JP2005116190A - 車両用前照灯 - Google Patents

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Takashi Osawa
孝 大沢
Keiko Konishi
啓子 小西
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Abstract

【課題】 充分な強度を有しながら軽く安価に構成され、また光源から下方へ放射される光を用いて効率よく照射することができ、しかも操舵操作に基づいて照射方向を変化させる。
【解決手段】 光源6から放射された光を反射して前方へ導く上部反射鏡2から成る上部反射鏡式光学系と、光源6から下方へ放射された光を反射する下部反射鏡3および当該反射された光を前方へ導く凸レンズ8を有するプロジェクタ式光学系4とを備え、上部反射鏡2をマウント部材5の上面の支持孔5cと底面の支持孔5dの二箇所で回動自在に支持する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、車両の操舵に合わせて照射方向を変更するAdaptive Front Lighting System(以下、AFSと記載する)を備える車両用前照灯に関するものである。
従来の車両用前照灯は、反射鏡を水平線で上下に2分割した固定配光用リフレクタと可動配光用リフレクタによって構成し、下側の固定配光用リフレクタの反射光によって基本配光パターンを得ている。また、上側の可動配光用リフレクタは、光源を通る垂直線上に可動配光用リフレクタの上面から突出させた回動軸を設け、この回動軸によって可動配光用リフレクタを軸支している。このように構成された車両用前照灯は、操舵角信号や車速信号などのデータを入力した駆動回路が、上側の可動配光用リフレクタに連結されたモータの回転方向と回転量を演算して当該モータを回転させ、上側の可動配光用リフレクタを所定方向に所定角度回転させ、車両の旋回方向への照射を可能にしている(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の車両用前照灯は、ハウジングの前面にアウタレンズを、またハウジング内部に固定リフレクタを設け、固定リフレクタの中心に光源を取り付ける。光源の上部以外をシェードで覆い、固定リフレクタの光軸より上側に、光軸を通る垂直平面上に存在する一つの回転軸を中心にして左右方向に回転する可動リフレクタを形成する。可動リフレクタは、その上部に取り付けられたシャフトに連結されたステッピングモータによって回動する。このシャフトは光源の中心よりも所定量だけ後方へオフセットした回動軸となり、例えば可動リフレクタを右側へ回動させると、可動リフレクタの配光パターンは右側へ移動しながら右端が上方へそり上がるようにしている(例えば、特許文献2参照)。
また、従来の車両用前照灯には、次のような形状の上部反射鏡と下部反射鏡とを一体に形成させたものがある。上部反射鏡は、反射面の形状を長軸方向において回転楕円面を半裁し、かつ略上半分を残した形状とする。また下部反射鏡は、反射面の形状を回転方物面の略下半分を残した形状とする。上部反射鏡と下部反射鏡とを一体形成させたものは、各反射面の光軸が一致するように、また上部反射鏡の焦点と下部反射鏡の焦点が一致するように形成させる。光源から出射し、上部反射鏡にて反射された光束は、前述の焦点で集光し、遮光体によりビームスポットの下方の一部が遮られる。遮光体を過ぎた光束は投影レンズへ入射し、遮光体を前方に投影することにより、所望の配光パターンを得ている。また、光源から出射し、下部反射鏡にて反射された光束は、前述の光軸と平行な光束になり、透過光を左右方向に拡散させるカバーレンズへ入射し、所望の配光パターンで照射される。このようにして、配光パターンを得る場合のカバーレンズの役割を小さくしている(例えば、特許文献3参照)。
