JP2005116006A - 光記録媒体および光記録媒体の製造方法 - Google Patents

光記録媒体および光記録媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 二層構造の書込み型光記録媒体において、各層での反射率を改良して所定値以上のものとし、ROM型光記録媒体との互換性を確保してなる光記録媒体を提供する。
【解決手段】 記録用、再生用または記録再生用のレーザ光を照射する側から順に、第1基板、光学的に記録可能な第1記録層、第1反射層、中間層、光学的に記録可能な第2記録層、第2反射層および第2基板を、少なくとも有してなる構造を有する光記録媒体であって、
前記第1記録層および第2記録層の複素屈折率の実数部をn、虚数部をkとした場合、k≦0.125n−0.175、2≦n≦3なる関係を満たすことを特徴とする光記録媒体により、上記課題を解決する。
【選択図】 図3

Description

本技術は、光記録媒体および光記録媒体の製造方法に関するものである。詳しく述べると本技術は、二層構造の書込み型光記録媒体における、各層での反射率の改良等に関する。
従来より、各種情報を記録し、再生する記録媒体として、DVD(digital versatile disc)等の光記録媒体が知られている。この光記録媒体として、一方の面側から情報が記録される層を一層有するシングルレイヤタイプの光記録媒体と、一方の面側から情報が記録される層を二層有するデュアルレイヤタイプの光記録媒体とが知られている。
この各光記録媒体のうち、デュアルレイヤタイプの光記録媒体は、情報が記録される層(以下、単に記録層という。)を二層有するため、高密度に大容量の情報を記録し、再生することができる。また、このデュアルレイヤタイプの光記録媒体は、一方の面側から二層の記録層に記録できるため、光記録媒体の記録・再生装置において、光記録媒体が設置される各面側に光学ピックアップを設けて、当該光学ピックアップを切り替えることを要しない。さらに、デュアルレイヤタイプの光記録媒体は、記録・再生時に、光記録媒体を反転することも要しない。そのため、デュアルレイヤタイプの光記録媒体は、いわゆるシームレス録画およびシームレス再生が可能となる。
このように、デュアルレイヤタイプの光記録媒体は、情報記録の機能に優れている、その記録・再生装置における構成が簡易である、シームレス録画・再生のために使用者はビデオ鑑賞等を中断されることがない、等の利点を有している。
このようなDVDにおいては、ユーザーにおいて記録可能としたもの、いわゆるDVD−RやDVD−RAMも既に開発されている。
このうち、DVD−Rの基本的構成は、ディスクの表面の情報記録領域に光学ピックアップのトラッキング手段であるスパイラル状の溝からなるプリグルーブが形成され、その上にスピンコート法等の手段で有機色素等の記録媒体が塗布され、乾燥されて記録層が形成され、その上に金属膜からなる反射層が形成されてなるものである。
さらに、例えば、特許文献1等には、デュアルレイヤタイプのDVD−R型光記録媒体として、図1に示すように、第1基板11Bのグルーブが形成された側に有機色素からなる第1記録層21Bおよび半透過性の第1反射層31Bを形成した第1ディスクと、第2基板12Bのグルーブが形成された側に第2反射層32Bおよび有機色素からなる第2記録層22Bを形成した第2ディスクとを、第1反射層31Bおよび第2記録層22Bを対向させ、接着剤5B等を用いて貼り合わせた光記録媒体6が開示されている。
このような光記録媒体6は、第1基板11B側からレーザ光を照射して各記録層21Bおよび22Bに情報を記録するようになっている。
特開平11−66622号公報
このようなデュアルレイヤタイプのDVD−R型光記録媒体は、一方の基板側から2つの記録層に対して、記録、再生が可能となるため、従来のシングルレイヤタイプのDVD−R型光記録媒体と比較して、より大容量の情報を記録、再生することができる。
しかしながら、このようなデュアルレイヤタイプのDVD−R型光記録媒体を、大容量記録媒体として、より多くユーザーに対して広めていくためには、デュアルレイヤタイプのDVD−ROMとの互換性をとる必要がある。従来、この点に関して検討がすすめられてはいるが、未だその技術は確立されていないのが現状であった。
従って、本願は改良された光記録媒体およびその製造方法を提供することを課題の1つの例とする。本願はまた、二層構造の書込み型光記録媒体において、各層での反射率を改良して所定値以上のものとし、ROM型光記録媒体との互換性を確保してなる光記録媒体を提供することを別の課題の例とする。
