JP2005108660A - 燃料電池シミュレータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 燃料電池の性能低下要因を解析する上で性能向上の指針提示に役立つ燃料電池シミュレータを提案する。
【解決手段】 本発明の燃料電池シミュレータは、過電圧の内訳として、活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧を区別して表示する。過電圧の内訳を区別して表示することで、活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧が全体の損失の中でどの程度の割合を占めているかを把握することが容易となり、燃料電池の性能低下要因を解析する上で性能向上の指針提示に役立つ。
【選択図】 図1

Description

本発明は燃料電池の発電特性をシミュレーションする燃料電池シミュレータに関し、特に、燃料電池の解析支援に好適な改良技術に関する。
燃料電池の発電特性を解析する上で発電中のセルのI−V特性、電流密度分布、ガス濃度分布、湿度分布等の内部状態を把握することが重要な課題となっている。発電中のセルの内部状態を把握することは必ずしも容易ではないため、燃料電池の動特性を理論的にモデル化し、数値シミュレーション技術を用いて発電特性を解析するのが一般的である。例えば、特開平6−188020号公報には燃料電池システムの動的解析に適したシミュレーションモデルが提案されている。
特開平6−188020号公報
しかし、従来の燃料電池シミュレータでは燃料電池の性能低下要因を発見・分析し、これらの要因を解決する上で不十分な点があった。例えば、燃料電池を運転して電流を取り出すと、分極現象のために燃料電池の出力電圧は過電圧ηだけ低下し、この過電圧ηは活性化過電圧ηaと濃度過電圧ηcと抵抗過電圧ηrの和であることが知られている。従来の燃料電池シミュレータでは、発電特性を数値シミュレーションした場合に、最終性能であるI−V特性を表示する機能は備えていたものの、過電圧ηの内訳、つまり、活性化過電圧ηaと濃度過電圧ηcと抵抗過電圧ηrがそれぞれどの程度存在しているのかを視覚的に把握でき易いように表示する機能は備えていなかった。
そこで、本発明は上述の問題を解決し、燃料電池の性能低下要因を解析する上で性能向上の指針提示に役立つ燃料電池シミュレータを提案することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の燃料電池シミュレータは、燃料電池の過電圧を演算する過電圧演算部と、過電圧の内訳を表示する過電圧表示部を備える。過電圧の内訳を表示することで、燃料電池の性能低下要因を解析する上で性能向上の指針提示に役立てることができる。
本発明の燃料電池シミュレータは、燃料電池の過電圧を活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧に分けてそれぞれ演算する過電圧演算部と、過電圧の内訳として活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧を区別して表示する過電圧表示部を備える。過電圧の内訳として、活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧を区別して表示することで、性能低下の要因解析が容易となり、性能向上の指針提示に役立てることができる。
本発明の燃料電池シミュレータは、燃料電池の過電圧を活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧に分けてそれぞれ演算する過電圧演算部と、活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧のうち選択された何れかについて表示する過電圧表示部を備える。活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧のうち選択された何れかについて表示することで、性能低下の要因解析が容易となり、性能向上の指針提示に役立てることができる。
本発明の燃料電池シミュレータにおいて、活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧のうち何れを表示するかをオペレータに案内するための選択画面を表示する選択画面表示部と、オペレータが選択画面の案内に従って入力操作を行うための入力部をさらに備え、過電圧表示部は活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧のうちオペレータによって選択された何れかについて表示する。活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧のうち何れを表示するかをオペレータの判断に委ねることで、性能解析の利便性を向上させることができる。
本発明によれば過電圧の内訳を表示することで、燃料電池の性能低下要因を解析する上で性能向上の指針提示に役立てることができる。
