JP2005111438A - 石膏を含むバイオマス廃材のクリーンガス化 - Google Patents

石膏を含むバイオマス廃材のクリーンガス化 Download PDF

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Abstract

【課題】 酸化炭素吸収物質共存下で、石膏混合廃材を、硫酸カルシウムから有害物質を発生させずに、二酸化炭素を完全に固定して、主に水素へクリーンガス化するための処理方法を提供することである。
【解決手段】 石膏混合廃材を二酸化炭素吸収物質の共存下で水蒸気と反応させて、石膏混合廃材の木質系材料を、水素と二酸化炭素にガス化して、該ガス化した二酸化炭素を二酸化炭素吸収物質に吸収させる石膏混合廃材のクリーンガス化法であって、該石膏混合廃材と水蒸気との反応を生ぜしめるための反応場において、圧力30気圧未満、温度500℃〜800℃の条件下で反応させる石膏混合廃材のクリーンガス化法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、石膏混合廃材の処理方法に関し、石膏混合廃材をより緩やかな反応条件下、特により低圧の条件下でクリーンガス化するための処理方法に関する。
最近の建築内装材として、硫酸カルシウムを主成分とする石膏ボードやセメントの原料として利用される石膏を含むものが多量に使用されおり、このような建築内装材は、廃材となった場合、環境負荷の小さな処理方法の確立が望まれている。
また、このような廃材を、二酸化炭素を放出せず水素やメタンにクリーンガス化することは地球温暖化防止及び化石燃料使用低減の面で重要である。
ところで、硫酸カルシウムは熱的に安定であり、高温(1100〜1450℃)で分解され二酸化硫黄を発生する(特許文献5参照)。
また、水素、COといった還元ガス存在下では700℃以上で、以下のように硫化カルシウムに還元され、冷却過程で、水蒸気、二酸化炭素が共存すると、炭酸化反応が起きて硫化水素を生成すると言われている(特許文献6参照)。
CaSO+4H → CaS+4HO (1)
CaSO+4CO → CaS+4CO (2)
CaS+HO+CO → CaCO+HS(冷却過程) (3)
一般のバイオマスの水蒸気によるガス化は、通常、700℃以上で行われ、水素、一酸化炭素、二酸化炭素を生成するが、上記廃材の水蒸気ガス化では、硫酸カルシウムがCaSに転化され、冷却過程でHO、二酸化炭素共存化で炭酸化が起こり、硫化水素の生成が予想される。
しかし、現在、廃材の有効なクリーンガス化法が見出されていなく、多量に発生する廃材の有効な再資源化が達成されていない。
従って、このような廃材を効果的にクリーンガス化する方法の開発が望まれる。
尚、ここでバイオマスとは、石炭や石油等の化石燃料を除いた生物由来の有機資源を意味し、森林や農作物、海藻・魚介類、又はこれらを利用した後の有機性廃棄物などをも含む再生可能な有機資源である。
本出願人は、これまで二酸化炭素吸収物質の共存下で、石炭や石油、プラスチック、バイオマス等の有機物を用いて水蒸気を還元し、水素を製造する方法をいくつか提案してきた。
以下、簡単に述べると、例えば、上記有機物を二酸化炭素吸収物質共存下で超臨界水と反応させ、超臨界水を還元して水素を製造する方法を提案した(特許文献1、2参照)。
具体的に言えば、圧力220気圧以上、温度600℃以上の条件の下で、上記有機物は超臨界水と反応しながらガス化する。
また、このガス化反応により生成したガスの組成は、一酸化炭素、水蒸気、二酸化炭素及び水素を主な成分とするものとなり、各組成ガスは、次の化学平衡式により化学平衡に達する。
CO+HO ⇔ CO+H (4)
その際、各組成ガスの割合は、圧力と温度等の条件により決まる平衡値に留まるため、全体に占める水素のモル分率は30%程度にしかならない。
そこで、予め反応場に二酸化炭素吸収物質(例えばCaO)を過剰に共存させて、生成ガス中から二酸化炭素を吸収させて除去することにより、上記化学平衡式(4)を、二酸化炭素と水素を生成する方向(即ち右向き)に積極的に反応を進行させることができる。
そして、この反応により新たに生成された二酸化炭素は、更に二酸化炭素吸収物質と反応して吸収される。
このようにして順次反応が進み、最終的にはガス中の水素の割合を80%程度にまで向上させることができるのである。