上記の課題を解決する請求項1に記載の技術は、記録用、再生用または記録再生用のレーザ光を照射する側から順に、第1基板、光学的に記録可能な第1記録層、第1反射層、中間層、光学的に記録可能な第2記録層、第2反射層および第2基板を、少なくとも有してなる構造を有する光記録媒体であって、前記第1記録層および第2記録層の複素屈折率の実数部をn、虚数部をkとした場合、k≦0.125n−0.175、2≦n≦3なる関係を満たすことを特徴とする光記録媒体である。
また、上記の課題を解決する請求項3に記載の技術は、記録用、再生用または記録再生用のレーザ光を照射する側から順に、第1基板、光学的に記録可能な第1記録層、第1反射層、中間層、光学的に記録可能な第2記録層、第2反射層および第2基板を、少なくとも有してなる構造を有する光記録媒体の製造方法であって、前記第1記録層および第2記録層を、複素屈折率の実数部をn、虚数部をkとした場合、k≦0.125n−0.175、2≦n≦3なる関係を満たすように形成することを特徴とする光記録媒体の製造方法である。
以下、本技術に係る一実施形態の光記録媒体およびその製造方法について具体的に説明する。
両記録層がROMである2層ディスクの規格として、記録層からの反射率が18%以上であることが決められている。
本技術は、書込型光記録媒体において、このようなROM型光記録媒体との互換性を確保するために、各記録層での反射率を改良して所定値以上のものとする上で、鋭意検討の結果、各記録層における複素屈折率の関係式において、実数部nと虚数部kとの間に、一定の条件が満たされる場合には、いずれの記録層からの反射率も例えば、18%以上という所期の値を呈することとなることを見出したことに基づくものである。
公知のように、複素屈折率Nは、電磁波の理論的関係式で、実数部となる屈折率nと虚数部となる消衰係数kを用いて、N=n+ikという数式によって表現される。
本技術は、上記したように、記録用、再生用または記録再生用のレーザ光を照射する側から順に、第1基板、光学的に記録可能な第1記録層、第1反射層、中間層、光学的に記録可能な第2記録層、第2反射層および第2基板を、少なくとも有してなる構造を有する光記録媒体であって、前記第1記録層および第2記録層の複素屈折率N=n+ikの実数部nと虚数部kとが、k≦0.125n−0.175、2≦n≦3なる関係を満たすことを特徴とする。
なお、上記条件において、nは好ましくは2.0≦n≦2.7の範囲にあることが望ましい。
例えば、後述するような層構造を有する光記録媒体において、(a)第1記録層および第2記録層を有機色素により形成し、半透光性の反射層としてAg−Pd−Cu系金属を用いた場合、その色素膜厚を60nmに設定した場合、nが2.352、kが0.119の色素を用いると、反射膜厚10nmにおいて、第1記録層からの反射率Rd0、および第2記録層からの反射率Rd1(Rd0、Rd1については図2参照)が、いずれも18%となった(以下、「実施例1」という。)。
また、(b)第1記録層および第2記録層を有機色素により形成し、半透光性の反射層としてAg−Pd−Cu系金属を用いた場合、その色素膜厚を56nmに設定した場合、nが2.68、kが0.16の色素を用いると、第1記録層からの反射率Rd0、および第2記録層からの反射率Rd1が、いずれも18%となった(以下、「実施例2」という。)。
図3は、これらのデータと共に、本技術の前記条件を満たす領域を示すグラフである。
図中a点が上記(a)の条件における値、またb点が上記(b)の条件における値である。また、図中破線で記入した16%、20%の反射率の線は推定値である。
ここで、デュアルレイヤタイプの書込型光記録媒体においては、記録用、再生用または記録再生用のレーザ光を照射する側に位置する第1記録層からの反射率Rd0は、この第1記録層単層の反射率RL0にほぼ近似する値となる。一方、第1基板から離れた位置に位置する第2記録層からの反射率Rd1は、第2記録層への入射光および第2記録層からの反射光が、その光路上にある第1基板の光透過率TL0の影響を少なくとも受けるため、第2記録層単層の反射率RL1に、第1基板の光透過率TL0の2乗値を乗じた値(Rd1=TL0 ×RL1)に近似する値となる(なお、もちろん、より正確には光路上に存在するその他の中間層4等の透過率等の影響もある)。このため、双方の記録層から、例えば18%以上といった所期の反射率を得る上では、これらのパラメータの相関関係を見ることによって、本技術における上記条件を満たす場合に、第1および第2記録層から、18%以上といった所期の反射率を得られることが裏付けられる。
