JP2005111755A - インクジェットヘッドの駆動方法及びインクジェットプリンタ - Google Patents

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Abstract

【課題】 残留電荷の蓄積をなくし、インク液滴の吐出特性を低下させず、階調表現が可能となるインクジェットヘッドの駆動方法を提供すること。
【解決手段】 ノズルと、ノズルに連通するインク流通路と、インク流通路の一部に設けられた振動板5と、振動板に対向して設けられた個別電極31とを有し、振動板を静電気力を用いて変形させることにより、ノズルからインク液滴を吐出して記録を行うインクジェットヘッドの駆動方法において、振動板と個別電極の間に電圧パルスの印加により振動板を個別電極に当接させ、該当接状態で電界方向を反転させ、その後に電圧パルスの印加を停止して振動板を解放させてノズルからインク液滴の吐出を行わせるようにしたものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、階調表現などを行うために印字1画素分を1回から複数回のインク液滴の吐出により形成する静電アクチュエータを備えたインクジェットヘッドの駆動制御方法に関し、特に対向電極間に残留電荷が蓄積することを防止するインクジェットヘッドの駆動制御方法に関するものである。また、本発明はかかる方法によりインクジェットヘッドを駆動制御するインクジェットプリンタに関するものである。
従来のインクジェットヘッドの駆動方法は、順方向に静電アクチュエータの対向電極間に電圧を加えることにより当該対向電極間に駆動電圧パルスを印加する正駆動と、逆方向に電圧を加えることにより当該対向電極間に駆動電圧パルスを印加する逆駆動とを交互に行う正逆交互駆動により行うものである(例えば、特許文献1参照。)。
このように正逆交互駆動を行うことにより、対向電極間に残留電荷が蓄積することを抑制できる。この結果、残留電荷によって対向電極間に発生するクーロン力が低下して、インク液滴の吐出圧力が低下し、適切なインク液滴の吐出ができなくなるという弊害を回避できる。
また、もう1つの従来のインクジェットヘッドの駆動方法は、上述の正逆交互駆動の駆動方法を行うと同時に、1画素を複数のインク液滴の吐出動作により形成し、その吐出回数により階調表現をする駆動方法である(例えば、特許文献2参照。)。
特開平9−136413号公報(第1頁、図1) 特開2001−187450号公報(第1、6頁、図1)
しかし、その駆動方法と同時に、1画素を複数のインク液滴の吐出動作により形成してその吐出回数により階調表現をする駆動方法(特開2001−322265号公報)を用いた場合、印字パターン(画像)により1画素を1つの吐出動作で形成するパターンが連続すると、正駆動および逆駆動の回数に偏りが発生してしまい、対向電極間に残留電荷が蓄積してしまうという問題点があった。
そこで、本発明はかかる問題点である残留電荷の蓄積をなくし、インク液滴の吐出特性を低下させず、階調表現が可能となるインクジェットヘッドの駆動方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明は、ノズルと、当該ノズルに連通するインク流通路と、当該インク流通路の一部に設けられた振動板と、当該振動板に対向して設けられた電極とを有し、前記振動板を静電気力を用いて変形させることにより、前記ノズルからインク液滴を吐出して記録を行うインクジェットヘッドの駆動方法において、前記振動板と前記電極の間に電圧パルスの印加により前記振動板を前記電極に当接させ、該当接状態で電界方向を反転させ、その後に電圧パルスの印加を停止して前記振動板を解放させて前記ノズルからインク液滴の吐出を行わせることを特徴としている。
本発明によれば、振動板と電極の間に電圧パルスの印加により振動板を電極に当接させ、該当接状態で電界方向を反転させ、その後に電圧パルスの印加を停止して振動板を解放させ、ノズルからインク液滴の吐出を行わせるようにしているので、残留電荷を1サイクルの当接動作(吐出動作)内で両方向の電圧を印加し、中和してキャンセルするため、残留電荷の蓄積がなく、インク液滴の吐出特性も低下せず、耐久性の低下を招くことはない。
また、一サイクルの当接動作のなかで残留電荷の蓄積回避を行っているため、階調表現における問題も生じず、インク吐出に使用しない残留電荷除去のための特別な電圧印加も必要とせず、特別な演算も不要であるために駆動周波数を上げる上でも障害とならない。