しかし、上記特許文献1、2に記載された方法では、反応場における反応条件が圧力220気圧以上、温度600℃以上という条件で厳しい圧力の超臨界状態を形成しなければならない。
特に、220気圧以上という非常に高い圧力環境を形成しなければならず、装置の設計或いは操業の安全性の達成の点で必ずしも容易でないという問題があった。
そこで、本出願人は、反応場の圧力をより低くした条件でも水素を効率的に製造する方法を探り、圧力を80気圧以上に下げても水素の収率がそれほど低下せず(特許文献3参照)、更に反応場に対する有機物やCaO、水等の供給の仕方を工夫すれば、温度600〜900℃の条件下で圧力を30気圧以上の条件にまで下げても効率的に水素が得られることを見出した(特許文献4参照)。
また、本出願人は、水蒸気還元の出発物質を広範囲なバイオマスを対象として、二酸化炭素吸収物質共存下、30気圧未満という非常に緩やかな反応条件下で効率よく水蒸気の還元を行い、二酸化炭素をほとんど含まず、非常にクリーンなエネルギーである水素に変換する水素製造方法を既に特許出願している。
これらの水素製造法は、水素の製造過程において生成する二酸化炭素を二酸化炭素吸収物質に吸収させて積極的に除去するものであり、最終的な生成ガス中に二酸化炭素をほとんど含まず、非常にクリーンなエネルギーである水素を作り出すものであり、地球温暖化防止の観点からも注目される。
また、いわゆる有機廃棄物を含むバイオマスを、クリーンなエネルギーである水素に変換し、再利用することを可能にする点でも非常に優れた技術である。
特開2000−143202号公報 特開2000−153252号公報 特開2001−19402号公報 特開2001−302206号公報 特開昭54−17399号公報 特開昭61−63504号公報
本発明は、かかる実状を背景に、上記の問題点を克服するためになされたものである。
すなわち、本発明の目的は、二酸化炭素吸収物質共存下で、石膏混合廃材を、硫酸カルシウムから有害物質を発生させずに、二酸化炭素を完全に固定して、主に水素へクリーンガス化するための処理方法を提供することである。
かくして、本発明者は、このような課題背景に対して鋭意研究を重ねた結果、石膏混合廃材は揮発分が多く、それ自体が熱化学的に分解し易いことを見出し、更に、水蒸気還元の出発物質として、このような石膏混合廃材に限定すれば、より低圧の条件下でも、適量の二酸化炭素吸収物質存在下で水蒸気と反応させると、二酸化炭素を完全に吸収固定して石膏から硫黄化合物を発生させずに、且つ水素を効率的に製造することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させたものである。
即ち、本発明は、(1)、石膏混合廃材を二酸化炭素吸収物質の共存下で水蒸気と反応させて、石膏混合廃材中の木質系材料を、水素と二酸化炭素にガス化して、該ガス化した二酸化炭素を二酸化炭素吸収物質に吸収させる石膏混合廃材の処理方法であって、該石膏混合廃材と水蒸気との反応を生ぜしめるための反応場において、圧力30気圧未満、温度500℃〜800℃の条件下で反応させる石膏混合廃材の処理方法に存する。
そして、(2)、石膏混合廃材を二酸化炭素吸収物質の共存下で水蒸気及び酸素と反応させて、石膏混合廃材中の木質系材料を、水素と二酸化炭素にガス化して、該ガス化した二酸化炭素を二酸化炭素吸収物質に吸収させる石膏混合廃材の処理方法であって、該石膏混合廃材と水蒸気と及び酸素との反応を生ぜしめるための反応場において、圧力30気圧未満、温度500℃〜800℃の条件下で反応させる石膏混合廃材の処理方法に存する。
そしてまた、(3)、前記反応場に、生成する二酸化炭素をすべて吸収可能な量の二酸化炭素吸収物質を存在させる石膏混合廃材の処理方法に存する。
に存する。
そしてまた、(4)、前記反応場における石膏混合廃材中の炭素のモル数[C]に対する二酸化炭素吸収物質のモル数の比[二酸化炭素吸収物質]/[C]が1〜5の範囲である石膏混合廃材の処理方法に存する。
そしてまた、(5)、前記二酸化炭素吸収物質は、Ca、Mg、Sr、Ba又はFeの酸化物又は水酸化物、又はCaを含む貝殻のバイオマスを出発物とする酸化物又は水酸化物である石膏を含むバイオマス廃材をクリーンガス化する方法に存する。
そしてまた、(6)、二酸化炭素を吸収して炭酸塩を形成した二酸化炭素吸収物質を反応場から取り出す石膏を含むバイオマス廃材をクリーンガス化する方法に存する。
