JP2005105015A - 光学機器用樹脂材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 光学機器用途に適した堅牢性及び機械的強度を備えるとともに帯電防止性能を具備した樹脂材料を提供する。
【解決手段】 光学機器用樹脂材料は、樹脂材と補強材を混合した組成物に、導電性を付与する導電材と、所定の添加材とを加えてなる。樹脂材1Rは、ポリカーボネート樹脂の単独材あるいはポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とのアロイ材である。補強材1Fは、ガラス繊維あるいは炭素繊維の単独物もしくは両者をあわせた合計が5〜30重量%の混合物である。導電材1Eは、カーボンコートされたチタン酸カリウムウイスカーあるいはカーボンナノチューブを単独物あるいは混合物として合計1〜20重量%添加したものである。添加材1Aは、表面抵抗の安定化のため0.1〜15重量%の割合で添加されたポリオレフィン樹脂からなり、樹脂材料を成形した場合にその表面抵抗値が10Ωcm以下となる。
【選択図】図1

Description

本発明は光学機器用樹脂材料に関する。より詳しくは、カメラなどに組み込まれるシャッタ地板、シャッタ羽根押え、中間板など帯電防止性能が求められる部品の成形に用いる光学機器用樹脂材料に関する。
カメラのシャッタ装置は地板を用いて組み立てられる。シャッタ羽根は、地板の上に走行可能に取り付けられる。駆動力が強ければ、地板の帯電による影響は起きにくい。しかし、近年の省電力化により、シャッタの駆動力が弱くなると、摩擦による少しの帯電でもシャッタ羽根が密着してしまい、動作不能に陥る。そこで従来から、プラスチック成形品からなる地板の表面に、帯電防止性能を有する固体潤滑膜を塗装し、シャッタ羽根との密着を防止していた。しかしながら塗装は磨耗や剥離の恐れがある為、必ずしも長期的に安定な帯電防止性能を確保することは困難である。
又、成形用の樹脂材料自体に導電性を有するカーボンブラック粒子や炭素繊維を混入する場合もあった。従来の導電性樹脂材料は、その代表例として炭素繊維を添加したものが一般的である。しかし、炭素繊維のみでは添加量を増やしても、成形した後の表面層は樹脂で覆われてしまい、その表面抵抗値は1011Ωcm以上となり、光学機器用途には使用できない。
又改良された帯電防止性能を有する光学機器用樹脂材料が開発されており、以下の特許文献1〜特許文献3に記載がある。
特開平11−343401号公報 特開2002−40511号公報 特開平5−105800号公報
特許文献1は透明性と帯電防止性に優れ、しかも得られた成形品について帯電防止性能が安定的に良好であるポリカーボネート樹脂組成物を開示している。しかしながらその抵抗率は1010〜1014Ω/cm程度であり、シャッタ地板に要求される10Ωcm程度の表面抵抗は得られない。
特許文献2は帯電防止性能を有する光学機器用樹脂材料を開示している。この光学機器用樹脂材料は、熱可塑性の樹脂にチタン化合物からなり且つ導電処理を施した微細材料を1〜40重量%の割合で含有している。この微細材料は、酸化チタン又はチタン酸カリウムからなり、針状又は粒状を有する。樹脂はPC、ABS、PBT及びPOMから選択される。特許文献2によると、微細なチタン酸カリウム繊維などからなり且つその表面を導電処理した微細材料を樹脂に添加することにより、三次元的な網目構造の導電経路を形成し、以って樹脂の物性及び成形性を低下させることなく、帯電防止性のある光学機器用樹脂材料を得ることが可能であるとしている。しかしながら、特許文献2に開示された光学機器用樹脂材料は、実用レベルの帯電防止性能を得る為に、40重量%程度まで達する比較的大量の導電処理済み微細材料を混合する必要があった。その為、光学機器用樹脂材料が脆いという欠点があった。樹脂の脆さの為、カメラのシャッタ地板など堅牢性を必要とする用途に適用しにくいという問題がある。特にシャッタ地板に成形した場合、脆さの為タップ螺子の使用に制限があった。
