JP2005113163A - 窒化用高強度非調質鋼 - Google Patents
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Abstract
【課題】 V添加によるフェライト相を析出強化した非調質鋼において、微細な多量MnSとV炭窒化物により粒界や粒内のフェライト生成量を増加させて組織を微細化するとともに、大型MnSを規制して異方性を緩和し、さらにMnSによるV窒化物の固定による窒化処理時の表面硬化の抑制により耐矯正割れ性を高め、かつ組織微細化により矯正時の亀裂深さを抑制する。
【解決手段】 質量%で、C:0.30〜0.50%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.05〜0.45%、S:0.05〜0.20%、Al:0.003〜0.030%、N:0.0080〜0.0200%、Cr:0.1〜1.5%、V:0.09〜0.25%を含有し、原子%比で、Mn/S:0.6〜1.4、残部Feおよび不可避不純物からなり、微細MnSを主成分とする硫化物径介在物を5000個/mm2以上含有する窒化用高強度非調質鋼。
【選択図】 なし
【解決手段】 質量%で、C:0.30〜0.50%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.05〜0.45%、S:0.05〜0.20%、Al:0.003〜0.030%、N:0.0080〜0.0200%、Cr:0.1〜1.5%、V:0.09〜0.25%を含有し、原子%比で、Mn/S:0.6〜1.4、残部Feおよび不可避不純物からなり、微細MnSを主成分とする硫化物径介在物を5000個/mm2以上含有する窒化用高強度非調質鋼。
【選択図】 なし
Description
本発明は、例えば、自動車などの足回り部品であるシャフトなどの製造において、鍛造あるいは切削加工後に主に焼入れ、焼戻しなどの調質処理を必要とせずに、耐焼き付き性の向上あるいは部品強度を確保するために表面に窒化処理を施して使用する機械構造用非調質鋼に関する。
従来、主にクランクなどの自動車部品に用いられる機械構造用鋼は、コスト削減や省力化の観点から焼入れ、焼戻しなどの調質を必要としない、非調質鋼が検討されてきている。しかし、さらなる耐焼き付き性の改善や疲労強度の向上のため、これらの非調質鋼に窒化処理を施す場合がある。ところで、非調質鋼としてはV化合物の析出強化を利用した非調質鋼が良く知られているが、窒化処理時に表面に形成されるV化合物によって表面が著しく硬化するために曲げ矯正性が低下し、クランクシャフトなどの長尺部品では矯正が困難になるという問題を有している。そこで、例えば、析出強化元素であるVの含有量を規制することによりこの問題に対処した窒化処理用非調質鋼が開発されている(特許文献1参照)。
本発明が解決しようとする課題は、V添加によるフェライト相の析出強化により調質を省略し、微細な多量MnSとV炭窒化物により粒界や粒内のフェライト生成量を増加させることにより組織を微細化するとともに、大型MnSを抑制することで異方性を緩和し、さらにはMnSによりV窒化物を固定して窒化処理時の表面硬化を抑制して耐矯正割れ性を高め、かつ組織微細化により矯正時の亀裂深さを抑制した高強度非調質鋼を提供することである。
なお、本出願人の先願に係る特願2002−104737の「被削性および転動疲労特性に優れた機械構造用鋼」に、Mn/S原子%比で0.6〜1.4程度に規制して微細にMnSを晶析出させ、この微細に析出したMnSを利用して被削性や転動疲労特性を向上させた鋼が提案されている。しかし、この先願の発明は、本出願の発明が多量に分布する微細MnSをV炭窒化物の析出サイトとして利用することで窒化処理用非調質鋼を達成するものであるので、本出願の発明と発明の技術思想が異なるものである。