また、他の従来の車両用前照灯には、回転楕円面状の第一反射鏡の第一の焦点に光源を設置し、この第一反射鏡の前方に投影レンズを設置したものがある。第一反射鏡の一部には開口部が設けられ、この開口部を塞いで第一反射鏡の外部に出射する光を遮断する第二反射鏡が設けられる。第一反射鏡の外部には、投影レンズを通さずに前方に光を照射する第三反射鏡が設置される。すれ違いビーム配光時には、第二反射鏡が開口部を塞いで第一反射鏡の外部へ向かう光を遮断し、第一反射鏡と第二反射鏡によってすれ違い配光パターンを形成する。走行ビーム配光時には、第二反射鏡が開口部を開口して第三反射鏡へ光を到達させ、第三反射鏡による反射光によって走行ビーム配光を形成する(例えば、特許文献4参照)。
特開平8−183385号公報(第2,3頁、図1〜図3) 特開2002−260416号公報(第3頁、図1,図5) 特開平1−159901号公報(第3,4頁、図1〜図3) 特開2000−215717号公報(第3頁、図1,図2,図6)
従来の車両用前照灯は、以上のように構成されているので、反射鏡の分割部分で光が損失し、また、回動する上部反射鏡を当該反射鏡の上側に設けられた軸受けにて支持する片持ち構造となるため、支持する反射鏡に対して充分な強度を有するように軸受けを設けると、大きな部材が必要になると共に製造コストが高くなるという課題があり、これは、片持ち構造として光源の中心を通らない中心軸にて反射鏡を回動させ、路肩方向の照射範囲を拡張させるようにしたものでも同様である。また、前照灯の上側にプロジェクタ光学系を備えると、重心が高くなって反射鏡などの支持が困難になると共に、反射鏡等を回動させることが困難になるという課題があった。また、光源より下側に反射鏡を備えず、プロジェクタ系のランプによって配光させていることからわかるように、反射鏡下側の反射光をすれ違い時の配光パターンとすることが困難で、光源から下方へ放射された光を有効に使用することが難しいという課題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、充分な強度を有しながら軽く安価に構成され、また光源から下方へ放射される光を用いて効率よく照射することができ、しかも操舵操作に基づいて照射方向を変化させることのできる車両用前照灯を得ることを目的とする。
この発明に係る車両用前照灯は、光源から放射された光を前方へ導く上部反射鏡式光学系と、光源から下方へ放射された光を反射する下部反射鏡および当該反射された光を前方へ導く凸レンズを有するプロジェクタ式光学系とを備えたものである。
この発明によれば、光源から放射された光を前方へ導く上部反射鏡式光学系と、光源から下方へ放射された光を反射する下部反射鏡および当該反射された光を前方へ導く凸レンズを有するプロジェクタ式光学系とを備えたので、光源から下方へ放射された光を有効に用いることができるという効果がある。
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による車両用前照灯の構成を示す側面図である。前照灯1は、車両の車幅方向、即ち左右方向に回動する上部反射鏡2と、光源6から下方へ放射された光を反射する下部反射鏡3および該反射された光を前方へ導く凸レンズ8(図4参照)を有するプロジェクタ式光学系4とを備えている。また、プロジェクタ式光学系4は、凸レンズ8を透過して上方へ向う光を遮光するシェード(遮光板,図4参照)9を内部に有し、例えば、図中破線で示した取り付け孔5aに挿入されたボルト等が締結され、マウント部材5に取り付けられる。
マウント部材5は、例えば、前述の取り付け孔5aや、上方へ突出させた上端部位に設けた取り付け孔5bとを用いて、ボルト等を締結することにより車両のヘッドランプケースに固定される。また、マウント部材5は、側方視した横断面が、図1に示したように略コの字状の形状をしており、略コの字状を成す上面に上部反射鏡2を回動自在に支持する支持孔(支持手段)5cと、略コの字状を成す底面に上部反射鏡2を支持する支持孔(支持手段)5dとを備える。支持孔5cと支持孔5dは、前照灯1を正面視したとき光源中心6aを通る中心線AA´が貫通する位置に設けられる。中心線AA´は、後述するように上部反射鏡2の回動中心を示す回動軸で、光源中心6aを通って前照灯1の上下方向に延びる中心線である。