そしてまた、(7)、二酸化炭素を吸収して炭酸塩を形成した二酸化炭素吸収物質を反応場から取り出し、該炭酸塩を分解して二酸化炭素吸収物質に変え、再び反応場に戻す石膏を含むバイオマス廃材をクリーンガス化する方法に存する。
そしてまた、(8)、前記反応場におけるバイオマス中の炭素のモル数[C]に対する水蒸気のモル数[HO]の比[HO]/[C]が2以上になるように水蒸気を供給する石膏を含むバイオマス廃材をクリーンガス化する方法に存する。
そしてまた、(9)、反応場に供給する酸素の濃度が、該反応場の内部におけるバイオマス中の炭素のモル数[C]に対する酸素のモル数[O]の比[O]/[C]が0.5以下である石膏を含むバイオマス廃材をクリーンガス化する方法に存する。
本発明はこの目的に沿ったものであれば、上記1〜9の中から選ばれた2つ以上を組み合わせた構成も当然採用可能である。
本発明によれば、石膏混合廃材を二酸化炭素吸収物質の共存下で水蒸気と反応させて、石膏混合廃材の木質系材料を、水素と二酸化炭素にガス化して、該ガス化した二酸化炭素を二酸化炭素吸収物質に吸収させる石膏混合廃材の処理方法であって、該石膏混合廃材と水蒸気との反応を生ぜしめるための反応場において、圧力30気圧未満、温度500℃〜800℃の条件下で反応させることにより、二酸化炭素を完全に吸収固定して石膏から硫黄化合物を発生させずに、且つ水素を効率的に製造し石膏混合廃材をクリーンガス化することが可能となる。
以下、図面に基づいて、本発明の石膏含有バイオマス廃材をクリーンガス化するのに好適な処理方法の実施の形態について述べる。
本発明の特徴は、石膏混合廃材を二酸化炭素吸収物質の共存下で水蒸気と反応させて、石膏混合廃材の木質系材料を、水素と二酸化炭素にガス化して、該ガス化した二酸化炭素を二酸化炭素吸収物質に吸収させるに際して、該石膏混合廃材と水蒸気との反応を生ぜしめるための反応場において、圧力30気圧未満、温度500℃〜800℃の条件下で反応させることである。
ここで本発明でいう「石膏混合廃材」とは、建築物の壁材が取り壊された際に発生する木質材料(木材等)と石膏を含有する混合物のことを指す。
このように低圧条件下で石膏混合廃材を用いて、有害物質を発生させずに効率的に水素が製造できることについては、このような石膏混合廃材と石炭との性状等を対比しながら、以下説明する。
先ず、本発明者等の実験では、例えば、コナラ材や杉材等の木質材料よりなるバイオマスを加熱すると、全重量のうち70%程度が揮発するという知見が得られている。
この値は、石炭の揮発分が、通常、30%程度であるのに比べると非常に高い値である。
これは、バイオマスである木質材料には、セルロースやヘミセルロース等の高温で揮発する成分(即ち揮発分)が多く含まれているためであると考えられる。
つまり、例えば、セルロース〔一般式は(C10〕のように電気陰性度の高い酸素等を多く含む有機物は、固体状の木質材料中では主に水素結合により結合している。
そして、木質材料を加熱すると、こうした水素結合が比較的容易に切断され、セルロース等が気化(揮発)するのである。
このような原因で、木質材料が石炭等の化石燃料と比較して、一般に、揮発分を非常に多く含むと考えられる。
また、木質材料は以下のような熱化学的分解の経路で低分子化すると考えられている。
つまり、木質材料の化学式をCxHyOzと表せば、
CxHyOz → (x−z)C+zCO+(y/2)H (5)
の反応により、熱化学的に分解するのである。
そして、更に、
C+HO → H+CO (6)
C+CO → 2CO (7)
等の反応を生じて、連鎖的にガス状の炭素分を分解しながら、比較的容易に上記の化学平衡[化学平衡式(4)参照]に達すると考えられている。
それに対し、石炭は、もともとは植物が土砂中又は水底に埋没して炭化したものではあるが、天然の炭化作用により長期間かけて変化したものであり、木質材料に比べて分子中には酸素等は非常に少ない。
そして、石炭を構成する炭素原子同士が共有結合(いわゆるC−C結合)で強く結び付いているため、加熱しても容易には結合が切断されず気化しない。
上記のような石炭を加熱すると30%程度揮発するという結果は、このC−C結合の切断による石炭自体の気化の寄与分は非常に少なく、主に石炭中に含まれる揮発分が揮発したものと考えられている。
しかし、こうした炭素原子同士の強固な共有結合を切断して石炭をガス化しないと、水蒸気を効率的に還元して水素を得ることができない。