特許文献3は制電性樹脂組成物を開示している。この制電性樹脂組成物は、ABSグラフト共強重合体100重量部とエピクロロヒドリンポリゴマーの存在下で重合されるエチレンオキシド共重合体5〜30重量部とを含んでいる。この樹脂組成物は永久帯電防止性、耐衝撃性、破断時伸びなどの機械的特性を有するが、成形物にした場合の層状剥離性に特徴がある。この層状剥離性の為、シャッタ地板などの光学機器用途としては不適当である。
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は光学機器用途に適した堅牢性及び機械的強度を備えるとともに帯電防止性能を具備した樹脂材料を提供することを目的とする。係る目的を達成する為に以下の手段を講じた。すなわち、本発明は、樹脂材と補強材を混合した組成物に、導電性を付与する導電材と、所定の添加材とを加えた光学機器用樹脂材料であって、前記樹脂材は、ポリカーボネート樹脂の単独材あるいはポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とのアロイ材であり、前記補強材は、0〜30重量%のガラス繊維あるいは0〜30重量%の炭素繊維の単独物もしくは両者をあわせた合計が5〜30重量%の混合物であって、前記導電材は、カーボンコートされたチタン酸カリウムウイスカー0〜20重量%あるいはカーボンナノチューブ0〜10重量%を単独物あるいは混合物として合計1〜20重量%添加したものであり、前記添加材は、表面抵抗の安定化のため0.1〜15重量%の割合で添加されたポリオレフィン樹脂からなり、樹脂材料を成形した場合にその表面抵抗値が10Ωcm以下となるようにしたことを特徴とする。
好ましくは前記ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂である。
本発明は又、カメラ用のシャッタ羽根を搭載する為のシャッタ地板を包含している。このシャッタ地板は、樹脂材と補強材を混合した組成物に、導電性を付与する導電材と、所定の添加材とを加えた光学機器用樹脂材料の成形品からなり、前記樹脂材は、ポリカーボネート樹脂の単独材あるいはポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とのアロイ材であり、前記補強材は、0〜30重量%のガラス繊維あるいは0〜30重量%の炭素繊維の単独物もしくは両者をあわせた合計が5〜30重量%の混合物であって、前記導電材は、カーボンコートされたチタン酸カリウムウイスカー0〜20重量%あるいはカーボンナノチューブ0〜10重量%を単独物あるいは混合物として合計1〜20重量%添加したものであり、前記添加材は、表面抵抗の安定化のため0.1〜15重量%の割合で添加されたポリオレフィン樹脂からなり、成形品の表面抵抗値が10Ωcm以下となるようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、光学機器用途として広く使用されているポリカーボネート樹脂などに導電性を付与する為、カーボンコートしたチタン酸カリウムウィスカーあるいはカーボンナノチューブの単体物もしくは混合物を20重量%以下の割合で添加する。更に、ポリエチレン樹脂もしくはポリプロピレン樹脂で代表されるポリオレフィン樹脂を15重量%以下の割合で添加する。これにより、ポリカーボネート樹脂を成形した場合に、成形品の表面にチタン酸カリウムウィスカーもしくはカーボンナノチューブなどの導電材が露出し易くなる。これは、ポレオレフィン樹脂が成形品の表面層に分布し易く、熱可塑性樹脂に添加した導電材を成形品の表面に露出させ易い性質を持っている為と考えられる。ポレオレフィン樹脂の添加により、導電材の混合比を20重量%以下に抑制しても、成形品の表面抵抗値を10Ωcm以下にすることが可能である。