また、本発明の駆動方法において、前記振動板を前記電極との間に印加して前記振動板を前記電極に当接させる電圧パルスの幅は、前記インク流路の固有振動数の周期の略1/4としている。
これは、インク流路の大きさ、長さによって固有振動数がそれぞれ異なるため、それぞれの固有振動数に応じて振動板を電極に最も強く当接させる電圧パルス幅を設定したものである。
さらに、本発明の駆動方法において、前記電圧パルスの一方の極性から他方の極性への反転のタイミングを、前記インク流通路内に発生したインクの圧力が前記振動板を前記電極に最も強く押しつけている間としている。
こうすることにより、電界方向の切り換え時に瞬間的な電圧低下が生じても、振動板の当接を維持することができ、電荷方向の切り換え時にインクが吐出してしまうことを防ぐことができるからである。
また、本発明の駆動方法において、前記電圧パルスの一方の極性から他方の極性への反転が連続して行われるようにしている。
これは、1つの当接動作(吐出動作)内で両方向の電圧を印加することを考慮したものである。
さらに、本発明の駆動方法において、前記一方の極性から他方の極性への反転が連続して行われる電圧パルスによりインク液滴の吐出動作を行い、該電圧パルスによる1回のインク液滴の吐出動作により、又は引き続く複数回の電圧パルスによる複数回のインク液滴の吐出動作により、1ドット印字を記録媒体上に形成するようにしている。
いずれの駆動方法により、1ドット分の印字を形成する場合にも、1つの当接動作(吐出動作)内で両方向の電圧を印加されるので、振動板と電極の間に残留電荷が発生することが確実に防止される。
次に、本発明は上記の駆動方法により静電式インクジェットヘッドを駆動するインクジェットプリンタに関するものである。
本発明によるインクジェットプリンタは、インク液滴を吐出するインクノズルと、当該インクノズルに連通していると共にインクを保持しているインク室と、当該インク室の一部を形成している面外方向に弾性変位可能な一方の対向電極として機能する振動板、及び当該振動板に対して所定の間隔で対峙している他方の対向電極を備えた静電アクチュエータと、当該静電アクチュエータの前記振動板と前記電極の間に電圧パルスの印加により前記振動板を前記電極に当接させ、該当接状態で電界方向を反転させ、その後に電圧パルスの印加を停止して前記振動板を解放させて前記ノズルからインク液滴の吐出を行わせるインクジェットヘッド駆動制御装置とを備えていることを特徴としている。
本発明のインクジェットヘッドの駆動方法は、振動板と電極の間に電圧パルスの印加により振動板を電極に当接させ、該当接状態で電界方向を反転させ、その後に電圧パルスの印加を停止して振動板を解放させ、ノズルからインク液滴の吐出を行わせるようにしているので、残留電荷を1サイクルの当接動作(吐出動作)内で両方向の電圧を印加し、中和してキャンセルするため、残留電荷の蓄積がなく、インク液滴の吐出特性も低下せず、耐久性の低下を招かないという効果を有する。
また、一サイクルの当接動作(吐出動作)のなかで残留電荷の蓄積回避を行っているため、階調表現における問題も生じず、インク吐出に使用しない残留電荷除去のための特別な電圧印加も必要とせず、特別な演算も不要であるために駆動周波数を上げる上でも障害とならないという効果を有する。
以下に、図面を参照して本発明を適用したインクジェットヘッドの駆動方法を説明する。
まず、図1は、本発明を適用したインクジェットプリンタの概要図である。本例のインクジェトプリンタ310の全体構造は一般的なものであり、記録紙105を搬送するプラテン300と、このプラテン300に対峙したインクジェットヘッド10と、このインクジェットヘッド10をプラテン300の軸線方向である主走査方向に往復移動させるキャリッジ302と、このインクジェットヘッド10に対してインクチューブ306を介してインクを供給するインクタンク301を有している。
303はポンプであり、インクジェットヘッド10にインク吐出不良等が発生した場合に、キャップ304、廃インク回収チューブ308を介して、インクを吸引して、廃インク溜め305に回収するために使用する。
図2は上記のインクジェットヘッド10の分解斜視図である。本例のインクジェットヘッド10は、インク液滴を基板の端部に設けたノズル孔から吐出させるエッジイジェクトタイプであるが、基板上面に設けたノズル孔からインク液滴を吐出させるフェイスイジェクトタイプでもよい。図3は組立てられたインクジェットヘッド全体の断面構成図であり、図4は図3のA−A線矢視図である。