光源6は、例えば放電管等の光源で、前照灯1の中心を通って水平に当該前照灯1の前後方向に延びる中心線BB´が貫通するように配置され、また、光源6の光源中心6aが中心線AA´と中心線BB´との交点に位置するように配置される。駆動手段7は、例えばマウント部材5の下方に配置され、支持孔5dを貫通して下方へ突出している上部反射鏡2の部位に連結され、この部位を駆動して上部反射鏡2を回動させる。
図2は、実施の形態1による車両用前照灯の上部反射鏡の構成を示す正面図である。この図は、図1に示した上部反射鏡2の反射面を示した概略図で、左側通行用の反射面を有するものを例示したものである。上部反射鏡2は、概ねすり鉢状の内壁面の上側半分に反射面23を設けた凹面反射鏡である。上部反射鏡2の反射面23は、前照灯1を正面視したとき光源中心6aを通って水平に前照灯1の左右方向に延びる中心線CC´を境界とする上側半分に設けられ、さらに図中光源中心6aの左側となる部分では、中心線CC´の下方まで拡張して設けられる。つまり反射面23は、図中右側となる部分では上部反射鏡端部2bから上側に設けられる。また、図中左側となる部分では光源中心6aの下方まで拡張され、上部反射鏡端部2aから上側に設けられる。このように反射面23を形成して、対向車側に照射する光が上方へ向かわないように抑制すると共に、左の路側を比較的高い位置まで広く照射する配光パターン、即ち左側通行のすれ違い用配光パターンを形成させる。なお、図2では図示を省略しているが、光源中心6a近傍には光源6の他に、プロジェクタ式光学系4が配置され、この部分には反射面23が形成されない。
上部反射鏡2は、上面に円柱状の突起(支持手段)21を備え、底面に円柱状の突起(支持手段)22を備える。突起21,22は、光源中心6aを通り前照灯1の上下方向に延びる中心線AA´が貫通する位置に設けられる。突起21は、図1に示したマウント部材5の支持孔5cに挿入され、突起22は支持孔5dに挿入される。マウント部材5は、このように支持孔5c、5dを設けた二箇所の部位で上部反射鏡2を支持する。即ち、マウント部材5は、光源中心6aを通る中心線AA´を軸として上部反射鏡2を軸支する。突起21,22は、支持孔5c、5dへ挿入した状態で、上部反射鏡2が回動自在となる寸法で形成されたものである。また、上部反射鏡2の下方の支持に用いられる突起22は、支持孔5dへ挿入された状態で、支持孔5d下方へ突出し、駆動手段7へ連結できる長さを有する。
図3は、実施の形態1による車両用前照灯の構成を示す説明図である。この図は、前照灯1を前方から斜視したときの上部反射鏡2と下部反射鏡3の位置関係を示した概略図で、上部反射鏡2と下部反射鏡3の配置が、わかり易くなるように上部反射鏡2の一部を削除して示したものである。図3に示した上部反射鏡2は、図2を用いて説明したように構成されたものである。下部反射鏡3は、前照灯1の前側となる開口部分が上部反射鏡2に比べて狭く形成されたもので、概ねすり鉢状の内壁面に反射面を備えた凹面鏡の下側半分の形状を有する。上部反射鏡2は、前述のように図中右側の上部反射鏡端部2bが中心線CC´と重なり、図中左側の上部反射鏡端部2aが中心線CC´より下方となる。このような上部反射鏡2の形状に合わせて、下部反射鏡3の形状は、図中右側となる下部反射鏡端部3bが中心線C1C1´と重なるように、図中左側となる下部反射鏡端部3aが中心線C1C1´より下方となるように形成される。
中心線C1C1´は、前照灯1の左右方向に水平に延びる仮想の直線である。図3では、上部反射鏡端部2aと上部反射鏡端部2bが異なる高さで、また下部反射鏡端部3aと下部反射鏡端部3bが異なる高さであることをわかり易くするため、中心線CC´と中心線C1C1´を離して図示したが、これらの中心線は前照灯1の上下方向において同様な高さに在るもので、好ましくは前照灯1の上下方向において重なるものである。即ち、上部反射鏡2の反射面と下部反射鏡3の反射面は隙間なく適度に重なるように構成され、光源6から発せられた光を漏らさず反射するように、つまり前照灯1を側方から透視した場合に、上部反射鏡2の底端部と下部反射鏡3の上端部が適当に重なり合うように、上部反射鏡2及び下部反射鏡3が形成・配置される。なお、図3等に示した中心線AA´は、前照灯1を備える車両の上下方向に延びるもの、中心線BB´は、車両の前後方向に延びるもので、中心線CC´は車両の車幅方向に延びるものである。