上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の発明では、質量%で、C:0.30〜0.50%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.05〜0.45%、S:0.05〜0.20%、Al:0.003〜0.030%、N:0.0080〜0.0200%、Cr:0.1〜1.5%、V:0.09〜0.25%を含有し、かつ、原子%比で、Mn/S:0.6〜1.4とし、残部Feおよび不可避不純物からなり、鋼中に微細なMnSを主成分とする硫化物径介在物が5000個/mm2以上存在することを特徴とする窒化用高強度非調質鋼である。
請求項2の発明では、質量%で、C:0.30〜0.50%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.05〜0.45%、S:0.05〜0.20%、Al:0.003〜0.030%、N:0.0080〜0.0200%、Cr:0.1〜1.5%、V:0.09〜0.25%を含有し、さらにNi:0.1〜2.5%、Mo:0.05〜1.0%、Ti:0.001〜0.15%、Nb:0.001〜0.30%、B:0.0003〜0.005%の5種の成分から選択的に1種または2種以上を含有し、かつ、原子%比で、Mn/S:0.6〜1.4とし、残部Feおよび不可避不純物からなり、鋼中に微細なMnSを主成分とする硫化物径介在物が5000個/mm2以上存在することを特徴とする窒化用高強度非調質鋼である。
請求項3の発明では、質量%で、C:0.30〜0.50%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.05〜0.45%、S:0.05〜0.20%、Al:0.003〜0.030%、N:0.0080〜0.0200%、Cr:0.1〜1.5%、V:0.09〜0.25%を含有し、さらにCa:0.0005〜0.010%、Mg:0.0005〜0.010%、Pb:0.005〜0.20%、Bi:0.005〜0.20%の4種の成分から選択的に1種または2種以上を含有し、かつ、原子%比で、Mn/S:0.6〜1.4とし、残部Feおよび不可避不純物からなり、鋼中に微細なMnSを主成分とする硫化物径介在物が5000個/mm2以上存在することを特徴とする窒化用高強度非調質鋼である。
請求項4の発明では、質量%で、C:0.30〜0.50%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.05〜0.45%、S:0.05〜0.20%、Al:0.003〜0.030%、N:0.0080〜0.0200%、Cr:0.1〜1.5%、V:0.09〜0.25%を含有し、さらにNi:0.1〜2.5%、Mo:0.05〜1.0%、Ti:0.001〜0.15%、Nb:0.001〜0.30%、B:0.0003〜0.005%の5種の成分から選択的に1種または2種以上を含有し、さらにCa:0.0005〜0.010%、Mg:0.0005〜0.010%、Pb:0.005〜0.20%、Bi:0.005〜0.20%の4種の成分から選択的に1種または2種以上を含有し、かつ、原子%比で、Mn/S:0.6〜1.4とし、残部Feおよび不可避不純物からなり、鋼中に微細なMnSを主成分とする硫化物径介在物が5000個/mm2以上存在することを特徴とする窒化用高強度非調質鋼である。
本発明の成分などの限定理由を説明する。なお、%は質量%を示す。
C:0.30〜0.50%
Cは、強度確保を確保するために必要な元素で、0.30%未満ではその効果は十分でなく、0.50%を超えるとフェライト生成が抑制されるため、所望の組織微細化を達成することが十分にできない。そこでCは0.30〜0.50%とする。
Cは、強度確保を確保するために必要な元素で、0.30%未満ではその効果は十分でなく、0.50%を超えるとフェライト生成が抑制されるため、所望の組織微細化を達成することが十分にできない。そこでCは0.30〜0.50%とする。