以下、各図を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
図2は本実施形態に関わる燃料電池シミュレータ10の機能ブロック図である。同シミュレータ10は、各セルの過電圧ηを活性化過電圧ηaと濃度過電圧ηcと抵抗過電圧ηrのそれぞれに分けて演算する過電圧演算部11と、オペレータに過電圧の表示形式等の選択を案内する画面(図4:ステップS201,S205,S207)を表示する選択画面表示部12と、選択画面の案内に従ってオペレータが入力操作するための入力部13と、指示された表示形式等で過電圧を表示するための過電圧表示部14を備えている。本明細書において、「過電圧」とは「電圧損失」と同義の意味を有するものとする。
図3は各セルについて過電圧を演算する演算ルーチンである。本演算ルーチンが呼び出されると、過電圧演算部11は、まず、演算したセル数をカウントする変数Cに初期値として1を代入する(ステップS101)。変数Cの値はステップS102〜ステップS106から成るループ処理が1回繰り返される毎に1だけインクリメントされる。次いで、C番目のセルについて、活性化過電圧ηa、濃度過電圧ηc及び抵抗過電圧ηrの順に演算する(ステップS102〜S104)。これらの各過電圧は(1)式〜(3)式より演算できる。
ηa=a−b×logI …(1)
ηc=b×log(1−I/IL) …(2)
ηr=IR …(3)
ここで、a,bは定数、Rは抵抗値、Iは電流密度、ILは限界電流密度である。
各過電圧の演算が終了すると、全てのセルについて演算が完了したか否かをチェックする(ステップS105)。ここでは、燃料電池のセル数をNとし、C=Nとなったか否かがチェックされる。C<Nの場合は(ステップS105;NO)、演算してないセルが残っているため、変数Cを1だけインクリメントし(ステップS106)、ステップS102に戻る。以上のステップを繰り返し実行し、全てのセルについて過電圧の演算が終了したならば(ステップS105;YES)、本演算ルーチンを終了する。
尚、過電圧ηの内訳を詳細に解析するために、活性化過電圧ηaをアノードの活性化過電圧と、カソードの活性化過電圧に分けてそれぞれ独立に演算し、区別して表示できるように構成してもよい。過電圧η全体の中でアノードの活性化過電圧とカソードの活性化過電圧がそれぞれどの程度含まれているのかを視覚的にわかりやすく表示することで、燃料電池の解析支援に役立てることができる。同様に、濃度過電圧ηcをアノードの濃度過電圧とカソードの濃度過電圧に分けてそれぞれ独立に演算し、区別して表示できるように構成してもよい。また、抵抗過電圧ηrをMEA抵抗過電圧と、拡散層抵抗過電圧と、集電体抵抗過電圧に分けてそれぞれ独立に演算し、区別して表示できるように構成してもよい。
図4は各過電圧の演算結果を表示するための処理手順を記述した画面表示ルーチンである。過電圧の表示形式には、過電圧η全体の中で各過電圧(活性化過電圧ηa、濃度過電圧ηc及び抵抗過電圧ηr)がそれぞれどの程度の割合で含まれているかその内訳を表示するもの(以下、全体表示と称する)と、各過電圧(活性化過電圧ηa、濃度過電圧ηc、及び抵抗過電圧ηr)を個別に抽出して表示するもの(以下、個別表示と称する)がある。本ルーチンが呼び出されると、選択画面表示部14は表示形式選択画面を表示する(ステップS201)。表示形式選択画面とは、燃料電池シミュレータ10のオペレータに「A:全体表示」と「B:個別表示」の何れを選択するのかを案内する画面である。ここで、オペレータが入力部12を入力操作して「A:全体表示」と「B:個別表示」の何れかを入力すると(ステップS202;YES)、選択画面表示部14は「A:全体表示」と「B:個別表示」の何れが指定されたかをチェックする(ステップS203)。
「A:全体表示」が選択された場合には(ステップS203;A)、過電圧表示部13は、図1に示すように、「全体表示」を行う(ステップS204)。同図は燃料電池のI−V特性を示すもので、25℃理論起電圧1.23Vからの各損失量(抵抗過電圧、活性化過電圧(カソード)、活性化過電圧(アノード)、濃度過電圧)の内訳を視覚的にわかりやすく表示している。このように、過電圧ηの内訳を表示することで、性能低下の要因が明確になり、性能向上の指針提示に役立つ。「全体表示」の表示態様としては過電圧ηの内訳を電圧損失の要因別(活性化過電圧、濃度過電圧、抵抗過電圧の別)に区別して視覚的に表示できるものであれば、図1に示すようにI−V特性に関連付けて表示する場合に限らず、解析の利便性に優れた各種の表示態様で表示してもよい。
