子放出素子と、発光体とを有する画像表示装置であって、該電子放出素子が、上記本発明の電子放出素子であることを特徴とする画像表示装置である。
本発明の第3は、導電層が配置された基体を用意する第1の工程と、
前記導電層に接触するように、粒子を配置する第2の工程と、
前記導電層と粒子が配置された基体にエネルギーを付与することによって、前記導電層を構成する材料を、前記粒子を介して、該粒子よりファイバー状に析出させる第3の工程と、
を有することを特徴とする電子放出素子の製造方法である。
上記本発明の電子放出素子の製造方法においては、下記の構成を好ましい態様として含む。
前記導電層が少なくとも金属から構成され、該金属が前記粒子よりファイバー状に析出する。
前記金属がAgもしくはAgを主成分とするものである。
前記粒子が、少なくとも半導体、特にn型半導体からなる。
前記粒子が、少なくともSnO2を含む。さらには、Sbを含む。
前記粒子の平均粒径が0.5μm以上である。
本発明の第4は、複数の電子放出素子と、発光体とを有する画像表示装置の製造方法であって、前記電子放出素子を、上記本発明の電子放出素子の製造方法により製造することを特徴とする画像表示装置の製造方法である。
本発明によれば、電界集中係数が高く、低い駆動電圧で良好な電子放出が得られる電子放出素子を、所望の位置に簡易に選択的に製造することができ、安価に提供することができる。さらに、該電子放出素子を用いた画像表示装置においては、面内での表示むらがなく、安定した画像を長期にわたって提供することができる。
以下に図面を参照して、本発明の実施の形態を例示的に詳しく説明するが、本発明は下記の実施の形態の構成の寸法、材質、形状、相対配置に限定されるものではない。
図1に、本発明の電子放出素子の一実施形態の断面模式図を、図2に該電子放出素子の製造工程の断面模式図をそれぞれ示す。図中、1は導電層、2は粒子、3はファイバー、4は基体である。
本発明の電子放出素子は、導電層1と、該導電層1に接触して配置された粒子2と、該粒子2に一端が接続された少なくとも金属から構成されるファイバー3とを有する。
また、本発明の電子放出素子の製造方法は、導電層1が配置された基体4を用意する第1の工程〔図2(a)〕と、導電層1に接続するように粒子2を配置する第2の工程〔図2(b)〕と、第2の工程の基体4にエネルギーを付与することによって、導電層1を構成する材料を、粒子2を介して、該粒子2よりファイバー状に析出させてファイバー3を形成する第3の工程〔図2(c)〕とを有する。以下に、本発明の電子放出素子及びその製造方法を、図2の製造工程に沿って詳細に説明する。
(第1の工程)
基体4上に導電層1を配置する。本発明において用いられる基体1は、導電層1に対して十分に高抵抗な材料で構成され、例えばガラス等の絶縁性の材料やp型半導体から構成される。
また、導電層1は、電子放出素子の電極であると同時に、ファイバー3の構成材料を提供する部材でもある。従って、電極としての優れた導電性を有していること、エネルギー付与により粒子2に移行してファイバー3として析出しやすいこと、が必要であり、少なくとも金属が好ましく用いられる。具体的には、Ag或いはPbが好ましく、特に、イオン化して粒子2に移行しやすいAgやAgを主成分とするものが好ましく用いられる。これら金属は、導電層1中に酸化物の状態で存在していても良く、さらには、導電層1は、上記金属以外にSやBなどを含有していても良い。
(第2の工程)
導電層1に接触して粒子2を配置する。図2においては、導電層1表面に粒子2を配置した形態を示す。このような形態は、粒子2を例えば所定の分散媒に分散させた分散液を導電層1上に塗布し、基体を加熱して分散媒を除去する、或いは、エアロゾルのような形態で導電層1上に粒子2を付与することもできる。
本発明にかかる粒子2は、エネルギー付与により、導電層1の構成材料を、粒子2の表面に移行させ、且つ析出させ得る材料で構成する。従って、導電性であることが好ましく、電子放出を安定に供給する観点から、少なくとも半導体で構成されていることが好ましく、特に、電子伝導性であるn型半導体が好ましく用いられる。さらに、当該半導体は、酸化物であることが好ましい。粒子2の構成材料として具体的には、Sn、Snの酸化物、或いは、さらにSbやBiなどを加えたものを用いる事ができる。特に、少なくともSnO2で構成されることが好ましく、さらには、Sbも含むことが好ましい。
本発明においては、ファイバー3を安定に析出させるためには、粒子2が、少なくともSnO2から構成され、望ましくはSnO2を主成分として構成(SnO2単体も含む)され、導電層1が少なくともAgから構成され、望ましくはAgを主成分として構成(Ag単体も含む)された組合せが好ましい。この組合せでは、析出するファイバー3が、Agの単結晶といえる程度に結晶性の高い状態で得られる。このような高結晶性のAgからなるファイバーでは、大きな放出電流を安定に放出することができる。特に、ファイバー3が結晶であることが耐熱性の観点から好ましい。
