JP2005111993A - 印刷物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 中空微小球を使用した印刷物は、中空微小球が有機溶媒に可溶でかつ耐熱性がないため、耐溶剤性および耐熱性に劣る問題があり、また中空微小球が有機溶媒に可溶なため、水系溶媒が主体で使用樹脂が限定され、ペツトフイルムなどの樹脂系印字面への接着性に問題があつた。
【解決手段】 透明物品または有色物品の印字面、特に不均一な形状面に、樹脂と中空微小球を含む実質的に白色である印刷層を有し、上記中空微小球のメチルイソブチルケトンに対する不溶成分が60%以上で、かつ中空微小球の外径が0.2〜1μm、内径と外径との比が0.4以上であることを特徴とする印刷物。
【選択図】 なし
Description
この種の印刷法に用いるインク組成物は、(a)長期間貯蔵しても相分離や沈殿が起こらず安定で、(b)インク組成物と印刷面との付着性が良好で、(c)インク組成物は印刷面ですばやく乾燥し、しかも(d)乾燥後の印字物は印刷面との密着性にすぐれ、かつ(e)長期保存、こすれや溶剤に対して耐久性があるものでなければならない。
また、この種のインク組成物には、(f)ノズルを目詰まりさせることなく通過し、(g)インクジェット用プリンタによる印字制御ができるように電荷制御されている必要がある等、他のインク組成物にはないインクジェット用インク組成物独特の問題もある。
非着色タイプのインクジェット用インク組成物には、インク組成物に顔料である二酸化チタン(TiO2 )などを添加したもの、中空微小球を添加したもの(特許文献1参照)が提案されている。このうち、顔料タイプのインク組成物には、顔料が沈殿しやすい、インクジェット用のノズルが顔料で詰まりやすい、顔料を含有するので紙などのリサイクルをし難いなどの欠点があり、中空微小球タイプのインク組成物が主流になりつつある。
一方、このインク組成物を印字面に印字して乾燥すると、微小球中央部の空間は空気で置換されるため、樹脂と空間部で入射光が乱反射されて、実質的に白色を呈する。
なお、本発明では、目的に応じて、上記インクジェット用インク組成物に蛍光染料、イエロー、マジエンダ、シアン染料を適宜添加することを排除するものではない。
また、中空微小球と溶剤との特定の組み合わせにより、ウレタン樹脂などの特定の樹脂を使用できるようになり、ペットフィルム・ペットボトルなどの樹脂系印字面との密着性が高くなること、さらには、電荷調整剤を特定のものにすれば、インクジェット用プリンタによる印字制御が容易になることもわかった。
すなわち、本発明は、透明物品または有色物品の印字面に、樹脂と中空微小球を含む実質的に白色である印刷層を有し、上記中空微小球のメチルイソブチルケトンに対する不溶成分が60%以上で、かつ中空微小球の外径が0.2〜1μm、内径と外径との比が0.4以上であることを特徴とする印刷物に係るものである。
また、本発明は、透明物品または有色物品の印字面が、不均一な形状面である上記構成の印刷物と、透明物品または有色物品が、有色紙、有色ペットフィルム、透明ペットフィルム、有色ペットボトル、透明ペットボトル、ダンボールまたは金属である上記構成の印刷物とを提供できるものである。
特殊な使用法として、このインク組成物に蛍光染料、顔料などを溶解または分散させ、バーコード印字などをすることで、物流管理することもできる。さらに、この蛍光体含有インク組成物で有価証券の印刷用の用紙にあらかじめ印字や模様印刷をしておくことにより、セキュリティ用途に使用することもできる。
この中空微小球は、メチルイソブチルケトンに対する不溶成分が90%以上のものもあり、耐溶剤性が高く、かつガラス転移点が150℃以上、熱分解温度が300℃以上で、耐熱性も高い。
この範囲が好ましいのは、外径が0.2μm未満の場合は白色度が低下し、外径が1μmを超えると同じ白色度を得るのに多量の中空微小球が必要であり、また上記外径の範囲でも、内径と外径との比が0.4未満の場合は白色度が低下する。
なお、内径と外径との比が0.8を超える中空微小球は製造が困難であり、事実上使用できる中空微小球の内径と外径との比の上限は0.8である。
本発明の条件を満足しない中空微小球には、JSR社製のSX864(B)、SX865(B)、ロム・アンド・ハース社製のOP42、OP62がある。これらの中空微小球は、外径が0.2〜1μm、内径と外径との比が0.4以上であるが、架橋度が低く、メチルイソブチルケトンに対する不溶成分が60%未満である。