ポリオレフィン樹脂の添加により導電材を従来の様に多量に入れなくとも表面抵抗値を低く抑えることが可能となり、機械物性を損なうことなく安価な光学機器用途の樹脂材料を得ることが可能となる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明に係る光学機器用樹脂材料を表わす模式図であって、特にシャッタ地板などに成形した部品の表面状態を模式的に示している。図示する様に、本光学機器用樹脂成形品1は、樹脂材1Rに補強材1Fを混合した組成物に、導電性を付与する導電材1Eと、所定の添加材1Aとを加えたものである。樹脂材1Rは、ポリカーボネート(PC)樹脂の単独材あるいはポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂とのアロイ材である。又補強材1Fは、0〜30重量%のガラス繊維あるいは0〜30重量%の炭素繊維の単独物もしくは両者を合わせた合計が5〜30重量%の混合物である。又導電材1Eは、カーボンコートされたチタン酸カリウムウィスカー0〜20重量%あるいはカーボンナノチューブ0〜10重量%を単独物あるいは混合物として合計1〜20重量%添加したものである。添加材1Aは、表面抵抗の安定化の為0.1〜15重量%の割合で添加されたポリオレフィン樹脂からなり、樹脂材料を成形した場合にその表面抵抗値が10Ωcm以下となる様にしたことを特徴とする。ポリオレフィン樹脂としては典型的なポリエチレン樹脂を用いることができる。あるいは場合によりポリプロピレン樹脂を代用することもできる。
以下、本発明に係る光学機器用樹脂材料の各構成要素毎に説明を加える。樹脂材1Rは、基本的に成形性や機械的特性に優れた熱可塑性樹脂であるポリカーボネートを用いる。場合により、ポリカーボネート樹脂にポリブチレンテレフタレート樹脂を適当な混合比率でブレンドすることにより、より材料の物性バランスが取れた適当な樹脂組成を得ることができる。その比率は、PC樹脂が65〜90重量%で、PBT樹脂が35〜10重量%である。この様な混合組成の樹脂をベースとすることで、導電性を付与する為に添加すべき導電材1Eの比率を、従来に比べ抑えることが可能である。PC樹脂とPBT樹脂のブレンド樹脂(アロイ材)を用いることで、樹脂材料自体の脆さを改善するとともに、導電材の添加量も抑えることで樹脂材料の脆さを和らげている。
補強材1Fとして、典型的にはガラス繊維を用いることができる。熱可塑性樹脂材1Rにガラス繊維を混合することで成形部品としての機械的強度を高めることができる。しかしながら、ガラス繊維を過剰に加えると樹脂の流動性及び成形性を損なう恐れがあるので、混合比は30重量%以下とするのが好ましい。場合により、補強材1Fとしてガラス繊維に代えて炭素繊維を用いることもできる。ガラス繊維と異なり炭素繊維はある程度導電性を有するので、樹脂成形品の表面抵抗を下げる上で多少の効果がある。しかしながら、炭素繊維の導電性は限られたものであり、炭素繊維単独の添加で成形品の表面抵抗を10Ωcm以下に抑えることは困難である。炭素繊維を添加する場合も樹脂の成形性を損なわない様、混合比を30重量%以下にすることが好ましい。更に場合によっては、ガラス繊維と炭素繊維を両方混合し、合計の割合が5〜30重量%の範囲とする様にしてもよい。
導電材1Eとしては、カーボンコートされたチタン酸カリウムウィスカー(商品名デントール)を用いることができ、その含有量は20重量%以下である。場合により、チタン酸カリウムウィスカーに加えて同じく導電性を有するカーボンナノチューブを添加することで、チタン酸カリウムウィスカーの添加量はその分少なくすることができる。更には、チタン酸カリウムウィスカーの代わりに、カーボンナノチューブを添加することで、その混合比率を10重量%以下まで低くすることができる。この場合には、樹脂材料の脆さを改善することができる。