Si:0.20〜1.00%
Siは、脱酸剤として必要な元素で、0.20%未満ではその効果は十分でなく、1.00%を超えると、SiO2を生成して切削性損なうこととなる。そこでSiは、0.20〜1.00%とする。
Siは、脱酸剤として必要な元素で、0.20%未満ではその効果は十分でなく、1.00%を超えると、SiO2を生成して切削性損なうこととなる。そこでSiは、0.20〜1.00%とする。
Mn:0.05〜0.45%
Mnは、粒界脆化させるFeS抑制するために必要な元素で、0.05%未満ではその効果は十分でなく、0.45%を超えて含有すると切削性を低下する。そこでMnは0.05〜0.45%とする。
Mnは、粒界脆化させるFeS抑制するために必要な元素で、0.05%未満ではその効果は十分でなく、0.45%を超えて含有すると切削性を低下する。そこでMnは0.05〜0.45%とする。
S:0.05〜0.20%、望ましくは0.07〜0.15%
Sは、MnSを形成してV炭窒化物の析出サイトとして利用するために必要な元素であり、原子%比でMn/Sを0.6〜1.4に規制するために、0.05%未満では不十分であり、0.20%を超えると大型のMnSの生成を抑制出来ず、衝撃異方性が劣化する。そこでSは0.05〜0.20%、望ましくは0.07〜0.15%とする。
Sは、MnSを形成してV炭窒化物の析出サイトとして利用するために必要な元素であり、原子%比でMn/Sを0.6〜1.4に規制するために、0.05%未満では不十分であり、0.20%を超えると大型のMnSの生成を抑制出来ず、衝撃異方性が劣化する。そこでSは0.05〜0.20%、望ましくは0.07〜0.15%とする。
Al:0.003〜0.030%
Alは、脱酸剤として添加される元素で、0.003%未満ではその効果は十分でなく、0.030%を超えても、その効果は飽和する。そこでAl:0.003〜0.030%とする。
Alは、脱酸剤として添加される元素で、0.003%未満ではその効果は十分でなく、0.030%を超えても、その効果は飽和する。そこでAl:0.003〜0.030%とする。
N:0.0080〜0.020%
Nは、VN析出量を確保するために必要な元素で、0.0080%未満ではその効果は十分でなく、0.020%を超えるとVN析出量が過剰となり、フェライト生成に必要なV炭窒化物量が確保できない。そこでNは0.0080〜0.020%とする。
Nは、VN析出量を確保するために必要な元素で、0.0080%未満ではその効果は十分でなく、0.020%を超えるとVN析出量が過剰となり、フェライト生成に必要なV炭窒化物量が確保できない。そこでNは0.0080〜0.020%とする。
Cr:0.1〜1.5%
Crは、基地の焼入れ性を確保するために必要な元素で、0.1%未満ではその効果は十分でなく、1.5%を超えると窒化処理時にCr系窒化物を形成して表面硬化が顕著となり、矯正性を損なう。そこでCrは、0.1〜1.5%とする。
Crは、基地の焼入れ性を確保するために必要な元素で、0.1%未満ではその効果は十分でなく、1.5%を超えると窒化処理時にCr系窒化物を形成して表面硬化が顕著となり、矯正性を損なう。そこでCrは、0.1〜1.5%とする。
V:0.09〜0.25%
Vは、V化合物生成による粒界および粒内フェライト相の生成ならびにフェライト相の析出強化に寄与する元素で、0.09%未満ではその効果は十分でなく、0.25%を超えると、コストが上昇し、かつ、窒化時の表面硬さを増大させ矯正性が低下する。そこでVは0.09〜0.25%とする。
Vは、V化合物生成による粒界および粒内フェライト相の生成ならびにフェライト相の析出強化に寄与する元素で、0.09%未満ではその効果は十分でなく、0.25%を超えると、コストが上昇し、かつ、窒化時の表面硬さを増大させ矯正性が低下する。そこでVは0.09〜0.25%とする。
Ni、Mo、Ti、Nb、B