図4は、実施の形態1による車両用前照灯の構成を示す説明図である。図4−1は、図1に示した前照灯1の横断面を示したものである。この横断面は、前照灯1を側方視した場合のものである。図1〜図3に示したものと同一の部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。駆動手段7は、動力源であるモータ7aと、モータ7aの出力回動軸と上部反射鏡2の突起22とを連結し、モータ7aの回動により上部反射鏡2を回動させる複数の歯車等から成る駆動伝達手段7bによって構成される。この駆動手段7は、図示を省略した制御手段によって制御され、車両の正面となる位置から左右方向に所定の角度だけ上部反射鏡2を回動させる。制御手段は、例えば車両の操舵方向や操舵量、さらに車速等を所定のセンサ等を用いて検知し、これらの諸条件に基づいて駆動手段7を制御する。上部反射鏡2は、前述のようにマウント部材5に回動自在に取り付けられる。上部反射鏡2は、図示したように、光源6から上方へ発せられる、詳しくは光源中心6aから中心線BB´より上方に発せられる光束60を前方へ反射する。反射面が実線で図示した自由曲面のように形成された上部反射鏡2は、すれ違い用の配光が得られるように反射面が形成されたもので、反射した大半の光束60は、上下方向では水平または下方に照射される。
下部反射鏡3は、前述のようにマウント部材5に固定され、その反射面3cは図4−1に破線で示した回転楕円面a0状に形成される。図示した回転楕円面a0は、光源中心6aが焦点F1の位置になり、また、他の焦点F2が焦点F1より下方となる。即ち、焦点F1と焦点F2とを結ぶ図示されない回転楕円面a0の回転軸は、光源中心6aを通って前照灯1の前方に向かって下方に傾いている。反射面3cは、このように回転軸が前方に向って下方に傾いた回転楕円面状に形成されたものである。
下部反射鏡3の前方には、プロジェクタ式光学系4の凸レンズ8および凸レンズ8を保持するレンズ筒が備えられる。プロジェクタ式光学系4のレンズ筒は、筒状の上端部位が光源6の光軸、即ち光源6aから水平に延びる中心線BB´より下方となるように備えられる。プロジェクタ式光学系4のレンズ筒は、光源6側となる部分が、光源6の前方を覆う形状の部位41を有し、また部位41の反対側には凸レンズ8を保持する。
このように、回転楕円面a0の回転軸を下方に向けてプロジェクタ式光学系4から上方へ光が照射されないようにし、またプロジェクタ式光学系4が上部反射鏡2の反射光を遮光しないように構成する。
また、プロジェクタ式光学系4は、凸レンズ8の中心線DD´に回転楕円面a0の焦点F2が重なるように、また、凸レンズ8の焦点F3が回転楕円面a0の焦点F2近傍、好ましくは焦点F2と焦点F3が重なるように構成される。プロジェクタ式光学系4は、中心線DD´が中心線BB´と平行になるように凸レンズ8を備える。プロジェクタ式光学系4には、例えば、すれ違い配光パターンが得られるように下部反射鏡3の反射光または光源6から放射された光の所定の部分を遮光する、前方視したとき図4−2に示したような形状のシェード9が、焦点F3の近傍、好ましくは焦点F3の位置に配置される。
下部反射鏡3は、光源6から下方へ放射される、詳しくは光源中心6aから中心線BB´より下方に発せられる光束61を上方へ反射する。下部反射鏡3の反射面3cによって反射された光束61は、プロジェクタ式光学系4のレンズ筒へ入り、中心線DD´に重なる焦点F2、即ち焦点F3を通過し、凸レンズ8を透過することによって進行方向を変化させ、中心線BB´より下側から下方に向けて照射される。このようにプロジェクタ式光学系4から出射される光は、光源6の光軸よりも下方に向い、下部反射鏡3の反射面3cの形状及びシェード9等の作用によって、すれ違い用の配光パターンを形成する。