チタン酸カリウムウィスカーは、一般式KO・nTiOで表わされるチタン酸カリウム繊維である。平均繊維径0.3〜0.7μm、平均繊維長10〜20μmと極めて微細な繊維であり、高強度、高弾性、高アスペクト比といった特徴を有している為、優れた補強性能を発揮する。このチタン酸カリウム繊維の表面をカーボンコートにより導電化処理したものを熱可塑性樹脂に混練して、導電性プラスチック複合材料が得られる。この複合材料は、従来極めて困難とされていた超薄肉成形や超精密成形を可能にした他、ガラス繊維や炭素繊維の最大の弱点とされていた寸法精度の悪さを改善し、更に耐磨耗特性を付与することに成功している。この複合材料は、精密成形材料あるいは高摺動成形材料として優れた性能を発揮する。
本発明では、チタン酸カリウム繊維を導電材としてばかりでなく補強材として配合している為、成形品の薄肉部や狭小部へミクロ単位での補強が可能である。プラスチック中での繊維の分散状態がミクロでしかも均一である為、超精密成形や薄肉成形が可能である。チタン酸カリウム繊維は優れた摩擦磨耗性を有しており、摺動性の必要な機構部品に応用できる。無潤滑で優れた摩擦磨耗性を有する摺動部品の成形が可能である。チタン酸カリウム繊維は極めて微細である為、射出成形品内部での繊維配向が比較的小さいことから、優れた寸法精度と安定性を発揮する。更に、成形品は金型転写性が高く、鏡面状態の平滑表面が得られる。面精度の向上により、精密部品、摺動部品、メッキ部品などに好適である。最も重要な点は、微細な導電性繊維を用いている為、プラスチック内における導通パスは三次元的な網目構造を形成する。従って、成形品の抵抗値の面内ばらつきは勿論、体積的なばらつきも非常に小さく且つ安定している。加えて導電性繊維の添加量により、樹脂の抵抗値を最適に設定可能である。
カーボンナノチューブは、直径が例えば0.01μmで長さが1〜10μmの円筒形で100%炭素原子からなる物質である。通常、円筒形で単独に存在することはなく、これらが絡み合った状態になっている。図2は、カーボンナノチューブの単体のモデル図である。構造的には、0.005μm中空コアの周りに、8層のグラファイト層が巻かれた、円筒形状である。直径(D)は0.01μmで、長さ(L)は1〜10μmである。通常、単体のカーボンナノチューブが集まって、針状、海老状、絡み合い状などの形状を示す。カーボンナノチューブは、100%炭素原子からなる円筒形の物質である。ちょうどグラファイトの1層を丸めた構造をした、非常に微小な結晶である。カーボンナノチューブの生成法は、アーク放電法、レーザ蒸発法、CVD法などがある。カーボンナノチューブは、L/D比(アスペクト比)が100〜1000と大きく、又その結晶構造から理論的には強度が炭素繊維の約40倍と推定されている。その為樹脂に対して高強度・高弾性率を与えるフィラーとしての期待もあるが、実際は個々のカーボンナノチューブの微結晶が強固に固まり合った形態を取っている為、樹脂に配合した際の強度向上効果はあまり期待できない。しかし、本発明の様にカーボンナノチューブを導電性フィラーとしてプラスチックに添加した場合には、優れた帯電防止性能を得ることができる。
光学機器用途では、導電性樹脂成形品表面より摩擦などの原因で導電性フィラーが抜け落ちると、重大な問題を引き起こすケースがある。カーボンナノチューブは元来その細かさの為、「浮き」がほとんどなく、非常にきれいな表面状態である上に、高弾性・高弾性率を持つ物質なので破損による抜け落ちが少ない。カーボンナノチューブそのものは純粋に炭素だけからなり、カーボンブラックなどと異なり不純物はほとんど含まない。又、成形時や使用時に高温下に置かれても変化しない上に、樹脂を分解させる傾向もないので、カーボンナノチューブを配合した導電性コンパウンドは、成形品からの発生ガスを嫌う光学部品などの用途に適している。
特にカーボンナノチューブをPC樹脂とPBT樹脂のブレンドに混入した樹脂材料は、表面抵抗値を制御しながら精密成形した帯電防止光学部品を製造することができる。この様な光学成形部品は、ポリカーボネート樹脂本来の耐熱性や強靱性を維持しながら、優れた導電性を発現している。成形品の表面抵抗値は総合的な特性を損なうことなく、10〜10Ωcmの範囲でコントロール可能である。