Ni、Mo、Ti、Nb、Bは選択的に1種または2種以上含有することができる元素である。
Ni、Mo、Ti、Nb、Bは選択的に1種または2種以上含有することができる元素である。
Ni:0.1〜2.5%
Niは、焼入性および靭性確保に有効な元素で、0.1%未満ではその効果は十分でなく、2.5%を超えると切削性を劣化し、かつ、コスト上昇を招く。そこでNiは0.1〜2.5%とする。
Niは、焼入性および靭性確保に有効な元素で、0.1%未満ではその効果は十分でなく、2.5%を超えると切削性を劣化し、かつ、コスト上昇を招く。そこでNiは0.1〜2.5%とする。
Mo:0.05〜1.0%
Moは、焼入性および靭性確保に有効な元素で、0.05%未満ではその効果は十分でなく、1.0%を超えると切削性を劣化する。そこでMoは0.05〜1.0%とする。
Moは、焼入性および靭性確保に有効な元素で、0.05%未満ではその効果は十分でなく、1.0%を超えると切削性を劣化する。そこでMoは0.05〜1.0%とする。
Ti:0.001〜0.15%
Tiは、焼入性および靭性確保に有効な元素で、0.001%未満ではその効果は十分でなく、0.15%を超えるとコスト上昇を招くのみならず、熱間加工性および切削性を損なうTiSを抑制することが出来なくなる。そこでTi:0.001〜0.15%とする。
Tiは、焼入性および靭性確保に有効な元素で、0.001%未満ではその効果は十分でなく、0.15%を超えるとコスト上昇を招くのみならず、熱間加工性および切削性を損なうTiSを抑制することが出来なくなる。そこでTi:0.001〜0.15%とする。
Nb:0.001〜0.30%
Nbは、焼入性および靭性確保に有効な元素で、0.001%未満ではその効果は十分でなく、0.30%を超えるとコスト上昇を招くとともに、切削性を損なうNbCを抑制することが出来ない。そこでTi:0.001〜0.30%とする。
Nbは、焼入性および靭性確保に有効な元素で、0.001%未満ではその効果は十分でなく、0.30%を超えるとコスト上昇を招くとともに、切削性を損なうNbCを抑制することが出来ない。そこでTi:0.001〜0.30%とする。
B:0.0003〜0.005%
Bは、焼入性確保と粒界強化に必要な元素で、0.0003%未満ではその効果は十分でなく、0.005%を超えても効果が飽和する。そこでBは0.0003〜0.005%とする。
Bは、焼入性確保と粒界強化に必要な元素で、0.0003%未満ではその効果は十分でなく、0.005%を超えても効果が飽和する。そこでBは0.0003〜0.005%とする。
Ca、Mg、Pb、Biは選択的に1種または2種以上含有することができる元素である。
Ca、Mg:0.0005〜0.010%
Ca、Mgは、それぞれ旋削加工性を向上し工具を保護する効果を有するが、0.0005%未満ではその効果は十分でなく、0.010%を超えるとコスト上昇を招き、かつ、効果が飽和する。そこでCa、Mgはそれぞれ0.0005〜0.010%とする。
Ca、Mgは、それぞれ旋削加工性を向上し工具を保護する効果を有するが、0.0005%未満ではその効果は十分でなく、0.010%を超えるとコスト上昇を招き、かつ、効果が飽和する。そこでCa、Mgはそれぞれ0.0005〜0.010%とする。
Pb、Bi:0.005〜0.20%
Pb、Biは、それぞれ切削性向上する元素であるが、0.005%未満ではその効果は十分でなく、0.20%を超えると熱間加工性を劣化する。そこでPb、Biはそれぞれ0.005〜0.20%とする。
Pb、Biは、それぞれ切削性向上する元素であるが、0.005%未満ではその効果は十分でなく、0.20%を超えると熱間加工性を劣化する。そこでPb、Biはそれぞれ0.005〜0.20%とする。
Mn/S:原子%比で0.6〜1.4