図4−1に実線で示した上部反射鏡2は、すれ違い用配光を得る反射面形状を示しているが、走行用の配光が得られるように構成することも可能である。図4−1に破線で示した部位2H1を有するように上部反射鏡2を形成し、あるいは部位2H1に相当する部分が図中実線と破線で示した間で可動するようにして、図示した光束62のように部位2H1の反射光が走行用配光を形成するように構成し、走行用配光パターンを照射するようにしてもよい。また、光源6の前方を覆うプロジェクタ式光学系4の部位41を、破線で示した部分まで光源6の上方を覆うように構成し、すれ違い用配光と走行用配光の切り替えに伴って、この部位41を実線で示した位置と破線で示した位置との間で可動させ、光束62を照射あるいは遮光するようにして、走行用配光とすれ違い用配光を切り替えて照射できるようにしてもよい。また、上部反射鏡2の反射面は、所望の方向に光を反射する自由曲面を用いて構成したものでもよい。
図5は、実施の形態1による車両用前照灯の回動を示す説明図である。図1〜図4に示したものと同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。この図は、これまで説明した前照灯1を上方視したもので、下部反射鏡3ならびにプロジェクタ式光学系4のレンズ筒が固定され、上部反射鏡2が中心線AA´を回動中心として破線で示したように回動する様子を示したものである。前述のように中心線AA´は車両の上下方向に、また中心線CC´は車両の車幅方向に延びるもので、これらのことから、図5には、前照灯1は車両の車幅方向に、即ち左右方向に上部反射鏡2を回動させるものであることが示されている。前述の説明のように中心線AA´が光源中心6aを通る場合には、上部反射鏡2が回動するとき光源中心6aと上部反射鏡2の反射面の上下方向の位置関係は変化しないことから、上下方向の配光パターンは一定に保たれたまま、左右に照射範囲が変化する。中心線AA´、即ち回動軸が光源中心6aの近傍を通るように想定し、この回動軸が、図1、図2、図4−1に示した突起21,22、支持孔5c,5d等の支持手段を貫通するように、当該支持手段を設けた場合には、上側反射面2が回動することにより、光源中心6aと上部反射鏡2の反射面との上下方向の位置関係も変化することになり、例えば光源中心6aの後方を中心線AA´が通るように想定して支持手段を設けると、上部反射鏡2が右側へ回動すると右側の照射範囲が上方に変化し、左側へ回動すると左側の照射範囲が上方に変化するようになる。上部反射鏡2の回動に伴って上下方向の照射範囲を変化させたい場合には、このように中心線AA´、即ち回動軸を光源中心6aからオフセットさせて上部反射鏡2を支持するように構成する。
これまで説明したように上部反射鏡2から成る上部反射鏡式光学系と、プロジェクタ式光学系4とを構成することによって、上部反射鏡2を回動可能に構成することによって上部反射鏡2の反射鏡の有効面積が制限され、充分な照射光が得られないときでも、プロジェクタ式光学系4によって光源中心6aから下方に放射された光を有効に使用して、充分な明るさを有する照射を行うことができる。
以上のように、実施の形態1によれば、下部反射鏡3の反射面3cで反射した光を前方へ照射するプロジェクタ式光学系を備えたので、光源6から下方へ放射された光を有効に用いることができるという効果がある。
また、上部反射鏡2を上下二箇所に設けた支持手段により、回動自在に支持するように構成したので、回動させる上部反射鏡2を軽量で安価な構成で上部反射鏡2を回動させることができ、また上部反射鏡2を安定させて回動自在に支えることができるという効果がある。
また、上部反射鏡2の反射面を自由曲面として形成したので、反射面を細分化して照射方向を任意の方向に向けることができ、例えば路側となる歩道側を高い位置まで照射し、また対向車線に照射する光の高さを低く押さえるすれ違い用の配光パターンを得ることができるという効果がある。
また、光源中心6aの近傍を通る回動軸が貫通するように、上部反射鏡2の支持手段を設けたので、上部反射鏡2の回動に伴って上下方向の照射範囲も変化させることができるという効果がある。
実施の形態2.