本発明にかかる粒子2は、球状もしくは略球状が好ましいが、中央部が凹状になった形状や中央部が貫通したドーナツ形状のもの、或いは、多面体や、内部が中空状態の円柱や立方体、さらにはこれらの形状に近似的な形状を含む。
粒子2を導電層1に接触して配置する方法としては、図2に示した導電層1表面に分散配置させる方法の他に、図3に示すように、導電層1の表面に凹部11を形成し、該凹部に粒子2の構成材料を配置、或いは埋め込むことにより粒子2としても良い。凹部11の形状は、図3に示す直方体形状に限らず、図4に示すような球状、図5に示すような半球状であっても良く、また、図4、図5に示すように、表面に凹部11が複数離散して配置された導電層1上に、粒子2の構成材料を被覆することで、凹部11において自己整合的に粒子2が形成されるようにしても良い。
本発明においては、図4、図5に示すように、粒子2が、表面に、柱状或いは薄片状、粒状の析出物12を有する形態も含み、本発明においては該析出物12を含めて粒子2とする。このような析出物12は、粒子2を導電層1に接触して配置する際の加熱工程や、後述するファイバー3を析出させるための加熱工程において析出し、多くは、導電層1を構成する材料と粒子2を構成する材料との相互作用で析出する。この形態では、粒子2とファイバー3の間に、析出物12が介在する場合もある。
本発明にかかる粒子2は、粒径が0.5μm以上とすることにより、ファイバー3の析出確率が高くなり、再現性良くファイバー3を形成することができる。また、電子放出素子のサイズにもよるが、画像表示装置に適用することを考慮すると、粒子2の電子放出素子として寄与させる粒径の上限は50μm以下であり、好ましくは1〜10μmの範囲とする。
本発明において粒子2の散布密度としては、好ましくは所望のエリアで設計上必要とする電流密度に対して、ある電子放出量を持った粒子上のファイバーを必要数配置することで決定すればよい。
本発明においては、粒子2にファイバー3の構成材料を含ませていても良く、この場合、ファイバー3の構成材料の粒子2中の含有量は0.1〜10質量%が好ましく、さらには、2〜7質量%が好ましい。
(第3工程)
導電層1及び粒子2を配置した基体4にエネルギーを付与して、導電層1の構成材料を、粒子2を介して、粒子2の表面から析出させ、ファイバー3を形成する。よって、係るファイバー3は導電層1を構成する材料から構成される。即ち、好ましくは金属、特にAgやPbであり、中でもAgが好ましい。付与するエネルギーとしては、熱が好ましく、好ましくは減圧雰囲気中で加熱することが好ましい。
当該工程で得られるファイバー3は、一端が粒子2に接続された細長い形状の物質であり、断面が長方形や多角形、円形などで、長さが断面サイズに比べて数倍以上長く、線状に伸びたものや、途中で分岐して伸びたもの、断面のサイズが部分的に変化しながら針状に伸びたもの、或いはこれらに近似的な形状のものを含む。また、ファイバー3は一つの粒子2から複数本析出する場合もあり、電子放出特性の均一性の観点からは、一つの粒子2から複数本析出することが好ましい。
ファイバー3の直径は1nm以上、100nm未満であることが好ましく、長さは1μm以上、100μm未満が好ましい。
上記したように、本発明の製造方法によれば、導電層1の構成材料が粒子2を介して粒子2から析出するため、導電層1を所望の領域にパターニングして選択的に配置することにより、粒子2を非選択的に分散させても、導電層1に接触した粒子2にのみファイバー3が選択的に析出する。よって、本発明によれば、電子放出部材であるファイバー3を所望の領域にのみ簡易に配置させることができる。
本発明では、粒子2より析出したファイバー3を電子放出部材として用いるため、粒子2による電界増倍効果に加え、電子放出部材がファイバー状であることによる電界増倍効果を得ることができ、よって、より低電圧で電子放出量を増加させることができ、電子放出効率が向上する。
本発明の電子放出素子は、少なくとも300〜1000程度の電界集中係数が得ら、下記近似式
β=2+h/r
(β:電界集中係数、h:突起の長さ、r:突起の曲率半径)
で計算した値とも近い値を示す。尚、hはファイバーの長さ、rはファイバー先端部の半径に相当する。
図6に、本発明の画像表示装置の一実施形態の表示パネルの断面模式図を、図7に該実施形態のグリッド上方から下方を見た際の平面模式図をグリッド電極を一部除去した状態で示す。図中、22は下部電極、23はグリッド電極、24はグリッド電極23の開口部、25は透明基板、26はアノード電極、27は蛍光体、28はブラックマトリクスである。また、図1、図2と同じ部材には同じ符号を付した。