すなわち、図4は、前記実施例1と同一構造(色素膜厚、半透過膜厚)にて、第1記録層からの反射率Rd0が18%以上となる領域を示すものであり、図5は、その際に前記実施例1と同じ光透過率TL0が得られる領域を示すものである。さらに、図6は、実施例1と同じ膜厚の時で、第2記録層単層の反射率RL1が実施例1の場合と同じ値となる領域を示すものである。
実施例1においては、前記のように両記録層からの反射率Rd0、Rd1が、いずれも18%として得られているので、図7に示すように、これら図4、図5、図6に示す3つの領域が重なる部分が、前記実施例1と同一構造(色素膜厚、半透過膜厚)にて、第1記録層からの反射率Rd0、および第2記録層からの反射率Rd1が、いずれも18%以上として、成立する領域であり、本技術における上記したようなk≦0.125n−0.175なる条件範囲と高い一致性を示すものである。なお、実施例1と同一構造(色素膜厚、半透過膜厚)によっては、nが大きい範囲においては、本技術における上記したようなk≦0.125n−0.175なる条件範囲としても、所期の反射率が得られていないが、記録媒体の構造(色素膜厚、半透過膜厚)を変えることによって、所期の反射率を得ることが可能である。この点は、上記実施例2においては、実施例1とは半透過膜厚を変えることによって、所期の反射率を得ていることからも明らかであろう。
なお、本技術において、前記第1記録層および第2記録層の複素屈折率N=n−ikの実数部nと虚数部kとが、k≦0.125n−0.175、2≦n≦3なる関係を満たすことは、第1および第2記録層を構成する記録媒体として使用される有機色素等の種類、その膜厚、あるいは半透光性反射層の膜厚等を適宜調整することによって、行い得るものである。
次に、本発明の光記録媒体の具体的構成を、図面に基づき説明する。
図2は、本技術に係る一実施形態の光記録媒体の一部分の厚さ方向断面図である。なお、図2においては、各層の厚さは誇張して描かれている。
まず、本実施形態の光記録媒体の構成について説明する。
本実施形態の光記録媒体1は、図2に示すように、第1基板11A、記録媒体としての有機色素からなる第1記録層21A、半透光性の第1反射層31A、透光性の中間層4、記録媒体としての有機色素からなる第2記録層22A、第2反射層32Aおよび第2基板12Aが順次積層されている。そして、第1基板11Aには第1グルーブ23Aが形成され、第1記録層21Aは、第1基板11Aに形成されたグルーブに追従する形状を呈しており、中間層4には第2グルーブ24Aが形成され、第2記録層22Aは、中間層4に形成されたグルーブに追従する形状を呈している。
第1基板11Aの材料としては、透明性の高い樹脂、例えば、記録用、再生用または記録再生用のレーザ光に対する光透過率が80%以上、より好ましくは90%以上の樹脂が用いられ、具体的には例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が例示されるがこれらに限定されるものではない。
また、第1基板11Aの厚さは、光記録媒体1の規格に従うが、通常0.1〜0.6mmである。すなわち、光記録媒体1が赤色レーザ用のDVD−Rディスクである場合には、第1基板11Aの厚さは0.6mmであり、光記録媒体1が青色レーザ用ディスクである場合には、第1基板11Aの厚さは0.6mmまたは0.1mmである。なお、第1基板11Aは、円形で中心が空洞になった板状の形状のものが用いられる。
第1基板11Aの第1記録層21Aが形成される面には、グルーブが形成されている。この形成されているグルーブは、プリグルーブともいわれる。このグルーブの形状は、通常、深さが140〜180nm程度、幅が0.25〜0.35μm程度、ピッチが0.7〜0.9μm程度である。
また、このグルーブは、第1基板11Aの面方向からみて、螺旋状または同心円状に形成されている。さらに、グルーブは、所定の周期で半径方向に蛇行するようにしてもよい。以下において、このようにグルーブが蛇行していることをウォブルグルーブという。さらにまた、各グルーブ間に位置するランドには、アドレス情報などを担うプリピットを所定間隔で形成することも可能である。