これら図2、3、4を参照してインクジェットヘッド10の構造を説明する。本例のインクジェットヘッド10は、3枚の基板1、2、3を重ね合わせた積層構造をしている。
中間の基板2は、例えばシリコン基板であり、複数のノズル孔4を構成するように、基板2の表面に一端から平行に等しい間隔で形成された複数本のノズル溝21と、各々のノズル溝21に連通し、底壁が振動板5として機能する吐出室6を構成することになる凹部22と、凹部22の後部に設けられたオリフィス7を構成することになるインク流入口のための細溝23と、各々の吐出室6にインクを供給するための共通のインクキャビティ8を構成することになる凹部24とを有する。
また、振動板5の下部には後述する電極を装着するための振動室9を構成することになる凹部25が設けられている。ノズル溝21のピッチは2mm程度であり、その幅は40μm程度にされる。
一方、中間基板2の上面には、共通電極17が形成されている。中間基板2の上面に接合される上側の基板1は、例えばガラスまたはプラスチックからなり、この上基板1の接合によって、前記ノズル孔4、吐出口6、オリフィス7およびインクキャビティ8が構成される。
上基板1にはインクキャビティ8に連通するインク供給口14が形成されている。インク供給口14は、接続パイプ16およびチューブ306介してインクタンク301(図1参照)に接続される。
中間基板2の下面に接合される下側基板3は、例えばガラス、プラスチックからなり、この下基板3の接合によって前記振動室9を構成すると共に、下基板の方面に前記振動板5に対応する各々の位置に個別電極31を形成する。個別電極31はリード部32および端子部33を有する。さらに、端子部33を除き電極31およびリード部32の全体を絶縁膜34で被覆してある。各端子部33にはリード線35がボンディングされている。
このように基板を重ね合わせて構成したインクジェットヘッド10は、更に、中間基板2に形成した共通電極17と各個別電極31の端子部33との間にドライバ220が接続される。
インク11は、インクタンク301からインク供給口14を通して中間基板2の内部に供給され、インクキャビティ8、吐出口6等を満たしている。なお、電極31と振動板5の間隔は、1μm程度に保持されている。図2において、13はノズル孔4から吐出されたインク液滴である。
なお、使用されるインクは、水、アルコール、トルエン等の主溶媒にエチレングリコール等の界面活性剤と、染料または顔料とを溶解または分散させることにより調製される。さらに、インクジェットヘッドにヒーター等を付設すれば、ホットメルトインクも使用できる。
個別電極31に対して、ドライバ220により、例えば、正の電圧パルスを印加して電極31の表面が正の電位に帯電すると、対応する振動板5の下面は負の電位に帯電する。したがって、振動板5は静電気力によって吸引されて下方へ撓む。
次に、電極31へ印加している電圧パルスをオフにすると、振動板5は元の位置に復帰する。この復帰動作によって、吐出室6の内圧が急激に上昇して、ノズル孔4からインク液滴13が記録紙105に向けて吐出する。そして、振動板5が下方に撓むことにより、インク11がインクキャビティ8からオリフィス7を経由して吐出室6に補給される。
図5には、本例のインクジェトプリンタの制御系のうち、インクジェットヘッド10の駆動制御系の部分を示してある。図において、201はプリタン制御回路であり、例えば1チップマイクロコンピュータにより構成することができる。
このプリンタ制御回路201には、アドレスバスおよびデータバスを含む内部バス202、203、204を介してRAM205、ROM206およびキャラクタージェネレータROM(CG−ROM)207が接続されている。
ROM206内には、制御プログラムが予め格納されており、ここから呼び出されて起動される制御プログラムに基づき、後述のようなインクジェットヘッド10の駆動制御動作が実行される。RAM205は駆動制御におけるワーキング領域として利用される。CG−ROM207には入力文字に対応したドットパターンが展開されている。
210はヘッド駆動制御回路であり、プリンタ制御回路201の制御の下に、ヘッドドライバ220に対して駆動信号FR等を出力する。また、データバス211を介して印刷データDATAが供給される。さらには、クロック信号CLKが供給される。
ヘッドドライバ220は、例えばTTLアレイから構成されており、入力される駆動信号に対応した駆動電圧パルスを生成して、これらを、駆動対象となる個別電極31および共通電極17に印加して、対応するノズル孔14からインク液滴の吐出を行なわせる。