原子%比で示すMn/Sは、その値が0.6より小さいとFeS生成により熱間加工時の脆化が大きくなり、その値が1.4より大きいと大型MnSが生成するため機械的性質の劣化が生じる。そこで、Mn/Sは原子%比で0.6〜1.4とし、好ましくは0.8〜1.2とする。
原子%比で示すMn/Sは、その値が0.6より小さいとFeS生成により熱間加工時の脆化が大きくなり、その値が1.4より大きいと大型MnSが生成するため機械的性質の劣化が生じる。そこで、Mn/Sは原子%比で0.6〜1.4とし、好ましくは0.8〜1.2とする。
SおよびMn/Sを以上のように規定することにより、大型のMnSの晶出を抑制し、1μm程度の非常に微細なMnSが多数分散することとなる。鋼材を熱間鍛造もしくは焼きならし時の冷却過程において、この多量の微細MnSを核として析出するV炭窒化物が粒内フェライトおよび粒界フェライトを生成させることで、組織を微細化するとともに、V炭化物がフェライト相を析出強化することによって、熱処理を行うことなく所定の強度が得られる。
本発明鋼は、V添加によるフェライト相の析出強化により調質が省略でき、また微細な多量MnSとV炭窒化物により粒界や粒内のフェライト生成量を増加させることによる組織微細化と大型MnSの規制による異方性緩和、さらにはMnSによりV窒化物を固定して窒化処理時の表面硬化を抑制したことによる耐矯正割れ性の向上、かつ、組織微細化により矯正時の亀裂深さが抑制されるなど、窒化用高強度非調質鋼として優れた効果を奏する。
本発明を実施するための最良の形態を実施例を通じて説明する。
表1に示す成分の鋼を100kg真空誘導炉で溶解し、インゴットに鋳造した。なお、表1において、鋼種No.2のNiは不可避不純物として含有されている。
得られたインゴットを1200℃に加熱して、(1)φ65mmの棒鋼材、(2)カク45mm×65mmの角鋼材、(3)φ20mmの棒鋼材に圧鍛し、さらに1200℃で1時間保持した後に空冷する焼きならし処理を行い、供試材を得た。
ア)上記で焼きならし処理したφ65mmの棒鋼材を旋削してφ60mmの棒材とし、切削性の指標として、この棒材を試験片として深穴穿孔試験および超硬工具旋削加工試験を実施した。これら試験の条件および試験結果の切削性の指標を表2、表3および表4に示す。
イ)上記で焼きならし処理したカク45mm×65mmの角鋼材のそれぞれ圧鍛方向(以下、「L方向」という。)および幅方向(以下、「T方向」という。)からシャルピー衝撃性試験片(2mmUノッチ)を採取し、これらのシャルピー衝撃性試験片(2mmUノッチ)を用いて室温での衝撃値を測定し、強度評価指標としてL方向、T方向の衝撃値比を求めた。これらの結果を表4に示す。
ウ)上記で焼きならし処理したφ20mmの棒鋼材をφ20mm×長さ70mmとし、これを切削してカク10mm×長さ70mmの角鋼材とし、10R−2mmCのノッチ仕上げをした後、次いでN2とNH3を1対1としたガス雰囲気下で、窒化処理(560℃に5時間保持した後、油冷)を行い、3点曲げ試験片とした。この3点曲げ試験片を用いて、一定荷重を加えて行き7000Nの時点で荷重を除去し、試験片の断面のミクロ観察を実施し、初期の亀裂長さを測定した。この亀裂長さを矯正性の指標として、表4に示す。
エ)上記で焼きならし処理したφ20mmの棒鋼材を用いてφ20mm×長さ100mmとし、これをφ8mmに旋削加工し、φ8×長さ100mmの熱間加工性試験片とした。この試験片を用いて、800℃で引張加工した際の破断時の断面積を測定して熱間加工性の指標として絞り値(=100%−(破断面の断面積/初期断面積)×100%)を求め、熱間加工性の指標とした。その結果を表4に示す。