添加材1Aはポリオレフィン樹脂からなり、典型的にはポリエチレン樹脂を用いることができ、その混合比は15重量%以下である。前述した様に、本発明に係る光学機器用樹脂材料は、光学機器用途として広く使用されるポリカーボネート樹脂に導電性を付与する為、カーボンコートしたチタン酸カリウムウィスカーあるいはカーボンナノチューブを添加している。更に、添加材としてポリエチレン樹脂を0.1〜15重量%の範囲で添加することにより、成形品の表面に導電材が露出し易くなる。これは、ポリオレフィン樹脂自体が成形品の表面層に分布し易い傾向を有し、これに伴って導電材を表面に露出させ易い性質を持っている為と考えられる。ポリオレフィン樹脂を添加することで表面に導電材が露出し易くなる為、従来の様に導電材を多量に入れなくとも表面抵抗値を低く抑えることが可能となり、機械物性を損なうことなく安価な光学機器用途の樹脂材料を得ることができる。尚ポリオレフィン樹脂を15重量%を超えて添加しても、表面抵抗値の抑制効果は飽和するとともに、樹脂材料自体の機械特性が逆に悪化する恐れがある。
図3は、本発明に係る光学機器用樹脂材料で成形されたカメラ用のシャッタ地板を示す模式的な断面図である。図示する様に、シャッタ装置は基本的に一対のシャッタ羽根3,4とこれを駆動する電磁アクチュエータ2とからなる。シャッタ羽根3,4はレンズ開口(図示せず)を有する地板1に配置されており、電磁アクチュエータ2により駆動されてレンズ開口を開閉する。本例では、一方のシャッタ羽根3は地板1に植設されたピン3bを中心にして回動する。他方のシャッタ羽根4は同じく地板1に植設されたピン4bを中心にして回動する。一対のシャッタ羽根3,4は地板1と羽根押え1vとの間に設けた羽根室に格納されている。地板1は、シャッタ羽根3,4の開閉動作を妨害しない為、帯電防止性能が要求される。又、羽根押え1vについても、好ましくは帯電防止性能が求められる。従って、地板1や羽根押え1vなどをプラスチック成形品で構成する場合には、予め導電性を付与する必要がある。
電磁アクチュエータ2は支持体1uを介して地板1に搭載されており、シャッタ羽根3,4に連結してこれを開閉駆動する。電磁アクチュエータ2は所謂ムービングマグネットモータ型であり、永久磁石製のロータ2aと、その周囲に巻回され通電に応じてロータ2aを回動させるコイル8とからなる。ロータ2aは回動軸1bを有しており、中間位置を挟んで一端位置と他端位置との間を双方向に回動可能である。一端位置と他端位置との間が作動角度範囲となる。ロータ2aには樹脂モールドにより作動ピン2bが一体的に取り付けられており、シャッタ羽根3,4に係合してこれらを駆動する。コイル8はコイル枠8aに巻回されており、通電に応じてロータ2aを作動角度範囲で双方向に回動させる。コイル枠8aの外周にはヨーク7が取り付けられている。低消費電力化の為、電磁アクチュエータ2の駆動力を抑制すると、地板1の少しの帯電でもシャッタ羽根3,4が密着してしまう恐れがある。
尚、電磁アクチュエータ2はコイル8に通電していない無通電状態で、ロータ2aを中間位置、一端位置又は他端位置に保持する為の自己保持手段を備えている。この自己保持手段は、ロータ2aを機械的な弾性力で中間位置に規制する弾性部材5と、ロータ永久磁石に対面した磁気的な吸引力でロータ2aを一端位置に保持する一方の磁性部材6と、ロータ永久磁石に対面し磁気的な吸引力でロータ2aを他端位置に保持する他方の磁性部材6とを有する。弾性部材5は一対の開放端部5i,5jを有するコイルバネからなり、羽根押え1vに形成された固定ピン1cに取り付けられている。一対の開放端5i,5jの間には同じく羽根押え1vに植設された案内ピン1aが挿入されている。ロータ2aと一体成形された作動ピン2bは弾性部材5の両開放端部5i,5jにより挟持され、中間位置に規制される。シャッタ羽根3,4は、自己保持手段によって保持可能なロータ2aの三点に応じて、レンズ開口を開く全開位置、レンズ開口を閉じる全閉位置及びレンズ開口を部分的に開く半開位置の三点に移行可能である。