このようなケトン系溶剤としては、アセトン(沸点:56.3℃)、メチルエチルケトン(沸点:79.53℃)、メチルイソブチルケトン(沸点:116.7℃)がある。沸点が70〜120℃の範囲のケトン系溶剤がより好ましい。より好ましいケトン系溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが挙げられる。メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンを溶剤に使用すると、過酷な条件でもインク組成物のノズル内乾燥によるノズル目詰まりがなく、印刷物の速乾性も高くなる。ただし、乾燥速度に影響を及ぼさない範囲で、この沸点の範囲を外れる溶剤を使用しても差し支えない。
このようなアルコール系溶剤としては、メチルアルコール(沸点:64.65℃)、エチルアルコール(沸点:78.32℃)、n−プロピルアルコール(沸点:97.15℃)、イソプロピルアルコール(沸点:82.4℃)、1−ブタノール(沸点:117.25℃)、2−ブタノール(沸点:98.5℃)が挙げられる。このうち、沸点が70〜90℃の範囲のアルコール系溶剤がより好ましい。
より好ましいアルコール系溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが挙げられる。エチルアルコール、イソプロピルアルコールを溶剤に使用すると、インク組成物のノズル内乾燥によるノズル目詰まりがなく、印刷物の速乾性も高くなる。ただし、乾燥速度に影響を及ぼさない範囲で、この沸点の範囲を外れる溶剤を使用しても差し支えない。なお、より好ましい沸点の上限範囲がケトン系より低いのは、アルコール系の気化熱がケトン系より一般に大きく、乾燥しにくいためである。
具体的には、三菱レーヨン社製のPB121、PB383、PB122、PB123、PB204、PB2008のようなアルリル樹脂(酸価が10mgKOH/gのものは分散性がよい)、共栄社化学社製G700のようなαオレフィン−無水マレイン酸共重合体部分エステル(柔軟性向上に有効)、武田薬品工業社製のE700、E755、E920、E790,E760のようなウレタン樹脂(接着性、白色度向上に有効)などが、好ましく用いられる。
これらの中でも、ウレタン樹脂を単独もしくは他の樹脂とともに使用すると、ペットフィルムなどへの付着力が高くなるので、より好ましい。
┌ R1 ┐+
│ | │
│R2 −A−R4 │ …(1)
│ | │
└ R3 ┘
(式中、AはNまたはPであり、R1 〜R4 は水素原子または炭素数1〜14の直鎖 、環状の炭化水素基であり、これらは同一であっても異なっていてもよく、互いに 結合した環状構造であってもよい)
中空微小球〔JSR社製SX866(A)〕 100部
(メチルイソブチルケトン不溶分:90%以上、 (12.89%)
外径:0.36μm、内径と外径との比:0.67)
アクリル樹脂(三菱レーヨン社製ダイヤナールPB121) 40部
(酸価:180mgKOH/g)
ウレタン樹脂溶液(武田薬品工業社製タケラックE920) 20部
(固形分:50%)
固形分換算樹脂計 (6.44%)
ホスホニウム塩(日本化学工業社製 15部
ヒシコンリンPX82B) (1.93%)
フッ素系界面活性剤(3M社製フロラードFC430) 1部
(0.13%)
メチルイソブチルケトン(MIBK) 300部
エチルアルコール(EtOH) 300部
溶剤計(樹脂溶液中の溶剤を含む) (78.61%)
中空微小球〔JSR社製SX866(A)〕 100部
(メチルイソブチルケトン不溶分:90%以上、 (12.90%)
外径:0.36μm、内径と外径との比:0.67)
アクリル樹脂(三菱レーヨン社製ダイヤナールPB121) 40部
(酸価:180mgKOH/g)
ウレタン樹脂溶液(武田薬品工業社製タケラックE920) 20部
(固形分:50%)
固形分換算樹脂計 (6.45%)
ホスホニウム塩(日本化学工業社製 15部
ヒシコーリンPX82B) (1.94%)
メチルイソブチルケトン(MIBK) 300部
エチルアルコール(EtOH) 300部
溶剤計(樹脂溶液中の溶剤を含む) (78.71%)
中空微小球〔JSR社製SX866(A)〕 100部
(メチルイソブチルケトン不溶分:90%以上、 (13.05%)
外径:0.36μm、内径と外径との比:0.67)
アクリル樹脂(三菱レーヨン社製ダイヤナールPB121) 40部
(酸価:180mgKOH/g)
ウレタン樹脂溶液(武田薬品工業社製タケラックE760) 15部
(固形分:30%)
マレイン酸樹脂 5部
(荒川化学工業社製マルキードNo.32)
固形分換算樹脂計 (6.46%)
アンモニウム塩(ライオン社製アーカードC50) 5部
(0.65%)
フッ素系界面活性剤(大日本インキ社製メガフアツク172D) 1部