比較鋼8〜13は発明鋼に比べてMn/S比が上限を超えており、フェライト面積率が低く異方性、深穴穿孔寿命に劣るとともに、大型のMnSが存在するため、矯正性にも劣る。比較鋼9はV過剰のため窒化処理時の表面硬化が顕著となり特に矯正性に劣る。さらに比較鋼8、比較鋼13はCが本発明の上限より高いものであり、フェライト面積率が減少しており、被削性に劣る。比較鋼12はNb、Tiが本発明の上限を外れており、被削性に特に劣る。また、比較鋼10はCが本発明の上限より低く、衝撃値に劣る。比較鋼14はPb、Sとも過剰に添加されており、深穴穿孔寿命に優れるが、Pbが上限を超えているため熱間加工性に劣る。さらに比較鋼14はSおよびMn/S比が本発明の上限を超えるとともにVが本発明の下限より低いためフェライト面積率が減少して衝撃値異方性に劣り、またSが本発明の上限より多いので大型MnSが増加して矯正性に劣る。
Claims (4)
- 質量%で、C:0.30〜0.50%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.05〜0.45%、S:0.05〜0.20%、Al:0.003〜0.030%、N:0.0080〜0.0200%、Cr:0.1〜1.5%、V:0.09〜0.25%を含有し、かつ、原子%比で、Mn/S:0.6〜1.4とし、残部Feおよび不可避不純物からなり、鋼中に微細なMnSを主成分とする硫化物径介在物が5000個/mm2以上存在することを特徴とする窒化用高強度非調質鋼。
- 質量%で、C:0.30〜0.50%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.05〜0.45%、S:0.05〜0.20%、Al:0.003〜0.030%、N:0.0080〜0.0200%、Cr:0.1〜1.5%、V:0.09〜0.25%を含有し、さらにNi:0.1〜2.5%、Mo:0.05〜1.0%、Ti:0.001〜0.15%、Nb:0.001〜0.30%、B:0.0003〜0.005%の5種の成分から選択的に1種または2種以上を含有し、かつ、原子%比で、Mn/S:0.6〜1.4とし、残部Feおよび不可避不純物からなり、鋼中に微細なMnSを主成分とする硫化物径介在物が5000個/mm2以上存在することを特徴とする窒化用高強度非調質鋼。
- 質量%で、C:0.30〜0.50%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.05〜0.45%、S:0.05〜0.20%、Al:0.003〜0.030%、N:0.0080〜0.0200%、Cr:0.1〜1.5%、V:0.09〜0.25%を含有し、さらにCa:0.0005〜0.010%、Mg:0.0005〜0.010%、Pb:0.005〜0.20%、Bi:0.005〜0.20%の4種の成分から選択的に1種または2種以上を含有し、かつ、原子%比で、Mn/S:0.6〜1.4とし、残部Feおよび不可避不純物からなり、鋼中に微細なMnSを主成分とする硫化物径介在物が5000個/mm2以上存在することを特徴とする窒化用高強度非調質鋼。
- 質量%で、C:0.30〜0.50%、Si:0.20〜1.00%、Mn:0.05〜0.45%、S:0.05〜0.20%、Al:0.003〜0.030%、N:0.0080〜0.0200%、Cr:0.1〜1.5%、V:0.09〜0.25%を含有し、さらにNi:0.1〜2.5%、Mo:0.05〜1.0%、Ti:0.001〜0.15%、Nb:0.001〜0.30%、B:0.0003〜0.005%の5種の成分から選択的に1種または2種以上を含有し、さらにCa:0.0005〜0.010%、Mg:0.0005〜0.010%、Pb:0.005〜0.20%、Bi:0.005〜0.20%の4種の成分から選択的に1種または2種以上を含有し、かつ、原子%比で、Mn/S:0.6〜1.4とし、残部Feおよび不可避不純物からなり、鋼中に微細なMnSを主成分とする硫化物径介在物が5000個/mm2以上存在することを特徴とする窒化用高強度非調質鋼。
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2003
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