駆動電圧パルス信号を生成するために、ヘッドドライバ220には、接地電圧GND、駆動電圧V2、V3(0<V2,V3)が供給されている。これらの電圧は、電源回路230から供給される駆動電圧Vccから生成されるものである。
図6には、上記構成のインクジェットプリンタ1の概略動作のフローチャートを示してあり、図7(a)にはノズル回復動作のサブルーチン、図7(b)には印刷動作のサブルーチンを示してある。
先ず全体の動作を説明すると、ステップST1において、プリンタ機構部分の初期化が実行される。次にステップST2において、電源投入直後のノズル回復動作を行なう。このノズル回復動作は図7(a)のステップST21ないしステップST23に示される一連のステップからなる。
このノズル回復動作においては、ステップST21においてインクジェットヘッド10を搭載したキャリッジ302を待機位置からキャップ304の位置へ移動する。次に、ステップST22においてノズルの回復動作、すなわちリフレッシュを行なう。
このノズルのリフレッシュとは、インクジェットヘッド10のノズル部の増粘したインク等のインク吐出不良の原因となる不良インクを排出するために、全てのノズルに対応する振動板5を駆動して、全てのノズルからインク液滴を所定の回数だけ吐出させることである。この後は、ステップST23において再びキャリッジ302を待機位置に復帰させる。
再び図6のフローチャートに戻り、ステップST3においては、前回のノズル回復動作からの時間をカウントする。このカウントは、プリンタ制御回路201に内蔵のカウンタを用いて行なう。
ノズル回復動作を行なう時間隔が経過すると、ステップST3からステップST9に移行して、再度、ノズル回復動作を行なう。そうでない場合には、ステップST4において印刷を行なうか否かを判別し、印刷動作を行なう場合には、ステップST5においてノズル回復動作期間のカウント値をリセットした後に、ステップST6に進み、印刷動作を実行する。
図7(b)にはこの印刷動作を示してある。この図に示すように、先ずステップST61において、計数値nを「1」に設定し、ステップST62において、キャリッジ302を1ドット分だけ主走査方向に移動する。ステップST63、64において、印字データDATAに基づいた指定ドットに対応するノズルの振動板5を駆動することにより、当該ノズルのインクの吸引および吐出動作を行なう。
次に、ステップST65において計数値nを「1」だけインクリメントしてステップST66において計数値nが主走査方向の最終ドットであるか否かを判別する。最終ドットの場合には印刷動作を終了し、そうでない場合には、ステップST62に戻って上記の動作を繰り返す。
このようにして主走査方向の1行分の印字動作を終了した後は、図6のステップST10において処理を継続するか否かを判別し、継続の場合には、ステップST3に戻り、そうでない場合には、処理を終了する。
ここで、本例のインクジェットプリンタにおいては、図7(b)に示す印刷動作において、1ドット分のインク液滴の吐出毎に、正負連続したノズル駆動電圧による駆動形態により、インクジェットヘッド10を駆動するようにしている。
すなわち、本例では、まず共通電極17に正の駆動電圧パルス(値V3)を印加し、個別電極31を接地電位(GND)にすることにより、振動板5を個別電極31に当接させ、その当接状態で、今度は共通電極17を接地電位(GND)にし、個別電極31の側に正の駆動電圧パルス(値V2)を印加して電界方向を反転させ、その後に駆動電圧パルスV2の印加を停止して振動板5を個別電極31から解放させて一サイクルの吐出動作毎にインク液滴の吐出動作を行なわせるようにしている。
このような駆動制御を実現するために、本例のヘッド駆動制御回路210においては、データ印字のタイミング毎に論理値が高低に繰り返し切り換わる反転駆動信号FRをヘッドドライバ220に供給している。ヘッドドライバ220では、反転駆動信号FRの論理値と、印刷データDATAの論理値(印刷データの有無)に応じて、駆動電圧パルスの極性を切り換えている。
図8には、ヘッドドライバ220における入出力信号の間の論理表を示してある。この論理表に示すように、反転駆動信号FRが高論理Hで、印字データがある場合(データ信号が高論理Hの場合)には、個別電極31は接地電位GNDとされ、共通電極17は正の電位V3となるように、これらの間に駆動パルス信号が出力される。