有機色素からなる第1記録層21Aの材料は、従来の光記録媒体の記録層に用いられている有機色素を用いればよく、特に限定されないが、例えば、アゾ化合物の錯体、シアニン色素、フタロシアニン色素等が用いられる。また、第1記録層21Aの厚さは、前記関係式が満たされる限り特に限定されないが、通常、50〜120nmである。
第1反射層31Aの材料は、金、アルミニウム、銀、銅等の金属や、これら金属からなる合金が用いられるがこれらに限定されるものではない。また、第一反射層31Aの厚さは、半透光性、すなわち、記録用、再生用または記録再生用のレーザ光をその光の波長によって透過させることも反射させることも可能な厚さとし、かつ前記関係式が満たされる限り特に限定されないが、通常、10nm±2nm程度である。
透光性の中間層4の材料は、第1基板11Aに形成されるグルーブと同様のグルーブが形成できる材料であれば特に限定されないが、紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましい。具体的には、中間層4の材料は、ガラス転移温度が125〜160℃の紫外線硬化性樹脂が好ましく用いられる。また、中間層4の厚さは、特に限定されないが、通常、40μm程度である。
中間層4の第2記録層22Aが形成される側には、記録、再生用レーザ光の入射側から見て、第1基板11Aに形成される第1グルーブ23Aと同一の位相構造を有する第2グルーブ24Aが形成される。
有機色素からなる第2記録層22Aの材料および厚さは、前記条件を満たすよう、第一記録層21Aの材料および厚さと同様にする。この第1記録層21Aと第2記録層22Aとの構成により、第1記録層21Aおよび第2記録層22Aに記録された各情報の再生信号特性が均一となり、かつ製造上で有利な、両層を同一とする構成において、ROM型光記録媒体と互換性を有する製品を提供できる。
第2反射層32Aの材料は、上述の第2反射層31Aの材料と同様である。ただし、第2反射層32Aの材料は、第2反射層31Aのように半透光性とする必要はなく、第2反射層32Aの厚さは、記録再生用のレーザ光を全反射できる範囲において適宜選択され、例えば、50nm以上とする。この第2反射層32Aは、第2基板12A側の面を第1基板11Aの入光面に対して平行な、平坦な面にすることが好ましい。これより、後述するように、第2反射層32Aと第2基板12Aとの平坦な面同士を接着させることになるので、これらの層が貼り合わせやすくなる。
第2基板12Aは、第1基板11Aと同様の材料、厚さ、形状のものが用いられる。
上述の第2反射層32Aと第2基板12Aとは、接着剤層5Aを介して接着されている。この接着剤の材料は、特に限定されないが、紫外線硬化型接着剤等が用いられる。また、この接着剤からなる接着層の厚さは、特に限定されないが、通常、20μm程度である。
なお、光記録媒体1は、図2に示される層構成に限定されず、上述の各層を有していれば、その他の各層を適宜設けることができる。
例えば、光記録媒体1には、図示しない誘電体層を設けることができる。この誘電体層は、光記録媒体1における中間層4と第二記録層22Aとの間に形成される。具体的には、誘電体層は、中間層4に形成したグルーブに沿って形成される。なお、この誘電体層は、第2記録層22Aを保護し、また、光記録媒体1の光学的特性や熱的特性を調整するために設けられる。
誘電体層の材料は、特に限定されず、従来公知の材料が用いられるが、通常、ZnS−SiO、SiO、AlN等が用いられる。また、誘電体層の厚さは、特に限定されず、通常、1〜10nm程度である。
また、図2における光記録媒体1においては、第1グルーブ23Aと第2グルーブ24Aとが、トラッキングする方向に対して直交する方向において、同期するような(すなわち、互いに重なり合うような)位置に設けられている。しかしながら、第1グルーブ23Aと第2グルーブ24Aとの配置はこれに限定されず、この各グルーブの位置が位相差のある(すなわち、相互にずれた)位置としてもよい。
この光記録媒体1には、第1基板11A側から記録用レーザ光もしくは記録再生用レーザ光が照射され、第1グルーブ内又はランド上の第1記録層21A、および、第2グルーブ内又はランド上の第2記録層22Aにピットが形成される。そして、同じく第1基板11A側から再生用レーザ光もしくは記録再生用レーザ光が照射され、第1記録層21Aおよび、第2記録層22Aに形成されたピット情報を読み出すものである。
また、光記録媒体1としては、例えば、いわゆるDVD−Rディスク、DVD−RWディスク等の記録・再生が可能なディスクが用いられ、記録の消去や書き替えの可否は特に限定されず、記録媒体としても、上記したような本技術に係る条件が満たされる限りにおいては、上記したような有機色素に限定されることなく、その形式に応じた各種記録媒体を用いることが可能である。