そこで、石炭をガス化させるために、従来の水素製造法では、加熱した固体状の石炭に水蒸気等を衝突させて、いわば強制的にガス化させていたのである。
そして、石炭を効率よくガス化するために、反応場の圧力を非常に高圧(例えば30気圧以上)にして水蒸気等が石炭に衝突する頻度を高めて上記反応式(6)や(7)の反応を強制的に生じさせる必要があったのである。
一方、木質材料がガス化する主な経路は2つあり、上記反応式(5)のように熱分解によって一酸化炭素と水素まで分解する経路の他に、熱分解で発生したガス状態の炭素・水素・酸素の化合物(タール)の水蒸気改質を経由して一酸化炭素と水素が生成する経路がある。
このように、木質材料は、石炭等の化石燃料と比較して揮発分を非常に多く含むという特質を有し、更に熱化学的分解の経路又はこの水蒸気改質反応の経路をたどることで、容易に一酸化炭素や水素等に分解・改質される。
そのため、従来のように高圧条件にしなくても、上記化学平衡式(4)の化学平衡に容易に達することができるのである。
尚、例えば、Ni、Ru、Pt又はPd等を担持したα−アルミナ触媒やZrO等の改質触媒を反応場に共存させれば、より容易にタールの水蒸気改質反応を生じさせることができる。
さて、水蒸気還元の出発物質を木質材料に限定すれば、反応場の圧力を低圧(即ち30気圧未満)にしても木質材料が効率よくガス化され、上記化学平衡式(4)の化学平衡に達し得ることについては、以上のように説明できる。
しかし、実際に、木質材料としてコナラ材の木屑を用いた実験では、反応場の圧力を3気圧から25気圧まで変化させたところ、6気圧近傍で水蒸気の水素への変換率が最大になり、更に昇圧すると寧ろ変換率が下がるという興味深い結果が得られている。
この結果は、出発物質として木質材料を有する石膏混合廃材を用いる場合には、上記のように低圧でも可能であるということよりは、寧ろ、積極的に30気圧未満の低圧状態にすることが必要であるということを示唆しているとも考えられる。
石膏混合廃材のガス化や水蒸気の還元過程は、上記反応式(4)〜(7)等の種々の反応が複合的に進行する複雑な過程であるから確定的な説明は困難であるが、少なくとも次のようなことは言えるであろう。
即ち、先述した木質材料の熱化学的分解反応[反応式(5)参照]やタールの水蒸気改質反応は、共に、固体である木質材料からタールや低分子のガス(例えばメタン)が揮発する、生成したタールや低分子のガスは分解し或いは改質されるというように、全組成ガスのモル数が増加する反応であるため、高圧下よりは低圧条件下の方が反応は進行し易い。
従って、上記の水素製造実験で、6気圧から昇圧すると水素への変換率が下がることから、圧力を上げると木質材料自体の揮発が阻害され、木質材料の熱化学的分解反応やタールの水蒸気改質反応が進行し難くなるため、水蒸気の水素への変換が阻害されるのではないかと考えられる。
一方、石炭を用いた水素製造法においても、固体状の石炭(C)を改質する上記反応式(6)や(7)の反応もモル数が増加する反応であり、高圧環境下よりは低圧条件の方が反応は進むはずである。
しかし、上記のように、石炭の場合には、圧力をかけて強制的に水蒸気等を衝突させないとそもそも固体状の石炭がガス化しないため、圧力を30気圧未満にすることは非常に困難であったのである。
因みに、石炭を出発物質とした場合、高圧条件下で行われるため、モル数を減少させる反応である、
C+2H → CH (8)
の反応が生じ、主にこの反応により組成ガス中の水素が減り、比較的高い比率でメタンが発生してしまう。
それに対し、木質材料を出発物質とすれば、反応が低圧環境下で行われるため上記反応式(8)の反応はほとんど生じず、メタン化により水素が不必要に減少するのを防止できるという効果もある。
以上のように、木質材料は、30気圧未満でもそれ自身が十分容易にガス化するうえ、寧ろ低圧である方が効率的に熱化学的分解や水蒸気改質反応が進行するため、上記化学平衡式(4)に示す化学平衡に達し易いことが分かった。
また、その際の反応温度は、反応効率等の観点から500〜800℃の範囲が採用される。
500℃より低いと熱分解反応や水蒸気改質反応等の吸熱反応が遅くなり、また、800℃より高くなるとCOを吸収した炭酸化物からの脱炭酸反応の速度が増大するためである。
また600〜750℃であれば効率が更に上がりより好ましい。