その駆動パルス信号が出力されている状態で、反転駆動信号FRが低論理Lで、印字データがある場合(データ信号が高論理Hの場合)には、個別電極31は正の電圧V2が印加され、共通電極17は接地電位となるように、これらの間に駆動パルス信号が出力され、共通電極17と個別電極31とに両駆動パルス信号の電位差であるノズル駆動電圧波形が印加されて一サイクル中にインク液滴の吐出動作を行わせる駆動が行われる。
図9には、本例の駆動方式によるタイミングチャートを示してある。この図において(a)は共通電極17に印加される駆動電圧パルス入力(V3)を示しており、(b)は個別電極31に印加される駆動電圧パルス入力(V2)を示しており、(c)は印字動作のラッチパルス(LP)を示しており、(d)は共通電極17の電位を示しており、(e)は個別電極31の電位を示しており、(f)は九通電極17と個別電極31の間の電位差であるノズル駆動電圧波形を示している。
以上のように、本例のインクジェットプリンタにおいては、インクジェットヘッド10の各ノズルの駆動を、図9(f)に示すように、インク液滴の吐出動作を、一サイクル中にノズル駆動電圧波形が正から負に連続して変化する駆動形態により行っている。
即ち、一サイクル中にまず個別電極31と共通電極17(振動板5)の間に正の駆動電圧パルス(V3)が印加され、その振動板5が個別電極31に当接した状態で、次にこれらの間に負の駆動電圧パルス(V2)が印加されて電界方向が反転させられ、その後に負の駆動電圧パルス(V2)の印加が停止されることとなる。
本発明の実施の形態によれば、振動板5と個別電極31の間に正負が連続した駆動電圧パルスの印加により振動板5を個別電極31に当接させ、該当接状態で電界方向を反転させ、その後に駆動電圧パルスの印加を停止して振動板5を解放させ、ノズルからインク液滴の吐出を行わせるようにしているので、残留電荷を1サイクルの当接動作(吐出動作)内で両方向の電圧の印加により中和してキャンセルするため、残留電荷の蓄積がなく、インク液滴の吐出特性も低下せず、耐久性の低下を招くことはない。
また、一サイクルの当接動作のなかで残留電荷の蓄積回避を行っているため、階調表現における問題も生じず、インク吐出に使用しない残留電荷除去のための特別な電圧印加も必要とせず、特別な演算も不要であるために駆動周波数を上げる上でも障害とならない。
また、本発明の実施の形態では、振動板5を個別電極31との間に印加して振動板5を個別電極31に当接させる駆動電圧パルスの幅は、インク流路の固有振動数の周期の略1/4としている。
これは、インク流路の大きさ、長さによって固有振動数がそれぞれ異なるため、それぞれの固有振動数に応じて振動板5を個別電極31に最も強く当接させる電圧パルス幅を設定したものである。
さらに、駆動電圧パルスの一方の極性から他方の極性への反転のタイミングを、インク流通路内に発生したインクの圧力が振動板5を個別電極31に最も強く押しつけている間としている。
こうすることにより、電界方向の切り換え時に瞬間的な電圧低下が生じても、振動板5の当接を維持することができ、電荷方向の切り換え時にインクが吐出してしまうことを防ぐことができるからである。
また、駆動電圧パルスの一方の極性から他方の極性への反転が連続して行われるようにしている。
これは、1つの当接動作(吐出動作)内で両方向の電圧を印加することを考慮したものである。
さらに、一方の極性から他方の極性への反転が連続して行われる駆動電圧パルスによりインク液滴の吐出動作を行い、該駆動電圧パルスによる1回のインク液滴の吐出動作により、又は引き続く複数回の電圧パルスによる複数回のインク液滴の吐出動作により、1ドット印字を記録媒体上に形成するようにしている。
いずれの駆動方法により、1ドット分の印字を形成する場合にも、1つの当接動作(吐出動作)内で両方向の電圧を印加されるので、振動板と電極の間に残留電荷が発生することが確実に防止される。
(他の実施の形態)
この実施の形態は、上述した本発明の実施の形態の駆動方法により駆動される静電式インクジェットヘッド10をインクジェットプリンタ310に適用したものである。
上述の本発明に係るインクジェットヘッドの駆動方法において、吐出液体は印刷用のインク液としてとし、通常の紙媒体等への印刷をする一般的なインクジェットプリンタとして利用することができると説明した。
また、吐出液体を生体分子を含む溶液とすれば、例えばDNAチップ、プロテイン(蛋白質)チップ等の製造に利用することができる。