以上説明したように、本実施形態の光記録媒体1は、記録用、再生用または記録再生用のレーザ光を照射する側から順に、第1基板11A、有機色素からなる第1記録層21A、半透光性の第1反射層31A、透光性の中間層4、有機色素からなる第2記録層22A、第2反射層32Aおよび第2基板12Aが順次積層され、前記第1記録層21Aおよび第2記録層22Aの複素屈折率N=n+ikの実数部nと虚数部kとが、k≦0.125n−0.175、2≦n≦3なる関係を満たすものとされている。
よって、本実施形態の光記録媒体1は、第1基板11A側から、再生用または記録再生用のレーザ光を、各グルーブ23Aおよび24A内における記録層21Aおよび22Aに照射して再生をおこなった場合、第1記録層21Aおよび第2記録層22Aのいずれにおいても、例えば18%以上という高い反射率が得られ、ROM互換の汎用性の高い書込型記録媒体とすることができる。さらに、本実施形態の光記録媒体1は、いわゆるデュアルレイヤタイプの光記録媒体が従来から有する、高密度大容量の情報記録ができる、記録・再生装置の構成が簡易となる、シームレス録画・再生が可能となる等の各特性を有する。
次に、本実施形態の光記録媒体1の製造方法について説明する。
本実施形態の光記録媒体1は、第1基板11Aの片面の所定位置にグルーブを形成し、この第1基板11Aのグルーブが形成された面に、記録媒体としての有機色素を積層して前記第1基板のグルーブに追従した形状を呈する第1グルーブ23Aを有する第1記録層21Aを形成し、次いで、第1記録層21Aの上部に第1反射層31Aを積層し、さらに、この第1反射層31A上部に中間層4を積層し、この中間層4の反対面に、前記第1基板側に凹むグルーブを形成し、その後、この中間層4のグルーブが形成された面に、記録媒体としての有機色素を積層して前記中間層4のグルーブに追従した形状を呈し、かつ前記第1グルーブ23Aの深さよりも深い第2グルーブ24Aを有する第2記録層22Aを形成し、第2記録層22Aの上部に第2反射層32Aを積層し、さらに、この第2反射層32A上部に第2基板12Aを例えば接着剤層5を介して積層することにより製造されるが、前記第1記録層および第2記録層の複素屈折率N=n+ikの実数部nと虚数部kとが、k≦0.125n−0.175、2≦n≦3なる関係を満たすように、第1および第2記録層を構成する記録媒体として使用される有機色素等の種類、その膜厚、あるいは半透光性反射層の膜厚等を適宜調整する。
まず、スタンパを用いた樹脂の射出成形により、一方の面に、上述の形状からなる第1グルーブ画形成された上述の材料および厚さからなる第1基板11Aを作製する。
次いで、第1基板11Aに形成された第1グルーブ上に、上述の材料および厚さからなる第1記録層21Aを形成する。この第1記録層21Aの形成方法は、特に限定されないが、通常、スピンコート法等が用いられる。具体的に、第1記録層21Aがスピンコート法により形成される場合には、上述の第1記録層21Aの材料を溶媒に溶解、分散させて塗工液とし、第1基板11A上にこの塗工液をスピンコートする。
なお、第1記録層21Aの材料として上述のアゾ化合物の錯体を用いる場合には、上述の塗工液の溶媒として、テトラフルオロプロパノールまたはオクタフルオロペンタノール等が用いられる。また、第1記録層21Aの材料として上述のシアニン色素を用いる場合には、上述の塗工液の溶媒として、エチルセルソルブまたはジメチルシクロヘキサン等が用いられる。
次いで、第1記録層21A上に、上述の材料および厚さからなる第1反射層31Aを形成する。この第1反射層31Aの形成方法は、特に限定されないが、通常、スパッタリング、蒸着法等が用いられる。
次いで、第1反射層31A上に、上述の材料および厚さからなる中間層4を形成する。この中間層4の形成方法は、特に限定されないが、中間層4の材料として上述の紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、通常、スピンコート法等が用いられる。
次いで、中間層4の第1反射層31Aを有しない面に、上述の形状からなるグルーブを形成する。このグルーブの形成方法は、特に限定されないが、中間層4の材料として上述の紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、この中間層4にグルーブの形状に合わせたスタンパを押し当て、紫外線を照射することにより形成することができる。