図6、図7のパネルは、図1に示した構成の電子放出素子を基体4上に3行×3列で配置し、各素子から放出された電子の照射によって発光する発光体として蛍光体27が各素子の上方に配置されている。下部電極22は、各列の電子放出素子の導電層1を電気的に接続するための配線であり、導電層1の抵抗が十分に低い場合には、各列の素子の導電層1を直接接続して代替することも可能である。但し導電層1を直接接続した場合は図7の例のような短冊状グリッド電極では、電子の放出が所望の位置である短冊状グリッド電極の開口部と所望の位置でない短冊状グリッド電極間の隙間から生じる。従ってこのような場合は短冊状グリッド電極を採用せずに面状のグリッド電極(開口部はそのままで隙間をなくした図8のようなグリッド電極の構造)を採用することで効果を発揮する。また、本実施形態においては、素子毎に蛍光体27を配置し、各蛍光体間はブラックマトリクス28で遮光している。本実施形態においては、蛍光体27及びブラックマトリクス28はガラス等の透明基板25の内側に、アノード電極26を介して配置されている例を示した。この様な形態においては、アノード電極26は透明導電層を用いる。また、透明基板25の内側に、蛍光体27を配置し、さらにその内側にメタルバックと呼ばれる、アルミニウムなどからなるアノード電極26を配置した形態とすることもできる。このような形態であれば、高い電圧をアノード電極26に印加することができるので、画像表示装置の輝度を稼ぐ上で好ましい。
図6、図7の実施形態においては、各列の電子放出素子の導電層1をライン状の下部電極22で共通に接続し、該下部電極22の長手方向と直交する各電子放出素子行に沿って、各素子に対応する開口部24を有するライン状のグリッド電極23が素子の上方に配置されている。各下部電極22及びグリッド電極23にはそれぞれ個別に電圧を印加することができる。本実施形態においては、アノード電極26に所定の電圧を印加し、例えば、各下部電極22に変調信号を印加し、この変調信号の印加と同期させて、複数のグリッド電極23のうちの一つを選択して走査信号を印加することにより、所望の1行の電子放出素子のうちの所望の素子から電子を放出させ、放出電子をグリッド電極23の開口部24を通って対応する蛍光体27に照射させ、発光させることができる。そして、選択するグリッド電極23を順次切り換えることによって、1画面を表示することができる。尚、走査信号を下部電極22に、変調信号をグリッド電極23に印加する形態であっても良い。
また、上記では、電子を放出させる電子放出素子を選択するためにグリッド電極23を用いた例を示したが、本発明の画像表示装置はこの形態に限定されるものではない。例えば、いわゆる単純マトリクスの形態であっても良い。単純マトリクスの形態の場合には、基体4上に下部電極22と交差する(好ましくは直交する)選択電極を複数配列し、該選択電極と、下部電極22とに、上記走査信号、変調信号をそれぞれ印加することで、各電子放出素子の電子放出を選択することができる。
本発明の画像形成装置の製造工程においては、基体1と蛍光体27が配置される透明基板25とを接着するための加熱工程(いわゆる封着工程)や、画像表示装置の各部材に吸着されたガスを除去するためのベーキング工程などの加熱工程を有する。従って、これらの加熱工程を、電子放出素子におけるファイバー3の析出のための加熱工程とすることもできる。また、ファイバー3の析出のための工程に適用することのできる電界の印加は、上記封着工程を終えた後に、アノード電極26と導電層1との間に電圧を印加する、或いは、グリッド電極23と導電層1との間に電圧を印加することで適用することも可能である。
(実施例1)
図1の構成の電子放出素子を、図2の工程に従って作製した。
基体4として、p型のシリコン基板を用い、該基体4上に、導電層1として、Ag層をスクリーン印刷法で形成し(焼成後の膜厚:8μm)、次いで、導電層1を形成した基体4表面に、SnO2を主成分とする粒子(粒径:数nm〜数十nm程度)をエタノールやIPAなど数種類の有機溶剤や若干の水分を含んだ液(分散媒)に分散させた分散液をスプレー法にて塗布した。この時、分散液の分散媒は主として空中の液滴の状態で揮発し、またスプレーノズルの噴出口でも揮発することにより、SnO2を主成分とする粒子同士が凝集した凝集物(粒子2)が上記シリコン基板表面に付着した。この凝集物はSnO2の他にSb(アンチモン)も含むものを使用した。
