JP2005109272A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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典仁 福井
Katsunori Nogami
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Abstract

【課題】 静電容量特性の良好な固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】 本発明の固体電解コンデンサは、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回するとともに、導電性ポリマーをセパレータで保持したコンデンサ素子を備えた固体電解コンデンサにおいて、陰極電極箔として表面に化成皮膜を形成し、さらにその上に金属炭化物からなる皮膜を形成したエッチング箔、または表面に化成皮膜を形成し、さらにその上に金属炭化物からなる皮膜を形成したプレーン箔を用いているので、静電容量、ESR特性が良好である。
【選択図】 なし


Description

この発明は、固体電解コンデンサにかかり、特に導電性ポリマーを電解質に用いた固体電解コンデンサに関する。
電解コンデンサは、タンタル、アルミニウム等の弁作用金属からなるとともに微細孔やエッチングピットを備える陽極電極の表面に、誘電体となる酸化皮膜層を形成し、この酸化皮膜層から電極を引き出した構成からなる。そして、酸化皮膜層からの電極の引出しは、導電性を有する電解質層により行っている。したがって、電解コンデンサにおいては電解質層が真の陰極を担うことになる。このような真の陰極として機能する電解質層は、酸化皮膜層との密着性、緻密性、均一性などが求められる。特に、陽極電極の微細孔やエッチングピットの内部における密着性が電気的な特性に大きな影響を及ぼしており、従来数々の電解質層が提案されている。
ところで、近年、電子機器のデジタル化、高周波化に伴い、小型大容量で高周波領域でのインピーダンスの低いコンデンサが要求されている。
これらの要求に対して、陰極箔と陽極箔をセパレータを介して巻回したコンデンサ素子を金属ケースに収納し、封口ゴムによって封止する巻回型の電解コンデンサによって、小型大容量を実現することができる。そして、低インピーダンスに対しては、電解質として固体電解質を用いることで対応することができる。このような固体電解質としては、7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ポリピロール、ポリチオフエン等の高導電性を有する導電性ポリマーが知られている。そして、現在では反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDT)に着目し(特許文献1参照)、その結果、陽極電極箔と陰極電極箔とを、セパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、モノマーと酸化剤とを含浸し、その後緩やかに起きるモノマーと酸化剤との化学重合反応で固体電解質であるポリエチレンジオキシチオフェンをコンデンサ素子内部で生成させる固体電解コンデンサが実現されている(特許文献2参照)。
特開平2−15611号公報 特開平10−340829号公報
ところで、近年、電子情報機器はデジタル化され、さらにこれらの電子情報機器の心臓部であるマイクロプロセッサの駆動周波数の高速化が進んでいる。これに伴って、消費電力の増大化が進み、発熱による信頼性の問題が顕在化してきたため、その対策として駆動電圧の低減化が図られてきた。
上記駆動電圧の低減化を図るため、マイクロプロセッサに高精度な電力を供給する電源の出力側コンデンサには、ESRの低いコンデンサが多数用いられている。このような低ESR特性を有するコンデンサとして、上述したような固体電解コンデンサが用いられている。
しかしながら、マイクロプロセッサの駆動周波数の高速化は著しく、それに伴って消費電力がさらに増大し、コンデンサからの供給電力のさらなる増大化が求められ、このために固体電解コンデンサには大容量化が要求されている。
そこで、本発明は、前述のような問題点を解決するために、静電容量の高い固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明は、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回するとともに、導電性ポリマーをセパレータで保持したコンデンサ素子を備えた固体電解コンデンサにおいて、陰極電極箔として表面に化成皮膜を形成し、さらにその上に金属炭化物からなる皮膜を形成したエッチング箔、または表面に化成皮膜を形成し、さらにその上に金属炭化物からなる皮膜を形成したプレーン箔を用いている。
本発明の固体電解コンデンサについて説明する。アルミニウム等の弁作用金属からなり表面に酸化皮膜層が形成された陽極電極箔と、陰極電極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。そして、このコンデンサ素子のセパレータに導電性ポリマーを保持している。
陽極電極箔は、アルミニウム等の弁作用金属からなり、陽極電極箔の表面には、アジピン酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成している。陰極電極箔は、陽極電極箔と同様にアルミニウム等からなり、表面にエッチング処理が施されているものを用いる。
陽極電極箔及び陰極電極箔にはそれぞれの電極を外部に接続するための陽極引出し手段、陰極引出し手段が、ステッチ、超音波溶接等の公知の手段により接続されている。これらの電極引出し手段は、巻回したコンデンサ素子の端面から導出される。
コンデンサ素子は、上記の陽極電極箔と陰極電極箔とを、セパレータを間に挟むようにして巻き取って形成している。両極電極箔の寸法は、製造する固体電解コンデンサの仕様に応じて任意であり、セパレータも両極電極箔の寸法に応じてこれよりやや大きい幅寸法のものを用いればよい。