次いで、中間層4に形成されたグルーブ上に、上述の材料および厚さからなる第2記録層22Aを形成する。この第2記録層22Aの形成方法は、上述の第1記録層21Aの形成方法と同様である。
次いで、第2記録層22A上に、上述の材料および厚さからなる第2反射層32Aを形成する。この第2反射層32Aの形成方法は、上述の第1反射層31Aの形成方法と同様である。なお、第2反射層32Aは、上述のように、第1記録層22Aを有しない側を第1基板11Aの入光面と平行に、平坦に形成することが好ましい。
次いで、第2反射層32Aの第2記録層22Aを有しない側に、第2基板12Aを貼り合わせる。この第2反射層32Aと第2基板12Aとの貼り合わせには、例えば、上述の接着剤を用いる。
具体的には、上述の接着剤をスピンコート法等により第2基板12Aまたは第2反射層32Aのいずれか一方の貼り合わせ面に塗布し、接着剤を塗布しなかった方の貼り合わせ面を、塗布した接着剤上に重ね合わせて圧着する。接着剤として上述の紫外線硬化型接着剤を用いた場合には、圧着後、紫外線を照射することにより、接着剤を硬化させて、二つの基板11Aおよび12Aを接着させる。
このようにして、本願にかかる光記録媒体1が製造される。
なお、上述の図示しない誘電体層を形成する場合には、中間層4におけるグルーブ上に誘電体層を形成する。この誘電体層の形成方法も、特に限定されず、従来公知の方法が用いられるが、通常、スパッタリング、蒸着法等が用いられる。
以上説明したような本実施形態に係る製造方法によれば、デュアルレイヤタイプの光記録媒体として、ROM型光記録媒体と互換性を有する高い反射率を有する構造を容易に形成できる。さらに、記録層の有機色素に対して影響を及ぼす位置に接着剤層を形成する必要性がないので、このような接着剤による光記録媒体の特性の劣化の虞れもないものとなる。なお、前記本技術の光記録媒体の製造方法としては、上記した実施形態におけるものに限定されるわけではなく、例えば従来より知られるように、貼り合わせ方式によって製造することも可能である。
従来技術の光記録媒体の断面図である。 本願における実施形態の光記録媒体の断面図である。 本願における条件を満たす範囲を示すグラフである。 実施例1と同一構造(色素膜厚、半透過膜厚)にて、第1記録層からの反射率Rd0が18%以上となる領域を示すものである。 実施例1と同一構造(色素膜厚、半透過膜厚)にて、実施例1と同じ光透過率TL0が得られる領域を示すグラフである。 実施例1と同じ膜厚の時で、第2記録層単層の反射率RL1が実施例1の場合と同じ値となる領域を示すグラフである。 図4、図5、図6に示す3つの領域が重なる部分を示すグラフである。
符号の説明
1 光記録媒体
11A、11B 第一基板
12A、12B 第二基板
21A、21B 第一記録層
22A、22B 第二記録層
31A、31B 第一反射層
32A、32B 第二反射層
4 中間層

Claims (4)

  1. 記録用、再生用または記録再生用のレーザ光を照射する側から順に、第1基板、光学的に記録可能な第1記録層、第1反射層、中間層、光学的に記録可能な第2記録層、第2反射層および第2基板を、少なくとも有してなる構造を有する光記録媒体であって、
    前記第1記録層および第2記録層の複素屈折率の実数部をn、虚数部をkとした場合、k≦0.125n−0.175、2≦n≦3なる関係を満たすことを特徴とする光記録媒体。
  2. 前記第1基板及び中間層に螺旋状又は同心円状にグルーブが形成されていることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 記録用、再生用または記録再生用のレーザ光を照射する側から順に、第1基板、光学的に記録可能な第1記録層、第1反射層、中間層、光学的に記録可能な第2記録層、第2反射層および第2基板を、少なくとも有してなる構造を有する光記録媒体の製造方法であって、
    前記第1記録層および第2記録層の複素屈折率の実数部をn、虚数部をkとした場合、k≦0.125n−0.175、2≦n≦3なる関係を満たすように形成することを特徴とする光記録媒体の製造方法。
  4. 前記第1基板及び中間層に螺旋状又は同心円状にグルーブが形成されていることを特徴とする請求項3記載の光記録媒体の製造方法。
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