また、酸素を含まないときは、700℃以上では硫酸カルシウムの硫化カルシウムへの転化が起こりやすくなるので600〜700℃で反応を行うのがよい。700℃以上で反応を行うと石膏の硫酸カルシウムが硫化カルシウムに転化され、ガス化反応後の冷却時に(二酸化炭素吸収物質のCO吸収性能が低下した場合)硫化カルシウムの炭酸化が起こり硫化水素を発生することもあり得るので好ましくない。
その他に、酸素を含まない場合は、石膏混合廃材の炭素のモル数[C]に対して加える二酸化炭素吸収物質のモル数の比[二酸化炭素吸収物質]/ [C]は1より大きくして、反応後の冷却時に炭酸化反応(3)を起こさない(即ち硫化水素を発生させない)ように、生成する二酸化炭素を二酸化炭素吸収物質で効果的に吸収除去するのがよい。
さて、反応場に予め二酸化炭素吸収物質を共存させておけば、上記化学平衡式(4)に示す化学平衡にある生成ガス中の二酸化炭素がこの二酸化炭素吸収物質と反応して減少する。
今、二酸化炭素吸収物質をXで表せば、この反応は、
X+CO → (XCO) (9)
と表すことができる。
因みに、(XCO)は二酸化炭素吸収物質(X)がCOを吸収して生成した化合物を示す。
例えば、二酸化炭素吸収物質がCaOであれば、(XCO)は、
CO+CaO → CaCO (10)
の反応で生じるCaCOのことを指す。
そして、この反応により生成ガス中から二酸化炭素が減少すると、上記化学平衡式(4)に示す化学平衡は、右方向、即ち二酸化炭素と水素を生成する方向に積極的に反応が進む。
新たに生成された二酸化炭素は、更に二酸化炭素吸収物質と反応して吸収され、このようにして順次反応が進み、最終的にはガス中の水素の割合が向上し、効率よく水素を製造することが可能となるのである。
そのため、反応場に、生成する二酸化炭素をすべて吸収可能な量の二酸化炭素吸収物質を予め存在させておけば、生成された二酸化炭素を余さず吸収することができ好ましい。
上記反応式(9)に示すように、二酸化炭素吸収物質と二酸化炭素とは、通常、1対1で反応し、二酸化炭素は石膏混合廃材の木質材料中の炭素原子が酸化されて生成されるから、反応場に供給する二酸化炭素吸収物質の量は、反応場における木質材料中の炭素のモル数[C]に対して、二酸化炭素吸収物質のモル数の比が1以上であることが必要である。
しかし、二酸化炭素吸収物質をあまりに大過剰に供給してしまうと、今度は、水素の生成効率が低下することが分かっている。
その理由は、二酸化炭素吸収物質がCOを吸収することで細孔径が収縮し、タールや水蒸気の拡散が阻害されるためと考えられる。
したがって、反応場に供給する二酸化炭素吸収物質の量は、石膏混合廃材中の炭素のモル数[C]に対する加える二酸化炭素吸収物質のモル数[二酸化炭素吸収物質]の比[二酸化炭素吸収物質] / [C]でいうと、1〜5の範囲であれば好ましく、更に好ましくは1〜4の範囲である。
勿論、この石膏混合廃材中に二酸化炭素吸収物質が含まれているときは加える二酸化吸収物質を減らすことも出来る。また、この石膏混合廃材からガス化時に硫黄化合物などの有害物質を発生する物質を含有するときは、硫黄酸化物も吸収することができるCaO,Ca(OH)などの二酸化炭素吸収物質を増やすこともできるが、その他にNaOH,NaCO,KOH,KCOなどのアルカリ金属化合物などの有害物質吸収物質を適量添加することも出来る。
本発明の石膏混合廃材をクリーンガス化するのに加える二酸化炭素吸収物質としては、Ca、Mg、Sr、Ba、Feの酸化物(CaO、MgO、FeO、SrO、BaO、Fe、Fe)及び同種金属の水酸化物(Ca(OH)、Mg(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)、Fe(OH)、Fe(OH))などが好ましく用いられる。
また、本発明者等の実験では、Ca化合物を含み特徴的な多孔性三次元構造を有する牡蠣やホタテなどの貝殻類のバイオマスを出発物としてそれを酸化物又は水酸化物にして用いても、同様に効果的に二酸化炭素を吸収することが分かった。
これらの二酸化炭素吸収物質は、二酸化炭素を吸収して炭酸塩を形成するため、二酸化炭素を温室効果ガスとして放出することなく反応場から取り出すことができる利点がある。
また、これらの二酸化炭素吸収物質は、炭酸塩として反応場から取り出した後、更にこの炭酸塩を加熱等により分解して二酸化炭素を除去すると、再び二酸化炭素吸収物質に変換することができ、その結果、反応場に戻して用いることができリサイクルの面から極めて有利である。