このコンデンサ素子内に導電性ポリマーを形成するが、導電性ポリマーとしてポリエチレンジオキシチオフェン(PEDT)を用いると、大容量、低ESR特性を有する固体電解コンデンサを得ることができるので好適である。このPEDTは、モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDT)を酸化剤であるp−トルエンスルホン酸第二鉄で重合させて得ることができる。重合はEDTまたはEDT溶液と酸化剤溶液をコンデンサ素子に注入して加熱して行うこともできるし、EDTと酸化剤の混合液をコンデンサ素子に注入、または混合液にコンデンサ素子を浸漬して含浸し加熱して行うこともできる。
そして、この導電性ポリマーを形成したコンデンサ素子を有底筒状の金属ケースに収納し、封口ゴムで加締め封止して固体電解コンデンサが形成される。
ここで、本発明においては、陰極電極箔として、表面に化成皮膜を形成し、さらにその上に金属炭化物からなる皮膜を形成したエッチング箔、または表面に化成皮膜を形成し、さらにその上に金属炭化物からなる皮膜を形成したプレーン箔を用いる。金属炭化物としては、TiC、WC,ZrC、HfC,VC,TaC、NbC等比電気抵抗の低いものが好ましく、1mΩ・cm以下が好ましい。また、金属炭化物の皮膜の厚みは、0.01〜3μmとすることが好ましく、さらに0.03〜2μmとすることが好ましい。この範囲未満ではESR低減効果が少なく、この範囲を越えると皮膜の接合強度が低下する。また、プレーン箔を用いた場合、エッチング箔に比べてエッチング部がない分、箔厚を小さくすることができ、箔面積を拡大して静電容量を増大することができる。
化成したエッチング箔、または化成したプレーン箔への金属炭化物からなる皮膜の形成方法としては、蒸着法が好ましい。蒸着法としては、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、イオンビームスパッタ法、イオンビームアシスト蒸着法等を挙げることができる。なかでも、イオンプレーティング法が好ましく、さらにこの中でアークイオンプレーティング法(陰極アークプラズマ蒸着法)が好ましい。このアークプラズマ蒸着法の条件は、所定の金属をターゲットとして、電流値は60〜300A、電圧値は15〜25Vである。なお、金属炭化物の場合は、メタン、エタン、プロパン、アセチレン等の炭素系ガスを含む全圧が1×10-1〜1×10-4Torrの雰囲気で行う。以上のような蒸着法を用いると、ガス濃度等の蒸着条件を変えることで金属炭化物の金属と炭素の化合比を所望の化合比とすることができるので好適である。
以上の固体電解コンデンサにおいては、化成皮膜の表面に形成した金属炭化物の比電気抵抗が低いので、導電性ポリマーと陰極箔が導通状態となって、コンデンサの合成容量が最大となり、静電容量が増大となる。さらに、金属炭化物と導電性ポリマーとの接着性が良好なので、ESRが低減する。
本発明は、陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回するとともに、導電性ポリマーをセパレータで保持したコンデンサ素子を備えた固体電解コンデンサにおいて、陰極電極箔として表面に化成皮膜を形成し、さらにその上に金属炭化物からなる皮膜を形成したエッチング箔、または表面に化成皮膜を形成し、さらにその上に金属炭化物からなる皮膜を形成したプレーン箔を用いているので、静電容量特性、ESR特性が良好である。
次に本発明の固体電解コンデンサについて具体的に説明する。
陽極電極箔及び陰極電極箔は、弁作用金属、例えばアルミニウム、タンタルからなり、その表面には予めエッチング処理が施されて表面積が拡大されている。陽極電極箔については、更に化成処理が施され、表面に酸化アルミニウムからなる酸化皮膜層が形成されている。この陽極電極箔及び陰極電極箔を、セパレータを介して巻回し、コンデンサ素子を得る。
次いで、コンデンサ素子に、EDTと酸化剤とを含浸する。酸化剤は、p−トルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を用い、150℃、1時間加熱重合して、導電性ポリマーであるPEDTを生成する。
このようにして陽極電極箔と陰極電極箔の間に介在したセパレータに導電性ポリマー層が形成されたコンデンサ素子は、有底筒状のケースに収納され、ブチルゴムからなる封口ゴムで封止して固体電解コンデンサを形成する。定格は2.5WV−820μFである。
ここで、実施例1として、0.3μmの炭化チタン皮膜を形成した50μmの2V化成エッチング箔を陰極箔として用いた。また、実施例2として、0.3μmの炭化チタン皮膜を形成した30μmの2V化成プレーン箔を陰極箔として用いた。
また、比較例1として、0.3μmの窒化チタン皮膜を形成した50μmのエッチング箔、比較例2として、0.3μmの窒化チタン皮膜を形成した50μmの2V化成エッチング箔を用いた。
次に、これらの固体電解コンデンサの初期特性を(表1)に示す。
Figure 2005109272
以上のように、実施例は比較例に比べて、静電容量、ESR共に良好である。

Claims (3)

  1. 陽極電極箔と陰極電極箔とをセパレータを介して巻回するとともに、導電性ポリマーをセパレータで保持したコンデンサ素子を備えた固体電解コンデンサにおいて、陰極電極箔として表面に化成皮膜を形成し、さらにその上に金属炭化物からなる皮膜を形成したエッチング箔、または表面に化成皮膜を形成し、さらにその上に金属炭化物からなる皮膜を形成したプレーン箔を用いた固体電解コンデンサ。
  2. 金属炭化物がTiC、WC,ZrC、HfC,VC,TaC、NbCである請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  3. 導電性ポリマーが3,4−エチレンジオキシチオフェンと酸化剤の化学重合によって形成したポリエチレンジオキシチオフェンである請求項1記載の固体電解コンデンサ。



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