また一定のエリアにスプレー塗布する粒子2の散布密度は、粒径が0.5μm以上の粒子において500個/mm2を目標に散布した結果、約700個/mm2の粒子を得た。粒子2の個数と粒径の関係は、粒径0.5μm以上をカウントして、粒径0.5μmから0.6,0.7,0.8,0.9,1.0…2.0μmと粒径が上昇するに従って粒子の個数は徐々に減少する傾向にあった。
上記基体4を約200℃で10分間保持して分散媒を除去した。
次いで、上記基体4に約350℃で1時間、真空加熱炉による熱処理を施すことにより、導電層1上の上記凝集物よりファイバー3を析出させた。析出したファイバー3を調べたところ、Agから形成されていた。基体4上の凝集物からなる粒子2の直径は数百nm〜数μmの大きさが有ったが、ファイバー3が形成された粒子2の直径は、0.5μm以上であった。さらに、粒子2の直径が1μm以上の場合、ファイバー3の出現確率が高く、特に、2μm以上になると、出現確率が100%に近くなった。
上記ファイバー3を形成した基体4を真空チャンバー内に配置し、基体4表面から1mm離した位置に内側に蛍光体27を配置したアノード電極26を配置し、アノード電極26と導電層1との間に電圧を印加したところ、アノード電極26と導電層1との間に5kVの電圧を印加すると、ファイバー3から電子が放出され、蛍光体27が明るく発光した。当該素子の電子放出は、長期にわたって安定しており、真空度が低くても安定に電子放出を行うことが確認された。
(実施例2)
図1の構成の電子放出素子を図2の工程に従って作製した。
基体4としてガラス基板を用い、その上に導電層1として、Ag層をスクリーン印刷法により形成した(焼成後の膜厚:3μm)。次に、上記導電層1を形成した基体4表面にSnO2からなる粒子2(粒径:3〜10μm)を多数スプレー法にて散布した。次いで、真空加熱炉により350℃で1時間の熱処理を施し、上記粒子2よりファイバー3を析出させた。ファイバー3は導電層1上の全ての粒子2に形成され、導電層1以外の基体4の表面に位置した粒子2からはファイバー3は形成されていなかった。また、ファイバー3の組成を分析したところ、Agが主体であることがわかった。Agの他にはファイバー表面の付着物として微量のC(カーボン)が検出された。この実施例で析出したファイバーを分析した限りではAgは単一材料であった。分析はTEMのEDXで材料の定性分析とともにTEMの電子線回折にて単結晶であることがわかった。しかし、他のファイバー全てもしくはファイバーの全長の全てがAgの単一材料である(表層に微量のC等を含む場合も含めて)とは言えず、他の成分としてSnやSbもしくはAgとSnの共晶物やその他がファイバー成分として検出される場合もある。被分析物であるファイバーはφ数十nmの直径で長さが数μm足らずの微細な析出物であるため、SEMに付属のEDXによる分析ではこれ以上詳しく判らなかった。
実施例1と同様に、得られた電子放出素子を真空チャンバー内に配置し、基体4表面から1mm離した位置に内側に蛍光体27を配置したアノード電極26を配置し、電子放出特性を評価した。その結果、アノード電極26と導電層1との間に5kV以上の電圧を印加すると、ファイバー3から電子が放出され、蛍光体27が明るく発光した。また、当該素子の電子放出は安定であり、真空度を下げても、長期にわたって安定な電子放出を得ることができた。
(実施例3)
図6、図7に示した表示パネルを作製し、本発明の画像表示装置を作製した。
基体1として、ガラス基板を用い、該基体1上にスクリーン印刷法により下部電極22として厚さ4μmのCu層を形成した。次いで、該下部電極22上に導電層1として厚さ4μmのAg層を形成し、実施例1と同様のSnO2粒子をスプレー法にて散布し、加熱処理により分散媒を除去した。
次いで、基体1表面から80μm離した位置に、開口部24を有するグリッド電極23を、該開口部24が各素子の導電層1に対応するように位置合わせをして配置させ、固定した。
次に、内側にアノード電極26と蛍光体27を有するガラス基板を透明基板25として、グリッド電極23より1.5mm離した上方に配置させ、基体1とグリッド電極23と透明基板25とを封着し、パネルを形成した。尚、後工程で、該パネル内を排気して大気圧以下とするため、透明基板25とグリッド電極23、グリッド電極23と基体1間には、不図示の大気圧支持構造を設けた。
上記パネルを350℃で1時間保持し、パネル内の壁面に吸着されたガスを除去すると同時に、導電層1上の粒子2からファイバー3を析出させた。この後、パネル内を大気から遮断する封止工程を施し、所望の真空度に維持した。また、パネル内の真空度を長期にわたり維持するためのゲッター処理を別途施した。当該パネルに駆動に必要な実装を施し、本発明の画像表示装置を作製した。