さて、以上述べてきた本発明の石膏混合廃材に含まれる木質材料をクリーンガス化し、且つその木質材料による水素を製造するクリーンガス化における全反応を1つの反応式で表すならば、バイオマス中の炭素(C)1原子につき、
C+2HO+X → XCO+2H (11)
の化学反応が生じ、水蒸気が水素に還元される(Xは二酸化炭素吸収物質)。
正確に言えば、木質材料中にも水素原子や酸素原子が多量に含まれるが、上記反応式(11)に示すように、反応場における石膏混合廃材中の炭素のモル数[C]に対する水蒸気のモル数[HO]の比[HO]/ [C]が、2以上になるように水蒸気を供給すれば、その木質材料を余さず反応させることができ、好ましい。
ところで、酸素濃度が低い場合は、ガス化した木質材料が上記の熱化学的分解反応[反応式(5)参照]や水蒸気改質反応を経た後、なおもタールやチャー(タールが重合することで生成した固体、木質材料から揮発分が抜けた後の未反応の固体)が残ることがある。
そうした場合には、反応場に更に酸素を供給すると好ましい。
このように酸素濃度を増すと、燃焼反応によりタールやチャーの発生量を低減させることができる。
また、タールの水蒸気改質反応及びチャーの水性ガス化反応(上記反応式(6)の反応(C+HO→H+CO))は比較的大きなエンタルピー変化を伴う吸熱反応であるため、上記燃焼により発生した反応熱をこの反応で要求される熱量に充てることができる。
その結果、この反応熱の分だけ反応場の加熱量を抑えれば良いことが分かる。具体的には、加熱する電気炉等にかかる負担を軽減することができ、電力消費量を低減させることが可能となる。
しかし、その際、酸素を過剰に供給すると、木質材料を燃焼して二酸化炭素が大量に発生する。
生成した二酸化炭素は、大部分は二酸化炭素吸収物質と反応して吸収されてしまい、水蒸気の水素への還元に何ら寄与しない結果となる。
もっとも、上記反応式(7)に示すように木質材料中の不揮発性炭素と反応して一酸化炭素の生成に使われるものもあるであろう。
反応場に酸素を供給するのであれば、木質材料といわゆる不完全燃焼を起こさせて一酸化炭素を生成する程度の量の酸素を供給すべきである。
そうすれば、一酸化炭素が上記化学平衡式(4)を介して効果的に水蒸気を還元して水素を発生させることができる。
本発明者らの実験によれば、反応場の内部における石膏混合廃材中の炭素のモル数[C]に対する酸素のモル数[O]の比([O]/[C])が0.5以下になるように供給すれば、良好に二酸化炭素が生成されることが分かっている。
このことは、実際にこの石膏混合廃材の処理方法を達成するための水素製造装置の設計や作業性の点で、非常に重要な意味を持つ。
つまり、通常、実験的には、木質材料(バイオマス)を有する石膏混合廃材を反応場に供給する際には、石膏混合廃材中に含まれる空気(約20%の酸素が含まれる)を非反応性のキャリアガス(例えば窒素ガス等)で置換してこのキャリアガスに乗せて供給する。
しかし、石膏混合廃材中の炭素のモル数[C]に対する酸素のモル数[O]の比([O]/[C])が0.5以下の酸素が混入しても支障がないのであれば、木質材料等をキャリアガスに乗せて供給するにしても、わざわざ一旦石膏混合廃材中の空気をキャリアガスで置換するという煩瑣な作業を省略することができるからである。
以上、本発明を説明してきたが、本発明は実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の更なる変形例が可能であることは言うまでもない。
例えば、上記の説明は、バイオマスとして、主に石膏や木質材料(例えばコナラ、杉等の木材)の混合廃材を例にとって説明したが、廃材以外(例えば新材)でも当然出発材料として用いることができる。
以下、実施例について述べる。
尚、本発明はこれらの実施例(実験例)に限定されるものでないことは言うまでもない。
[実験条件]
石膏混合廃材〔石膏や木質材料の混合された廃材〕の処理(クリーンガス化)は、図1に示すオートクレーブ(インコネル製)有するバッチ式ガス化装置を用いて行った。
石膏混合廃材としては壁材〔商品名「シンセライト」(積水化学株式会社製)〕の廃材を用い、加える二酸化炭素吸収物質にはCa(OH)を用いた。なお、該石膏混合廃材中のCaSOのCa量〔Ca〕の炭素量〔C〕に対するモル比(〔Ca〕/〔C〕)は0.8であった。生成したガス組成は、ガスクロマトグラフ及び各成分検知管により測定した。