(0.13%)
メチルイソブチルケトン(MIBK) 200部
エチルアルコール(EtOH) 400部
溶剤計(樹脂溶液中の溶剤を含む) (79.70%)
中空微小球〔JSR社製SX866(A)〕 100部
(メチルイソブチルケトン不溶分:90%以上、 (12.82%)
外径:0.36μm、内径と外径との比:0.67)
アクリル樹脂(三菱レーヨン社製ダイヤナールPB383) 30部
(酸価:180mgKOH/g)
ウレタン樹脂溶液〔武田薬品工業社製タケラックE900〕 40部
(固形分:50%)
固形分換算樹脂計 (6.41%)
LiNO3 10部
(1.28%)
メチルイソブチルケトン(MIBK) 400部
エチルアルコール(EtOH) 200部
溶剤計(樹脂溶液中の溶剤を含む) (79.49%)
実施例1の外径:0.36μm、内径と外径との比:0.67、メチルイソブチルエチルケトン不溶分90%以上の中空微粒子100部の代りに、外径:0.65μm、内径と外径との比:0.30、メチルイソブチルケトン不溶分80%の中空微粒子100部を使用したことを除き、実施例1と同様にして、比較例1のインク組成物を調製した。
実施例1の外径:0.36μm、内径と外径との比:0.67、メチルイソブチルエチルケトン不溶分90%以上の中空微粒子100部の代りに、外径:0.55μm、内径と外径との比:0.50、メチルイソブチルケトン不溶分30%の中空微粒子〔JSR社製SX864(B)の乾燥品〕100部を使用したことを除き、実施例1と同様にして、比較例2のインク組成物を調製した。
実施例1の外径:0.36μm、内径と外径との比:0.67、メチルイソブチルエチルケトン不溶分90%以上の中空微粒子100部の代りに、外径:0.55μm、内径と外径との比:0.40、メチルイソブチルケトン不溶分20%の中空微粒子〔JSR社製SX865(B)の乾燥品〕100部を使用したことを除き、実施例1と同様にして、比較例3のインク組成物を調製した。
比較例4のインク組成物の調製には、つぎの材料を使用した。
中空微小球分散液(ロム・アンド・ハース社製ロペーグOP42) 140部
(固形分:40%) 固形分換算 (14.00%)
(メチルイソブチルエチルケトン不溶分:0%、 、外径:0.42μm、内径と外径との比:約0.6)
スチレン−アクリル共重合樹脂溶液(ジョンソン・アンド
・ジョンソン社製ジヨンクリール52) 60部
(固形分:60%) 固形分換算 (9.00%)
添加剤 カルビトール 12部
(3.00%)
アンモニア水 12部
(アンモニア:28%) アンモニア分 (0.84%)
分散水 156部
イソプロパノール 20部
溶剤計(樹脂などの溶解用溶媒を含む)(73.16%)
ホスホニウム塩、フッ素系界面活性剤を使用しなかったことを除き、実施例1と同様にして、比較例5のインク組成物を調製した。
中空微小球〔JSR社製SX866(A)〕 100部
(メチルイソブチルケトン不溶分:90%以上、 (13.16%)
外径:0.36μm、内径と外径との比:0.67)
アクリル樹脂(三菱レーヨン社製ダイヤナールPB121) 40部
(酸価:180mgKOH/g)
ウレタン樹脂(武田薬品工業社製タケラックE920) 20部
(固形分:50%)
固形分換算樹脂計 (6.58%)
メチルイソブチルケトン(MIBK) 300部
エチルアルコンル(EtOH) 300部
溶剤計(樹脂溶液中の溶剤を含む) (80.26%)
表1
┌────┬──────┬──────┬──────┐
│ │初期の白色度│120℃保存│シンナー滴下│
│ │(任意単位)│後の白色度 │後の白色度 │
│ │ │(任意単位)│(任意単位)│
├────┼──────┼──────┼──────┤
│ │ │ │ │
│実施例1│ 47 │ 48 │ 41 │
│ │ │ │ │
│実施例2│ 48 │ 47 │ 43 │
│ │ │ │ │
│実施例3│ 48 │ 49 │ 42 │
│ │ │ │ │
│実施例4│ 43 │ 42 │ 40 │
│ │ │ │ │
│実施例5│ 32 │ 31 │ 29 │
│ │ │ │ │
│実施例6│ 21 │ 22 │ 20 │
│ │ │ │ │
├────┼──────┼──────┼──────┤
│ │ │ │ │
│比較例1│ 10 │ 11 │ 9 │
│ │ │ │ │
│比較例2│ 33 │ 8 │ 5 │
│ │ │ │ │
│比較例3│ 48 │ 測定不可 │ 測定不可 │
│ │ │ │ │
│比較例4│ 48 │ 測定不可 │ 測定不可 │
│ │ │ │ │
└────┴──────┴──────┴──────┘