本実施例で作製した電子放出素子は、およそ5kV/mmの電界を印加すると、ファイバー3の先端部近傍から電子が放出する。また、一つのファイバー3の放出電流量はおよそ0.5μA(アノード電極26と導電層1間の電圧が10kV時)程度以上である。例えば、100μm×200μmの領域に粒子2を10個程度配置することにより、およそ25μA/mm2程度以上の放出電流密度が得られる。
上記電子放出特性を持つ素子を3×3個配置した表示パネルにおいて、中央部の素子だけ点灯させようとした場合には、例えば、アノード電極26に5〜10kVの電圧を印加した状態で、先ず、全素子を消灯状態とするために、全ての下部電極22の電位を10Vとし、全てのグリッド電極23を下部電極22よりも低い電位(例えば−10V)とする。その後、中央の下部電極22のみ−5Vとし、中央のグリッド電極23のみを5Vとすることで、中央部の素子にのみ電子を放出させることができる。
本実施例で得られた画像表示装置は、高輝度の画像を長期にわたって安定して表示することができた。
本発明の電子放出素子の一実施形態の断面模式図である。 図1の電子放出素子の製造工程の断面模式図である。 本発明の電子放出素子の他の実施形態の断面模式図である。 本発明の電子放出素子の他の実施形態の断面模式図である。 本発明の電子放出素子の他の実施形態の断面模式図である。 本発明の画像表示装置の一実施形態の表示パネルの断面模式図である。 図6の表示パネルのグリッド電極上方から見た平面模式図である。 図6の表示パネルのグリッド電極上方から見た平面模式図である。
符号の説明
1 導電層
2 粒子
3 ファイバー
4 基体
11 凹部
12 析出物
22 下部電極
23 グリッド電極
24 開口部
25 透明基板
26 アノード電極
27 蛍光体
28 ブラックマトリクス

Claims (15)

  1. 導電層と、該導電層に接触して配置された粒子と、該粒子に一端が接続された少なくとも金属から構成されるファイバーと、を有することを特徴とする電子放出素子。
  2. 前記ファイバーを構成する金属がAgもしくはAgを主成分とするものである請求項1に記載の電子放出素子。
  3. 前記粒子が、少なくとも半導体からなる請求項1または2に記載の電子放出素子。
  4. 前記半導体がn型半導体である請求項3に記載の電子放出素子。
  5. 前記粒子が、少なくともSnO2からなる請求項3に記載の電子放出素子。
  6. 複数の電子放出素子と、発光体とを有する画像表示装置であって、該電子放出素子が、請求項1〜5のいずれかに記載の電子放出素子であることを特徴とする画像表示装置。
  7. 導電層が配置された基体を用意する第1の工程と、
    前記導電層に接触するように、粒子を配置する第2の工程と、
    前記導電層と粒子が配置された基体にエネルギーを付与することによって、前記導電層を構成する材料を、前記粒子を介して、該粒子よりファイバー状に析出させる第3の工程と、
    を有することを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  8. 前記導電層が少なくとも金属から構成され、該金属が前記粒子よりファイバー状に析出する請求項7に記載の電子放出素子の製造方法。
  9. 前記金属がAgもしくはAgを主成分とするものである請求項8に記載の電子放出素子の製造方法。
  10. 前記粒子が、少なくとも半導体からなる請求項7〜9のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  11. 前記半導体がn型半導体である請求項10に記載の電子放出素子の製造方法。
  12. 前記粒子が、少なくともSnO2を含む請求項10に記載の電子放出素子の製造方法。
  13. 前記粒子が、さらに、Sbを含む請求項12に記載の電子放出素子の製造方法。
  14. 前記粒子の粒径が0.5μm以上である請求項7〜13のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
  15. 複数の電子放出素子と、発光体とを有する画像表示装置の製造方法であって、前記電子放出素子を、請求項7〜14のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法により製造することを特徴とする画像表示装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008288073A (ja) * 2007-05-18 2008-11-27 Chiba Univ 電界放出素子、この電界放出素子を備えた電子デバイス、及び、電界放出素子の製造方法

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