図6は、この発明の実施の形態2による車両用前照灯の構成を示す説明図である。図1〜図4に示したもの同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。実施の形態2による前照灯1aは、側面視した場合は、図1に示した前照灯1と同様である。また、図6に示した上部反射鏡2は、図2に示したものと同様な構成である。またさらに、図6に示した上部反射鏡2と下部反射鏡3との配置関係は、図3に示したものと同様である。図6の前照灯1aは、図4−2等に示す前照灯1のシェード9を有さないで構成したもので、シェード9を除いた他のものは、図4−1等に示した前照灯1と概ね同様に構成される。なお、図6に例示した上部反射鏡2は、すれ違い用配光が得られるように構成されたものである。また、図6の下部反射鏡3は、回転楕円面a0状に反射面3cを形成したものである。
下部反射鏡3は、図3に示したように凹面反射鏡の開口部分の幅が上部反射鏡2に比べて小さくなり、凸レンズ8等の諸条件による影響もあるが中心線CC´の延びる方向について反射光の照射範囲が、即ち車両の車幅方向の照射範囲が上部反射鏡2よりも狭くなる。このことから、プロジェクタ式光学系4から照射される光は、上部反射鏡2を用いた上部反射鏡式光学系に比べて左右方向の照射範囲が狭くなる。このように左右方向の照射範囲の狭いプロジェクタ式光学系4は、反射面3cの形状や凸レンズ8の設定によって上下方向の照射範囲を制限するように構成すると、すれ違い用の配光パターンからはみ出さないように照射することができ、シェード9を用いて配光パターンからはみ出す光を遮光する必要がなくなる。下部反射鏡3の寸法等の諸条件により、上述のように上部反射鏡2の照射範囲に比べて車幅方向の照射範囲が狭くなる場合には、照射光の上下方向の照射範囲を主に制限するように下部反射鏡3の反射面3cを構成すればよいことになる。
図6に示した上部反射鏡2は、実施の形態1で説明したものと同様に、光源中心6aから上方に向う光束60を反射し、前方へ照射する。光源中心6aより下方へ向う光束61は、図4を用いて説明したように形成された下部反射鏡3の反射面3cによって反射され、凸レンズ8によって下方に向けて照射される。反射面3cで反射された光束61は、反射面3cの形状を規定する回転楕円面a0の回転軸が前方に向って傾いていることから、凸レンズ8を透過すると光源6の光軸、即ち図示した中心線BB´より下側で、かつ下方に向って照射され、中心線BB´を越えて上方へ向うように照射されない。前照灯1aの配光パターンは、上部反射鏡2による光束60の反射光と、凸レンズ8から出射される光束61によって形成され、図6に例示したものは、上部反射鏡2によって前方へ導かれた光、即ち上部反射鏡式光学系から照射される光と、プロジェクタ式光学系4から照射される光により、すれ違い用の配光パターンが得られる。
以上のように、実施の形態2によれば、プロジェクタ式光学系4の照射範囲を制限するように下部反射鏡3の反射面3cを構成したので、シェードを備える必要がなくなり、また光源6から下方へ放射された光を効率良く用いることができるという効果がある。
実施の形態3.
図7は、この発明の実施の形態3による車両用前照灯に用いる凸レンズを示す説明図である。実施の形態3による車両用前照灯は、実施の形態1または実施の形態2で説明した車両用前照灯に、図7に示す凸レンズ8を用いたもので、凸レンズ8の他は、実施の形態1または実施の形態2で説明したものと同様である。ここでは、実施の形態1,2で説明したものと同様な部分の説明を省略し、実施の形態3による車両用前照灯の特徴となる凸レンズ8について説明する。図1〜図6に使用した符号を用いて以下の説明を行う。図1,4に示したプロジェクタ式光学系4、または図6に示したプロジェクタ式光学系4は、光源中心6aから下方へ向った光束61を前方に照射し、すれ違い用の照射光として有効利用するため、また上部反射鏡2で反射された光束60を遮光しないように、プロジェクタ式光学系4を光源6の光軸、即ち中心軸BB´の下方に配置している。
また、すれ違い用の配光パターンを形成するとき、下部反射鏡3の開口部近傍の反射面3cで反射した光は、反射角度が浅いことから凸レンズ8を透過させると凸レンズ8の下側を透過して上方へ向うことになり、当該配光パターンの照射範囲からはみ出してしまうことからプロジェクタ式光学系4の照射光には使用されない。前述の配光パターンを形成するプロジェクタ光学系4に、正面視したとき円形の凸レンズを使用した場合には、レンズの下側部分は光の照射に用いられず、不要な部分となる。そこで、図7に示したような形状の凸レンズ8をプロジェクタ式光学系4に備える。
図7−1に示した凸レンズ8は、破線で図示したように、正面視したとき円形の凸レンズの下側部分を削除した円弧状に形成したものである。図7−2に示した凸レンズ8は、その横断面が凸レンズの下側部分を削除した形状、即ち図7−1に示した凸レンズ8の横断面と同様な形状をしており、この断面形状を保ちながら棒状に延設させたレンズである。また、図7−2に示した凸レンズ8は、所望の照射範囲が得られるように、車両の前後方向に対して湾曲させた形状としてもよい。図7−2に示した凸レンズ8は、車両の車幅方向へ照射範囲を広げる必要がなく、車両の上下方向の照射範囲を主に制限する場合に用いられる。
以上のように、実施の形態3によれば、プロジェクタ式光学系4に備えられる凸レンズ8の形状を、光が透過しない部分を削除して円弧状あるいは棒状に形成したので、前照灯のデザインの自由度が広がるという効果がある。
実施の形態4.