一方、「B:個別表示」が選択された場合には(ステップS203;B)、選択画面表示部14は、活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧のうちどの過電圧を表示するのかを案内する画面を表示する(ステップS205)。ここでは表示アイテムとして、活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧の三種類を例示しているが、各過電圧の内訳として、より詳細に、活性化過電圧(アノード)、活性化過電圧(カソード)、濃度過電圧(アノード)、濃度過電圧(カソード)、MEA抵抗過電圧、拡散層抵抗過電圧、集電体抵抗過電圧を表示することも可能である。ここで、オペレータが入力部12を入力操作して何れかの表示アイテムを選択すると(ステップS206;YES)、選択画面表示部14は表示バリエーション選択画面を表示する(ステップS207)。表示バリエーション選択画面とは、各過電圧の表示バリエーションの選択を案内する画面であり、ここでは、(1)I−V特性、(2)コンター図(分布図)、(3)数値グラフ(分布値)の中から選択する。ここで、オペレータが入力部12を入力操作して何れかの表示バリエーションを選択すると(ステップS208;YES)、過電圧表示部13は、選択された表示バリエーションに対応する「個別表示」を行う(ステップS209)。
例えば、ステップS207においてオペレータがI−V特性を選択すると、図5に示すように各過電圧のI−V特性が表示される。同図(a)は活性化過電圧、同図(b)は濃度過電圧、同図(c)は抵抗過電圧を示している。このように、各過電圧について個別にI−V特性を表示することで、どの電流範囲でどの程度の損失があるのかを把握できるため、燃料電池の性能解析に好適である。一方、オペレータがコンター図を選択すると、図6に示すように各過電圧のコンター図が表示される。同図はセル内での抵抗過電圧を示している。このように、セル内での過電圧の分布を把握することで、発電特性の解析に役立てることができる。
これとは別に、オペレータが数値グラフを選択すると、図8に示すように各過電圧の数値グラフが表示される。この数値グラフは、図7に示すように、アノードガスガスチャンネル21、カソードガスチャネル22、及び膜・電極接合体23から成るセル20のガス流路方向をX方向、流路幅方向をY方向、膜・電極接合体23に電流が流れる方向をZ方向とした場合におけるYZ平面40又はXZ平面50内の過電圧を数値化し、グラフで表したものである。ここで、図8(a)はYZ平面40内におけるセル20の流路幅方向(Y方向)における活性化過電圧、同図(b)は同じくYZ平面40内におけるセル20の流路幅方向(Y方向)における濃度過電圧、同図(c)はXZ平面50内におけるセル20の流路長方向(X方向)における抵抗過電圧を示している。このように、セル20内の各断面について各過電圧を数値化し、視覚的に把握できるようにすることで、発電特性の解析に役立てることができる。
以上、説明したように本実施形態によれば、過電圧ηの内訳として活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧を区別して表示するように構成したため、活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧が全体の損失の中でどの程度の割合を占めているかを把握することができ、燃料電池の性能低下要因を解析する上で性能向上の指針提示に役立てることができる。また、各過電圧を様々な角度で表現する表示バリエーションを複数用意することにより、多面的な視野から発電特性を分析することが可能となる。
燃料電池シミュレータが演算したI−V特性図である。 燃料電池シミュレータの機能ブロック図である。 各セルについて過電圧を演算する演算ルーチンである。 過電圧を表示するための画面表示ルーチンである。 各過電圧のI−V特性図である。 セル内の抵抗過電圧分布である。 セルの模式図である。 各過電圧の数値グラフである。
符号の説明
10…燃料電池シミュレータ 11…過電圧演算部 12…入力部 13…過電圧表示部 14…選択画面表示部

Claims (4)

  1. 燃料電池の過電圧を演算する過電圧演算部と、
    前記過電圧の内訳を表示する過電圧表示部を備える、燃料電池シミュレータ。
  2. 燃料電池の過電圧を活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧に分けてそれぞれ演算する過電圧演算部と、
    前記過電圧の内訳として前記活性化過電圧、前記濃度過電圧、及び前記抵抗過電圧を区別して表示する過電圧表示部を備える、燃料電池シミュレータ。
  3. 燃料電池の過電圧を活性化過電圧、濃度過電圧、及び抵抗過電圧に分けてそれぞれ演算する過電圧演算部と、
    前記活性化過電圧、前記濃度過電圧、及び前記抵抗過電圧のうち選択された何れかについて表示する過電圧表示部を備える、燃料電池シミュレータ。
  4. 請求項3に記載の燃料電池シミュレータであって、
    前記活性化過電圧、前記濃度過電圧、及び前記抵抗過電圧のうち何れを表示するかをオペレータに案内するための選択画面を表示する選択画面表示部と、
    前記オペレータが前記選択画面の案内に従って入力操作を行うための入力部をさらに備え、
    前記過電圧表示部は前記活性化過電圧、前記濃度過電圧、及び前記抵抗過電圧のうち前記オペレータによって選択された何れかについて表示する、燃料電池シミュレータ。
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