[実験例1]
バッチ式水蒸気ガス化装置(図1参照)のオートクレーブにおいて、石膏混合廃材中のCaSOのCa量〔Ca〕の炭素量〔C〕に対するモル比(〔Ca〕/〔C〕)が0.8、該廃材中の炭素〔C〕に対する水蒸気のモル比(〔HO〕/〔C〕)が6、該廃材中の炭素〔C〕に対する酸素のモル比(〔O〕/〔C〕)が0.4、該廃材中の炭素量〔C〕に対する二酸化炭素吸収物質のモル比(〔二酸化炭素吸収物質〕/〔C〕)が1.5に各々なるように、二酸化炭素吸収物質すなわちCa(OH)、水及び酸素を導入し、石膏混合廃材の水蒸気ガス化反応を行った。
この場合の反応条件は、温度を650℃に固定して、8気圧で、10分間、処理を行った。
[実験例2]
実験例1と同様な装置と石膏混合廃材を用い、該廃材中のCaSOのCa量〔Ca〕の炭素量〔C〕に対するモル比(〔Ca〕/〔C〕)が0.8、該廃材中の炭素〔C〕に対する水蒸気のモル比(〔HO〕/〔C〕)が6、該廃材中の炭素〔C〕に対する酸素のモル比(〔O〕/〔C〕)が0.4、該廃材中の炭素量〔C〕に対する二酸化炭素吸収物質のモル比(〔二酸化炭素吸収物質〕/〔C〕)が1.5に各々なるように、二酸化炭素吸収物質すなわちCa(OH)、水及び酸素を導入し石膏混合廃材の水蒸気ガス化反応を行った。
この場合の反応条件は、温度を650℃に固定して、6気圧で、10分間、処理を行った。
[実験3]
実験例1と同様な装置と石膏混合廃材を用い、該廃材中のCaSOのCa量〔Ca〕の炭素量〔C〕に対するモル比(〔Ca〕/〔C〕)が0.8、該廃材中の炭素〔C〕に対する水蒸気のモル比(〔HO〕/〔C〕)が6、該廃材中の炭素〔C〕に対する酸素のモル比(〔O〕/〔C〕)が0.1、該廃材中の炭素量〔C〕に対する二酸化炭素吸収物質のモル比(〔二酸化炭素吸収物質〕/〔C〕)が1.5に各々なるように、二酸化炭素吸収物質すなわちCa(OH)、水及び酸素を導入し石膏混合廃材の水蒸気ガス化反応を行った。
この場合の反応条件は、温度を650℃に固定して、6気圧で、10分間、処理を行った。
[結果]
生成したガス成分は殆ど水素であり(90%前後)、少量のメタン(CH)が見られた。
ガスクロ、検知管による生成ガス分析、及び二酸化炭素吸収物質の分析から、適量の二酸化炭素吸収物質を導入すると、石膏混合廃材の炭素は二酸化炭素として二酸化炭素吸収物質に吸収され、硫黄化合物も気相に生成しないことが分かった。本実験例の圧力、酸素濃度の条件で得られた廃材のガス化では、ガス化率は低圧で、低酸素濃度のとき高いガス化率が得られた。
そして水素の生成は、理論収率(投入炭素1モルに対して水素2.05モル)に対して、40%(8気圧、〔O〕/〔C〕=0.4)、50%(6気圧、〔O〕/〔C〕=0.4)、及び60%(6気圧、〔O〕/〔C〕=0.1)であった。
即ち、反応温度650℃では、石膏混合廃材による水の水素への変換率は6気圧、〔O〕/〔C〕=0.1近傍で最大となることが分かった。
[比較実験例1]
実験例1と同様な装置と石膏混合廃材を用い、該廃材中のCaSOのCa量〔Ca〕の炭素量〔C〕に対するモル比(〔Ca〕/〔C〕)が0.8、該廃材中の炭素〔C〕に対する水蒸気のモル比(〔HO〕/〔C〕)が6、該廃材中の炭素量〔C〕に対する二酸化炭素吸収物質のモル比(〔二酸化炭素吸収物質〕/〔C〕)が0.5に各々なるように、二酸化炭素吸収物質すなわちCa(OH)と水を導入し石膏混合廃材の水蒸気ガス化反応を行った。
この場合の反応条件は、温度を650℃に固定して、9気圧で、10分間、処理を行った。
[比較実験例2]
実験例1と同様な装置と石膏混合廃材を用い、該廃材中のCaSOのCa量〔Ca〕の炭素量〔C〕に対するモル比(〔Ca〕/〔C〕)が0.8、新たに二酸化炭素吸収物質を入れずに、該廃材の炭素〔C〕に対する水蒸気のモル比(〔HO〕/〔C〕)が6、該廃材の炭素〔C〕に対する酸素のモル比(〔O〕/〔C〕)が0.4に各々なるように、水及び酸素を導入し石膏混合廃材の水蒸気ガス化反応を行った。
この場合の反応条件は、温度を650℃に固定して、8気圧で、10分間、処理を行った。
[結果]
適量のCa(OH)を加えない場合、酸素が共存しないと、ガス化率、水素生成特性は低下した。生成したガス成分は、水素、二酸化炭素の他に、少量のメタンと硫化水素が検出された。