図4は、図3に示したシャッタ羽根を地板1の下側(シャッタ羽根側)から見た模式的な平面図である。図示の状態は、電磁アクチュエータ2のロータ2aが中間位置にあり、作動ピン2bに連結する一対のシャッタ羽根3,4は地板1に形成されたレンズ開口1oを閉じる全閉位置に置かれている。永久磁石製のロータ2aは樹脂で一体化された作動ピン2bを有する。この作動ピン2bは、一対のシャッタ羽根3,4各々に形成された作動用長溝3a,4aに係合している。これにより、シャッタ羽根3,4は地板1に植設された回動ピンを中心にして回動可能となっている。又、地板1には弾性部材5を保持する固定ピン1cと、弾性部材5の状態を保持する案内ピン1aが設けられている。これにより、弾性部材5の両開放端部5i,5jはロータ2aの作動ピン2bを挟む位置に配置される。図示の電磁アクチュエータ2はロータ2aとコイル8とヨーク7とで構成されている。コイル8に正逆双方向の通電を行なうことによって、ロータ2aを時計方向及び反時計方向に所定の作動角範囲で回動させることができる。以上の説明から明らかな様に、地板1は種々の部品を搭載する為に高い寸法精度を要求されており、比較的複雑な形状を有している。従って、地板1をプラスチック成形品で作る場合、前述した帯電防止性能に加え優れた成形性や平滑性が要求される。
図5は本発明に係る導電性プラスチック材料を用いて成形されたシャッタ地板の他の例を示す模式的な平面図である。本例はフォーカルプレーンシャッタであって、シャッタ地板11の中央部には長方形の開口12(一点鎖線で示す)が設けられている。休止状態において四枚の先羽根10が互いに部分的に重なり合ってシャッタ開口12を遮蔽している。図示しないが先羽根群の下方には後羽根群が重なって配置されている。各シャッタ羽根の先端部は羽根押え14によって不要な動きを規制されている。この羽根押え14も、本発明に係る樹脂材料で成形することができる。地板11の左端部には一組のアーム15及び16が互いに平行関係を保って回動自在に軸支されている。各先羽根10はその先端部において一組のアーム15及び16に係止されている。このアーム15及び16も本発明に係る樹脂材料で成形することができる。後羽根群も同様に図示しない一対のアームによって係止されている。主アーム15には長穴17が設けられており、主アーム15の回動に伴う長穴17の移動軌跡に沿って長溝18がシャッタ地板11に設けられている。尚、図示しないが長穴17には、長溝18を介して地板11を貫通する駆動ピンが係合している。図示しないシャッタレリースボタンを押すと、駆動ピンはシャッタ地板11に設けられた長溝18に沿って与えられた付勢力により上方に移動する。これに伴って長穴17において駆動ピンと係合している主アーム15及びこれと連動する従アーム16は上方に回動する。この回動により先羽根10は上方に縦走り走行し開口12を開口する。次いで図示しない後羽根群が縦走り走行し開口12を遮蔽し露光が終了する。
(実施例1)
平均分子量21000のポリカーボネート樹脂にカーボンコートしたチタン酸カリウムウィスカーを15重量%添加し、更にポリエチレン樹脂を5重量%添加するとともに、補強材としてガラス繊維を10重量%添加した組成物を得た。これによりシャッタ地板及び羽根押え板を成形した。成形品の表面抵抗値は10Ωcmであった。これらのシャッタ地板及び羽根押え板を用いてシャッタ装置を組立て、動作確認したところ異常はなかった。シャッタ動作を50000回繰り返す耐久試験を行ったところ、異常は見られず結果は良好であった。
(実施例2)
平均分子量23000のポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂を2:1でブレンドし、カーボンコートしたチタン酸カリウムウィスカーを10重量%添加し、更にポリエチレン樹脂を5重量%添加するとともに、補強材としてガラス繊維を10重量%添加した組成物を得た。これによりシャッタ地板及び羽根押え板を成形した。成形品の表面抵抗値は10Ωcmであった。これらのシャッタ地板及び羽根押え板をシャッタ装置に組み込んで動作確認したところ、特に異常はなかった。50000回耐久試験を行ったところ異常は見られず結果は良好であった。