さらに、吐出形態をカラーフィルタを形成させる溶液とすれば、液晶表示装置に利用するカラーフィルタ製造に利用することができる。
また、吐出液体を発光材料を含む溶液とすれば、電界発光素子の吐出を行うことができ、これを用いた表示装置の製造に利用することができる。
本発明を適用したインクジェットプリンタの全体構成を示す概略構成図である。 図1のプリンタに搭載されているインクジェットヘッドを示す分解斜視図である。 図2のインクジェットヘッドを示す概略断面図である。 図3のA?A線矢視図である。 図1のインクジェットプリンタにおけるインクジェットヘッドの制御系を示す概略ブロック図である。 図1のインクジェットプリンタの動作を示す概略フローチャートである。 (a)はノズル回復動作のサブルーチンを示すフローチャート、(b)は1主走査ライン分のドット印字動作を示すフローチャートである。 図5のヘッドドライバにおける入出力間の論理表を示す説明図である。 図1のインクジェットプリンタにおけるインクジェットヘッドの駆動制御を示すタイミングチャートである。
符号の説明
1、2、3 基板、4 ノズル孔、5 振動板、10 インクジェットヘッド、13 インク液滴、17 共通電極、31 個別電極、201 プリンタ制御回路、210 ヘッド駆動制御回路、220 ヘッドドライバ

Claims (7)

  1. ノズルと、当該ノズルに連通するインク流通路と、当該インク流通路の一部に設けられた振動板と、当該振動板に対向して設けられた電極とを有し、前記振動板を静電気力を用いて変形させることにより、前記ノズルからインク液滴を吐出して記録を行うインクジェットヘッドの駆動方法において、
    前記振動板と前記電極の間に電圧パルスの印加により前記振動板を前記電極に当接させ、該当接状態で電界方向を反転させ、その後に電圧パルスの印加を停止して前記振動板を解放させて前記ノズルからインク液滴の吐出を行わせることを特徴とするインクジェットヘッドの駆動方法。
  2. 前記振動板を前記電極との間に印加して前記振動板を前記電極に当接させる電圧パルスの幅は、前記インク流路の固有振動数の周期の略1/4であることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの駆動方法。
  3. 前記電圧パルスの一方の極性から他方の極性への反転のタイミングを、前記インク流通路内に発生したインクの圧力が前記振動板を前記電極に最も強く押しつけている間であることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッドの駆動方法。
  4. 前記電圧パルスの一方の極性から他方の極性への反転が連続して行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェットヘッドの駆動方法。
  5. 前記一方の極性から他方の極性への反転が連続して行われる電圧パルスによりインク液滴の吐出動作を行い、該電圧パルスによる1回のインク液滴の吐出動作により、1ドット印字を記録媒体上に形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッドの駆動方法。
  6. 前記一方の極性から他方の極性への反転が連続して行われる電圧パルスによりインク液滴の吐出動作を行い、引き続く複数回の電圧パルスによる複数回のインク液滴の吐出動作により、1ドット印字を記録媒体上に形成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッドの駆動方法。
  7. インク液滴を吐出するインクノズルと、
    当該インクノズルに連通していると共にインクを保持しているインク室と、
    当該インク室の一部を形成している面外方向に弾性変位可能な一方の対向電極として機能する振動板、及び当該振動板に対して所定の間隔で対峙している他方の対向電極を備えた静電アクチュエータと、
    当該静電アクチュエータの前記振動板と前記電極の間に電圧パルスの印加により前記振動板を前記電極に当接させ、該当接状態で電界方向を反転させ、その後に電圧パルスの印加を停止して前記振動板を解放させて前記ノズルからインク液滴の吐出を行わせるインクジェットヘッド駆動制御装置と、
    を備えていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
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