図8は、この発明の実施の形態4による車両用前照灯の構成を示す説明図である。図1〜図6に使用した符号を用いて以下の説明を行う。図8は、前照灯1あるいは前照灯1aを前方から斜視したときの上部反射鏡2、下部反射鏡3及び光源6の配置を示した概略図で、上部反射鏡2、下部反射鏡3及び光源6の配置が、わかり易くなるように上部反射鏡2の一部を削除して示したものである。図6の上部反射鏡2、下部反射鏡3及び光源6の配置は、図1〜図5に示した前照灯1、あるいは図6に示した前照灯1aを構成する場合に用いることができるものである。光源6が放電灯から成り、光源中心6aの側方に給電線6bが備えられている場合、この給電線6bが光源6から発せられる光を遮り、上部反射鏡2または下部反射鏡3で反射される光に影響する。図8に示した車両用前照灯は、この給電線6bの影響を抑制して、効率よく反射光を照射できるように光源6を配置したものである。
実施の形態1で図3を用いて説明したように、前照灯1の上部反射鏡2と下部反射鏡3が構成されているとき、また、この前照灯1と同様に実施の形態2で説明した前照灯1aの上部反射鏡2と下部反射鏡3が構成されているとき、上部反射鏡2と下部反射鏡3が重なり合う部分は、前照灯1,1aの側方に位置する。この部分で反射した光は、反射面が滑らかではないことから、効率良く前照灯1,1aの前方へ照射されない。そこで滑らかな反射面が形成されない上部反射鏡2の底端部分と下部反射鏡3の上端部分が重なり合う部分に給電線6bが向くように光源6を配置・固定する。このように給電線6bを横にずらして配置し、光源6から発せられる光をできるだけ上部反射鏡2及び下部反射鏡3の滑らかな反射面で反射し、効率良く前照灯1,1aの前方に照射させる。
以上のように、実施の形態4によれば、光源6の給電線6bを、上部反射鏡2と下部反射鏡3が重なり合う部分に向け、横方向にずらして配置したので、光源6の発した光を効率良く反射し、また照射することができるという効果がある。
実施の形態5.
図9は、この発明の実施の形態5による車両用前照灯の構成を示す説明図である。図1〜図6に示したものと同一あるいは相当する部分に同じ符号を使用し、その説明を省略する。図9に示した前照灯1bを構成する上部反射鏡12は、図1〜6等に示した上部反射鏡2に相当するもので、実施の形態1で図1〜図4を用いて説明したような形状を有する。マウント部材15は、図1、図4、及び図6に示したマウント部材5に相当するもので、車両に前照灯1bを取り付けると共に、上部反射鏡12を回動自在に軸支する。なお、図9に示した中心線EE´は図1等に示した中心線AA´に相当するものである。駆動手段17は、図1、図4、及び図6に示した駆動手段7に相当するもので、動力源としてモータ等を備え、またモータ等の回動出力軸と上部反射鏡12の突起部位と連結し、上部反射鏡12を回動させる駆動伝達手段等を備えるものである。なお、図9に示した中心線GG´は、図1等に示した中心線BB´に相当するもので、これは光源6の光軸を示すものである。
プロジェクタ式光学系14は、前方視したとき円形状の凸レンズ18を前照灯1bの前側に備える。凸レンズ18を保持するプロジェクタ式光学系14のレンズ筒は、前側が凸レンズ18周囲を隙間なく保持するように円筒状に形成され、その後方では光源6の前側部分を覆い、さらに光源6の下側後方、側方、さらに下方までを概ね覆い、この光源6を覆う部分の内壁には反射面14aを備える。また、光源6の上方には開口部を有する。反射面14aが形成された部分は、図4−1等に示した下部反射鏡3に相当し、反射面14aは、図4を用いて説明したように、回転楕円面a0状に形成される。この回転楕円面a0は、焦点F1が光源中心6aに位置し、他の焦点F2が凸レンズ18の中心線JJ´と重なり、焦点F1と焦点F2とを結ぶ回転楕円面a0の回転軸が前照灯1bの前方に向って下方に傾いたものである。また、プロジェクタ式光学系14は、焦点F2と凸レンズ18の焦点F3が近傍となるように、好ましくは、焦点F2と焦点F3が同じ位置となるように構成されたものである。また、プロジェクタ式光学系14は、例えば図4−2に例示したシェード9のような形状のシェード19が、焦点F2,F3の近傍の底端面に立設される。図9に示したプロジェクタ式光学系14は、図1、図4、及び図6に示したプロジェクタ式光学系4と異なり、光源6の光軸、即ち中心線GG´がその内部を貫通するように、即ち、光源6の光軸が凸レンズ18を透過するように、前照灯1bの下側に配置・構成される。