一方、気相中に酸素が存在すると、ガス化率は上がり、硫化水素の生成は認められなかった。しかし、酸素を添加することで二酸化炭素発生量が増大したため、二酸化炭素吸収物質が不足する場合は二酸化炭素が吸収されずに気相に残った。
また適量のCa(OH)を加えた比較実験1と比べると、二酸化炭素が全部は吸収されずに気相に残るだけでなく、ガス化率、水素収率は低下した。
このように新たに適量の二酸化炭素吸収物質を加えないと、酸素が存在しないときにはガス化時に硫酸カルシウムの硫化カルシウムへの転化が起こり、ガス化後の冷却時に炭酸化が生じて、硫化水素が発生する。酸素が存在するときは、硫化水素は発生しないが、生成した二酸化炭素が全部は吸収されずに気相に残った。
[実験例4]
石膏混合廃材中のCaSOのCa量〔Ca〕の炭素量〔C〕に対するモル比(〔Ca〕/〔C〕)が0.8、該廃材中の炭素〔C〕に対する水蒸気のモル比(〔HO〕/〔C〕)が6、該廃材中の炭素量〔C〕に対する二酸化炭素吸収物質のモル比(〔二酸化炭素吸収物質〕/〔C〕)が1.5に各々なるように、水およびCa(OH)を加えた。このようにして、気相中に酸素は存在しないが、二酸化炭素吸収物質は適量存在する条件で該廃材のクリーンガス化を行い、比較実験例1へのCa(OH)添加効果を調べた。
この場合の反応条件は、温度を650℃に固定して、9気圧で、10分間、処理を行った。
[結果]
酸素が共存しないときも、適量のCa(OH)を添加すると、硫化水素の発生はなく、ガス化率、水素生成特性は向上することが見出された。
図1は、バッチ式水蒸気ガス化装置を説明する模式図である。
符号の説明
1…オートクレーブ
2…密閉容器
3…ガスバック
4…ガスメータ
5…電気炉

Claims (9)

  1. 石膏混合廃材を二酸化炭素吸収物質の共存下で水蒸気と反応させて、石膏混合廃材の木質系材料を、水素と二酸化炭素にガス化して、該ガス化した二酸化炭素を二酸化炭素吸収物質に吸収させる石膏混合廃材のクリーンガス化法であって、該石膏混合廃材と水蒸気との反応を生ぜしめるための反応場において、圧力30気圧未満、温度500℃〜800℃の条件下で反応させることを特徴とする石膏混合廃材のクリーンガス化法。
  2. 石膏混合廃材を二酸化炭素吸収物質の共存下で水蒸気及び酸素と反応させて、石膏混合廃材の木質系材料を、水素と二酸化炭素にガス化して、該ガス化した二酸化炭素を二酸化炭素吸収物質に吸収させる石膏混合廃材のクリーンガス化法であって、該石膏混合廃材と水蒸気と及び酸素との反応を生ぜしめるための反応場において、圧力30気圧未満、温度500℃〜800℃の条件下で反応させることを特徴とする石膏混合廃材のクリーンガス化法。
  3. 前記反応場に、生成する二酸化炭素をすべて吸収可能な量の二酸化炭素吸収物質を存在させることを特徴とする請求項1又は2に記載の石膏混合廃材のクリーンガス化法。
  4. 前記反応場における石膏混合廃材中の炭素のモル数[C]に対する二酸化炭素吸収物質のモル数の比[二酸化炭素吸収物質]/[C]が1〜5の範囲であることを特徴とする請求項1又は2に記載の石膏混合廃材のクリーンガス化法。
  5. 前記二酸化炭素吸収物質は、Ca、Mg、Sr、Ba又はFeの酸化物又は水酸化物、又はCaを含む貝殻のバイオマスを出発物とする酸化物又は水酸化物であることを特徴とする請求項1又は2記載の石膏混合廃材のクリーンガス化法。
  6. 二酸化炭素を吸収して炭酸塩を形成した二酸化炭素吸収物質を反応場から取り出すことを特徴とする請求項1記載の石膏混合廃材のクリーンガス化法。
  7. 二酸化炭素を吸収して炭酸塩を形成した二酸化炭素吸収物質を反応場から取り出し、該炭酸塩を分解して二酸化炭素吸収物質に変え、再び反応場に戻すことを特徴とする請求項1又は2記載の石膏混合廃材のクリーンガス化法。
  8. 前記反応場におけるバイオマス中の炭素のモル数[C]に対する水蒸気のモル数[HO]の比[HO]/[C]が2以上になるように水蒸気を供給することを特徴とする請求項1又は2記載の石膏混合廃材のクリーンガス化法。
  9. 反応場に供給する酸素の濃度が、該反応場の内部におけるバイオマス中の炭素のモル数[C]に対する酸素のモル数[O]の比[O]/[C]が0.5以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の石膏混合廃材のクリーンガス化法。
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