また、外径が0.2〜1μm、内径と外径との比が0.4以上の中空微小球であっても、メチルイソブチルケトンに対する不溶成分が60%未満の中空微小球を使用した場合(比較例2〜4)には、初期の白色度は合格であっても、120℃×24時間放置、シンナー滴下によって白色度が極端に低下し、場合によっては測定不能になった。
なお、ドット径については、実施例2のインク組成物のドット径を100とした場合のドット径を相対値で示す。印字不可は、プリンタによる印字制御ができず、通常印字・ドット印字ができなかったことを示す。また、密着度は、印字物を不織布で50回空擦りし、その後の印字が確認できたものを○印、確認できなかったものを×印で示す。
表2
┌────┬──────┬─────┬─────┐
│ │初期の白色度│ドット径 │ 密着度 │
│ │(任意単位)│(相対値)│(相対値)│
├────┼──────┼─────┼─────┤
│ │ │ │ │
│実施例1│ 71 │ 43 │ ○ │
│ │ │ │ │
│実施例2│ 72 │ 100 │ ○ │
│ │ │ │ │
│実施例3│ 73 │ 42 │ ○ │
│ │ │ │ │
├────┼──────┼─────┼─────┤
│ │ │ │ │
│比較例4│ 75 │ 103 │ × │
│ │ │ │ │
│比較例5│ 69 │印字不可 │印字不可 │
│ │ │ │ │
└────┴──────┴─────┴─────┘
Claims (3)
- 透明物品または有色物品の印字面に、樹脂と中空微小球を含む実質的に白色である印刷層を有し、上記中空微小球のメチルイソブチルケトンに対する不溶成分が60%以上で、かつ中空微小球の外径が0.2〜1μm、内径と外径との比が0.4以上であることを特徴とする印刷物。
- 透明物品または有色物品の印字面が、不均一な形状面である請求項1に記載の印刷物。
- 透明物品または有色物品が、有色紙、有色ペットフィルム、透明ペットフィルム、有色ペットボトル、透明ペットボトル、ダンボールまたは金属である請求項1または2に記載の印刷物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004343335A JP2005111993A (ja) | 2004-11-29 | 2004-11-29 | 印刷物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004343335A JP2005111993A (ja) | 2004-11-29 | 2004-11-29 | 印刷物 |
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP31039099A Division JP3639478B2 (ja) | 1999-10-29 | 1999-10-29 | インクジエツト用インク組成物および印刷物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005111993A true JP2005111993A (ja) | 2005-04-28 |
Family
ID=34545302
Family Applications (1)
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JP2004343335A Pending JP2005111993A (ja) | 2004-11-29 | 2004-11-29 | 印刷物 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009138077A (ja) * | 2007-12-05 | 2009-06-25 | Seiko Epson Corp | 白色インク組成物およびこれを用いた記録物 |
JP2014094546A (ja) * | 2012-11-12 | 2014-05-22 | Ricoh Co Ltd | 画像形成装置及びその画像形成方法 |
-
2004
- 2004-11-29 JP JP2004343335A patent/JP2005111993A/ja active Pending
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JP2009138077A (ja) * | 2007-12-05 | 2009-06-25 | Seiko Epson Corp | 白色インク組成物およびこれを用いた記録物 |
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