(実施例3)
平均分子量21000のポリカーボネート樹脂にカーボンナノチューブを3重量%添加し、更にポリエチレン樹脂を5重量%添加するとともに、補強材としてガラス繊維を15重量%添加して組成物を得た。これによりシャッタ地板及び羽根押え板を成形した。成形品の表面抵抗値は107Ωcmであった。これらの成形部品をシャッタ装置に組込み動作確認したところ異常はなく、50000回耐久試験の結果も良好であった。
(比較例)
平均分子量21000のポリカーボネート樹脂にカーボンコートしたチタン酸カリウムウィスカーを15重量%添加し、補強材としてガラス繊維を10重量%添加した組成物を得た。この組成物をシャッタ地板及び羽根押え板に成形した。成形品の表面抵抗値は10〜1012Ωcmで個々の成形品毎にばらつきが大きかった。これらの成形部品をシャッタ装置として組立て耐久試験を行ったところ、動作に異常が見られた。最悪の場合、シャッタ羽根が帯電した地板に貼りつき動作しなかった。
本発明に係る光学機器用樹脂材料の成形品を示す模式図である。 カーボンナノチューブの模式図である。 本発明に係る光学機器用樹脂材料で成形されたシャッタ地板を示す模式的な部分断面図である。 本発明に係る光学機器用樹脂材料で成形されたシャッタ地板を示す模式的な平面図である。 本発明に係る光学機器用樹脂材料で作成されたシャッタ地板の他の例を示す模式的な平面図である。
符号の説明
1・・・光学機器用樹脂成形品(シャッタ地板)、1R・・・樹脂材、1F・・・補強材、1E・・・導電材、1A・・・添加材

Claims (3)

  1. 樹脂材と補強材を混合した組成物に、導電性を付与する導電材と、所定の添加材とを加えた光学機器用樹脂材料であって、
    前記樹脂材は、ポリカーボネート樹脂の単独材あるいはポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とのアロイ材であり、
    前記補強材は、0〜30重量%のガラス繊維あるいは0〜30重量%の炭素繊維の単独物もしくは両者をあわせた合計が5〜30重量%の混合物であって、
    前記導電材は、カーボンコートされたチタン酸カリウムウイスカー0〜20重量%あるいはカーボンナノチューブ0〜10重量%を単独物あるいは混合物として合計1〜20重量%添加したものであり、
    前記添加材は、表面抵抗の安定化のため0.1〜15重量%の割合で添加されたポリオレフィン樹脂からなり、樹脂材料を成形した場合にその表面抵抗値が10Ωcm以下となるようにしたことを特徴とする光学機器用樹脂材料。
  2. 前記ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の光学機器用樹脂材料。
  3. カメラ用のシャッタ羽根を搭載する為のシャッタ地板であって、
    樹脂材と補強材を混合した組成物に、導電性を付与する導電材と、所定の添加材とを加えた光学機器用樹脂材料の成形品からなり、
    前記樹脂材は、ポリカーボネート樹脂の単独材あるいはポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とのアロイ材であり、
    前記補強材は、0〜30重量%のガラス繊維あるいは0〜30重量%の炭素繊維の単独物もしくは両者をあわせた合計が5〜30重量%の混合物であって、
    前記導電材は、カーボンコートされたチタン酸カリウムウイスカー0〜20重量%あるいはカーボンナノチューブ0〜10重量%を単独物あるいは混合物として合計1〜20重量%添加したものであり、
    前記添加材は、表面抵抗の安定化のため0.1〜15重量%の割合で添加されたポリオレフィン樹脂からなり、成形品の表面抵抗値が10Ωcm以下となるようにしたことを特徴とするシャッタ地板。
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