上部反射鏡12は、光源6から上方へ向った光束60を反射し、前照灯1bの前方へ、もしくは適量下方へ向けて当該反射光を照射し、例えば、すれ違い用配光パターンを形成させる。光源6から下方へ向った光束61は、反射面14aによって反射され、シェード19の遮光によって、例えばすれ違い用配光パターンが形成され、さらに凸レンズ18を透過することにより前照灯1bの前方へ向けて照射される。
以上のように、実施の形態5によれば、光源6から放射された光を前方へ導く上部反射鏡2から成る上部反射鏡式光学系と、光源6から下方へ放射された光をレンズ筒に備えた反射面14aにて反射し、当該反射光を前方へ導くプロジェクタ式光学系14を備えたので、光源6から下方へ放射された光を容易な構成で有効に用いることができるという効果がある。
また、上部反射鏡12を上下二箇所に設けた支持手段により、回動自在に支持するように構成したので、回動させる上部反射鏡12を充分な強度を保持しながら軽量で安価な構成で上部反射鏡12を回動させることができ、また上部反射鏡12を安定させて回動自在に支えることができるという効果がある。
この発明の実施の形態1による車両用前照灯の構成を示す側面図である。 実施の形態1による車両用前照灯の上部反射鏡の構成を示す正面図である。 実施の形態1による車両用前照灯の構成を示す説明図である。 実施の形態1による車両用前照灯の構成を示す説明図である。 実施の形態1による車両用前照灯の構成を示す説明図である。 実施の形態1による車両用前照灯の回動を示す説明図である。 この発明の実施の形態2による車両用前照灯の構成を示す説明図である。 この発明の実施の形態3による車両用前照灯に用いる凸レンズを示す説明図である。 この発明の実施の形態3による車両用前照灯に用いる凸レンズを示す説明図である。 この発明の実施の形態4による車両用前照灯の構成を示す説明図である。 この発明の実施の形態5による車両用前照灯の構成を示す説明図である。
符号の説明
1,1a,1b 前照灯、2,12 上部反射鏡、3 下部反射鏡、3c 反射面、4,14 プロジェクタ式光学系、5,15 マウント部材、5c,5d 支持孔(支持手段)、6 光源、7,17 駆動手段、8,18 凸レンズ、9,19 シェード(遮光板)、14a 反射面、21,22 突起(支持手段)、23 反射面、60〜62 光束。

Claims (9)

  1. 光源から放射された光を前方へ導く上部反射鏡式光学系と、
    前記光源から下方へ放射された光を反射する下部反射鏡および前記反射された光を前方へ導く凸レンズを有するプロジェクタ式光学系とを備えた車両用前照灯。
  2. 上部反射鏡は、回動軸が通る当該上部反射鏡の上部および下部の二箇所に支持手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
  3. 下部反射鏡は、回転軸が前方に向かって下方に傾いた回転楕円面状の反射面を有することを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
  4. プロジェクタ式光学系は、凸レンズを透過して上方へ向う光を遮光する遮光板を内部に有することを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
  5. プロジェクタ式光学系は、下部反射鏡によって反射された光が透過しない下側部分を削除した凸レンズを備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
  6. プロジェクタ式光学系は、下部反射鏡によって反射された光が透過しない下側部分を削除した凸レンズと同一の横断面形状を有する棒状のレンズを備えたことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
  7. 上部反射鏡は、自由曲面により構成された反射面を有することを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
  8. 上部反射鏡は、光源の近傍を通る回動軸が貫通する、当該上部反射鏡の上部および下部の二箇所に支持手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
  9. 光源に対する給電線を当該光源の横方向にずらして配置したことを特徴とする請求項1記載の車両用前照灯。
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